講談社選書メチエ作品一覧

『正法眼蔵』を読む 存在するとはどういうことか
講談社選書メチエ
われわれはどのように存在しているのか――人間存在根本の問いに『眼蔵』はいかに答えるか。ヨーロッパ現代思想も凌駕する画期的思想書に気鋭の禅僧が己の実在を賭けて挑む、現代人のための入門書にして決定版。(講談社選書メチエ)
超難解仏教書をまったく新しい角度から読む われわれはどのように存在しているのか。ヨーロッパ現代思想も凌駕する画期的思想書に気鋭の禅僧が己の実在を賭けて挑む。現代人のための入門書にして決定版。

会計とは何か 進化する経営と企業統治
講談社選書メチエ
-アカウンタビリティ-のすべてがわかる! トヨタやキヤノンなどの事例を見ながら、複式簿記の原理から財務諸表の意味、最新の管理会計理論、国際会計論までを一望。現代社会を読み解く教養としての会計学。
「時価会計」「国際会計基準」とはどのようなものか。活発化している企業買収で、会計はどのように機能しているのか。組織の意思決定、経営戦略に活用されている管理会計とは何か。コーポレート・ガバナンスを会計制度はどのように実現するのか。かつて、日本の高度成長の背景にあった会計制度の特徴とは――。アカウンタビリティということのエッセンスを、専門知識なしでまるごと理解できる、すべての社会人必読の書。
【目次】
まえがき
第1章 現代社会にとって会計とは何か
1 アカウンタビリティということ
2 会計とはどういう営みであるか
3 会計はコーポレート・ガバナンスを実現する
第2章 資本主義の成立と近代会計の発達
1 近代史の中の会計制度
2 取得原価評価と近代会計の確立
3 日本の資本主義と会計制度
第3章 時価会計とグローバリゼーション──会計制度の現在
1 アメリカの会計改革から国際会計基準へ
2 現代の会計を定義するもの──概念フレームワーク
3 時価と連結──M&A時代の会計
第4章 大企業の経営と管理会計論
1 原価計算の重要性
2 事業部制組織のための業績評価会計
3 会社の戦略を決める管理会計
第5章 組織会計学と会社の意思決定
1 組織がいかに意思決定を行うか
2 会計システムの多様な機能
3 組織行動をコントロールする
第6章 未来の会計、会計の未来
1 日本発のアカウンタビリティ説
2 三式簿記というあらたな理論
3 バランスト・スコアカード
4 キャッシュフロー会計とは何か
参考文献
索引

パーソナリティ障害
講談社選書メチエ
歴史的解釈も視野に入れ、現代の類型を詳説 行動パターンと対人関係を軸にした14類型でパーソナリティ障害の実例と解釈を網羅。DSMによって現代の基準ができるまでの、精神医学の歴史も俯瞰する決定版
古代ギリシャ時代にはすでに「背徳的人間」として記録が残るパーソナリティ障害をいかに解釈するかについて、多数の学者・医者たちが研鑽を積み重ねてきた。そして、アメリカ精神医学会がついに作り上げた診断基準DSM。その基となった「喜び―苦痛」「能動―受動」「自己―他者」「思考―感情」の極性理論を応用して、境界性、自己愛性、統合失調質など14に分類。日本人の病理の実態を、豊富な実例で解説!
【目次】
はじめに
第一部 パーソナリティ障害の研究史
1 性格類型とはなにか
2 記述的精神医学の勃興
3 発達論と初期精神分析派
4 新フロイト派の対人関係論
5 対象関係論派の登場
6 DSM革命
第二部 現代における一四のカテゴリー
1 発達段階と極性理論
2 喜び─苦痛の極性
(回避性/演技性/統合失調質/サディスティック)
3 能動─受動の極性
(抑うつ性/依存性/自己愛性/反社会性)
4 自己─他者の極性
(妄想性/マゾヒスティック/拒絶性/境界性)
5 思考─感情の極性
(統合失調症型/強迫性)
おわりに──パーソナリティ障害理論はどこへ向かうか
あとがき

イタリア現代思想への招待
講談社選書メチエ
イタリア思想はじめての画期的ガイダンス 。ジョルジョ・アガンベン、アントニオ・ネグリ、ウンベルト・エーコ、マッシモ・カッチャーリなど、現代をリードし続けるイタリア思想を、明快に解説する快著登場
【目次】
はじめに
第一章 イタリア現代思想の見取り図
ネグリvs.カッチャーリ/否定的なるものの到来──一九七〇年代/政治の脱構築と「弱い思考」をめぐって──一九八〇年代/「共同体」と「生政治」──一九九〇年代以後/女性の思想家たち/宗教をめぐって/エスポジトの三連画──コムニタス、イムニタス、ビオス/アガンベンと「潜勢力」
補遺コラム=『アウト・アウト』の半世紀/ニーチェ・ルネサンス/カール・シュミットと「否定の思考」/「安楽死」の脱構築/テロルと恐怖/「生経済」、「生美学」/アガンベンの「ホモ・サケル」計画
第二章 「帝国」と「ヨーロッパ」をめぐって──カッチャーリとその思想
カッチャーリの「ゲーム」/いま、なぜ「ヨーロッパ」なのか?/ヨーロッパの「最期=苦悶」/カッチャーリの「ヨーロッパ」/ヨーロッパの「アゴーン」/音楽の「多島海」、政治の「多島海」/キリスト教の脱構築と「ヨーロッパ」/「場」の名としての「境界」/都市のエートス、ヴェネツィアというモデル/イコンと天使
補遺コラム=フォネーとロゴス/メシア主義と終末論
第三章 キリスト教の/への問い
二人の先駆者──パレイゾンとクインツィオ/自由と悪/神の敗北と不可能なるメシア/「ヨブ」という形象/苦痛の経験と「有限なるものの倫理」/「世俗化」をめぐって/ニヒリズムと「ケノーシス(神性放棄)」
第四章 アイステーシスの潜勢力
アイステーシスの潜勢力/イタリアの\という差異/イタリアのポストモダン、ポストモダンのイタリア/エクリチュールの多様化と「作者の死」/ポストモダンとネオバロック/ポストヒューマンをめぐって/イメージの氾濫/「感嘆」と「崇高」
補遺コラム=「肉」のゆくえ
注
おわりに

崇高の美学
講談社選書メチエ
化石からヒロシマまで……現代を問い直す思考。カントによって確立された「崇高」という概念が、ヒロシマの惨劇を生んだ現代を考え直す思考として生まれ変わる! 化石への凝視からはじまる美学の新たな可能性。
【目次】
はじめに
序論 石ころへのオマージュ
第一章 「崇高」とは何か
1 「崇高」という語の起源から
2 バークまでの崇高美学の歴史 修辞学から新しい大地の美学へ
第二章 崇高美学の体系化 バークからカント、そして現代へ
1 バークの「崇高」概念
2 バークからカントへ 『判断力批判』の意義とその限界
3 カントからふたたびバークへ 現代崇高論との交叉点
第三章 山と大地の「崇高」 カントの人倫的崇高を迂回する道
1 ジンメルによる山岳美学と崇高 造形芸術および廃墟との比較
2 ラスキン『近代画家論』にみる地質学的美学
3 「地」を愉しむ「渓歩き」へ
第四章 アメリカ的崇高と原爆のヒロシマ 自然 vs.技術
1 「アメリカ的崇高」と現代テクノロジー社会の帰趨
2 アメリカン・テクノロジーの帰結、あるいはヒロシマの出来
註
あとがき

漁民の世界 「海洋性」で見る日本
講談社選書メチエ
知られざる海の生活から見るもう一つの日本
日本人の中には「海」がある。なぜ田植えのときにイワシを食べるのか。山村でも神事の供え物には海の魚を使うのか。日本文化の基層としての海洋性。村落共同体ともノマドとも異なる漁民たちの「ゆるやかな定住」。知られざる海の生活から見えてくる「もう一つの日本」。柳田国男以来の硬直した日本観の見直しを迫る画期的論考。
【目次】
序章──「海洋性」を抱く「山島」
第一章 海洋性とは何か
1 海と日本文化
2 海洋性のボーリング──渋沢敬三と海
3 土の因縁──柳田国男と海
4 海と酒と旅と人生──桜田勝徳と海
第二章 地先沿岸漁村という世界
1 寄り魚漁に支えられた村の生活
2 半農半漁の農業
3 陸上の責任者と海上の責任者
4 地先沿岸に入り込んでくる人たち
第三章 海を求めた日本人
1 稲の祭りも海を求める
2 ハレの魚はなぜ特定の魚でなければならないか
第四章 地先沿岸漁村の交流のかたち
1 ハエツキとキタリド──寄り魚漁衰退の後に
2 屋久島とヨロンノ衆
3 隠岐と糸満漁民
4 伊豆半島下田港のイサバとトサカツ衆
5 対馬の本戸と寄留
第五章 出漁漁民の移住集落という世界
1 ロープ引き漁の一日・一ヵ月・一年
2 移住漁業の専一性
3 移動をはらんだ定住の論理
終章──日本文化の基層としての「海洋性」
あとがき
索引

稲作渡来民 「日本人」成立の謎に迫る
講談社選書メチエ
「日本人」はどこから来たか
イネ学・考古学・言語学から総合的にアプローチ
米を主食とする「われわれ」のルーツはどこか。長江下流→山東半島→朝鮮南西部→北九州。舟を操り稲作とともに漁撈を生業とする「越」系の人びとにその鍵はある。イネ学に加え、考古学・言語学の最新の成果を渉猟し、「日本人」成立の過程を総合的に描く。
【目次】
序章
第一章 弥生文化はどこから来たか
1 黄河と長江流域における農耕の起源
2 越族の反乱と水上戦
3 呉・越の稲作民の北上
4 「基地」としての山東半島
第二章 朝鮮半島の稲作渡来民
1 古代の朝鮮半島
2 朝鮮半島の稲作の背景を考える
3 朝鮮半島の稲作遺跡を見る
4 半島の稲作と弥生の比較
5 半島における稲作民の役割
第三章 稲作渡来民の舟と航海
1 水田稲作渡来民と舟
2 稲作渡来民はどのような舟を使ったか
3 航海術
第四章 稲作渡来民はどこに定着したか
1 稲作以前の日本列島
2 水路とのつながり
3 弥生土器はどのようにしてできたか 朝鮮半島と共通の土器
4 水田稲作の衝撃
第五章 日本人の中の渡来民
1 日本人の起源と縄文人
2 縄文人から弥生人へ
3 人類学から見た渡来
第六章 渡来民によって日本語はどう変わったか
1 日本語はどこから来たか
2 縄文語の発見
3 渡来民によって弥生語ができた
4 古代国家の成立と文字
終章
引用文献
あとがき
索引

日本人の脳に主語はいらない
講談社選書メチエ
内田樹さん絶賛!! “「身体で読む」私には、たいへん腑に落ちる説明である。”
脳科学が明かす日本語の構造
英語で“I love you.”とは言っても、日本人は決して「私はあなたを愛している」などとは言わない。「雨が降る」を英語で言うと、“It rains.”のように「仮主語」が必要になる。――これはどうしてか?人工知能研究と脳科学の立場から、言語について実験と分析を重ねてきた著者が発見した新事実。それは、日本語の音声がもつ特徴と、主語を必要としない脳の構造とが、非常に密接な関係にあることだった。斬新な視点による分析と、工夫をこらした実験、先行研究への広範な検討を重ねて、主語をめぐる長年の論争に大きな一石を投じる、衝撃の書!
【目次】
はじめに
1.人は言葉をどのように理解しているか
2.仮想的身体運動としての想像
3.仮想的身体運動による言葉の理解――身体運動意味論
4.心の理解――仮想的身体運動による心の理解
5.母音の比重が大きい言語は主語や人称代名詞を省略しやすい
6.主語や人称代名詞の省略は母音で決まる――身体運動統語論
7.文法の終焉
おわりに

記憶の中のファシズム 「火の十字団」とフランス現代史
講談社選書メチエ
「フランスのヒトラー」の虚像と実像
第2次世界大戦前後のフランスで、反ファシズムの標的とされた1人の男がいた。「火の十字団」総裁、ラロック中佐。穏健な中道派志向でありながら、なぜファシズムの権化として集合的記憶に刻まれることになったのか? 現代も活発に続くファシズム論争に、新たな視座を供する画期的な書。
【目次】
はじめに
序 章 集合的記憶の中の「ファシズム神話」
1 死後六〇年経っても
2 表象としての極右
第1章 左翼の標的
1 「火の十字団」の設立
2 形成される極右イメージ
3 二月六日事件
4 ファシズムの案山子
第2章 右翼からの憎悪
1 合法の「フランス社会党」へ
2 「裏切り者」疑惑
3 自由戦線への不参加
4 反ラロック誹謗中傷戦線
5 大戦前夜の党勢拡大
第3章 ヴィシーとレジスタンスの狭間で
1 単一政党の拒否
2 曖昧な指導者
3 対独協力はせず
4 ラロック逮捕
第4章 名誉回復への道
1 獄中の二年半
2 死後の屈辱
3 集合的記憶との闘い
註
おわりに
写真出典一覧
索引

ゾロアスター教
講談社選書メチエ
世界は光と闇の永遠の闘争の舞台である。すべてがわかる! 光と闇の闘争、天国と地獄、最後の審判、メシア思想――「宗教」の源流は古代ペルシアにある。「アーリア性」をキーワードに、現地調査と最新の知見をもとに描くゾロアスター教の全貌。(講談社選書メチエ)
世界最古の啓示宗教のすべてがわかる決定版!
【目次】
第1章 古代アーリア民族と彼らの宗教
第2章 原始ゾロアスター教教団の成立――二元論と白魔術の世界観
第3章 ゾロアスター教以外の古代アーリア人の諸宗教
第4章 ゾロアスター教の完成――サーサーン王朝ペルシア帝国の国教として
第5章 ペルシア帝国の滅亡とアーリア人の宗教叛乱、そしてイスラーム改宗
第6章 ゾロアスター教からイラン・イスラーム文化/パールスィーへ
終章 ヨーロッパにおけるゾロアスター幻想

本草学者 平賀源内
講談社選書メチエ
世間から「山師」と誹られた流行学者の知られざる生涯
「我よりおとなしく人物臭き面な奴に、却て山師ハいくらも有」――。江戸中期の大人気学者平賀源内はその華やかな活躍とは裏腹に、自らを「貧家銭内(ヒンカゼニナイ)」と嘆きながら、罪人となり生涯を終えた。エレキテルや火浣布の製作、『物類品隲』執筆など本草学への熱い思いを体現しながら、「山師」と誹られた源内。誰もが知っていそうで実は知られることの少なかった、学者としての実像に迫り、再評価を試みる。
【目次】
はじめに──我ハ山に似たるを以て芸の助けとす
第1章 本草学とは何か
1 本草学のはじまり
2 江戸初期~中期の本草学
3 吉宗の奨励政策
第2章 本草学者源内の誕生
1 江戸へ
2 高松藩への再雇用
3 「芒消」製作
4 田村一門のかかわり
第3章 『物類品隲』出版
1 東都薬品会の開催
2 「この書が人民の益となることを望む」
3 珍奇な記載物(1)水、土、石の部
4 珍奇な記載物(2)草、虫、鱗の部
5 人参と砂糖
第4章 火浣布の製作
1 火浣布の歴史
2 材料は何か
3 織り出し成功
4 前野良沢の火浣布
5 受け継がれた源内の製法
第5章 本草学への思い
1 資金調達のための文筆業
2 「阿蘭陀翻訳御用」による長崎行き
3 源内焼と綿羊の飼育
4 山師源内
5 「功ならす、名斗遂て年暮ぬ」
6 さらば非常の人
おわりに
主要参考文献と注
あとがき
平賀源内関連略年譜

唱歌と国語 明治近代化の装置
講談社選書メチエ
「蛍の光」「埴生の宿」から見える明治史。明治という近代化の時代、西洋を受容しあらたな「日本」を模索するなかで、なぜ「歌」が必要だったのか。日本語の「文法」と「唱歌」をめぐる知られざる歴史。
日本のうたとして現在も関心を集める唱歌は、いかなる歴史の中で生まれたものだったのか。「蛍の光」「仰げば尊し」といった“名曲”から「鉄道唱歌」「公徳唱歌」「工業唱歌」など暗唱による唱歌教育のために作られた曲まで、それらの数々の唱歌の作詞に関わった伊沢修二、稲垣千頴、大和田建樹などの人物たちは、近代の日本語とその「文法」も同時に模索していた。あらゆる分野で「西洋」を受容する必要に迫られ、同時にあらたな「日本」を模索していた明治という近代化の時代を、唱歌と国語という視点で読み解く試み。
【目次】
プロローグ
第1章 国楽創生
1 唱歌の誕生
2 伊沢修二と音楽教育
3 国家をめぐって
第2章 文法の発見
1 文法の発見と学校文法
2 明治前期の教育と文法
3 明治前期の文法教科書
第3章 唱歌と文典
1 『小学唱歌集』と歌詞論争
2 音楽取調掛員とその周辺
3 明治前期の文法書から見えてくること
第4章 装置としての唱歌
1 「国語」科の成立
2 「唱歌」科の変質
3 唱歌教育の意味
第5章 暗唱されるものの内実――新体詩と唱歌
1 新体詩の成立と井上哲次郎
2 新体詩人の唱歌作詞者・大和田健樹
3 唱歌と文法の統一
第6章 明治近代化と文法・唱歌
1 文法の意味
2 唱歌の意味
3 装置への変貌
4 唱歌・文法の行方
5 規律化へのまなざし
エピローグ
主要参考文献
あとがき
索引

「国語」入試の近現代史
講談社選書メチエ
現代文の読解力は客観評価できるか?
国語入試のなかでも、とりわけ「現代文」という科目は、読解力を問わねばならないため、つねに、客観性と公平性をどう実現するかという難問にさらされてきた。高等学校の共通試験に現代文が定着した大正期から、戦前期を経て、戦後民主主義、小林秀雄と天声人語のブーム、そして共通一次、マークシート化に至るまで、入試問題はどのように国民の言葉=国語を規定してきたのか。その歴史的な文脈を明らかにする力作。
【目次】
はじめに──革命防止装置としての入試現代文
第1章 入試現代文前史
第2章 入試現代文のはじまり
第3章 帝国大学の入試現代文
第4章 「読む」とはどういうことか
第5章 日本精神の発揚と国文学の急成長
第6章 戦後民主主義教育のなかの入試現代文
第7章 「傾向と対策」の登場――予備校と「蛍雪時代」
第8章 「客観」幻想の果て――マークシート化をめぐる言説
おわりに──「国語」の成立

「漢奸」と英雄の満洲
講談社選書メチエ
「中国の歴史は一代では語れない。この書物は『中原の虹』のすばらしいテキストです。」――浅田次郎
軍閥の長の父、国共合作の立て役者の子。「傀儡国家」=満洲国総理の父、反日活動家の子。「売国奴」と「英雄」の運命を分けたものは何か。運命の地、満洲を舞台に、歴史の転変に翻弄された5組の父子の数奇な生を描く。
【目次】
はじめに
第一章 張作霖と張学良
1張学良の成育環境
2郭松齢との出会いと別れ
3爆殺事件
4満洲事変の屈辱
第二章 張景恵と張紹紀
1豆腐屋からの立身
2国務総理
3捕虜から戦犯へ
4戦犯管理所での生活
第三章 王永江と王賢〓
1剛毅な実務家
2「保境安民
3軍隊の壁
4実務官僚の系譜
第四章 袁金鎧と袁慶清
1科挙落第生の逆転
2袁慶清の苦悩と覚悟
第五章 于冲漢と于静遠
1語学堪能者の宿命
2「大漢奸」への道
3于静遠の幻想
おわりに
註
参考文献一覧
あとがき
索引

「歓待」の精神史 北欧神話からフーコー、レヴィナスの彼方へ
講談社選書メチエ
ここに現代思想のカギがある!
何ものかわからないものの訪れを無条件に受け入れて喜ぶ。この「歓待」の精神は、一方では、現代思想の重要なキーワードとして、ますます注目をあびている。フーコーやレヴィナスやデリダの思考は、どのような射程をもつのか。北欧神話に「歓待」の根源的なかたちを見出し、現代思想に架橋することで、新たな倫理を構想する、清新な論考。
【目次】
はじめに
第一章 北欧神話の基本構造
一 共同体としての存在
二 「内」と「外」を区切るもの 境界としての存在
三 北欧神話の基本構造
四 境界
第二章 「歓待」の萌芽 北欧神話が語り継いだもの
一 「時間」
二 世界および人間の創造 存在者の不安
三 「歓待」
四 北欧神話に見る「歓待」の萌芽から、現代へ
第三章 神話から現代倫理へ フーコーとレヴィナスを架橋として
一 フーコー
二 レヴィナス
第四章 「歓待」の倫理
一 「歓待」の非共同体性
二 「歓待」のパラドクス
三 シャーマニズム
四 パレルゴンロジック
第五章 「歓待」が生みだすもの 「共ー同体」へ
一 ローカルな共同体
二 「法」から「歓待」へ
三 「共ー同体」へ
終章 環境思想としての「歓待」の倫理
一 ディープ・エコロジー
二 今日の自然観
三 聴覚的自然観
注
あとがき

完全解読ヘーゲル 『精神現象学』
講談社選書メチエ
読める わかる
知の高峰を「読み平らげる」新シリーズ第1弾
人だれしもが抱く「ほんとうの生き方」への憧れは、近代において、どのようなかたちをとりうるか。魂の通じ合いとしての恋愛。社会変革を目指す革命。道徳的生き方、芸術と学問による自己表現――『精神現象学』は、近代社会における人間の生と社会の在り方の「可能性」を、深く洞察した希有の書だ。難解で鳴るヘーゲルの文章を徹底的に解読し、これまでになく平易かつ明快な言葉で、思想の新たな可能性を開く。
[本書の特色]
●原典の訳文に忠実に
●その上でより平易に、わかりやすく
●解読度を【A】から【D】で表示
●「章頭解説」で各章を簡潔に要約
●難所難所に解説を配す
●巻頭・巻末解説で著作のトータルな理解が可能に

平清盛 福原の夢
講談社選書メチエ
中世史の泰斗が満を持して放つ 清盛学の決定版!
平氏系新王朝を夢見てあらゆる手段を尽くした男、清盛。なぜ福原でなければならなかったのか?『源氏物語』須磨・明石巻との相似性、六波羅幕府と鎌倉幕府成立との連続・不連続、福原の地形的意味、遷都の政治的意味と抵抗勢力との角逐など、第一人者ならではの多角的アプローチで、誰も書かなかった大いなる野望に迫る。

アイヌの歴史 海と宝のノマド
講談社選書メチエ
宝を求め、サハリン・アムール川流域に進出する戦うアイヌ。激しい格差、サケ漁をめぐる内部対立、「日本」との交渉――社会の矛盾に悩むアイヌ。北の縄文から近世まで、常識を覆すダイナミックな「進化と変容」。(講談社選書メチエ)
常識を覆す、ダイナミックなアイヌ像を提示。宝を求め、サハリンで戦うアイヌ。格差社会に悩むアイヌ。北の縄文から近世まで、異文化との交流・対立と通じダイナミックに展開する北の採集民族のリアルな歴史。

善悪は実在するか アフォーダンスの倫理学
講談社選書メチエ
「主観」の呪縛から倫理を解放する試み! 哲学と心理学に革命をもたらしたアフォーダンス理論。その知見をもとに「意味や価値、善悪は主観的なもの」という現代の常識を乗り越え、道徳の根源を見つめ直す。
環境の中の存在という視点をもって、近代以降の哲学、心理学で主流をなしてきた認識論と存在論に再考を促すほどの大きなインパクトを与えたアフォーダンス理論。その革新性は、価値や意味を主観の中の観念のようなものから、環境に実在するものとして捉えなおすという、大きな転回を倫理学に引き起こすものでもあった。「善悪は主観的なもの」という現代の常識を乗り越え、道徳の根源を見つめなおす試みが、いまここに始まる!
【目次】
序論 個別の存在を肯定する哲学へ
私たちはカクテルについて語ることができるか/世界から切り離された主観/「郵便ポスト」は実在しない?/主観主義とプラトン主義の結託/近代における法的なものの優位/ほか
第一章 アフォーダンス──実在する価値と意味
カクテルを語る心理学/アフォーダンスという「環境の特性」/アフォーダンスの特徴/アフォーダンスと出来事/出来事の知覚、出来事の存在論/ほか
第二章 生命の規範と社会の規範 53
事実と価値は本当に別のものか?/個人の欲求と規範の対立/生命は規範を含んでいる/平均と異常/正常と病理/社会的規範という紛い物/社会は生物に似ていない/逸脱と異常に敏感な社会/ルールに従っていること/なぜルールが規範になるのか/規範が問題になるとき/法の不条理な特徴/本当の問題
第三章 道徳的価値の実在性
道徳の相対主義/主観主義の問題点/道徳の実在論と反実在論/主観とは誰の主観のことなのか?/道徳の問題となる行為の特徴/誰かの行為が、誰かに影響を与えること/出来事と行為の実在/ほか
第四章 道徳の規範性はどこからくるのか
共感と道徳の認知科学/他人を理解することの身体性/入り組み合った私と他者/ギブソンの社会─道徳心理学/学習理論による説明の矛盾/「~すべし」はいかにして成り立つか/動物の道徳性──利他行動と互酬性/原初的な正義のかたち/呼びかけと応答の互酬/なぜ「人」を殺してはならないのか/ほか
第五章 法化されない道徳と「直接の共同体」
法的倫理の陥穽と徳倫理学/ケアの倫理学/ケアにおける人間関係/具体的な他者/サド侯爵の共和国/田山花袋に見る利己主義の限界/「直接の共同体」の可能性/犯罪被害者たちの不満/ほか
註
あとがき
索引

加耶と倭 韓半島と日本列島の考古学
講談社選書メチエ
謎多き古代日韓関係を韓半島側から検証する
任那日本府はなかった。韓半島に存在する倭人前方後円墳の意義とは。藤ノ木古墳になぜ新羅産馬具が副葬されたのか。韓日考古学の成果を総合し、加耶から百済・新羅に至る古代韓日交渉史を新たな視点で読み直す画期的論考。
【目次】
第1章 古代韓日交渉史を見なおす
1 古代の韓日交渉史への問題提起
2 古代韓日交渉史研究の新しい地平
3 新たな古代韓日交渉史へ
第2章 加耶と倭――古代韓日交渉の始まり
1 金官加耶と倭
2 阿羅加耶と倭
3 小加耶と倭
4 大加耶と倭
第3章 「任那日本府」はなかった――百済と倭
1 在地首長か倭人か
2 前方後円墳はいつ造られたか
3 個々の前方後円墳の分析
4 被葬者はだれか
5 倭人の役割はなにか
6 なぜ倭人の前方後円墳が造られたのか
第4章 藤ノ木古墳馬具の出自はどこか――新羅と倭
1 新羅と倭は敵対的ではなかった
2 日本列島の新羅文物
3 新羅地域の日本列島文物
4 頻繁な交渉はなぜ起こったか
終章 古代韓日交渉をどう見るか
註
カラー図版出典
本文図版出典
あとがき
索引