講談社現代新書作品一覧

相手に「伝わる」話し方
講談社現代新書
書き言葉は、「読む文章」です。「話す文章」は、本来まったく異なるもののはずです。いわば「文章の生理」の違いのようなものだと私は思います。「書く文章」をそのまま読み上げても、聞き手を感動させることはありません。聞き手の心に届くような話し方をしたければ、「書いた文章」を読み上げるのではなく、「自分の言葉」で語りかけなければならないのです。(本文より)
面接、プレゼン、祝辞、発表……
あなたは「自分の言葉」で話せますか?
聞く人の心に届くように話すとはどういうことか。
報道記者やキャスターとして放送の現場で得た、池上流「自分の言葉」を話す方法論。
●やさしく伝えることはむずかしい
●「共通体験」があると話しやすい
●ケンカだってチャンス
●原稿を書くな、メモを用意しろ
●聞く人の知りたい順に話す
●「つかみ」を使うを聞いてもらえる
●わかりやすく説明するための5箇条
●謝ることはむずかしい
●まずは「ひとりブレーンストーミング」
●緊張するとできることもある
現場に出て考えた――書き言葉は、「読む文章」です。「話す文章」は、本来まったく異なるもののはずです。いわば「文章の生理」の違いのようなものだと私は思います。
「書く文章」をそのまま読み上げても、聞き手を感動させることはありません。聞き手の心に届くような話し方をしたければ、「書いた文章」を読み上げるのではなく、「自分の言葉」で語りかけなければならないのです。
「読む文章」は、目が活字を追っていきます。もし途中で論旨がわからなくなったら、少し前に戻ればいいのです。しかし「話す文章」は、言葉が空中に発せられた途端に消えてしまいます。
しゃべる場合、活字の表現とは異なる順序で論旨を組み立てなければならないのです。どんなときも、まず「相手は何を一番に知りたいのかな。次は何かな」と話す内容に優先順位をつけながら、話す内容を組み立てていくのです。――(本書より)

文系にもわかる量子論
講談社現代新書
パソコンも携帯電話もMRIも、この理論なくして実現しなかった!
宇宙の謎、脳の不思議の解明にも不可欠な量子論を初歩から解説する画期的入門書。
量子とは「かたまり」――わたくしたちの日常生活では、コンピュータの部品に使われる半導体、テレビ、ファックス、多くの通信機器、CDプレーヤー、レントゲン写真、MRI撮影装置など、量子の世界の知識を応用した技術によってもたらされた製品が数多くあります。レーザー光線ひとつにしても、金属の切断や距離の測定、外科手術、観賞用と幅広く用いられていますが、これも量子論の応用からできています。これは、物質の最小単位である原子や分子(あとで述べるように、ほんとうは、もっと基本的な単位もあるのですが)を調べるのに、量子論が大きな役割を果たしているからです。
量子論は、ミクロの世界を記述する方法であり、これによって光や電子の振る舞いを正確に理解することができます。わたくしたちの日常の世界(マクロの世界)の物の動きとはかなり違ったルールで物事が進行しているので、奇妙に感じる点もありますが、ミクロの世界の論理、量子論を、文系の方を含めて、みんなにわかりやすく紹介するというのが著者に与えられた課題でした。――(本書より)

まちがいだらけの日本語文法
講談社現代新書
あなたの日本語は正しいか
「らしい」と「ようだ」はどう使い分けるべきか。
正しい文法が日本語技術を向上させる。
文法はなぜ必要なのか――私たちは日本語の文法を知ることで、日本語という言語で正しく使える文とは一体どんなしくみをもっていなければならないのかを、改めて確認することができます。そして、日本語の文がもつしくみを確認できれば、日本語で言われたり書かれたりした文が、どんな意味を表しているのかを誤解なく理解することができるようになります。さらには、こちらのほうが大切なのですが、自分で日本語を言ったり書いたりする時に、自分が他の人に伝えたいと思っている意味を、できるだけ正確に表現できる「達意」の文を作ることができるようになるという利点もあります。――(本書より)

「大東亜」戦争を知っていますか
講談社現代新書
次の世代へ語り継ぐアジアと日本の真実!
実はマレー半島上陸で始まった開戦から戦後まで――東南アジア研究にとりくむ著者が若い世代に語る日本と戦争の真実。
マレー半島上陸で始まった戦争――ロミ、「大東亜」戦争はどういう形で始まったか知っているかい?えっ?ハワイの真珠湾攻撃だって?半分だけ「ピンポン」だね。実はね、一番最初の戦闘行為は、1941年12月8日未明、インドシナにいた陸軍部隊が、カムラン湾を渡ってマレー半島の東海岸に上陸したことだったんだよ。そのおよそ1時間20分後に、海軍によるハワイの真珠湾攻撃が行われた。……重要なのは、真珠湾攻撃とマレー半島上陸作戦では、相手国が異なるということ。つまり、真珠湾はアメリカに対する攻撃だし、マラヤはイギリスに対する攻撃だったわけ。そしてこの日、日本は英米両国に対して「宣戦布告」をした。……この戦争に対して日本側がもともとつけた名称は「大東亜」戦争というんだけど、敗戦後日本がアメリカ軍の占領下におかれていた時代に、これはあまりにも軍国主義的な色彩が強いからといって、「太平洋」戦争に改称されたの。……でも考えてみて。「太平洋」っていうけど、ビルマや、マレーシアやシンガポールは「太平洋」に面している?――(本書より)

理系発想の文章術
講談社現代新書
レポート、プレゼンも怖くない!
「仕事の文章」はこうやって書く
企画書や報告書、プレゼンテーションの文章はどう書くのか。
最新の脳科学の成果を活用した仕事に使える画期的な文章術。
仕事の文章と理系発想――私は情報システム工学や人工知能を専門としており、文章の専門家ではない。にもかかわらず、私がなぜ文章の本を書くことになったのか。
それは仕事の文章は思考の伝達道具なので、理系的発想が有効であるからだ。すなわち人工知能やシステム工学から得られる研究成果をもとに、よりよい文章が書けると考えたからである。理系の文章や仕事の文章は、文章自身が明確な目的をもち、所定の機能を果たす道具として存在しており、しかも文章は人の悩みから産み出された一次元の流れをもつ記号の列であり、それが他人の脳に入ってゆくものである。したがって、執筆者の頭脳にある思考が文章となる過程と、文章が読者の頭脳に入る過程を理解することが良い文章を書く秘訣になる。これらの過程の理解には脳科学や人工知能の研究成果を活用することができる。一方、理系の文章や仕事の文章は明確な目的をもっている。この目的がどのように達成されるかということを理解するには、システム工学で用いられている方法を活用することができる。――(本書より)
●ロボットはどのようにして知識を獲得するか
●理系の文章も「国語」である
●文章のポイントは内容と理解容易性
●思考と文章の関係
●文章は思考のワーキングメモリ
●電子メールがもつ文章の伝達性
●議論は論理を育てるエッセンス
●理系の文章と仕事の文章は似ている
●仕事ができないと仕事の文章は書けない
●コンセプト・トランスファー

起業戦略 ビジネスの生み方・育て方
講談社現代新書
先の見えない時代こそ起業家精神が必要だ!
ニーズの探り方から事業計画の立て方まで、新規ビジネスで勝ち残るための「最強の戦略」を指南する。
3つの起業戦略――新しく市場に参入することを、「戦闘」とか「戦い」と見なす起業家は数多くいます。(中略)ベンチャー・キャピタルが投資した案件を大雑把に見てみると、10%が店頭登録までもっていける案件で、30%は完全に失敗案件、残りの60%が、俗に言われる「生きる屍」状況にある案件です。最初の分類にカウントされたいと思うなら、「参入戦略」、「儲けの戦略」、「反撃戦略」を考えておかなければなりません。いろいろな事業計画を見てみると、たいていはこの3つの戦略の区別がついていません。3つの戦略の有機的な結び付けが明確でない場合が少なくないのです。また起業家の事業計画には、立ち上げるまでの戦略があっても「儲けの戦略」が不明確な計画が多く、この「儲けの戦略」で差別化が図られていないのが現実なのです。――(本書より)

道徳を基礎づける―孟子vs.カント,ルソー,ニーチェ
講談社現代新書
現代フランス思想のトップランナーが仕かける孟子と啓蒙哲学者の対話
井戸に落ちそうになった子供を助けようとするのはなぜか――。
誰にでもある経験を起点に、カント、ルソーや孟子を比較検証。洋の東西を軽々と超える、現在フランス哲学の俊秀の快著。
ある王の逸話――謁見の儀の折、1頭の牛が供犠のために引き連れられて横切ってゆくのを、王が目にしたときのことである。処刑場に引き立てられる無辜の民にも似た、この動物の怯えた様子に忍びず、王は牛を放すように命じた。
その時、家臣たちが尋ねた。「犠牲をやめるべきでしょうか」。王は答えた。「それはできない。この牛に代えて羊を用いよ」。……
王は、怖じけづいた1頭を自分の目で見てしまった。その怯えは彼の目の前に不意に出現したので、心の準備をしておくこともできなかったのだ。ところが、もう一方の動物の運命は、彼にとっては観念にすぎなかった。……
王は苦しんでいるものを「目のあたりにすること」に「忍び」なかった。彼は他者――それが動物でさえも――の運命に無関心ではいられなかったのである。――(本書より)

進化経済学のすすめ
講談社現代新書
市場主義は人々を幸福にするのか?
規制撤廃、産業再編成、市場第一主義――グローバライゼーションは人々に何をもたらすか。経済社会で進行する変化と淘汰を新たな視点から読む。
知識を視点にすると――ルート128号線沿い、あるいは日本の場合、企業倒産は経営者の引退を意味するので、その経験を生かす場はない。(中略)これに対して、シリコンバレー型システムの下では、倒産した経営者はその経験と知識を次世代に伝えるチャンスをもつことになる。(中略)
社会システムの進化という視点から見ると、個々の企業の独立性が高く、失敗した経営者が引退しなければならないルート128号線・日本型システムの場合は、ダーウィン的進化ということができるだろう。知識は企業内部で受け継がれるしかなく、企業の盛衰でのみ進化を論じることになる。(中略)
それに対して、知識の共有と双方向的コミュニケーションが可能であり、獲得された経験を、他者に伝達することが可能であるシリコンバレー型システムは、獲得形質の遺伝のような要素が入っているということができる。この場合、淘汰にさらされるのは、個々の企業ではなく、技術および経営戦略にかんする知識である。――(本書より)

会計が変わる―企業経営のグローバル革命
講談社現代新書
会計がわかれば、社会がわかる!
数学がわかれば、経営がわかる!
国際化の中で会計制度はどう変わったのか。金融ビッグバンと会計改革の関係、新しい国際基準の精神とその影響、財務三表の読み方と問題点など、キャリアアップを目指すビジネスマン必読!
「会計ビッグバン」の内容――周知のように金融機関などが抱えている不良債権については、その回収可能性を厳しく判断して償却する必要があります。利息を免除したり、返済期日を延ばしたりするだけでも、その債権から得られるキャッシュ・フローの現在価値は変わってきます。債権の価値を厳格に評価し、必要とあれば損失を計上することも必要なのです。
評価損の計上は、現在の企業にとって一層厳しい状況をもたらすかもしれません。しかし、隠れ債務・隠れ損失をそのままにしておくことは、企業経営上の問題点から目をそらすことを意味します。
バブル時代の経営方式の行き詰まりを、会計上、いち早く察知して、経営者や投資者に警鐘を鳴らすことができれば、もっと早期に対策を講じることで傷口を広げずにすんだかもしれないのです。――(本書より)

がんで死ぬのはもったいない
講談社現代新書
注目の外科医がすべてを明かす――
患者よ、がんと闘おう!
日本の進行癌患者は見捨てられている!
医師と患者はどのように共闘できるのか。
注目の外科医が赤裸々に綴る感動の記録。
『最後の入院』
「手術は一流だが、抗癌剤治療は三流」と言っても誉めすぎで、つい最近まで「手術は一流だが、抗癌剤治療はなし」と言ったほうが正確だった。
しかたがない。日本の癌治療で最も大切なことは、患者に癌と気づかれないことだったのだから。
抗癌剤を患者に気づかれないようにきちんと使うには相当の技術がいるし、危険でもある。だから日本の外科医は、今でも「免罪符」のように5FU系口径抗癌剤を多用する。アリバイ的癌治療と呼んでもいい。
日本の癌治療のすべては、手術だけで決まった。もし不幸にして癌が再発したならば、外来でその患者を診ている外科医は、そのまま粘れるだけ粘れるしかないのだ。せいぜい、家族を本人とは別に呼び出して「もう残り時間はあまりありません。1日1日を大切に過ごさせてあげてください」と言うしかないのである。でも、これがいったい何のアドバイスになるというのだ。これが医者の言う言葉か。――(本書より)

パリ歴史探偵術
講談社現代新書
パリで味わうヨーロッパの古層
中世の城壁、パサージュの抜け道、幻のトイレ、写真館に青空市場……
少年プルーストが走り、モネ、ルノワールが集まった街角を探索する。
まぼろしの公衆トイレを求めて――「失われた時を求めて」の節目節目で、たいせつな機能を果たしている緑色のトイレなのだけれど、実はプチ・パレの近く、現在では「マルセル・プルーストの散歩道」と命名された緑陰の小径にちゃんと残っている。
その形からして、第二帝政時代の料金15サンチームのトイレに酷似している。してみると、パリ万博ガイドブック(1867年)で「シャンゼリゼ:凱旋門に向かって右側」とあった無臭トイレが、そのまま生きながらえているとも思われる。
「失われた時を求めて」の話者になりきって、この建物のかびくささを体験してみれば、あなたの無意志的記憶が浮かび上がってくるかもしれない。――(本書より)

一神教の誕生-ユダヤ教からキリスト教へ
講談社現代新書
一神教は人間の「罪」の意識から生まれた! 複数の神を信じていたユダヤ人が、一神教に変わった理由、ユダヤ教から派生したキリスト教が世界宗教に広がった理由を探りながら、人間と神との関係を問い直す。(講談社現代新書)
一神教は人間の「罪」の意識から生まれた! 複数の神を信じていたユダヤ人が、一神教に変わった理由、ユダヤ教から派生したキリスト教が世界宗教に広がった理由を探りながら、人間と神との関係を問い直す。

日米安保を考え直す
講談社現代新書
安保は日本を守っているか?
偏在する米軍基地、地位協定、核と密約、主体なき日本外交。日本とアメリカ、本土と沖縄の2つの軸から、安保を「非対称」の問題として問い直す。
●日米安保の「非対称性」とは何か
「日本を守る」と「極東を守る」
日米地位協定
●対称性へのバランス・シート
事前協議制と密約
●安保は日本外交をどう変えたか
「甘やかし」の対日政策
●日米安保はどう変わるか
新ガイドラインと「有事」
沖縄基地の役割はどう変わるか
(目次より)
「物と人の協力」――この「物と人の協力」という相互性が非対称的であるため、いつまでも日米双方から安保への不満が出る。冷戦後の今日、「物と人の協力」から「人と人の協力」へと安保を変え、より対等なかたちの同盟へ向かうべきだという意見もある。しかし、はたして日米安保に、真の意味での「物と人の協力」関係があっただろうか。ここまでみてきたように、日本防衛に限定してみるとき、日米の防衛力増強こそが最善の道だと米国は考えてきた。(中略)
日本防衛に在日米軍が直接関わることはない。在日米軍は、日本防衛のための直接戦闘を行う能力を持たないということだ。米太平洋軍は、米軍が日本に存在すること自体が最大の貢献であり、その存在によって米国の保障を示しているのだ、と考えていた。――(本書より)

鬼平と出世―旗本たちの昇進競争
講談社現代新書
根まわし、政略婚、嫉妬、ゴマすり、密告
人事で読む江戸社会
庶民に愛された長谷川平蔵がなぜ町奉行になれなかったのか?
松平定信の真意、ライバルたちの暗闘を寛政期の史料から読み解く。
●鬼平の陰にいた“名奉行”
●有能な人材が競った寛政期
●紛糾した北町奉行の後任人事
●庶民も同情した鬼平の不遇
●「好色将軍」家斉と“乳母問題”
●森山孝盛と武士の出世
●江戸に帰って猟官運動
●出世のお札で大散財
紛糾した北町奉行の後任人事――寛政3年(1791年)12月20日、北町奉行初鹿野河内守(はじかのかわちのかみ)が死んだ。享年48とまだ若い。中風の発作だということであったが、実は御役筋に不首尾なことがあり、切腹を命じられたとのもっぱらの噂だった。後任の町奉行についても色々と観測された。、
当時、江戸で最も人気があったのは、言うまでもなく火付盗賊改の長谷川平蔵である。彼は、町奉行の万年候補であった。平蔵の対抗馬として下馬評に上がったのは、松本兵庫頭(ひょうごのかみ)という物だった。奉行は空席のままで寛政4年に入り、世間の噂はますますかまびすしい。
次に下馬評に上がったのは、小普請の組頭から目付に進んでいた中川勘三郎と勘定奉行の根岸肥前守(ひぜんのかみ)(鎮衛(やすもり)、500石)である。根岸は、有名な随筆「耳嚢(みみぶくろ)」を残している。寛政期の幕閣によほど信頼されていたのだろう。――(本書より)

中国の黒社会
講談社現代新書
中国古来の「秘密結社」がなぜ犯罪集団に変質していったのか。
世界中で暗躍するチャイニーズ・マフィアの全貌!
秘密結社と革命――
秘密結社は革命運動期に大きな役割を果たしている。例えば中国革命の父、孫文は秘密結社を高く評価し、秘密結社の力によって清朝打倒を図ろうとした。
孫文はかつて「華僑は革命の母である」と語ったことがある。これは海外に出た秘密結社の多くが孫文を支持して辛亥革命に貢献したことを意味している。
孫文が清朝打倒のために「興中会」を設立した時、その構成員の多くは秘密結社のメンバーであった。興中会は、華南の三合会にも反清革命運動への参加を呼びかけている。
また、1899年には湖南・湖北の哥老会と連絡をとり、この3つが合流して反清革命組織が結成された。孫文自身、哥老会の一員であったとする説も有力だ。――(本書より)

日韓サッカー文化論
講談社現代新書
初の韓国人Jリーガーの目に、日韓両国のサッカーはどう映ったか。
開拓者として、国際人としてプレーし続ける現役MFが語りつくす。
まえがき――私が日本に来て、早いもので9年が過ぎようとしている。この間に、日本のサッカーは驚異的なレベルアップを遂げ、プロリーグもすっかり日常と化した。Jリーグの成功は日本サッカー全体の発展をも促した。
私は“外国人選手”のひとりとして、そうしたサッカーを取り巻く日本の変化を見てきた。私自身しか体験し得ない事柄もいくつか経験することができた。
いうまでもなく、日本と韓国の間には、長い歴史のなかで形成されてきた独特の感情が存在する。今でも韓国では、日本の風俗文化に関する情報を100パーセント自由に享受することはできないし、根強い反日感情も存在している。
しかし、少なくとも私にとっては、どちらも故郷である。友人がいて、思い出がある。そして、これは決して思い上がりではなく、私が個人的に体験してきたことが日本と韓国というふたつの国のサッカーにいくらかの影響をおよぼしたであろうことも自覚している。――(本書より)

TOEFL・TOEICと日本人の英語力 資格主義から実力主義へ
講談社現代新書
トーフル、トーイックでわかる日本人英語の弱点!
日本ほど英語検定試験の受験者の多い国はない。でもいったい何のため?各試験の内容を詳細に分析し、本当に必要な英語力を探る。
文法軽視は大きな誤り――
最近の日本では、英語教育における文法は、はなはだ肩身が狭くなっている。コミュニケーションと対立するかのように扱われ、文法ばかりやるから英語が話せない、などという意見が常識化している。……
文法など無用だと信じている人も多く、中学生や高校生が、文法なんて無駄なんだけれど受験のために仕方ない、と嫌々学習する傾向がある。
大学受験があるから現実の英会話に不必要な文法を勉強しなければならない、という空気が濃厚で、使える英語を使えなくしているのは大学入試だ、と大学が批判の対象と化している。だが、これは見当違いな考え方だといわざるをえない。……
外国語で内容のある話をしようと思ったら、体系的な文法知識を応用することは当然である。複文を組み立てたり、仮定法を使ったりすることは日常レベルでもあるわけで、そういう際に、文章を作り出し組み立てる力を支えるのは基本的な文法・構文の知識である。だからこそ、検定試験では必ず、何らかの形でそのような知識を問うのである。――(本書より)

大学生のためのレポート・論文術
講談社現代新書
誰も教えてくれなかった基礎の基礎
読めば書ける超入門!
資料探し、スケジュール管理、レイアウトや注の表記法。誰も教えてくれない基本から始めよう。読めば必ず書ける超入門。
基本が大切――
レポートや論文を書き始めるときに、最初にぶつかることはなにか。
世にたくさん出ている「論文作成法」とか「文章の書き方」といった本では、動機やテーマなどの問題を最初に述べていることが多い。
しかし意外とひっかかるのは、もっと単純なことである。
「どんな書式で書くのか?」
「1行の文字数は?1ページの行数は?」、
あるいは「余白は?」などといった、一見どうでもいいことではないだろうか。
そんなことは後から調整すればいいようなものだが、案外そうともいいきれない。――本書より

不妊治療は日本人を幸せにするか
講談社現代新書
治療経験者が語る〈光と影〉
「いのちの誕生」が揺れている!
代理出産、卵子の若返り、多胎と減数手術、クローン技術の応用。ルールなきまま進歩する医療技術と、子どもがほしい夫婦の心のはざまを問う。
海外に出かければ……
――いま、国内では認められていなくても、米国をはじめとして海外にいけば、かなりのことが叶う時代になった。それを斡旋する団体もある。卵子や精子も、ある程度までなら患者の「希望」が満たされる。代理出産も可能だ。
代理母を求めて、凍結した受精卵が箱に詰められ、日本から米国に飛び立ったこともある。30代の夫婦の受精卵だ。夫婦は体外受精を何度も繰り返したが、妊娠の兆しはなかった。妻が以前に妊娠した際、病気になり、子宮内膜の状態が悪くなっていたという。
この夫婦が自分たちの遺伝情報を引き継いだ子どもをもつには代理出産してもらうしかないと産婦人科医は判断し、米国の医療機関に相談した。「受精卵を送ってほしい」と言われ、体外でつくった夫婦の受精卵を凍結して空輸。米国の医療機関で解凍し、代理母に移植した。しかし、妊娠にはいたらなかった。――(本書より)

1日20分! 英会話速習法
講談社現代新書
ナットクの「超」勉強法!
自分の日々の暮らしに必要なことばを1日に1つ、英語で話す練習をすれば初めての人も3ヵ月で英会話ができる!
●英語の自信喪失!
●住み込んだ家の子どもは「ベビーギャング」
●単語でなく、英文をおぼえる
●英語と日本語は同じではない
●会話に必要な文法は1つ
●会話では「イーズィワード」を使う
●「ゆっくりでも正しい発音」が上達の早道
●英語で書く、おぼえる、話す
●ヒアリング――話せる英語は、聞き取れる
●これが会話の言い方――実例集