講談社現代新書作品一覧

ベルリン 都市は進化する
ベルリン 都市は進化する
著:杉本 俊多,装丁:杉浦 康平,装丁:赤崎 正一
講談社現代新書
生命体としての都市ベルリンの進化をたどる双子の漁村集落ベルリン・ケルンが“帝都”となり、東西分裂の傷を癒し、今、新たな世界都市像を模索する。建築や都市構造を手がかりに都市という生命現象に迫る
「頭脳国家」シンガポ-ル~超管理の彼方に…
「頭脳国家」シンガポ-ル~超管理の彼方に…
著:田村 慶子,装丁:杉浦 康平,装丁:佐藤 篤司
講談社現代新書
遺伝子主義、エリート教育、強制貯蓄、言語改造……。選び抜かれた頭脳集団による合理主義の「君子政治」。都市国家が生き残るために強要された「超管理」の現実。 国民生活への介入――「もしも政府が国民の個人的問題、例えば隣人が誰なのか、どうやって生計を立てているのか、騒音を出していないか、どこに唾を吐くのか、どの言語を話すのかなどについて干渉しなかったとしたら、今日の我々の繁栄はなかっただろう」これは、経済的繁栄を達成した1986年のリー首相の言葉である。この発言に象徴的にあらわされるように、シンガポール政府の国民生活への干渉・管理は、結婚・出産という家族計画にとどまらず、政治、経済、文化のあらゆる面に及んでいる……。国民の多くは政府の管理に反感を抱きながらも、シンガポールの生き残りと年々豊かになる自らの生活の代償に、管理を選んだのではあるまいか……。国際社会での生き残りと経済成長のために、さまざまな分野に及ぶ国家の管理体制を担ったのは、リー・クアンユー一家に代表されるようなエリートたちであった……。したがって、限られた唯一の資源である国民のなかから、いかにして優秀な頭脳を選び、育てていくのかが、シンガポールの生存と不可分とみなされたのも理解できよう。――本書より
パブリック・スクール-英国式受験とエリート
パブリック・スクール-英国式受験とエリート
著:竹内 洋,装丁:杉浦 康平,装丁:佐藤 篤司
講談社現代新書
過熱しない英国式受験のシステムを分析し、エリート生産装置パブリック・スクールの支配の秘密とその変容を解読。 英国エリートの本流=パブリック・スクール人――こうしてみてくると、英国のほうが日本よりはるかに学歴の社会的地位規定力が大きい学歴社会にみえる。またわれわれ日本人にはパブリック・スクールは灘や開成のような六年制進学私立校に、オックスブリッジは東大や京大にみえてくる。だとしたら、なぜ英国で日本のようなはげしい受験競争がおこらないのだろうか。パブリック・スクール、オックスブリッジへむけてのわれもわれもの入学競争がおきないのか。むろん英国でもパブリック・スクールや大学受験はそれなりに深刻ではある。大学受験のための受験予備校に似た学校もある。だがこうした予備校も夏は休暇でのんびりムードだ。日本のような過熱状態にはない。不思議になってくる。――本書より
魔法の世界の子どもたち <いい子>育ての落とし穴
魔法の世界の子どもたち <いい子>育ての落とし穴
著:高辻 玲子,装丁:杉浦 康平,装丁:佐藤 篤司
講談社現代新書
魔術的世界に棲む幼児の声を親はどう聞くか「おおらかに育てたい」という親の願いと行動がなぜ裏目に出るのか。フレイバ-グの理論を引きつつ、大人の世界観に立脚した合理的科学的育児の問題点を考える。
ナチス裁判
ナチス裁判
著:野村 二郎,装丁:杉浦 康平,装丁:佐藤 篤司,装画:国米 豊彦
講談社現代新書
ユダヤ人死者600万をはじめとする、史上最悪の戦争犯罪はいかになされたか? 全世界からの囂々(ごうごう)たる非難の中、ドイツはいかに自らを裁いたか? 日本との比較は? 10万におよぶ容疑者の追及、時効の壁との闘い、民間追跡者の執念、「上官の命令」と良心の問題――など、法廷・議会で闘わされた激しい論争を通し、巨大な戦争犯罪とその裁きの全貌に迫る。 ドイツと日本の差――戦争犯罪の処理について、日本とドイツの違いは、すでに記述したように日本は連合軍による裁判ですべて終わり、ドイツはドイツ人自らも容疑者を裁いてきたことだ。曲折はあったが、ナチスが犯した過去の事実を改めて見つめ直し、論議をたたかわせ、深刻、重大な事態の認識を深めながら処罰、一方で被害を与えた諸国に謝罪し、償いをしてきたのである。……いつまでも過去の古傷にさわられるのは、当事者にとって重苦しく実につらいことである。また、法的、政治的責任を果たすのは問題処理の重要な方法である。しかし、それでもなお、正当な根拠をもち、戦禍の痛みがいやされない人々がいる限り、勇気をもって古傷にふれ、誠実な対応をすることは大切な道義だ。ナチス戦争裁判の法廷には、犯罪行為を裁きながら、人間社会の道義をわきまえたドイツの人々の苦悩と勇気と誠実さがあった。――本書より
「日本人英語」のすすめ
「日本人英語」のすすめ
著:グレン・サリバン,装丁:杉浦 康平,装丁:赤崎 正一,装画:タイガ- 立石
講談社現代新書
「日本人英語」は世界へのパスポート。その意外な表現力に着目し、英米人英語のもつ世界観を逆照射。「地域語」としての英語を発見し自分のものにするユニークな英語論! 日本人英語の開放表現性――to、about、through、withの選択肢の中からどれかを選ばないと、文法的な欠陥が残って、英米人に不快感を与える。しかし、前置詞を入れることによって、文にある一定の意味が限定され、イメージの広がりは損なわれる。英文コピー制作者とそれを目にした読者を、自由な形で結んでいたコミュニケーションは、前置詞のルールに応じるだけで、あるひとつのイメージに限定され、読者の想像の扉は固く閉じられてしまう。……限定したイメージに閉じ込められる、英米語の「閉鎖表現性」。複数のイメージを、読者がそれぞれの好みに対応して描き出せる、日本人英語の「開放表現性」。日本人英語の中には、英米語とは一風変わったさまざまな表現力が、まだ静かに眠っているのではないだろうか。――本書より
エイズの常識
エイズの常識
著:宗像 恒次,装丁:杉浦 康平,装丁:赤崎 正一,装画:山本 匠
講談社現代新書
日本人はエイズとどう付き合ったらよいのか世界の成人人口370人に1人が感染している“現代の黒死病”エイズ。感染の経路、予防方法、エイズ差別の問題などを元WHOエイズ世界対策研究顧問がリポート
大乗経典を読む
大乗経典を読む
著:定方 晟,装丁:杉浦 康平,装丁:赤崎 正一
講談社現代新書
主要経典を繙き、大乗仏教の真髄を味わう。菩薩たちが討論を展開する『阿闍世王経』、維摩居士の病気をめぐって仏説が語られる『維摩経』など、著者独自の翻案により大乗経典の説く智恵と慈悲の思想を読む
錬金術  宇宙論的生の哲学
錬金術  宇宙論的生の哲学
著:澤井 繁夫,装丁:杉浦 康平,装丁:赤崎 正一
講談社現代新書
認識の1つの型としての錬金術──それは、地中海的な知であり、コスモロジー、象徴性、一元性を秘めた有機的汎生命論的な営為であった。近代知を脱構築する可能性をそのなかに探る。
超国家EC―ヨーロッパ合衆国への道
超国家EC―ヨーロッパ合衆国への道
著:横山 三四郎,装丁:杉浦 康平,装丁:佐藤 篤司,装画:国米 豊彦
講談社現代新書
EC統合から欧州連合への道筋を読み解く。世界最大の単一共同市場の創設にこぎつけたECは、統一通貨発行と政治・外交面での統合に向けて、次のステップに突入した。欧州連合への歩みと今後の展開を探る
「気」で観る人体-経絡とツボのネットワーク
「気」で観る人体-経絡とツボのネットワーク
著:池上 正治
講談社現代新書
「気」の発生するポイントとしてのツボ。五臓六腑を結んで「気」が流れるコースとしての経脈と絡脈。驚異の精密さで体系化された中国医学による人体観を平易に解説する。 「経絡」とは何か――道路に幹線と支線があるように、人体を流れる「気」のコースにも、大小があるという。太い幹線のことを「経脈」という。略して経とだけいうこともある。人体には12本の太い経脈があり、「十二経」と総称する。これらの各経は、体内の臓ないし腑と直接的な関係をもち、経と臓(ないし腑)との関係を「属(ぞく)す」という。いっぽう、細い支線にあたるのが「絡脈」であり、経脈から派生したものである。絡とだけよぶこともあり、合計すると15本の絡脈がある。「経絡」とは、「気」の流れる大小の脈を総称したもので、経絡学説は中医学の基礎理論のひとつである。――本書より
魔女と聖女 ヨ-ロッパ中・近世の女たち
魔女と聖女 ヨ-ロッパ中・近世の女たち
著:池上 俊一
講談社現代新書
イヴ=魔女とマリア=聖女。蔑視と崇拝の呪縛のなかで女はどう生きたか。「魔性」と「聖性」をキーワードに中・近世を読み解く。 魔性と聖性――よく知られていないことだが、魔女が誕生し、魔女狩りが盛行しだした中世末から近世はじめにかけては、その美徳と超自然力の行使ゆえに称えられ崇められた聖女も同時に増加したのである。……どうして女性をつぎからつぎへと火刑台にのぼらせるのに必死になっていた時代に、多くの女性が聖女として讃仰されることになったのであろうか。不思議なのは時期がかさなることだけではない。魔女の超自然力と聖女の超自然力をよく観察してみると、非常ににているのである。それは裏返しの関係にある。……一体、ヨーロッパ人は、どうしてかくも極端な女性嫌悪と女性崇拝を並存させることができたのか。そして、それは現実の女性にどんな影響をおよぼしたのか。……本書では、より極端な観点から、ヨーロッパ中世・近世の女性と男女関係を見通してみたい。それは、いってみれば、男の女にたいする偏見の歴史であり、また、その偏見に抗して女がどう生き、振る舞ったかの歴史である。本書のキーワードは、女性の「魔性」と「聖性」である。――本書より
自己愛と献身―愛するという意味
自己愛と献身―愛するという意味
著:ガラルダ・ハビエル,装丁:杉浦 康平,装丁:佐藤 篤司
講談社現代新書
「傍観者」は人を愛さない。「ニヒリスト」は人を愛さない。「彼ら」は自分自身を愛することもできない。自分の中にもある「彼ら」を克服し、交感への願いを開放すること。内なる声に応じ、自ら存在を賭けることが「親友」「恋人」を可能にする。自分の港へたどりつくための指針を示す。 サイド・バイ・サイドとフェイス・ツー・フェイス――愛し合っている男女の2人は互いに、自分が相手にとって、果たして何であろうかという質問に対する返事を、きわめて切なく待ち望んでいることであろう。相手が自分を本気で大切にしてくれているだろうか、自分が相手を本気で大切にしているだろうかというような、今の気持ちについて悩むことが非常に多いに違いない。(中略)ところが、そのことで悩むよりは、むしろ相手のために自分が何になりたいのか、相手が自分のために何になってほしいのか、力を合わせる2人が一体何を作り上げたいのか、というような目的に憧れて、そこに導くダイナミックな方向性に従っていっしょに進む向上心こそ、フェイス・ツー・フェイスに満ちたサイド・バイ・サイドの旅であり、愛の最も大事な方針なのではなかろうか。――本書より
はじめてのインド哲学
はじめてのインド哲学
著:立川 武蔵
講談社現代新書
自己と全宇宙の合一をめざし、3000年の「聖なる」思索を重ねたインド。壮大にして精緻な精神のドラマを、一巻に凝縮する。 自己が宇宙と合一する――インド精神が一貫して求めたものは、自己と宇宙(世界)との同一性の体験であった。世界を超越する創造神を認めないインドの人々が求めた「神」は、世界に内在する神、あるいは世界という神であった。一方、インドは自己に許された分際というものを知らなかった。つまり、自己は限りなく「大きく」なり、「聖化」され、宇宙(世界)と同一と考えられた。もっとも、宇宙との同一性をかちとるために、自己は時として「死」んだり、「無」となる必要はあった。しかし、そのことによって自己はその存在の重みをますます増したのである。自己も宇宙も神であり、「聖なるもの」である。自己と宇宙の外には何も存在せず、宇宙が自らに対して「聖なるもの」としての価値を与える、すなわち「聖化する」のだということを、何としても証したいという努力の過程が、インド哲学の歴史にほかならないのである。――本書より
英語小論文の書き方―英語のロジック・日本語のロジック
英語小論文の書き方―英語のロジック・日本語のロジック
著:加藤 恭子,著:ヴァネッサ・ハ-ディ,装丁:杉浦 康平,装丁:赤崎 正一,装画:浅沼 悌治
講談社現代新書
日本人が書く英文リポートやエッセイは、なぜ欧米人に理解されにくいのか。日本語と英語の言語感覚の差異、ロジックやレトリックの相違などを通して正確でわかりやすい英語文章の書き方を伝授する。 日本人の書いた英語リポートは“雲”――言語表現についての日本人の文化的伝統と西欧人のそれはかなり違う。これが違えば、日本語ではよいとみなされるエッセイなり小論文なりをそのまま英訳しても、それがそのまま英語としてのよい作品にならないことは明瞭であろう。たとえ直接英語で書いたとしても、それが英語の論理思考にのっとっていなければ、同じことである。1つずつのセンテンスが文法的に完全であることは、不完全な文を書くよりはずっとよい。だが、1つずつのセンテンスが正しいとしても、いくつか集まれば、英語的思考から見ると、「これは雲だ」というようなリポートに仕上がってしまう可能性……日本人にとって英語リポートを書くことの本当の怖しさは、この辺りにあるのである。――本書より
沖縄からの出発 わが心をみつめて
沖縄からの出発 わが心をみつめて
著:岡部 伊都子,装丁:杉浦 康平,装丁:赤崎 正一
講談社現代新書
沖縄戦に斃(たお)れた婚約者の足跡を追って訪れた沖縄の島々。その旅を通じて知った沖縄の苦難に満ちた歴史と現実、人々のまごころ。時の風化のなかで忘れがちな沖縄の心を切々と語り継ぐ、感動の記録。
大聖堂のコスモロジー―中世の聖なる空間を読む
大聖堂のコスモロジー―中世の聖なる空間を読む
著:馬杉 宗夫,装丁:杉浦 康平,装丁:赤崎 正一
講談社現代新書
そびえ立つ尖塔、内部に広がる一大空間。中世ヨーロッパのキリスト教信仰の深まりの中、刻まれ、組み上げられた石の構造物は神の国を表出する。ロマネスクゴシックを中心に美しき大聖堂に込められた意味を読む。
自分を生かす自己催眠法
自分を生かす自己催眠法
著:生月 誠,装丁:杉浦 康平,装丁:佐藤 篤司,装画:久里 洋二
講談社現代新書
暗示を受け入れやすい態勢を整えて、プラスの方向へと意識を方向づける――この効果的なセルフコントロール法を提示。 自己催眠とセルフコントロール――悩みの克服や能力開発を自分で行なおうとする際、自分はこういう人間だ、自分の能力はここまでだというこり固まった意識があって、それが大きな障害となることが多い。このこり固まった意識そのものの働きをやわらげるのが、自己催眠の大きな特徴である。また、意識はマイナスの方に理屈抜きで固まることもあるが(自分は駄目なんだと思う)、プラスの方に理屈抜きに向くこともある(自分はやれると思う)。このように理屈抜きに思い込んで、そのように反応する現象は暗示と呼ばれるが、自己催眠では、暗示の受け入れ態勢を整えて、プラスの方向へと暗示を行なう。マイナスの意識を弱め、プラスの方へ意識を向け、効果的にセルフコントロールを行なうところに、自己催眠の大きな特徴がある。――本書より
パブ・大英帝国の社交場
パブ・大英帝国の社交場
著:小林 章夫,装丁:杉浦 康平,装丁:佐藤 篤司
講談社現代新書
大英帝国を覆った民衆社交場の三百年を読む大英帝国発展とともに村の集会場から娯楽場、さらには政治・商業の拠点にも。労働者から作家にまで愛されたイギリス人の心の故郷の変遷を追い英国文化を捉え直す
イメージ体験の心理学
イメージ体験の心理学
著:田 誠一,装丁:杉浦 康平,装丁:佐藤 篤司,装画:山本 匠
講談社現代新書
心身のうごきから思考・知覚にまで大きく関わるイメージ。その特徴と癒しの機能を解明。 からだの声を聞く――自分にとって不健康な習慣をやめられないのは、頭だけで無理やりやめようとするからである。不健康な習慣というものは、からだは嫌がっている。浅いレベルでは一見そうではないようでも、もう少し深いレベルでは嫌がっている(さらにいえば、やめている時からだは喜んでいる)。それを十分に感じられるようになれば、割合すんなりとやめられるものである。そして、イメージはからだの声を聞けるようになるための媒介として活用するのがよい。タバコを吸いたくなった時にせよ、太りそうなものを食べたくなった時にせよ、からだが嫌がっている感じを、イメージを使ってサッと感じるようにする。そうすると、スーッとそういう気持ちがうすらいでいくものである。――本書より