講談社学術文庫作品一覧

善の研究
善の研究
著:西田 幾多郎,その他:小坂 国継
講談社学術文庫
日本最初の本格的な哲学書『善の研究』。深い思索とたゆまぬ探究心、西洋思想との厳しい対決。西田幾多郎は、人間の意識を深く掘り下げ、心の最深部にある真実の心は何かを探究し続けた。本書では、難解な本文を平易に噛み砕きやさしく読み解き、詳細で懇切な注釈と的確な解説を施し、論旨を纏め示す。2編の補論も収載、西田の代表作理解のための最善の書。(講談社学術文庫) 丁寧な注釈と的確な解説 日本哲学の名著を読む 日本最初の本格的な哲学書『善の研究』。深い思索とたゆまぬ探究心、西洋思想との厳しい対決。西田幾多郎は、人間の意識を深く掘り下げ、心の最深部にある真実の心は何かを探究し続けた。本書では、難解な本文を平易に噛み砕きやさしく読み解き、詳細で懇切な注釈と的確な解説を施し、論旨を纏め示す。2編の補論も収載、西田の代表作理解のための最善の書。 本書は、西田幾多郎の代表作『善の研究』に注釈と解説を試みたものである。『善の研究』で用いられている難解な哲学用語をわかりやすく説明し、本文中に引用されている哲学者の思想やその著作を簡明に解説した。また、意味のとりにくい難解な文章をできるだけ平易に、くだいた形で表現し直し、各章ごとに、その全体の論旨をまとめ、それと同時に、個々の主張の背後にある根本の精神を明らかにするよう努めた。――<本書「まえがき」より>
電子あり
十二世紀ルネサンス
十二世紀ルネサンス
著:伊東 俊太郎
講談社学術文庫
中世の真っ只中、閉ざされた一文化圏であったヨーロッパが、突如として「離陸」を開始する12世紀。東方からシチリアへ、イベリア半島へ、ギリシア・アラビアの学術がもたらされる。ユークリッド、プトレマイオス、アル=フワーリズミーなどが次々とラテン訳され、飛躍的に充実する西欧の知的基盤。先進的アラビアとの遭遇が生んだ一大転換期を読む。 アラビア世界から西欧へ 中世の眠りを覚ます 創造的文明移転の時代 中世の真っ只中、閉ざされた一文化圏であったヨーロッパが、突如として「離陸」を開始する12世紀。東方からシチリアへ、イベリア半島へ、ギリシア・アラビアの学術がもたらされる。ユークリッド、プトレマイオス、アル=フワーリズミーなどが次々とラテン訳され、飛躍的に充実する西欧の知的基盤。先進的アラビアとの遭遇が生んだ一大転換期を読む。
電子あり
民藝とは何か
民藝とは何か
著:柳 宗悦
講談社学術文庫
「民藝」とは、民衆が日常に使う工藝品である。民家、民具、民画を総称して「民藝」と呼ぶ。「民藝品たること」と「美しく作りたること」には、固い結縁があり、質素こそが慕わしい徳である。このように清貧の美を説いた筆者の理念とは? 昭和の初頭に創始され、現在にまで受けつがれる「民藝運動」の精髄を知るための格好の入門書。(講談社学術文庫) 民家、民具、民画、民器…… 日常生活の中にある「下手(げて)の美」の発見 「民藝」とは、民衆が日常に使う工藝品である。民家、民具、民画を総称して「民藝」と呼ぶ。「民藝品たること」と「美しく作りたること」には、固い結縁があり、質素こそが慕わしい徳である。このように清貧の美を説いた筆者の理念とは?昭和の初頭に創始され、現在にまで受けつがれる「民藝運動」の精髄を知るための格好の入門書。
電子あり
誤解された仏教
誤解された仏教
著:秋月 龍ミン
講談社学術文庫
インドに発した仏教は、長い時間をかけてわが国へと到達したが、伝播の道筋で土着の思想と習合し、本来の思想から大きく変容した。この結果、「死者儀礼」「死者に対する〈仏〉という呼称」「霊魂の存在」など、現代に通じる誤った仏教理解が生じる。こうした誤解に塗れた日本人の仏教観を叱り、「仏教=無神論・無霊魂論」の主張を軸に、正伝の仏法を説く。(講談社学術文庫) 死者を仏と呼んではならぬ! 霊魂は無い! 霊魂や輪廻転生、神、死者儀礼等をめぐる問題を軸に、日本人の仏教に対する様々な誤解を龍ミン師が喝破。仏教についての正しい理解のあり方を説いた刺激的論考。
電子あり
後白河法皇
後白河法皇
著:棚橋 光男
講談社学術文庫
彼は〈日本一の大天狗〉だったのか? 中世胎動期に屹立する政治的巨人が透視したもの 源頼朝に対抗し、守旧勢力を巧妙に操った老獪な〈大天狗〉。はたまた『梁塵秘抄』を編纂した粋狂な男。後白河がいなければ、天皇制は存続しなかったかもしれない。古代王権を中世王権へと再生させるために、法皇は何を考えていたのか? 王権の機能を再編成し、文化情報の収集・独占と操作の意味を透視した天才の精神に迫る。
脳と人間
脳と人間
著:計見 一雄
講談社学術文庫
現実に「躓く」とは?「ズレ」とは? 精神科医が明らかにする 分裂病と脳の活動の関係 世界・現実との関係において躓き、ズレていく統合失調症=精神分裂病。「今」と「今から」を意図することの困難、身近な事物がもつ意味の突如たる凶変はなぜ起こるのか。脳の働きのどのような不具合が関係しているのか。精神科医療の最前線に立ち膨大なエビデンスを有する著者が、脳科学の最新の成果を動員して練り上げた、脳と精神に関する総合理論。
中世ヨーロッパの都市の生活
中世ヨーロッパの都市の生活
著:ジョゼフ・ギ-ス,著:フランシス・ギ-ス,訳:青島 淑子
講談社学術文庫
賑わうシャンパーニュの大市 今も変わらぬ主婦の生活 1250年、トロワを描く 中世、城壁が築かれ、都市があちこちで誕生した。 異民族の侵寇や農業・商業の発達はそれに拍車をかけた。1250年、シャンパーニュ伯領の中心都市、トロワ。そこに住む人々はどのような生活を送っていたのか。主婦や子供たちの1日、結婚や葬儀、教会や学校の役割、医療や市(いち)の様子などを豊富なエピソードを盛り込み描く。活気に満ち繁栄した中世都市の実像が生き生きと蘇る。 西ヨーロッパにおいて、現在へとつながる都市が成立したのは、中世のことである。1250年には、古代から栄えた地中海沿岸地域だけでなく、北西ヨーロッパにおいても都市は活気に満ち、繁栄していた。本書では、この時期に新たに花開いた都市の一つであるトロワを選び、13世紀の折り返し点、1250年におけるトロワの人々の生活を追ってみようと思う。――<本書「プロローグ」より>
麺の文化史
麺の文化史
著:石毛 直道
講談社学術文庫
そば、うどん、ラーメン、スパゲッティ… 広範な実地調査の成果をもとに問う 麺の起源とその伝播 そば、うどん、冷麺、ラーメン、スパゲッティ……。これらに当代の即席麺まで加えれば、今や麺文化は世界を覆っているといっても過言ではない。そもそも麺とはいったい何か。麺はいつ頃、どこに生まれ、どのように波及したのか。厖大な文献を渉猟するとともに、精力的に積み重ねた広範なフィールドワークの成果をもとに綴る、世界で初の「文化麺類学」。
太閤の手紙
太閤の手紙
著:桑田 忠親
講談社学術文庫
道義を好み不義を憎み、仲間と敵を愛し、 親孝行で子煩悩、女好きな恐妻家―― 日本人に最も愛された英雄の素顔 数多の「太閤記」が振りまいた誇大と虚妄に満ちた英雄伝説の数々。しかるに、本当の秀吉はいかなる男だったのか? 喜・怒・哀・楽が発露する手紙。読めば読むほど面白い信書を、丹念に読み味わおう。「つゆとおちつゆときえにしわがみかな難波の事もゆめの又ゆめ」と辞世を詠んだ英雄の生きざまと本心が、まざまざとよみがえる。 秀頼事、成りたち候やうに、此の書付の衆として、たのみ申し候。なに事も、此のほかには、おもひのこす事なく候。 ここに掲げた末期の文は(中略)、「秀頼事、たのみ申し候。」の連発で、「なごりおしく候。」と結んでいるところなど、(中略)英雄の最期の言葉とは、どうしても思えない。忍び泣く女性の繰りごとにも似ている。鳥のまさに死なんとするや、その声よし…という古語があるが、これが人間太閤の本音であったと、私は思うのである。――<本書「19 末期の文」より>
金属と日本人の歴史
金属と日本人の歴史
著:桶谷 繁雄
講談社学術文庫
草薙剣、奈良の大仏、日本刀、火縄銃―― 人は金属器を造り 金属器は歴史を創った 人間と金属が織りなす壮大なロマン。西洋に例のない独特の音色をもつ梵鐘はどのように生まれたか。完成まで28年を要した奈良の大仏はどうやって作られたか。鋭さと美をあわせもつ日本刀の秘密、また時代を変えた火縄銃、その兵器革命はいかに展開したか――。歴史を創った日本人と冶金技術の興味深い関係を、金属学の泰斗が平易な文章で綴る。
ウィーン物語
ウィーン物語
著:宝木 範義
講談社学術文庫
ハプスブルク家の支配のもと、血と力で600年の長きにわたり政治・経済・文化の要として欧州に君臨した、神聖ローマ帝国の都ウィーン。その都市と文化の調和はパリを羨望させた。芸術や学問にモーツァルト、クリムト、フロイト等々、数多の巨星を生んだウィーン文化の真髄を、聖堂、美術館、環状道路、カフェ、家具など都市空間に潜む感性に探る。
電子あり
続・絵で見る幕末日本
続・絵で見る幕末日本
著:エメェ・アンベ-ル,訳:高橋 邦太郎
講談社学術文庫
<好評続編> 異国人の目から見た 幕末の江戸の町とその生活 該博な知識、卓越した識見、犀利な慧眼。また人間味も豊かなスイス人の目に、日本はどのように映ったか。風雲急、激動する世情の中、日本の実情をつぶさに観察。大君の居城、正月や節句の行事、浅草の祭りや市など、江戸の町とその生活を見たままありのままに描写する。日本調査研究の記事も盛り込む興味深い幕末見聞録。味わい深い挿画を多数収録、日本翻訳文化賞受賞作品。 アンベールは余暇あるごとに日本の実情を調べ、歴史、地理、宗教、社会制度、政治機構、風俗習慣等を観察し、文筆の才のある彼は「世界一周」誌に、「日本」と題する記事を掲げたが、これよりいっそう精密な見聞記を書いた。これが本書である。筆を長崎入港に起こしているが、単なる旅行記ではなく、むしろ、アンベールの日本研究及び観察の成果というべきもので、雑然とした記述がかえって興味ある読み物となっている。――<本書「訳者のことば」より>
神と自然の景観論
神と自然の景観論
著:野本 寛一
講談社学術文庫
日本人はどこに神を感じ 何に祈るのか 日本人は何に神聖感を抱きいかなる景観の中に神を見たのか。噴火する山、揺らぐ大地、暴れる水は畏怖の対象であり、岬・先島は常世への通路、磐座(いわくら)は神霊の核であった。また洞窟・淵・滝・立神などの自然地形に秘められた神意、松・杉・椎・タブなどの巨樹に蔵された侵すべからざる威力。全国各地の聖地の条件を探り、それにまつわる民俗を紹介する。
「分ける」こと「わかる」こと
「分ける」こと「わかる」こと
著:坂本 賢三
講談社学術文庫
分類――認識と理解のために人間が営む大いなる知的作業 「わかる」ために人間が行なう「分ける」という行為。分類の仕方はまた認識の仕方を決定づける。天と地、三材、四大、五行……世界認識のために引かれる分節線は細分化を通して原理に到り、折り返しなされる再構成の作業が「理解」を導く。古代ギリシャ・東洋の思想から近代哲学・科学まで分類の方法と論理を渉猟し、「わかる」ことの人間的真相に迫る。 教訓その1 分類は認識や行動のために人間がつくった枠組であって、存在そのものの区別ではない。 教訓その2 分類をつくる際には、必ず、「その他」や「雑」の項目をおいておくことが有用である。 教訓その3 「わかる」とは、その分類体系がわかるということであり、「わかり合う」とは、相互に相手の分類の仕方がわかり合うことである。 ――<本書より>
戦国期の室町幕府
戦国期の室町幕府
著:今谷 明
講談社学術文庫
土一揆の勃発、足軽・町衆の台頭―― 戦乱の京都、民衆たちは歴史の表舞台に登場した 民衆が歴史の表舞台に登場し、日本文化の伝統が形成された戦国時代の京都。その実像とはどのようなものか。本書は山門と五山の争い、幕府財政、警察制度、徳政一揆等を素材に政治経済都市としての中世末期の京都を概観、応仁の乱後の自治都市成立までを精緻な論証に基づいて活写する。中世史研究に一石を投じ高い評価を得た幻の名著、待望の文庫化。
電子あり
東亰時代
東亰時代
著:小木 新造
講談社学術文庫
江戸文化の面影を色濃く残す明治初期の東京 東京は、天下の総城下町から、一挙に近代国家の首都へと移行したのではない。その過渡期は明治前半期であり、東京が「東亰(とうけい)」とも呼ばれた時代であった。それは、文明開化の時流に取り残された江戸根生いの民が、江戸文化の名残を引きずりつつ生きた時代でもある。江戸から東京へと変貌していく過程を生きた、市井の民の生活実態を浮き彫りにする。
道元「小参・法語・普勧坐禅儀」
道元「小参・法語・普勧坐禅儀」
著:大谷 哲夫
講談社学術文庫
『永平広緑』巻八全編収録 坐禅の心構えと慈愛あふれる懇切な説法 永平寺で坐禅を組む前に必ず唱える「普勧坐禅儀」。坐禅の真髄とは何か。その心構えと作法も懇切に説く。結夏(けつげ)・解夏(かいげ)・冬至・除夜の修行と時節の折り目に、累代の祖師たちの言行を踏まえ、仏道を語る「小参」。古則公案や逸話を交え、仏法の大事を説く「法語」。真剣勝負に生きた道元の思想を漢文体の名文で綴った『永平広録』巻八の全訳注。禅とは何かを解き明かす。
江戸の博物学者たち
江戸の博物学者たち
著:杉本 つとむ
講談社学術文庫
日常生活と直結した学問 本草学の系譜と消長 本草学は、動・植物学、鉱物学等にわたる壮大な学問であり、ほぼ博物学に相当する。中国渡来のこの学問は、江戸期に日本独自の本草学を創成し、小野蘭山、畔田翠山により、その研究は頂点へと達した。明治期、本草学は欧米流学問の奔流に呑み込まれていくが、その成果は生物学、民俗学、方言学等に継承された。学問史に異彩を放つ日本本草学の消長。 狩猟民ではない農耕と魚撈(ぎょろう)の日本人はおのずと自然を友として、自然を人類のうちなる物類と認識したのである。五穀豊穣というように、物類の中核が草木であれば、自然を対象とする研究に草(そう)を本(もと)とする本草学の名が与えられ、卓越した詩人と求道者によって本草学が創造されていったのも当然のことといえよう。……人民の厚生を念じた日本の本草学者、それをとりまく社会・学芸・文化を時代とのかかわりで記述してみた。――<本書「本草学とは何か」より>
バタイユ
バタイユ
著:湯浅 博雄
講談社学術文庫
消尽、非知、内的体験 過剰な出来事に貫かれる人間の原初のありようとは? 独特な思想家バタイユ。「消尽」「純粋な贈与」「エロティシズム的欲望」「至高な価値」――彼が提示する概念はすべて彼自身によって深く生きられたことである。パリ国立図書館に勤務、ニーチェ、ヘーゲルなどを学び、非知という考え、共同性の思想へと練られてゆく道筋はどのようなものなのか。表象による認識の限界を越えようとする思考の運動に迫る。
清国文明記
清国文明記
著:宇野 哲人
講談社学術文庫
儒教精神が息づく清朝末期の中国を歩く 清王朝末期、儒教精神と伝統が息づく古き佳き中国。漢学の泰斗が、少壮時、留学先から両親に手紙を綴る。対聯(ついれん)、飛鳥技(ひちょうぎ)、辻々の物売りなど庶民の生活の様子や迎春の準備、上元節、打鬼(タークイ)などの四時の行事も紹介。また、雍和宮、十三陵、万里の長城といった名勝や曲阜(きょくふ)、長安、蘇州などの儒教ゆかりの史蹟・陵墓を歴訪。漢文調の流麗な名文で辛亥革命直前の中国が髣髴と甦る。 【曲阜聖廟】 廟庭の中央に杏壇がある。孔夫子道を説き給いし処と称す。……歩して東階より上る。大成殿は輪焉たり奐焉たり、荘厳典雅を極む。楣間に扁額あり、題して生民未有と云う。鞠躬如として堂に上れば、見よ正面には聖人在せり。王冠を戴き袞龍の御衣を着して端座し給い、眉目の間には無限の仁愛を表わし、口には笑みを含み、循々として教えを垂れ給うが如し。――<本書「山東紀行」より>