GNP大国になる日本 円高で所得収支60兆円の2022年

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GNP大国になる日本 円高で所得収支60兆円の2022年

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 円高を逆手にとって世界を買い占めろ! 基軸通貨を捨て長期低落状況にあるドル、加盟国の財政破綻でユーロ危機も続く。だったら今後もつづく円高を活かして海外の株や金融商品に投資、これらからの収益を拡大するのだ。モノづくりがアジアに移行するなか日本の貿易黒字も減り続けるが、投資の収益たる所得収支が膨大なものになり、経常収支はピカピカの黒字に。世界一の金持ち国家になる!


 超円高は日本経済の復活の絶好の大チャンス! 衰退産業の退出と成長産業の台頭が急激に促進されるからである。輸出産業も本当に国際競争力のある最先端の製造業が生き残る。しかも、地球環境と人間にやさしく、災害に強い経済・産業システムに大転換していくことになる。
 したがって、日本は、これからは、輸出で生きていくことはできない。通常のものづくりは、韓国や中国などが主流になるからである。新興国の台頭で、貿易収支は、そう遠くない将来に赤字に転換するのは仕方のないことである。しかしながら、経常収支は黒字を維持できるようにしなければならない。そのためには、海外に投資した金融商品からの収益を拡大する。投資による収益の授受が所得収支であるが、これが大幅な黒字になり、貿易収支の赤字よりも多くなければ、経常収支は黒字になる。
 膨大な貿易赤字をかかえるアメリカも、所得収支では膨大な黒字を記録している。大規模に海外への投資をおこなって、膨大な利益をえているからである。日本のように海外投資といえばアメリカ国債、などというものではなく、株式などのリスク資産に投資している。日本も超円高がつづいている間に、為替介入によって大規模に米ドルやユーロを買い入れ、その米ドル・ユーロ資金で世界の株式を買いまくる必要がある。
 外貨準備を現在の一〇〇兆円規模から五〇〇兆円まで引き上げ、個人金融資産の五〇〇兆円と併せて一〇〇〇兆円あれば、世界の株式の五〇%を買い占めることができる。もちろん、無用な軋轢を生まないよう相手企業の支配権を獲得してはならない。そこで、一社あたり五〇%未満とする。世界の株式時価総額は、円高と世界同時株安によって下落しているものの、円換算で四〇〇〇兆円くらいある。一〇〇〇兆円あれば、世界の時価総額の半分二〇〇〇兆円、約五〇%を取得できる。
 そして、外貨準備五〇〇兆円を政府系ファンド(SWF)として五%で運用できれば、年間二五兆円の国庫収入、個人金融資産五〇〇兆円を五%で運用すれば二五兆円の運用益、これに二〇%の税金を課せば五兆円の国庫収入。合計で、じつに三〇兆円の国庫収入となる。この国庫収入を一〇〇〇兆円の政府債務残高の「自然消滅」用につかえばいい。政府債務は、民間での方式である債務の株式化(DES)を利用して、債務から「自己資本」に転化して「消滅」させるのだ!


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目次

はじめに――超円高は日本復活の大チャンス
第一章 一ドル七〇円時代の日本社会
第二章 世界最低の中央銀行がつくる不況
第三章 超円高で二〇年デフレ終息
第四章 世界の株式の五〇%を獲得する日本
第五章 一〇年で消滅する財政赤字
むすび――これからの日本の武器

書誌情報

紙版

発売日

2012年04月13日

ISBN

9784062175067

判型

四六

価格

定価:1,650円(本体1,500円)

ページ数

242ページ

電子版

発売日

2013年06月07日

JDCN

0621750600100011000S

著者紹介

著: 相沢 幸悦(アイザワ コウエツ)

相沢 幸悦(あいざわ・こうえつ)  1950年、秋田県に生まれる。埼玉大学経済学部教授。経済学博士。1978年、法政大学経済学部卒業。1986年、慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了。日本証券経済研究所主任研究員、長崎大学経済学部教授を歴任。  著書には、『アメリカ依存経済からの脱却』(NHKブックス)、『品位ある資本主義』(平凡社新書)、『反市場原理主義の経済学』(日本評論社)、『平成大不況 長期化の要因と終息の条件』『現代資本主義の構造改革 危機をいかに克服するか』『平成金融恐慌史』(以上、ミネルヴァ書房)、『日本経済再生論 ドイツの行き方に学ぶ』(同文館出版、『現代経済と資本主義の精神 マックス・ウェーバーから現代を読む』(時潮社)、『所得税ゼロで消費税「増税」が止まる世界では常識の経済学』(講談社+α新書)などがある。

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