講談社現代新書作品一覧

ゴリラとヒトの間
ゴリラとヒトの間
著:山極 寿一,装丁:杉浦 康平,装丁:赤崎 正一,その他:山本 匠
講談社現代新書
「狂暴で残忍な」ゴリラは、穏和な森の住人だった。胸叩き(ドラミング)の見事な様式美。ストイックな視線の会話。多様な行動文法を読み解き、類人猿から人への進化を探る。 平和共存の儀式的行動――相撲と胸叩きが異なるのは、前者が闘いを必然としているのに対し、後者が闘いを避けることが前提であるということだ。そのため、相撲では仕切りは両者がぶつかり合うための前奏として重要である。それぞれの儀式化された美しい動作は、むしろ両者の力を抑え、闘う意思を統制し、一瞬の立ち合いをうまく合わせることへ集中する。一方ゴリラでは、ディスプレイが架空の闘いを演出する。両者は代わる代わる胸を叩いてクライマックスに達し、異なる方向へ突進して闘う意欲を相互に外すことに重点が置かれる。闘いに至れば、ゴリラのオスは死を賭した真剣勝負をしなければならない。相撲のように、体に土がついたり、どちらかが土俵を割った時点で勝負が決まるということはない。ゴリラのシルバーバックたちは、ディスプレイの中で燃え尽き、闘いや攻撃に発展することなく興奮を静める術を進化させたのである。――本書より
看護婦の現場から
看護婦の現場から
著:向井 承子,装丁:杉浦 康平,装丁:赤崎 正一,その他:高橋 常政
講談社現代新書
一刻を争う救命救急医療から、ターミナルケアまで、医療の最前線で生命の尊厳と向きあう看護婦たち。深夜勤務、密度の濃い労働、恵まれない待遇など、知られざる看護の実態と、揺れ動く医療制度にメスを入れ、よりよき看護と介護のあり方をさぐる現場からの報告。 「よい看護」とは――「自分の問題」として看護を受けとめてみる時、いま一度、私たちは看護の内容を何も知らず、また知らされてこなかったことに気がつくのである。看護婦さんたちは、どんな現場で具体的に何をしているのか。患者は、どんなことをしてもらえるのか。患者の側も、それをイメージとしてつかんで、世の中に声を出してもいいのではないか、と思った。と言いつつ、私たちはイメージをつくり出すための資料をほとんど持っていない。知らされてこなかった、と言ってよい。ここまで考えて、私は、とにかく看護の現場を歩いてみようと思い立った……。いわば、「よい看護」探しである。「よい看護」ができる条件はなんなのか。看護婦さんたちが「よい」と思うことは、患者にとっても「よい」ものであるのか。そして「悪い看護」と言われるところに横たわる事情はなんなのか。とにかく、現場に立ち、考えてみることにしてみた。――本書より
新版・経済指標を読みこなす
新版・経済指標を読みこなす
編:朝日新聞経済部,装丁:杉浦 康平,装丁:赤崎 正一,その他:浅沼 テイジ
講談社現代新書
経済の実態と変化を50のデ-タから読取る有効求人倍率、住宅着工統計、日銀短観、貿易統計などの基礎的な経済数字から、日本経済の全体像、さらには変化の予兆を読みとる方法を分かりやすく伝授する一冊
トウ小平
トウ小平
著:矢吹 晋
講談社現代新書
「赤い資本主義」を生んだ現実主義者の素顔中国共産党を育てた革命家。三度の失脚から復活した不倒翁。民主化運動を弾圧した独裁者。そして、「赤い資本主義」を生んだ改革者。中国最高権力者の生涯と思想
墓と葬送の社会史
墓と葬送の社会史
著:森 謙二
講談社現代新書
村はずれに捨てられ、粉砕された死体・遺骨。それが納骨・墓詣りの習俗へと変化したのはなぜか。祖先祭祀の象徴であった墓が、その存在自体を拒否されつつある現代的側面も含め、死者管理の歴史展開を眺望する。 火葬禁止令の背景――火葬禁止は、1873(明治6)年7月18日。太政官布告第253号「火葬ノ儀自今禁止候條此旨布告候事」という短い布告によっておこなわれる。『太政類典』のなかに、どのような経過を経て火葬禁止令が制定されたかについて述べられている。(中略)すなわち、火葬の是非は別として、千住駅近くの俗に火葬寺と呼ばれる地及び深川の霊岸寺、浄心寺等において火葬場を設けているが、死体の焚焼による煙と悪臭がひどく、人々の健康を害し、不潔であるとする。これらの寺だけではなく、人家接近の地で火葬することはよくないのでこれを禁じ、悪臭が人家に届かない地を測り、火葬場を設けるように高議のうえその筋と相談をしてほしいというのが、警保寮の、伺いの内容であった。(中略)警保寮の上申にたいして、太政官庶務課の回答が寄せられるのは5月29日である。この回答では、火葬は「浮屠(浮図(ふと)=仏僧)ノ教法ニ出テ、野蛮ノ陋躰ヲ存シ惨劇ノ甚敷(はなはたしき)モノニシテ人類ノ忍ヒ難キ処」と規定したうえで、火葬場の新規替え地を認めるとするならば、火葬を公認することになるので、火葬を禁止すべきだとした。――本書より
ハプスブルク家の女たち
ハプスブルク家の女たち
著:江村 洋
講談社現代新書
王朝の歴史を彩った皇妃・皇女たちの群像。「美公」の妻と妹の歩んだ人生の明暗。貴賤結婚の苦難に耐えた大公妃。政治にも及んだ嫁姑の確執。時代を見失った最後の皇后。女たちの生きた、もう一つの帝国史。(講談社現代新書) 王朝の歴史を彩った皇妃・皇女たちの群像。「美公」の妻と妹の歩んだ人生の明暗。貴賤結婚の苦難に耐えた大公妃。政治にも及んだ嫁姑の確執。時代を見失った最後の皇后。女たちの生きた、もう一つの帝国史。
電子あり
「欲望」と資本主義-終りなき拡張の論理
「欲望」と資本主義-終りなき拡張の論理
著:佐伯 啓思
講談社現代新書
資本主義の駆動力は何なのか。ゆたかさの果て、新たなフロンティアはどこに求められるのか。差異・距離が生み出す人間の「欲望」の観点から、エンドレスな拡張運動の文明論的、歴史的な意味を探る。(講談社現代新書) 豊かさの果てには何があるのか? 本書は冷戦期の終焉時に書かれた。 冷戦の終わりとは「資本主義の勝利」を意味するものであった。 社会主義という資本主義の「歯止め」がなくなったあと、資本主義はどこにいくのか? こうした問題意識から「欲望」をキーワードに、 資本主義の文明論的・歴史的な意味を探る本書は生まれた。 本書が書かれてから、20余年、 幾度のバブル崩壊を経ながらも、 さらに拡張を続けようとするグローバル資本主義。 しかし昨今の不安定な動きを見ていると、 いま人類のやるべきことは、この拡張運動を延命させることではなく、 運動に歯止めをかけるなんらかの仕組みをつくることではないか? 本書はそのためのヒントを示し、 いま私たちが生きる世界を考える重要な視点を与える一冊。
電子あり
バイオサイエンス入門 生命現象の不思議を探る
バイオサイエンス入門 生命現象の不思議を探る
著:藤本 大三郎,装丁:杉浦 康平,装丁:佐藤 篤司
講談社現代新書
遺伝子組み換えメロン、クローン牛、遺伝子治療……作物、食品、医療などさまざまな分野に応用され、日々進展するバイオの世界。生命現象の担い手としてのDNA、RNA、タンパク質の精緻なはたらきを軸にバイオのメカニズムを平易に解説し、その可能性と問題点を考える。 「生きている」ことの源――いまから100年ぐらい前までは、生物は、無生物とちがって魂をもつ特別な存在だと考えられていた。つまり、「生きている」ことは、物質だけではとうてい説明できない。いいかえると、物理学や科学の法則と知識では説明できない存在であると考えられていた。しかし、この100年あまり、とくに20世紀の後半には、生命の理解は急速に進んだ。いまでは、生物の働きや性質は、核酸(DNA RNA)とよばれる巨大な分子と、タンパク質というこれまた巨大な分子の働きと性質によって、その大筋は理解できるようになった。地球上のあらゆる生物は、すべて核酸とタンパク質をもっている。このことは、地球の上のすべての生物が、お互いに親類であり、共通の祖先をもっていることを示している。――本書より
アメリカン・ヒ-ロ-
アメリカン・ヒ-ロ-
著:松尾 弌之,装丁:杉浦 康平,装丁:佐藤 篤司
講談社現代新書
巨大国家アメリカの夢が、幾多のヒーローを生んだ。強力なカリスマの大親分(ビッグ・ボス)、大自然と対話する聖者から、大富豪、知の巨人、冒険者まで。50人のヒーローから、民衆たちの熱い魂(アメリカン・スピリット)を読む。 “移民がつくった国家”のヒーロー――移民たちは、それぞれの想いに取りつかれて新大陸に向かった。ある願いを内に秘めて海を渡ったのである。……さまざまな思惑が渦巻く移民たちの想念がつくりあげた国では、精神作用が大手をふってまかり通る。人生かくありたい、あるいはかくあるべきだという思いは、遠慮なくその姿をととのえていく。ある人物が何かの理由で他人よりもぬきんでる時、その人物に自分自身を重ねあわせて、「その通りだ」と肯定する作用が容易にはたらくものである。アメリカに住むさまざまな人間たちが、心のなかに抱いているエネルギーのベクトルは多様ではあるが、それでも時間がたつにつれて、束ねられまとめられていろいろな顔をもったヒーローたちが誕生していった。――本書より
マイクロマシン 驚異の極微技術
マイクロマシン 驚異の極微技術
著:那野 比古,装丁:杉浦 康平,装丁:赤崎 正一
講談社現代新書
産業・医療を一変させる極微技術のすベて。開腹なしの手術、原発等の巨大技術のメンテナンスに応用される直径1ミリ以下の機械、マイクロマシン。21世紀キ-テクノロジ-となるこの新技術の可能性を概観
レギュラシオン理論-経済学の再生
レギュラシオン理論-経済学の再生
著:山田 鋭夫,装丁:杉浦 康平,装丁:赤崎 正一
講談社現代新書
危機ごとに姿を変える資本主義を、どうとらえるか? 最新鋭理論〈レギュラシオン〉は、人間を取り巻く「制度」に着目、そこに働く「調整」(レギュラシオン)を通じて資本主義を透視する。ケインズ、マルクスの遺産を乗り超えフランスで誕生した、21世紀の経済学を易しく説き明かす。 経済の「変化」をとらえる――問題は、経済の「変化」をどう説明するからである。しかもその変化を、個々的にでなく総体的に、そして歴史的にでなく理論的に、だがしかし、いわゆる純理論的にでなく歴史に開かれた理論として――そういうものとして「歴史理論的」にとらえてみたというのが、私の長年の願いであった。静態的な経済学でなく、いわば「可変性の経済学」を探しもとめていたのである。加えてその経済学は、理論のための理論でなく、われわれふつうの市民が使える道具として役立ってくれるものでなければ意味がないのである。そんな私にひとつの大きな啓示をあたえてくれたのが、レギュラシオン理論であった。――本書より
冤罪はこうして作られる
冤罪はこうして作られる
著:小田中 聰樹
講談社現代新書
無実の者が、ある日突然に「犯人」にされる。警察はなぜ「犯人」を作り出すのか。裁判官はなぜウソを見抜けないのか。見込み捜査、別件逮捕、代用監獄から、裁判官への統制、弁護人の無力化まで、今も冤罪を生み続けている日本の刑事司法の構造的欠陥をえぐる。(講談社現代新書) 無実の罪を生み出す刑事司法の構造的欠陥。ある日突然に「犯人」にされる恐怖。見込み捜査、別件逮捕、代用監獄から、裁判官への統制、弁護人の無力化まで、冤罪を生み出す刑事司法の構造的欠陥に迫る。
電子あり
パリ・コレクション モードの生成・モードの費消
パリ・コレクション モードの生成・モードの費消
著:深井 晃子,装丁:杉浦 康平,装丁:赤崎 正一
講談社現代新書
見せ、見つめ、求め、提供するモードの祭宴。偉大な仕立師(クチュリエ)ウォルト以来、パリの各メゾンが生み出したオートクチュール・プレタポルテの繚乱を追う。 ビジネスの手段としてのパリ・コレ──パリ・コレと呼ばれているのは、パリで一定期間に行なわれる、そうしたデザイナーたちのショーの集合体である。たとえば93年秋冬のシーズンに行なわれたショーは少なくとも80以上はあった。これをほぼ1週間という期間のうちに、もっとも集約的に、効率的に見せるために、パリが生みだし、長い時間のあいだにいきついた1つの形が、パリ・コレ、すなわちパリ・コレクションである。その目的は、きわめて明快だ。デザイナーの主義主張──それは、創造性であることもあり、新しい流行の提案、あるいは人目を引きつけるノウハウであったりする──を訴えると同時に、それをビジネスとして展開していく、ことにある。したがって、パリ・コレに招待される主な客は、ジャーナリストとバイヤー(仕入担当者)、そして重要な個人客である。つまりパリ・コレは、基本的にプロのために行なわれるものなのである。──本書より
「別れ」の深層心理
「別れ」の深層心理
著:森 省二,装丁:杉浦 康平,装丁:佐藤 篤司
講談社現代新書
会ウガ別レノ始メ……といい、サヨナラダケガ人生……という。生きていくうえで避けることのできない別れは、望んだものであれ強いられたものであれ、心を大きく揺り動かす。その悲しくも豊かさに満ちたドラマの内面を探る。 「別れ」の意識――別れが「別れ」として強く意識されるということは、どういうことだろうか。それは、その人物や動物、その場所や物が強く愛情を寄せていた対象だからに他ならない。もし愛情を寄せていなければ、物理的に別れたとしても、決して「別れ」として意識されないだろう。つまり、別れとは愛する対象を失うことである。その強さは対象に寄せる愛着の強さに比例するのである。別れは、受動的であれ、能動的であれ、主体の体験として起こる。しかし、その体験が必ずしも意識的とは限らない。本人が気づかぬままに起こって、後に心に大きな影響を及ぼすこともある。たとえば、しばしば親子間や夫婦間で見られるが、同じ屋根の下で暮らしているのに、いつの間にか心が離れ離れになってしまっているような関係は、別れが本人の気づかない間に起こっているといえるだろう。――本書より
南方熊楠を知る事典
南方熊楠を知る事典
著・編:松居 竜五,著・編:月川 和雄,著・編:中瀬 喜陽,著・編:桐本 東太,装丁:杉浦 康平,装丁:佐藤 篤司
講談社現代新書
博物学、民俗学、性愛学、粘菌学、語学、エコロジー。自在に横断した広範な領域。学問で、人生で、さまざまに関わった人々や同時代人たち。奔放で骨太な、著述群。キーワード、人名、著作解題──200の項目で多彩に読み解く「南方熊楠」の全体像。 博物学──プリニウスから寺島良安に至るまで、南方の愛好した博物学者は、つねにその当時のさまざまな知識を総合化しようとしていた人物であった。……彼らの著作の中には、動植鉱物の客観的な性質の記述と共に、それらに関する伝承やイメージがふんだんに含まれており、その意味でそうした作品群は、自然科学書でありながら、同時にフォークロアの集積であり、さらに行動心理学、はては文学書としても読み得るものとなっている。博物学、Histoire Naturelleとは、まさに自然(Nature)をとらえるためにに人々が編み出してきたさまざまな種類の物語(Histoire)の集積だったのである。……物質のみにこだわる自然科学でもなく、心のみにこだわる精神主義でもない新しい学問方法の創造。南方はそうした自らの学問態度を「事(こと)の学」と呼んでいるが、博物学という名において蓄積されてきた知識こそは、その「事の学」の格好のフィールドだったのである。〔松居竜五〕──本書より
安楽死と尊厳死  医療の中の生と死
安楽死と尊厳死  医療の中の生と死
著:保阪 正康
講談社現代新書
人は死を選択する権利を持ちうるのか。終末期医療と「尊厳ある死」のはざまで死の受容を考える。 「尊厳」とは何か――簡単な疑問では、「安らかに死ぬ権利」というのは、肉体的にか精神的にか、それとも社会的にか経済的にか、という側面で異なってくる。ある人は肉体的にといい、またある人は精神的にとなる。尊厳の意味が異なってくるのだ。(中略)たとえば、老人病院の狭いベッドに寝たきりにされ、腕には点滴の注射をうたれ、膀胱カテーテルも挿入され、人口延命装置に囲まれて生命を保っている老人患者がいたとしよう。すでに意識も曖昧になるときがある。かつては社会的に活動したであろうこの老人も、見た目には「生ける屍(しかばね)」である。この老人患者には、「人間としての尊厳」が失われている。延命だけの医療はやめるべきだと、私は思う。しかし、この老人患者自身は、たとえそういう状態であっても、別に「自分には尊厳は失われていない」と考えているかもしれない。――本書より
馬車の文化史
馬車の文化史
著:本城 靖久,装丁:杉浦 康平,装丁:佐藤 篤司
講談社現代新書
商売のため、恋のため、南へ北へ馬車は走るモーツアルトの天才は旅によって磨きがかけられ、カザノヴァは恋と冒険のため縦横無尽に走り続けた。鉄道以前・自動車以前の馬車による旅の楽と苦と快をつづる。
酒池肉林~中国の贅沢三味
酒池肉林~中国の贅沢三味
著:井波 律子,装丁:杉浦 康平,装丁:赤崎 正一,装画:中川 恵司
講談社現代新書
中国の厖大な富が、大奢侈となってふり注ぐ。後宮3000の美女、甍を競う巨大建築から、美食と奇食、大量殺人・麻薬の海、精神の蕩尽まで。3000年を彩る贅沢三昧オンパレードにもう1つの中国史を読む。 人乳で育てたブタがうまいか?――こうした文字通りの消費に血道をあげる傾向は、次の王済のエピソードにも如実にあらわれている。武帝(司馬炎)がある時王済の家に行幸したところ、王済はごちそうを出すのに、すべて瑠璃の器をつかい、100人余りの侍女はみなうす絹のズボンと上着を身につけ、飲食物を手で捧げもった。蒸したブタがこってりとうまく、ふつうの味とちがっていたので、武帝は不思議に思い、わけをたずねた。(王済は)答えていった。「人乳を飲ませております。」武帝ははなはだ穏やかならず、食事がまだ終わらないうちに立ち去った。……乾飯や蝋燭で炊いた飯や人乳を飲ませたブタが美味だとはとうてい考えられないけれども、このように高価な素材や珍奇な材料を、燃料、塗料、飼料などとして、目につかないところで消費することこそ贅沢の神髄だと、西晋貴族は考えたのだった。卑近なたとえをあげれば、本当のお洒落は洋服の裏地に凝る、といったところだろうか。――本書より
オスとメス=性の不思議
オスとメス=性の不思議
著:長谷川 真理子
講談社現代新書
誘惑するオス、選ぶメス。華やかで激しい性行動のメカニズムは何か? 性が生まれ、男女へと進化した15億年の壮大な性の歴史を展望する。 性はなぜ誕生したか――人間の男女の関係が、芸術の永遠のテーマの一つであるように、性にまつわる諸問題も、生物学の実に大きなテーマとなっています。いったい全体、性というややこしいものがなぜ出現したのかという根本的な問題は、いまだに現代生物学の謎の1つに数えられています。また生物の世界には、性はあっても雄と雌に別れていないものや、性転換するものなど、奇妙なものが数々あります。そして、いったん雄と雌に分かれたあとは、雄と雌は、決してどんなときも仲良く手に手を取って協力して生きていくものとはならなくなりました。……本書では、どのようないきさつで性というものがこの地球上に現れ、それが出現したあとには、雄と雌の間にどのような相互交渉が持たれるようになったのか、現代の進化生物学で知られているところのエッセンスをご紹介したいと思います。――本書より
御家騒動―江戸の権力抗争
御家騒動―江戸の権力抗争
著:百瀬 明治,装丁:杉浦 康平,装丁:赤崎 正一
講談社現代新書
新しい視点でとらえた歴史の中の権力抗争。伊達騒動、加賀騒動、黒田騒動など、江戸時代に多発した藩政をめぐる権力抗争。家督相続や身分秩序がはらむ矛盾、武家政治のモラルの変遷を通して描く江戸裏面史