講談社学術文庫作品一覧
イグナチオとイエズス会
講談社学術文庫
イグナチオの不屈の闘いとイエズス会成立史ルタ-派の宗教改革の嵐が吹き荒れる16世紀欧州大陸.強固な意志力と比類なき統率力によってカトリックを改革しイエズス会を創始したロヨラの波乱の生涯を描く
ギリシア人の数学
講談社学術文庫
数学史におけるギリシア数学の今日的意義。ギリシア数学の現代数学への最大の遺産は、<証明の発見>である。古代オリエントに始まる数学の系譜を通観し、ギリシア人が形成した論証数学の特質を解明する。

日本近代美術史論
講談社学術文庫
日本美術の「近代」は、西欧絵画との魂を揺さぶる出会いから始まった。洋画を拓いた由一、清輝。日本画の芳崖、大観、春草。また彼らとフェノロサ、天心との運命的な交錯……。近代美術の黎明からその展開期にかけての、伝統と革新のせめぎ合いの諸相を、本書は先駆者たちの内面に分け入り追究する。著者の卓越した眼力と厳しく鮮やかな論証に目を覚まされる、美術史学の真の名著をここに贈る……。
引用句辞典の話
講談社学術文庫
引用句辞典の活用法を平明な語り口で解説.英語の引用句辞典は実用的に使われるだけでなく英語で表現された考え方を読みとる格好のテキストでもある.引用句辞典を紹介しつつ,背景の文化面にも言及する.
打出の小槌
講談社学術文庫
日本古典の絶品を佐藤春夫が香高く現代語訳わが国のすぐれた文学作品のうち、徒然草、方丈記のほかに、「言霊の幸を得ないで」埋もれている秋成、綾足らの佳篇を独自の審美眼で選択紹介した日本文の宝石箱

日本の心
講談社学術文庫
障子に映る庭の木影、か弱い小さな虫、神社や寺院の無に至る参道──名もない庶民の生活のありふれた光景のひとつひとつに、詩人小泉八雲は日本人の心の営みのこまやかさ、優美な豊かさを、深い共感をこめて見出した。「先の見えない猪突猛進的な産業化が日本の人々の楽園を駄目にしてしまった」(本書「虫の演奏家」)今日、われわれ日本人が見つめなおすべき、古き良き日本の「心」がここにある。

人生をよりよく生きる技術
講談社学術文庫
◆早合点だけが誤りのもとではない。先入観がまたそうである ◆大きな仕事をする人は、ときどき世間から引っこんで暮らす術を心得ている ◆長たるものは、部局が狭い派閥意識に閉じこもり他の部局といがみ合うのを許してはならない ◆精神の欠点は、容姿の欠点と同様、年とともに大きくなる〔以上本文より〕
考える技術から人を指揮する技術まで、鋭く的を射るアフォリズムの連射で伝授する成功への人生哲学。

孔子
講談社学術文庫
長いあいだ聖人として崇められ、それ故にまた旧時代の権威として批判の対象ともされてきた孔子。歴史の粉飾を払い、聖人ではなく血の通った孔子の人間像を鮮明にするため、著者は『論語』の再編を試み、また「孔子観の変遷」という独自の観点から、彼の思想の展開を追求する。新しい「人としての生きかた」を提唱し、それを自ら学びつつ実践する努力を続けた人間孔子の魅力を描いた最良の入門書。
悲歌の時代
講談社学術文庫
古代歌謡から現代の戦争までの生への絶唱.日本人の心とからみ合った短歌.ヤマトタケルの悲歌や海上漂泊,戦中戦後の歌など,千年を遥かに超える短歌の伝統の中から流れでる祈りと悲しみの歌の系譜を辿る

ウパニシャッド
講談社学術文庫
「ウパニシャッド」とは、紀元前7世紀に遡る古代インドで著された哲学書の総称。その内容は、宇宙の根本原理・輪廻転生・解説・カルマ(業)等々多岐にわたり、輝やかしいインド精神文化の源泉として不滅の価値をもつ。膨大かつ難解な原典の中から碩学辻直四郎博士が、理解のための核心となる精髄を摘出して平明に解説した。インドを知り、哲学を学ぶ上で欠かすことのできない比類のない名著である。

古田織部の茶道
講談社学術文庫
「茶の湯の名人」の称をもち、千利休の高弟中の随一と謳われる古田織部(ふるたおりべ)は、自ら千軍万馬の戦場を往来した戦国大名。その故にか豊臣家滅亡後、家康より切腹を命ぜられる悲劇をもって波瀾の生涯を閉じる。織部こそ利休に次ぐ茶の湯名人と確信する著者は、あらゆる史料を博捜してその人と芸術を描き出す。桃山文化の神髄として不朽の光を放ち続ける織部の茶道の全体像を、初めて明らかにされた記念碑的労作。

マルクスその可能性の中心
講談社学術文庫
マルクス=ヘーゲル主義の終焉において、われわれは始めてマルクスを読みうる時代に入った。マルクスは、まさにヘーゲルのいう「歴史の終焉」のあとの思想家だったからだ。マルクスの「可能性の中心」を支配的な中心を解体する差異性・外部性に見出す本書は、今後読まれるべきマルクスを先駆的に提示している。価値形態論において「まだ思惟されていないもの」を読み思想界に新たな地平を拓いた衝撃の書。

怪談・奇談
講談社学術文庫
日本を深く愛しつづけたラフカディオ・ハーン(小泉八雲)1890年に来日以来、日本の物語や民間信仰、風習等を通して、西洋至上主義に捉われることなく日本を理解しよと務め、数多くの秀れた作品を残した。本巻は八雲の作品の中でも「耳なし芳一」「轆轤首」「雪女」等、一般に親しまれている怪談・奇談42篇を、気鋭のハーン研究者達の新訳で収録。さらに巻末にこれらの原拠30篇も翻刻した。

幾何の発想
講談社学術文庫
ナイル河、そしてチグリス、ユーフラテス。大河氾濫後の現状回復の要請による測量術から、幾何学は誕生したという。やがて〈数学の父〉ターレスの登場、さらにピタゴラス、ユークリッドへと受けつがれ、アポロニウスの円錐曲線へ。達意の名文家として知られる著者が、数学の面白さを第一義にまとめた幾何学の歴史。ソフィストの三大難問・一筆書き問題など知的好奇心に溢れる挿話を満載。

日本神話と古代国家
講談社学術文庫
神話の条件として著者は、「神々の物語が、一部の人の創作でなく広く民衆に支持され、宗教性と呪術性をもつこと」をあげる。「記・紀」編纂の過程で、また明治以後の歴史教育のなかで、日本神話はどのような潤色が加えられたか。天孫降臨の話やヤマトタケル伝説、三種の神宝などの具体例をもとに、綿密な文献学的方法による研究を進め、古代国家の歴史と形成に果たした神話の実体を明らかにした労作。

身体論 東洋的心身論と現代
講談社学術文庫
“心”と“身体”――デカルト以来の近代西洋哲学が幾度となく究明を試みたその問題は、東洋思想の照明を受けつつ、今日最もヴィヴィッドな課題として我々の前にあらわれている。哲学者であり、ユング心理学や「気」の研究の先頭走者でもある著者は、現象学、生理心理学との通路を縦横に結びつつ、東洋的「心身一如」論の現代的意義を浮かび上がらせる。海外の思想界に影響を与えた英語版を文庫化。
日本の橋
講談社学術文庫
心と心に架け渡す哀しい橋の美学を説く名篇日本の橋は自然の道の延長であった。やがて朽ち果てるはかなさをも我らは愛し、橋の役割を選んで亡びた人々の歴史をも尊ぶ。批評家保田の名を不動にした記念碑。
書物の敵
講談社学術文庫
火や水、そして人間…。書物の敵とは何か?十九世紀、英国のウヰリアム・ブレイヅの手になる名著『書物の敵』を基礎に、わが国の書物の歴史や現状を踏まえ、これを更に発展させた読書家必読の書物愛護の書

禅と精神医学
講談社学術文庫
瑩山禅師の『坐禅用心記』には、禅門のなかに潜む心の健康法の秘密と、悟りにいたる人間の心が、明らかな科学の言葉で語られている。禅瞑想のもつ科学性を病める心の治療に用いることこそ、仏の説く慈悲ではないかという考えのもとに、著者は精神医学の立場から脳波学的研究によりこれを証明しようとした。本書はまさに現代日本の医学と禅との結実の書といえる。国際的にも高く評価された注目の書。
演劇とは何か
講談社学術文庫
現代芸術の華,演劇が孕む企みと仕掛の全容演劇,現代の代換宗教=典礼,また都市の日常にたまさか現出する祝祭空間として現代人の生存を揺さぶり更新し続ける言葉と身体の企み.第一人者による刺激的論考