講談社学術文庫作品一覧

メディチ家の人びと ルネサンスの栄光と頽廃
メディチ家の人びと ルネサンスの栄光と頽廃
著:中田 耕治
講談社学術文庫
栄華と頽廃そして人間悪 フィレンツェの華麗なる一族にみる人間の悪と欲望 フィレンツェの名家・メディチ家の栄光とともにあったイタリア・ルネサンス。名主ロレンツォの黄金時代からコジモ1世の最盛期へ――輝く家名とその陰の悲劇の数々は、人間の再生を謳歌する時代の繁栄と頽廃に重なりあう。世界史にその名を残す華麗なる一族の裏面史を通して人間の悪と欲望を描き出し、ルネサンス的人間像を探究する異色の長編評伝。
対馬藩江戸家老
対馬藩江戸家老
著:山本 博文
講談社学術文庫
将軍吉宗の代替わりに際し、来日する朝鮮通信使。江戸時代、朝鮮との外交交渉・貿易業務の窓口だった対馬藩は、朝鮮御役を拝命する。莫大な出費、形式を重んじる使節、無理解な老中たち。日朝双方の本音と建て前の間にあって、ときに詭弁を弄し、ときに脅し、ときに屈辱に耐えつつ近世の日朝「交隣」をささえた小藩の苦悩と奮闘。 近世三百年、日朝「交隣」の実像 国境の小藩は奮闘する! 将軍吉宗の代替わりに際し、来日する朝鮮通信使。江戸時代、朝鮮との外交交渉・貿易業務の窓口だった対馬藩は、朝鮮御役を拝命する。莫大な出費、形式を重んじる使節、無理解な老中たち。日朝双方の本音と建て前の間にあって、ときに詭弁を弄し、ときに脅し、ときに屈辱に耐えつつ近世の日朝「交隣」をささえた小藩の苦悩と奮闘。
電子あり
聖書百話
聖書百話
著:北森 嘉蔵
講談社学術文庫
「書物の中の書物」とされ、「永遠のベストセラー」ともいわれる聖書。しかし、聖書が真に伝えんとするところを理解する人は多くない。神とは誰か、愛とは何か、人間とは、そして信仰とは……。それらの問いへの答えは聖書にある。神、聖霊、信仰、教会等の主題の下、新約・旧約両聖書に秘められたメッセージを読み解き、人の生きるべき道を指し示す。
境界の発生
境界の発生
著:赤坂 憲雄
講談社学術文庫
あの世とこの世、生と死、村の内外などを分かつ境界は、今や曖昧となり、かつて自明であった死後の世界も消え、魔性のモノが跳梁跋扈する空間も喪失してしまった。葬送儀礼の場で鎮魂の挽歌を吟じた柿本氏、平家の怨霊を慰藉鎮撫(いしゃちんぶ)する役を担った琵琶法師……。 本書は、私たちの文化や歴史の昏がりに埋もれた境界の風景や人々を発生的に掘り起こした意欲的論考である。
龍樹
龍樹
著:中村 元
講談社学術文庫
一切は空である。あらゆるものは真実には存在せず、見せかけだけの現象にすぎない。仏教思想の核心をなす「空」の思想は、千八百年前の知の巨人龍樹により理論化された。インド・中国思想に決定的影響を与え、奈良・平安仏教でも「八宗の祖師」と讃えられたその深く透徹した思考が、仏教学・インド哲学の世界的権威の手で、「中論」全文とともに今甦る。
北京烈烈
北京烈烈
著:中嶋 嶺雄
講談社学術文庫
文化大革命〈苛烈な10年〉の全軌跡 「毛語録」「造反有理」の裏側は? 第3回サントリー学芸賞受賞作 赤い「毛語録」を掲げる紅衛兵、三角帽子姿で引き回される政府要人、「造反有理」のスローガン。60年代半ばから10年、中国全土を覆った「数億大衆による動乱」の本質は何であったか?紅衛兵の登場から実権派攻撃、「批林批孔」、そして4人組の断罪へ。「革命の父」毛沢東による奪権闘争を、透徹した眼差しで分析しつくしたサントリー学芸賞受賞作。
坂本龍馬
坂本龍馬
著:飛鳥井 雅道
講談社学術文庫
倒幕、大政奉還、新体制というシナリオまで描出しながら、歴史的転換点に立ち会うことなく、わずか33歳で刺客の手に倒れた坂本龍馬。その像はさまざまに伝えられる。民権派やデモクラシーの象徴として、海軍の先駆者として……。しかしはたしてそれらは実像であろうか。御国と皇国、徳川家と天朝など、新旧の価値が交錯する時代の精神を丹念に読み解き、龍馬像の真実に迫る。(講談社学術文庫) 幕末の英雄・龍馬の思想と生涯を捉えなおす三十余年の短い生涯ながら、幕末史に燦として輝く坂本龍馬。数多伝わるその人物像ははたして正しいか。文化史的・思想史的側面から龍馬の実像を探る異色の龍馬伝
電子あり
アマテラスの誕生
アマテラスの誕生
著:筑紫 申真
講談社学術文庫
皇祖神と伊勢神宮は天武・持統両帝によって創出された 天皇制の宗教的根源の成立過程にせまる 古代、各地方にあまねく存在していた太陽神は、壬申の乱を契機に天皇家の祖神へと変貌した。古代天皇制の理論的・宗教的背景となる伊勢神宮・アマテラス・記紀神話。その成立過程を民俗学と日本神話研究の成果を用いてダイナミックに描き出す。律令国家の形成にむかう激動の7世紀末、大和と伊勢を舞台に展開した、血脈をめぐる壮大なドラマの全貌。
西田幾多郎の思想
西田幾多郎の思想
著:小坂 国継
講談社学術文庫
日本最初の哲学書といわれる「善の研究」の執筆者で近代日本を代表する哲学者、西田幾多郎。 強靱な思索力で意識を深く掘りさげ、心の最深部にある真実の心は何かを探求し、独自の哲学大系を構築した。西田哲学とは実際どのようなものなのか。 本書は、求道者西田の思索における悪戦苦闘の跡を辿り、その思想の特色と現代的意義を分かりやすく紹介する。
日本の中の朝鮮文化 筑前・筑後・豊前・豊後
日本の中の朝鮮文化 筑前・筑後・豊前・豊後
著:金 達寿
講談社学術文庫
農耕文化期朝鮮の無文土器が出土した諸岡遺跡。宇佐八幡宮をまつる渡来系の氏族――。 福岡・大分の各地に残る朝鮮文化の痕跡は、その地がかつて南部朝鮮と同一文化圏にあったことをあらためて実感させる。真実の古代史像を求め、日本全国を踏査する歴史紀行第3弾は、“謎の渡来ルート”を追い、北部九州をゆく。 本書があつかった古代の北部九州は、従来から南部朝鮮とは「同一文化圏」の地であったといわれているが、そこは古代「日本文化発祥の地」でもあった。そこはなにより、日本文化の基調となっている弥生文化が最初に渡米した地にほかならなかったからである。――(「まえがき」より)
牧野植物随筆
牧野植物随筆
著:牧野 富太郎
講談社学術文庫
植物研究に生涯を捧げ、在野の研究者ながら偉大な業績のゆえに「植物学の父」と呼ばれる牧野博士。この稀代の碩学が、「馬鈴薯の名称を断乎として放逐すべし」「丁子か丁字かどちらだ」「ナンジャモンジャの真物と偽物」等、草木の名称や分類に関する通説の誤りを喝破。植物への情熱に支えられ、権威におもねることなく持論を開陳した興味深い随筆集。(講談社学術文庫) 博覧強記!植物への熱き思い! 「植物学の父」大いに語る 植物研究に生涯を捧げ、在野の研究者ながら偉大な業績のゆえに「植物学の父」と呼ばれる牧野博士。この稀代の碩学が、「馬鈴薯の名称を断乎として放逐すべし」「丁子か丁字かどちらだ」「ナンジャモンジャの真物と偽物」等、草木の名称や分類に関する通説の誤りを喝破。植物への情熱に支えられ、権威におもねることなく持論を開陳した興味深い随筆集。
電子あり
無量寿経講話
無量寿経講話
著:増谷 文雄
講談社学術文庫
浄土三部経の1つ、本願の書ともいわれる「無量寿経」は、法然や親鸞が根本経典中の根本たるものと位置づけ、浄土経諸宗で最も大切にされた経典であり、「教行信証」の思想の骨格を形作っている。 本願とは一体何なのか。凡夫が浄土へ至る道は? 深い学識をもつ著者が、「無量寿経」を丁寧に読み進め、この経の構造や眼目を明らかにし、仏教の本質に迫る。
文禄・慶長の役
文禄・慶長の役
著:上垣外 憲一
講談社学術文庫
秀吉の朝鮮出兵はなぜ行われ、何を残したのか。日朝双方の史料の緻密な読み込みを通して鮮やかに描き出される、戦いにいたる交渉過程と苛烈な戦闘、戦後処理の実状。そして、戦火と蛮行のはてに人々が見出した、友好の懸け橋・朱子学の可能性とは。近現代の日韓関係にまで影を落とす「空虚」な戦争を、東アジア史の視座から問いなおす壮大な試み。
社会人類学
社会人類学
著:中根 千枝
講談社学術文庫
アジア社会を比較・解明 アジアを構造から理解する中根人類学の総決算 世界人口の過半を有する広大なアジア。その各社会はどんな顔をしているのか?カースト・宗族等の根強い組織基盤をもちながら、新たな事態に対応していくインド・中国社会。恒久集団がなく、ネットワークを集積させ、変移性に富む東南アジア社会。集団が閉鎖的になりやすい特異な日本タテ社会。多様なアジア社会を比較し、その構造を解明した名著。
哲学する心
哲学する心
著:梅原 猛
講談社学術文庫
現代における哲学の意義、日常性のなかに探る哲学的真理、仏教思想の再発見、日本と日本文化に寄せる真摯な思い……。本書を構成する4つの大きなテーマである。独創的思想家として知られる著者が、哲学の枠組にとどまらず、時に社会学、歴史学、文学等への領域にも立ち入り、洞察に満ちた思索を縦横に展開、熱っぽく語る初めてのエッセー集。「梅原日本学」の根がここにある。 考える喜び 考える楽しみ 独創的思想家・梅原猛の根をなす第一エッセイ集 現代における哲学の意義、日常性のなかに探る哲学的真理、仏教思想の再発見、日本と日本文化に寄せる真摯な思い……。本書を構成する4つの大きなテーマである。 独創的思想家として知られる著者が、哲学の枠組にとどまらず、時に社会学、歴史学、文学等への領域にも立ち入り、洞察に満ちた思索を縦横に展開、熱っぽく語る初めてのエッセー集。「梅原日本学」の根がここにある。
電子あり
英語辞典を使いこなす
英語辞典を使いこなす
著:笠島 準一
講談社学術文庫
英和・和英・英英使いのノウハウ 英語の疑問の90%は辞典の中に答えがある tabaccoのスペリングが正しいかどうかを調べるには、どうすれば最も効率的かご存じだろうか。多くの人は英和辞典や英英辞典で調べようとするが、実は和英辞典で「たばこ」を引くのが最も無駄な時間をかけない方法である。すぐに正しくはtobaccoであることがわかる。タコの8本足は“eight legs”と言うのかどうかを調べるにはどうすればよいだろうか。英和辞典でlegを調べたり、和英辞典で「あし」を調べるよりも、英英辞典でoctopusを調べるほうが簡単にわかる。……“eight arms”と言う。――(本書より)
シドモア日本紀行
シドモア日本紀行
著:エリザ・R・シドモア,訳:外崎 克久
講談社学術文庫
人文地理学者で無類の親日家のE・R・シドモアは、ポトマック河畔の桜植樹の立役者でもあった。明治17年の来日以降、たびたび日本を訪れ、人力車で全国各地を駆け巡り、鋭い観察眼で明治中期の日本の世相と姿を生き生きと映し出す。自然と共に生きる日本の歳事伝統と日本人の優しい心。日本を愛したアメリカ女性の描く日本印象記の傑作。(講談社学術文庫) 人文地理学者で無類の親日家のE・R・シドモアは、ポトマック河畔の桜植樹の立役者でもあった。明治17年の来日以降、たびたび日本を訪れ、人力車で全国各地を駆け巡り、鋭い観察眼で明治中期の日本の世相と姿を生き生きと映し出す。自然と共に生きる日本の歳事伝統と日本人の優しい心。日本を愛したアメリカ女性の描く日本印象記の傑作。
電子あり
イスラムの時代
イスラムの時代
著:前嶋 信次
講談社学術文庫
7世紀前半、預言者ムハンマド(マホメット)は史上初のアラビア全土統一を達成した。それがイスラムの時代の幕開けであった。預言者の死後、アラビア人による大征服が始まり、アジア・アフリカ・ヨーロッパの三大陸に跨る空前の大帝国が出現する。マホメットの登場からオスマーン帝国へと至る時代を軸に、アル=クルアーン(コーラン)の民の多彩で波瀾に富んだ歴史をたどる。
戦国時代の貴族
戦国時代の貴族
著:今谷 明
講談社学術文庫
衰微する宮廷、活気に満ちた京都町衆 上洛を目指す戦国大名…… 戦国期・京都の群像 応仁の乱の終息から50年。20歳の青年貴族・山科言継(ときつぐ)がしるした日記は、以後、半世紀にわたり書き綴られた。見聞を克明に描いた時代の記録として、高い史料的価値をもつ日記が語る、皇室御領や有職故実、医薬・音楽・文学・芸能、京畿の政治動向と社会的事件の数々。激動の時代、京に生きた公家と町衆、そして武将の姿を、一公卿の日記が活写する。
新装版 源氏物語(五)
新装版 源氏物語(五)
著:今泉 忠義
講談社学術文庫
女三の宮の出家と、最愛の女性・紫の上との死別。愛する人々の別れに世の無常を見果てた源氏は、栄華と愛憎と憂愁とに彩られた生涯を振り返りつつ、しずかに物語の舞台から退場する。そして幕を上げる、新時代を代表する貴公子・匂宮と薫による新たな物語。「柏木」から〈匂宮三帖〉(「匂宮」「紅梅」「竹河」)までを収録する、今泉完訳『源氏』第5巻。