講談社文芸文庫作品一覧

木山捷平全詩集
木山捷平全詩集
著:木山 捷平
講談社文芸文庫
心やさしく、なつかしい、暖かな世界・木山捷平詩。常に、弱きものたち、めぐまれることすくないものたちへ、心からの手をさしのべ、暖かな声援を送る、市井の人、木山捷平の第1詩集『野』。第2詩集『メクラとチンバ』、第3詩集『木山捷平詩集』と、生前未刊行の詩、短歌、俳句を、木山みさを夫人が心をこめて編んだ“人生の歌”全詩集!
電子あり
月下の一群
月下の一群
著:堀口 大學,解説:窪田 般彌
講談社文芸文庫
自由の彼方で
自由の彼方で
著:椎名 麟三
講談社文芸文庫
自らガラス窓に頭からとびこみ、自分の流す血を他人との戦いの武器としていたコックの清作は、母の自殺未遂を機に電車の車掌になる。非合法活動にのめりこんだ清作は警察に検挙され、常に特高に監視される身になる。御し難い力に衝き動かされていた過去の自分を1個の“死体”として突き離して眺めることにより自由の可能性を追求した、自伝的告白小説。
日本文壇史8 日露戦争の時代
日本文壇史8 日露戦争の時代
著:伊藤 整,解説:高橋 英夫
講談社文芸文庫
明治37年記者・花袋は軍医部長森鴎外と同じ船で従軍。与謝野晶子の「君死にたまふこと勿れ」が論争を呼んだ。作家夏目漱石誕生の画期的近代小説『吾輩は猫である』他が発表された、戦争たけなわの明治38年1月、大塚楠緒子が「お百度詣」発表、晶子・登美子ら共著『恋衣』刊行、度重なる弾圧で「平民新聞」が終刊した。日露戦争下の激動の文壇と、露伴、蘆花、藤村、独歩、堺利彦、乃木希典等々の葛藤を描出。
花の町・軍歌「戦友」
花の町・軍歌「戦友」
著:井伏 鱒二,解説:川村 湊
講談社文芸文庫
昭和16年、陸軍徴用員として従軍した著者は翌年2月シンガポールに入り、昭南タイムズ、昭南日本学園等に勤務。市内の一家族の動向を丹念に描いた長閑で滑稽で奇妙に平和な戦時中の異色作「花の町」をはじめ、「軍歌『戦友』」「昭南タイムズ発刊の頃」「シンガポールで見た藤田嗣治」「或る少女の戦時日記」「悪夢」など、この体験に関わる文業を集成、9篇収録。
電子あり
やわらかな心
やわらかな心
著:吉野 秀雄,著・その他:斎藤 正二
講談社文芸文庫
彼(か)の世より呼び立つるにやこの世にて引き留むるにや熊蝉の声。昭和歌檀に大きな足跡を残した歌人吉野秀雄が、この本の1ヵ所でもいいから、読者の心にひびくもののあるようにと念じつつ、苦しい病床生活のなかで書きつづった感動の随筆集。第1回釈迢空賞受賞。
日本文化私観
日本文化私観
著:坂口 安吾,解説:川村 湊
講談社文芸文庫
戦前・戦中・戦後、昭和22年はじめまでの安吾全エッセイから坂口安吾の文学、人生観を最も深く、強く語ったもの、例えば「FARCEに就て」「牧野さんの死」「茶番に寄せて」「日本文化私観」「青春論」「堕落論」「恋愛論」等々、22篇収録。“精神の巨人”坂口安吾の反骨精神横溢する選エッセイ集。
電子あり
たんぽぽ
たんぽぽ
著:川端 康成,解説:秋山 駿
講談社文芸文庫
たんぽぽの花が咲いた、のどかな生田川沿いの町の病院。眼前の身体が突然見えなくなる奇病に冒された娘稲子を入院させて帰る母と、娘の恋人久野の口から語られたのどかさとは対極的な狂気と不思議な愛のかたち。『眠れる美女』『片腕』の後に執筆、その死で中断された川端康成最後の連載小説。文庫版初収録。
板散華
板散華
著:棟方 志功
講談社文芸文庫
原始美術の力強さを示し、民芸的特質を持ち日本美の原点を探る独特の〈板画〉世界を展いた、棟方志功。強烈なエネルギー漲る初期エッセイ集『板散華』を中心に、『板画の肌』を抄録。「板画の持つ真性は、東洋の美意識に真実を重ねる」とする「板血脈」をはじめ、「河井寛次郎先生」「板画道」「万暦赤絵」「富岡鉄斎」「麻蒸風物」「哀母記」「串もち」のほか「哀父記」を加えた三35篇。 原始美術の力強さを示し、民芸的特質を持ち日本美の原点を探る独特の〈板画〉世界を展いた棟方志功。強烈なエネルギー漲る初期エッセイ集『板散華』を中心に『板画の肌』を抄録。「板画の持つ真性は、東洋の美意識に真実を重ねる」とする「板血脈」をはじめ、「河井寛次郎先生」「板画道」「万暦赤絵」「富岡鉄斎」「麻蒸風物」「哀母記」「串もち」のほか「哀父記」を加えた35篇。
電子あり
炎の人―ゴッホ小伝―
炎の人―ゴッホ小伝―
著:三好 十郎,解説:大笹 吉雄
講談社文芸文庫
若き日、画家を志してゴッホに惹かれ、決定的な影響を受けた劇作家三好十郎が、一時炭坑町の伝道師にもなって現実の中に真摯に理想を求めたが故に狂気に走った孤独な画家ゴッホの炎と燃えた魂と生涯を甦らせる。ロートレック、ゴーガンなどの対極的な人間像と共に、奥深い魅力的ドラマを読み、楽しむ、現代戯曲の傑作。第3回読売文学賞受賞。1951年、劇団民芸初演。
ワイルド全詩
ワイルド全詩
著:日夏 耿之介,解説:井村 君江
講談社文芸文庫
悲劇「サロメ」、童話「幸福な王子」等で高名な大世紀末の詩人唯美主義、芸術至上主義を唱道した、オスカー・ワイルド。その全詩を、独自な美学を生き抜いた巨匠・日夏耿之介が、正に彫心鏤骨、優美、秀麗な訳語によって全訳した記念碑。上田敏、堀口大学らと並ぶ、日本翻訳史上傑出した訳業。
死の影の下に
死の影の下に
著:中村 真一郎
講談社文芸文庫
無意識の記憶の突然の喚起をきっかけとして、主人公の城栄は、静岡県の田舎で伯母に育てられた牧歌的な日々の回想に誘いこまれる。早くも「喪失」の意味を知った少年は、伯母の死後、冒険的実業家の父親と暮らし始め、虚飾に満ちた社交界をつぶさに観察することになる。新しいヨーロッパ文学の方法をみごとに生かした、戦後文学に新たな地平を拓き、戦後文学を代表する、記念碑的長篇ロマン。 無意識の記憶の突然の喚起をきっかけとして、主人公の城栄は、静岡県の田舎で伯母に育てられた牧歌的な日々の回想に誘いこまれる。早くも“喪失”の意味を知った少年は、伯母の死後、冒険的実業家の父親と暮らし始め、虚飾に満ちた社交界をつぶさに観察することになる。新しいヨーロッパ文学の方法をみごとに生かした、戦後文学を代表する記念碑的長篇ロマン。
電子あり
日本文壇史7 硯友社の時代終る
日本文壇史7 硯友社の時代終る
著:伊藤 整,解説:奥野 健男
講談社文芸文庫
明治35年、二葉亭がウラジオストックへ出発。鴎外は『即興詩人』を刊行。36年、漱石は一高、東大の講師となり安倍能成ら、当時最も秀れた青年達の中心に席を定めた。一高生藤村操の自殺は学生、知識人に大きな波紋を投げ、鏡花、天外の活躍のなか、10月、文壇に君臨した紅葉死す。37年、日露戦争に突入。政治・社会の激しいうねりの中に1つの時代の終焉と、新しい文化の鼓動を生き生きと描出!
一葉の日記
一葉の日記
著:和田 芳恵,解説:松坂 俊夫
講談社文芸文庫
一葉は、いつも庶民のなかにいた。そして、頭のなかでは、社会のありかたの不当さをいつも考えていた。(「人と時代」)一葉研究に没頭し伝記、評論を書き続けた作家・和田芳恵。全集の実務編纂に加わるなど基礎資料をもとに、樋口一葉16歳から死に至る25歳までの日記を丹念に分析し、一葉の全体像に烈しく迫って追随を許さず、畢生の仕事・一葉研究を集大成した作家評伝の白眉。芸術院賞受賞。
東西文学論・日本の現代文学
東西文学論・日本の現代文学
著:吉田 健一
講談社文芸文庫
世界に冠たる古典を持つ日本文学が、鴎外、漱石、横光らの学んだ外国文学で如何に若返り、今日の文学が形成されたか、新しい文学への試みとは何か。「森鴎外のドイツ留学」「夏目漱石の英国留学」「中村光夫のフランス留学」(『東西文学論』)、「石川淳」「梶井基次郎」「小林秀雄」(『日本の現代文学』)等々、熟知の外国文学を鍵に現代作家に則して展開する“卓見”。既成の日本文学観を超えた鋭くも豊かな文学エッセイ。
抒情小曲集・愛の詩集
抒情小曲集・愛の詩集
著:室生 犀星,解説:伊藤 信吉
講談社文芸文庫
《ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの》──18歳頃よりの初期抒情詩集『抒情小曲集』。ドストエフスキーや聖書を読み、都会の中の孤独なる人びと、女への愛をうたう『愛の詩集』。亡き母への想いその他の心象風景『忘春詩集』。詩人犀星の代表的な3詩集の全詩を収め、著者序文、北原白秋、萩原朔太郎、佐藤春夫の推薦文等をも全て収録した文庫版完全詩集。
誘惑者
誘惑者
著:高橋 たか子,解説:山内 由紀人
講談社文芸文庫
噴煙をあげる三原山に、女子大生が2人登っていった。だが、夜更けに下山してきたのは1人きりだった。ちょうど1ヵ月前にも、まったく同じことがあった。自殺願望の友人2人に、それぞれ三原山まで同行して、底知れぬ火口の縁に佇たせた自殺幇助者鳥居哲代の心理の軌跡を見事に辿り、悽絶な魂のドラマを構築した、高橋たか子の初期長篇代表作。泉鏡花賞受賞。
堕落
堕落
著:高橋 和巳,解説:川西 政明
講談社文芸文庫
〈満州〉国建設に青春を賭けた主人公青木隆造。敗戦後、福祉事業団兼愛園の園長となり混血児の世話をしている。その業績が表彰された時、彼は崩壊した。仮面に封じ込めた自己の内部に蟠る「見極めがたい曠野のイメージ」と「喪った時間の痛み」とが「隠微な軋み音」を響かせ解かれてゆく。1960年代を代表する作家高橋和巳晩年の傑作。
評伝高橋和巳
評伝高橋和巳
著:川西 政明,解説:秋山 駿
講談社文芸文庫
今、なぜ高橋和巳なのか。三島由紀夫とともにその早い死が、文学が持っていた深甚な発信力を失う時期に重なる。戦後派文学の継承者として出発し、文学・思想の全てを闘い、闘いすぎて早逝した高橋に、最も深く親近した立場から、その高橋の生涯、その文学・思想を鮮かに追尋した力篇。評論家川西政明の誕生を明確に刻した力作評伝。
日本文壇史6 明治思潮の転換期
日本文壇史6 明治思潮の転換期
著:伊藤 整,解説:小島 信夫
講談社文芸文庫
明治34年、「文壇照魔鏡」事件と『みだれ髪』への文壇人の誹謗非難は、逆に、新しいロマンティシズムの拠点「明星」を決定づけ、寛・晶子・有明・泣菫らの新風は詩歌時代を創った。諭吉・兆民ら明治初年来の指導者たちが逝き、鴎外・逍遙は文壇から遠退き、低迷した思想文化界に、新しい変化が兆す。明治35年、上田敏「芸苑」創刊、ゾライズムによる天外、花袋らが台頭。臨場感溢れる“明治文壇史”決定版。