講談社文芸文庫作品一覧

林達夫芸術論集
林達夫芸術論集
著:林 達夫,編:高橋 英夫
講談社文芸文庫
昭和の知の巨人・林達夫の遊戯神通の芸術論 戦前戦後を通し小林秀雄と比肩する偉大な批評家林達夫の文明史家としての側面を再発見する画期的試み。若き日の天稟を示す歌舞伎論から晩年のエッセイ迄21篇。
戦場の博物誌 開高健短篇集
戦場の博物誌 開高健短篇集
著:開高 健
講談社文芸文庫
アフリカ、中近東、ヴェトナムでの戦場体験を結晶化した表題作を中心に、過酷な状況を生き抜く兵士の内面の虚無を見つめた「兵士の報酬」、3日間の「正月休戦」に対岸のヴェトコン村へちっぽけな楽団でくり出す米兵士たちの様子を描いた「岸辺の祭り」、戦火の中の庶民のユーモラスな姿を綴る「洗面器の唄」、以上戦争小説4篇に、川端賞受賞作「玉、砕ける」を併録。<行動する作家>の珠玉の短篇集。 戦争下の人間の姿を感動的に描いた名作集。 ヴェトナム、中近東、アフリカでの苛酷な戦場体験の中から生み出された「戦場の博物誌」など、戦争小説5篇に、川端賞受賞作「玉、砕ける」を併録した珠玉の1冊。
なぎの葉考・少女 野口冨士男短篇集
なぎの葉考・少女 野口冨士男短篇集
著:野口 冨士男
講談社文芸文庫
私小説の絶品といわれ続けた野口文学を集成 昭和11年、暗い時代、旅の途上で出会った一人の娼婦。彼女の面影を求め、40年後再訪の旅に出るーー川端賞受賞作「なぎの葉考」を中心に珠玉の短篇八作を精選
伊東静雄
伊東静雄
著:杉本 秀太郎
講談社文芸文庫
萩原朔太郎が「日本に尚一人の詩人がある」と激賞した伊東静雄の第一詩集『わがひとに与ふる哀歌』。その詩群に魅了された著者が伝記的通説を排除し、註釈に徹した画期的詩人論。『哀歌』全篇に用心深く隠された連繋を、「私」と「半身」というふたりの擬作者に割り振り、『古今和歌集』、ヘルダーリンの詩、セガンティーニの絵に範例を求めつつ詩人の「意識の暗黒部との必死な格闘」を読み解く。 詩集『わがひとに与ふる哀歌』の画期的評釈。 伊東静雄の処女詩集全28篇に慎み深く隠された連繋を「私」と「半身」というふたりの擬作者に割り振ることで、詩人の「意識の暗黒部との必死な格闘」を読み解く。
電子あり
鳴滝日記・道 岡部伊都子随筆集
鳴滝日記・道 岡部伊都子随筆集
著:岡部 伊都子
講談社文芸文庫
「美の巡礼者」岡部伊都子の京を巡る随想集。いとはん育ちの著者は、婚約者を戦争に送った慚愧を胸に戦後を生き、暮しの細部に宿る美、哀歓を美しい言葉で綴った。土地の精霊との交感から生まれた清々しい初期随筆集! ーーふしぎなめざめにうながされて……、凍てつく土中から虫たちが這い出すように、女ひとり、戦後をつよく生きる想いを綴る「四季採譜」。大阪のこいさん育ちの著者が生涯の地・京に移り住み、暮らしの中から紡ぎ出す美しい言葉で古都の魅力を語り尽す「鳴滝日記」。古の道、ふるさとの道、露地の道を行き交う人の運命を哀切に描く「道」など4篇。豊かな感性と強靭な志の1冊。
電子あり
文士と骨董 やきもの随筆
文士と骨董 やきもの随筆
編:森 孝一
講談社文芸文庫
昭和の文士達を魅了した骨董に纏わる随筆集 青山二郎、小林秀雄、白洲正子、井伏鱒二、青柳瑞穂ら昭和の文壇を彩る文士達が、美とは何か、骨董とは何かを追求し、日本人の美意識の根源を見つめた目利き列伝
京伝店の烟草入れ 井上ひさし江戸小説集
京伝店の烟草入れ 井上ひさし江戸小説集
著:井上 ひさし
講談社文芸文庫
井上文学の原点ともいうべき虚実皮膜の9篇。権力の弾圧を首の皮一枚で躱し、強かに生きる戯作者達。洒落や地口で技巧の限りを尽くし庶民の悲哀と反骨精神を活写。単行本未収録の表題作等、才気横溢の精選集。
電子あり
コシャマイン記・ベロニカ物語 鶴田知也作品集
コシャマイン記・ベロニカ物語 鶴田知也作品集
著:鶴田 知也
講談社文芸文庫
アイヌの精神と歴史を描破した名作を再発見 アイヌの若き部族長の和人との戦いとその死を叙事詩的文体で描いた芥川賞受賞作「コシャマイン記」を中心に珠玉の北方文学作品を精選。今甦る鶴田知也とその文学
西鶴の感情
西鶴の感情
著:富岡 多惠子
講談社文芸文庫
商都大坂、銀(かね)が銀(かね)を生む世の実相と、色と欲に翻弄される人たちの生態をリアルに描いた井原西鶴。伝記もなく、ほとんど知られざるその実像を、作品の行間から、また同時代の遊女評判記などから鮮やかな手付きで攫みだし、西鶴が生きた「時代」と「場所」を臨場感たっぷりに現前させる。中勘助、釋迢空など、評伝に新境地を拓いた作者の批評精神が最高度に発揮され、伊藤整文学賞、大佛次郎賞両賞を受賞した傑作。 。 西鶴は俳諧師から身を起し、後に浮世草子の作家になったという通説を見事に覆し、西鶴が生きた時代と場所を臨場感溢れる描写で追体験。評伝に新境地を拓く傑作!
電子あり
世界文学「食」紀行
世界文学「食」紀行
著:篠田 一士
講談社文芸文庫
文芸のグルマンが贈る、美食を巡る文学の旅 博覧強記の著者が、古今東西の名作に描かれた美味・珍味・佳肴を選び、味わいつくす。読者を洗練された生の充実の時へと誘う、口腹の楽しみを集めたアンソロジー
日本近代文学の起源 原本
日本近代文学の起源 原本
著:柄谷 行人
講談社文芸文庫
「歴史主義的普遍性」の基盤を大胆に覆す鋭い知性。新たな思考の視座を極めて丹念に布置・構築して行く、最も現代的な「知の震源」柄谷行人の、鮮やかにして果敢な挑戦。名著『マルクスその可能性の中心』につづく柄谷思想の原点となる歴史的快著。
電子あり
台風の眼
台風の眼
著:日野 啓三
講談社文芸文庫
悪性腫瘍の手術後、作家は最後になるかもしれない小説を書きはじめる。自分が確かに生きていたと思える、記憶に深く刻み込まれた情景をつなぎとめながら。世界というものをふいに感じた4歳の頃の東京・赤坂、小学時代を過ごした植民地・朝鮮の田舎町、京城の中学時代、焼け跡の中の旧制高校、特派員として赴いたソウル、そしてサイゴン。自伝と小説の間を往還するように描かれた、新しい試み。 鮮烈なイメージを喚起する新しい自伝の試み。幼少年期の赤坂、小中学生を過ごした植民地朝鮮、焼跡の大学、特派員として赴いたソウル、サイゴン。記憶に深く刻まれた情景を織り上げ、今も息づく過去を辿る。
電子あり
わが美的洗脳 大岡昇平芸術エッセイ集
わが美的洗脳 大岡昇平芸術エッセイ集
著:大岡 昇平
講談社文芸文庫
14歳、初めて聴いたベートーヴェン「第五」に一撃を喰らい、26歳、スタンダールの手引きで出合った「フィガロ」に震駭、熱烈なモーツァルティアンに。その音楽の魅力を音符にまで遡って究めんと50歳を過ぎてピアノと作曲法を学ぶ――。音楽は単なる趣味を超えて、その人生と文学に霊感を与え、更なる真摯な探求に彼を駆り立てた。音楽、映画、演劇等、芸術随想46篇に、武満徹、吉田秀和との対談を併録。 モーツァルトさえあればよかった! 生誕100年。大岡芸術論の精華 14歳、初めて聴いたベートーヴェン「第五」に一撃を喰らい、26歳、スタンダールの手引きで出合った「フィガロ」に震駭、熱烈なモーツァルティアンに。その音楽の魅力を音符にまで遡って究めんと50歳を過ぎてピアノと作曲法を学ぶ――。音楽は単なる趣味を超えて、その人生と文学に霊感を与え、更なる真摯な探求に彼を駆り立てた。音楽、映画、演劇等、芸術随想46篇に、武満徹、吉田秀和との対談を併録。 齋藤愼爾 私は時に想像する。小林秀雄や大岡昇平が竹針を削り、蓄音機のレバーを交々廻し合った熱っぽい青春を。「己れを空しくして、ひたすら音を聴くという固有時」――そのむごいまでの孤独の相貌。ひとが音と出会うにはそれ以外にないのではあるまいか。――<「解説」より>
電子あり
食魔 岡本かの子食文学傑作選
食魔 岡本かの子食文学傑作選
著:岡本 かの子
講談社文芸文庫
命の意味を問う食にまつわる究極の食文学選 毎晩泥鰌をねだりにくる老彫金師と女将の秘められた情念を描いた「家霊」。食という魔物に憑かれた男の物語「食魔」他、「生命とは何か」を問う小説、随筆を精選
江戸文学問わず語り
江戸文学問わず語り
著:円地 文子
講談社文芸文庫
父方の祖母が生きた江戸の末期。文学・演劇・音曲等々……。幼い頃から様々な話をとりとめなく聞いて育った著者の心に染み込んだ鮮烈な感覚は、滝沢馬琴、河竹黙阿弥、上田秋成、近松門左衛門等を語るその語り口に彷彿とする。殊に秋成の<夢幻と現>の間を描写する文体への言及は、円地文学の根源に呼応。祖母から聞き覚えた沢山の話を鏤め、愛情込めて綴る絶品の江戸文学案内書。 著者を育んだ江戸文学への愛情溢れる入門書。明治生まれの著者にとり、江戸は祖父母が生きた時代。幼い心に自然に沁みこみ血肉となった馬琴や南北等、江戸文学のあれこれを深い造詣と愛情を込めて綴る名随筆。
電子あり
吉田松陰 武と儒による人間像
吉田松陰 武と儒による人間像
著:河上 徹太郎
講談社文芸文庫
激動する時代のなかで、閃光を放つかのように、短き生涯を終えた吉田松陰。その透徹した志や無類の誠実さとして現れた至純の精神の成り立ちを、<武>と<儒>という原理の統一のなかに見出す。僧黙霖、橋本左内、佐久間象山、山鹿素行、山本常朝と対比されることで、松陰の俊傑ぶりや人間的魅力が浮かびあがる。史実に対し文学的想像力で肉迫した、著者晩年の代表作。野間文芸賞受賞作。 史実へ文学的想像力で迫る著者晩年の名作。 激動する時代の中で、閃光を放つように短い生涯を終えた松陰。その無類の誠実さに、武と儒という異質の原理が結合した精神の現れを読み解く。野間文芸賞受賞作。
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本覚坊遺文
本覚坊遺文
著:井上 靖
講談社文芸文庫
師千利休は何故太閤様より死を賜り、一言の申し開きもせず従容と死に赴いたのか? 弟子の本覚坊は、師の縁の人々を尋ね語らい、又冷え枯れた磧の道を行く師に夢の中でまみえる。本覚坊の手記の形で利休自刃の謎に迫り、狭い茶室で命を突きつけあう乱世の侘茶に、死をも貫徹する芸術精神を描く。文化勲章はじめ現世の名誉を得た晩年にあって、なお已み難い作家精神の耀きを示した名作。日本文学大賞受賞作。 利休自刃を通して「芸術家の死」を問う傑作。弟子本覚坊の手記の形で迫る死の謎。権力者秀吉の庇護下に侘茶を追求、その命じるまま自刃した利休の内面の悽愴の風景を描く著者晩年の代表作。日本文学大賞受賞
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新選 与謝野晶子歌集
新選 与謝野晶子歌集
著:与謝野 晶子,その他:道浦 母都子
講談社文芸文庫
晶子の全歌業を通覧する、待望の新選歌集。 第1歌集「みだれ髪」を完本で収めると共に、第2歌集「小扇」から第38歌集「白桜集」迄、当代きっての女性歌人道浦母都子が精選した晶子の名歌2700余首。
閉ざされた海 中納言秀家夫人の生涯
閉ざされた海 中納言秀家夫人の生涯
著:中里 恒子
講談社文芸文庫
戦国に生きた男女の運命を哀切に描いた名作 関ヶ原の戦いに敗れ、八丈島に流人として生きた宇喜多秀家と、故郷加賀に孤独の生を終えた奥方お豪。二人の生涯を通して、真の幸福の意味を追求した長篇歴史小説
完訳グリム童話集 3
完訳グリム童話集 3
著:グリム兄弟,訳:池田 香代子
講談社文芸文庫
二世紀を超えて読まれる不滅のメルヒェン集 近代の黎明期、グリムは普通の人々の魂に新生ドイツの根拠を求め、フォルク(民衆)の言語文学の華であるメルヒェン集を編んだ。「星の銀貨」「寿命」など九二篇
電子あり