講談社現代新書作品一覧

ゼロからわかる経済の基本
講談社現代新書
デフレ、株安、失業。「専門家」や政府の見解は本当に正しいのか?読めば必ずわかる超入門!
経済を正しく理解するには、やはり、経済学の助けが必要です。市場の働きとは何か、政府の機能とは何か、貿易の意義とは何か、不況はなぜ起きるのか、そのときに必要な政府の政策とは何か……等々に関して、これまでの経済学の蓄積を無視して、正しい理解を得ることはできません。本書も、それを大いに利用しています。
にもかかわらず、本書は単なる経済学のテキストではありません。経済学のテキストとは、経済学を理解するためのテキストです。しかし本書は、あくまでも「現実の経済」を理解するための本だからです。 ――(本書より)

外務省「失敗」の本質
講談社現代新書
大丈夫か日本外交!?
エリート外交官はなぜコワモテ政治家に食い物にされたのか。機密費詐取や日朝交渉の実態とは。「伏魔殿」内部の真実を明かす。
地に落ちた信用――
2001年元旦、巨額の官房機密費詐取疑惑が初めて報じられて以来、外務省では不祥事が相次いで発覚し、その信用は地に落ちた。
ハイヤー代やホテル代の水増し請求、在外公館の予算不正使用、本省内全部局にわたる裏金プールなど、ずさんな公金管理を浮き彫りにした事件だけでなく、鈴木宗男代議士との不明朗な関係や、瀋陽の総領事館で発生した北朝鮮住民駆け込み事件など、政界との関係や人権感覚でも非常識ぶりをさらけ出した。
外務省の威信と地盤は、とりわけ湾岸危機後の10数年間に、急速に低下したように見える。外務省の権威を支えていた海外情報や語学能力、国際法、国際慣習といった分野の知識面では、社会のグローバル化に伴って民間との格差が縮まっているのに、外務省はそうした環境の変化になかなか気づかなかったからだ。
草の根の声や感情に疎い外務省の体質は、小泉純一郎首相と北朝鮮の金正日総書記が会談した際、拉致被害者の安否確認リストの内容を家族らに即刻伝えなかった失態にも結びつく。――(本書より)

働くことは生きること
講談社現代新書
町工場から時代が見える
職人の技ものづくりの魅力
腕のいい職人の仕事は粋で美しい。効率第一の裏で、働く人は要員に成り下がっていないか。旋盤工・作家が問う「仕事」の現在。
こころ豊かに働く――
物質的な豊かさに溺れると、人はそのモノの価値を見失う。かつて人びとはモノのうしろに、それを育てたり作ったりする人びとの労苦や技を見る目を持っていたが、それが見えなくなった。モノの利便性や経済的な、つまり実用的な価値しか見えなくなる。モノに対する価値判断が実用的になれば、労働に対するそれも同じことである。
自分で額に汗して働くよりは、他人に作らせてそれを安く買う方法を考えようとする。産業の二重構造をたくみに利用して、中小企業が作ったモノを大企業が売る。(中略)
そんな日本の社会の底辺で、働くことが生きること、生きることが働くことと信じて疑わない人たちがいる。町工場だけにいるわけではない。農村にも、学校にも、医療や福祉の現場にも、いや大きな企業のなかにもむろんいるのにちがいない。――(本書より)

時間は実在するか
講談社現代新書
「飛ぶ矢」は止まっている!?
マクタガートの「非実在性」の証明とは!?
過去・現在・未来の「罠」
飛ぶ矢のパラドックスに始まり、マクタガートの非実在性の証明を検証し、新しい形而上学を構想する。
「実在」の第1の意味――
まずは、マクタガートから「遠く離れた」ところから始めてみよう。……古代ギリシアの哲学者であるゼノンとアリストテレス、古代末期のキリスト教者であり哲学者であるアウグスティヌス、初期大乗仏教の確立者ナーガールジュナ(龍樹)、明治から昭和期の国語学者山田孝雄(よしお)。彼らの議論を参照しながら、その「問題」へと接近してみよう。
「実在」とは、まず第一に、単なる見かけ(仮象)ではなくて、ほんとうに存在しているものという意味である。
「ほんとうに(really リアリィ)」という副詞を名詞にすると、「実在(reality リアリティ)」になる。見かけ(仮象)を剥ぎ取った後の「ほんとうの(real リアルな)姿」の中に、「時間」がはたして含まれているのかどうか。それが、「時間は実在するか」という問いの1つの意味である。――(本書より)

三国志と日本人
講談社現代新書
どうして日本人は「三国志」が好きなのか。本家の中国では極め付きの悪人とされている曹操が、なぜ日本では人気なのか。「日本書紀」からゲームソフトに至るまで、日本人の心をとらえ続ける三国志の魅力に迫る。
父祖代々の『三国志』
お膝元の中国での『三国志演義』の親しまれ方と日本のそれとはかなり違う。乱暴に要約すると、中国人は芝居から入り、さらにむかしは、寄席の講談によって親しんだ。芝居は人物を思いきってタイプ化する。『三国志演義』の曹操といえば、白塗りの極め付きの悪人であるから、芝居で親しんだ長い伝統を持つ中国人から、曹操悪玉の印象は容易にぬぐえない。
その点、日本人は江戸時代以後、主に挿絵入りの書物によって『三国志演義』に親しんだから、かなり分析的に人物を見ている。とくに吉川英治の『三国志』は、曹操を魅力的に描いており、これがロングセラーとなったものだから、日本人に曹操好きが多いのも無理のないところである。
ざっとこのように『三国志演義』への親しみ方自体に、中国と日本の違いが明らかだか、江戸時代以前に、日本人の上層部には正史の『三国志』へのかなり長いアプローチの歴史があった。極端にいえば、日本史の各時代に、いつも『三国志』が、なんらかのかたちで影を落としていた。その歴史の跡を述べようとするのが、わたくしのねらいである。――(本書より)

最新・北朝鮮データブック-先軍政治、工作から核開発、ポスト金正日まで
講談社現代新書
先軍政治、工作から核開発、ポスト金正日まですべてがわかる決定版
崩壊か?軟着陸か?軋む極東の闇。情報鎖国の内側で今何が起きているか。内実を明かし、行方を読む決定版。
金正日総書記は、韓国の新聞社社長団への次の発言で、「先軍政治」への思いを明らかにした。
「私の力は、軍力から生まれる。外国とうまくいくにも、軍力がなければどうしようもない。外国との関係では、力は軍力から生まれる。私の力も、軍力から生まれている」
この発言には、軍の力を背景に体制を維持し、国家の崩壊を阻止しているとの思いが込められている。軍は、単に国防のためではなく権力と体制維持の最大の力であるという発想だ。――(本書より)

人形作家
講談社現代新書
企画・嵐山光三郎/人形撮影・篠山紀信
「青春の暴風圏の記録であり、昭和という溶けかけていく時代へのエレジーでもある」――嵐山
不良少年から天才人形作家へ。60年代の新宿を駆け抜け、唐十郎、澁澤龍彦らと出会った激動の半生と創作の舞台裏を告白。
細部へのこだわり――「ドイツの少年」では靴や靴下、ガーターベルトなど、小物にも細心の注意をはらいました。靴は靴職人に特注しました。市販の子供の靴でも代用が利くと思うでしょうが、人間の足は意外とつま先が平たくて幅があり、恰好よくないのです。ですから人形用に足先の細い型で靴を作ってもらいました。……
人形をガラスのケースの中に入れたのは、ショーウィンドー的な感覚からです。たとえば、デパートのショーウィンドーを通して見る商品は、隔離された世界のなかにあり、売り場でじかに売っているのとおなじものなのに、それとはどこか違う標本的なものに見えます。僕の人形も家具的なケースに押し込み、ガラスというフィルターを1枚かけて、標本のように見せたいと考えたのです。ガラスのひんやりした人工的な素材感が僕の好みであったということもありました。――(本書より)

スポーツ語源クイズ55
講談社現代新書
サッカー、ゴルフ、野球、マラソン……解いて納得!知る快感!
「サッカー」や「ゴルフ」の語源は何?
野球では三振を「K」と書くのはどうして?
三択クイズで楽しむスポーツ史。
チームの主戦投手をどうして「エース」と呼ぶようになったか?……
1869年、アメリカのオハイオ州シンシナティに、レッドストッキングスという世界最初のプロ野球チームが誕生しました。地元のアマチュアチームがワシントンからやってきたチームにこてんぱんに負けたため、シンシナティの市民は野球を職業とするプロの強力チームを結成し、市の名前を国中にPRしようと考えました。このチームに、球史に残るアーリィ・ブレイナードというピッチャーがいました。
今日、チームの大黒柱となるピッチャーのことをエース(ace)といいますが、どうしてそう呼ぶようになったのでしょうか?
1.ピッチャーの守備位置番号を「1」と決めたため、ace(=1)とした
2.アーリィのニックネームがAce(エイサ)であったため、それが自然にaceとなった
3.アーリィのここぞというときの一球が素晴らしく、「一球投手」と呼ばれたから
――(正解は本書をご覧下さい)

「ひらきこもり」のすすめ~デジタル時代の仕事論
講談社現代新書
「会社で仕事をする」時代から「好きなことが仕事になる」時代へ
好きなことを自己表現しよう。
ネットで世界相手に発信しよう。
組織を頼らない新しい仕事論を具体的に提示する。
IT革命の「革命」の意味――バーチャル空間の中では土地の広さやビルの高さに全く価値がない。その位置にも意味はなくなる。……大きな組織やビルディングがなくても、各種情報機器やネットワークを使えば、自宅で、個人でどんどん仕事ができてしまう。巨大なシステムの必要性が希薄になるのだ。……
生産だけではなく流通においても、メジャー企業の強みはなくなる。……同様に、土地を持ってるから安心だとか、一流大学を出ているから、あるいは一流企業に勤めているから安泰、なんてこともなくなっていく。出自や所属に関係なく、その時点で一番ビビッドな奴がいきなりトップに立つ。極端に細分化されたあるジャンルの中での、ナンバーワンが勝つ。いやナンバーワンだけでなく、オンリーワンでもいい。
とすると、他人に指示されて勉強したり鍛錬したりすることより、自分1人で、自分に向いたジャンルを見つけることがまず、とても大切なことになってくる。――(本書より)

これが現象学だ
講談社現代新書
現代哲学の大きな潮流をなす現象学とはそもそも何なのか。空虚になった学問の危機を克服し、人間の直接経験から出発して世界に至る思想の全貌を解説!
あなたと私が現象学だ――現象学の具体的な内容に踏み込む前に、フッサールが好んだ言葉を2つ引いておきたい。ひとつは「自分自身で考える人」(Selbstdenker)という言葉であり、この言葉で、フッサールは自分が尊敬する哲学者を称賛した。もうひとつは「ともに哲学する」(synphilosophein)という言葉であり、この言葉で、フッサールは自分が仲間だと思う人々に呼びかけた。「自分自身で……」と「ともに……」という2つの言葉は、一見すると、互いに矛盾するように思われるかもしれない。ところが、そうではない。
……彼は1916年にフライブルク大学に移り、そこで若きハイデガーと出会った。しばらくしてフッサールはハイデガーの哲学的・現象学的な素質の大きさに気づく。彼は真に「ともに哲学する」パートナーを見つけたと信じた。彼はハイデガーに言った。「あなたと私が現象学だ」――本書・

スポーツを「視る」技術
講談社現代新書
「明日の勝者」の戦略を知れ!
勝者には勝者の理由がある――プロ野球、サッカー日本代表など、トップに立つための技術と戦略を検証する。
指揮官とは何か――
ライオンズはここ4年間、パ・リーグの優勝から遠ざかっていたが、指揮官・伊原春樹は、就任1年目で王座奪還を果たしたことになる。伊原はネームバリューこそ全国区とは言い難いが、その采配の的確さ、切れ味は他の追随を許さない。いわゆる玄人受けのする指揮官である。
――ここ数年、貧打に泣いていたライオンズですが、今季は大幅に得点力がアップしました。その原動力が5番に定着した和田一浩だと思います。
伊原 実は、僕が監督になってすぐに彼に言い渡したんです。「もうミットはいらないよ」って。
――すなわちキャッチャー失格だと。これは本人にはショックでしょうね。
伊原 実際、本人は相当ショックを受けていたみたいですよ。しかし、彼はキャッチャーに向いていなかった。人間が正直過ぎて人を騙すことができないんです。――(本書より)

「タオ=道」の思想
講談社現代新書
『老子』は日本人の心に響く
老子が説いた「タオ」とは何か。「上善は水の若し」などの名句や陶淵明らの生き様を通して、魅力に迫る。
今なぜタオ――老子なのか――老子のタオについて、基本的に、しかも確実にいえることがある。
タオは、この宇宙という大自然を秩序あらしめているもの、その大自然の秩序を支え、持続している原理ともいうべきものであって、その原理に根ざした老子ほど、人間の住む地球を含めて、大自然の秩序を大事にした思想家はいないということである。
もし今日、老子がなお生きていたならば、いつもこの地球上のどこかでくり返し戦争を起こし、どこまで行きつくか知れない自然環境の破壊に手を貸している人智の愚かしさに、彼はいきどおっているにちがいない。彼の警鐘にたいしていっこうに耳を傾けずにきて、そのことにいまさらのように気づき、あわてふためいている現代人を見て、老子はきっと嘆くにちがいない――。(本書より)

ヨーロッパ型資本主義-アメリカ市場原理主義との決別
講談社現代新書
アメリカ型市場原理主義はもう通用しない! 比較的平等で、所得水準が高く、それでいて相当な競争力を備えたヨーロッパ各国の資本主義。長い歴史と豊かな思想が育んだ社会システムを日本は今こそ学ぶべきだ。(講談社現代新書)
アメリカ型市場原理主義はもう通用しない! 比較的平等で、所得水準が高く、それでいて相当な競争力を備えたヨーロッパ各国の資本主義。長い歴史と豊かな思想が育んだ社会システムを日本は今こそ学ぶべきだ。

インタビュー術!
講談社現代新書
人間好き・活字好きに贈るインタビュー論。いかに下調べをし、話を引き出し、書くか? その方法を実践的に解説した上で、吉行淳之介から糸井重里まで名インタビュアーを例に活字のライブの楽しみ方を伝授。(講談社現代新書)
人間好き・活字好きに贈るインタビュー論。いかに下調べをし、話を引き出し、書くか? その方法を実践的に解説した上で、吉行淳之介から糸井重里まで名インタビュアーを例に活字のライブの楽しみ方を伝授。

河合塾マキノ流!国語トレーニング
講談社現代新書
これが現代文の極意だ!
カリスマ「現代国語」講師が集大成した圧倒的方法論を一挙公開。
コード読み、「ウロボロス型」の論など、国語力を鍛える目からウロコの技術!
コード読み――たとえば、「言語」についての論であるならば、言語は「伝達の手段」であり「道具」だという論の時代は確実に終わり、現在では言語こそが「目的」であり、「言魂」であって、言語なしには《モノ・コト》が存在しえないという論に圧倒的に変化している。
目の前にある論が、言語関係の論であるとき、それは流行の言語論との関係で、肯定的な論か否定的かという方向さえ前提にして考えれば、少なくとも、読んでいくにあたって視点の一貫性を持つことができる。
そうした論理的一貫性こそが、論をかみ砕く、唯一に近い方法であることは間違いない。普通、こうしたことは、青春時代の膨大な読書体験を基に自ら創り出すしかないものである。それを無理矢理紹介してしまい、教えてしまうところが、予備校的と言われても仕方はあるまい。しかし、コードを理解することで文章を理解する能力は飛躍的に増大する。――(本書より)

精神科にできること
講談社現代新書
治る患者と治らない患者、なぜ差が出るか? 効きめの高い新薬が認可され、検査機器も発達し、精神科の治療は著しく様変わりしている。各疾病のケーススタディから医者と付きあうコツまで、やさしく解説する。(講談社現代新書)
治る患者と治らない患者、なぜ差が出るか? 効きめの高い新薬が認可され、検査機器も発達し、精神科の治療は著しく様変わりしている。各疾病のケーススタディから医者と付きあうコツまで、やさしく解説する。

企業を高めるブランド戦略
講談社現代新書
企業の価値と信用はこれで決まる!
現代のブランドは企業の「資産」である。
それを育て上げ、競争優位と顧客の信頼を得るには何が必要か?
ブランドは意図的に育てるもの――「強いブランドとは優れた経営の結果であって、それ自体は管理すべきものではないのではないか」という考え方がある。たしかに日本の長い商取引のなかで、「三越」のような伝統的なブランドがいくつも形成されてきた。
しかし今日では、ブランドは自然に形成されるものではなく、意図的に育てなければならない対象であり、そこにはブランドを効果的・効率的に構築するための戦略性が必要なのである。グルメコーヒーの「スター・バックス」などに見られるように、今日ではブランドを短期的に育成し活用していくような経営・マーケティングが競争優位をもたらす市場状況が出現している。
ハッキリ言えば、「よい品質の製品を提供していけば自然にブランドは育成される」という考え方自体が修正を迫られているのである。――(本書より)

国際政治のキーワード
講談社現代新書
ニュースの見方が変わる本!
何が世界を動かしているか?
人権・環境問題が外交の主軸になったのはいつから?
流動化するポスト冷戦社会の諸問題を簡潔に解き明かす。
カトリックとロシア正教の対立――欧州連合(EU)はいま東方へと拡大しているが、これはカトリック圏の東方進出という側面をもっている。もともとパン・ヨロピアン(汎欧州)の性格をもったカトリックだけに、バチカンは欧州統合に積極的評価を与えているが、勢力圏の東方拡大に伴って、ロシア正教との摩擦が頻繁に起きている。2002年4月、モスクワ空港でポーランド人のカトリック神父がロシアへの再入国を拒否された。4月に入ってこれで2人目だった。ローマ教会は2月、ロシアで布教体制を強化するため、モスクワに大司教区を、それ以外に司教区を置いた。カトリックの東方進出に懸念を抱くロシア正教会が反発し、政府に圧力をかけたのだった。バチカンはロシアのプーチン大統領に仲介を求めたが、同大統領はかかわるのを慎重に避けている。――(本書より)

9.11と日本外交
講談社現代新書
「ショー・ザ・フラッグ」の真相、外務官僚の焦り、防衛庁制服組の独走……。
自衛隊派遣の裏には知られざる日米の攻防があった!
日米関係の書かれざる暗部!
「Timid!(腰抜け)」
米政府高官から罵られた翌日、日本の方針は180度変わった
(2002年2月26日)国防総省は対テロ軍事作戦に協力している国々を列挙し、謝意を表明する貢献国リストを配布した。アルファベット順にオーストラリア、エジプト、フランス、ドイツ、英国、イタリア、韓国、ロシア、ウズベキスタンなどが並んだ。ITALY(イタリア)の次はJORDAN(ヨルダン)。「JAPAN」の名前は欠落していた。日本の報道機関の大半がこの事実を即座に報じた。1991年の湾岸戦争の際、多国籍軍に130億ドルに上る財政支援をしながら、クウェートが米紙に出した感謝国リストに日本の名前がなく、米側から「カネだけ出して血も汗も流さない」との批判を受けた日本。あの時を知る政治家や官僚のトラウマがまたよみがえった。――(本書より)
●極秘公電
湾岸トラウマ
●イージス迷走
制服組の独走
●テロ対策特別措置法
外務省VS.防衛庁
●「アラビアの虹」作戦
「陸上自衛隊は出せないか」
●同盟の試練
●貢献国リスト漏れ

北朝鮮難民
講談社現代新書
潜伏生活、難民花嫁、強制送還、支援組織、亡命ルート
誰も書けなかった悲劇の全貌!
小さな越境者たち――98年の初頭から子供だけで豆満江を渡ってくるケースが急増した。そのほとんどは両親、あるいは片親が死んだり行方がわからなくなってしまった子供たちだった。物乞いで金を稼いでまた北朝鮮に戻る還流型が過半数で、たくましくも、大人に代わって出稼ぎにきているという考えを持っている子供が多かった。
北朝鮮に戻ることを決心すると、貯めたお金を小さく折りたたみ、ビニール袋で薄く包んでライターで溶かして密閉する。ちょうど錠剤のカプセルのようなものを作るのだ。そして渡河する直前に飲み込む。こうすれば、もし渡河した後に国境警備隊に見つかっても、お金を取られなくて済むのだ。お金は数日内に大便と一緒に出てくるという寸法だ。
中国の100元は97年以降およそ2500朝鮮ウォンで交換できる。4人家族が2、3カ月暮らしていけるのだ。――(本書より)