講談社学術文庫作品一覧

クレオ-ル物語
クレオ-ル物語
著:小泉 八雲,編:平川 祐弘,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
異国文化への憧れと夢――八雲文学の原点.仏領西インド諸島を中心としたクレオ-ルの人々との交流を,ハ-ンは感性あふれる文章で書き残した.西洋脱出者ハ-ンの来日以前の植民地体験と心の軌跡を読む.
ベルクソン
ベルクソン
著:市川 浩,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
事象そのものに向かい、具体的な事象の屈曲にそっていく方法を特徴とするベルクソンの哲学。本書は第1部でベルクソンの生涯と思想を概観し、第2部では、「ベルクソン自身によるベルクソン」というスタイルでベルクソン自身の言葉のみによる『物質と記憶』『創造的進化』などの4大主著を紹介し、更に第3部でベルクソンの他領域への広がりも言及した。現代思想界の巨人ベルクソンの実像に迫る好著。
英語学とは何か
英語学とは何か
著:中島 文雄,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
極度の専門家・細分化を宿痾とする現代の学問。しかし本書は、対象を極限まで切り刻むばかりでなく、関連分野を含めた全体的なパースペクティブの中に位置づけることを重視する。人間精神によって産み出されたもの=認識されたものの認識こそ学問の本領とする文献学(フィロロギー)の方法を提示し、「専門学科においては一流、他の学問領域でも、二流(ベータ)」であることを求める厳しさの中に学問の豊かな可能性を拓こうと志す。
モ-ツァルトの手紙
モ-ツァルトの手紙
その他:吉田 秀和
講談社学術文庫
35年の生涯で実に10余年を旅に過したモーツァルトは、父や妻や友人たちに多くの手紙を書いた。「ひとたびこの書簡集を読めば、モーツァルトはあなたの生涯の友となり、その愛すべき面影があなたの苦しみの時にも現われることだろう。彼は愛を知る心や平和な魂にとっての無二の伴侶なのだ。」万人必読の書とロマン・ロランも讃美した至上の書簡集から100余通を精選し、稀有の天才の素顔を伝える。
現代の哲学
現代の哲学
著:木田 元
講談社学術文庫
ニイチェが「神が死んだ」と予言した現代は、従来の価値体系が崩壊し、思想史の上でもルネサンスの時代に比すべき大きな転換期をむかえている。そのなかでフッサール、メルロ=ポンティ、レヴィ=ストロースら現代の哲学者たちが、心理学や言語学、人類学などの人間諸科学と交流しながら追求する哲学の新しい方向とは何か。そして彼らが負った共通の課題とは……。人間の存在を問う現代哲学の書。
電子あり
与謝無村
与謝無村
著:安東 次男,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
蕪村は、正岡子規によって発掘されて芭蕉以上の評価を受け、萩原朔太郎によりその浪漫的な郷愁の詩人としての一面が強調された。本書では在来の安易な解釈を斥けて、一字一音一句をもゆるがせにしない批評眼で、画人蕪村・俳人蕪村が渾然一体となる詩心の神髄を解明する。「春風馬堤曲」等の俳体詩や発句の数々に溢れる清新なイメージと幻想を追って発想の契機、創作心理にまで迫る鑑賞と評論の書。
ミケランジェロ
ミケランジェロ
著:田中 英道,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
ダ・ヴィンチ「二重人物像」の秘密を鮮やかに解明し、本場西欧の美術史界を瞠目させた俊英が、レオナルドの若き好敵手ミケランジェロの人生と芸術の謎に挑む。プラトン=レオナルドによる異教的人間愛の美と対決し、神に祝福された真実の愛の芸術を構築するまでのミケランジェロの思想的戦い。あくまで作品中のフォルムに即しつつ独創的な手法により隠れていた真実を剔抉する。手腕が冴える画期的な書。
古代日本と古墳文化
古代日本と古墳文化
著:森 浩一,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
日本の古墳は、4世紀から7世紀にかけての約400年間に集中的に造営され、その数は10万ぐらいと推定される。本書はまず、古墳の名称や形態、また棺や墓室と埴輪など、古墳や古墳文化に関する基本的な知識を整理し、さらに朝鮮半島や中国を主とした東アジアの中での日本の古墳文化の位置づけまでを試みた。古墳時代の歴史と文化をさぐることによって、古代日本の実像を明らかにした格好の古代史入門。
アラビア人文学
アラビア人文学
著:ハミルトン・ギブ,訳:井筒 豊子,装丁:さかもと ふさ
講談社学術文庫
イスラム文化・歴史理解に必読の世界的名著ギブ教授はオクスフォ-ド,ハ-バ-ドで多年アラビア学を講じた斯界の最高権威.その著者が5C~20C初頭に至るアラブ世界の文芸・思想の発展を生き生き描く
呻吟語
呻吟語
著:荒木 見悟,装丁:巖谷 純介
講談社学術文庫
人の心の純化と物事の中正を訴えた警世の書呻吟とは病気のうめき声をいい,ここでは精神的なものを指す.中国明代の儒家・呂坤が政治的社会的問題から日常茶飯事に至るまでの身の処し方を説く異色の人生論
民族の世界
民族の世界
著:エルマン・サ-ヴィス,その他:増田 義郎,装丁:志賀 紀子
講談社学術文庫
人間社会の発展に「バンド」「部族」「首長制社会」「未開国家」の4段階を設定したエルマン・サーヴィスの社会進化理論は、現代の文化人類学に大きな影響を与えた。本書においてサーヴィスは、現代世界におけるそれぞれのサンプルを確かな民族誌学的記述によって示す。現代の地球上にわずかに残された未開社会を踏査し、その多彩な生活様式を、様々な生態学的・歴史的条件のうちに探究した画期的労作。
森の生活
森の生活
著:D・ヘンリー・ソロ-,訳:佐渡谷 重信
講談社学術文庫
ボストンの近郊、コンコードの町に近いウォールデン池のほとりに、ソローは自ら建てた小屋で、2年3ヵ月、独り思索と労働と自然観察の日々を過した。人間の生活における経済の理念をはじめ、人生のあるべき姿や精神生活の大切さ、森の動植物への情愛などを語りながら、彼は当時のアメリカ社会と人間を考察し続けた。物質文明の発展が問い直されている今日、ソローの思想の持つ意味はますます大きい。
私の福澤諭吉
私の福澤諭吉
著:小泉 信三,解説:土橋 俊一,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
最良の理解者が綴る福澤諭吉の思想と人間.優れた先見と洞察,人物の高潔.日本近代史上第一等の人福澤諭吉の直近にあった著者が,敬愛をこめて語る等身大の福澤像.その居常の姿から学ぶものは今なお多い
ドン・ジョヴァンニ
ドン・ジョヴァンニ
著:河上 徹太郎,解説:高橋 英夫,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
モ-ツァルトの真髄をオペラに探る音楽評論モ-ツァルトをオペラ作家として捉え,小林秀雄のモ-ツァルト観と際立った対比を示す長篇評論を中心に,奇蹟的な天才音楽家への独自のアプロ-チを試みた評論集
ハックルベリ-・フィンは,いま
ハックルベリ-・フィンは,いま
著:亀井 俊介,解説:大橋 健三郎,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
アメリカ文明の光と闇を捉えた卓越の文明論本物の「自由」魂の「ホ-ム」を求めてやまないアメリカ人の本質をその文学,歴史,風俗,事件などを通して追求.時事性を超えたアメリカ人の「夢」を語った好著
神話の系譜
神話の系譜
著:大林 太良,解説:田村 克己,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
日本神話は、世界各地のさまざまな文化を吸収して開花したといわれる。著者は、世界的視野から日本神話の比較分析を系統的に行ない、その源流に光を当てた。「イザナキ・イザナミ神話と中国の伝説」「日本と朝鮮の農耕起源神話」「天孫降臨神話とモンゴル神話」などの比較考察により、日本神話の中軸をなしているのは、王権神話であると指摘する。系統論を中心にすえて展開した画期的な日本神話の系譜。
白雄の秀句
白雄の秀句
著:矢島 男,解説:井本 農一,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
蕪村と並ぶ中興俳諧の偉才白雄の秀句を読む芭蕉を始めとする古典への造詣の深さ、格調の厳しさ、奔放な情動を統べる詩精神の高さにおいて、江戸後期、他に比肩する俳人を見ない加舍白雄の評伝と秀句鑑賞。
マルクス主義の地平
マルクス主義の地平
著:廣松 渉,解説:高橋 洋児,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
マルクス・エンゲルスは、余りにも“歴史に先駆けすぎた”と言うべきかもしれない。彼らは「ブルジョア的世界観」の“全体的イデオロギー性”をトータルに相対化することによって、それを超克しうべき新しい視界を拓いている。マルクス主義が資本主義体制の根底的な止揚を嚮導(きょうどう)しうる所以もそこに在する。本書がモチーフとするところのものは、この『マルクス主義の地平』の対自化にほかならない。
西アジアとインドの文明
西アジアとインドの文明
著:岩村 忍,解説:牟田口 義郎,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
西アジアとインドに展開する民族興亡の歴史中近東は今,激動の渦中にある.多民族の錯綜するこの地域は,過去に幾多の戦乱を繰り返しながらも,高い文化の花を開かせてきた.その波乱の歴史を感動的に語る
詩経
詩経
著:目加田 誠
講談社学術文庫
『詩経』は中国文学の母。『易経』『書経』『礼記』『春秋』と併称される「五経」の1として名高い古典。長らく儒教道徳弘布の経典として読みつがれてきたが、著者は伝来の解釈を牽強附会なものとして退ける。原典の詩句を虚心に誦するとき、そこに立ち出でるのは古代中国民衆の瑞々しい感情生活であり、真摯な祈り、痛切な訴えと諷刺である。感動溢れる古代歌謡としての『詩経』を正当に読み解いた画期的名著。