新刊書籍
レーベルで絞り込む :

1977.10.05発売
新書東洋史(9) 西アジアの歴史 聖書とコ-ラン
講談社現代新書
砂漠とオアシスガ織りなす厳しさと恵み。西アジアは、そのなかで東西交渉の要衝として、独自の歴史世界を形成した。キリスト教とイスラム教に代表される、その文化は、世界各地に伝播し、現代に至るまで、多大な影響を及ぼしてきている。本書は、「肥沃な三日月地帯」に誕生した古代国家にはじまる、ペルシア、アラビア、トルコなどの民族盛衰のなかに、西アジア独自の歴史を鮮やかに描き出す。現代の民族主義の動きも見とおし、西アジアを世界史のなかにみごとに位置づける。
民族主義の創造――西アジアは過去において、種々の文明の交流のなかから数多くの先進文明を生み出し、ヨーロッパ・インド・中国にも影響を与えてきた。そこには常に西アジアの民族主義が作用していた。たとえば、ヨーロッパからヘレニズムが浸透し始めて2世紀余りたった紀元前後には、西アジア各地域に、それぞれの伝統に根ざす新しい自覚として当時の民族主義が芽生え、それがキリスト教を生み、さらに数世紀のちにイスラム体制をつくりだした。しかも、キリスト教はヨーロッパ文明に深い影響を及ぼし、イスラム文明は、ヨーロッパ近代社会の形成に大きな役割を果している。民主主義な、下火になることはあっても消滅することはなかった。それどころか、新しい文明の創造は、常に民族主義の高揚から出発してきた。――本書より

1977.09.07発売
論語講義(一)
講談社学術文庫
著者渋沢栄一は、明治政財界の大立物である。維新の動乱をくぐりぬけ、明治新政府の財政・金融制度の確立に尽力。明治6年下野して後は、第一国立銀行の創立を初め、500余の会社を設立し、我国資本主義経営の礎を固めた。その著者が日常生活の規準とし、実業経営上の金科玉条として全面的に信頼したのが「論語」である。本書は著者が晩年に、自らの波乱の体験を語りながら「論語」を解説し、その読み方を説いた、異色の「論語講義」である。

1977.09.07発売
更級日記(下)
講談社学術文庫
老いた父と姉の遺児に心を残しながら宮仕えすることになった作者はやがて結婚生活に入る。一男一女にもめぐまれて、少女時代にあこがれた物語の世界を夢と悟りひたすら現実的な人となる。50歳のとき夫は国司として、成人した長男を従え任国にはなばなしく出発。見送る彼女は幸福そのものである。しかし翌年夫は急死。作者が醒めて眺めた現実は短い夢であった。ある夜、弥陀来迎を夢見てからは来世に頼みをかけてはかなく世を送る。
1977.08.26発売
虹への旅券
講談社文庫

1977.08.25発売
名探偵なんか怖くない
講談社文庫
かの3億円強奪事件をそっくり再現させて、それを世界的名探偵に推理させようという酔狂な企画。立案者は財産をもて余す成金。招かれた探偵は、メグレ、ポワロ、クイーン、明智の豪華版。お膳立てが整い、監視されているとも知らぬ犯人は行動を起したが、意外や意外。巧みな構想に支えられたパロディの秀作。

1977.08.23発売
新書東洋史(8)中央アジアの歴史
講談社現代新書
ユーラシア大陸を二分する北方の“蒼き狼”たちの遊牧草原国家と南方のオアシスを軸につくられた都市国家――その両者の対立・抗争と共存の歴史が、中央アジアを彩った歴史である。あるときはトルコ化し、あるときはイスラム化する草原とオアシスの民は、ティムールによる統一帝国の坩堝の中で、新しいユーラシア文明をつくりあげる。本書は、この歴史のダイナミズムを掘り下げながら、現代に至る諸民族の興亡と独立を明らかにし、中央アジアを把えるに必要な歴史観を提示する。
中央アジアにおける北と南――中央アジア北部の草原地帯と山間牧地の主人公は、群をつくる有蹄類の動物を追って、夏営地と冬営地の間を季節移動する遊牧民であり、南部のオアシス地帯の住民は、農業を主とする定住民であった。しかし、この相異なる生活様式をもった南北二つの住民は、相互に隣接して生活している以上、常に密接な関係に立たざるを得なかった。それは特に征服と被征服、支配と被支配の関係であり、また時には一方の文化の、他方の文化に対する優位と劣位の関係でもあった。また同時に、両者間の相互補完的な共存関係をもつくりあげた。――本書より
1977.08.12発売
改訂新版 書写書道四千字 現代字体字典

1977.08.08発売
仏陀の観たもの
講談社学術文庫
生きとし生けるものすべてには、必ず生滅がある。生あるものは必ず滅ぶ。ところが仏教では、不生不滅とか生死一如と説く。また、この世を無常な相(すがた)として把え、泡沫の如きものと観る。どうして仏教では、このような観方ができるのだろうか。そもそも仏教とはどんな宗教であり、どういう教えを説いているのだろうか。本書は、仏教の基本的な考え方を平易な言葉で明らかにし、仏教が現在に生きる教えであることを教示する好著である。

1977.08.08発売
更級日記(上)
講談社学術文庫
『更級日記』は、幼いときから文学にあこがれていた平安の一女性が、晩年、一生を省みて綴った幻想的な日記である。上巻は--十歳ごろ地方官の父に伴われ上総に下って、つれづれな明け暮れの中に文学に心を奪われる--父の任が満ち作者一族は長い苦しい旅の末、京に帰り、ようよう得た物語を夢ともうつつとも読みふける--父は再び任官、遠国に発ち、作者は母と京に寂しく残る。やがて父は帰京、老いた今は作者一人を頼りきる(上下二巻)。

1977.08.08発売
宇宙についての基礎知識
講談社学術文庫
晴れた夜、天空を仰いだ人はだれでも、広大で深遠な宇宙の姿に魅了されることだろう。と同時に、我々の生をうけたこの宇宙とは、どのような世界であるのだろうとか、我々の生命とは一体なんなのだろうとか、思いをめぐらさずにはいないだろう。本書は、最新の宇宙科学の発展を踏まえながら宇宙の諸現象を平易に紹介し、恒星宇宙や惑星の世界の本質をさぐるとともに、地球と生命の歴史までをも明らかにする。待望の宇宙科学入門書。

1977.08.08発売
動物にとって社会とはなにか
講談社学術文庫
動物たちは、行きあたりばったりに喰(くら)い争い、まるでけだもののように生きているのだろうか。そんなことはない。本書で著者は、ゾウリムシやチョウ、トゲウオやオオカミなど興味深い具体例を挙げながら、動物たちが実は、「社会」と呼ぶほかない複雑精妙な関わり合いの中に生きていることを明らかにする。翻ってヒト社会の諸問題をも照射する著者の視点は、本書を、今日の先端的な人間の問題を考える優れた文明批評の書ともしている。

1977.07.27発売
妖星伝 第一部 鬼道の巻
講談社文庫
異端とそしられ、黒魔術と怖れられながらも、日本史の裏側に陰影のごとく貼りついてきた「鬼道」は、江戸時代に不在の盟主を求め、各派が一斉に跳梁をはじめた。血と淫液にまみれ凄絶な争いがくり返される。そこへ、超能力を具えた宇宙星人の出現!空前のスケールで伝奇小説の頂点をめざす長篇第1部。

1977.07.20発売
新書東洋史(7)東南アジアの歴史 モンスーンの風土
講談社現代新書
モンスーンの風土にめぐまれた多島海。東南アジアは中国・インド両文明のはざまにありながらも、アンコール・ワット、ボロブドゥールに象徴される特異な文化を育んできた。しかし、香料を契機とする西洋世界の侵入、それにひきつづく植民地化は、あまりに大きな波紋を残した。強制栽培制度による略取、太平洋戦争下の荒廃を負った独立への道はきわめて険しいものであった。本書は、曲折にみちた東南アジア史の本質を統一的視点からあざやかに解明した。
東南アジアの一体性――1970年代も半ばを過ぎた現在、かつての東南アジア植民地はすべて独立を獲得したが、民族革命の達成にくらべて社会的平等の実現はまだこれからの課題と言えよう。またその中には純然たる社会主義国家から露骨な反共独裁国家まで驚くほどの幅が見られるが、それにもかかわらず、もはや東南アジアの一体性について疑いを抱く者はほとんどないと言ってよかろう。インドシナ三国における共産政権の成立以後、王制をとる仏教国タイとの間の緊張が伝えられ、こまかい動きを見れば東南アジア全体の政治的安定は遠い将来のこととも思えるが、ただひとつ明らかなことは、ここではもはやどのような大国の介入も歓迎されないだろうということである。――本書より

1977.07.08発売
星の神話・伝説
講談社学術文庫
科学の発展によって少しずつ解明されてきたとはいえ、宇宙はいぜんとして謎と神秘のベールに包まれている。本書は、その謎と神秘に満ちた四季の星空を、ロマンあふれるギリシアやローマの神話・伝説をとおしてやさしく説きあかし、星の神秘にせまる。読者は、星や星座を楽しく学びながら、いつのまにか天文学の世界へと導かれよう。星の研究家として知られる著者の、長年の蘊畜を傾けた名著のほまれ高い天体・宇宙の入門書である。

1977.07.08発売
法然と親鸞の信仰(下)
講談社学術文庫
倉田百三は歎異鈔について、「その志向が内界完成にあるので、徹頭徹尾求心的なものである。その方面での典型的なものとして、世界第一の文書である。信仰の本質問題から決して遊離せず、人間の心理の実相を凝視し、痕づけて、寸毫も虚偽を許さず、生死の一大事とまっしぐらに取り組んでひたすら救済の心証へと究め迫っている」と述べている。厳しく日々の生活を見つめることを通して親鸞追求を行った著者が、歎異鈔の全てを語った書。
1977.06.28発売
チョコレート戦争
講談社文庫

1977.06.28発売
現代数学小事典
ブルーバックス
本書の特色――
●高校の数学を勉強した人なら十分アタックできる程度の読物形式で作った新しい数学事典。
●現代数学を「数学基礎論」、「代数学」、「解析学」、「幾何学」、「トポロジー」、「応用数学」の6部門に分け、ほぼ全般を解説。
●各部門は、さらに幾つかの小部門に分けられ、統一した解説が施されている。また有名な数学者は、別にエピソードをまじえて詳しく紹介されている。
●本文中の重要な数学用語、数学者は太字にし、そこで定義や詳しい内容、仕事の紹介がなされている。
●索引は、用語、定理、人名各索引より成り、五十音順に配列されている。またそれぞれに英訳がつけられ使いやすくなっている。

1977.06.24発売
英語の語源
講談社現代新書
〈王様〉を意味するキング〈KING〉は、血族を示すキン〈KIN-〉から派生し、育ちのよい人間からの連想で〈親切〉を意味するカインド〈KIND〉と語源を同じくしている。その中心にあるのは、〈血縁〉のイメージであり、政治的につくり上げられた連合国家の長、皇帝=エンペラーとは、はっきり分けられる。コルシカ生まれのナポレオンは、皇帝になったが、フランク族のキングになることはできなかったのである。本書は、身近かな単語の語源をさぐりながら、西洋文化の背景を明らかにした出色の文化論。
ワイルドの語源――家畜でない獣は英語でwild animalである。wild(野性の)という単語については、まだ意見が定まっていないが、はっきりした自説を出しているのは、ケンブリッジ大学のW・W・スキートである。彼によればself-willed(わがままな)という意味がwild(古い発音ではウィールド)の根底にあるという。つまり欲する(will)ままに生きている動植物は、すべてwildなものなのである。だからwildは動物にも使うし、植物にも使うし、また人間にも使う。馴らされて(tame)いない状態の動植物を指すのである。また日頃は教養で感情を抑制している人でも、その教養を忘れて暴れることがある。その状態を「荒れた」(wild)という。――本書より

1977.06.24発売
新書東洋史(6)インドの歴史・多様の統一世界
講談社現代新書
インドの存在はそれ自体ひとつの《大いなる謎》である。民俗・言語から、宗教・民族にわたるまできわめて特異な多様性を見せながら、そこに不思議な統一を保ちつづけているのも事実なのである。本書は、この《多様の統一世界》の解明を経糸に、インダス・ガンジス文明の発生から、イギリス植民地下の苦難と抵抗、戦後社会の矛盾までの時代の変容を緯糸に《神秘》と《貧困》に象徴されるインド史5000年の真実を、新たな視点から明らかにする意欲作である。
多様なるものの統一世界――インド女性のあの艶やかな着物サリーの着付け方一つにしても、地方により、あるいは人々によって、まことに大小さまざまな変化があるといわれるインド。地理的条件はいうにおよばず、民族・言語・宗教・慣習・社会組織などいずれの分野においても、おどろくべき多様性をもったインドは、われわれの住んでいるこの日本のような均質性の高い社会から見れば、たしかに一筋繩では理解できない対象であることには多言を要しないであろう。この多様性は、簡単にいえば、太古以来歴史的に形成されてきたインド文化のその形成のされ方の特徴によるものである、ということができる。――本書より

1977.06.23発売
ひめゆりの塔
講談社文庫
太平洋戦争の末期、死闘をくり返す沖縄に於て、女学生ばかりで結成された姫百合部隊200人余の大半が、米須(こめす)の洞窟で玉砕するまでの悲惨な90日を濃密に描く。乙女たちを中心に、死の行進を強いた戦争指導者への深い憎しみと怒り、戦場に散った若い生命への愛惜が全篇を貫く感動の名篇。(講談社文庫)
太平洋戦争の末期、死闘をくり返す沖縄に於て、女学生ばかりで結成された姫百合部隊200人余の大半が、米須(こめす)の洞窟で玉砕するまでの悲惨な90日を濃密に描く。乙女たちを中心に、死の行進を強いた戦争指導者への深い憎しみと怒り、戦場に散った若い生命への愛惜が全篇を貫く感動の名篇。