講談社学術文庫作品一覧

日本史の中の天皇
日本史の中の天皇
著:村上 重良
講談社学術文庫
日本史における「天皇」とは何か――。 天照大神の子孫である祭司王として世を統治した古代。政治権力を失いつつも儀礼の主宰者として存在を継続した中近世。明治維新の王政復古とともに現人神(あらひとがみ)として君臨した近代。そして象徴天皇制の現代。 宗教学を中心に歴史・文化・政治等、多面的な視点から、皇室祭祀や儀礼、制度を解明し、天皇制の本質に迫る。
コルテス征略誌
コルテス征略誌
著:モ-リス・コリス,訳:金森 誠也
講談社学術文庫
「アステカ王国」の滅亡は、中米の神話的世界と覇権拡大をはかる欧州の激突の結果であった。豊かな文化に彩られた黄金の王国、その繁栄と民族の精神は、侵略者との凄絶な闘争や伝統宗教のキリスト教との習合などを通じて多くを失っていく。征服者(コンキスタドール)コルテスとアステカ王モンテスーマの人物像に公平に光をあて、新たな視点で追究した王国滅亡への道。
古代出雲
古代出雲
著:門脇 禎二
講談社学術文庫
1984年、出雲の弥生中期の遺跡神庭荒神谷(かんばこうじんだに)から大量の青銅器が発掘され、世間の耳目を聳動(しょうどう)させた。銅剣358本、銅鐸6個、銅矛16本、初の同時出土。古代の出雲には、どのような勢力が存在したのか。大和や吉備との関係は、どのようなものであったのか。考古学上の新発見と数多くの論考・新説を検討し直し、著者独自の視点から、鮮明な古代出雲像を提示する。
酒池肉林
酒池肉林
著:井波 律子
講談社学術文庫
中国の厖大な富が、大奢侈となって降りそそぐ。甍(いらか)を競う巨大建築、万余の船を浮かべる大運河。果てしない宴と後宮三千の美女、美食と奇食、大量殺人・麻薬の海。そして贅のフロンティアを心に求めた精神の蕩尽まで。紂王(ちゅうおう)・始皇帝・煬帝(ようだい)などの皇帝から貴族・大商人へと受け継がれ、四千年を華麗に彩った贅沢三昧のなかに、もうひとつの中国史を読む。(講談社学術文庫) 中国の厖大な富が、大奢侈となって降りそそぐ。甍(いらか)を競う巨大建築、万余の船を浮かべる大運河。果てしない宴と後宮三千の美女、美食と奇食、大量殺人・麻薬の海。そして贅のフロンティアを心に求めた精神の蕩尽まで。紂王(ちゅうおう)・始皇帝・煬帝(ようだい)などの皇帝から貴族・大商人へと受け継がれ、四千年を華麗に彩った贅沢三昧のなかに、もうひとつの中国史を読む。
電子あり
信長の戦争 『信長公記』に見る戦国軍事学
信長の戦争 『信長公記』に見る戦国軍事学
著:藤本 正行
講談社学術文庫
織田信長は〈軍事的天才〉だったのか? 桶狭間の奇襲戦、秀吉による墨俣一夜城築城、長篠合戦の鉄砲三千挺・三段撃ち。これまで常識とされてきたこれらの“史実”は、後世になって作られたものだった――。信長研究の基本にして最良の史料である『信長公記』の精読によって、信長神話と戦国合戦の虚像、それらを作りあげた意外な真実に迫る意欲作。
新装版 源氏物語(七)
新装版 源氏物語(七)
著:今泉 忠義
講談社学術文庫
薫の誠実と匂宮の熱情。二つの愛に苦悶し入水する浮舟。しかし、横川僧都によって一命をとりとめ、死さえかなわぬわが身の生きがいにと、出家を果たす。その消息を知った薫が送った文に、激しく動揺する浮舟。そして彼女は、ひたすらに仏を念じ、現世へのすべての執着を断ち切った――。「浮舟」から「夢浮橋」を収録する完訳『源氏』最終巻。
古典落語
古典落語
編:興津 要
講談社学術文庫
「さんまは目黒にかぎる」、「いまなんどきだい?」、「寿限無寿限無……」――。 人情の機微、人生の種々相を笑いの中にとらえ、庶民の姿を描き出す言葉の文化遺産・古典落語。本書は明治~昭和の速記本をもとに、先人の名人芸によって磨き上げられ、伝えられてきた至高の話芸を、完全に再現する。「目黒のさんま」、「時そば」、「寿限無」など、厳選された21編を収録。
電子あり
茶の博物誌 茶樹と喫茶についての考察
茶の博物誌 茶樹と喫茶についての考察
著:ジョン・C・レットサム,訳:滝口 明子
講談社学術文庫
「茶大国イギリス」を生んだ18世紀欧州最高の茶論 「東洋のちっぽけな葉」が大英帝国を制覇した。17世紀イギリスに上陸し、爆発的に広まった中国・日本発の奇妙な熱い飲み物。「毒か薬か」という大論争のさなか、著者レットサムは、茶の植物的特質、製法、紅茶・緑茶の種類、人体への影響などを、文献や実験・観察を通して丹念に調べぬく。18世紀ヨーロッパ最高の茶論と評価された西欧茶研究の古典、全訳成る。 中国人は、現在ヨーロッパでおこなわれているのと同じやり方で、茶葉に熱湯を注いでその浸出液を注ぎだす。しかし中国人はそうしてできた飲み物を、砂糖やミルクを加えずにそのまま飲む。日本人は茶葉を手でひく臼で挽いて細かい粉にする。そしてその粉に熱湯をまぜ、やや薄めのどろどろした液体にして、この状態のものを啜って飲む。特に貴族や裕福な人々はこの飲み方をする。――(本書より)
言霊と他界
言霊と他界
著:川村 湊
講談社学術文庫
本書は、言霊と他界に関わるさまざまな思惟や観念の分析を通じ、近世から現代にかけての日本人の隠された精神史を探った論考である。分析の対象となる人物は、真淵、宣長、秋成、篤胤から、露伴、八雲、透谷、鏡花、さらには柳田、折口、南方等と多彩で、その考察も変化に富む。言霊と他界を同時に視界に捉え、両者に架橋を試みようとする意欲作。
老子入門
老子入門
著:楠山 春樹
講談社学術文庫
5千数百字に凝縮された知恵の宝庫『老子』。 詩的リズムと象徴的陰影に富んだ魅力ある文章で綴られ、さまざまな思想と教訓がこめられた不朽の書である。人間の欲望や文明を激しく批判、現代に警鐘を鳴らし、また、無為自然や独特の「道」の形而上学が説かれる。 その文章の中から、親しみやすい名言名句を選び、老子の思想の全貌を平易に解説する格好の入門書。
大統領の英語
大統領の英語
著:松尾 弌之
講談社学術文庫
ケネディからクリントン、ブッシュまで名演説からよむアメリカ 「アメリカは、その時代にもっともふさわしい大統領を選ぶ」というアメリカの言い伝えがある。国民の投票によって選ばれる大統領は、たしかにその時代の要請を背負い、時代の思潮を体現して誕生する。大統領の思想も、政策も、行動も、そして言葉も、時代の気分を反映する。――(本書より) 巨大国家アメリカを動かす、大統領たちの「輝く英語」。それは、アメリカ英語の真髄である。平易でありながら格調高い響き、レトリックに富む新鮮な文体。ケネディ、ニクソンから、レーガン、クリントン、ブッシュまで。8人の大統領の歴史的名言を精緻に読み解きつつ、そのレトリック、政治感覚、人間性にまで迫った、英語を通じたアメリカ探求の書。
室町時代の一皇族の生涯 『看聞日記』の世界
室町時代の一皇族の生涯 『看聞日記』の世界
著:横井 清
講談社学術文庫
後崇光院伏見宮貞成親王(ごすこういんふしのみやさだふさしんのう)が綴った『看聞日記(かんもんにっき)』は、室町前期の息づまる政局の脈動をありありと伝える。皇位継承をめぐる皇族間の確執、将軍義教の粛清政治、巷の風聞、宮廷の四季を彩る祭礼・行事・遊びの数々や猿楽・茶の湯・連歌など新しく興隆した芸能文化の様子。波瀾と珍奇に富む多彩な日記の世界を披露しながら嫡男を皇位に即ける念願を果たした筆者の生涯を追う。
古代殷王朝の謎
古代殷王朝の謎
著:伊藤 道治
講談社学術文庫
20世紀半ば、王宮址の発見で実在が確認された中国最古の国家・殷。『史記』に描かれた伝説の王朝は、青銅器と墓跡の研究や甲骨文の解読によって、3000年余の時を超え、その姿が明らかになる。自然神信仰と祖先崇拝が示す王権の確立過程と脆弱さ。諸王の墓に葬られた殉葬者が語るもの――。中国古代史研究の画期となった幻の名著、待望の文庫化。
明治大帝
明治大帝
著:飛鳥井 雅道
講談社学術文庫
数え16歳で践祚し、新生日本の進路をめぐる理念や思惑が交錯するなか、明治という多難な時代と一体となって生きた明治天皇。天子としての権威と天皇としての権力とを一身に体現する彼のもと、日本は内乱期を乗り越え、近代的国家体制を確立し、日清・日露の両戦争に勝利……。史上唯一「大帝」と呼ばれた天皇睦仁の生涯を照射し、その実像に迫る。
バーナード・リーチ日本絵日記
バーナード・リーチ日本絵日記
著:バ-ナ-ド・リ-チ,訳:柳 宗悦,訳:水尾 比呂志
講談社学術文庫
宮川香山(みやがわこうざん)・六代乾山(けんざん)に師事、東西の伝統を融合し、独自の美の世界を想像したイギリス人陶芸家リーチ。昭和28年、19年ぶりに訪れた第2の故郷日本で、濱田庄司・棟方志功・志賀直哉・鈴木大拙らと交遊を重ね、また、日本各地の名所や窯場を巡り、絵入りの日記を綴る。随所にひらめく鋭い洞察、真に美しいものを見つめる魂。リーチの日本観・美術観が迸(ほとばし)る興趣溢れる心の旅日記。
無門関を読む
無門関を読む
著:秋月 龍ミン
講談社学術文庫
禅書の古典としてその名も高い『無門関』は、中国南宋の僧・無門慧開(むもんえかい)が四十八の公案に評唱と頌(じゅ)を配した公案集である。禅の主眼を「無」の一字に見るこの書は、難解なことでも知られる。そこで本書では、『無門関』全文を現代語訳し、公案を易から難への順に並べかえ、平易な解説を付して、より深い理解への一助となるよう試みた。原文・訓読文つき。
「満州国」見聞記 リットン調査団同行記
「満州国」見聞記 リットン調査団同行記
著:ハインリッヒ・シュネ-,訳:金森 誠也
講談社学術文庫
1931年9月18日、中国東北部で勃発した紛争に世界は震撼した。国際連盟は実情把握のため、リットン卿を団長とする調査団を派遣する。日本、中国、満州、朝鮮――。一行はゆく先々で昭和天皇、張学良、溥儀ら錚々たる面々と会い、また名もなき民衆の生活をまのあたりにした。調査団の一員のドイツ人政治家が見聞した、戦乱前夜の東アジアの姿。
幻想の未来 唯幻論序説
幻想の未来 唯幻論序説
著:岸田 秀
講談社学術文庫
自我も世界も幻想である 欧米人を支える「近代的自我」――それは日本人が夢見つづけた幻影だった。著者は、人間が本能の壊れた動物であり、「自我」とはその代用品として造られた幻想だと喝破する。それゆえに自我は、常に何物かに支えられずには存立できない不安定な存在である。そのラディカリズムにより、20世紀後半の日本の知に深刻な衝撃を与えた「唯幻論」の代表作。 わたしは、人間の問題は自我の問題であると思った。それでは、自我とは何か、見たところ、人間以外の動物は自我のようなものは持っていないようで、それで別に困っているわけではなく、うまく世界のなかで生きている。人間だけがなぜ、こんな面倒な煩わしいものを持っているのか。……しかし、どうも人間にとって、自我は必要不可欠らしい。なぜか。どうにかならないか。――(本書より)
新装版 源氏物語(六)
新装版 源氏物語(六)
著:今泉 忠義
講談社学術文庫
源氏が隠れて数年が過ぎ、物語は〈宇治十帖〉へ。 宇治に隠棲する源氏の異母弟・八宮のもとへ親しく通うようになった薫は、その地で自分の出生の秘密を知らされる。そして八宮の姫君たちとの運命的な出会い――。 完訳『源氏』第6巻は「橋姫」から「東屋」までを収録。匂宮と薫、二人の貴公子が織りなす恋愛絵巻のゆくえは。
吉田松陰 留魂録 (全訳注)
吉田松陰 留魂録 (全訳注)
著:古川 薫
講談社学術文庫
切々と愛弟子に訴える最後の訓戒 炎の教師、松蔭の遺書 読みやすい大文字版 身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも 留置まし大和魂 志高く維新を先駆した炎の思想家吉田松陰が安政の大獄に連座し、牢獄で執筆した『留魂録』。 愛弟子へ切々と訴えかける最後の訓戒で、死に直面した人間が悟り得た死生観を書き記した格調高い遺書文学の傑作を味読・精読する。
電子あり