講談社学術文庫作品一覧

東京の自然史
東京の自然史
著:貝塚 爽平
講談社学術文庫
地殻変動(巨大地震で、地表面は数メートル移動)、氷期と間氷期の海水面変化(一〇〇メートル以上)、火山灰の堆積(数メートル以上)、河川による砂礫の堆積……。一〇〇万年超の東京の形成過程と江戸以来の開発による地形変化を解明。過密集住の東京を脅かす様々な災害。散歩ガイド・災害マップとして、必携の地形学による東京史。(講談社学術文庫) 氷河期、火山活動、大地震による地殻変動、風雨による浸食と砂礫の運搬……そして人間による開発 100万年のスパンで、東京の地形の秘密を読み解く 地殻変動(巨大地震で、地表面は数メートル移動)、氷期と間氷期の海水面変化(一〇〇メートル以上)、火山灰の堆積(数メートル以上)、河川による砂礫の堆積……。一〇〇万年超の東京の形成過程と江戸以来の開発による地形変化を解明。過密集住の東京を脅かす様々な災害。散歩ガイド・災害マップとして、必携の地形学による東京史。(解説・鈴木毅彦) この本では、東京の土地の自然がどんな構成になっているかを、その生いたちにもとづいて説明することに重点をおいているけれども、その間には土地の性状と関係のある災害や土地利用の問題にも言及したいと思う。……自然の生いたちは、古くまで遡ればきりがないが、現在の東京の地形が成立し、現在利用されている地下水が関係するような地層が成立したのは、ほとんど、第四紀と呼ぶ最新の地質時代のことであるから、話は第四紀の約一〇〇万年にしぼられ、最近の一〇万年ぐらいが特に問題となる。(「第一版のまえがき」より) ※本書の原本は、紀伊國屋書店より1979年に刊行された『東京の自然史<増補第二版>』です。
電子あり
逆賊と元勲の明治
逆賊と元勲の明治
著:鳥海 靖
講談社学術文庫
明治日本の現実の歴史過程に対して、生身の人間の個人的意思や言動、個性などは、いかなるかかわり合いを持っていたのか。西郷隆盛の「銅像建設問題」、危機の時代における「長老」の役割、政治家・明治天皇の伊藤博文への信頼と不満、軍人・山県有朋の日露開戦反対論など、先入観とフィクションを排した透徹した視線で「歴史」と「人間」を論じる。(講談社学術文庫) 裏切りと連帯。信頼と衝突。「生身の人間」が歴史を動かした。 歴史家の透徹した眼で分析する「明治」をつくった男たちの群像と、危機の時代の指導者の条件。 明治日本の現実の歴史過程に対して、生身の人間の個人的意思や言動、個性などは、いかなるかかわり合いを持っていたのか。西郷隆盛の「銅像建設問題」、危機の時代における「長老」の役割、政治家・明治天皇の伊藤博文への信頼と不満、軍人・山県有朋の日露開戦反対論など、先入観とフィクションを排した透徹した視線で「歴史」と「人間」を論じる。 ※本書は、1982年にPHP研究所より刊行された『「明治」をつくった男たち――歴史が明かした指導者の条件』を文庫化にあたり改題したものです。
電子あり
ハイデガー「存在と時間」入門
ハイデガー「存在と時間」入門
著・編:渡邊 二郎,著:岡本 宏正,著:寺邑 昭信,著:三冨 明,著:細川 亮一
講談社学術文庫
「ある」とは、どういうことか 20世紀思想界に屹立する不朽の古典を精緻に解読する、ハイデガー哲学への招待 哲学者マルティン・ハイデガーの主著にして、二十世紀の思想界に衝撃と多大な影響を与え、現代哲学の源流として今なおその輝きを増しつづける現代の古典『存在と時間』。その新しさのゆえに難解とされてきた、ハイデガーが企図した哲学の革新性とはなにか? 西洋近現代哲学研究の泰斗と気鋭の後進が精緻かつ平易に解説する、ハイデガー哲学入門。 ハイデガーの『存在と時間』という書物は、二〇世紀の思想界を決定的に色濃く染め抜いた、現代の古典中の古典である。本書は、この著作において企てられた哲学の革新を、できるだけ平易にまた正確に、その主要な論点において、解説することを狙った入門書である。――<本書「はしがき」より> ※本書の原本は1980年8月、有斐閣より、有斐閣選書の一冊として刊行されました。
天の科学史
天の科学史
著:中山 茂
講談社学術文庫
「天への恐れ」から星の観測は始まり、その意味を説明するために占星術が生まれ、正確な「暦」が権力者の権威を高める。やがて天動説から地動説へとパラダイムは転換し、天体力学の隆盛を経て、天体物理学と宇宙開発競争の時代へとむかう。民俗や宗教、数学や物理学を巻き込んで展開する最古の科学=天文学の歴史と、人類の宇宙観の変遷をたどる。 人間にとって<宇宙>とは何か 天体観測と占星術の始まりから、暦の作成、地動説への転換、天体力学の隆盛、米ソの宇宙開発競争まで。最古の科学=天文学の歴史と、人類の「宇宙観」の変遷。 「天への恐れ」から星の観測は始まり、その意味を説明するために占星術が生まれ、正確な「暦」が権力者の権威を高める。やがて天動説から地動説へとパラダイムは転換し、天体力学の隆盛を経て、天体物理学と宇宙開発競争の時代へとむかう。民俗や宗教、数学や物理学を巻き込んで展開する最古の科学=天文学の歴史と、人類の宇宙観の変遷をたどる。 ※本書の原本は、1984年に朝日新聞社より刊行されました。
電子あり
デカルト、ホッブズ、スピノザ  哲学する十七世紀
デカルト、ホッブズ、スピノザ  哲学する十七世紀
著:上野 修
講談社学術文庫
近代哲学の祖とされ、「心身二元論」に拠ったデカルト。国家契約説をとなえ、「万人の万人に対する戦争」で知られるホッブズ。「神即自然」を主張したスピノザ。十七世紀の哲学シーンを彩る三人の思索は、動乱期のヨーロッパを生きたゆえの魅力にあふれている。神、国家、物体と精神……、根本問題をめぐる三様の思索を、鮮やかに浮き彫りにする。(講談社学術文庫) 私はある、私は存在する……デカルト 「私」はこの身も心も神でできている……スピノザ 人はなぜ人に服従するのか……ホッブズ 「機械的なもの」と「魂あるもの」が重なり合う 十七世紀の哲学世界! 近代哲学の祖とされ、「心身二元論」に拠ったデカルト。国家契約説をとなえ、「万人の万人に対する戦争」で知られるホッブズ。「神即自然」を主張したスピノザ。十七世紀の哲学シーンを彩る三人の思索は、動乱期のヨーロッパを生きたゆえの魅力にあふれている。神、国家、物体と精神……、根本問題をめぐる三様の思索を、鮮やかに浮き彫りにする。 十七世紀は「機械論」の世紀であった。が、ただの機械ではない。機械的な存在が自生し、産出し、ものを言うのである。それは「合理主義」という名から想像される以上に不気味な、「存在論的機械論」とでもいうべきものの出現であったと私は思う。機械的な存在が主観の対象の側に客体として仮構されてある、というのではない。むしろ、自分は別なふうに存在しているのかもしれぬという隔たりをわれわれ自身のただなかに開く、そういうものとして機械的なものはある。――<「ものを言う首」より> ※本書の原本『精神の眼は論証そのもの』は1999年、学樹書院より刊行されました。
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百代の過客 日記にみる日本人
百代の過客 日記にみる日本人
著:ドナルド・キーン,訳:金関 寿夫
講談社学術文庫
円仁、貫之、孝標女、定家、宗祇、芭蕉、そして名もなき旅の遊女がつづった日記―― 数百年の時をこえて「永遠の旅人」の声が聞こえる 読売文学賞・日本文学大賞 受賞作 日本人にとって日記とはなにか。平安時代の『入唐求法巡礼行記』『土佐日記』から江戸時代の『野ざらし紀行』『笈の小文』『奥の細道』まで、八十編におよぶ日記文学作品の精緻な読解を通し、千年におよぶ日本人像を活写。日本文学の系譜が日記文学にあることを看破し、その独自性と豊かさを探究した、日本文化論・日本文学史研究に屹立する不朽の名著。 そもそも私が日記に心を向けたのは、(中略)今日私が知る日本人と、いささかでも似通った人間を、過去の著作の中に見いだす喜びのためだったのである。最もすぐれた日記は、その作者を最もよく表し、逆に最もつまらぬ日記は、先人の詩歌や日記から学んだ歌枕の伝統を、ただいたずらに繰り返すのみである。日本人はいにしえより今日に至るまで、読書によって知悉する風景を己自身の目で確かめ、所の名物を己も口にすることに、格別の喜びを抱いてきた。――<本書「終わりに」より> ※本書は、1984年に朝日新聞社より刊行された同名の書籍の上下巻を合本にしたものです。
諸葛孔明――「三国志」とその時代
諸葛孔明――「三国志」とその時代
著:宮川 尚志
講談社学術文庫
歴史学から見た三国志。 敗けても敗けてもまた戦争。なのに、なぜ、彼は愛されたのか。 連戦連敗の将として死んだ諸葛亮。無謀な北伐を繰り返しながら後に義の人として絶大な人気を博した「三国志」の英傑。その思想と行動を中国史研究の先駆者が幾多の文献を用いて描き出す。なぜ彼が後世、称賛されるに至ったのか。その評価はどのように変遷したのか。一九四〇年の初版以来、改訂を重ねて読み継がれてきた「三国志」研究の重要古典。 *** ――孔明の遺文にはそうした当世風なところがない。しかし時世の流れにおくれていたように見えた孔明が八百年後、その忠厚質実の人格と文章とにより朱子はじめ宋儒に賞讃され、醇儒の気象ありとされ、かつ儒教の教養によってのみ軍政を統べうるという理想にかなった人として崇敬の的となったのである。(中略)宋以前でも南朝のように中原を夷狄に奪われても、彼らの征服国家は正統ではないと主張する立場から劉備や孔明への好意的評価が生じた。――<本書「あとがき」より> ※本書の原本は1940年、冨山房より「支那歴史地理叢書」第八『諸葛孔明』として刊行され、1966年には桃源社より本書と同名の改訂版が刊行されました。文庫化にあたっては1984年、光風社出版より刊行された同名書を底本としました。
電子あり
フィロソフィア・ヤポニカ
フィロソフィア・ヤポニカ
著:中沢 新一
講談社学術文庫
一九二〇年代以降、田邊元と西田幾多郎は日本的・独創的哲学=「京都学派」を創造する。田邊哲学=愛の哲学と西田哲学=欲望の哲学との対決から誕生した「種の論理」。その最重要の達成は、二十世紀後半から展開する現代思想、構造主義、ポスト構造主義、「野生の思考」、認知科学を先取りしていた。豊饒なる田邊哲学の全貌に迫る。(解説・鷲田清一)私がまず驚いたのは、田邊元の数学思想の斬新さだった。(略)そしてつぎに 京都学派の巨人=田邊元、ここに甦る! 「種の論理」「友愛の哲学」とはなにか? 対称性人類学が田邊哲学の現代性を明らかにする! 一九二〇年代以降、田邊元と西田幾多郎は日本的・独創的哲学=「京都学派」を創造する。田邊哲学=愛の哲学と西田哲学=欲望の哲学との対決から誕生した「種の論理」。その最重要の達成は、二十世紀後半から展開する現代思想、構造主義、ポスト構造主義、「野生の思考」、認知科学を先取りしていた。豊饒なる田邊哲学の全貌に迫る。(解説・鷲田清一) 私がまず驚いたのは、田邊元の数学思想の斬新さだった。(略)そしてつぎには、絶対的な媒介性と転換性をめぐる田邊元の思考の現代性に感心した。(略)さらに、彼の思想のもっとも重要な達成である「種の論理」の中に、正真正銘の構造主義と良識あるポスト構造主義を同時に見いだしたときには、私の喜びは頂点に達した。 ――<「プロローグ」より抜粋> ※本書の原本は、集英社より2001年に刊行されました。
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江戸人の精神絵図
江戸人の精神絵図
著:野口 武彦
講談社学術文庫
禁欲的知識人=定信の倒錯した自己顕示欲、徂徠による政治の虚構性の暴露と絶対的な「聖人信仰」、東湖を殺めた安政大地震期に水戸藩が暴走した理由、慊堂と弟子ネットワークなど、武士的社会の内実を読解。秋成の欠損した指と自意識、源内の山師的精神の背景、銅脈先生の酔生夢死的生活を活写し、江戸時代人の精神構造の前近代性と現代性に迫る。(講談社学術文庫) 定信、徂來、東湖、秋成、源内、慊堂……。遠くて近きは江戸の人。寛政~化政~天保~安政、各時代を代表する人物を題材に、江戸の精神風土を腑分けする。文学者ならではの筆致が歴史のリアルを呼び起こす (原本『江戸人の昼と夜』を改題、論文「花の名は人めきて」を追加収録)
電子あり
大清帝国への道
大清帝国への道
著:石橋 崇雄
講談社学術文庫
従来、「異民族の征服王朝」もしくは「最後の中華王朝」とのみ捉えられてきた清は、満・漢・藩の「三つの貌」を持つ帝国だった。ヌルハチが統合した北方の一小国は、やがて長城を越えて北京に入城し、さらに中央アジアを制圧、康熙・雍正・乾隆という三帝のもとで最盛期を迎える。満洲語史料を読み解き、現代に続く多民族国家の形成過程を解明する。(講談社学術文庫) 北方の小集団はいかにして大帝国を築いたか 華夷秩序を超越し、「3つの顔」をもつ世界帝国=清朝は、多民族国家・現代中国の原型だった。ヌルハチから康熙・雍正・乾隆まで、大帝国の若々しい盛期を描く。 (原本タイトル『大清帝国』を改題)
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風姿花伝
風姿花伝
その他:市村 宏
講談社学術文庫
世阿弥元清が、亡父観阿弥の教えをもとにまとめた『風姿花伝』。「幽玄」「物学(物真似)」「花」など、能楽の神髄を語り、美を理論化した日本文化史における不朽の能楽書を、精緻な校訂を施した原文、詳細な語釈と平易な現代語訳、解釈を深めるための余説で読み解く。息子の観世元雅に幽玄能の奥義を伝えるべく書きつづった『花鏡』の翻刻を併録する。(講談社学術文庫) 秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず 日本文化史に屹立する能楽の聖典、その神髄とは? 世阿弥能楽論の逸品『花鏡』の翻刻を併録 世阿弥元清が、亡父観阿弥の教えをもとにまとめた『風姿花伝』。「幽玄」「物学(物真似)」「花」など、能楽の神髄を語り、美を理論化した日本文化史における不朽の能楽書を、精緻な校訂を施した原文、詳細な語釈と平易な現代語訳、解釈を深めるための余説で読み解く。息子の観世元雅に幽玄能の奥義を伝えるべく書きつづった『花鏡』の翻刻を併録する。 「命にはをはりあり、能にははてあるべからず」と、信念を吐露した世阿弥の言葉はいつわりではなかった。「初心をわすれずして、初心を重代すべし」という、この道に果てあらしめぬための秘伝は、ひとり能楽においてのみならず、人間のなす業を不朽のものとするためにはこれまたゆるがぬ箴言となっている。――<本書「はしがき」より抜粋> ※本書の原本は、1969年、桜楓社より刊行されました。
電子あり
寺山修司全歌集
寺山修司全歌集
著:寺山 修司
講談社学術文庫
短歌、俳句、詩、エッセイ、評論、演劇……。芸術のジャンルを軽々と飛び越え、その鬼才ぶりを発揮した寺山修司。言葉の錬金術師は歌う。故郷を、愛を、青春を、父を、そして祖国を! 短歌の黄金律を、泥臭く、汗臭く、血腥い呪文へと変貌させる圧倒的な言語魔術に酔いしれる。(講談社学術文庫) 横溢する言葉の魔力 短歌、俳句、詩、エッセイ、評論、演劇……。芸術のジャンルを軽々と飛び越え、その鬼才ぶりを発揮した寺山修司。言葉の錬金術師は歌う。故郷を、愛を、青春を、父を、そして祖国を! 短歌の黄金律を、泥臭く、汗臭く、血腥い呪文へと変貌させる圧倒的な言語魔術に酔いしれる。 (解説「アルカディアの魔王」塚本邦雄  解説「透明な魔術」穂村弘) 寺山修司の場合はどうか。……一見したところ、等身大の<私>が我々の知っている日本に生きているように思えるのだ。だが、寺山ワールドの<私>は神が自らに似せて作った傀儡に過ぎない。作者=本当の私は、五七五七七という定型空間の外部にいて、神のように全てをコントロールしている。――<「解説2 透明な魔術」穂村弘より> ※本書は『寺山修司全歌集』(風土社、沖積舎)を底本にした。
電子あり
中世武士団
中世武士団
著:石井 進
講談社学術文庫
平安時代後期から戦国時代の終わりまで、中世をになった特徴的存在が武士団です。 「土」と結びついたイエ支配権の強力さと独立性、生活の実際と意識のあり方、10世紀初頭の武士団の実体と鎌倉武士団への発展の過程、「板碑」が語る武士団の歴史、安芸国の小早川氏に見る鎌倉的武士団から南北朝・室町的武士団への変貌の経過と武士団の支配下の荘園の様相、北陸の雄たる朝倉氏の城下町、越前一乗谷の考古学的発掘の成果をとり入れた戦国武士団の一面。そして中世から近世へと移りゆくなかで武士団が喪失した「自立性」への惜しみない哀悼。 本書は、日本中世史の泰斗が「中世武士団」という社会集団の実態と特色、そして中世社会の構造を、歴史書、文学作品、碑文、考古学資料を駆使し鮮やかに描き出し、高い評価を受け続けている作品です。30年以上前の著作ではありますが、学生や研究者にとっては今なお必読書であり、一般読者層にとっては最良の日本中世史入門といえる名著です。 〔原本/1974年、小学館「日本の歴史」12巻『中世武士団』〕 ※本書の原本は1974年、小学館より「日本の歴史」第十二巻『中世武士団』として刊行されました。講談社学術文庫収録にあたっては、同社より1990年に刊行された「文庫判 日本史の社会集団」第三巻『中世武士団』を底本とし、2005年に山川出版社から刊行された「石井進の世界」第二巻『中世武士団』を参照しました。 【目次より】 中世武士団の性格と特色――はじめに 曾我物語の世界 敵討とその周辺 「兵」の館をたずねて 「兵」から鎌倉武士団へ 板碑は語る 武士団とは何か 小早川の流れ(一)――鎌倉時代の歩み 小早川の流れ(二)――南北朝・室町時代の武士団 埋もれていた戦国の城下町――朝倉氏の一乗谷 失われたもの、発見されるもの――おわりに
電子あり
江戸滑稽化物尽くし
江戸滑稽化物尽くし
著:アダム・カバット
講談社学術文庫
豆腐小僧、ももんがあ、見越入道が嗤う―― 黄表紙から飛び出したドジで憎めない妖怪たち 異類と「笑い」をめぐる江戸っ子の心性とはなにか 絵と文章で構成され、江戸時代中期、社会風潮や流行をパロディー化する大衆文学としてさかんになった黄表紙。そこに登場する、人間社会に興味津々な化物たちが巻き起こす数々の「笑い」は、現代を生きる我々に何を伝えるのか。化物という「異文化」を通し、江戸時代の生活様式や価値観、江戸っ子の心性を鮮やかに描き出した、異色の近世文学研究。
高杉晋作の手紙
高杉晋作の手紙
著:一坂 太郎
講談社学術文庫
幕末の長州藩を縦横に走り回った高杉晋作は、時代を大きく旋回させて惜し気もなく舞台から去って行った。享年二十九――。一方で晋作は、厖大な手紙や日記、詩歌草稿を残している。手紙の相手は父母をはじめ、吉田松陰、久坂玄瑞、桂小五郎(木戸孝允)、山県狂介(有朋)ら、多岐にわたる。その行間からは幕末を生きた人間の生の息吹が伝わってくる。(講談社学術文庫) 吉田松陰、久坂玄瑞、桂小五郎らに吐露した本音 迫り来る外国艦隊、奇兵隊結成、長州のゆくえ…… 幕末を駆け抜けた息吹が生で伝わってくる書簡厳選100! 幕末の長州藩を縦横に走り回った高杉晋作は、時代を大きく旋回させて惜し気もなく舞台から去って行った。享年二十九――。一方で晋作は、厖大な手紙や日記、詩歌草稿を残している。手紙の相手は父母をはじめ、吉田松陰、久坂玄瑞、桂小五郎(木戸孝允)、山県狂介(有朋)ら、多岐にわたる。その行間からは幕末を生きた人間の生の息吹が伝わってくる。 選んだのは晋作の生涯を語るさい避けて通れない手紙、人柄をよく伝える手紙、時代を象徴する手紙など。とくに桂小五郎(木戸孝允)あては晋作の甘えが丸出しで、最も本音を語っていると思われるから大半を収めた。一方、ライバル視していた久坂玄瑞や山県狂介(有朋)あては、時に虚勢を張っているのが分かり面白い。あるいは晋作という人物の、やたらと治者としての誇りが高く、保守的でエリート意識が強い一面に驚かれる読者がいるかも知れない。――<「はじめに」より>
電子あり
日本人の数学 和算
日本人の数学 和算
著:下平 和夫
講談社学術文庫
『塵劫記』の吉田光由、“算聖”関孝和、最上流の会田安明、そして東京数学会社へ 泰平の江戸に開花した日本数学の精華 『塵劫記』の吉田光由、高等数学を開拓した関孝和、和算が民衆に広がる契機を作った最上流の会田安明。そして明治維新、西洋文明が流入するなかで、日本中の数学者が一堂に会して発足したわが国最初の学会、東京数学会社――。幕藩体制下に独自の発展をとげ、世界に類を見ない大輪の花を開いた和算という文化とその歴史を描いた、格好の和算入門。 上代および中世の日本人の数的知識がどのようなものであったかを追求することは、日本人の一面を知る上に必要であるが、そのなかでも明治維新以前の日本人の一般的な数学知識を知ることは、和算から洋算への転機となるためのステップを知る上にきわめて貴重な手がかりを与えてくれるという意味で、ますます研究さるべき分野であろう。――<本書「はしがき」より> ※本書の原本は、1972年、河出書房新社より刊行されました。
世界史への扉
世界史への扉
著:樺山 紘一
講談社学術文庫
疫病が世界を一体化した。鎖国は一七世紀の世界的流行だった。歴史上には各地にいくつもの<ルネサンス>があった――。モノとヒトの組み合わせから世界史の同時性を探り、歴史学の内外で唱えられる新視角を紹介・検証する小論集。西欧の歴史を普遍のモデルとせず、多様性と日常性に着目しながら、現代の激動を解読する「歴史への感受性」を磨く。(講談社学術文庫) 歴史への感受性を磨く。現代がちがって見えてくる。 モノとヒトが織り成す<世界史の共時性>を探り、歴史学の内外で唱えられる新視角を紹介する。 疫病が世界を一体化した。鎖国は一七世紀の世界的流行だった。歴史上には各地にいくつもの<ルネサンス>があった――。モノとヒトの組み合わせから世界史の同時性を探り、歴史学の内外で唱えられる新視角を紹介・検証する小論集。西欧の歴史を普遍のモデルとせず、多様性と日常性に着目しながら、現代の激動を解読する「歴史への感受性」を磨く。 ※本書の原本『地域からの世界史 第19巻 世界史への扉』は、1992年に朝日新聞社より刊行されました。
電子あり
城の日本史
城の日本史
著・編:内藤 昌,著:河田 克博,著:水野 耕嗣,著:麓 和善,著:油浅 耕三
講談社学術文庫
城のすべてを知るための本格的入門書 歴史的変遷、城郭の構成法、各要素の意匠と役割を、300点以上の図版を交えて、多角的に解説。 名城譜として、日本を代表する29城を収録。 空に聳える天守。流麗かつ威厳ある、日本固有の意匠。城はその源意において「都市」である。記紀に登場する「キ」や「サシ」にその淵源を遡り、中世~近世の発達を解説。郭・塁の縄張、丸、曲輪の構成原理と、天守、櫓、門、橋、堀、塀、便所、台所、井戸など、建築としての城に肉迫。名城譜として、全国二十九の城を詳細に紹介。図版三百点以上を所収。 従来、この種の本は、<城>の軍事的要素のみを強調して、人間社会の集住様態としての<都市>の性格を、ほとんど無視してきている。……しかし、例えば安土城・大坂城・伏見城・駿府城・江戸城など……のかなりな詳細が明らかになってみると、……<城>という都市的建築が造られた宗教・政治・経済の社会的背景、すなわち日本史的意義を、単に戦うことの機能以上に評価しなくてはならなくなっている。本書は、そうした体系的視座による研究成果をもとに、可能なかぎりフィジカルに図説することを特色とする。――<「まえがき」より抜粋> ※本書の原本『ビジュアル版 城の日本史』は1995年に角川書店より刊行されました。
オイディプスの謎
オイディプスの謎
著:吉田 敦彦
講談社学術文庫
ギリシァ悲劇の白眉『オイディプス王』と『コロノスのオイディプス』。作者ソポクレスは二つの物語で深遠な問いを立てる。人間の本性とは何か? 苛烈な運命の下で、人間はいかに生きるべきか? 前五世紀、栄華を誇ったアテネはその後大敗戦、疫病の猖獗を経験する。大国難の中にあっても、人間は高貴なる魂を保持せねばならぬと訴えたのである。(講談社学術文庫) 捨て子、父殺し、王位、母子婚、そして漂流する盲目の物乞いから神霊へと変容する 人類史上最高の悲劇に秘められた幾重もの謎とは? ギリシァ悲劇の白眉『オイディプス王』と『コロノスのオイディプス』。作者ソポクレスは二つの物語で深遠な問いを立てる。人間の本性とは何か? 苛烈な運命の下で、人間はいかに生きるべきか? 前五世紀、栄華を誇ったアテネはその後大敗戦、疫病の猖獗を経験する。大国難の中にあっても、人間は高貴なる魂を保持せねばならぬと訴えたのである。 この二篇の劇〔『オイディプス王』『コロノスのオイディプス』〕は、東日本大震災という未曾有の災害を経験した現在の日本人にとって、無縁であるとは思えない。波瀾万丈だったこの紀元前五世紀における転変のあいだに、アテネは二度にわたって、そんなことが起こるとは想像もつかなかった、非常な国難に遭遇した。……これらの劇にはそれらの大国難のそれぞれに当たって、ソポクレスが苦悩のどん底にある同胞たちに向かって、訴えずにいられなかった思いが、生々しく吐露されている。――<「学術文庫版まえがき」より> ※本書の原本は、1995年、青土社より刊行されました。
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伊藤博文演説集
伊藤博文演説集
編:瀧井 一博
講談社学術文庫
「我国旗の中央に点ぜる赤き丸形は……昇る朝日の尊き徽章(きしょう)となり……文明諸国の間に伍して前方に且(か)つ上方に動かんとす」と明治四年サンフランシスコで日本の進む途を謳い上げた「日の丸演説」。文明国たらんと憲法制定・議会開設に奔走、政党政治のあるべき姿を説き、台湾・韓国統治の意義を語って国制を彫琢した政治家・伊藤の代表的演説三九篇を収録。(講談社学術文庫) 伊藤の日本建国の理念を、いまこそ読み直す。明治憲法を制定し、4度も総理大臣に就任した伊藤博文。彼は、いったいどのような構想で日本という国を作ろうとしたのか。折々の演説を再現し、肉声と思想に迫る。
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