講談社学術文庫作品一覧

カント「視霊者の夢」
講談社学術文庫
理性によって認識できないものは、形而上学の対象になりうるか――。哲学者カントが、同時代の神秘思想家スヴェーデンボリの「視霊現象」を徹底的に検証。当時高い世評を得ていた霊能者へのシニカルかつ鋭利な批判を通して、人間の「霊魂」に対する哲学者としての見解を示す。『純粋理性批判』に至るステップとなった、重要著作。
理性によって認識できないものは、形而上学の対象になりうるか――。哲学者カントが、同時代の神秘思想家スヴェーデンボリの「視霊現象」を徹底的に検証。当時高い世評を得ていた霊能者へのシニカルかつ鋭利な批判を通して、人間の「霊魂」に対する哲学者としての見解を示す。『純粋理性批判』に至るステップとなった、重要著作。三浦雅士氏による巻末解説「批評家の夢」を掲載。

江戸と江戸城
講談社学術文庫
古代「阿豆麻(あづま)」~「大江戸」完成まで
急拡大を遂げた世界一の都市は、城を中心とする「渦巻き構造」を持つ
町の成立過程と実態を徹底的に腑分けする
古代名「阿豆麻」=東国は中世まで、常に辺境であった。鎌倉時代、武士の江戸氏が、浅草~蒲田~喜多見~阿佐カ谷一帯を治めるも、没落。廃墟=江戸は百年後太田道灌によって再興(一四五七)。家康・秀忠・家光の三代で、城と城下町が完成(一六四〇)。その後もスプロールを続け、世界最大の都市となる。江戸の歴史・構造・実態を、証拠をもとに徹底再現。
※本書の原本は、1966年に鹿島出版会より刊行されました。

カレーライスの誕生
講談社学術文庫
インドに生まれ、イギリスを経て、近代黎明期の幕末日本に西洋料理として入ってきたカレー。いまや「国民食」となったカレーの受容と変容は、近代における西洋文明の受容と、日本風アレンジの歴史そのものだった。多岐にわたる資料を渉猟して、日本のカレーの歴史と謎を解明し、そこに秘められた人々の知恵と苦闘のドラマを描いた、異色の食文化史。
インドに生まれ、イギリスを経て、近代黎明期の幕末日本に西洋料理として入ってきたカレー。いまや「国民食」となったカレーの受容とは、近代における西洋文明の受容と、日本風アレンジの歴史そのものだった――。多岐にわたる資料を渉猟して、日本のカレーの歴史と謎を解明し、そこに秘められた人々の知恵と苦闘のドラマを描いた、異色の食文化史。

地下水と地形の科学 水文学入門
講談社学術文庫
黒部川扇状地、武蔵野台地、千葉・市原、熊本市……。三次元空間を時間とともに変化する四次元現象である地下水流動を可視化する水文学。地下水の容器としての不均質で複雑な地形と地質を解明した地下水学は、改めて環境問題に取り組む。地下水=共有財(コモンズ)を、単に資源としてではなく、文化・心理的な環境要因とみなし、自然と人間の幸福な関係を探究する。
「地球水循環システム」と「地域水循環システム」が生命の源である。武蔵野台地、黒部川扇状地ほか、国内外の実地調査により、地形・地質・気象と水循環の関係を解読し、「コモンズ」としての水の利用を考える。
黒部川扇状地、武蔵野台地、千葉・市原、熊本市……。三次元空間を時間とともに変化する四次元現象である地下水流動を可視化する水文学。地下水の容器としての不均質で複雑な地形と地質を解明した地下水学は、改めて環境問題に取り組む。地下水=共有財(コモンズ)を、単に資源としてではなく、文化・心理的な環境要因とみなし、自然と人間の幸福な関係を探究する。
環境問題は、ひらたくいえば、人々が「らく」や便利さを求めた結果である。ヒトがらくを求めれば、ヒトをとりまく自然は必ず変化する。……袋小路から抜け出す一つの道は、水に注目することである。……水は循環する過程で熱や物質を運び、生物を育てる。気候の形成、地形の形成、生態系の形成には、いずれも水循環が強く関与している。水循環のエネルギー源は、……尽きることのない太陽光と重力である。……望みは水にある。――<「はじめに」より>
※本書は、1992年にNHK出版より刊行された『地下水の世界』を原本に、加筆・改訂を加え、改題をしました。

幕末の天皇
講談社学術文庫
近代天皇制を生み出した、十八世紀末から八十年にわたる朝廷の“闘い”のドラマ――。神事や儀礼の再興・復古を通して朝権強化をはかった光格天皇。その遺志を継いで尊皇攘夷のエネルギーを結集しカリスマとなった孝明天皇。幕末政治史の表舞台に躍り出た二人の天皇の、薄氷を踏むような危うい試みを活写し、「江戸時代の天皇の枠組み」を解明する。

フライ・フィッシング
講談社学術文庫
読者は川岸での純潔な悦びと静思の愉しみを伝えられ、感染し、ほのぼのと心のほぐれをほどかれる……真に重要なのは人と作品にある感情の魅力であり、気品である……まったくそのとおりである。その言葉をそのまま卿の著作についても贈呈したい。――<開高健の巻頭言より>
この本は、べつにフライに興味や知識や経験のない人でも味得できるように書かれている。卿その人が序文に書いているように、釣りの技や道具の解説よりも大事なことは読者と釣りの悦びそのものを……共感しあえるように書くことである。……たちどまりしつつもどうしても最後の頁まで読みとおさずにはいられないという本も読んで頂きたい。――(開高健)
美しい草原と木立、水面に映える光、川の流れのささやき……。月日が過ぎ去っても、これらは絶えず眼に浮かんで、われわれを喜びで満たしてくれる。そして、思い出に残る環境の中へ逃げ帰りたいという熱望にわれわれを駆り立てる。そこで、釣りのための暇をつくる。釣りそのもののためでもあるが、そればかりではない。春あるいは夏の美しさを誇っているにちがいない、その選ばれた場所をふたたび訪れずにはいられないからだ。――<「第一章 はじめに」より>
※本書の原本は、1991年、ティビーエス・ブリタニカより刊行されました。

生類をめぐる政治――元禄のフォークロア
講談社学術文庫
動物の殺生を禁じ、特に犬の愛護を強いて民衆を苦しめたとされる徳川五代将軍・綱吉。しかしそれは本当に将軍個人の思いつき=愚行にすぎなかったのか。「鉄砲改め」や捨子・捨牛馬の禁止などを含み「生類憐み令」と総称される政策が、当時の社会的要請に応えて発せられたことを論じ、「自然と人間の歴史」のなかで「元禄という時代」の意味を捉え直す。
<御犬様>政策は、将軍の単なる「愚行」だったのか?
「諸国鉄砲改め」や、捨子・捨牛馬の禁止などを含む「生類憐み令」の真意とは。元禄時代と綱吉政権への見方を一新した名著。
動物の殺生を禁じ、特に犬の愛護を強いて民衆を苦しめたとされる徳川五代将軍・綱吉。しかしそれは本当に将軍個人の思いつき=愚行にすぎなかったのか。「鉄砲改め」や捨子・捨牛馬の禁止などを含み「生類憐み令」と総称される政策が、当時の社会的要請に応えて発せられたことを論じ、「自然と人間の歴史」のなかで「元禄という時代」の意味を捉え直す。
※本書の原本は、1983年に平凡社より刊行され、その後、1993年に平凡社ライブラリー版として刊行されました。

悪魔の話
講談社学術文庫
悪魔。
神の教えと対をなし世界の半分を支配するとされた闇の帝王たち。
その誕生から性格、分類、風貌、材質、総数、そして悪魔と契約する方法まで。
ヨーロッパが育んだ「悪魔」の観念は、どこから生まれどこへ行くのか。
その歴史を追い、人類史上最大の悲劇が生起する過程にまで迫る。
人の世のいたるところにいる悪魔たちを凝視した決定版〈悪魔学入門〉。
【本書の内容】
1 サタン紳士録
2 悪魔学入門
3 闇の力
4 黒と白
5 飛行幻想――魔女狩り1
6 小さな町――魔女狩り2
7 ファウスト博士
8 不思議博物館
9 流刑の神々
10 気の好い悪魔たち
11 魔除け
12 いたるところに悪魔がいる
補遺 ニーチェの妹
あとがき

現象学
講談社学術文庫
二十世紀初頭、フッサールによって創唱された現象学。経験のなかに知識の原理として機能する原型を探るこの学問は、ハイデガー、サルトル、メルロ=ポンティらに多大な影響を与え、思想・哲学の大きな潮流となる。フッサールの哲学を原テクストに則して問い直し、現象学の基本的事象とその本質を解明する、斯界の泰斗の精緻な思索が結晶した珠玉の書。
フッサール、ハイデガー、サルトル、メルロ=ポンティ、ガダマー、レヴィナス――
20世紀の哲学はこの潮流のなかにあった
事象そのものへ!
二十世紀初頭、フッサールによって創唱された現象学。経験のなかに知識の原理として機能する原型を探るこの学問は、ハイデガー、サルトル、メルロ=ポンティらに多大な影響を与え、思想・哲学の大きな潮流となる。フッサールの哲学を原テクストに則して問い直し、現象学の基本的事象とその本質を解明する、斯界の泰斗の精緻な思索が結晶した珠玉の書。
現象学は事象そのものの絶えざる自己所与性への道である。そのことは、現象学が一つの真理教説ではなく、真理への問いの絶えざる自己修正の運動であることを意味している。……理性の自己所与性への道は、知の自己解放の道である。……知とは「明るみ」と「暗がり」との「交替運動(Wechsel-Spiel)」であり、現象学的思惟とはこの運動の内側からそれを構造化し透明化してゆく思惟であり、まさにこの運動そのものの次元を次第に深めてゆくことにほかならないのである。――<本書「結語」より>
※本書の原本は、1978年2月、岩波書店より刊行されました。

ユダヤ教の誕生――「一神教」成立の謎
講談社学術文庫
放浪、奴隷、捕囚。民族的苦難の中で遊牧民の神は成長し、ついには全宇宙を創造・支配する唯一なる神ヤハウェに変貌する。なぜ彼らは「一神教」を成立させ、「律法の民」となったのか? キリスト教やイスラームを生み、歴史の果てにイスラエル国家をも造り上げた「奇跡の宗教」の軌跡を、『聖書』の精読を通して、神理解の変化に焦点を当てつつ探究する。
放浪、奴隷、捕囚。民族的苦難の中で遊牧民の神は成長し、ついには全宇宙を創造・支配する唯一なる神ヤハウェに変貌する。
なぜ彼らは「一神教」を成立させ、「律法の民」となったのか? キリスト教やイスラームを生み、歴史の果てにイスラエル国家をも造り上げた「奇跡の宗教」の軌跡を、『聖書』の精読を通して、神理解の変化に焦点を当てつつ探究する。
※本書の原本は、1997年10月、小社より講談社選書メチエとして刊行されました。

日本人と地獄
講談社学術文庫
古代インドに発祥する「地獄」は、この風土でどのような変容をとげたのか? 仏教典籍、『霊異記』、冥界めぐり譚、絵草紙、和歌・川柳や能・狂言などを広く渉猟して、地獄の構造とイメージを読み解く。また、火山・温泉や飢饉・災害など、現世にある地獄を史料に探る。天上の極楽浄土の対極には、地下の恐怖世界が広がっている。読む「地獄事典」です。
等活地獄、黒縄地獄、衆合地獄、叫喚地獄、大叫喚地獄、炎熱地獄、大炎熱地獄、無間地獄……。仏教典籍、史料・文芸作品等を渉猟・博引し、冥府に日本人が見た驚異の心象風景を描き出す
古代インドに発祥する「地獄」は、この風土でどのような変容をとげたのか? 仏教典籍、『霊異記』、冥界めぐり譚、絵草紙、和歌・川柳や能・狂言などを広く渉猟して、地獄の構造とイメージを読み解く。また、火山・温泉や飢饉・災害など、現世にある地獄を史料に探る。天上の極楽浄土の対極には、地下の恐怖世界が広がっている。読む「地獄事典」です。
地獄に堕ちる業因について、初期小乗経典『増一阿含経』「八難品」は、……正法の誹謗に始まり、十悪(殺生・偸盗・邪淫・妄語・両舌・悪口・綺語・貪欲・瞋恚・邪見)と五逆(殺父・殺母・殺阿羅漢・出仏身血・破和合僧)をあげる。……『正法念処経』は、……活(等活)地獄の業因は「殺生」、黒縄地獄は「悪見」、……阿鼻地獄は他の七地獄とその別処を合わせたよりも「一千倍も勝」った地獄で、罪業を五逆罪とする。(序章より抜粋)
※本書の原本は、1998年に春秋社より刊行されました。

武士の誕生
講談社学術文庫
草深い辺境から「都の堕落した貴族」を倒すために現れたのか、それとも武芸を生業とした貴族社会の一員だったのか――。近年活況を呈する武士論の二つの見方を統合し、「武士誕生」の道筋を描く。古代の蝦夷との戦争が坂東の地に蒔いた「武の遺伝子」は、平将門、藤原秀郷らによって育まれ、武家の棟梁たる源義家、頼朝らによって大きく開花した。

荻生徂徠「政談」
講談社学術文庫
悪魔の統治術か。近代的思惟の先駆けか。
江戸の<病理>に立ち向かった、日本近世思想史の巨人による政策提言集。
開闢以来第一の人物と同時代人にも称賛された日本近世思想史の巨人、徂徠。
将軍吉宗の下問に応えて彼が献上した極秘の政策提言書には悪魔的な統治術の数々がしたためられていた。
反自由・反平等・反啓蒙の立場の表れか。
近代的思惟の先駆けか。
それは江戸の現実と病理に立ち向かった実践的思索の集積であった。
いまも論争を呼ぶ経世の書を平明な現代語で読む。
<「政談」巻末より>
「機事、密ならざれば、則ち害生ず」(『易経』繋辞上伝)ということがあって、幕府の政治上の機密は明白に人に語るべきものではないから、この物語は弟子にも書かせず、私自身の老眼と悪筆で認(したた)めたことである。将軍様の上覧に入れたのちは、焼却していただきたい。
物部茂卿 敬 識(もののべのもけい つつしんで しるす)
※本書の原本は、1974年に『日本の名著 16 荻生徂徠』として中央公論社より刊行されました。
文庫化にあたっては、中公バックス版の同名書(1983年刊)を底本としました。

永楽帝――華夷秩序の完成
講談社学術文庫
簒奪、殺戮、歴史の捏造……。
その果てに築きあげた、中華の〈世界システム〉。
明朝第三代、永楽帝。甥である建文帝から皇位を簒奪し、執拗なまでに粛清と殺戮を繰り返し、歴史を書き換えて政敵が存在した事実まで消し去ろうとした破格の皇帝。
その執念と権勢はとどまるところを知らず、中華の威光のもと朝貢国六〇余をかぞえる「華夷秩序」を築き上げた。
それは前近代東アジアを律しつづけた中華の〈世界システム〉であった。
*
――彼の確立した体制は、中国国内ばかりか東アジア諸国でも、「近代」以前の社会を規定した。良きにつけ悪しきにつけ、中国の影響を受けつづけた周辺諸国は、彼の時に明朝を中心とした国際秩序に組み込まれ、その枠組みのなかでの行動を強いられた。(……)東アジアの国際関係を律するシステムの完成は、永楽時代にある。――<本書「あとがき」より>
※本書の原本は、1997年、小社より刊行されました。
【本書の内容】
はじめに
第一章 中華という名の世界
1 中華と夷狄
2 中華世界の変転
第二章 大明帝国の誕生
1 中華の回復
2 元から明へ
3 明初体制の意味するもの
第三章 皇統のゆくえ
1 燕王の事蹟
2 暗闘
第四章 奪権への階梯
1 南人朝廷
2 挙兵前夜
第五章 歴史の翻転
1 靖難の変
2 理念の末路
第六章 失われた時のなかで
1 建文出亡
2 滅びゆく者たち
第七章 天命の所在
1 聖王の御代
2 徳治の実態
第八章 クビライを越えて
1 四夷朝貢
2 拡大する中華
第九章 華夷秩序を統べる者
1 順逆の理
2 天子の都
第十章 永楽帝の遺産
1 盛世の翳り
2 中国史の転換点
参考文献
あとがき
文庫版あとがき

日本の産業革命――日清・日露戦争から考える
講談社学術文庫
製糸・紡績、鉄道、鉱山、金融。日本の近代化を支えたものは戦争と侵略だったのか? 本書は日清・日露両戦争と産業革命の関係を軸に、構造を変革する主体の姿を解明、新たな歴史像を描出する。明治の国家目標「殖産興業」が「強兵」へと転換する過程を追い、十九世紀末から二十世紀初頭にかけて世界経済の中で日本が選択した道を鮮やかに活写する。
日本の近代化を支えたものは戦争と侵略だったのか?
明治の国家目標「殖産興業」はいつ、なぜ、どのように「強兵」へと転換したか
製糸・紡績、鉄道、鉱山、金融。日本の近代化を支えたものは戦争と侵略だったのか? 本書は日清・日露両戦争と産業革命の関係を軸に、構造を変革する主体の姿を解明、新たな歴史像を描出する。明治の国家目標「殖産興業」が「強兵」へと転換する過程を追い、十九世紀末から二十世紀初頭にかけて世界経済の中で日本が選択した道を鮮やかに活写する。

大聖堂・製鉄・水車―中世ヨーロッパのテクノロジー
講談社学術文庫
「暗闇の中世」は、実は技術革新の時代だった!
建築・武器・農具・織機・印刷……直観を働かせ、失敗と挑戦を繰り返した職人や聖職者、芸術家たちが世界を変えた。
西洋中世の新たな実像を描いて定評ある著者による、テクノロジーの中世史。軍事、建築、交通から、織機や農具など、あらゆる具体的なモノの変遷と、社会や暮らしの変化をたどる。「停滞の元凶」とされる教会や修道院が時に技術革新の推進力となり、また、東方の文化を吸収しつつ千年にわたって緩やかに進行した技術革新が、近代の「革命」を用意していく。

儀礼としての消費 財と消費の経済人類学
講談社学術文庫
辻井喬氏による推薦のことば――
本書は消費を人間の活動のただ中に置くことで、消費についてばかりでなく、社会的活動に新しい光を当てた画期的論文である。世界で最も影響力のある人類学者のこの論文を読んで以来、私の中で消費は勿論のこと経済人類学そのものが新しい姿をもって現れるようになった。
人類学の巨匠メアリー・ダグラスが、「消費」と「財」という経済理論の難問に迫る。「財」の有用性を括弧に入れ、「財」を消費者の価値秩序を物理的に示す「標識(マーカー)」として、「消費」をコミュニケーションとして改めて定義する。ケインズ、ウェーバー、デューゼンベリー、フリードマン、エンゲル、レヴィ=ストロースなどの所説を検証し、消費社会を駆動する原理を解き明かす。
〔本書〕のねらいは、人類学もしくは記号論と経済学との間に一つの橋を架すること、すなわち、社会を律する象徴秩序を解明するという象徴人類学の手法を経済の領域に適用することにある。〔略〕本書は、記号論になじみの薄い経済学徒にとって、きわめてとっつきやすい経済人類学への入門書といえるのである。〔略〕本書で展開される消費の経済人類学は、今後の経済社会のありようを読み解く上で、きわめて適切にして新鮮な視点を一つ提供してくれたことになる。――<「訳者あとがき」より>
※本書の原本は、1984年、新曜社より刊行されました。

パラドックス―論理分析への招待―
講談社学術文庫
新たなパラドックスの発見と、それとの格闘が、人間の思索を深め、新しい論理学や意味論の形成をもたらした。「嘘つきのパラドックス」や「不意打ち試験のパラドックス」、さらに「自由と必然」「他人の心を知り得るか」など古来の哲学的難問を取り上げ、自然科学的世界像と日常的世界との亀裂に生じるパラドックスとして論理分析を武器に解明していく。(講談社学術文庫)
たとえば、この言明をどう理解するか?
この枠内に書いてあることは、ウソである。
パラドックスとの格闘が人間の思考を鍛えてきた
新たなパラドックスの発見と、それとの格闘が、人間の思索を深め、新しい論理学や意味論の形成をもたらした。「嘘つきのパラドックス」や「不意打ち試験のパラドックス」、さらに「自由と必然」「他人の心を知り得るか」など古来の哲学的難問を取り上げ、自然科学的世界像と日常的世界との亀裂に生じるパラドックスとして論理分析を武器に解明していく。
※本書の原本は、1972年、中央公論社より刊行されました。

地形からみた歴史 古代景観を復原する
講談社学術文庫
「地震」「水害」「火山」「雷」「大風」……。『記紀』に描かれた数多の自然現象とその災害の実態とは? 「浦」「江」「潟」「岸」「潮」「浜」……。『万葉集』に謳われた風光明媚な景を現在と比較すると? 「古墳」「池」「溝」「津」「水門」、人為は景観をどう変えたのか? 空中写真、地形図、遺構・遺跡、史料を突き合わせ、失われた古代日本を大胆に復原する。(講談社学術文庫)
自然と人間によって、大地は姿を変える
『記紀』『万葉集』に登場する「水門」「潟」「大溝」「津」とは?
古日本の姿を、地理学・考古学・歴史学を総動員して復原する
「地震」「水害」「火山」「雷」「大風」……。『記紀』に描かれた数多の自然現象とその災害の実態とは? 「浦」「江」「潟」「岸」「潮」「浜」……。『万葉集』に謳われた風光明媚な景を現在と比較すると? 「古墳」「池」「溝」「津」「水門」、人為は景観をどう変えたのか? 空中写真、地形図、遺構・遺跡、史料を突き合わせ、失われた古代日本を大胆に復原する。
……環濠とシュートバー(埋没礫堆)の調査では、あらかじめ用意した地形分類予察図、空中写真、検土杖(けんどじょう)などを持って現地に出かけ、発掘現場の露頭観察や検土杖による地質調査に汗を流し、(中略)広くて傾斜の緩やかな地域では地形図、空中写真、折れ尺などを手に、黙々とペダルを踏んだ。自転車は、平野の微起伏をとらえるのに、とても都合がよかった。(中略)私は地形環境と人間活動との関係を、かなりながい時間軸でとらえるという方法を、頑(かたくな)にとり続けてきた――<「学術文庫版まえがき」より>
※本書の原本『古代景観の復原』は、1991年に中央公論社より刊行されました。

江戸の食空間――屋台から日本料理へ
講談社学術文庫
盛り場に、辻々に、縁日に、百万都市江戸を埋め尽くしたファストフード屋台から、てんぷら、すし、そばは生まれた。庶民の愛した江戸前の味、意外に質素な将軍の食卓、調味料や嗜好品がもたらした食の発展、初鰹狂奏曲、料理茶屋の番付や料理書が出版されるグルメブーム、そして究極の料理茶屋「八百善」――。多彩で華麗な江戸の食空間を読み解く。
盛り場に、辻々に、縁日に、百万都市江戸を埋め尽くしたファストフード屋台から、てんぷら、すし、そばが生まれた。庶民の愛した江戸前の味、意外に質素な将軍の食卓、調味料や嗜好品がもたらした食の発展、初鰹狂奏曲、料理茶屋の番付や料理書が出版されるグルメブーム、そして究極の料理茶屋「八百善」――。多彩で華麗な江戸の食空間を読み解く。