講談社学術文庫作品一覧

神さまはサイコロ遊びをしたか
神さまはサイコロ遊びをしたか
著:小山 慶太
講談社学術文庫
アインシュタインは、自身の光量子理論から発展した量子力学の確率的解釈に対して、「神さまはサイコロ遊びをしない」と非難した。宇宙を創造した神の意図を探りたいと言う好奇心から出発した自然科学は、天動説に固執した時代から4世紀を経て、ビッグバン理論を確立した。宇宙創成以前の時空が消滅する世界を解明せんとする現代まで、神に挑戦した天才物理学者達の苦闘を辿る壮大な宇宙論の歴史。
ヘ-ゲル
ヘ-ゲル
著:城塚 登
講談社学術文庫
近代ドイツ最大の哲学者ヘーゲルは、論理学、自然哲学、精神哲学、宗教哲学、歴史哲学、哲学史等々にわたって、近代哲学の枠組みを超出する壮大な哲学体系を構築した。ヘーゲル哲学が「現代哲学の母胎」といわれる所以である。本書は、マルクス、フォイエルバッハはもとより、アドルノ、サルトル、ルカーチなど、現代思想の諸潮流に多大な影響を与えたヘーゲル哲学の核心に迫る恰好の案内書である。
近代経済学の歴史
近代経済学の歴史
著:菱山 泉,解説:根井 雅弘
講談社学術文庫
近代経済学の主流をなし、ケンブリッジ学派が担った「正統派理論」。学派の始祖で、資本主義発展の過程を飛躍や断絶のない漸進的な連続的成長とみて、需要供給均衡理論を説いたマーシャル、その弟子で厚生経済学を提唱したピグー、貨幣と密接な景気変動理論を開拓したロバートソンなどの思想を、透徹した論理と歴史的背景の中で考察。ケインズに至る近代経済学の潮流を手際よく明快に説く必読の書。
敬語
敬語
著:菊地 康人
講談社学術文庫
尊敬語・謙譲語・丁寧語など、敬語の高度な発達は日本語の大きな特質だといわれているが、それらを適切に使いこなせる人は意外に少ない。本書は、言語学的分析をもとに敬語の仕組みをわかりやすく解きほぐし、豊富な用例によって使用法の様々を解説、さらに敬語システムの現代的変化をも展望する。日本語の急所というべき、複雑多岐にわたる敬語表現のすべてがこの1冊でわかる、現代人必携の書。
現代倫理学入門
現代倫理学入門
著:加藤 尚武
講談社学術文庫
私はこの本で、現代の倫理学で議論される原理的な問題と応用倫理学で取り扱われる内容を、明確に描き出したい。それには日常生活で出会う倫理問題を考えることが、現代倫理学の中心問題を理解する早道だと思う。難しい術語や学説の違いを知るより、現代の倫理学者達の議論の中身に入ってもらいたいという気持ちで書いた。何よりもまず、読み物として面白く通読できるよう心がけた。(「あとがき」より)
電子あり
国語辞典 改訂新版
国語辞典 改訂新版
監:阪倉 篤義,監:林 大
講談社学術文庫
ことばは生きている。従って、辞典は常に時代に沿ったものでなければならない。本辞典は、(1)学習、ビジネス、社会生活に、必要十分な七万六千余語を厳選、(2)漢字辞典の機能を兼ね備え、(3)最新かつ最大の用字・用語辞典の役も果す多機能の国語辞典である。さらに「敬語の使い方」をはじめ、実用性に重きをおいた巻末付録も充実。机上用として、携帯用として、現代を生きる学生・社会人必備の一冊。
現代短歌入門
現代短歌入門
著:岡井 隆,解説:篠 弘
講談社学術文庫
思索する前衛歌人の名を負う岡井隆。「アララギ」から出発した彼は、むしろそのリアリズムを徹底批判し、現代詩としての思想表現に努めた現代短歌界のオピニオン・リーダーである。本書については「特に私をめぐる覚書や場の理論については、歌論と作品の間に働く微妙な力働的関係にも注目して、柔軟にその本意を読みとってほしい」と岡井はいう。短歌を志すすべての人に希望と勇気を与える必携の書。
アンシァン・レジ-ムと革命
アンシァン・レジ-ムと革命
著:A.DE・トクヴィル,訳:井伊 玄太郎
講談社学術文庫
「近代は諸条件の平等化に向かう」というトクヴィルにとって、絶対主義も1つの社会学的現象である。王政による中央集権は階級秩序の破壊、富の平等化、思想の同一化をもたらし、革命はその中ですでに進行・達成されていた。1789年の革命はアンシァン・レジームとの断絶ではなく、国家利益のために社会の地位が剥奪されてゆく歴史の産物であったと看破。『アメリカの民主政治』と並ぶ刮目の歴史論。
つくられた桂離宮神話
つくられた桂離宮神話
著:井上 章一
講談社学術文庫
〈桂離宮の発見者〉とされるドイツの建築家ブルーノ・タウトは1933年に来日、翌年「ニッポン」を刊行し、簡素な日本美の象徴として桂離宮を絶讃した。著者は、タウトに始まる桂離宮の神格化が、戦時体制の進行にともなうナショナリズムの高揚と、建築界のモダニズム運動の勃興を背景に、周到に仕組まれた虚構であったことを豊富な資料によって実証する。社会史の手法で通説を覆した画期的日本文化論。
ドイツ教養市民層の歴史
ドイツ教養市民層の歴史
著:野田 宣雄
講談社学術文庫
19世紀から20世紀始めにかけての近代ドイツの精神形成に大きな影響を与えたといわれる教養市民層。政治や社会、文化の各方面にわたって圧倒的な力を誇ったこのエリート層の思想と行動を、マックス・ヴェーバーの英独比較論を手がかりにしながら、宗教社会学的見地に立って分析。ナチズムを招来した歴史のなかで、ドイツ教養市民層が果たした役割とその性格を考察した、画期的なドイツ精神史論。
日本古代国家の成立
日本古代国家の成立
著:直木 孝次郎
講談社学術文庫
四世紀の崇神天皇に始まり三輪政権が、応神天皇を始祖として瀬戸内海の制海権を握った河内政権により征服させる過程や、壬申の乱の後に天武天皇が実力で全権を掌握するまでを綿密に解説。また稲荷山古墳鉄剣銘を独自に読み解き、雄略天皇の日本統一をめざした戦いを明らかにするなど、古墳や遺物に秘められた謎を著書ならではの緻密な分析と推理で解く。古代史の奉斗による日本国家成立の大検証。
保田與重郎
保田與重郎
著:桶谷 秀昭,解説:高橋 英夫
講談社学術文庫
近代日本の文明開化を徹底批判し、戦後は好戦的文士として公職追放を受けた保田與重郎。著者は、厖大な資料を駆使して、保田の戦時中の歩みだけでなく、戦後30数年に及ぶ思想の一貫性を確認。戦時下の保田があれだけ若者を魅きつけたのは、日本主義や好戦思想のためでなく、「死」を真に意味づけうるものが、その真摯な思索の中にあったからだと説く。復古派文人・保田與重郎の批評精神の軌跡。
戦後日本政治史
戦後日本政治史
著:田中 浩
講談社学術文庫
ますます混迷の度を増す日本の政治。一体この政治状況は、いかなる経緯から生じたのか。そしてこの先、日本の政治はどこへ行こうとしているのか。近代における政治・思想の変遷を遠望しつつ、GHQ指導下の民主改革以降、五五年体制の成立から崩壊までを核に戦後政治の軌跡を克明に検証し、日本政治の特性と内包する諸問題を明らかにした。戦後政治を理解し、明日の日本を考えるための今必読の書。
『オイディプ-ス王』を読む
『オイディプ-ス王』を読む
著:川島 重成
講談社学術文庫
ギリシア悲劇の中で最高傑作といわれ、アリストテレースも激賞した「オイディプース王」。アポローンの神託の成就と、そこに描き出された人間存在の悲劇性を浮き彫りにしたこの「オイディプース王」を文学として捉えなおして徹底的に解読吟味する。悲劇としての巧みな劇構成、そして、今なお私たちに問いかけてやまない人間存在の本質――時空を越えて輝くギリシア悲劇の魅力を読みつくした意欲作。
近世日本国民史 維新への胎動(下)勅使東下
近世日本国民史 維新への胎動(下)勅使東下
著:徳富 蘇峰
講談社学術文庫
文久2年10月、正使三條實美、副使姉小路公知の両勅使東下。将軍家茂と相見し、攘夷実行、親兵選貢を旨とする勅書を授くるに、家茂勅諚奉戴の答書をたてまつる。巷間、志士による私刑横行し乱世の兆し顕著にして、幕威ますます墜つ。一方、幕府を通ぜず諸大名に直接命令を下されるがごとく朝権一層伸張し、天皇親政の実を半ば現呈せんとする形勢。今や「尊皇攘夷」は理想でなく現実となり来った。
電子あり
実存から実存者へ
実存から実存者へ
著:エマニュエル・レヴィナス,訳:西谷 修
講談社学術文庫
リトアニアに生まれ、ストラスブール大学に学んだ後フランスに帰化したユダヤ人哲学者レヴィナス。第二次大戦に志願するがドイツの捕虜収容所に囚われて四年を過ごし、帰還後ユダヤ人を襲った災厄を知る。かつての師ハイデガーのいう〈支配する主体〉の対極に、レヴィナスは〈現存者〉を措定、戦争で露呈した現代人の〈実存〉の運命を考察する。時代を深く予見したフランス現代思想の巨匠の代表作。
日本憲法思想史
日本憲法思想史
著:長尾 龍一
講談社学術文庫
本書は、法思想における国体論をはじめ穂積八束・上杉慎吉・美濃部達吉など代表的な憲法学者の法理論を追究し、さらに敗戦史の法哲学から国民主権と天皇制、マッカーサーと戦後民主主義、日本国憲法の正統性問題までを論じた。旧憲法学史研究には、ケルゼン的なイデオロギー批判的手法をとり入れ、新憲法については、戦後民主主義の忠実な擁護のつもりという著者が説く、日本国憲法の思想と歴史。
小泉八雲新考
小泉八雲新考
著:丸山 学,監・解説:木下 順二
講談社学術文庫
多くの日本の読者を魅了し続けている小泉八雲。八雲についての研究は今なお盛んである。昭和11年に発表された本書は、松江時代に比べて看過されていた熊本時代の八雲の人と作品を、実地踏査や発掘した手紙・資料によって鮮かに浮き彫りにしている。とくに八雲を文学者としてだけでなく民俗学者として捉えた点は、八雲を理解する上で画期的な書といわれる。八雲研究の歴史的論考、待望の復刊なる。
現代のキリスト教
現代のキリスト教
著:小田垣 雅也
講談社学術文庫
近代の人間本位の神学は神の絶対性を見失わせて、20世紀のニヒリズムを生んだ。このためカール・バルトは再び神の側からの発想を取り戻した現代神学を構築した。本書はこの現代神学の古典時代から「神の死の神学」、西田哲学との共通点も指摘される「プロセス神学」、さらに中南米を中心とした「解放の神学」や米国起源の「フェミニスト神学」まで現代のキリスト教を興味深く説く書下ろし力作である。
社会哲学の復権
社会哲学の復権
著:徳永 恂
講談社学術文庫
現代思想に大きな影響を与えた20世紀ドイツの思想家は、社会をどう捉えていたか。フランクフルト学派の論客としてあらゆる同一性を批判したアドルノや、英雄的実証主義と賞讃される一方で権力政治家とも批判されるウェーバーなどの多面的な実像を追求。アドルノのもとへ留学し、ウエーバー評価で名高い64年ドイツ社会学会に立会った筆者が、社会科学との対決を通じて哲学の復権を図る意欲作。