講談社現代新書作品一覧

モナ・リザの罠
モナ・リザの罠
著:西岡 文彦
講談社現代新書
ダ・ヴィンチの「仕掛け」を知的に読み解く 人気番組「世界一受けたい授業!!」で話題の美術案内人(ナビゲーター)が誘う“芸術=興奮”ワールド!!
北朝鮮に潜入せよ
北朝鮮に潜入せよ
著:青木 理
講談社現代新書
歴史から消された秘密工作員たちの悲劇! スカウト、訓練から拉致、爆破まで韓国 vs.北朝鮮の暗闘を描く
スラスラ書ける!ビジネス文書
スラスラ書ける!ビジネス文書
著:清水 義範
講談社現代新書
仕事力は文書が決める! よく通る企画書、誠意が伝わる依頼状、個性が光る挨拶状、一目置かれる報告書…… 「大人の作法」から「プレゼンの裏技」まで、ビジネスを成功させる書き方の極意、教えます。
若者殺しの時代
若者殺しの時代
著:堀井 憲一郎
講談社現代新書
ずんずん調査のホリイ博士が80年代と対峙。クリスマス・ファシズムの勃興、回転ベッドの衰退、浮遊する月9ドラマ、宮崎勤事件、バブル絶頂期の「一杯のかけそば」騒動……あの時なにが葬られたのか? (講談社現代新書) ずんずん調査のホリイ博士が80年代と対峙。クリスマス・ファシズムの勃興、回転ベッドの衰退、浮遊する月9ドラマ、宮崎勤事件、バブル絶頂期の「一杯のかけそば」騒動……あの時なにが葬られたのか?
電子あり
こんにゃくの中の日本史
こんにゃくの中の日本史
著:武内 孝夫
講談社現代新書
桜田門外の変の資金源はこんにゃくだった! 松尾芭蕉に愛され、アメリカが恐れた「風船爆弾」を生み、ペニシリンの国産を助け、昭和天皇にも一目置かれた――その軟体には日本史の激動が刻まれている! 維新回天の陰に、こんにゃくがいた! しかし、幕末に水戸藩が広めたのは尊王攘夷だけではなく、こんにゃくもしかりであった。かたや日本を維新回天に導いた多くの志士に影響を与えた誇り高き思想であり、こなた、あってもなくてもさしあたり人は困らぬこんにゃくであるが、このふたつはほぼ同じ時期に、水戸藩から全国に広まっている。(中略)尊王攘夷とこんにゃくは袋田を舞台に密接に結びつき、やがて幕府を激震させる大事件をひきおこすのである。(中略)いわゆる桜田門外の変だが、この襲撃事件の現場指揮をとったのが関鉄之介である。その日の朝、愛宕山で鉄之介が受けとった金は襲撃後の同志たちの逃亡資金で、その額200両といわれているが、これは根拠のたしかな数字ではない。こまかなことをいえば、金を運んだのは重箱ではなく、薬缶だったとする説もある。ディテールのちがいはともかく、はっきりしているのは、この資金を出し、使いの男にとどけさせたのが、袋田の蒟蒻会所を取り仕切っていた桜岡源次衛門だったことだ。――<本書より>
「イスラムvs.西欧」の近代
「イスラムvs.西欧」の近代
著:加藤 博
講談社現代新書
イスラムの<嫌西欧>はどこで生まれたのか イスラムへの<違和感>の核心にあるものは何か この時代は、中東が「近代化」された時代である。と同時に、ヨーロッパ列強に「植民地化」された時代でもある。この時期、イスラム世界はヨーロッパと本格的に邂逅し、それとの格闘のなかで、自らを近代化するも、結果的には、その支配下に置かれるようになる。この時代に、中東における「ヨーロッパとイスラム」の原型がつくられた。 なぜイスラム教徒は近代文明に反発するのか? 現在、毎日のように、イスラム教徒の過激な政治行動が報道されている。かれらは近代文明を拒否しているかにみえる。もちろん、近代文明を戦闘的に拒否しているのは、一部の過激なイスラム教徒である。圧倒的多くのイスラム教徒は、かれらの過激な政治行動を苦々しく思い、近代文明における生活スタイルにあこがれてさえいる。しかし、そのかれらも、過激なイスラム教徒の主張に相通じる怒りと反発を秘めている。一部の過激なイスラム教徒を例外とし、一般のイスラム教徒と切り離しては、問題の解決にはならない。一体、かれらは近代文明の何に反発しているのか。どうして近代文明に反発するようになったのか。本書は、その答えを、イスラム知識人における近代観の変化に探り、かれらのアイデンティティ危機の深化の過程として描くことを目的とする。それは、近代がかれらの意識下においてトラウマ化する過程であった。――<本書より>
知的な大人の勉強法 英語を制する「ライティング」
知的な大人の勉強法 英語を制する「ライティング」
著:キム・ジョンキュー
講談社現代新書
会話重視の学習よ、さらば! 本物の英語力を育てる「5パラグラフ・ライティング」とは何か?トリリンガルの著者による最強の英語習得戦略。日本人よ自信を持とう! ●日本の「費用対効果」が低すぎる理由 ●「楽しくおしゃべり」では上手になれない ●「読み・書き偏重」という学校英語批判は的はずれ ●英語に「浸す」授業法の罠 ●留学で伸びる本当の理由 ●読んで書いて議論する ●エッセイを直すことに意味がある ●パラグラフ・ライティングで論理的思考を養おう 英語教育にまつわる「偽りの救い」 たしかに学校の英語教育を6年間受けたところで、たいていの日本人は英語があまりしゃべれない。書けない。聞けない。読めない。それにもかかわらず、1100時間の授業が無駄な努力であったというのは真っ赤なウソである。なぜなら、学校教育は英語を学ぶにおいて欠かせない土台、つまり「ボキャブラリー」と「グラマー」を教え込むからだ。(中略)将来ちゃんと英語を使いこなそうと思えば必ず役に立つであろう、基本中の基本をしっかりと教えていると言えるのではないだろうか。そもそも日本の学校英語教育が「読み・書き」中心という言い方自体、相当に的外れであると言わざるをえない。「読み」はともかく、「書き」は皆無に等しいのである。――<本書より>
江戸時代の設計者
江戸時代の設計者
著:藤田 達生
講談社現代新書
伊予藩主・藤堂高虎は外様大名としては異例の信頼を幕府から得た。それは彼が日本で初めて「藩」を構想しえた政治家だったからだ。司馬遼太郎に「世渡り上手」と酷評された藤堂は、身長190cmの偉丈夫にして、きめ細かな築城術にたけたテクノクラートだった。しかし、彼がもっとも評価されるべきは、豊臣時代の中央集権に限界を見出し、地方分権国家を構想して近世の扉を開いたことにある。近世の成立を新史観で明かす。 徳川家康に天下を取らせ 城を、藩をつくった近世のプロデューサー 司馬遼太郎に「世渡り上手」と酷評された戦国武将、藤堂高虎は、身長190cmの偉丈夫にして、きめ細かな築城術にたけたテクノクラートだった。しかし、彼がもっとも評価されるべきは、豊臣時代の中央集権に限界を見出し、地方分権国家を構想して近世の扉を開いたことにある。 日本に「藩」を創った男 20世紀を造形した「中央集権」「官僚制」の限界に直面し、「市民」の願いが直接反映される合理的な国づくりがめざされるようになった。かかる動向のなかで、現在「地方分権」が注目され、分権国家への様々な模索がなされているのである。そのような今日、藤堂高虎(1556~1630年、藤堂藩三十二万石の初代藩主)が家康の参謀として取り組んだ改革、とりわけ藩≪くに≫づくりには学ぶべきことが多い。――<本書より>
電子あり
日本人はなぜ狐を信仰するのか
日本人はなぜ狐を信仰するのか
著:松村 潔
講談社現代新書
お稲荷さんの謎を解く鍵は、エジプト・インドにある! 稲荷の鳥居はなぜ赤いのか?豊川稲荷はなぜダキニを祀るのか?「こっくりさん」の起源は何か?狐とエジプトのアヌビスの関係とは?タロットカードで見る狐の役割とは?新羅の伝説が示す稲荷縁起が持つ意味とは? 江戸時代から「伊勢屋、稲荷に犬の糞」とどこにでもあるものの代名詞として謳われ、いまでも日本中にあるお稲荷さん。しかし、そもそもなぜ稲荷は日本中に存在するのか?なぜ稲荷と言えば狐なのか?そして稲荷は何を祀っているのか?古代エジプトからインド、そして中国から新羅、日本。時間と空間を超え、稲荷信仰の謎に迫る。
解剖男
解剖男
著:遠藤 秀紀
講談社現代新書
24時間戦う遺体科学者 動物進化の神秘へ迫る 動物の進化はいまなお謎だらけ 疾駆する山手線の車内では、私の目の前に、バイカルアザラシの眼球がある。アザラシがこんな大きな目をもったら、顔の大半が目に置き換えられてしまうではないか。今日はアメ横脇の曲線に揺さぶられながら、この大きな目をどうすれば頭蓋骨に収めることができるか、私の指に握られたピンセットが明らかにしていく。動物進化学の足跡を振り返ると、ホモ・サピエンスが神の創り出した粘土細工とされたキリスト教万能の時代から、容赦なきダーウィンの進化論がヒトの祖先をサルの身体に求めるようになるまで、けっして長い時間を要したわけではない。そして現在も、動物の形が何億年もの進化の歴史の中でどのように変わってきたかという科学の議論は、答えが確定されるどころか、日々猛スピードで書き換えられているのである。――<本書より>
スペイン巡礼史
スペイン巡礼史
著:関 哲行
講談社現代新書
聖地サンティアゴへようこそ! 巡礼に現世利益と魂の救済を求め、人びとは「奇跡」に何を託したか? 中近世ヨーロッパ人「信仰の社会史」 ●海を渡った「3つの一神教」の巡礼者たち ●異教の聖所と連続する聖地 ●「地の果て」(フィニス・テラーエ)の聖地 ●聖地サンティアゴと聖ヤコブ ●聖ヤコブとカール大帝 ●捏造される奇跡 ●レコンキスタとサンティアゴ巡礼 ●大航海時代とサンティアゴ巡礼 ●フランコとサンティアゴ巡礼 ●帆立貝と巡礼杖の意味とは? ●巡礼講と「苦難の長旅」 ●帰路の意味するものとは? ●外国人旅行者の見た観光資源 ●「聖なる都市」の誕生 ●慈善サービスと「権力」の関係 ●サンティアゴ巡礼と四国巡礼の「近さ」 サンティアゴ巡礼への誘い 本書は、巡礼と密接に関わる民衆信仰、シンクレティズム、「観光」、都市開発、慈善をキーワードに、中近世を中心にスペインの巡礼を全体的に読み解いたものである。巡礼というプリズムを通して見た、中近世スペイン史と言い換えることもできる。考察の中心はサンティアゴ巡礼であるが、3つの一神教を意識して、スペインのイスラム教徒とユダヤ人の巡礼についても言及することにする。ヨーロッパ史と宗教との関わりの一端なりとも、ここから汲みとっていただければ幸いである。――<本書より>
他人を見下す若者たち
他人を見下す若者たち
著:速水 敏彦
講談社現代新書
現代人は自分の体面を保つために、周囲の見知らぬ他者の能力や実力を、いとも簡単に否定する。世間の連中はつまらない奴らだ、とるに足らぬ奴らだという感覚を、いつのまにか自分の身に染み込ませているように思われる。……このように若者を中心として、現代人の多くが他者を否定したり軽視することで、無意識的に自分の価値や能力を保持したり、高めようとしている――<本文より> 「自分以外はバカ」の時代! ●自分に甘く、他人に厳しい ●すぐにいらつき、キレる ●「悪い」と思っても謝らない ●泣けるドラマや小説は大好き ●無気力、鬱になりやすい 若者の感情とやる気が変化している! 現代人は自分の体面を保つために、周囲の見知らぬ他者の能力や実力を、いとも簡単に否定する。世間の連中はつまらない奴らだ、とるに足らぬ奴らだという感覚を、いつのまにか自分の身に染み込ませているように思われる。……このように若者を中心として、現代人の多くが他者を否定したり軽視することで、無意識的に自分の価値や能力を保持したり、高めようとしている――<本文より>
電子あり
純愛心中
純愛心中
著:堀江 珠喜
講談社現代新書
男と女「究極の愛のかたち」 物語では近松門左衛門の『曾根崎心中』、三島由紀夫の『憂国』、渡辺淳一の『失楽園』『愛の流刑地』、『ロミオとジュリエット』、『トリスタンとイゾルデ』……史実では乃木大将夫妻、天城山心中、皇太子ルドルフ、ダイアナ妃…… 三島由紀夫の心中美学 三島は「心中論」を書いた12年後に市ケ谷で割腹自殺をすることになるのだが、本人もそのような未来が予見できるわけもなく、「若い人同士の心中はいい」とか、「太宰治などの中年者の心中の不潔さ」などと書いているのだ。皮肉なことに太宰が心中したのは38歳、三島が森田必勝と死んだのは45歳であった。(中略)さらに「心中論」として、当然ながら近松に言及されるのだが、心中に性的な意味を見つけ出す次の議論は興味深い。「大人の心中では、必ず心中の直前に性の営みが行はれるさうであるが、近松の心中物の道行の文章はつねにこれを暗示してゐる。文辞の上ではそれに類した文句はないけれど、あの永い道行の美文は、死の直前の性的陶酔そのままである。(中略)心中といふ言葉にはどうしても性的陶酔の極致といふ幻影がつきまとふので、男女の性行為は本質的に疑似心中的要素を持つてゐる。これは少くとも性的経験のある人間なら誰でも知つてゐる秘密である」。――<本書より>
漢詩のこころ 日本名作選
漢詩のこころ 日本名作選
著:林田 槇之助
講談社現代新書
詩が生まれた風景を旅する 空海、謙信と信玄、良寛、西郷、乃木、漱石…21人の感慨を追体験! 空海との別れを惜しむ嵯峨天皇の「海公と茶を飲み、帰山を送る」 薔薇の花をこよなく愛した武田信玄の「薔薇」 藩の武力革命を決意した高杉晋作の「二十五日鴻城、井上聞多を訪ね、主人の韻に次す」 沖永良部島に流された西郷隆盛の「獄中所感」 江戸城無血開城を実現させた勝海舟の「江戸城明渡」 対露戦の多大な犠牲を恥じる乃木希典の「凱旋に感有り」 大病を患い死線をさまよう夏目漱石の「無題 明治四十三年九月二十日」 漢詩が生まれた「現場」を訪ねる 中国の広大な天地では、なかなかそうはいかないが、日本の漢詩人の場合は、良寛の詩にかぎらず、その詩人がある時期すごした場所を訪ねようと思えば、それができる。たしかに手間、暇のかかる作業であったが、それだけ日本の漢詩人と共有する時間を持つことができたのは楽しいことであった。他にもたとえば、菅原道真でいえば、大宰府遷謫(せんたく)期の漢詩数篇を、日本のボードレールといわれた柏木如亭の漢詩は、京の真如堂の草庵で詠まれた数篇を、下関長府の功山寺で維新回天の事業を出発させた高杉晋作の漢詩は、その前後の時期の数篇を、夏目漱石の場合は、起死回生の大患に遭った修善寺病臥の漢詩数篇をとりあげてみた。――<本書より>
国際テロネットワーク
国際テロネットワーク
著:竹田 いさみ
講談社現代新書
1994年、ビンラディンは爆弾テロ専門家をフィリピンに送り込んだ―― アルカイダの進出戦略 地元テロ組織との連携 9・11の悪夢はアジアから始まった! 国境を越えて根を張るネットワークの全貌!なぜテロはやまないのか?その答えが本書にあります。 2000年1月、マレーシアの首都クアラルンプール―― とあるマンションの一室で、アルカイダの関係者8名が鳩首会談を開いていた。ここで、9・11の最終謀議は行われた。……その中に皆から親しみを込めてハンバリと呼ばれていたインドネシア人がいた。本名はリデゥアン・イサムディン。この男こそ、バリ島テロ事件を起こした広域テロ組織ジェマー・イスラミア(JI)の最高幹部である。アルカイダの最高機密会議に、東南アジアの広域テロ組織JIの最高幹部が同席していた――両者の深い関係は疑う余地もない。とうとう東南アジアがアルカイダの悪の温床となってしまった。東南アジア地域が拠点にさえならなければ、アルカイダが国際テロネットワークへと変貌を遂げることも、あるいはなかったかもしれない。――<本書より>
日本を滅ぼす教育論議
日本を滅ぼす教育論議
著:岡本 薫
講談社現代新書
文部科学省課長が「失敗の本質」を分析 <日本の教育論の「論議の在り方」の欠陥を鋭く指摘し、豊かで生産的な教育論を期待する画期的な書物である。> 文化庁長官 河合隼雄 おそらくは、日本人の多くに共通する何らかの思考プロセスや、陥りがちな論理の陥穽のようなもの――が、日本における教育論議に「すれ違い」や「カラ回り」をもたらし、建設的な教育論議を妨げているのではないか、ということを、ずっと思い続けてきた。以下、これまで漠然と感じてきたそのような「違和感」や「おかしなこと」の背景や構造を、分析・整理しつつ述べていきたい。――<本書より> 「現状」が直視されていないのではないか? ここで言う「ゆとり」とは、「1時間当たりに教える量」についてのものであり、要するに「学ぶべき内容」と「授業時数」の比率のことである。したがって、この意味での「ゆとり」を拡大するためには、「学ぶべき内容の削減」または「授業時数の増加」の、2つの方法がある。そこで教育行政当局は、その選択の良し悪しはさておき、「前者」の方を選び、いわゆる「教育内容の3割削減」を行った。しかし実は、これと並行して「授業時数」の方も、「完全土曜休業」や「総合的な学習の時間の導入」などのために、「約2割」が削減されたのである。したがって、両者の比率である「ゆとり」は、学年や教科によるバラつきはあるが、全体として「約1割」程度しか生じていないということになる。(中略)過去の日本の教育が「詰め込み」であり、そのために「落ちこぼし」が生じていたのだとしたら、その状況は、全体として約1割程度しか改善されておらず、その後に生じた学力低下の原因のひとつは、「ゆとりを追求したこと」ではなく、むしろ「ゆとりが実現されなかったこと」だったと思われる。――<本書より>
ペリー提督 海洋人の肖像
ペリー提督 海洋人の肖像
著:小島 敦夫
講談社現代新書
「黒船来航」前の誤算の数々 「海の時代」の申し子は、なぜ政治に翻弄されたか なにゆえ功績を過小評価されたのか ペリー観を塗り変える 日本人が知らないペリーの人間像 海賊船の船長だった父、アイルランドから海を渡った母、英国海軍を撃破した英雄の兄……「海の一家」の三男坊の雄大な物語
「責任」ってなに?
「責任」ってなに?
著:大庭 健
講談社現代新書
私は悪くない。与えられた「役割」を果たしただけ。歯車だから。ああするしかなかった。「ほんとうの自分」は違うんだ。――これ、どこかおかしくないか? 責任があるとは? 責任がある・責任を担う、ということは、「なぜ、どういう理由(わけ)で、そうするの?」という問の前に立たされることを含意する。しかし、この問は、ガウンをまとった審判者からの詰問ではない。たしかに問われた場面だけを抜き出すと、そうした詰問でしかないように思えることも多々あろう。しかし、その問いかけは、根底的には、共生を模索し、よりよき共生を求めるがゆえの、呼びかけなのである。責任がある、ということは、裁判所から灰色の呼び出し状が来ることでもなく、弁済や配慮の負担を課されることでもなく、なお呼応可能な人-間でありえている、という悦ばしい報せなのである。――<本書より>
歴史認識を乗り越える
歴史認識を乗り越える
著:小倉 紀蔵
講談社現代新書
靖国問題、従軍慰安婦、南京事件、歴史教科書……不毛な議論に打たれた61年目の終止符 「ひたすら謝罪」でも、「嫌韓・反中」でもない 真の対話がここからはじまる 「アジアの中の日本」を再構築する 「アジアと対話できない日本」の淵源は、日本が精神的にあまりにもアジアから離れてしまっているという「精神的距離」が、使用する言葉の異質性を増幅させていることにあるのだと思われる。アジアの中での発話主体・責任主体をもういちど立たせるために、<主体>という概念の東アジア的意味を考察することが必要だと考えた。儒教的伝統と近代化の過程において形成されたそれは、西欧近代の<主体>とどのように異なるのか。どのような問題を抱えているのか。その<主体>が表象する「歴史」は、いかにして幻影たらざるをえないのか。そしてポストモダン日本において、この古いモダンな<主体>はいかに解体されてしまったのか。もういちど「アジアの中の日本」を立たせるためには、幻影をいかに克服して、政治的選択肢における「センター」の軸をいかに構築しなくてはならないのか。おおよそ以上のような事柄が、本書で議論される内容である。それは20世紀の歴史認識問題とは異なる、すぐれて21世紀型の、新しいアジアをめぐる議論となるであろう。――<本書より>
はじめての〈超ひも理論〉
はじめての〈超ひも理論〉
著:川合 光
講談社現代新書
私たちは50回目の宇宙に住んでいる!? 「サイクリック宇宙」試論も収録! 時間も空間も1個のひもから始まった――クオークの正体は何か。重力はいかにして統一できるか。宇宙はなぜ生まれ、どう膨張してきたのか。物質の窮極の構成要素とは何か。「4つの力」の統一、時間の起源、宇宙誕生の謎を解く「超ひも理論」の全貌を第一人者がわかりやすく解説する、待望の入門書。 私たちは50回目の宇宙に住んでいる!?「サイクリック宇宙」試論も収録! 時間も空間も1個のひもから始まった――クオークの正体は何か。重力はいかにして統一できるか。第一線研究者がわかりやすく説く「究極の物理理論」 完成までのあと一歩 第3期ブームが始まれば、標準模型が検証されたり、「セオリー・オブ・エブリシング」として超ひも理論が、クオークの世代数や質量、ゲージ群の構造、ニュートン定数やその他の結合定数など、現在知られているあらゆる物理量を説明してみせたり、ブラックホールの謎が完全に解けたり、われわれの「サイクリック宇宙」論が宇宙論に新たな展開を拓いたり、それは賑やかなことになるでしょう。しかし何といっても究極の目標は、超ひも理論を完全に定義し、超ひもの唯一の真空を見出すことに尽きます。われわれの行列模型は、ほかのタイプの類似のモデルと比較しても、最も対称性が高いものであり、その有力候補と目されていると思います。――<本書より>