講談社学術文庫作品一覧

本を読む本
本を読む本
著:モーティマー・J・アドラー,著:チャールズ・V・ドーレン,訳:外山 滋比古,訳:槇 未知子
講談社学術文庫
本書は、1940年米国で刊行されて以来、世界各国で翻訳され読みつがれてきた。読むに値する良書とは何か、読書の本来の意味とは何かを考え、知的かつ実際的な読書の技術をわかりやすく解説している。初級読書に始まり、点検読書や分析読書をへて、最終レベルにいたるまでの具体的な方法を示し、読者を積極的な読書へと導く。単なる読書技術にとどまることなく、自らを高めるための最高の手引書。
筆跡の文化史
筆跡の文化史
著:原 子朗
講談社学術文庫
筆跡は書き手の心理や人間性をあらわすばかりではない。平安期の優美、鎌倉・室町期の壮美というように、筆跡は書かれた時代の雰囲気をも映し出す。本書は、1300年余におよぶ毛筆の歴史、筆跡のもつ形象美、筆跡をささえる筆記用具や用紙、書法の変化、筆跡と教育とのかかわり、文士たちの筆跡に見る個性と時代性等々、「筆跡」を視座にすえ、日本人の来し方を縦横に論じたユニークな文化史である。
バッハの思い出
バッハの思い出
著:M・アンナ・バッハ,訳:山下 肇
講談社学術文庫
人間バッハの苦悩と喜びを綴る「美しき魂の書」 音楽の父と呼ばれ、モーツァルト、ベートーベンにも多大な影響を与えたバッハ。対位法の巨匠、永遠を語るロマン主義者と称される一方、家庭を愛し、その芸術は生活との完全な調和(ハーモニー)を奏でていた。本書は、音楽家としての波乱の65年の生涯と、名曲の背後に隠された人間バッハの苦悩と喜びを、最良の伴侶の目を通して叙述。英独仏で多くの読者に愛され続けたバッハ理解に必読の古典的名著である。
京都帝国大学の挑戦
京都帝国大学の挑戦
著:潮木 守一
講談社学術文庫
京都大学創立100周年あらためて大学とはなにかを問う わが国高等教育の頂点に君臨する東京帝国大学の良きライバルとして、明治30年に創設された京都帝国大学。東大の官僚育成のための詰めこみ教育や権威主義を批判して、ドイツの大学をモデルに演習や卒業論文を重視した独自の教育方法を展開した。学生の自由でかつ自主的な学習・研究態度の育成をめざした京大創設期の教育改革の理想と挫折の歴史を考察し、あらためて今日の大学教育のあり方を問う。
ニーチェとその影
ニーチェとその影
著:三島 憲一
講談社学術文庫
「私の物語るのは次の二世紀の歴史である。」西欧的近代文明の根底からの批判者ニーチェは、自身の予言どおり没後一世紀となる現在も、偉大なる同時代者の輝きを失わない。1970年代のフランス思想の近代批判においてニーチェの精神は甦り、一方ドイツのハーバーマスは〈力への意志〉は非合理性への転回だと激しく論難した。後代の批判をも踏まえて、ニーチェを今どう読むべきかを第一人者が説く。
宗教学入門
宗教学入門
著:脇本 平也
講談社学術文庫
宗教学とは何か。これについて本書は、次の3つの観点から考察する。1つは、事実を客観的に取り上げて主観的な価値判断を避け、2つは、宗教を人間の生活現象の1局面として捉え、3つは、特定の一宗教ではなく複数の多宗教を資料として取り扱う。 変幻自在の怪物のような世界の宗教現象を、見事なスタンスとバランス感覚を生かして、社会的人間として必要な宗教の基本知識を詳述した待望の入門書。
現代文明を考える
現代文明を考える
著:ルイス・マンフォ-ド,訳:生田 勉,訳:山下 泉
講談社学術文庫
近年のコンピュータの普及に象徴されるように、科学技術の急速な進展と波及は、文明という舞台の中央から人間を閉めだしつつある。はたして、このような人間喪失の危機を脱する道はあるのだろうか。本書は、「人間は創造することを止める時、その生を止める」と主張した20世紀の代表的な文明批評家マンフォードが、芸術と技術の均衡回復によって、現代の危機は乗り越えが可能と訴える必読の名著。
社会主義の終焉
社会主義の終焉
著:桜井 哲夫
講談社学術文庫
1991年に消滅したソ連は、マルクス・レーニン主義の名の下に、マルクスの思想とはかけ離れた全体主義国家として存在した。著者は、19世紀のサン=シモン主義に遡り、産業化をめざしつつ前衛党による大衆支配へと変質した社会主義の変遷を跡づける。さらにルカーチからサルトルに至る20世紀のマルクス主義知識人像の解体の過程をも考察し、社会主義体制崩壊の歴史的意味を問い直した好著。
李白と杜甫
李白と杜甫
著:高島 俊男
講談社学術文庫
中国唐代は高名な詩人を輩出したが、なかでも李白と杜甫はひときわ強い光を放っている。744年、この両者は唐の副都洛陽で世に名高い奇跡的な邂逅をした。本書は、この時から1年余の交遊を振出しに、広大な中国全土を旅から旅へと明け暮れた2人の変転きわまる生涯をたどり、さまざまな詩の形式ごとに李・杜を比較、考察する。現代語訳をこころみ、李白の奔放、杜甫の沈鬱を浮彫りにした意欲作。
ドイツのことばと文化事典
ドイツのことばと文化事典
著:小塩 節
講談社学術文庫
哲学や音楽は勿論、勝れた文学や芸術で知られる国ドイツ。そしてまた、苦渋に満ちた歴史を持つ国ドイツ。果たしてドイツとは何か。本書は四季の流れに沿って、着実で堅牢なドイツ人の生活様式や風俗、習慣を探り、更にまた、ドイツ文化の諸相を伝統的な言語や宗教、文学や音楽などの面から歴史的に明らかにする。ドイツ人の生き方とその本質を浮き彫りにした興味尽きない必携のドイツ・ガイドブック。
うわさの遠近法
うわさの遠近法
著:松山 巖
講談社学術文庫
明治、大正、昭和時代が軋(きし)む時うわさが走る、うわさが事実となり真実がうわさとなる コレラ、ハレー彗星、千里眼、毒婦お伝……明治から昭和へ、激動の日本に生まれては消えた噂、デマ、迷信。人々の欲望や不安をのせて広まり、時には凄惨な事件までひき起こした様々な噂の驚くべき正体とは。情報機器が発達した今日においても依然として事実と噂の境目が曖昧な状況を踏まえて、噂を生み出す〈時代の仕掛け〉を問い直し、あざやかに近代日本を透視した庶民精神史。サントリー学芸賞受賞。
親鸞
親鸞
著:笠原 一男
講談社学術文庫
法然の思想を継承しつつ、独自の境地を切り開いた真宗の開祖親鸞。その思想の究極は、悪人優先の救い、煩悩具足のままの救い、この世とあの世における平等、の現世における実現にほかならない。時の権力や既存宗教による度重なる迫害、越後への配流、東国移住、実子善鸞の義絶等々、求道者ゆえ、布教者ゆえの波瀾にみちた親鸞の生涯とその思想を、真宗研究の第一人者があざやかに描いた書き下ろし。
第二次大戦に勝者なし(下)
第二次大戦に勝者なし(下)
著:C.アルバ-ト・ウェデマイヤ-,訳:妹尾 作太男
講談社学術文庫
本下巻ではノルマンジー上陸作戦決定を巡る米英の対立から、米軍総司令官として赴任した中国戦線での毛沢東・周恩来との激論、蒋介石付参謀長として手腕を発揮した対日反攻作戦の内幕までを全告白。ヒトラー暗殺未遂事件や、暗号解読により予知されていた真珠湾攻撃など、歴史の闇にも光を当てる。連合軍参謀として活躍した米将軍が、自らの体験から第二次大戦の真実を明らかにした貴重な回想録。
第二次大戦に勝者なし(上)
第二次大戦に勝者なし(上)
著:C.アルバ-ト・ウエデマイヤ-,訳:妹尾 作太男
講談社学術文庫
第二次大戦の見直しで世界的な反響を呼んだ米将軍の注目手記。日本の先制攻撃によって米国の参戦を導こうとしたルーズベルト大統領の画策や、ヨーロッパ戦線の主導権を巡るチャーチル英首相と米軍首脳との確執など、当事者のみが知り得た赤裸々な舞台裏を明らかにする。本巻では、真珠湾攻撃直前にスクープされた米軍の大戦動員計画の全貌から猛将パットンの活躍したシシリー島上陸作戦までを証言。
天使とわれら
天使とわれら
著:モーティマー.J・アドラー,訳:稲垣 良典
講談社学術文庫
「天使についての哲学的な書物は、出版の歴史における大事件である」-アメリカの現代哲学の第一人者として幅広く活躍を続けている著者が、天使を偉大な思想として捉え、信仰からだけでなく哲学や現代思考の領域から「肉体なき精神」である天使と人間精神を考察する。一貫して神の存在を哲学的に論証し、神への信仰を理性的に根拠づけた、魅力あふれる天使学の最良の入門書。新訳の文庫オリジナル。
虫の思想誌
虫の思想誌
著:池田 清彦
講談社学術文庫
熱帯などの知らない土地で、次から次へと思いもかけぬ形態と色彩を持った虫を採る時ほど無上の喜びを覚えることはない……。全世界に数百万種といわれる昆虫の世界の尽きせぬ魅力を語りつつ、ウォレスやファーブル以来の<虫と人>との関わりの歴史を説く。多様性を重んじる構造主義生物学の視角から、いまだにダーウィン進化論の影響を抜け出せない現代のネオダーウィニズムを鋭く批判した好著。
孫子
孫子
著:浅野 裕一
講談社学術文庫
「戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」などの名言で知られる『孫子』。春秋時代の孫武(そんぶ)が著わし、二千年以上も読み継がれた名高い古典は世界最古の兵法書として、また人間界の鋭い洞察の書として親しまれ、今日もなお組織の統率法や人間心理の綾を読みとるうえで必携とされている。本書は、従来の宋時代のテキストより千年以上も古い前漢武帝時代の竹簡文に基づく精密な唯一の解説である。 ■中田敦彦のYouTube大学で大推薦、大反響!■
電子あり
対人恐怖の心理
対人恐怖の心理
著:内沼 幸雄
講談社学術文庫
対人緊張、赤面恐怖、蒼面恐怖、表情恐怖、態度恐怖、醜貌恐怖、視線恐怖。これらはすべて、進行段階に応じた対人恐怖の中核的症状であり、病状変遷の出発点となるのは「羞恥」する心である。この病いは、諸外国にくらべ日本に目立って多くみられる。 対人恐怖という神経症の底に横たわる「羞恥の構造」を解き明かし、「羞恥」を手がかりに日本人の心性や文化のありようまでをも探った異色の精神病理学。
フランス語はどんな言葉か
フランス語はどんな言葉か
著:田辺 保
講談社学術文庫
フランスではどんなに高度な内容の学術論文でも、言葉の適切さと美しさを伴わなければ価値を認められないといわれる。通り雨が石畳をぬらすパリの町角では、耳の中に小さな余韻を残す柔らかい語尾をもった言葉が交わされる。 フランス語の美しい響きをこよなく愛する著者が、豊かな風土と文化に磨きぬかれたフランス語の特質を解説。もっとも洗練された言葉、フランス語を知るための最良の入門書。
アダム・スミス
アダム・スミス
著:水田 洋
講談社学術文庫
18世紀英国の資本主義勃興期に、「見えざる手」による導きを唱えて自由主義経済の始祖となったアダム・スミス。彼は手放しの自由放任主義者ではなくフェアな自由競争を主張し、『道徳感情論』では利己心の自制を説き、『国富論』では政経癒着による独占と特権を批判した。 現代日本社会が抱える問題点にも鋭い示唆を与えるスミスの思想の核心とその生涯を、豊富な資料を駆使して第一人者が説く必携の書。