講談社現代新書作品一覧

<地域人>とまちづくり
<地域人>とまちづくり
著:中沢 孝夫
講談社現代新書
まちづくり、地域活性化論の決定版! いま、全国各地で個人によるまちづくりが同時発生的に始まっている。 なぜ行政主導の地域活性化は失敗し、彼らは成功しているのか。 その秘密を探る。 地域人の登場――わたしたちのすぐそばで地域人とでもいうべき市民が登場しつつあるのだ。その地域人に共通することは、意識的に「まち」を中心として、遊びや、ビジネス、「環境」への取り組み、あるいは景観づくり、そしてその全部といったものをかかわらせながら、人々のネットワークづくりを進めていることである。それはいいかえるならば、新しいタイプの「地域共同体」づくりの動きであるといってもよいだろう。本書に登場する地域人たちは、自分の住んでいる地域を大事にし、「まち」に活力をもたらしているのだが、それらの動きを「地域活性化の取り組み」といいかえても、大きく外れてはいない。しかし、地域人の各種の行動を見ていると、そのように括るだけではもったいない、ともいえる膨らみをもっている。地域人は、日常的あるいは中心的にはローカルな領域を行動することが多いのだが、背景は明らかにグローバルに広がる領域をもっている――(本書より)
表現の現場
表現の現場
著・その他:田窪 恭治
講談社現代新書
「林檎の礼拝堂」から新しい現場へ 北斎、マチス、ピカソ、ル・コルビュジェ、絵巻物、洞窟画……そしてタクボ!! 作家がいなくなった未来においても生き続ける表現の現場こそ、私がめざす「風景芸術」なのだ。 若冲の部屋――私が画家になったのは、少年の頃の不思議な体験がきっかけだった。……白日夢のような、その時の感覚が忘れられなくて、いまだに私は、あっち側(闇)とこっち側(光)の境界をさまよっているような気がする。その不思議な空間は、四国こんぴらさんの奥書院にある『百花の間』である。秋の日の午後、ひんやりとした空気のなかで、薄暗い部屋の壁に、じっと目を凝らすと、金砂子の背景から、紅い椿や白い菊、梅や山百合、朝顔や鉄線、紫陽花や向日葵などなど、色鮮やかな自然の花が、暗い闇のなかから湧き出して、私の目の前に、次々とその姿を現す。私は座っていた6畳の畳の床からふわふわと浮きあがり、沢山の折花とともに、重力を失ったまま宇宙をさまよっているような錯覚をおぼえた。……この部屋に花の絵を描いた画家は、京都、高倉錦小路の青物問屋、桝屋の長男として1716年に生まれた伊藤若冲(じゃくちゅう)である。――(本書より)
大転換思考のすすめ
大転換思考のすすめ
著:畑村 洋太郎,著:山田 眞次郎
講談社現代新書
日本低迷の真の原因はこれだ! 「失敗学」の第1人者と金型製造の革命児、日本の産業を知り尽くした2人の徹底議論から生まれた時代を乗り越えるための基礎知識と考え方 いったいこの長期的な景気低迷の原因はどこにあるのでしょうか。よくいわれるような、政策の誤りなのでしょうか。そうではありません。それは大きな歴史的な流れのなかで日本が当然迎えるべき段階に入って、当たり前のことがごく当たり前に起こっているのにすぎないというのが私たちの見方です。――「はじめに」より ●順演算思考の落とし穴 ●値下げ競争には未来はない ●ネットワークがものづくりの現場を変える ●企業が生き残るための3つの道 ●企業の価値は資本ではなく人にある ●年収2極化の時代 ●問題発見より課題設定の能力 ●「見せない」「しゃべらない」「触らせない」 ●製造業従事者がいまの10分の1になる日 ●幸せの基準がひとつではなくなる
はじめてのアラビア語
はじめてのアラビア語
著:宮本 雅行
講談社現代新書
実践的な日常会話、アラビア文字の読み方や発音、アラブ人の考え方もわかる。面白くて役に立つ入門書の決定版! アラブ世界でとても大切な言葉はサラーム(平安)! 実践的な日常会話、アラビア文字の読み方や発音、アラブ人の考え方もわかる。 面白くて役に立つ入門書の決定版! 困った時の友――アラブ人は友人(サディーク)を大切にします。ただし、アラブ人が、ある人を本当に友人と認めるのは、相当の信頼関係がある場合に限られると思っても間違いはありません。ですから、アラブ諸国を旅行して、初対面なのに「サディーキー(私の友だち)、サディーキー」と呼びかけられた時は、これはそのアラブ人に何か下心がある場合だと思ってもいいでしょう。 もともと、サディークという言葉は、スドゥク(真実)という単語と関連していて、「常に真実を語る者」というような意味ですから、アラブ人からサディークと認められるまでには、かなりの時間と深いつきあいが必要になるわけです。そして、サディークの中でも最も大切なのが、このアッサディーク・インダ・ッディーク(困った時の友)です。自分が困難な状況にある時に、手を差し伸べてくれる友だちほどありがたいものはないというのは、アラブも日本も同じですね。――(本書より)
電子あり
春秋戦国の処世術
春秋戦国の処世術
著:松本 肇
講談社現代新書
臨機応変、うその効用、偽装工作、うわさの心理学、敗北の美学…… 賢者たちの知恵を現代に活かせ! 動乱の時代を生き抜いた賢者の知恵が満載!孔子、孟子、列子、荘子、韓非子らが残した教訓を21世紀の視点で読み直す。 ●寓言にこめられた中国人の知恵 目的と手段/まわり道 失うから手に入る/こだわりの哲学 ●臨機応変の策……抵抗か服従か/本物は誰だ ●うその効用……恋に落ちて/陰謀の喜び ●やさしさの裏側……法のきびしさ/敵がいるほど強くなる ●ことばの魔術……説得の技法/うわさの心理学 ●読心術いろいろ……秘密/動機/おとり ●敗北の美学……醜いものの価値/理想の追求 ●死へのまなざし……生まれる前と同じ/滅びの意志 寓言にこめられた中国人の知恵――戦争で50歩逃げた兵士が、100歩逃げた兵士を笑ったという「五十歩百歩」の話は、『孟子』梁恵王章句上に見えるもので、孟子が、生活の安定と学校教育のたいせつさを説くために用いた寓言である。うさぎが切り株にぶつかって死んだのを見た農夫が、仕事をやめて、切り株を見張ってうさぎがかかるのを待ったという「守株」の話は、『韓非子』五蠧第49に見えるもので、韓非子が、古代の聖王のやり方で現代の人民を統治する愚かさを指摘するために用いた寓言である。ほかにも、「朝三暮四」「蛇足」「矛盾」など、寓言から多くの成語が生まれている。中国の寓言の中には、現代の私たちから見ても教訓となる話が非常に多い。本書の目的は、春秋戦国期の諸子百家をはじめとして、中国古代の書物に見られる寓言を取り上げ、さまざなな視点から解釈し、現代に生きる知恵を探ることにある。――(本書より)
最強の競馬論
最強の競馬論
著:森 秀行
講談社現代新書
現役トップ・トレーナーが明かす最新競馬論。馬の血統から距離適性、G1馬と普通の馬の違い、強い馬を育てる調教、レースの選び方、そして騎手の巧拙まで。常識が変わり、ますます競馬が楽しくなる話満載! (講談社現代新書) 現役トップ・トレーナーが明かす最新競馬論。馬の血統から距離適性、G1馬と普通の馬の違い、強い馬を育てる調教、レースの選び方、そして騎手の巧拙まで。常識が変わり、ますます競馬が楽しくなる話満載!
電子あり
コーチングの技術
コーチングの技術
著:菅原 裕子
講談社現代新書
上司と部下など、人間関係を作りあげる方法。スポーツのコーチ技術から生まれたコーチングは、上司と部下の関係など、ビジネスのあらゆる局面で使われている。親子、教師と生徒などへの応用法も含めて解説。(講談社現代新書) 上司と部下など、人間関係を作りあげる方法スポーツのコーチ技術から生まれたコーチングは、上司と部下の関係など、ビジネスのあらゆる局面で使われている。親子、教師と生徒などへの応用法も含めて解説。
電子あり
生き方の人類学
生き方の人類学
著:田辺 繁治
講談社現代新書
知はいかに身体に宿るか。 ウィトゲンシュタイン、ブルデューの彼方を探る論考。 私たちは知識を操作しているのではない 知識を生きているのだ! では、私たち、あるいは彼らは自分たちの行っている実践について、何を知っているのだろうか?これは知に関する古くからの哲学的問いであるとともに、人類学的な問いでもある。…… 占い師はコスモロジーという知識資源を使っているように見えるが、それが直接に彼の占いという実践を生みだしているのではない。それは単純な分類図式によって成りたつ、そこにおかれた占い道具にすぎない。占いの判断はそうしたすべての人びとに適用可能な単純な道具をやりくりし、クライアントの特性にあてはめることによって導きだされる。そこに占い特有のある種の神秘的な効果が生みだされるのである。…… 知識は本に書かれたようなモノではなく生きた身体に宿っている。…… 私たちは知識を操作しているのではなく知識を生きているのである。――(本書より)
市川新之助論
市川新之助論
著:犬丸 治
講談社現代新書
彼は何ゆえに睨むか!? 宮本武蔵で眼のちからを見せつけた歌舞伎随一の若武者。 助六のしゃべりと睨み、弁慶のドラマ性など「茨を求める」芸の本質に迫る。 ●かつてない「宮本武蔵」が現れた ●弁天小僧の「女装」は何故必要だったのか ●弁慶という役の「重さ」 ●勧進帳読み上げの「強さ」と「深さ」 ●奇跡の「出端」 ●匂い立つエクスタシー ●助六と揚巻の「愛のかたち」 ●新之助の正統な「異端性」 ●十一代目團十郎の面影を越えて ●「何をしてもゆるされる」生まれながらの光源氏 何故、今、市川新之助か―― 新之助は敢えて舞台に「茨を求めた」のである。直球勝負。彼の舞台を観る時、私たち寒極の心のミットには、ズシリとした感触がいつまでも残る。新之助の演じる人間たちは、古典にせよ舞踊にせよ、常に血の通った実在性と肉感に満ち満ちている。 私はこれまで、多くの名優たちの舞台に触れ、その芸に心揺さぶられてきた。六代目中村歌右衛門、十七代目中村勘三郎、初代松本白鴎(八代目松本幸四郎)、二代目尾上松緑、七代目尾上梅幸、二代目中村鴈治郎、十三代目片岡仁左衛門。しかし新之助のように、助六や弁慶が古典劇の枠を乗り越えて、「同時代人」の如く観る者に迫ってくるという体験は希有といって良い。 それは、私にとって一つの「事件」であった。その「事件」を、歌舞伎界の正嫡たる新之助が実現したということに、私は衝き動かされた。その存在感の源泉を知りたいと思った。――(本書より)
これがビートルズだ
これがビートルズだ
著:中山 康樹
講談社現代新書
ジョンが最も輝いた瞬間とは。ポールの才能はいかに爆発したか。 今なお発掘され続ける新事実を踏まえ、6年間、全作品の謎に迫る。 ●ビートルズという謎 ●『プリーズ。プリーズ・ミー』スタジオで再現されたらイヴ・ステージ ●『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』ジョンの才能が大爆発 ●『リヴォルバー』”レコーディングの時代”に突入 ●『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』時代を象徴する名盤 ●『マジカル・ミステリー・ツアー』ポールが作った名曲群を聴け! ●『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』バラバラの四人が作った傑作二枚組 ●『レット・イット・ビー』姿を変えた”ゲット・バック・セッション” ●『アビー・ロード』四人が”ビートルズ”に扮した傑作 ●『パスト・マスターズVol.2』編集盤を超えたもう一枚のオリジナル・アルバム ビートルズという謎―― ビートルズがいまなお聴かれ、一方でマニアックな研究や調査がとどまるところを知らないかの勢いで進化しているのも、ビートルズがおもしろいからだ。ビートルズの音楽と物語は発見と謎の連続であり、それは未知の驚きとスリルにみちている。 ビートルズの音楽は、聴いても聴いても飽きることがない。個人的には、懐かしく感じることもノスタルジックになることもほとんどない。すべてのアルバム、すべての曲になにかしら新たな発見がある。聴き手に謎解きをさせるために、意図的に仕掛けられたのかとさえ思えるほどだ。それはビートルズが細部にいたるまでいっさい手を抜いていなかったことを物語る。――(本書より)
私はどうして私なのか
私はどうして私なのか
著:大庭 健
講談社現代新書
自分はたしかにいる。 では鳥や魚、赤ちゃんにも自分はあるのか? 私とは何? 「あなたがいて私がいる」ことを検証する鮮やかな分析哲学。 自分がいる、ということ 自分がいる。この事実は、否定できない。 私が、こう書きとめたとき、私は、書いているのは自分だ、と意識している。自分でも知らないうちに指が動き続けて、日本語の文字らしい模様がディスプレイに生じた、というのではない。私は、自分が書いている、と自覚しながら、指を動かしていた。 そのようにして、私は、自分でありえている(哲学あるいは心理学の用語で言えば、「自己」・「自我」(セルフ)でありえている、と言ってもいいが、この本では「自分」という、もっとも日常的な語を用いる)。 では、魚や鳥、あるいは人間の新生児は、どうなのだろう。彼らにおいても「自分」が成立しているのだろうか? もう少し正確に問い直そう。いまの私においては、自分というものが成り立っている。それと同じような仕方で、自分がいるという事態が、鳥や魚や赤ちゃんにおいても、成り立っているのだろうか?――(本書より)
問題解決型リーダーシップ
問題解決型リーダーシップ
著:佐久間 賢
講談社現代新書
日本企業はなぜ低迷から抜け出せないのか。 上司・部下関係の実態調査とケーススタディから、まったく新しいリーダー像を提起する。 ●いま、日本企業の職場に何が起きているか 「ギャップ型上司」と「問題解決型上司」 ●変容するリーダーの役割――ギャップはなぜ生じたのか 「できる上司」とは何か ●問題解決型リーダー「6つの経営スキル」 バトナ=補完条件の提示 ●信頼されるリーダーの条件 「コーチング」の基本 ●企業変革者としてのリーダーシップ ●成果主義のリーダーシップ いま、日本企業の職場に何が起きているか こうして6つの質問について見てきただけでも、両極端の二つの上司像が浮かび上がるだろう。 一つは、部下から見て問題解決力も学ぶべき点もなく、部下の提案には耳を傾けず、部下をどう評価しているかも説明せず、新しい手法に対しても消極的な、したがって信頼できない上司。 もう一方は、問題解決力があり学ぶべき点も多く、部下の提案にも耳を傾け、部下の人事評価も本人に説明し、新しい手法も積極的に取り入れる、信頼できる上司。 前者を「ギャップ型上司」と名づけることにしよう。後者は、「問題解決型上司」と呼ぶのがふさわしい。そしてどうやら日本には、部下に聞いたこのアンケート結果を見るかぎり、「ギャップ型上司」のほうが多いようなのである。――(本書より)
中国と台湾
中国と台湾
著:岡田 充
講談社現代新書
激化する軍拡競争、支えあう経済、暗躍する密使、新指導者、米中新冷戦―― 新局面に入った中台関係の本質を抉る! 多面政治家、李登輝の一面として、中国との「裏」の関係を表すエピソードがある。李と江沢民ら中台首脳の意向を受けた「密使」の存在である。 台湾側の密使は、香港やマカオ、広東省などで頻繁に中国側と接触して、双方の政策のすり合わせや、中台対話に向けた秘密会談を重ねていた。 1996年のミサイル危機や「二国論」の際も、中台が事前に情報交換していたことになり、激しい非難の応酬の裏で、中台間には衝突回避に向けた「危機管理」が働いていた。 同時に「密使」の存在からは、米中台の三方がそれぞれの事情から「海峡の緊張」を必要とし、かつ利用する政治ゲームの実相が垣間見える。――(本書より)
天皇と日本の起源
天皇と日本の起源
著:遠山 美都男
講談社現代新書
天皇号と国号「日本」はいかにして成立したか。 推古・厩戸から天武・持統まで、権謀と動乱の謎を解明し、国家形成の軌跡を描く。 厳密な意味で飛鳥時代といえば、それは舒明天皇が飛鳥岡本宮を造営し、そこに遷り住んだ630年以降ということになる。そして、通説のいうように、飛鳥時代の終わりを藤原へ遷都した694年と見なすならば、630年から694年までのおよそ60年間が飛鳥時代ということになるのである。 このわずか60年ほどの間に、「天皇」という君主号と「日本」の国号が生み出されたわけで、飛鳥という土地が、さらにそこで展開した歴史が、「天皇」や「日本」を生み出したといっても決していいすぎではない。飛鳥に「天皇」と「日本」の起源があるといえよう。 飛鳥という土地のどのような要素が、また飛鳥時代のどのような出来事がそれを可能にしたのか、それを追究し、解明していくことが本書の課題なのである。――(本書より)
最強のファイナンス理論
最強のファイナンス理論
著:真壁 昭夫
講談社現代新書
ノーベル経済学賞受賞の最新理論がぐんぐんわかる! 「行動ファイナンス理論」超入門 バブルはなぜ起こる? 逆張り投資が成功するのはなぜか? ノーベル経済学賞を受賞した注目の理論で市場を読み解く。 「行動ファイナンス理論」の有用性――「行動ファイナンス理論」の主な有用性は三つある。 一つは、伝統的ファイナンス理論では説明が困難な、短期的・非合理的な金融市場の動向を解析することが可能になったことだ。 二つ目は、投資家自身の投資行動を効率化する助けになることだ。読者自身の投資家としての技量の向上にも役立つはずだ。 そして三つ目は、この理論が我々の日常生活に応用できることである。心理学的な要因を理解することによって、日常生活の中で話題が増えることも想定される。 これら三つは、金融市場の専門家、あるいは個人投資家、さらに一般の個人にとって大きな福音になるはずである。 これまでのファイナンス理論は、いわば、理想的な人間像を完璧に模した人形を作ることに徹してきた。新しい「行動ファイナンス理論」は、その精巧な人形に、生身の人間が持つ温かな生命を吹きこむツールなのである。――(本文より)
キャラクター小説の作り方
キャラクター小説の作り方
著:大塚 英志
講談社現代新書
物語の舞台や登場人物をどう設定するか。 オリジナリティ、「おもしろさ」とは何か。みるみる書ける小説入門! これは実用的な小説入門書であり、本気の文芸批評です。 登場人物をどう決めるか。作品世界をどう作るか。オリジナリティとは何だろう。 新しい文学が現れつつある今、もっとも注目される評論家/小説家が、誰でも書けるメソッドを教える。 ジュニア小説、ゲーム小説だけでなく、純文学、ミステリー、まんが、アニメ、映画まで応用できる! ●キャラクター小説とは何か ●キャラクターとはパターンの組み合わせである ●架空の「私」の作り方について ●物語はたった一つの終わりに向かっていくわけではないことについて ●お話の法則を探せ ●「千と千尋の神隠し」におけるお話の法則 ●「世界観」とはズレた日常である ●世界観の細部に神は宿る ●近代文学とはキャラクター小説であった ●「私」になる手段としての文学 小説家になることが「私探し」と密接に結びついてしまったのは、この国の「文学」が大なり小なり「私小説」という伝統の上に成り立っているからです。 そして、小説家志望者たちが小説家にうまくなれないのは、「私探し」と「小説を書く」という行為をうまく区別できないからのように思えます。 本書はひとまず「私探し」の方は置いておいて下さい、というところから始めます。そのために「私探し」という問題に皆さんが足をすくわれずに済む小説形式を例に、その創作のノウハウについてあたかも受験参考書のように講義します。いや、自分が書きたいのは「私」についての小説だ、とおっしゃる方も少なくないでしょう。しかし、そういう場合も、あなた自身の「私」や、いわゆる「私小説」については、ひとまず脇に置いておいて下さい。だまされた、と思って。――(本書より)
ミステリイは誘う
ミステリイは誘う
著:春日 直樹
講談社現代新書
ミステリイは深い! 死体、探偵、美女、手がかり、推理――。 5つのキーワードで古今のミステリイの森を自在にフィールド・ワーク!読めばあなたも殺される!? ●殺人は近代社会のスキャンダルである ●芸術としての殺人 ●孤高のタフガイが死体と出会うとき ●探偵の反-近代性 ●ポアロとウィムジイの所在なさ ●美女の味わい ●オリジナルとコピーの交錯 ●アイデンティティの揺らぎとワンダーランド ●推理の快感 ●ミステリイの可能性 ――(目次より抜粋) ~手がかりとは?~ 手がかりが――(中略)、決定的に重要となるのはどんな場合か。たとえば、牛の足跡がだく足やギャロップの痕を残したとき、これに注目したホームズが牛型の蹄鉄を馬に打つトリックに気づいて犯人をつきとめた場合。あるいは、貴族を自称する女の靴が、高価な身なりにつり合わないような安物のときに、ポアロが彼女を宝石泥棒と見抜いた場合。つまりは足跡や靴が、犯人の巧妙な嘘をあばき、<外観>の下の<存在>をあらわにするように働いたときである。 手がかりはこうして犯人の偽装を見破り謀略をあばく結び目となるときに、はじめて決定的となる。だから手がかりの発見は意外な真相へと一挙につながるわけで、ミステリイの醍醐味そのものといえる。探偵がこんな特権を、読者に簡単に分け与えるはずがないではないか。――(本書より)
分かりやすい日本語の書き方
分かりやすい日本語の書き方
著:大隅 秀夫
講談社現代新書
“文章添削の鬼”が明快に説く、基本からの文章上達法! 用字用語の使い方から構成まで、役に立つヒントを満載。 ●「魚」と「さかな」の違いは何か ●言い換えの語を多く覚える ●慣用句は出典を確かめてから使う ●助詞の乱用で文章を引っ張るな ●四字熟語は数多く覚えなくてもよい ●言葉の重複は見苦しいので気を配る ●書き出しの一行で勝負は決まる ●修飾語と接続詞はほとんど要らない ●人物を描くときは七つ褒めて三つけなせ ●たとえ話を入れて分かりやすくする ほかの人が書かないことを書く―― テーマは「旅」である。多くの受講生はぶっつけで原稿用紙に向かって書き始めるせいか、「旅」の解説をあげつらうので、失敗していた。 「旅というのは日常からの逃避である」とか、「旅と旅行は違う。俳人芭蕉のように目的地も日程も決めないで、1人か2人でぶらりと出かけるのが旅であり、団体ツアーなどは旅行でしかない」とか書く受講生が多かった。 旅の定義から述べられ始められると、読むほうはもううんざりするにちがいない。わたしは次の合評のとき、こう注意してきた。 「ほかの人が書かないことを述べるのが真の文章である。人間は顔形が異なるように体験も違う。他人と同じことを書いていたらだれも読んでくれないに決まっている。具体的にはどうすればよいのか」 ここまで言って更に続ける。 「ともかく体験を書きなさい。抽象的なことをいくら述べても読む人は感銘しない。ちょっと考えてごらんなさい。(中略)いろいろ書くことがあるはずでしょう。抽象的なテーマを与えられたらまず、“わたし”という主語を用いて執筆メモを作れば、何かを具体的に書けるようになるものです」――(本書より)
論理に強い子どもを育てる
論理に強い子どもを育てる
著:工藤 順一
講談社現代新書
できる子どもは論理的に考える 「論理」を「屁理屈」ととらえている大人は多いが、論理力とは相手をことばで納得させる説明能力である。子どもの論理力を引き出す実践的で効果のある方法を説く。 説明文を書くことが論理力を育てる―― 「書くこと」が重要なのは、子どもが観察して考えたことを整理して、人が読んでもわかるように、ことばを組み立てる練習になるからです。それが人に話すときに、筋道だった説明をする能力の基礎にもなります。 最近は説得力のある意見というと、すぐに「話すこと」に目がいきがちですが、話すことに慣れていない子どもの場合には本末転倒で、単語をつなげるだけになってしまいます。 人にわかる説明をするには、観察した事実を、まず主要なものとその他のものに分類してまとめ、それらを筋道立てて配列し、自分のことばで新たにまとめ上げる作業が必要です。子どもの論理力を育てるには、ことばを扱う能力を養わなければならず、それには、事実に即した説明文を書いてみることが必要なのです。――(本書より)
会社を変える戦略
会社を変える戦略
著:山本 真司
講談社現代新書
これが正しい企業改革だ! 戦略的コスト削減とは何か。 「選択と集中」実行のツボは。 最新経営手法を上手に使って強い会社に変える、エグゼクティブ必読の超具体策。 富を生み出すエンジンに点火せよ―― 「デイビッド、先日のスピーチで宣言した、私の3つの改革は覚えているね?」 「コスト削減、選択と集中、有事の組織の構築でしたね」 「それにコミュニケーション戦略の実行を加えたい。私の考えでは、 1.『コスト削減』で競争力回復の初速を稼ぎ、 2.『選択と集中』で富創出のエンジンに点火し、 3.『有事の組織』で平安の眠りから民を目覚めさせ、 4.『コミュニケーション戦略』で従業員の心を揺さぶる ――この4つで、わが社の一気呵成の改革を狙いたいんだ」 「面白そうですね。ジムの経営の原理原則が浸透すれば、そしてジムがその原理原則にかなった行動を取りつづければ、成功できると想います」――(本書より)