講談社学術文庫作品一覧

中世ヨーロッパの家族
中世ヨーロッパの家族
著:ジョゼフ・ギース,著:フランシス・ギース,訳:三川 基好
講談社学術文庫
ヨーロッパ中世史の新たな実像を描いて定評のあるギース夫妻による「ある家族の歴史」。本作では、イングランド北部、ノーフォークの紳士階級・パストン家に残された千通を超す書簡から、15世紀の社会と一族の生活を復元していく。家族の健康や家政、商取引きと訴訟、子女の結婚問題などを虚飾のない文章で記した手紙は、英仏百年戦争の末期からバラ戦争にいたる乱世を懸命に生き抜いた人々の姿を今に伝え、圧倒的な生命力に満ちている。巻末解説に作家の佐藤賢一氏。 2001年に朝日新聞社より刊行された『中世の家族』を、文庫化にあたり改題。 原著は、 A Medieval Family by Frances & Joseph Gies(Harper Perennial, 1998)
関西弁講義
関西弁講義
著:山下 好孝
講談社学術文庫
関西人はなぜ声が大きいのか? 声が大きいのではなく声が高いのだ。二千万話者を擁する関西弁は発音の高低を駆使してこそ成り立つ言語なのだ――。強弱アクセントではなく高低のアクセントを導入することでその発音法則を見出し、文法構造によるイントネーションの変化など、標準語とは異なる関西弁独自の体系を解明する。読んで話せる関西弁教科書。めっちゃ科学的。(講談社学術文庫) 関西人はなぜ声が大きいのか? 声が大きいのではなく声が高いのだ。二千万話者を擁する関西弁は発音の高低を駆使してこそ成り立つ言語なのだ――。強弱アクセントではなく高低のアクセントを導入することでその発音法則を見出し、文法構造によるイントネーションの変化など、標準語とは異なる関西弁独自の体系を解明する。読んで話せる関西弁教科書。めっちゃ科学的。
電子あり
東京裁判への道
東京裁判への道
著:粟屋 憲太郎
講談社学術文庫
「A級戦犯」被告28人はいかにして選ばれたのか? 昭和天皇「不訴追」の背景は? 無視された証言と証拠、近衛の自殺、木戸の大弁明――アメリカに眠る膨大な尋問調書から明かされる真実。極東国際軍事裁判をめぐる歴史ドラマが、ここに開幕する! 第一人者による東京裁判研究の金字塔! 「A級戦犯」被告28人はいかにして選ばれたか 「天皇不訴追」決定の真実、無視された証言と証拠、近衛の自殺、木戸の大弁明──アメリカに眠る膨大な尋問調書から明かされる真実。極東国際軍事裁判をめぐる歴史ドラマが、ここに開幕する! 「A級戦犯」28人はいかにして選ばれたのか。天皇不訴追の決定プロセスの真実とは。釈放されていく「大物」たち、免責された毒ガス・細菌戦。冷戦が本格化してゆく中で、無視された証言・証拠……アメリカに残されていた膨大な尋問調書を丹念に読み解き、語られざる歴史の実相と当事者達の人間ドラマを描き出す。東京裁判はこうして始められた!
日本その日その日
日本その日その日
著:エドワード.シルヴェスター・モース,訳:石川 欣一
講談社学術文庫
近代に染まる寸前の日本を科学者の目が見つめていた―― 菓子屋の看板、人力車、屋敷の屋根瓦、和服の装い、そして、穏やかに暮らす人々。 大森貝塚の発見で知られるモース、その鋭敏な眼差し惹きつけられたのは、明治最初期日本の何気ない日常の営みだった。 東京大学教授として滞在する2年間にのこした、膨大なスケッチと日記には、卓越した科学者ならではの観察眼と、異文化を楽しむ喜びが満ちている。 彼が日本で出喰わした愉快な経験の数と新奇さは、ジャーナリストも汗をかくほどのものだ。 人通りの町を一列縦隊で勢よく人力車を走らせると、一秒ごとに新しい光景、新しい物音、新しい香り…… 明治十年代のまだ近代に出会ったばかりの列島の生活を、モースは驚きと敬意をもって見つめていた。 当時の生活文化を記録した重要資料であり、なおかつ読んで見て楽しめる明治日本見聞記。(解説・牧野陽子) ※本書の原本は1939年に創元社より刊行された抄訳本です。
電子あり
名将言行録 現代語訳
名将言行録 現代語訳
著:岡谷 繁実,編・訳:北小路 健,編・訳:中澤 惠子
講談社学術文庫
幕末の館林藩士・岡谷繁実が、十六年もの歳月をかけて完成させた武将たちの逸話集『名将言行録』。千二百をこえる厖大(ぼうだい)な諸書を渉猟して編纂されたその内容は、戦国時代の武将から江戸時代中期の大名まで、数多の武士たちの言行を詳細に描き、彼らの人物像と叡知を活写する。本書は同書から戦国期の武将二十二人を選び、平易な文章で完全現代語訳する。 戦国武将たちの叡知と人物像を語る逸話集 「人は堀 人は石垣 人は城 情けは味方 怨は大敵」 これはまことのことだ──伊達政宗 幕末の館林藩士・岡谷繁実が、十六年もの歳月をかけて完成させた武将たちの逸話集『名将言行録』。千二百をこえる厖大(ぼうだい)な諸書を渉猟して編纂されたその内容は、戦国時代の武将から江戸時代中期の大名まで、数多の武士たちの言行を詳細に描き、彼らの人物像と叡知を活写する。本書は同書から戦国期の武将二十二人を選び、平易な文章で完全現代語訳する。 ●本書でとりあげる戦国武将● 北条長氏(早雲)/太田資長(道灌)/山中幸盛(鹿之助)/毛利元就/武田晴信(信玄)/上杉輝虎(謙信)/直江兼続/織田信長/柴田勝家/池田輝政/蒲生氏郷/島津義久/伊達政宗/戸次鑑連/高橋鎮種/黒田孝高(如水)/立花宗茂/豊臣秀吉/福島正則/加藤清正/真田幸村/徳川家康
電子あり
道徳感情論
道徳感情論
著:アダム・スミス,訳:高 哲男
講談社学術文庫
アダム・スミスの二大著作の一冊が『道徳感情論』(1759)です。本書こそが主著で、『国富論』はその副産物だったのです。個人とは「共感」能力を持ち、様々な「激情」を持っています。利己的であったり、社会的であったり、憤ったり、感謝したりします。スミスはこういった個人の心に「義務」「道徳」を確立して、新しい社会と人間のあり方を探りました。近代社会の原理を知るための必読書が読み易い新訳で登場! 『国富論』より重要なスミスの名著が、読みやすい訳文で登場! 調和ある社会の原動力とは何か? 鋭い観察眼・深い洞察力と圧倒的な例証により、個人の心理と社会の関係を解明した傑作! 調和ある社会構成の根幹に、個人の自己愛・自己利益の追求に加えて、「共感」を据えた。そして社会では、適合的な行為が是認され、非適合的な行為が否認されることにより、規則が誕生する。人間が社会的に是認された行為規範を遵守する努力によって、徳のある社会が実現するのだ。最高の啓蒙思想家が、生涯をかけて著した不朽の社会論は今なお光を放つ。 道徳の原動力について論じる場合、考察されるべき問題は二つある。第一に、徳はどこに存在するのか? すなわち、優れていて、賞賛に値する特徴となる、気分の調子や行為の傾向とは、いったいどのようなものか? そして第二に、それが何であろうと、このような特徴が我々に推奨されるのは、心のなかにあるどのような能力や機能によってであるか? 言い換えるなら、心が、ある傾向の行為を他のものよりも好み、一方を正しいと呼び、他方を間違いと呼ぶことになってしまうのはどうしてであり、またどのような手段によるのか?(本文[VII. i.2]より)
電子あり
パラダイムと科学革命の歴史
パラダイムと科学革命の歴史
著:中山 茂
講談社学術文庫
科学史の第一人者による「学問の歴史」。科学革命で生まれた新たなパラダイムが学問的伝統を形成していく過程を解明する。古代以来の東西学統の比較から、学会誌などのメディアの発明、職業的科学者の誕生、現代のデジタル化まで、社会的現象としての科学と科学者集団を分析。『歴史としての学問』(1974年、中央公論社刊)を学術文庫化にあたって改題し、新たに「学問のデジタル化・グローバル化」を論じた補章を加筆。 トマス・クーンの「パラダイム論」を日本に紹介した科学史の第一人者による「学問の歴史」。科学革命で生まれた新たなパラダイムが学問的伝統を形成していく過程を解明する。「記録的学問」と「論争的学問」という古代以来の東西学統の比較から、学会誌などのメディアの発明、職業的科学者の誕生、現代の巨大科学とデジタル化まで、社会的現象としての科学と科学者集団を分析。 『歴史としての学問』(1974年、中央公論社刊)を学術文庫化にあたって改題し、新たに「学問のデジタル化・グローバル化」を論じた補章を加筆。
電子あり
欧化と国粋――明治新世代と日本のかたち
欧化と国粋――明治新世代と日本のかたち
著:ケネス.B・パイル,その他:松本 三之介,訳:五十嵐 暁郎
講談社学術文庫
西欧文明を前に、たじろぐ明治新世代。 初めて西洋型教育を受けた彼らは、この国のかたちがどうあるべきか論争した。 政府の欧化政策に反発しつつも下からの欧化主義を唱えた徳富蘇峰。 それに反発し国粋保存を訴える志賀重昂、文化的アイデンティティ確立を模索した陸羯南、三宅雪嶺ら。 日本人は何を誇ればいいのか?  若きナショナリズムは身悶えしていた。
鉄炮伝来――兵器が語る近世の誕生
鉄炮伝来――兵器が語る近世の誕生
著:宇田川 武久
講談社学術文庫
新たな兵器は、いかに伝わり、普及したのか。「種子島に漂着したポルトガル人が伝えた」という常識を覆し、武器から戦国史を見直す。
王陽明「伝習録」を読む
王陽明「伝習録」を読む
著:吉田 公平
講談社学術文庫
中国・明代の儒学者、王陽明。その当時、新儒教として学術思想界の主座にあった朱子学の論理構造を批判的に継承した彼の実践的儒学は、陽明学として結実する。近世以降の中国のみならず、わが国でも大塩中斎や吉田松陰、西郷隆盛ら、変革者たちの理論的背景となった思想とは何か。陽明学の最重要書籍を原テキストにしたがって読み解き、その精髄に迫る。
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世界の食べもの――食の文化地理
世界の食べもの――食の文化地理
著:石毛 直道
講談社学術文庫
美味いゾ! 日本、朝鮮、中国、東南アジア諸国、オセアニア、マグレブ……。 それぞれの風土や歴史と食生活の関連を探求し、日本の食事文化を位置づけたうえで、 米・酒・麺・茶・コーヒーなど食べものから見た世界地図を描き出す。 各地を探検し〈食文化〉研究を確立したパイオニアの手による入門書にして冒険の書。 舌は世界を駆けめぐる。美味いものに国境なし。 ※本書の原本『食の文化地理』は、1995年に朝日新聞社より刊行されました。 【本書の内容】 序章  舌のフィールドワーク 【1】 諸民族の食事 第1章 朝鮮半島の食 第2章 世界における中国の食文化 第3章 東南アジアの食事文化      ・フィリピンの食生活       ・シンガポールのニョニャ料理      ・マレーシアの食生活       ・インドネシアの食生活       ・モルッカ諸島の食事  第4章 オセアニア――太平洋にひろがる食文化 第5章 マグレブの料理 【2】 日本の食事 第6章 米――聖なる食べ物 第7章 日本の食事文化――その伝統と変容 第8章 現代の食生活 第9章 日本人とエスニック料理 【3】 食べ物からみた世界 第10章 世界の米料理 第11章 すしの履歴書 第12章 麺の歴史 第13章 料理における野菜の位置 第14章 世界の酒――伝統的な酒の類型 第15章 茶とコーヒーの文明 第16章 うま味の文化 あとがき 初出一覧 文庫版あとがき
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中世のなかに生まれた近世
中世のなかに生まれた近世
著:山室 恭子
講談社学術文庫
後北条、武田、今川、上杉など東国の大名が発給した文書は、はんこを捺した「印判状型」。一方、毛利や大友、島津ら西国の大名は「非印判状型」。前者は官僚制的で強力な支配、後者は人格的でゆるやかな支配だった。戦国大名たちの膨大な文書をあざやかに分析し、そのうえで信長、秀吉、家康という天下人の支配の本質にせまる、刺激的な歴史学、登場! 判物(サイン)から印判状(はんこ)へ 人格的支配から官僚制的支配へ 諸大名が発給した膨大な文書の解析から、東国と西国 の支配の違いを明らかにし、天下一統の内実に迫った、スリリングな歴史学! 後北条、武田、今川、上杉など東国の大名が発給した文書は、はんこを捺した「印判状型」。一方、毛利や大友、島津ら西国の大名は「非印判状型」。前者は官僚制的で強力な支配、後者は人格的でゆるやかな支配だった。戦国大名たちの膨大な文書をあざやかに分析し、そのうえで信長、秀吉、家康という天下人の支配の本質にせまる、刺激的な歴史学、登場! この本で私は、ひとつの旅をしてみようと思っています。中世の末、各地に割拠してとりどりの個性を競いあった魅力あふれる大名たち、そして彼らのなかから頭角をあらわして中原に覇を唱えた天下人たちを、かたはしから訪問してみようという、欲張りな旅です。(略)ここから、彼らが遺した文書をせっせせっせと蒐集し、それをもとに試行錯誤をくりかえしながら特徴を析出していくという、たいへんだけれど心楽しい作業の日々が始まりました。はたしてその成果やいかに。中世から近世へと時代が大きくうつり変っていく、その躍動の熱気を首尾よくつかまえることができるでしょうか。――<本書「序」より> ※本書の原本は、1991年、吉川弘文館より刊行されました。
電子あり
経済人類学
経済人類学
著:栗本 慎一郎
講談社学術文庫
食人や近親相姦等の禁忌(タブー)と経済制度は、いずれも社会による「規範的強制(サンクション)」に根ざす。社会を成り立たせている財の供給システム=経済は、宗教・儀礼・神話など一見「非合理的」な行為に分かちがたく埋め込まれている。近代に、なぜ交換と貨幣が肥大するのか? 経済を駆動する深層の無意識的原因とは? 経済の本質に挑む入門書・解説書・研究書である。 貨幣とは? 交易とは? 社会とは? 魔性と聖性とは? そして人間とは? ポランニーはもとより、モース、マリノフスキー、マルクス、レヴィ=ストロース、ダグラス、フロイト、ユング、柳田國男、折口信夫、エリアーデ……の所説を縦横無尽に組み合わせて、経済活動の深層の動因を解明する。 食人や近親相姦等の禁忌(タブー)と経済制度は、いずれも社会による「規範的強制(サンクション)」に根ざす。社会を成り立たせている財の供給システム=経済は、宗教・儀礼・神話など一見「非合理的」な行為に分かちがたく埋め込まれている。近代に、なぜ交換と貨幣が肥大するのか? 経済を駆動する深層の無意識的原因とは? 経済の本質に挑む入門書・解説書・研究書である。 経済の仕組みは、……社会的諸関係における表層の分析からは明らかにならない。また、経済が宗教や儀礼や神話や、もろもろの「非合理的」行為やシステムに深くかかわっているだろうという程度の“先進的”認識ではもはや不充分である。非市場社会では、経済制度は、それらのなかにまったく分かちようのないものとして埋め込(エンベッド)まれている。一見そうでないようにはみえるが、市場社会でもその本質は変わっていない。――<本書「まえがき」より> ※本書の原本は、1979年に東洋経済新報社より刊行されました。
電子あり
進化生物学入門 宇宙発生からヒト誕生への137億年
進化生物学入門 宇宙発生からヒト誕生への137億年
著:栗田 子郎
講談社学術文庫
宇宙誕生は一三七億年前。地球発生は四六億年前。三八億年前の原始の海に、化学進化で生物の原料・アミノ酸ができ、最初の生命体(プロトビオント)が誕生した。真核生物、多細胞生物を経て、五億五〇〇〇万年前、カンブリアの大爆発。しかし、奇妙な生物の多数は絶滅。何が起こったのか? その後の進化とは? 多様な生物が生きる地球の壮大な生命のドラマを読み解く。 物質はいかに生命体になったのか? なぜ、繁栄・絶滅が起こるのか? ヒトとは何か? 137億年の進化史を一気に読み解く! 宇宙誕生は一三七億年前。地球発生は四六億年前。三八億年前の原始の海に、化学進化で生物の原料・アミノ酸ができ、最初の生命体(プロトビオント)が誕生した。真核生物、多細胞生物を経て、五億五〇〇〇万年前、カンブリアの大爆発。しかし、奇妙な生物の多数は絶滅。何が起こったのか? その後の進化とは? 多様な生物が生きる地球の壮大な生命のドラマを読み解く。 本書が“生命とは何か、そして人間とはいかなる存在か”ということを今一度深く思考するきっかけになるとともに、生物種多様化の過程の一端をかいま見ることによって、多様性のもつ意義の理解に結びつけばと願っています。……本書は第一章を生物多様化の歴史の概略、第二章を多様化の機構、第三章を一つのケーススタディとして霊長類の進化にあてました。……(引用文献は)進化生物学に興味を抱かれた読者がより多くの情報を入手するために役立つことと思います。――<「まえがき」より> ※本書の原本『多様性生物学入門』は、1997年に東海大学出版会より刊行されました。
電子あり
京都の平熱――哲学者の都市案内
京都の平熱――哲学者の都市案内
著:鷲田 清一
講談社学術文庫
古い寺社は多いが歴史意識は薄く、技巧・虚構に親しむ。けったいなもんオモロイもんを好み、町々に三奇人がいる。「あっち」の世界への孔がいっぱいの「きょうと」のからくり――。〈聖〉〈性〉〈学〉〈遊〉が入れ子になり都市の記憶を溜めこんだ路線、京都市バス206番に乗った哲学者の温かな視線は生まれ育った街の陰と襞を追い、「平熱の京都」を描き出す。(講談社学術文庫) 古い寺社は多いが歴史意識は薄く、技巧・虚構に親しむ。けったいなもんオモロイもんを好み、町々には三奇人がいる。「あっち」の世界への孔がいっぱいの「きょうと」のからくり――。〈聖〉〈性〉〈学〉〈遊〉が入れ子となって都市の記憶を溜めこんだ路線、京都市バス206番に乗った哲学者の温かな視線は、生まれ育った街の陰と襞を追い、「平熱の京都」を描き出す。
電子あり
江戸近郊道しるべ 現代語訳
江戸近郊道しるべ 現代語訳
著:村尾 嘉陵,訳:阿部 孝嗣
講談社学術文庫
文化・文政・天保の頃、徳川家御三卿のひとつ清水家に仕えた武士が、多忙な勤務の合間に楽しんだ日帰り散策紀行。大都市・江戸も一歩郊外に出れば、豊かな自然に囲まれていた。起伏に富む地形、田畑と湿地、深い森に佇む社寺旧跡と素朴な人々。ささやかな名所・絶景を求めて歩く喜びに満ちた、時空を超える江戸東京お散歩ガイド。(解説・田中優子) 文化・文政・天保の頃、徳川家御三卿のひとつ清水家に仕えた武士が、多忙な勤務の合間に楽しんだ日帰り散策紀行。大都市・江戸も一歩郊外に出れば、豊かな自然に囲まれていた。起伏に富む地形、田畑と湿地、深い森に佇む社寺旧跡と素朴な人々。花を愛で、名所にくつろぎ、ささやかな絶景を求めて歩く喜びに満ちた、時空を超える江戸東京お散歩ガイド。『江戸近郊ウォーク』(1999年、小学館刊)を学術文庫化にあたって改題。解説は法政大学教授・田中優子氏。
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地方の王国
地方の王国
著:高畠 通敏
講談社学術文庫
新潟、徳島、千葉、滋賀、鹿児島、北海道……。 戦後保守政治の支柱となった各地の〈王国〉。 それらに潜り込み選挙の構造を調査した地方政治研究の先駆的名著。 高度成長の終焉がもたらした各地の構造的変容は、 「豊かさはもはや手放さなければならないのか」 という問いをめぐって揺れる現代日本まで照らし出す。 日本政治の底の底、そこに映る日本人像にまで肉薄した、 選挙分析のパイオニアによる迫真の「ルポルタージュ」! 【本書の内容】 越山会の強気と弱気──新潟三区 金権王国の深層海流──千葉 最後の社会党王国──北海道五区 保守王国の地割れ──鹿児島三区 政争王国の十年戦争──徳島 “揺れる湖国”の大政翼賛体制──滋賀 越山会“角さん音頭”の気勢──新潟三区再訪   * ※本書の原本は、1986年に潮出版社より刊行されました。文庫化にあたっては1997年に岩波書店より刊行された同時代ライブラリー版を底本としました。
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伊勢神宮と日本美
伊勢神宮と日本美
著:井上 章一
講談社学術文庫
節ひとつない檜材で20年ごとに建て替えられてきた伊勢神宮。その清浄で質素で力強い姿は、日本人の魂の原風景である。伊勢神宮こそが、「日本古来」の建築の原型であるとの主張がなされてきた。明治以降、国家神道となったことにより、その言説はますます強くなった。現代でさえ、古代住居の復元時に伊勢神宮にその形を求めることもある。江戸から現代に書かれた資料を徹底的に読みとき、神宮の本当の姿を解明する。 「伊勢神宮……世界的観点からみて古典的天才的な創造だ」ブルーノ・タウト 「日本固有の社殿には斗きょうもなく……極めて質素である」伊東忠太 「上代より伝へ来つた様式のまゝ天武天皇の時に再営せられたもの」関野貞 江戸時代~現代まで、日本はこの建物に何を見てきたのか? 節ひとつない檜材による伊勢神宮の神殿。その清浄で質素な姿は、仏教伝来以前の建築の原型であると主張されてきた。宣長、伊東忠太、タウト、天心、磯崎新……。「天地根元造」説、「南方」説、「長江」説、「雲南」説……。多くの研究者が、変化する時代、文化、社会状況の中で多様な説を展開した。徹底的な資料の解読で、神宮の本当の姿に肉薄する。 こんどの本では、自分なりの神宮像もうちだしている。そのなりたちに関する、歴史的な見とおしも、書ききった。傍観者席の安全地帯からは、足をふみはずしている。……この本を読んで、私とはちがう神宮論をくみたてることも、できなくはないだろう。読者が、それぞれの判断で、べつの読みときをこころみても、べつにかまわない。私の本は、読んだ人が自分なりの神宮論をひねれるところまで、つれていく。その案内役も、はたせているはずである。――<「まえがき」より> ※本書の原本『伊勢神宮 魅惑の日本建築』は、2009年に小社より刊行されました。
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四字熟語・成句辞典
四字熟語・成句辞典
著:竹田 晃
講談社学術文庫
見出し項目4500、類語・対義語等を含め総索引項目約7000を誇る本格派辞典が文庫版に。五十音での検索はもちろん、「感情表現」「謙遜」「リーダーシップ」「ほめるとき」「けなすとき」など、時に応じて適切な言葉に出会えるガイドも充実。豊富な用例や類語に加えて、『論語』や『史記』『三国志』など、出典となった漢籍の解説も完備。教養を深め、冠婚葬祭やビジネスでも活かせる決定版。
金日成
金日成
著:徐 大粛,訳:林 茂
講談社学術文庫
朝鮮民主主義人民共和国。その建国の父とされた金日成の生涯を跡付けた朝鮮研究の最重要古典。 満州抗日戦争を指導者の一人として戦った不屈の闘士は、ソ連の代理人として果てしなくつづく党内抗争をも勝ち抜いた。 その粛清の歴史は、西側陣営・ソ連・中国の三方面を相手に立ち回る国家的苦悩に彩られていた。 〈北朝鮮〉とはなにか?  答えは金日成の歴史のなかにある。 (解説・和田春樹) 【本書の内容】 日本語版への序文 まえがき 第1部 若き金日成と東北抗日連軍     第一章 その生い立ち     第二章 金日成と東北抗日連軍     第三章 抗日闘争の日々 第2部 権力基盤の構築     第四章 ソ連占領下の北朝鮮     第五章 朝鮮労働党     第六章 共和国の樹立と朝鮮人民軍の創建 第3部 窮地に立つ金日成     第七章 朝鮮戦争と権力闘争     第八章 戦後 第4部 主体思想への道     第九章 経済の飛躍的発展を求めて     第十章 中ソ論争と金日成 第5部 自主路線をひた走る金日成     第十一章 軍の抬頭     第十二章 南の革命     第十三章 パルチザン派の解体 第6部 金日成王国の誕生     第十四章 対南政策および第三世界との関係          ――一九七〇年代に入って     第十五章 党から行政府への権力の移行     第十六章 新旧世代の交代 第7部 主体思想と共和国     第十七章 金日成の政治思想     第十八章 金日成の国 注 金日成関係主要年表 訳者あとがき 文庫版 訳者あとがき 解説(和田春樹) 人名索引