講談社現代新書作品一覧

国際テロネットワーク
国際テロネットワーク
著:竹田 いさみ
講談社現代新書
1994年、ビンラディンは爆弾テロ専門家をフィリピンに送り込んだ―― アルカイダの進出戦略 地元テロ組織との連携 9・11の悪夢はアジアから始まった! 国境を越えて根を張るネットワークの全貌!なぜテロはやまないのか?その答えが本書にあります。 2000年1月、マレーシアの首都クアラルンプール―― とあるマンションの一室で、アルカイダの関係者8名が鳩首会談を開いていた。ここで、9・11の最終謀議は行われた。……その中に皆から親しみを込めてハンバリと呼ばれていたインドネシア人がいた。本名はリデゥアン・イサムディン。この男こそ、バリ島テロ事件を起こした広域テロ組織ジェマー・イスラミア(JI)の最高幹部である。アルカイダの最高機密会議に、東南アジアの広域テロ組織JIの最高幹部が同席していた――両者の深い関係は疑う余地もない。とうとう東南アジアがアルカイダの悪の温床となってしまった。東南アジア地域が拠点にさえならなければ、アルカイダが国際テロネットワークへと変貌を遂げることも、あるいはなかったかもしれない。――<本書より>
日本を滅ぼす教育論議
日本を滅ぼす教育論議
著:岡本 薫
講談社現代新書
文部科学省課長が「失敗の本質」を分析 <日本の教育論の「論議の在り方」の欠陥を鋭く指摘し、豊かで生産的な教育論を期待する画期的な書物である。> 文化庁長官 河合隼雄 おそらくは、日本人の多くに共通する何らかの思考プロセスや、陥りがちな論理の陥穽のようなもの――が、日本における教育論議に「すれ違い」や「カラ回り」をもたらし、建設的な教育論議を妨げているのではないか、ということを、ずっと思い続けてきた。以下、これまで漠然と感じてきたそのような「違和感」や「おかしなこと」の背景や構造を、分析・整理しつつ述べていきたい。――<本書より> 「現状」が直視されていないのではないか? ここで言う「ゆとり」とは、「1時間当たりに教える量」についてのものであり、要するに「学ぶべき内容」と「授業時数」の比率のことである。したがって、この意味での「ゆとり」を拡大するためには、「学ぶべき内容の削減」または「授業時数の増加」の、2つの方法がある。そこで教育行政当局は、その選択の良し悪しはさておき、「前者」の方を選び、いわゆる「教育内容の3割削減」を行った。しかし実は、これと並行して「授業時数」の方も、「完全土曜休業」や「総合的な学習の時間の導入」などのために、「約2割」が削減されたのである。したがって、両者の比率である「ゆとり」は、学年や教科によるバラつきはあるが、全体として「約1割」程度しか生じていないということになる。(中略)過去の日本の教育が「詰め込み」であり、そのために「落ちこぼし」が生じていたのだとしたら、その状況は、全体として約1割程度しか改善されておらず、その後に生じた学力低下の原因のひとつは、「ゆとりを追求したこと」ではなく、むしろ「ゆとりが実現されなかったこと」だったと思われる。――<本書より>
ペリー提督 海洋人の肖像
ペリー提督 海洋人の肖像
著:小島 敦夫
講談社現代新書
「黒船来航」前の誤算の数々 「海の時代」の申し子は、なぜ政治に翻弄されたか なにゆえ功績を過小評価されたのか ペリー観を塗り変える 日本人が知らないペリーの人間像 海賊船の船長だった父、アイルランドから海を渡った母、英国海軍を撃破した英雄の兄……「海の一家」の三男坊の雄大な物語
「責任」ってなに?
「責任」ってなに?
著:大庭 健
講談社現代新書
私は悪くない。与えられた「役割」を果たしただけ。歯車だから。ああするしかなかった。「ほんとうの自分」は違うんだ。――これ、どこかおかしくないか? 責任があるとは? 責任がある・責任を担う、ということは、「なぜ、どういう理由(わけ)で、そうするの?」という問の前に立たされることを含意する。しかし、この問は、ガウンをまとった審判者からの詰問ではない。たしかに問われた場面だけを抜き出すと、そうした詰問でしかないように思えることも多々あろう。しかし、その問いかけは、根底的には、共生を模索し、よりよき共生を求めるがゆえの、呼びかけなのである。責任がある、ということは、裁判所から灰色の呼び出し状が来ることでもなく、弁済や配慮の負担を課されることでもなく、なお呼応可能な人-間でありえている、という悦ばしい報せなのである。――<本書より>
歴史認識を乗り越える
歴史認識を乗り越える
著:小倉 紀蔵
講談社現代新書
靖国問題、従軍慰安婦、南京事件、歴史教科書……不毛な議論に打たれた61年目の終止符 「ひたすら謝罪」でも、「嫌韓・反中」でもない 真の対話がここからはじまる 「アジアの中の日本」を再構築する 「アジアと対話できない日本」の淵源は、日本が精神的にあまりにもアジアから離れてしまっているという「精神的距離」が、使用する言葉の異質性を増幅させていることにあるのだと思われる。アジアの中での発話主体・責任主体をもういちど立たせるために、<主体>という概念の東アジア的意味を考察することが必要だと考えた。儒教的伝統と近代化の過程において形成されたそれは、西欧近代の<主体>とどのように異なるのか。どのような問題を抱えているのか。その<主体>が表象する「歴史」は、いかにして幻影たらざるをえないのか。そしてポストモダン日本において、この古いモダンな<主体>はいかに解体されてしまったのか。もういちど「アジアの中の日本」を立たせるためには、幻影をいかに克服して、政治的選択肢における「センター」の軸をいかに構築しなくてはならないのか。おおよそ以上のような事柄が、本書で議論される内容である。それは20世紀の歴史認識問題とは異なる、すぐれて21世紀型の、新しいアジアをめぐる議論となるであろう。――<本書より>
はじめての〈超ひも理論〉
はじめての〈超ひも理論〉
著:川合 光
講談社現代新書
私たちは50回目の宇宙に住んでいる!? 「サイクリック宇宙」試論も収録! 時間も空間も1個のひもから始まった――クオークの正体は何か。重力はいかにして統一できるか。宇宙はなぜ生まれ、どう膨張してきたのか。物質の窮極の構成要素とは何か。「4つの力」の統一、時間の起源、宇宙誕生の謎を解く「超ひも理論」の全貌を第一人者がわかりやすく解説する、待望の入門書。 私たちは50回目の宇宙に住んでいる!?「サイクリック宇宙」試論も収録! 時間も空間も1個のひもから始まった――クオークの正体は何か。重力はいかにして統一できるか。第一線研究者がわかりやすく説く「究極の物理理論」 完成までのあと一歩 第3期ブームが始まれば、標準模型が検証されたり、「セオリー・オブ・エブリシング」として超ひも理論が、クオークの世代数や質量、ゲージ群の構造、ニュートン定数やその他の結合定数など、現在知られているあらゆる物理量を説明してみせたり、ブラックホールの謎が完全に解けたり、われわれの「サイクリック宇宙」論が宇宙論に新たな展開を拓いたり、それは賑やかなことになるでしょう。しかし何といっても究極の目標は、超ひも理論を完全に定義し、超ひもの唯一の真空を見出すことに尽きます。われわれの行列模型は、ほかのタイプの類似のモデルと比較しても、最も対称性が高いものであり、その有力候補と目されていると思います。――<本書より>
米軍再編
米軍再編
著:久江 雅彦
講談社現代新書
「外交の『八方塞がり』はついに日米関係に及んだ。在日米軍再編問題をめぐり生じている日本の危機を、徹底的に解明した必読書である」――佐藤優氏(『国家の罠』の著者)絶賛 隠された全容に迫る驚愕のドキュメント! 密室での迷走 日本政府は米国の攻勢にボールを投げ返せないまま、受け身の姿勢に終始してきた。……さまざまな構想が米国側から提示されたにもかかわらず、日本政府は「何ら具体的な提案はない」「米国と自由な意見交換をしている」と繰り返し、提案の内容を公式には一切伏せてきたのである。……政治が総力をあげて取り組んできた形跡もなく、交渉にのぞんだごく一握りの官僚たちの場当たり的な対応が、問題を複雑にし、協議を長期化させた。国民の目に触れることのない密室で、どのような攻防が繰り広げられてきたのだろうか。――<本書より>
対話・心の哲学
対話・心の哲学
著:冨田 恭彦
講談社現代新書
「我思う、ゆえに我あり」って、本当はそういうことだったんだ! デカルト、ロック、カントらの「心の哲学」が、フッサール、クワイン、ローティら現代の哲学者たちの最重要課題に、いかにつながるのか。楽しくわかりやすい対話で読み解く。 「基礎づけ主義」の成否を問う 絶対確実なものを手にしなければ、世の不幸はなくならないという思いが基礎づけ主義の根底にあるとすれば、この思いは、自分(たち)が正しいと思っているものこそが、その絶対確実な真理であるという思い込みへとすぐに転じる傾向を、常に持っています。こうした思い込みは、意見を異にする者を抑圧し、共に生きるための基盤を破壊してしまいます。この具体例は、日々私たちが目にしているとおりです。デカルトの見かけ上の基礎づけ主義的方向性が、多くの人たちを悪しき思い込みへと導いたとするなら、本書で私は、デカルトが本当は何であったかを示し、人間の思考の別の在り方を提示したいと思います。この在り方は、本書最終章で、現代社会の問題へと接続します。――<本書より>
企業買収の焦点
企業買収の焦点
著:中村 聡一
講談社現代新書
楽天、村上ファンドとは?敵対的買収はマネーゲーム?企業価値という新基準!読めば明日からの経済が見えてくる! 企業価値を中心にする 個人の美や健康といったものが、「適正な管理」によって保たれるように、企業の健康もまた適正な管理が必要なのです。そして適正な管理の第一歩が体重計に乗ることであるのと同じように、企業の第一歩は企業価値に注目することなのです。(中略)グラム単位の体重を気にするボクサーは、頭の中に体重計ができあがってしまい、何をするとどのくらい自分の体重に影響があるかすぐにわかるようになるといいます。会社も同じで、いつも自社の企業価値を気にしていると、自分たちの行動がどう企業価値に影響するのかが、即座にわかるようになります。こうした状態の企業は非常に健康な企業ということができるでしょう。そうやって健康を保ちながら、必要に応じて人事・組織改編などといったハリ・整体療法、報酬制度改革・情報化などといった食餌・ホルモン療法、あるいはM&Aを含む脂肪摘出・整形などの外科療法をしていくことが、これからの会社のあり方のような気がしています。――<本書より>
<変態>の時代
<変態>の時代
著:菅野 聡美
講談社現代新書
南方熊楠、宮武外骨、中村古峡、そして江戸川乱歩、梅原北明 検閲、発禁と闘って変態研究に熱中した男たち 「変態」の語に性的な意味はなかった?知の最前線は、変態の研究だった?変態心理、変態広告、変態結婚とは?「変態」をキーワードに近代を読みかえる!
週末作家入門
週末作家入門
著:廣川 州伸
講談社現代新書
日々の苦労こそ「ネタ」になる! 堺屋太一、高杉良、幸田真音、山田智彦、江上剛……みんな働きながら作家になった。「ビジネス書」「経済小説」をあなたも。 あなたはどのタイプ? 1.会社はOKだし、仕事もおもしろい 2.会社はOKだが、仕事はつまらない 3.会社はNOだが、仕事はおもしろい 4.会社はNOだし、仕事もつまらない 自分のポジションを知って戦略を立てよう! 作家への近道は「仕事体験」をテーマにすること ひとくちに「ものづくり」といってもいろいろあります……なかでも「ものを書く」という行為は、手軽に自分らしさを表現できる手段です。もしもあなたに「仕事」の体験があれば、そのノウハウ、技術、知恵などを活用してまとめる「ビジネス書」にチャレンジするといいでしょう。ビジネス書づくりは、仕事をもつ人にとってはもっとも身近な「ものづくり」となります。あなたには、すでに「仕事」という貴重な素材がありますから、テーマ探しも難しいことではありません。……週末に小説を書いてみるのもいいでしょう。その場合でも、いきなり恋愛小説や時代小説、ミステリーなどに向かうのは、ちょっと荷が重いのでお勧めできません……まずは「経済小説」を書いてみてください。経済活動を視点にすえて、事件や人間模様を描く「経済小説」なら、あなたのサラリーマン生活がそのまま題材として活用できますので、リアリティのある作品に仕上がります。――<本書より>
検証・山内一豊伝説
検証・山内一豊伝説
著:渡部 淳
講談社現代新書
新書版『功名が辻』 「千代」の内助の功はどこまで本当か?「土佐藩主」は大出世ではなかった! 新史料で謎多き武将の実像に迫る 山内一豊の「伝説」とは ●一豊に名馬を買わせるために妻・千代はへそくりの黄金十両を差し出した。 ●関ヶ原前夜、千代が届けた「密書」で一豊は家康の信頼を得た。 ●そのおかげで一豊は土佐二十四万石の藩主となり大出世をとげた。 土佐山内家宝物資料館長が真偽を明かす! 「大出世伝説」に異議あり 一豊の生涯において土佐入国は、いわば出世物語の上がりの場である。その出世を具体的に数字で証明するのが、転封を重ねるごとに増加を続ける領知高である。近江唐国四百石を振り出しに漸次増石を続け、掛川で五万九千石を領したことはすでに見てきたとおりである。そして一豊の土佐入国こそは「掛川五万石から土佐二十四万石へ」の大出世といわれている。この通りならば約5倍の増加率であり、掛川の領知高を正式の五万九千石として計算しても、4倍強の出世となる。これが「一豊大出世伝説」の根拠なのだが、私はこの伝説に異を唱えたいと思う。――<本書より>
歴史を学ぶということ
歴史を学ぶということ
著:入江 昭
講談社現代新書
過去と向きあい、現在を俯瞰する。9.11後、世界は本当に変わったのか? 戦後の混乱期に渡米し、ハーバードで長年教鞭をとってきた歴史家は現代をどう見ているか。初めて明かされる研究者修行時代、そして思考遍歴。渾身の書き下ろし! (講談社現代新書) 9.11後、世界は本当に変わったのか? 戦後の混乱期に渡米し、ハーバードで長年教鞭をとってきた歴史家は現代をどう見ているか。初めて明かされる研究者修行時代、そして思考遍歴。渾身の書き下ろし!
電子あり
わが子に教える作文教室
わが子に教える作文教室
著:清水 義範
講談社現代新書
こうすれば、子どもは必ず作文上手になる! 「作文親父」(もちろん母親もOK)としての家庭での指導法アノ手コノ手を楽しい例文つきで紹介。基本からユーモアのある文章まで、実は親までうまくなる名講座。(講談社現代新書) こうすれば、子どもは必ず作文上手になる! 「作文親父」(もちろん母親もOK)としての家庭での指導法アノ手コノ手を楽しい例文つきで紹介。基本からユーモアのある文章まで、実は親までうまくなる名講座。
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畑村式「わかる」技術
畑村式「わかる」技術
著:畑村 洋太郎
講談社現代新書
畑村流理解力・創造力アップの秘訣を公開。人が「わかった!」と思う仕組みを解き明かし、さらに理解力向上のための基礎レッスン、理解から創造へつなげるための具体的な方法を「わかりやすく」解説。『失敗学のすすめ』『直観でわかる数学』の著者によるまったく新しい知的生産の技術。 なぜ「わからない」のか どうすれば「わかる」のか 『失敗学』『直観でわかる数学』の著者による まったく新しい知的生産の技術 なぜ授業の説明がわかりにくいのか 私たちが食べ物を食べたときに「おいしい」と感じるときの一要素として「うま味」の存在があります。和食のベースに使われるだし汁の素材といえばまず思い浮かぶのが昆布やかつお節でしょうが、昆布とかつお節にもうま味成分が豊富に含まれています。(中略)現在では昆布のうま味成分がグルタミン酸ナトリウム、かつお節のうま味成分がイノシン酸ナトリウムであることがわかっています。それでは、「うま味って何ですか?」と訊かれたとき、あなたならどのような説明をしますか?「だし汁などに含まれる、人がおいしいと感じるもの」といった説明をする人もいるでしょうし、「グルタミン酸やイノシン酸を適度に人の好みに合わせて混ぜたもの」といった説明をする人もいるかもしれません。もちろん後者のような説明でも間違いではなく、「正しい」ことです。しかし、グルタミン酸やイノシン酸という言葉にふだん馴染みのない人にとっては、そんな説明を受けても、うま味についてわかるようになるはずはないでしょう。私にはこの説明が、数学の授業の説明にそっくりに聞こえます。――<本書より>
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大学院へ行こう
大学院へ行こう
著:藤倉 雅之
講談社現代新書
「もっと」「もう一度」学びの場へ 誰も教えてくれない大学院入試の基礎知識と人気・注目コースのガイドを1冊に! 臨床心理士指定大学院/法科大学院/会計専門職大学院/公共政策/MBAスクール/MOTスクール/ファイナンス 身近になった大学院 第一にいえるのは、以前に比べて大学院が格段に身近になったということです。これは、学部学生以外の人にとってとくに顕著な動きです。大学院が多様な人材育成を心がけるようになった結果、社会人が新たな入学対象者として明確に意識されるようになったのです。一例を挙げると、近年「社会人入試」を行う大学院が増えました。(中略)新制度が次々に導入され、社会人が大学院へ進学しやすい環境が急速に整いました。これらの要因が複合的に作用して、大学院の量的拡大、とくに社会人大学院生の増加が実現したと考えられます。――<本書より>
ジャズの名盤入門
ジャズの名盤入門
著:中山 康樹
講談社現代新書
この50枚を聴けばジャズの真髄がわかる! BGM代わりに聴くだけでは気づかない、名盤ならではの魅力とは。今なお刺激的なジャズの必聴盤を厳選し、その聴きかたをつぶさに教える。最上のジャズ入門書。(講談社現代新書) この50枚を聴けばジャズの真髄がわかる! BGM代わりに聴くだけでは気づかない、名盤ならではの魅力とは。今なお刺激的なジャズの必聴盤を厳選し、その聴きかたをつぶさに教える。最上のジャズ入門書。
電子あり
「戦争学」概論
「戦争学」概論
著:黒野 耐
講談社現代新書
「愚かな戦争」は「愚かな政治家」が起こす! 日本軍の敗因を著書『参謀本部と陸軍大学校』で喝破した著者が、戦史から導いた「戦争回避」の原理。「平和」を守りたいなら「戦争」を学ぼう。大学で軍事学を教えないのは、先進国では日本だけである。地政学から見た国防戦略の理論、ナポレオンからイラク戦争までの戦争態様の変化など、必読の戦争入門書。 「愚かな戦争」は「愚かな政治家」が起こす! 日本軍の敗因を前著『参謀本部と陸軍大学校』で喝破した著者が、戦史から導いた「戦争回避」の原理 戦争学を学んでいないのは日本の政治家だけである 多くの日本人は誤解しているが、暴走するのは軍人だけではない。世界の歴史を見れば、戦前の日本は特異な例とすら言えるのだ。政治家がみずからの野望や誤った判断によって戦争を起こし、無用な犠牲の拡大をきたした例のなんと多いことだろうか。こうした事態を防ぐために、欧米の大学には戦争学あるいは軍事学の講座がある。ロンドン大学のキングズ・カレッジには戦争学部も設けられている。こうして少なくとも戦争学の基本を大学で学んだ者たちが、政治や外交での指導的立場についていく。だから、日本のような幼稚な議論はまず見られないのである。――<本書より>
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議論のウソ
議論のウソ
著:小笠原 喜康
講談社現代新書
「わかる」ことより、「わからない」ことを自覚していることの方が、はるかに重要である。何事にもスピードが要求されてきたこれまでの社会では、すぐに正解を求める。しかし世の中のことは、そう簡単に白黒つけられない。それを無理につけようとすると、どうしても、ありきたりの決まった答えに収まりがちになる。――<本書より> ベストセラー『大学生のためのレポート・論文術』で論理の組み立て方をわかりやすく解説した著者が「情報に騙されない」方法を平易に懇切に論じる。 いつも言い負かされてしまう いつも人の意見を鵜呑みにしてしまう いつも反論できない いつも情報に翻弄されてしまう ……そんなあなたに。 「わかりやすさ」のワナ しかし、わかるということは、単に文字面を追い、それを記憶に留めることではない。それを自分自身の問題として受け止め、かかわってみることである。「わかる」というのは、「かかわる」ことである。(中略)それができないときは、とりあえずわかることを留保することである。「わかる」ことより、「わからない」ことを自覚していることの方が、はるかに重要である。何事にもスピードが要求されてきたこれまでの社会では、すぐに正解を求める。しかし世の中のことは、そう簡単に白黒つけられない。それを無理につけようとすると、どうしても、ありきたりの決まった答えに収まりがちになる。――<本書より>
電子あり
人類進化の700万年
人類進化の700万年
著:三井 誠
講談社現代新書
知能に勝るクロマニョン人が作った石器と同じくらい工夫を凝らした石器(石刃)が、ネアンデルタール人の3万数千年前の化石とともに見つかっている。ネアンデルタール人も巧妙な石器を作っていたらしい。ネアンデルタール人は約20万年前に誕生してから、このころまで原始的な石器を作り続けてきた。そんな彼らが急に自らの力で進歩的な石器を作り出したとは考えにくい――<本書より> ネアンデルタール人とクロマニョン人 4万~3万年前のヨーロッパ。ネアンデルタール人と現生人類のクロマニョン人が共存していたらしい。両者の交流を示唆する痕跡が、フランスなどに残されていた。(中略)知能に勝るクロマニョン人が作った石器と同じくらい工夫を凝らした石器(石刃)が、ネアンデルタール人の3万数千年前の化石とともに見つかっている。ネアンデルタール人も巧妙な石器を作っていたらしい。ネアンデルタール人は約20万年前に誕生してから、このころまで原始的な石器を作り続けてきた。そんな彼らが急に自らの力で進歩的な石器を作り出したとは考えにくい。「ネアンデルタール人が、クロマニョン人に教えてもらったのか、まねをしたのか」と考えられている。彼らが交流していた可能性があるということだ。(中略)想像は膨らむが、少なくともネアンデルタール人とクロマニョン人が混血して現代にネアンデルタール人の遺伝子が残っている可能性は低いようだ。――<本書より>
電子あり