講談社学術文庫作品一覧

数学的思考
数学的思考
著:森 毅
講談社学術文庫
「数学ができる子は頭がいい」のか。それとも「数学などやるやつは頭が少しおかしい」のか。世の中に行き交う7つの「数学迷信」の由来をたずねて、著者は古代ギリシャから現代数学への道筋を辿る。人はなぜ、この抽象的・観念的な思考法を必要としてきたのか。現代の科学・技術文明を生むにいたった数学的思考の本来の在り方を問い直し、歪みの多い数学教育問題の急所に、犀利な切っ先を突きつける。
愁いなき神―聖書と文学
愁いなき神―聖書と文学
著:北森 嘉蔵,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
東西の文学に描かれた「神の愁い」とは何か世界的神学者が,前書『神の痛みの神学』をうけて聖書的真理「痛みにおける神」は文学的表現をされるとき「愁いなき神」というシルエットとなって現れると説く.
生態史観と唯物史観
生態史観と唯物史観
著:廣松 渉,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
本書は、梅棹忠夫氏の『文明の生態史観』との対質を通路に、人類生態学的知見を勘案しつつ、唯物史観における歴史観を具体化しようと試みた「生態史観と唯物史観」及び、人類生態学の遷移において生産物交換の占める役割と意義を確定せんとした「人類生態学と生産物交換――覚書」の2つの論考からなる。マルクス主義の新地平を継承し、その独自の展開を図る著者は、人類史像の全面的描き換えを促す
平家物語(十二)
平家物語(十二)
その他:杉本 圭三郎
講談社学術文庫
平家が滅びはてて、世も平穏になるかと思われたが、京は激しい大地震の災害をうけた。捕虜となった平大納言時忠らは流刑に処せられ、また数々の武勲にもかかわらず、頼朝の嫌疑をうけた義経のもとへ刺客が向けられ、義経はこれを斬って行方をくらました。平家の残党は誅せられ、六代もついに斬られて平家の子孫は絶えた。建礼門院の大原での余生を語って、ここに『平家物語』全篇の幕はおろされる。
コ-ランの世界観
コ-ランの世界観
著:牧野 信也,その他:蟹江 征治,装丁:島田 拓史
講談社学術文庫
近代西欧文明と対峙し続けるアラブの世界観日本=東洋とも欧米とも異質の第三の文明,イスラム世界.そこで人々の生活と思想を律している「コ-ラン」を読みつつアラブ人の価値観と世界観を浮き彫りにする
ロシアとソ連邦
ロシアとソ連邦
著:外川 継男,その他:蟹江 征治,装丁:志賀 紀子
講談社学術文庫
かつてない激動にゆれる超大国ソ連は、どこへいこうとしているのか。世界に類をみない強固な専制国家ロシア帝国から、ロシア革命によって人類史上最初の社会主義国家を建設したソ連邦の今日にいたるまでの軌跡をたどる。また、江戸時代の漂流民にはじまり、現在の北方領土問題にいたるまでの日露・日ソの交渉史をくわしく紹介しながら、この近くて遠い国ソ連邦の過去と現在を生き生きと描き出す。
現代の短歌
現代の短歌
編:高野 公彦,その他:蟹江 征治,装丁:菊地 薫
講談社学術文庫
本書は現代の歌壇を代表する105人の詞華集である。晶子・茂吉・白秋をはじめ、現在第一線で活躍する中堅および、新しい短歌の芽を内に孕んだ戦後生まれの若手歌人の作品を精選した。そこには激動する世情の中で、時に華麗に、時に寥寥と、そして深い思索に沈潜しながら己が生の証を丹念に詠いつづける現代歌人の真摯な生きざまがうかがわれる。斬新かつ多くの示唆に富んだ画期的な現代短歌集。
漱石とア-サ-王傳説
漱石とア-サ-王傳説
著:江藤 淳,装丁:蟹江 征治,装画:橋口 五葉
講談社学術文庫
『漱石とアーサー王傳説』は、「『薤露行』の比較文学的研究」という副題を持っている。直接ここで問題とされているのは、短篇『薤露行』である。この小品の意味を解き明かそうとする江藤氏の分析力はきわめて鋭利で、漱石の内部の最も根源的な部分にまで達しているため、それは漱石の全作品につながる。そしてさらには、漱石の人間の本質にまで迫る重要な問題を孕んでいるのである。(「解説」より)
クレオ-ル物語
クレオ-ル物語
著:小泉 八雲,編:平川 祐弘,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
異国文化への憧れと夢――八雲文学の原点.仏領西インド諸島を中心としたクレオ-ルの人々との交流を,ハ-ンは感性あふれる文章で書き残した.西洋脱出者ハ-ンの来日以前の植民地体験と心の軌跡を読む.
ベルクソン
ベルクソン
著:市川 浩,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
事象そのものに向かい、具体的な事象の屈曲にそっていく方法を特徴とするベルクソンの哲学。本書は第1部でベルクソンの生涯と思想を概観し、第2部では、「ベルクソン自身によるベルクソン」というスタイルでベルクソン自身の言葉のみによる『物質と記憶』『創造的進化』などの4大主著を紹介し、更に第3部でベルクソンの他領域への広がりも言及した。現代思想界の巨人ベルクソンの実像に迫る好著。
英語学とは何か
英語学とは何か
著:中島 文雄,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
極度の専門家・細分化を宿痾とする現代の学問。しかし本書は、対象を極限まで切り刻むばかりでなく、関連分野を含めた全体的なパースペクティブの中に位置づけることを重視する。人間精神によって産み出されたもの=認識されたものの認識こそ学問の本領とする文献学(フィロロギー)の方法を提示し、「専門学科においては一流、他の学問領域でも、二流(ベータ)」であることを求める厳しさの中に学問の豊かな可能性を拓こうと志す。
モ-ツァルトの手紙
モ-ツァルトの手紙
その他:吉田 秀和
講談社学術文庫
35年の生涯で実に10余年を旅に過したモーツァルトは、父や妻や友人たちに多くの手紙を書いた。「ひとたびこの書簡集を読めば、モーツァルトはあなたの生涯の友となり、その愛すべき面影があなたの苦しみの時にも現われることだろう。彼は愛を知る心や平和な魂にとっての無二の伴侶なのだ。」万人必読の書とロマン・ロランも讃美した至上の書簡集から100余通を精選し、稀有の天才の素顔を伝える。
現代の哲学
現代の哲学
著:木田 元
講談社学術文庫
ニイチェが「神が死んだ」と予言した現代は、従来の価値体系が崩壊し、思想史の上でもルネサンスの時代に比すべき大きな転換期をむかえている。そのなかでフッサール、メルロ=ポンティ、レヴィ=ストロースら現代の哲学者たちが、心理学や言語学、人類学などの人間諸科学と交流しながら追求する哲学の新しい方向とは何か。そして彼らが負った共通の課題とは……。人間の存在を問う現代哲学の書。
電子あり
与謝無村
与謝無村
著:安東 次男,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
蕪村は、正岡子規によって発掘されて芭蕉以上の評価を受け、萩原朔太郎によりその浪漫的な郷愁の詩人としての一面が強調された。本書では在来の安易な解釈を斥けて、一字一音一句をもゆるがせにしない批評眼で、画人蕪村・俳人蕪村が渾然一体となる詩心の神髄を解明する。「春風馬堤曲」等の俳体詩や発句の数々に溢れる清新なイメージと幻想を追って発想の契機、創作心理にまで迫る鑑賞と評論の書。
ミケランジェロ
ミケランジェロ
著:田中 英道,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
ダ・ヴィンチ「二重人物像」の秘密を鮮やかに解明し、本場西欧の美術史界を瞠目させた俊英が、レオナルドの若き好敵手ミケランジェロの人生と芸術の謎に挑む。プラトン=レオナルドによる異教的人間愛の美と対決し、神に祝福された真実の愛の芸術を構築するまでのミケランジェロの思想的戦い。あくまで作品中のフォルムに即しつつ独創的な手法により隠れていた真実を剔抉する。手腕が冴える画期的な書。
古代日本と古墳文化
古代日本と古墳文化
著:森 浩一,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
日本の古墳は、4世紀から7世紀にかけての約400年間に集中的に造営され、その数は10万ぐらいと推定される。本書はまず、古墳の名称や形態、また棺や墓室と埴輪など、古墳や古墳文化に関する基本的な知識を整理し、さらに朝鮮半島や中国を主とした東アジアの中での日本の古墳文化の位置づけまでを試みた。古墳時代の歴史と文化をさぐることによって、古代日本の実像を明らかにした格好の古代史入門。
アラビア人文学
アラビア人文学
著:ハミルトン・ギブ,訳:井筒 豊子,装丁:さかもと ふさ
講談社学術文庫
イスラム文化・歴史理解に必読の世界的名著ギブ教授はオクスフォ-ド,ハ-バ-ドで多年アラビア学を講じた斯界の最高権威.その著者が5C~20C初頭に至るアラブ世界の文芸・思想の発展を生き生き描く
呻吟語
呻吟語
著:荒木 見悟,装丁:巖谷 純介
講談社学術文庫
人の心の純化と物事の中正を訴えた警世の書呻吟とは病気のうめき声をいい,ここでは精神的なものを指す.中国明代の儒家・呂坤が政治的社会的問題から日常茶飯事に至るまでの身の処し方を説く異色の人生論
民族の世界
民族の世界
著:エルマン・サ-ヴィス,その他:増田 義郎,装丁:志賀 紀子
講談社学術文庫
人間社会の発展に「バンド」「部族」「首長制社会」「未開国家」の4段階を設定したエルマン・サーヴィスの社会進化理論は、現代の文化人類学に大きな影響を与えた。本書においてサーヴィスは、現代世界におけるそれぞれのサンプルを確かな民族誌学的記述によって示す。現代の地球上にわずかに残された未開社会を踏査し、その多彩な生活様式を、様々な生態学的・歴史的条件のうちに探究した画期的労作。
森の生活
森の生活
著:D・ヘンリー・ソロ-,訳:佐渡谷 重信
講談社学術文庫
ボストンの近郊、コンコードの町に近いウォールデン池のほとりに、ソローは自ら建てた小屋で、2年3ヵ月、独り思索と労働と自然観察の日々を過した。人間の生活における経済の理念をはじめ、人生のあるべき姿や精神生活の大切さ、森の動植物への情愛などを語りながら、彼は当時のアメリカ社会と人間を考察し続けた。物質文明の発展が問い直されている今日、ソローの思想の持つ意味はますます大きい。