講談社現代新書作品一覧

無限論の教室
無限論の教室
著:野矢 茂樹
講談社現代新書
数々のパラドクスに満ちた「無限」の不思議。アキレスはなぜ亀に追いつけないの? 偶数と自然数が同数って本当? 素朴な問いからゲーデルの不完全性定理まで、軽やかな笑いにのせて送る異色の“哲学教室”。(講談社現代新書) 数々のパラドクスに満ちた「無限」の不思議。アキレスはなぜ亀に追いつけないの? 偶数と自然数が同数って本当? 素朴な問いからゲ-デルの不完全性定理まで、軽やかな笑いにのせて送る異色の“哲学教室”。
電子あり
妖精学入門
妖精学入門
著:井村 君江
講談社現代新書
ケルトの小さな神々からシェイクスピア、ピーター・パンまで、妖精の誕生・分類・系譜を網羅。多彩なカラー図版も楽しめる、はじめての妖精百科! 夢魔マブ女王と17世紀の極小妖精──『ロミオとジュリエット』のマキューシオの台詞に「さて、君は一夜をマブの女王と過ごしたようだな、あいつは妖精の産婆だ」という一節がある。「妖精の産婆」とは「人間の夢を引き出す、人間に夢見させる」の意で、それをマブ女王という妖精の女王に重ねているのである。眠っている人の上に乗って悪夢を見させる夢魔(インキュバス、女はサッキュバス)とも同じに見られる。続く台詞の中でマキューシオは、マブ女王がハシバミの殻の馬車に乗った芥子粒ほどの姿で「恋人たちの頭を通れば恋の夢、宮廷人の膝を通れば敬礼の夢、弁護士の指を通れば謝礼の夢……」を見ると述べている。夢を見るのはマブ女王の仕業なのだ。──本書より
パソコンを鍛える
パソコンを鍛える
著:岩谷 宏
講談社現代新書
なぜ使いこなせないのか?OSの原理を知らないからだ。脱ウィンドウズからはじめるパソコンの「教科書」! まえがき──パソコンの場合は、ユーザ本人がコンピュータに対して全権を持っている。どんなソフトを使おうとも、ユーザの自由である。オペレーティングシステムはコンピュータの一ソフトにすぎないから、パソコンを買ったときにまるでオマケのように勝手にタダで付いてくるオペレーティングシステムを終生使い続けなければならない、という義理はまったくない。自分でもっと良いオペレーティングシステムを選んで自機の上に導入し、それをベースとして今後の自分のコンピュータ生活を築いていける。自分のコンピュータに対して自分が持っている“全権”を自覚し、またオペレーティングシステムもたかが一ソフトだ、ユーザが自由に選べるのだ、という自覚が身につくと、あなたはそれまでのあてがいぶち&受け身のユーザから、自主的主体的なパソコンユーザへと変身成長していけるようになる。──本書より
拒食症と過食症
拒食症と過食症
著:山登 敬之
講談社現代新書
痩せたい!食べてしまう!引き裂かれた少女たちの「いのちの迷宮」 大人になるための冒険の中で、少女たちは混乱し、「痩せること」「食べること」の狭間を漂いはじめる。現代のアリスたちの心の迷宮と癒しの物語をたどり、「時代の病」の本質を問う。 「拒食症回復コース」――仮に「拒食症回復コース」というような道筋があったとしても、それはゴールに向かって一直線に伸びる平坦な道ではない。そのコースは木の生い茂った山の中を通っていて、先の視界もあまり開けていないし、アップダウンも多い。そこを歩く者は、途中でいくつかの特徴的な風景に出会うが、これをしっかり見ておかないと道に迷ってしまう。ひとつの地点に立って、いろいろな風景をいっぺんに眺めなくてはいけないこともあれば、道を歩きながらひとつの風景を何度も確認しなくてはいけないこともある。やがて、うっそうと茂る林を抜けると、道は平坦になってくるのだが、そのときそれまで見てきた風景は遠くにあり、違った見え方をするか、わざわざ振り返らなくてもいいものになっている。――本書より
これで通じる超・慣用英会話
これで通じる超・慣用英会話
著:川村 善樹
講談社現代新書
テキストが教えない日常表現350 怒った時、文句を言う時、からかう時、強調したい時、言いまわしもまた過激で品がなくなりがち。使わないほうがいいが、知っておいたほうがいい、カジュアルな場で頻出する表現を臨場感豊かに解説する。
謎とき日本近現代史
謎とき日本近現代史
著:野島 博之
講談社現代新書
正しい歴史観をみがくための「なぜ?」 ●日本はなぜ植民地にならなかったか●武士はなぜみずからの特権を放棄したか●明治憲法下の内閣はなぜ短命だったか●戦前の政党はなぜ急成長し転落したか●日本はなぜワシントン体制をうけいれたか●井上財政はなぜ「失敗」したか●関東軍はなぜ暴走したか●天皇はなぜ戦犯にならなかったか●高度経済成長はなぜ持続したか 正しい歴史観をみがくための9つの「なぜ?」 関東軍はなぜ暴走したか?昭和天皇はなぜ戦犯にならなかったか? 関東軍はなぜ暴走したか――関東軍は、なぜ1930年代の初頭に満州事変をひきおこしたのでしょうか。もともとそうした侵略性をそなえていたのだといった類いの解説は、歴史上のあらゆることの説明に転用しうる便利さをもってはいるものの、運命論者以外の人の説得には役だちません。また、組織的な軍隊が中央の命令もないまま行動するには、少なくとも現場の指揮官に、十分な動機と高いレヴェルの決意が必要なはずです。あらためて述べるまでもないことですが、日本の戦争がもたらした惨禍を考えれば、到底、関東軍の行動を高らかに称賛したり全面的に正当化したりすることはできません。ただ、実は正直なところ、自分が現場にいたら指揮官の決断に同意したのではないか、あるいはひょっとすると似たようなことを指向したのではないか、と感じているのです。――本書より
電子あり
インド対パキスタン
インド対パキスタン
著:西脇 文昭
講談社現代新書
なぜ核実験は強行されたか?宗教対立と核開発の歴史、米中ロの思惑とは。独自の現地調査で真相に迫る! カシミール紛争は“なれあい”?――インドが圧倒的優位に立つ戦略バランスのうえに、両国間にはカシミール紛争という国境紛争がある。今回98年5月の両国の核実験による軍事対決も、このカシミール紛争をきっかけに核戦争に発展しうるのではないかと懸念する声が高い。だが、どうも理由はそれだけではなさそうな気配に気がついた。なかには「カシミールは、インド・パキスタンの一種の“なれあい”だよ。あそこに絶えず紛争の火種があることで、両国の政権ともそれぞれの国民を団結させ、体制引き締めにも利用できる。……」とささやくものがいて、著者は驚きのあまりことばがなかった。もうひとつ、現地調査をしてみて初めて著者が知ったことは、パキスタン側関係者が「カシミール問題などよりも、インドの存在そのものがわれわれに大変な恐怖を与えているという歴史的事実に注目してほしい」と異口同音に強調したことだった。――本書より
室内化学汚染
室内化学汚染
著:田辺 新一
講談社現代新書
急増するシックハウス症候群、あなたの家は大丈夫か? 知らないうちに住まいに蔓延し、私たちのからだを蝕む危険な化学物質。ホルムアルデヒド、トルエン、キシレンはどこから発生しているのか。どうすれば、身を守れるのか。最新データで答える緊急対策! 空気を入れ換える――壁、床、畳、日用生活品、そして住まい手自身……と、化学物質は、室内のありとあらゆるところから発生しうる。……しかし焦って壁紙や畳をはがしたりすれば、室内の化学物質濃度がかえって上昇してしまいかねない。私たちが当座取り組むべき対策は、まず「小まめな換気」。……「小まめな換気」を怠れば、室内はたちまちシックハウスと化してしまうかもしれないのだ。それでは、スカスカの住宅を設計をすればよいのだろうか。スカスカの住宅は換気がよいというより、漏気が多いと解釈した方がよい。漏気が多いと暖房効率は格段に悪くなるし、快適性も下がる。要は、自然換気や機械換気を必要なときにうまく行う仕組みを作っておくことである。そのために、住宅の気密性を高める工夫が行われている。もちろん、気密性の高い住宅というのは、潜水艦のような住宅ではない。窓や給気口を開放することによって自然換気が充分できるような住宅だ。――本書より
黒い聖母と悪魔の謎
黒い聖母と悪魔の謎
著:馬杉 宗夫
講談社現代新書
「光の国」大聖堂のうちに隠された異教・異貌の神々 目隠しされた女性像、黒い聖母、悪魔、葉人間――大聖堂の奇怪な図像はなぜ生まれたのか。もう一つのキリスト教美術を鮮やかに解読する。 ロカマドールの謎の聖母像――聖母マリアには不吉な黒色は似つかわしくない、と思いながらも、その異教的な謎にみちた姿は、われわれをとらえてはなさない。逆に黒色だからこそ神秘的な力を持って迫ってくるのかもしれない。遠くからしか見えない意外に小さな聖母像(0.76メートル)に迫力を与えているのは、確かに全身を被う黒色である。黒は不思議な力を持っているのである。(中略)ロカマドールの《黒い聖母像》については、かつて銀箔で被われていたためにその酸化作用によって黒くなったのだ、と言う人もいる。しかし、実際は、それは黒く塗られたロマネスク時代の代表的木造彫刻の1つであり、黒い聖母として崇拝されてきたことを忘れてはならない。では、なぜ黒く塗られたのであろうか。この《黒い聖母》の謎を解くためには、それが崇拝された場所について調べる必要を感じるのである。なぜなら、それらの地はケルトの伝統を残す選ばれた地だったからである。――本文より
「在日」としてのコリアン
「在日」としてのコリアン
著:原尻 英樹
講談社現代新書
民族とは?国籍とは?「日本人」とは何なのか?! 民族とは?国籍とは?差別の本質とは何か。基礎知識を踏まえて「在日」の戦後を直視し、タブーを超えて日本社会を問い直す。 祖国志向と「在日」志向――総連から北朝鮮への資金援助は、以前新聞紙上をにぎわせていたが、ソウル・オリンピックの時は民団系の「在日」を中心に約53億円の援助金が送られた。これをみると「在日」とその祖国との関係は今でも密接であることを感じさせる。……アメリカとの対比で考えればわかりやすいが、日本では帰化手続きをしない限り、あるいは日本国籍者と結婚して子どもが日本国籍にならない限り、何世代経とうとも「在日」はあくまで外国人であり、日本社会の成員とみなされてこなかった。日本社会の成員とは、「血統上」日本人であるのと同時に、日本国民でなければならないのである。「在日」のニュアンスには一時滞在の意味もあるように、ソトの人間としての外国人はほぼ一時滞在者に近い存在だと一般的にはうけとられている。このような排除の論理は、国家レヴェルから地域社会、近隣、学校など隅々まで行き渡っており、「在日」は日本国中ほとんどどこに行っても外国人、ソトの人として扱われる。――本書より
為替市場の読み方
為替市場の読み方
著:佐中 明雄
講談社現代新書
円安、ドル高、アジアの危機。通貨がわかる!経済がわかる! アジアの通貨危機、強いドル、そして日本経済の命運をも決する外国為替。その仕組みから金融新技術まで詳細に解説。 外国為替の仕組み――いちばん広く受け入れられており、そしてもっとも妥当な外国為替の定義は、「異種通貨の交換」である。この定義に従えば、われわれが外国に行く前に銀行にいって、円とドルなど外国の通貨と交換する、あるいはドルのトラベラーズチェックを買い、海外で外国の通貨、例えばフランスのフランと交換するのももちろんこの範疇に属する。それだけではない。米国に留学している子供のために、親が銀行にいって円を振込みドルを送金することも、また石油精製メーカーなど輸入業者が輸入品の代金として円でドルなど外国通貨を買って支払うことも、そして自動車メーカーなど輸出業者が輸出代金としてドルなど外国通貨を受け取り、これを円に換えることも「異種通貨の交換」である。さらに証券会社や生命保険会社などの機関投資家が米国債など外国証券を購入するため、銀行で円を払い込んでドルなど外国通貨を購入する際にももちろん外国為替が発生している――本書より
創造力をみがくヒント
創造力をみがくヒント
著:伊藤 進
講談社現代新書
人生は、すこし創造性を加味するだけで変わる。新たな問題に創造的に対処していくための日常的戦略を簡明に説く。 ふだん着の創造力──毎日の生活に欠かせないことで、どうしても創造力を必要とすることといえば、その代表はなんといっても料理。料理と創造力などというと、プロの料理人の場合を浮かべたりしますが、一般家庭でごくふつうの料理だって立派に創造的です。毎日の食事の用意というのは、けっこう大変なことです。栄養のことも考えなくてはならない。味だってある程度はおいしいものでなくてはいけない。それに予算のことだって考慮に入れなければならない。しかも、毎日同じものを作るというわけにはいきませんから、確実に創造力が必要になります。ふだん着の創造力の典型です。──本書より
女たちの大英帝国
女たちの大英帝国
著:井野瀬 久美惠
講談社現代新書
時は19世紀、レディたちは新天地を求めて植民地世界を駆けめぐった。知られざる冒険物語から大英帝国最盛期の光と影を活写する。 「良質のぶあついロング・スカート」──実際、メアリ・キングズリは、そのままハイド・パークを散歩してもおかしくない服装で、ジャングルを歩きまわり、オゴウェ川の急流を自らカヌーを漕いで遡(さかのぼ)り、西アフリカの最高峰、標高1万3500フィート(約4070メートル)のカメルーン山の登頂に成功したのである。コルセットをきちんと締め、ハイカラーのブラウスとぶあつい黒のロング・スカートを身につけ、頭には小さなボンネットをかぶる──西アフリカを旅する彼女のこの姿は、どこから見てもヴィクトリア朝レディそのものであった。いや、19世紀末ともなれば、「ハイカラーの白いブラウスとぶあつい黒のロング・スカート」などという服装はいささか時代遅れだったかもしれない。「でも、そのおかげで私は命を落とさずにすんだのよ」というのが、彼女の答えであり、「良質のぶあついロング・スカート」は彼女の旅のキーワードとなった。──本書より
哲学の最前線
哲学の最前線
著:冨田 恭彦
講談社現代新書
たとえば相手を理解するとはどのようなことだろう?クワイン、デイビッドソン、サール、ローティら、現代最高の哲学者たちの主要な議論がみるみるわかるガイドブック。 根本的翻訳──生島は、コーヒーを少し飲んでから、話を始めた。「クワイン先生のこと、ご存じでしょう?」「ああ、もちろん。生島君は彼のところに足しげく通ってるんじゃなかった?」「ええ、足しげくというほどじゃないですけど、ときどき研究室におじゃましています」W・V・クワイン、1908年生れ。ハーバードで長く教鞭を執ったあと、名誉教授として、今も、哲学科のあるエマソン・ホールの2階に研究室を持っている。「朝倉さんの問題にアプローチするには、いろんなやり方が可能ですけど、クワイン先生の考えから入っていくのが、もしかしたらいいかもしれませんね。クワイン先生は多彩な活動をされた方ですが、今私の念頭にあるのは、根本的翻訳に関する彼の考えです」「ああ、そう言えば、君の論文の中にも確かそのことが出ていたね。でも、どんな話だったかな」「そうですね。それじゃ、そのあたりから始めましょうか」──本書より
ぼくらの昆虫記
ぼくらの昆虫記
著:盛口 満
講談社現代新書
テントウムシやミノムシなど身近な昆虫たちの意外な謎とおもわぬ発見の数々!好奇心と感動あふれる虫たちへの讃歌。 虫は出会うもの──昆虫少年は自分から虫を捜し求めてゆく。小さい頃の僕は、近所で採れるカミキリムシを大体、空で覚えていた。……そして大人になった今でも時々、虫を捜しに外に出る。一方、僕の生徒である中、高生達にとっては、小学生時代のカブトムシ採りの体験などはさておくと、虫は捜すものではなく出会うもの。その偶然の出会いの中で、「これは何だ」という好奇心が、突然産声をあげることがある。そんな彼らの興味や疑問につきあってみると、僕にとっても今まで見えなかった虫の一面、いや虫を見る人間という生物の一面が見えてきたように最近思う。──本文より
踏みはずす美術史
踏みはずす美術史
著:森村 泰昌
講談社現代新書
美術の極意は「考えるな、食べろ、着こなせ!」そこから発見の旅がはじまる──巨匠は上手か。ウォーホルはポップか。似ていることは悪いのか。常識を解体し「地球美術史」の地平を新たに開く快著。 美術館とバーゲン会場──抽象画に話をかぎって言いますと、私たちはそれを「見よう」とするから難しく感じるわけです。いくら見ても、わけのわからないイメージが描きなぐってあるだけです。だからこれからは、抽象画を見ても「あんなものはプリントされた柄だ」とたかをくくればよい。そうすれば、その柄物の布を自分は着てみたいか、着てみたくないか、着てみたいとすればどんな服のデザインにするか、着るとすれば夜か昼か、だがまてよ、私よりも友人のなんとかさんのほうが似あうかも、などと、さまざまな思案をいっきにかけめぐらせて、衝動買いしたりできるわけです。はっきり言って、デパートのバーゲン会場で、これはなにを意味するかなんてぐずぐず「考えて」いたら、欲しいものはどんどんなくなっていきます。「美術とは着るものである」のですから、ともかく似あうとか似あわないとかに憂き身をやつしていればいい。肌にあうかあわないか、着心地はどうかと、触覚的感覚を全開にさせておけば、「考える」ことを迂回しても美術とじゅうぶんつきあっていけるのです。──本書より
〈自己責任〉とは何か
〈自己責任〉とは何か
著:桜井 哲夫
講談社現代新書
国を挙げての無責任システム、横行する自己責任論。日本社会の病根を根源から問い直す。 丸山真男の「無責任の体系」──丸山は、東京裁判の被告たち(戦争犯罪人容疑)の発言を分析するなかで、「既成事実への屈服」と「権限への逃避」という2つの要素を見いだすのです。まず、「既成事実への屈服」です。すでに始まってしまったのだから仕方がない。個人的には反対だったが、なりゆきで始まってしまった以上従うほかない。こうした発言を分析して、丸山は、「現実」が作り出されるものだというより、「作り出されてしまったこと」、あるいは「どこからか起こってきたもの」とみなされていることに注意をうながします。現実的に行動するということは、過去に縛りつけられて行動するということであり、過去から流れてきた盲目的な力によって流されてしまうものとなる。(中略)次に「権限への逃避」です。「法規上の権限はありません」「法規上困難でした」という発言のなかに、職務権限に従って行動する「専門官僚」になりすませる官僚精神の存在が指摘されます。──本書より
英語の名句・名言
英語の名句・名言
著:ピ-タ-・ミルワ-ド,訳:別宮 貞徳
講談社現代新書
語り継がれる英国人の知恵の結晶。鋭い直観と深い思索が織りなす名表現ベストセレクション。 詩人と哲学者――詩人は意見を同じくすることが多いが、哲学者は意見を異にすることこそいのちというような感じがする。ある詩人が口にしたことが、他の詩人の口からも、おもしろいほどさまざまな形で出てくる。小鳥の合唱さながら、互いにさえずり交わすことを楽しんでいるかのようでさえある。しかし、言っている内容はほぼ似たようなものでも、言い方は十人十色、千差万別。単施聖歌よりもポリフォニーが好きといった趣である。ポープが「神を調べようなどもってのほか」とか、「人間のまず学ぶべきものは人間」と言ったその言葉は、意味も深ければ、音の響きも印象的である。しかし、その意味の深さは別に彼の専売というわけではない。ポープの独自性は、印象的な音のひびきのほうにある。――本書より
これがニーチェだ
これがニーチェだ
著:永井 均
講談社現代新書
ニーチェが問うた真に本質的な問題とは何か。哲学とは主張ではない。徹頭徹尾、問いである。〈神の死〉を語り、道徳を批判し、力への意志を説いた希代の哲学者の問いの構造を、見るも鮮やかに抉り出す快著。(講談社現代新書) ニーチェが問うた真に本質的な問題とは何か。哲学とは主張ではない。徹頭徹尾、問いである。〈神の死〉を語り、道徳を批判し、力への意志を説いた希代の哲学者の問いの構造を、見るも鮮やかに抉り出す快著。
電子あり
われわれはどんな時代を生きているか
われわれはどんな時代を生きているか
著:蓮實 重,著:山内 昌之
講談社現代新書
歴史の中の「いま」という瞬間を真摯に生き、実践的に問うこと。21世紀の知的課題はここから始まる。 事件の合理性と偶然性──命を重視する考え方は、現代に近づくほど、ややもすれば歴史の複雑さを解釈する作業から逃避したい人間にとって魅力あふれるものとなる。しかし、現代人はカフカの世界を通して歴史を眺めるわけではない。……現代人は「平家物語」の時代に生きた祖先たちと比べるなら、歴史の原因との関係においてもっと明示的な探求を余儀なくされるだろう。──山内昌之 ベンヤミンの「パッサージュ」──「いま」という時代に人びとが下すべき判断や評価の中に、現在の瞬間を真摯に生きるものだけが構想しうる虚構の物語ともいうべきものがかたちづくられ、それへの確信というか、理念的な賭けのようなものが、ときとして、のちに生きる人びとの思考と「いま」の人びとのそれとを通底させることがありはしまいかということなのだ。──蓮實重彦