講談社学術文庫作品一覧

不確実性の時代
講談社学術文庫
資本主義の未来を「経済学の巨人」が読む! 大恐慌、戦争、超巨大企業の支配、貧困問題……拡大する不確実性を予見した恐るべき炯眼。資本主義経済システムはどこへ行くのか? 未来のための経済思想史。

花祭
講談社学術文庫
修験者たちによって天龍川水系に伝えられ、中世に始まるとされる民俗芸能「花祭」。湯を沸かし神々に献じ、すべてを祓い清める冬の神事に、人々は夜を徹して舞い続け、神と人と鬼とが一体となる。信仰・芸能・生活・自然に根ざした祈りを今に伝える奥三河地方の神事を昭和初頭、精緻に調査し、柳田や折口にも影響を与えた、日本民俗学の古典的名著。(講談社学術文庫)
すべてを祓い清める冬の神事に人々は夜を徹して舞いつづける
信仰・芸能・生活・自然が結晶した祈りのかたち
修験者たちによって天龍川水系に伝えられ、中世に始まるとされる民俗芸能「花祭」。湯を沸かし神々に献じ、すべてを祓い清める冬の神事に、人々は夜を徹して舞い続け、神と人と鬼とが一体となる。信仰・芸能・生活・自然に根ざした祈りを今に伝える奥三河地方の神事を昭和初頭、精緻に調査し、柳田や折口にも影響を与えた、日本民俗学の古典的名著。
花祭とは、奥三河地方と称される愛知県の東栄町・豊根村・設楽町に伝わる民俗芸能である。11月から正月にかけて地区ごとに夜を徹しておこなわれ、大きな釜で湯を沸かし、その周囲でさまざまな舞が奉納される。 それゆえ、 見る者にとって 「寒い眠い煙い」 祭りとしてよく知られている。そんな一地方の小さな祭りにすぎない花祭が、なぜ注目されるのであろうか。それは、この祭りのなかに日本の信仰史や芸能史に関わる重要な問題が秘められているからなのである。……そうした大きな問題をはらむ花祭の存在を、最初に世に知らしめたのが本書の著者である早川孝太郎なのである。――<「解説」より>
※本書の原本は、1968年、岩崎美術社より刊行されました。

ことばとは何か 言語学という冒険
講談社学術文庫
時の流れや社会規範によって姿を変える「ことば」。地球上にある何千種類もの言語、変化を続けるとらえどころのない対象の本質に、言語学はどこまで迫れたのか。ソシュールをはじめとした近現代の言語学の成果を検証、理論では説明しきれない言語の特別な性質をさらけ出し、グローバリゼーションの中で現代世界が直面する言語問題にも鋭く切り込む。(講談社学術文庫)
言語学は「ことば」をどこまで理解したのか。人間と切り離せない「ことば」。その本質に言語学はどこまで迫れているのか。日本を代表する言語学者が、その成果と現代世界が直面する言語問題に鋭く切り込む。

本居宣長「うひ山ぶみ」
講談社学術文庫
師と仰ぐ賀茂真淵との生涯一度きりの対面=「松坂の夜」以来、刻苦勉励を重ねること35年。寛政10年(1798)、畢生の大作『古事記伝』を仕上げた宣長は、古学の入門書『うひ山ぶみ』を一気に書き上げた。古学の扱う範囲、学ぶ者の心構え、学問のあるべき姿、契沖に始まる近世古学の歴史的意味、古学の目的とその研究方法など、国学の大人(うし)が初学者に授けた学びの要諦とは?(講談社学術文庫)
国学の大偉人が弟子に教えた学問の要諦とは。「からごころ」を排して「やまとたましい」を堅持することで、真実の「いにしえの道」へと至ることが学問の道である。契沖に始まる国学の目的と方法を説く入門書。

頼朝の天下草創 日本の歴史09
講談社学術文庫
貴族政治から武士政治への大転換点の時代像 鎌倉幕府を成立させた源頼朝、彼はなぜ政権を掌握できたのか。古代から中世へ、京都から東国へ、天皇・公家から武士へ、日本歴史上の転換点を描き出す。

「音漬け社会」と日本文化
講談社学術文庫
機械音・放送音に溢れた社会の感受性とは? 電車・バスの車内放送、防災行政無線の呼びかけ、商店街の案内や呼び込みのアナウンスなどの「騒音」に苦痛を感じる著者。抗議は日本社会に受け入れられるのか。

いろはうた 日本語史へのいざない
講談社学術文庫
日本語表記はどのように洗練されてきたのか 千年以上の長きに亘り日本の言語文化史の中核であった「いろはうた」。そこに秘められた日本語の歴史を明らかにし、現代語表記の問題点に迫る、刺戟的な日本語論

漢詩鑑賞事典
講談社学術文庫
教養の基礎、詩情の源泉を味わう必携の事典 古来日本文化の根本であり続けた漢詩。古代の『詩経』、漢の高祖から現代の魯迅まで、さらに日本の名詩も鑑賞できる「読む事典」。「漢詩入門」など付録も充実。

古代天皇制を考える 日本の歴史08
講談社学術文庫
多様な角度から照らし出す古代天皇制の実像 古代天皇制の特色とは何か。権力と権威は何によって支えられたか。七人の筆者が、朝廷儀式、天皇祭祀、文献史料の解読等、各々の専門領域からその実態に迫る。

武士の成長と院政 日本の歴史07
講談社学術文庫
武士はいかに誕生し政権掌握へと至ったのか 地方で勃発する武装蜂起の鎮圧にあたる戦士身分として登場した武士。将門・純友の乱の実態とは? 源氏と平氏の台頭と院政の横行。中世日本への過渡期を読み直す

イン イギリスの宿屋のはなし
講談社学術文庫
酒飲みと旅人にまつわる滑稽で愉快な文化史 ペテン師が横行する酒場、つけをため込む文士、追剥とつるむ宿屋の亭主等、近代英国のイン、タヴァン、エールハウスをめぐるエピソードの数々を軽妙な文章で綴る

中世・ルネサンスの音楽
講談社学術文庫
音楽の源泉、バロック以前の音楽の好解説書 心洗われる素朴な響きのグレゴリオ聖歌、吟遊詩人のうたい上げる愛のメロディ……美しい旋律で人の心の奥底を揺り動かす中世・ルネサンス音楽の世界へようこそ。

大川周明 ある復古革新主義者の思想
講談社学術文庫
「始末に困る」至誠の人の思想形成と生涯。 荘内中学から五高時代、社会主義による変革を目指した青年はやがて日本精神に目覚めアジア主義の理論家となる。指導的宣伝家として戦犯となった大川周明の評伝。

世界大恐慌 1929年に何がおこったか
講談社学術文庫
我々は、あの〈暗黒の木曜日〉に何を学ぶか。
1929年10月24日、ニューヨーク株式市場は突如、大暴落をはじめた。「暗黒の木曜日」世界大恐慌の勃発である。
株価は7分の1に下落、銀行倒産は6000件、失業者1000万人……世界経済が直面した未曾有の危機はいかにして発生したか。
当時の新聞記事やなまなましい労働者の証言などから、庶民の目に映った経済破綻と、打ち出された数々の経済政策を丹念に描き、混沌の坩堝にあった大恐慌期の米国を再現。
さらに大恐慌が日本に波及した「昭和恐慌」の実態と、井上準之助・高橋是清の経済政策についても検証を行う。
長年にわたり大恐慌期の米国経済史を研究してきた経済学者が、難解な専門用語や数式を用いずに明快に解説。
史実から何を学ぶべきかを読者に問い続ける1冊です。
*本書の原本は、1999年に講談社選書メチエより刊行されました。
●主な内容
プロローグ 大恐慌はくりかえされるか
第一章 暗黒の木曜日
第二章 市民たちの大恐慌
第三章 市場崩壊のメカニズム
第四章 ニューディールの景気刺激策
第五章 ケインズ理論への道
エピローグ 1929年のアメリカと平成不況下の日本

道長と宮廷社会 日本の歴史 06
講談社学術文庫
日本的古典文化の誕生と藤原氏の栄華の時代 日記や古文書の精緻な解読により政治・財政・文化等、古代の国家システムを解明。中国文明との交流も射程に収め探究する、美と権勢を極めた貴族政治の合理性とは

殿様と鼠小僧 松浦静山『甲子夜話』の世界
講談社学術文庫
幕政での栄達という青雲の夢破れ、47歳で平戸藩主を隠退した松浦静山は、以後82歳で没するまで、学芸に親しみ、怪談奇談に耳をそばだて、隠居仲間やお抱え相撲取り・弓職人など多彩な人々との交流を楽しんだ。老いのため息を洩らしつつ、本所下屋敷での隠居暮らしを生き生きと綴った江戸後期屈指の随筆『甲子夜話』を中心に、「老侯の時代」を活写する一級の江戸社会史。(講談社学術文庫)
江戸期屈指の随筆に綴られた切なくも愉快な隠居暮らし
幕政での栄達という青雲の夢破れ、47歳で平戸藩主を隠退した松浦静山は、以後82歳で没するまで、学芸に親しみ、怪談奇談に耳をそばだて、隠居仲間やお抱え相撲取り・弓職人など多彩な人々との交流を楽しんだ。老いのため息を洩らしつつ、本所下屋敷での隠居暮らしを生き生きと綴った江戸後期屈指の随筆『甲子夜話』を中心に、「老侯の時代」を活写する一級の江戸社会史。
※本書の原本は1991年、中央公論社より刊行されました。また、2002年に『悠悠自適』と改題のうえ平凡社より刊行されています。

ビゴーが見た明治職業事情
講談社学術文庫
激動の明治期、人々はどのような仕事をしていたのか。仏人画家ビゴーは、洋服屋、牛肉屋、鹿鳴館職員といった西洋化により登場した職業など、働く人々の姿を諷刺も交え克明に記録した。国会議員らエリート層の豪奢で珍奇な暮らしぶりとは対照的に、人口の9割を占める下流階級の人々が懸命に働く姿は、明治の格差社会を痛切に感じさせる。100点超の作品を紹介し、背景を解説する。(講談社学術文庫)
牛肉屋、人力車夫、洋服屋、国会議員……その日暮らしの庶民から超富裕層まで
諷刺画家が活写した近代化日本の働く人々
激動の明治期、人々はどのような仕事をしていたのか。仏人画家ビゴーは、洋服屋、牛肉屋、鹿鳴館職員といった西洋化により登場した職業など、働く人々の姿を諷刺も交え克明に記録した。国会議員らエリート層の豪奢で珍奇な暮らしぶりとは対照的に、人口の9割を占める下流階級の人々が懸命に働く姿は、明治の格差社会を痛切に感じさせる。100点超の作品を紹介し、背景を解説する。
ビゴーの諷刺画にも様々な職業が描かれている。たとえば雑誌『トバエ』には、諷刺の対象たる政治家や警官や富裕層だけでなく、近代社会に登場してきた新しい職業の担い手たちを多少皮肉をまじえて描いている。すなわち、キリスト教の宣教師、写真師、洋服屋、さらには乗合馬車の御者・車掌などあまり写真や絵画に記録されていない働く人々の姿がそこに見られる。(中略)ビゴーの描いた職業を分類・分析することによって明治という時代、とくに彼が滞在した明治中期という時代の様相・雰囲気を紹介してみたいと思う。――<本書「はしがき」より>

東北学/忘れられた東北
講談社学術文庫
南/北の種族=文化が相交わる境としての東北。いまだ自らの歴史や文化の核たるものが語られていない東北。稲作中心史観に養われた南からのまなざしを斥けたとき、そこには縄文的なものと弥生的なものが重層的に織りなされ北方へとつながる深い相貌が見えてくる。柳田民俗学の限界を乗り越えて「いくつもの日本」を発見するための方法的出発の書。(講談社学術文庫)
「東北学」構築への第一歩となった記念の書。南/北の種族=文化が相交わる境としての東北。自らの歴史や文化の核が未だ語られていない東北。そこに「常民」の幻像を覆し、日本を相対化する手掛かりを探る。

律令国家の転換と「日本」 日本の歴史05
講談社学術文庫
摂関制と受領が誕生した古代国家の転機とは 桓武天皇による相次ぐ遷都。中央では天皇の権威が確立し藤原氏の摂関制が成立する一方、地方では伝統的郡司層が没落。日本史の重要な転換点を複眼的に描き出す。

平城京と木簡の世紀 日本の歴史04
講談社学術文庫
日本型律令制成立への試行錯誤の百年を描く 日本が国家として成る奈良時代。大宝律令の制定、和同開珎の鋳造、遣唐使、平城宮遷都、東大寺大仏の建立……。木簡、発掘成果、文献史料で天平時代を読み直す。