講談社学術文庫作品一覧

経済人類学
経済人類学
著:栗本 慎一郎
講談社学術文庫
食人や近親相姦等の禁忌(タブー)と経済制度は、いずれも社会による「規範的強制(サンクション)」に根ざす。社会を成り立たせている財の供給システム=経済は、宗教・儀礼・神話など一見「非合理的」な行為に分かちがたく埋め込まれている。近代に、なぜ交換と貨幣が肥大するのか? 経済を駆動する深層の無意識的原因とは? 経済の本質に挑む入門書・解説書・研究書である。 貨幣とは? 交易とは? 社会とは? 魔性と聖性とは? そして人間とは? ポランニーはもとより、モース、マリノフスキー、マルクス、レヴィ=ストロース、ダグラス、フロイト、ユング、柳田國男、折口信夫、エリアーデ……の所説を縦横無尽に組み合わせて、経済活動の深層の動因を解明する。 食人や近親相姦等の禁忌(タブー)と経済制度は、いずれも社会による「規範的強制(サンクション)」に根ざす。社会を成り立たせている財の供給システム=経済は、宗教・儀礼・神話など一見「非合理的」な行為に分かちがたく埋め込まれている。近代に、なぜ交換と貨幣が肥大するのか? 経済を駆動する深層の無意識的原因とは? 経済の本質に挑む入門書・解説書・研究書である。 経済の仕組みは、……社会的諸関係における表層の分析からは明らかにならない。また、経済が宗教や儀礼や神話や、もろもろの「非合理的」行為やシステムに深くかかわっているだろうという程度の“先進的”認識ではもはや不充分である。非市場社会では、経済制度は、それらのなかにまったく分かちようのないものとして埋め込(エンベッド)まれている。一見そうでないようにはみえるが、市場社会でもその本質は変わっていない。――<本書「まえがき」より> ※本書の原本は、1979年に東洋経済新報社より刊行されました。
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進化生物学入門 宇宙発生からヒト誕生への137億年
進化生物学入門 宇宙発生からヒト誕生への137億年
著:栗田 子郎
講談社学術文庫
宇宙誕生は一三七億年前。地球発生は四六億年前。三八億年前の原始の海に、化学進化で生物の原料・アミノ酸ができ、最初の生命体(プロトビオント)が誕生した。真核生物、多細胞生物を経て、五億五〇〇〇万年前、カンブリアの大爆発。しかし、奇妙な生物の多数は絶滅。何が起こったのか? その後の進化とは? 多様な生物が生きる地球の壮大な生命のドラマを読み解く。 物質はいかに生命体になったのか? なぜ、繁栄・絶滅が起こるのか? ヒトとは何か? 137億年の進化史を一気に読み解く! 宇宙誕生は一三七億年前。地球発生は四六億年前。三八億年前の原始の海に、化学進化で生物の原料・アミノ酸ができ、最初の生命体(プロトビオント)が誕生した。真核生物、多細胞生物を経て、五億五〇〇〇万年前、カンブリアの大爆発。しかし、奇妙な生物の多数は絶滅。何が起こったのか? その後の進化とは? 多様な生物が生きる地球の壮大な生命のドラマを読み解く。 本書が“生命とは何か、そして人間とはいかなる存在か”ということを今一度深く思考するきっかけになるとともに、生物種多様化の過程の一端をかいま見ることによって、多様性のもつ意義の理解に結びつけばと願っています。……本書は第一章を生物多様化の歴史の概略、第二章を多様化の機構、第三章を一つのケーススタディとして霊長類の進化にあてました。……(引用文献は)進化生物学に興味を抱かれた読者がより多くの情報を入手するために役立つことと思います。――<「まえがき」より> ※本書の原本『多様性生物学入門』は、1997年に東海大学出版会より刊行されました。
電子あり
京都の平熱――哲学者の都市案内
京都の平熱――哲学者の都市案内
著:鷲田 清一
講談社学術文庫
古い寺社は多いが歴史意識は薄く、技巧・虚構に親しむ。けったいなもんオモロイもんを好み、町々に三奇人がいる。「あっち」の世界への孔がいっぱいの「きょうと」のからくり――。〈聖〉〈性〉〈学〉〈遊〉が入れ子になり都市の記憶を溜めこんだ路線、京都市バス206番に乗った哲学者の温かな視線は生まれ育った街の陰と襞を追い、「平熱の京都」を描き出す。(講談社学術文庫) 古い寺社は多いが歴史意識は薄く、技巧・虚構に親しむ。けったいなもんオモロイもんを好み、町々には三奇人がいる。「あっち」の世界への孔がいっぱいの「きょうと」のからくり――。〈聖〉〈性〉〈学〉〈遊〉が入れ子となって都市の記憶を溜めこんだ路線、京都市バス206番に乗った哲学者の温かな視線は、生まれ育った街の陰と襞を追い、「平熱の京都」を描き出す。
電子あり
江戸近郊道しるべ 現代語訳
江戸近郊道しるべ 現代語訳
著:村尾 嘉陵,訳:阿部 孝嗣
講談社学術文庫
文化・文政・天保の頃、徳川家御三卿のひとつ清水家に仕えた武士が、多忙な勤務の合間に楽しんだ日帰り散策紀行。大都市・江戸も一歩郊外に出れば、豊かな自然に囲まれていた。起伏に富む地形、田畑と湿地、深い森に佇む社寺旧跡と素朴な人々。ささやかな名所・絶景を求めて歩く喜びに満ちた、時空を超える江戸東京お散歩ガイド。(解説・田中優子) 文化・文政・天保の頃、徳川家御三卿のひとつ清水家に仕えた武士が、多忙な勤務の合間に楽しんだ日帰り散策紀行。大都市・江戸も一歩郊外に出れば、豊かな自然に囲まれていた。起伏に富む地形、田畑と湿地、深い森に佇む社寺旧跡と素朴な人々。花を愛で、名所にくつろぎ、ささやかな絶景を求めて歩く喜びに満ちた、時空を超える江戸東京お散歩ガイド。『江戸近郊ウォーク』(1999年、小学館刊)を学術文庫化にあたって改題。解説は法政大学教授・田中優子氏。
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地方の王国
地方の王国
著:高畠 通敏
講談社学術文庫
新潟、徳島、千葉、滋賀、鹿児島、北海道……。 戦後保守政治の支柱となった各地の〈王国〉。 それらに潜り込み選挙の構造を調査した地方政治研究の先駆的名著。 高度成長の終焉がもたらした各地の構造的変容は、 「豊かさはもはや手放さなければならないのか」 という問いをめぐって揺れる現代日本まで照らし出す。 日本政治の底の底、そこに映る日本人像にまで肉薄した、 選挙分析のパイオニアによる迫真の「ルポルタージュ」! 【本書の内容】 越山会の強気と弱気──新潟三区 金権王国の深層海流──千葉 最後の社会党王国──北海道五区 保守王国の地割れ──鹿児島三区 政争王国の十年戦争──徳島 “揺れる湖国”の大政翼賛体制──滋賀 越山会“角さん音頭”の気勢──新潟三区再訪   * ※本書の原本は、1986年に潮出版社より刊行されました。文庫化にあたっては1997年に岩波書店より刊行された同時代ライブラリー版を底本としました。
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伊勢神宮と日本美
伊勢神宮と日本美
著:井上 章一
講談社学術文庫
節ひとつない檜材で20年ごとに建て替えられてきた伊勢神宮。その清浄で質素で力強い姿は、日本人の魂の原風景である。伊勢神宮こそが、「日本古来」の建築の原型であるとの主張がなされてきた。明治以降、国家神道となったことにより、その言説はますます強くなった。現代でさえ、古代住居の復元時に伊勢神宮にその形を求めることもある。江戸から現代に書かれた資料を徹底的に読みとき、神宮の本当の姿を解明する。 「伊勢神宮……世界的観点からみて古典的天才的な創造だ」ブルーノ・タウト 「日本固有の社殿には斗きょうもなく……極めて質素である」伊東忠太 「上代より伝へ来つた様式のまゝ天武天皇の時に再営せられたもの」関野貞 江戸時代~現代まで、日本はこの建物に何を見てきたのか? 節ひとつない檜材による伊勢神宮の神殿。その清浄で質素な姿は、仏教伝来以前の建築の原型であると主張されてきた。宣長、伊東忠太、タウト、天心、磯崎新……。「天地根元造」説、「南方」説、「長江」説、「雲南」説……。多くの研究者が、変化する時代、文化、社会状況の中で多様な説を展開した。徹底的な資料の解読で、神宮の本当の姿に肉薄する。 こんどの本では、自分なりの神宮像もうちだしている。そのなりたちに関する、歴史的な見とおしも、書ききった。傍観者席の安全地帯からは、足をふみはずしている。……この本を読んで、私とはちがう神宮論をくみたてることも、できなくはないだろう。読者が、それぞれの判断で、べつの読みときをこころみても、べつにかまわない。私の本は、読んだ人が自分なりの神宮論をひねれるところまで、つれていく。その案内役も、はたせているはずである。――<「まえがき」より> ※本書の原本『伊勢神宮 魅惑の日本建築』は、2009年に小社より刊行されました。
電子あり
四字熟語・成句辞典
四字熟語・成句辞典
著:竹田 晃
講談社学術文庫
見出し項目4500、類語・対義語等を含め総索引項目約7000を誇る本格派辞典が文庫版に。五十音での検索はもちろん、「感情表現」「謙遜」「リーダーシップ」「ほめるとき」「けなすとき」など、時に応じて適切な言葉に出会えるガイドも充実。豊富な用例や類語に加えて、『論語』や『史記』『三国志』など、出典となった漢籍の解説も完備。教養を深め、冠婚葬祭やビジネスでも活かせる決定版。
金日成
金日成
著:徐 大粛,訳:林 茂
講談社学術文庫
朝鮮民主主義人民共和国。その建国の父とされた金日成の生涯を跡付けた朝鮮研究の最重要古典。 満州抗日戦争を指導者の一人として戦った不屈の闘士は、ソ連の代理人として果てしなくつづく党内抗争をも勝ち抜いた。 その粛清の歴史は、西側陣営・ソ連・中国の三方面を相手に立ち回る国家的苦悩に彩られていた。 〈北朝鮮〉とはなにか?  答えは金日成の歴史のなかにある。 (解説・和田春樹) 【本書の内容】 日本語版への序文 まえがき 第1部 若き金日成と東北抗日連軍     第一章 その生い立ち     第二章 金日成と東北抗日連軍     第三章 抗日闘争の日々 第2部 権力基盤の構築     第四章 ソ連占領下の北朝鮮     第五章 朝鮮労働党     第六章 共和国の樹立と朝鮮人民軍の創建 第3部 窮地に立つ金日成     第七章 朝鮮戦争と権力闘争     第八章 戦後 第4部 主体思想への道     第九章 経済の飛躍的発展を求めて     第十章 中ソ論争と金日成 第5部 自主路線をひた走る金日成     第十一章 軍の抬頭     第十二章 南の革命     第十三章 パルチザン派の解体 第6部 金日成王国の誕生     第十四章 対南政策および第三世界との関係          ――一九七〇年代に入って     第十五章 党から行政府への権力の移行     第十六章 新旧世代の交代 第7部 主体思想と共和国     第十七章 金日成の政治思想     第十八章 金日成の国 注 金日成関係主要年表 訳者あとがき 文庫版 訳者あとがき 解説(和田春樹) 人名索引
カント「視霊者の夢」
カント「視霊者の夢」
著:イマヌエル・カント,訳:金森 誠也
講談社学術文庫
理性によって認識できないものは、形而上学の対象になりうるか――。哲学者カントが、同時代の神秘思想家スヴェーデンボリの「視霊現象」を徹底的に検証。当時高い世評を得ていた霊能者へのシニカルかつ鋭利な批判を通して、人間の「霊魂」に対する哲学者としての見解を示す。『純粋理性批判』に至るステップとなった、重要著作。 理性によって認識できないものは、形而上学の対象になりうるか――。哲学者カントが、同時代の神秘思想家スヴェーデンボリの「視霊現象」を徹底的に検証。当時高い世評を得ていた霊能者へのシニカルかつ鋭利な批判を通して、人間の「霊魂」に対する哲学者としての見解を示す。『純粋理性批判』に至るステップとなった、重要著作。三浦雅士氏による巻末解説「批評家の夢」を掲載。
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江戸と江戸城
江戸と江戸城
著:内藤 昌
講談社学術文庫
古代「阿豆麻(あづま)」~「大江戸」完成まで 急拡大を遂げた世界一の都市は、城を中心とする「渦巻き構造」を持つ 町の成立過程と実態を徹底的に腑分けする 古代名「阿豆麻」=東国は中世まで、常に辺境であった。鎌倉時代、武士の江戸氏が、浅草~蒲田~喜多見~阿佐カ谷一帯を治めるも、没落。廃墟=江戸は百年後太田道灌によって再興(一四五七)。家康・秀忠・家光の三代で、城と城下町が完成(一六四〇)。その後もスプロールを続け、世界最大の都市となる。江戸の歴史・構造・実態を、証拠をもとに徹底再現。 ※本書の原本は、1966年に鹿島出版会より刊行されました。
カレーライスの誕生
カレーライスの誕生
著:小菅 桂子
講談社学術文庫
インドに生まれ、イギリスを経て、近代黎明期の幕末日本に西洋料理として入ってきたカレー。いまや「国民食」となったカレーの受容と変容は、近代における西洋文明の受容と、日本風アレンジの歴史そのものだった。多岐にわたる資料を渉猟して、日本のカレーの歴史と謎を解明し、そこに秘められた人々の知恵と苦闘のドラマを描いた、異色の食文化史。 インドに生まれ、イギリスを経て、近代黎明期の幕末日本に西洋料理として入ってきたカレー。いまや「国民食」となったカレーの受容とは、近代における西洋文明の受容と、日本風アレンジの歴史そのものだった――。多岐にわたる資料を渉猟して、日本のカレーの歴史と謎を解明し、そこに秘められた人々の知恵と苦闘のドラマを描いた、異色の食文化史。
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地下水と地形の科学 水文学入門
地下水と地形の科学 水文学入門
著:榧根 勇
講談社学術文庫
黒部川扇状地、武蔵野台地、千葉・市原、熊本市……。三次元空間を時間とともに変化する四次元現象である地下水流動を可視化する水文学。地下水の容器としての不均質で複雑な地形と地質を解明した地下水学は、改めて環境問題に取り組む。地下水=共有財(コモンズ)を、単に資源としてではなく、文化・心理的な環境要因とみなし、自然と人間の幸福な関係を探究する。 「地球水循環システム」と「地域水循環システム」が生命の源である。武蔵野台地、黒部川扇状地ほか、国内外の実地調査により、地形・地質・気象と水循環の関係を解読し、「コモンズ」としての水の利用を考える。 黒部川扇状地、武蔵野台地、千葉・市原、熊本市……。三次元空間を時間とともに変化する四次元現象である地下水流動を可視化する水文学。地下水の容器としての不均質で複雑な地形と地質を解明した地下水学は、改めて環境問題に取り組む。地下水=共有財(コモンズ)を、単に資源としてではなく、文化・心理的な環境要因とみなし、自然と人間の幸福な関係を探究する。 環境問題は、ひらたくいえば、人々が「らく」や便利さを求めた結果である。ヒトがらくを求めれば、ヒトをとりまく自然は必ず変化する。……袋小路から抜け出す一つの道は、水に注目することである。……水は循環する過程で熱や物質を運び、生物を育てる。気候の形成、地形の形成、生態系の形成には、いずれも水循環が強く関与している。水循環のエネルギー源は、……尽きることのない太陽光と重力である。……望みは水にある。――<「はじめに」より> ※本書は、1992年にNHK出版より刊行された『地下水の世界』を原本に、加筆・改訂を加え、改題をしました。
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幕末の天皇
幕末の天皇
著:藤田 覚
講談社学術文庫
近代天皇制を生み出した、十八世紀末から八十年にわたる朝廷の“闘い”のドラマ――。神事や儀礼の再興・復古を通して朝権強化をはかった光格天皇。その遺志を継いで尊皇攘夷のエネルギーを結集しカリスマとなった孝明天皇。幕末政治史の表舞台に躍り出た二人の天皇の、薄氷を踏むような危うい試みを活写し、「江戸時代の天皇の枠組み」を解明する。
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フライ・フィッシング
フライ・フィッシング
著:エドワード・グレイ,訳:西園寺 公一,監:開高 健
講談社学術文庫
読者は川岸での純潔な悦びと静思の愉しみを伝えられ、感染し、ほのぼのと心のほぐれをほどかれる……真に重要なのは人と作品にある感情の魅力であり、気品である……まったくそのとおりである。その言葉をそのまま卿の著作についても贈呈したい。――<開高健の巻頭言より> この本は、べつにフライに興味や知識や経験のない人でも味得できるように書かれている。卿その人が序文に書いているように、釣りの技や道具の解説よりも大事なことは読者と釣りの悦びそのものを……共感しあえるように書くことである。……たちどまりしつつもどうしても最後の頁まで読みとおさずにはいられないという本も読んで頂きたい。――(開高健) 美しい草原と木立、水面に映える光、川の流れのささやき……。月日が過ぎ去っても、これらは絶えず眼に浮かんで、われわれを喜びで満たしてくれる。そして、思い出に残る環境の中へ逃げ帰りたいという熱望にわれわれを駆り立てる。そこで、釣りのための暇をつくる。釣りそのもののためでもあるが、そればかりではない。春あるいは夏の美しさを誇っているにちがいない、その選ばれた場所をふたたび訪れずにはいられないからだ。――<「第一章 はじめに」より> ※本書の原本は、1991年、ティビーエス・ブリタニカより刊行されました。
生類をめぐる政治――元禄のフォークロア
生類をめぐる政治――元禄のフォークロア
著:塚本 学
講談社学術文庫
動物の殺生を禁じ、特に犬の愛護を強いて民衆を苦しめたとされる徳川五代将軍・綱吉。しかしそれは本当に将軍個人の思いつき=愚行にすぎなかったのか。「鉄砲改め」や捨子・捨牛馬の禁止などを含み「生類憐み令」と総称される政策が、当時の社会的要請に応えて発せられたことを論じ、「自然と人間の歴史」のなかで「元禄という時代」の意味を捉え直す。 <御犬様>政策は、将軍の単なる「愚行」だったのか? 「諸国鉄砲改め」や、捨子・捨牛馬の禁止などを含む「生類憐み令」の真意とは。元禄時代と綱吉政権への見方を一新した名著。 動物の殺生を禁じ、特に犬の愛護を強いて民衆を苦しめたとされる徳川五代将軍・綱吉。しかしそれは本当に将軍個人の思いつき=愚行にすぎなかったのか。「鉄砲改め」や捨子・捨牛馬の禁止などを含み「生類憐み令」と総称される政策が、当時の社会的要請に応えて発せられたことを論じ、「自然と人間の歴史」のなかで「元禄という時代」の意味を捉え直す。 ※本書の原本は、1983年に平凡社より刊行され、その後、1993年に平凡社ライブラリー版として刊行されました。
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悪魔の話
悪魔の話
著:池内 紀
講談社学術文庫
悪魔。 神の教えと対をなし世界の半分を支配するとされた闇の帝王たち。 その誕生から性格、分類、風貌、材質、総数、そして悪魔と契約する方法まで。 ヨーロッパが育んだ「悪魔」の観念は、どこから生まれどこへ行くのか。 その歴史を追い、人類史上最大の悲劇が生起する過程にまで迫る。 人の世のいたるところにいる悪魔たちを凝視した決定版〈悪魔学入門〉。 【本書の内容】 1 サタン紳士録 2 悪魔学入門 3 闇の力 4 黒と白 5 飛行幻想――魔女狩り1 6 小さな町――魔女狩り2 7 ファウスト博士 8 不思議博物館 9 流刑の神々 10 気の好い悪魔たち 11 魔除け 12 いたるところに悪魔がいる 補遺 ニーチェの妹 あとがき
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現象学
現象学
著:新田 義弘
講談社学術文庫
二十世紀初頭、フッサールによって創唱された現象学。経験のなかに知識の原理として機能する原型を探るこの学問は、ハイデガー、サルトル、メルロ=ポンティらに多大な影響を与え、思想・哲学の大きな潮流となる。フッサールの哲学を原テクストに則して問い直し、現象学の基本的事象とその本質を解明する、斯界の泰斗の精緻な思索が結晶した珠玉の書。 フッサール、ハイデガー、サルトル、メルロ=ポンティ、ガダマー、レヴィナス―― 20世紀の哲学はこの潮流のなかにあった 事象そのものへ! 二十世紀初頭、フッサールによって創唱された現象学。経験のなかに知識の原理として機能する原型を探るこの学問は、ハイデガー、サルトル、メルロ=ポンティらに多大な影響を与え、思想・哲学の大きな潮流となる。フッサールの哲学を原テクストに則して問い直し、現象学の基本的事象とその本質を解明する、斯界の泰斗の精緻な思索が結晶した珠玉の書。 現象学は事象そのものの絶えざる自己所与性への道である。そのことは、現象学が一つの真理教説ではなく、真理への問いの絶えざる自己修正の運動であることを意味している。……理性の自己所与性への道は、知の自己解放の道である。……知とは「明るみ」と「暗がり」との「交替運動(Wechsel-Spiel)」であり、現象学的思惟とはこの運動の内側からそれを構造化し透明化してゆく思惟であり、まさにこの運動そのものの次元を次第に深めてゆくことにほかならないのである。――<本書「結語」より> ※本書の原本は、1978年2月、岩波書店より刊行されました。
ユダヤ教の誕生――「一神教」成立の謎
ユダヤ教の誕生――「一神教」成立の謎
著:荒井 章三
講談社学術文庫
放浪、奴隷、捕囚。民族的苦難の中で遊牧民の神は成長し、ついには全宇宙を創造・支配する唯一なる神ヤハウェに変貌する。なぜ彼らは「一神教」を成立させ、「律法の民」となったのか? キリスト教やイスラームを生み、歴史の果てにイスラエル国家をも造り上げた「奇跡の宗教」の軌跡を、『聖書』の精読を通して、神理解の変化に焦点を当てつつ探究する。 放浪、奴隷、捕囚。民族的苦難の中で遊牧民の神は成長し、ついには全宇宙を創造・支配する唯一なる神ヤハウェに変貌する。 なぜ彼らは「一神教」を成立させ、「律法の民」となったのか? キリスト教やイスラームを生み、歴史の果てにイスラエル国家をも造り上げた「奇跡の宗教」の軌跡を、『聖書』の精読を通して、神理解の変化に焦点を当てつつ探究する。 ※本書の原本は、1997年10月、小社より講談社選書メチエとして刊行されました。
電子あり
日本人と地獄
日本人と地獄
著:石田 瑞麿
講談社学術文庫
古代インドに発祥する「地獄」は、この風土でどのような変容をとげたのか? 仏教典籍、『霊異記』、冥界めぐり譚、絵草紙、和歌・川柳や能・狂言などを広く渉猟して、地獄の構造とイメージを読み解く。また、火山・温泉や飢饉・災害など、現世にある地獄を史料に探る。天上の極楽浄土の対極には、地下の恐怖世界が広がっている。読む「地獄事典」です。 等活地獄、黒縄地獄、衆合地獄、叫喚地獄、大叫喚地獄、炎熱地獄、大炎熱地獄、無間地獄……。仏教典籍、史料・文芸作品等を渉猟・博引し、冥府に日本人が見た驚異の心象風景を描き出す 古代インドに発祥する「地獄」は、この風土でどのような変容をとげたのか? 仏教典籍、『霊異記』、冥界めぐり譚、絵草紙、和歌・川柳や能・狂言などを広く渉猟して、地獄の構造とイメージを読み解く。また、火山・温泉や飢饉・災害など、現世にある地獄を史料に探る。天上の極楽浄土の対極には、地下の恐怖世界が広がっている。読む「地獄事典」です。 地獄に堕ちる業因について、初期小乗経典『増一阿含経』「八難品」は、……正法の誹謗に始まり、十悪(殺生・偸盗・邪淫・妄語・両舌・悪口・綺語・貪欲・瞋恚・邪見)と五逆(殺父・殺母・殺阿羅漢・出仏身血・破和合僧)をあげる。……『正法念処経』は、……活(等活)地獄の業因は「殺生」、黒縄地獄は「悪見」、……阿鼻地獄は他の七地獄とその別処を合わせたよりも「一千倍も勝」った地獄で、罪業を五逆罪とする。(序章より抜粋) ※本書の原本は、1998年に春秋社より刊行されました。
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武士の誕生
武士の誕生
著:関 幸彦
講談社学術文庫
草深い辺境から「都の堕落した貴族」を倒すために現れたのか、それとも武芸を生業とした貴族社会の一員だったのか――。近年活況を呈する武士論の二つの見方を統合し、「武士誕生」の道筋を描く。古代の蝦夷との戦争が坂東の地に蒔いた「武の遺伝子」は、平将門、藤原秀郷らによって育まれ、武家の棟梁たる源義家、頼朝らによって大きく開花した。
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