講談社学術文庫作品一覧

庶民の発見
庶民の発見
著:宮本 常一
講談社学術文庫
日本の農山漁村は昔から貧しかった。そして古い時代からこの貧の問題の根本的な追究が欠けていたのではないか、と著者はいう。本書は、とくに戦中・戦後における嫁の座、私有財産、出稼ぎ、村の民主化、村里の教育、民話の伝承などを通して、その貧しい生活を克服するため、あらゆる工夫を試みながら精いっぱいに生きる庶民の姿を多角的に捉えたものである。庶民の内側からの目覚めを克明に記録した貴重な庶民の生活史といえよう。
人類とぼけ ぼけ研究の歩み
人類とぼけ ぼけ研究の歩み
著:新福 尚武,装丁:遠山 八郎
講談社学術文庫
今世紀、人類はぼけを征服できるだろうか?いま、ぼけの正体はどこまで分かっていて、どこまで治るのか。ぼけ研究の歩みと現段階を明らかにし、将来を展望する、老年精神医学研究の第一人者のライフワーク
俳句開眼
俳句開眼
著:平井 照敏,解説:栗坪 良樹,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
本書は、俳句に関心を抱く人々が、俳句とはどういうものか、どう味わい、どう作ればよいのかを歴史的に捉えたものである。まず近代・現代俳句の流れについては子規・虚子・秋桜子らの主要俳人に焦点をあて、また近世俳句は芭蕉・蕪村・一茶に絞ってその解釈と今日的意義を探った。更に著書の体験に基づいた俳句実作上の注意点と作品鑑賞を加えて、俳句を総合的に理解し、俳句の真髄に開眼することを願ってまとめた初心者必携の書。
社会心理学入門(下)
社会心理学入門(下)
著:我妻 洋
講談社学術文庫
個人や集団の間に見られる差別や偏見は、自らの欲求不満や不安、コンプレックスからくる感情のスリカエ(転位)やフリ向け(投射)であることが多い。無意識の嫉妬や羨望が人を嫌悪や非難に走らせる。――人間をつき動かすこの〈無意識〉の欲求にメスをあて、深層の暗闇を切りひらく精神分析理論の見事な解明と、比較文化的考察、そして、社会構造の核をなす〈規範〉と〈役割〉、パーソナリティの機能などについての明晰な分析がここにある。
社会心理学入門(上)
社会心理学入門(上)
著:我妻 洋
講談社学術文庫
「すべての心理学は社会心理学である。」(フロイト)社会的存在である人間の心を探る試みはすべて社会心理学といってよいのではないか。ゲシュタルト理論に始まり、ハイダーの帰属理論(帰因学説)と均衡理論、アッシュの印象形成や同調行動に関する理論、レヴィンの場の理論、フェスティンガーの認知的不協和の理論、グループ・ダイナミックス、条件反応理論の流れを汲む強化理論にいたるさまざまな展開を、精緻に深く探究し紹介する。
イスラムとコーラン
イスラムとコーラン
著:牧野 信也
講談社学術文庫
最近、日本において中東との様々な関わりから、イスラームという宗教への関心が高まりつつある。ただ、その関心は表面的な次元に留り、イスラームはどうもよくわからないといわれている。本書はそのイスラーム特有の宗教の把え方、理解の仕方を探りながら、イスラーム理解の原典をなすコーランの独自な性格と内容をコーラン全体を貫くメインテーマに即して説明し、イスラームの現実主義的側面と内面性重視の側面を明らかにする。
有職故実(下)
有職故実(下)
著:石村 貞吉
講談社学術文庫
わが国平安時代の儀礼、官制、服制、行事及び鎌倉時代の礼法、武具、武技など、公卿・武家の家柄に個々代々伝わっていた口伝・秘伝の有職故実を、数多くの文献から総合的に纒め学問的に体系づけた本書は、江戸期以来の研究の到達点を示すと同時に、おのずから古・中世の風俗・慣習を通して識る精神史を形成している。本下巻には「服飾」「飲食」「調度・輿車」「甲冑・武具」「武技」「遊戯」を収め、巻末に索引ならびに主な参考図を掲げた。
方丈記を読む
方丈記を読む
著:馬場 あき子,著:松田 修,装丁:志賀 紀子
講談社学術文庫
長明の末法思想と人間性を問う迫真の対談。『方丈記』を読み進めながら、遁世生活の細密な描写と和歌のこころの裏にひそむ仏道と数奇融合一如の精神に論及し、中世的無常観の代表者鴨長明の謎に迫る対論。
母
著:鶴見 祐輔,解説:澤地 久枝,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
日本の母の在り方を小説に托した実用教養書大正期の混乱の世を生きた一人の母を中心に,教養と啓蒙につながる人物や書名,人生の名言格言が随所に盛られて広く大衆に愛読された昭和初期ベストセラ-の復刊
新・古事記物語
新・古事記物語
著:中村 啓信,装丁:志賀 紀子
講談社学術文庫
『古事記』の解釈に創造の翼を与えた会心作千二百年を超える時代の彼方で書かれた古事記説話群の世界を新しい学問的裏付けにより再構成し,古代日本人の豊かな想像力を証明して古事記の魅力を今に蘇らせる
日本仏教思想の源流
日本仏教思想の源流
著:山折 哲雄,解説:鎌田 東二,装丁:井上 正篤
講談社学術文庫
本書は、日本の仏教史上に登場する代表的なカリスマたちがいかにして自らの宗教意識を体得したかを探る。空海における密教的な神秘思想、独得の密教解釈で新風を起こした覚鑁(かくばん)、道元の「正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)」の哲学的詩篇と白楽天の詩的世界の関係、常に「日本国」を発想の根底に据えた日蓮のナショナルな危機意識、風狂僧一休の虚構と真実の世界など、時代的背景と豊富な文献を巧みに駆使して、新仏教誕生に果たした姿を独自の視点から描く。
物理学の歴史
物理学の歴史
著:竹内 均,解説:中村 誠太郎,装丁:若菜 啓
講談社学術文庫
元来、物理学の歴史は単に発明・発見の物語ではなく、すべての歴史と同じく、生きた人間と自然界との係り合いが重要である。本書は、自然についての知識を人間がどのように汲みとり、それを生活に社会にどのように応用してきたかといった物理本来の意味を基礎におきながら、物理学が芽ばえた古代文明期から論を起こし、20世紀初めの相対性理論や前期量子論に至るまでを、実に要領よく簡潔にまとめた秀逸の物理学通史といえよう。
朱鷺
朱鷺
著:宮村 堅弥,解説:藤原 英司,装丁:若葉 啓
講談社学術文庫
野鳥の権威悟堂氏がトキの総合記念塔と賞賛昭和の歴史とともに生き,絶滅寸前の悲運にみまわれた”幻の鳥”トキと人間のかかわりの経緯を克明に記した貴重な記録.献身的な愛護活動が惻々と人の胸を打つ.
有職故実(上)
有職故実(上)
著:石村 貞吉
講談社学術文庫
国文学及び日本史学、更に文化史・風俗史研究に密接不離の関係にある有職故実の変遷を辿った本書は、昭和31年刊行当時わが国の儀式典礼や風俗資料を集大成したものとして高く評価されながらも久しく世に出ることのなかった稀覯本(きこうぼん)である。この度学術文庫に収録するに当って上・下巻に分け、上巻には「官職位階」「平安京及び大内裏」「儀式典礼」「年中行事」等を収め、引用文以外は現代表記に改めて広く学界への寄与に努めた。
短歌に見る人生
短歌に見る人生
著:宮 柊二,解説:玉城 徹,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
戦後短歌を切り拓いた歌人宮柊二の歌論集.短歌に見る人生の諸相,師白秋・迢空を中心とする現代歌人論など,歌論の略総体を網羅.作者の歌と人間を解くための絶好の解説書であり,”自歌自註”の書である
とはずがたり(下)
とはずがたり(下)
その他:次田 香澄
講談社学術文庫
後深草院の特異な愛情のもとに寵遇されながら、西園寺実兼・法助法親王らとの愛欲生活を綴った上巻から一転し、下巻は作者後半生の、女性として稀有な長途の旅を記す。宮廷生活に訣別して出家した作者二条は西行の修行を慕い、鎌倉をめざす東海道の旅を手始めに、信濃・奈良・伊勢・また中国路など、当時の貴族女性としては驚異的な規模で諸国を遍歴する。『蜻蛉日記』をしのぐ個性と凄絶な迫力あふれる、注目すべき女流文学作品。
私の常識哲学
私の常識哲学
著:長谷川 如是閑,解説:田中 幸,装丁:若菜 啓
講談社学術文庫
人間如是閑を彷彿させる氏一流の哲学人生論本来哲学とは生活実感が伴うもの。つまり「人生いかに生きるべきか」でなく「まず生きなさい」とその本質を喝破した放送講演集。他に「生活の宗教」等13編収録
半自叙伝
半自叙伝
著:菊池 寛,解説:杉森 久英,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
自らの半生を虚飾なく綴った自伝文学の傑作生い立ちから新進作家として登場するまでを、当時の世相、独自の人生観、社会観を交えつつ生き生きと語る。文壇の大御所といわれた後半生を解く鍵ともなる書。
とはずがたり(上)
とはずがたり(上)
その他:次田 香澄
講談社学術文庫
鎌倉時代前期、武家階級に活力ある政権を奪われた京都では、古来の政治・経済の基盤を失いかけた貴族たちは退廃的な生活にひたっていた。この風潮の中で、家柄と容色と才智にめぐまれた、久我(こが)雅忠の女(むすめ)がその異常な生涯を自らの手で記したのが『とはずがたり』である。14歳の春、無理に後深草院の後宮にされて一皇子を生みながら、複数の男性とも愛欲の生活を続ける大胆・奔放な生き方・体験を露骨に記述する文学史上特異な作品。
老子の思想
老子の思想
著:張 鐘元,訳:上野 浩道
講談社学術文庫
本書は、老子の『道徳経』を現代思想の観点から読みなおしたものである。著書は序において「道」(タオ)の思想がヨーロッパ思想にどのように影響してきたかを検討し、東洋思想と西洋思想の根本的相違を論じる。つづいて、『道徳経』の各章にわたって訳しながら、ハイデッガー、西田哲学、ユング心理学をベースに注釈を加えている。中国思想での解釈の枠を越えた、従来の思想のパラダイムを変える“新しい思惟への道”を提示した画期的な書。