講談社現代新書作品一覧
大乗経典を読む
講談社現代新書
主要経典を繙き、大乗仏教の真髄を味わう。菩薩たちが討論を展開する『阿闍世王経』、維摩居士の病気をめぐって仏説が語られる『維摩経』など、著者独自の翻案により大乗経典の説く智恵と慈悲の思想を読む

錬金術 宇宙論的生の哲学
講談社現代新書
認識の1つの型としての錬金術──それは、地中海的な知であり、コスモロジー、象徴性、一元性を秘めた有機的汎生命論的な営為であった。近代知を脱構築する可能性をそのなかに探る。
超国家EC―ヨーロッパ合衆国への道
講談社現代新書
EC統合から欧州連合への道筋を読み解く。世界最大の単一共同市場の創設にこぎつけたECは、統一通貨発行と政治・外交面での統合に向けて、次のステップに突入した。欧州連合への歩みと今後の展開を探る

「気」で観る人体-経絡とツボのネットワーク
講談社現代新書
「気」の発生するポイントとしてのツボ。五臓六腑を結んで「気」が流れるコースとしての経脈と絡脈。驚異の精密さで体系化された中国医学による人体観を平易に解説する。
「経絡」とは何か――道路に幹線と支線があるように、人体を流れる「気」のコースにも、大小があるという。太い幹線のことを「経脈」という。略して経とだけいうこともある。人体には12本の太い経脈があり、「十二経」と総称する。これらの各経は、体内の臓ないし腑と直接的な関係をもち、経と臓(ないし腑)との関係を「属(ぞく)す」という。いっぽう、細い支線にあたるのが「絡脈」であり、経脈から派生したものである。絡とだけよぶこともあり、合計すると15本の絡脈がある。「経絡」とは、「気」の流れる大小の脈を総称したもので、経絡学説は中医学の基礎理論のひとつである。――本書より

魔女と聖女 ヨ-ロッパ中・近世の女たち
講談社現代新書
イヴ=魔女とマリア=聖女。蔑視と崇拝の呪縛のなかで女はどう生きたか。「魔性」と「聖性」をキーワードに中・近世を読み解く。
魔性と聖性――よく知られていないことだが、魔女が誕生し、魔女狩りが盛行しだした中世末から近世はじめにかけては、その美徳と超自然力の行使ゆえに称えられ崇められた聖女も同時に増加したのである。……どうして女性をつぎからつぎへと火刑台にのぼらせるのに必死になっていた時代に、多くの女性が聖女として讃仰されることになったのであろうか。不思議なのは時期がかさなることだけではない。魔女の超自然力と聖女の超自然力をよく観察してみると、非常ににているのである。それは裏返しの関係にある。……一体、ヨーロッパ人は、どうしてかくも極端な女性嫌悪と女性崇拝を並存させることができたのか。そして、それは現実の女性にどんな影響をおよぼしたのか。……本書では、より極端な観点から、ヨーロッパ中世・近世の女性と男女関係を見通してみたい。それは、いってみれば、男の女にたいする偏見の歴史であり、また、その偏見に抗して女がどう生き、振る舞ったかの歴史である。本書のキーワードは、女性の「魔性」と「聖性」である。――本書より

自己愛と献身―愛するという意味
講談社現代新書
「傍観者」は人を愛さない。「ニヒリスト」は人を愛さない。「彼ら」は自分自身を愛することもできない。自分の中にもある「彼ら」を克服し、交感への願いを開放すること。内なる声に応じ、自ら存在を賭けることが「親友」「恋人」を可能にする。自分の港へたどりつくための指針を示す。
サイド・バイ・サイドとフェイス・ツー・フェイス――愛し合っている男女の2人は互いに、自分が相手にとって、果たして何であろうかという質問に対する返事を、きわめて切なく待ち望んでいることであろう。相手が自分を本気で大切にしてくれているだろうか、自分が相手を本気で大切にしているだろうかというような、今の気持ちについて悩むことが非常に多いに違いない。(中略)ところが、そのことで悩むよりは、むしろ相手のために自分が何になりたいのか、相手が自分のために何になってほしいのか、力を合わせる2人が一体何を作り上げたいのか、というような目的に憧れて、そこに導くダイナミックな方向性に従っていっしょに進む向上心こそ、フェイス・ツー・フェイスに満ちたサイド・バイ・サイドの旅であり、愛の最も大事な方針なのではなかろうか。――本書より

はじめてのインド哲学
講談社現代新書
自己と全宇宙の合一をめざし、3000年の「聖なる」思索を重ねたインド。壮大にして精緻な精神のドラマを、一巻に凝縮する。
自己が宇宙と合一する――インド精神が一貫して求めたものは、自己と宇宙(世界)との同一性の体験であった。世界を超越する創造神を認めないインドの人々が求めた「神」は、世界に内在する神、あるいは世界という神であった。一方、インドは自己に許された分際というものを知らなかった。つまり、自己は限りなく「大きく」なり、「聖化」され、宇宙(世界)と同一と考えられた。もっとも、宇宙との同一性をかちとるために、自己は時として「死」んだり、「無」となる必要はあった。しかし、そのことによって自己はその存在の重みをますます増したのである。自己も宇宙も神であり、「聖なるもの」である。自己と宇宙の外には何も存在せず、宇宙が自らに対して「聖なるもの」としての価値を与える、すなわち「聖化する」のだということを、何としても証したいという努力の過程が、インド哲学の歴史にほかならないのである。――本書より

英語小論文の書き方―英語のロジック・日本語のロジック
講談社現代新書
日本人が書く英文リポートやエッセイは、なぜ欧米人に理解されにくいのか。日本語と英語の言語感覚の差異、ロジックやレトリックの相違などを通して正確でわかりやすい英語文章の書き方を伝授する。 日本人の書いた英語リポートは“雲”――言語表現についての日本人の文化的伝統と西欧人のそれはかなり違う。これが違えば、日本語ではよいとみなされるエッセイなり小論文なりをそのまま英訳しても、それがそのまま英語としてのよい作品にならないことは明瞭であろう。たとえ直接英語で書いたとしても、それが英語の論理思考にのっとっていなければ、同じことである。1つずつのセンテンスが文法的に完全であることは、不完全な文を書くよりはずっとよい。だが、1つずつのセンテンスが正しいとしても、いくつか集まれば、英語的思考から見ると、「これは雲だ」というようなリポートに仕上がってしまう可能性……日本人にとって英語リポートを書くことの本当の怖しさは、この辺りにあるのである。――本書より

沖縄からの出発 わが心をみつめて
講談社現代新書
沖縄戦に斃(たお)れた婚約者の足跡を追って訪れた沖縄の島々。その旅を通じて知った沖縄の苦難に満ちた歴史と現実、人々のまごころ。時の風化のなかで忘れがちな沖縄の心を切々と語り継ぐ、感動の記録。

大聖堂のコスモロジー―中世の聖なる空間を読む
講談社現代新書
そびえ立つ尖塔、内部に広がる一大空間。中世ヨーロッパのキリスト教信仰の深まりの中、刻まれ、組み上げられた石の構造物は神の国を表出する。ロマネスクゴシックを中心に美しき大聖堂に込められた意味を読む。

自分を生かす自己催眠法
講談社現代新書
暗示を受け入れやすい態勢を整えて、プラスの方向へと意識を方向づける――この効果的なセルフコントロール法を提示。
自己催眠とセルフコントロール――悩みの克服や能力開発を自分で行なおうとする際、自分はこういう人間だ、自分の能力はここまでだというこり固まった意識があって、それが大きな障害となることが多い。このこり固まった意識そのものの働きをやわらげるのが、自己催眠の大きな特徴である。また、意識はマイナスの方に理屈抜きで固まることもあるが(自分は駄目なんだと思う)、プラスの方に理屈抜きに向くこともある(自分はやれると思う)。このように理屈抜きに思い込んで、そのように反応する現象は暗示と呼ばれるが、自己催眠では、暗示の受け入れ態勢を整えて、プラスの方向へと暗示を行なう。マイナスの意識を弱め、プラスの方へ意識を向け、効果的にセルフコントロールを行なうところに、自己催眠の大きな特徴がある。――本書より
パブ・大英帝国の社交場
講談社現代新書
大英帝国を覆った民衆社交場の三百年を読む大英帝国発展とともに村の集会場から娯楽場、さらには政治・商業の拠点にも。労働者から作家にまで愛されたイギリス人の心の故郷の変遷を追い英国文化を捉え直す

イメージ体験の心理学
講談社現代新書
心身のうごきから思考・知覚にまで大きく関わるイメージ。その特徴と癒しの機能を解明。
からだの声を聞く――自分にとって不健康な習慣をやめられないのは、頭だけで無理やりやめようとするからである。不健康な習慣というものは、からだは嫌がっている。浅いレベルでは一見そうではないようでも、もう少し深いレベルでは嫌がっている(さらにいえば、やめている時からだは喜んでいる)。それを十分に感じられるようになれば、割合すんなりとやめられるものである。そして、イメージはからだの声を聞けるようになるための媒介として活用するのがよい。タバコを吸いたくなった時にせよ、太りそうなものを食べたくなった時にせよ、からだが嫌がっている感じを、イメージを使ってサッと感じるようにする。そうすると、スーッとそういう気持ちがうすらいでいくものである。――本書より

食文化の中の日本と朝鮮
講談社現代新書
鮨・酒・豆腐・漬物から厨房道具の数々まで、日本人の食生活の基本をなす食物、食習慣、食文化の多くが、朝鮮半島に古い起源をもつ。その深い絆と交流史を掘り起こす。
食文化のルーツを探る――朝鮮半島と日本列島は海をひとつへだてたもっとも近い地域であり、国である。古くから多くの人々の往来があり、各分野の文化交流があったことは、すでに多くの研究によって明らかになってきている。食の生活文化においても、朝鮮半島と日本列島は密接につながっており、今なおそれは身近に確かめることができるのだが、案外それに気がついていない人が多いのが実情である。本書では、それらのいくつかを取り上げることにした。いずれも日本の日常的な食べ物であるだけに、朝鮮半島の生活文化とのつながりを意外に思われるかもしれない。しかし、それほど深くつながっているのが、実は朝鮮半島と日本列島なのである。――本書より
死後の世界 死者の運命・生者の観念
講談社現代新書
人類は死後世界をどのように考えてきたか。あの世への旅、天国と地獄のイメージ、守護霊の存在など、古今東西の宗教・哲学・文学の流れから、人間が自身の心性=宗教的体験をいかに表現してきたかを語る。

はじめてのフランス語
講談社現代新書
微妙な発音、独特な綴り、厄介な動詞変化、複合的な時制感覚……。フランス語のもつ「難しさ」を平易にときほぐす、入門第一歩。
母音(その1)[イ][エ][ア]――友人から聞いた話ですが、フランス滞在中にお嬢さん(小学校低学年)が、ある日学校から写真を持ち帰りました。生徒ひとりずつを撮った写真で、とても自然に微笑んでいます。……カメラマンの使ったテクニックは次のとおりです。生徒のひとりをカメラの前に立たせると、「お名前は?」と尋ねます。たとえば「ジャクリーヌ」と答えると、そこで「嘘だろう」と言います。当然、生徒は「本当よ」と答えます。ここのところの問答は、フランス語では《C’est pas vrai!(セパヴレ)》《Meis si!(メスイ)》となり、siのところで生徒が唇が左右につよく引かれ、シャッターが落ちるというわけです。例の「チーズ」と同じですね。大げさに言えば、耳まで裂けよというぐらいの気持ちで発音するのが、フランス語の[イ]なのです。――本書より
転換期の情報社会 産業と文明の未来像
講談社現代新書
本格的情報社会の姿を気鋭の学者が提示するハイテク不況、おたく族の増加。情報社会は曲り角に来ている。省力化やメカトロニクス、個人の知恵を重視する方向へとシフトはじめた新たな情報文明像を描写する
アラブ・ムスリムの日常生活 ヨルダン村落滞在記
講談社現代新書
アラブ人の心の深層・生活の実態をレポ-ト意外に高い女性の地位、アッシ-ラ主義でまとまる人々、生き残っている妖怪や邪視などの迷信。タテマエとしてのイスラムの背後に潜む生活慣習や民間信仰を語る。

ヴェネツィア 水上の迷宮都市
講談社現代新書
内海(ラグーナ)に浮かぶ「アドリア海の花嫁」。四季折々の呼吸がたちのぼる大運河(カナル・グランデ)、路地(カッレ)に感じる街の体温、光と闇を彩る祝祭(フエスタ)。足で織り五感でつかむ、水の都へ道案内。
獅子の帰還――セレモニーを行うのに、これ以上の舞台はない。……広場の東側には壮麗なゴシック様式の総督宮殿、西側には古典的にマルチアーナ図書館が建つ。共和国時代とまったく同じ趣向で設営された演劇空間に我々はいるのだ。紐が引かれ、白い布が移動して、獅子の姿が現れてきた。ところがいかにもイタリアだ。布が引っ掛かって動かなくなってしまった。いささか慌てて逆に引っ張ってみても、うまくいかない。人々の間に溜め息がもれる。ヴェネツィアの未来に暗雲がただよいかけたその時、紐を切ったことによって、白布は無事にはずれ、獅子の美しい姿が円柱の上に浮き上がったのだ。我がヴェネツィアの象徴は拍手とともに元の位置に戻った。――本書より
博物学の欲望 リンネと時代精神
講談社現代新書
万物を分類し尽す博物学の壮大な野望を描く動物・植物・鉱物――地球上に存在するすべてを分類し記述する博物学が学問の王だった18世紀。その帝王リンネと、珍品をさがす冒険家・商人たちの姿を活写する