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花と果実
1975.05.26発売
花と果実
著:石坂 洋次郎,装画:高山 辰雄
講談社文庫
見知らぬ大学生をホテルに誘った、美貌の中年女性。自分の行為に自信を喪失し、彼女に激励される大学生。彼の自信を回復させた、恋人の女子学生。三者の手記を通じて、開放的な若者のセックス、同性愛、近親相姦などに、だいたんな照明をあて、性の思想を探った、石坂文学の真髄を示す異色大作。
電子あり
黒鳥譚 青髯公の城
1975.05.26発売
黒鳥譚 青髯公の城
著:中井 英夫,装画:建石 修志
講談社文庫
ぶらっくすわん。漆黒の翼の下に秘めもつ、純白の風切り翅。火星の如く緋色に燃える、嘴と眼。黒鳥の姿に、降りつむ時間を生きながらえねばならぬ、恥の想いを託したひとつの迷宮「黒鳥譚」。そして「青髯公の城」「死者の誘い」を加えた3篇が奏でる、失寵の響きもまた「虚無への供物」なのであろうか……。
電子あり
縄目の快楽
1975.05.13発売
縄目の快楽
著:宇能 鴻一郎,装丁:原 弘,装画:金子 國義
講談社文庫
芥川賞作家から官能小説作家へと進んだ大ベテランの、倒錯の性の世界を華麗に描く伝奇趣味横溢の物語集ーー作家である私は、人に顔を知られるのを好まない。私には強い変装趣味があるが、変装は私の官能世界を密度のあるものにしてくれる。私の仮面が見破られた唯一度の例外は、その男に会ったときだ。男はヨット仲間の爽やかで比類のない愛の交歓を告白したのだった。(「縄目の快楽」) 酔いのまわった老検校はうっとりして語る。「いや、昔は遊女にもよかおなごのおりましたな。優しゅうて、男にようつくしてくれて、男が踏んでくれといえば白か柔かか脚で踏んでくれ、蹴ってくれと頼めば優しゅう蹴ってくるるごとおなごの」(「花魁小桜の足」) など、倒錯の性の世界を華麗に描く伝奇趣味横溢の物語集。
電子あり
モンテ=クリスト伯(3)
1975.05.08発売
モンテ=クリスト伯(3)
著:アレクサンドル・デュマ,訳:新庄 嘉章,装画:荻 太郎,装丁:亀倉 雄策
講談社文庫
ダンテスを陥れたダングラールは銀行家で男爵に、ヴィルフォールは検事総長で伯爵となり、富と権力に驕っている。シャンゼリゼの一角に邸宅を構えたモンテ=クリスト伯は、巨富を持つ魅惑的な人物としてパリ社交界に出現、巧みな手段で仇敵に近づき、彼らの過去の悪業をあばき出す……。復讐のドラマは核心に――。 パリ社交界の人気を集める謎の人物モンテ=クリスト伯は富と智略を傾け、自在に変身して、目ざす仇敵ダングラールたちの秘密と弱点をつかみ、復讐計画を進めるが……。〈全五巻〉
電子あり
殺意の演奏
1975.04.28発売
殺意の演奏
著:大谷 羊太郎,装丁:浅野 洋,装画:伊藤 方也
講談社文庫
日本人の精神史 第3部 中世の生死と宗教観
1975.04.25発売
日本人の精神史 第3部 中世の生死と宗教観
著:亀井 勝一郎,装画:舟橋 菊男,装丁:亀倉 雄策
乱世に流転するあらゆる生の歎きに遭い、 ここに生じた苦悩こそ死の問題であり、中世精神の形成者たる僧、聖、隠者たちの「死」の疑視を通して、民衆の思想形成と、生死観、宗教観を考察した名著。
電子あり
赤毛のアン 猪熊葉子訳
1975.04.25発売
赤毛のアン 猪熊葉子訳
著:モンゴメリ,訳:猪熊 葉子,装画:田沢 茂,装丁:亀倉 雄策
講談社文庫
老兄妹にもらわれた赤毛の少女アンは、あふれる空想力のために何度も失敗や騒動を引き起しながらも、周囲の愛情と美しいカナダの自然に包まれて少女から乙女へと成長していく――愛情に飢えていた孤児の人間や自然との暖かい交流を描くことによって、生きることのすばらしさときびしさを謳った愛と感動の名作。サンケイ児童出版文化賞などを受賞した猪熊葉子の名訳でお届けします。 老兄妹に貰われた赤毛の少女アンは、空想による失敗や騒動をくり返しながらも、愛情と自然に包まれて女へと成長していく。人間と自然との暖かい交流を通して、生きることの素晴と厳しさ謳った名作。
電子あり
三国志英雄ここにあり(上)
1975.04.25発売
三国志英雄ここにあり(上)
著:柴田 錬三郎,装画:福田 隆義
講談社文庫
後漢・霊帝の皇基衰えて天下は乱れ、劉備玄徳は、関羽、張飛と義を結んで、黄巾賊討滅に起き上がった。都の洛陽で大将軍何進の後を襲うは、曹操か、袁紹か? 河南では大軍を擁する菫卓が、はるか洛陽の空を望んでいた。治乱興亡――国造りの戦国絵巻を雄大なスケールで描く、興趣横溢の長編小説。吉川英治文学賞受賞作品。<全3巻>
電子あり
金属とはなにか ―文明を支える物質のチャンピオン―
1975.04.24発売
金属とはなにか ―文明を支える物質のチャンピオン―
その他:E.M・ザビツキ-,著:C.B・クリャチコ,訳:木下 高一郎,監:斉藤 恒三,監:小坂 岑雄,装画:永美 ハルオ
ブルーバックス
豊かな生活はさまぎまな金属から生まれる! 《橋が落ちる》巨大な橋が崩れる!原因はなにか? 《ダマスク鋼の剣》その刃に触れた絹のハンカチは真っ二つ!切れ味の謎は? 《カメレオン金属》温度変化とともに構造が変化する! 《すずコレラ》スコット探険隊を死に追いやった金属の病気! 《期待されるアルミニウム文化》鉄文化をしのぐ2000種のアルミ合金! 《水より軽い金属》リチウムとマグネシウムが可能にする世界 《記憶する金属》もとの形を知っているニチノール合金! 《未来の金属》宇宙空間でつくられる金属に期待する
陰に陽に
1975.04.17発売
陰に陽に
著:川上 宗薫,装丁:原 弘,装画・その他:濱野 彰親
講談社文庫
声優の殿川は40歳、テレビドラマの私立探偵アーチー役の吹替えで人気を得、私生活でもいっぱしのプレイボーイだった。前の細君とはずっと以前に別れ、いまは、娘ほども年の違う流実と結婚している。なのに、平凡な生活では物足りない彼は、次々に新しい女と浮気を重ねた。そして、単なる浮気に飽きたらなくなった彼は、より濃密な刺戟を求めて、やくざのヒモがいるという女と接して、スリルを味わうようになる。一方、流実にも、殿川には悟られてない秘密の時間があった……。性の実現に最大の喜びを覚え、次から次へと女を誘惑して歩く男の、華麗な情事体験を描く異色長篇小説。
電子あり
殺人の棋譜
1975.03.27発売
殺人の棋譜
著:斎藤 栄,装画:南 正雄
講談社文庫
将棋界の俊鋭・河辺真吾八段の愛娘が誘拐された。「身代金1000万円を軽飛行機から投下せよ」と、犯人から要求があった。折りしも河辺八段は、将棋最高位を賭けて不敗の名人と対局しなければならなかった。犯人追求の行方と勝敗の帰趨が絡み、異常なスリルを醸す、第12回江戸川乱歩賞受賞作(1967年)。
電子あり
卍ともえ
1975.03.26発売
卍ともえ
著:野坂 昭如,装画:村上 豊
講談社文庫
大阪・天満、油問屋の黄櫨屋(はぜや)は、人骨を使っての精油法を秘伝とし、天運来福、殷賑をきわめていた。人骨は、墓をあばいて集められたゆえ、骨にまつわる幾百、幾千の男女の怨霊は、黄櫨屋一門にとりつき、狂乱の渦に投げ込む。近親相姦、墓あばき、骨集め、惨殺など、戦慄の地獄絵図が、著者独自の幻想世界を構築する。 大坂天満の油問屋は人骨を使った精油法を秘伝として、殷賑を極めている。だが、墓を暴いて集められた骨にまといつく幾百、幾千の男女の怨念が一家を狂乱の渦に叩きこんだ……。著者初の時代長編小説。
電子あり
わが母の記
1975.03.11発売
わが母の記
著:井上 靖,装丁:川島 勝
文芸(単行本)
老いのかげにしのびよる宿命をおうて、独自の世界に生きる老齢の母―人間の究極の真実を疑視した話題の三部作を集成した愛蔵版作品集。収録作=花の下・月の光・雪の面。
右京介巡察記
1975.03.03発売
右京介巡察記
著:南條 範夫,装丁:原 弘,装画:奈良 葉二
講談社文庫
将軍代替りのたびに、各藩へむけて発向せしめられた幕府巡察使は、しだいに初めの意義がうしなわれ、形骸化してきている。各藩が失政をおおいかくすため、巡察使に対して酒色と賄賂の奸策を用い、その口を封じようとしたからだ。だが、その年の3人の正副使のなかに、ひとりの気骨ある武士がいた。瀬名伝右衛門。巡察の古習を守ろうとする正義のふるまいは、各藩にとって、若々しいかぎりであった。しかし、藩の秘密を守ろうとする奸計にはめられた伝右衛門は、腹を切って果てる。その怨念を承けついで日かげに育った一子・紫右京介は……。神変無想流をきわめた虚無的な瞳の美剣士が、父の仇を討つ時が刻々せまる!
電子あり
ミステリー傑作選(5) 犯人ただいま逃亡中
1975.02.26発売
ミステリー傑作選(5) 犯人ただいま逃亡中
編:日本推理作家協会
講談社文庫
推理小説ファンの増大とともに多様化したミステリーへの絶好の手引き書として定評の名作選。15編収録。 <収録作家>佐野洋・松本清張・星新一・日影丈吉・佐賀潜・結城昌治・戸川昌子・小松左京・筒井康隆・生島治郎・黒岩重吾・陳舜臣・都筑道夫・三好徹・笹沢左保
鉄筋の畜舎
1975.02.25発売
鉄筋の畜舎
著:森村 誠一,装画:佐藤 三千彦
講談社文庫
デパート「赤看板」の社長・保科商平のお抱え運転手・竹場正吉は、保科の息子たちのひきおこした轢き逃げ事件の身代り犯として服役中、獄死した。復讐に燃える竹場のひとり息子・栄一は、被害者の父・直川と謀り、保科一族の抹殺計画を実行に移す。復讐のドラマは刻々と進行するが、行く手に意外な陥穽が待っていた!
電子あり
午後の微笑
1975.02.10発売
午後の微笑
著:曽野 綾子,装丁:原 弘,装画:藤井 瑞子
講談社文庫
神保羊子は、雑誌の編集の仕事をしている。取材で知り合った作曲家・郷雪生の、芸術家ぶらないナイーヴであたたかな人柄に魅かれ、病気で寝込んだ郷を放っておけずに、徹夜で看病する。その夜以来、郷の胸のなかにも、羊子の姿が強く灼きついて、お互いに愛しあうようになる。そして、結婚の約束をしたふたりの前に、郷が貧乏な留学生であった昔の恋人の密石麗華が、今は実業家の国分夫人となって出現する……。虚偽を許さない若い娘の心に写った「傷ついた世代」の苦悩を通じて、つねに裏切り合いながら救いを求めている、人間の魂の深部とさまざまな愛の想いを、鮮やかに、綿密画のように描きあげた長編小説。
電子あり
女神出奔
1975.02.10発売
女神出奔
著:曽野 綾子,装丁:原 弘,装画:藤井 瑞子
講談社文庫
あまり人のいかないハイキング・コースの途中で病気になった楠田は、一軒の草深い古別荘に犬と住む由緒ありげな女に、一夜介抱された。その妖しい魅力にひかれ再び訪ねた楠田と、女は「お茶でものむように」交わる。一方、楠田の恋人・順子は、片貝助教授を知り、その家柄や名声に酔わされる。片貝を取り巻く女性は多い。彼は、財界に名の通った湯浅社長の娘・治子を選び、結婚式を挙げるが、新婚初夜を待たずに、治子は伊豆の別荘から恋人・昭夫と脱走する。そのとき、片貝がそこで幽霊のように見たのは、教え子の楠田に付添われて立つ古別荘の女であった。俗物への諷刺をこめて、愛と真実を追求する長編小説。
電子あり
飛行機はなぜ飛ぶか
1975.01.29発売
飛行機はなぜ飛ぶか
著:近藤 次郎,装画:真鍋 博
ブルーバックス
さまざまなアイデアと原理! 《巨象》のようなジャンボ機は350トンだが、将来は 《1000トン》という巨鯨のような飛行艇も考えられている。 《胴のくびれた》遷音速機(ほぼ音と同じ速度の高速機)や 《マッハ2.2》の怪鳥コンコルド、衝撃波に乗って 《水上スキーさながら》に空を駆けるウェーブ・ライダー等のほか 《プロペラ機へのリバイバル》も見のがせない傾向である。それは 《騒音や都市の過密》とも関係するからである。
フロイト
1975.01.29発売
フロイト
著:ラッシェル・ベイカ-,装丁:海保 透,訳:宮城 音弥,装丁:杉浦 康平
講談社現代新書
エディプス・コンプレックス、超自我、サディズム……など、精神分析の考え方は、広く受けいれられている。しかし、フロイトがそこにいたる道は、けっして平坦ではなかった。ユダヤ人ゆえの迫害、“性”をあまりに重視したための、世間との大きな摩擦、そしてなによりも、“心”という目に見えない領域を探るためには、自分を患者にみたてて、鋭いメスをいれるという苛酷な作業が必要であった。精神分析は、フロイト自身の精神遍歴、家庭環境を抜きにしては理解しえない。 自分自身を犠牲にして――フロイトは彼自身の生活を露出したこと、自分自身のプライバシーを自ら侵害したこと、何人も口に出したくない自分自身についての個人的なものを公然としたこと、自分自身を研究対象にしたことを気にした。しかし、自分自身の生活の最も内面的な秘密をさぐることによって、彼は神経の病気の源泉に光を投げたのだ。他の領域において、顕微鏡、パストゥールのミクロの生物の発見が行なわれたのと同様の発見を、彼は医学の世界で行ない、暗黒のなかに光を与え、病気の源泉を見出す新しい方法を発見したのである。彼は、すべてのエネルギーを使い果たして、疲労困憊し、各方面の医学雑誌に『夢判断』の書評のためのコピーを送った。――本書より