講談社学術文庫作品一覧

仏教の来た道
仏教の来た道
著:鎌田 茂雄
講談社学術文庫
インドから西域に伝わった仏教は、中国、朝鮮、日本へと東漸し、それぞれの地にしっかりと根をおろした。仏教伝播の道筋には、敦煌や雲岡の石窟をはじめ仏教文化の遺産が数多く見られる。また仏教伝播の立役者は、仏図澄(ぶっとちょう)、法顕(ほっけん)、玄奘三蔵ら布教・求法(ぐほう)に燃える僧たちであった。今なお残る史跡や文物、伝道僧の事績に光を当て、仏の来た道をたどり返す。
電子あり
インテレクチュアルズ
インテレクチュアルズ
著:ポ-ル・ジョンソン,訳:別宮 貞徳
講談社学術文庫
ルソー、マルクス、ヘミングウェイ、サルトルら 精神世界の巨人7人の意外な実生活 人類愛、富の平等、女性解放、社会の変革。高邁な理想を掲げ、時代をリードした知識人たち。 子を捨てる、妻に横暴、大衆を蔑視、金儲けに走る。驕慢な態度でわがまま放題に振る舞った現実の姿。 ルソー、マルクス、イプセン、サルトルら精神の世界に強い影響力を及ぼした知の巨人7人を俎上に載せ、その思想・言説と実生活のギャップを白日の下に曝す。
鉄から読む日本の歴史
鉄から読む日本の歴史
著:窪田 蔵郎
講談社学術文庫
文明を支えた権力・文化・富の象徴 鉄を制する者が天下を制す! 鉄を制する者が天下を制する。日本の歴史を切り開いてきたものは、大陸伝来の製鉄技術だった。 大和朝廷権力の背景にある鉄器。生産力を飛躍的に発展させた鉄製農具。鋳造鍛錬技術の精華、美術工芸品と日本刀。天下の覇者を決した鉄砲。近代国家建設の象徴、官営製鉄所の創業――。 考古学・民俗学・技術学を駆使し、〈鉄〉と日本の二千年を活写する。
マックス・ウェーバー
マックス・ウェーバー
著:安藤 英治
講談社学術文庫
官僚制、カリスマ的支配、理念型、合理化。卓越した分析力により、現代のキーターム群を生みだし、全社会科学に圧倒的な影響を与えたウェーバー。 人間精神から社会システムまで、古代から近代、ヨーロッパからアジアにまたがる広大な知の領域を精査し政治・経済・法・社会学から歴史・宗教学におよぶ壮大な業績を残した巨人の思想と生涯を展望する。
画家と自画像
画家と自画像
著:田中 英道
講談社学術文庫
すぐれた画家の描いた自画像は何を語るのか。15世紀中頃、画家は職人から思想家へと変貌した。強烈な個性、卓出した技倆、自分を見つめる精神。自己を突き刺す神に対し、自己とは何かを問う画家。不安、憂い、謙虚、威厳ある顔、顔、顔。 アルベルティ、デューラー、レンブラント等の絵を通し、自画像に秘められた西洋の精神と内面のドラマを描く。
ヘレネー誘拐・トロイア落城
ヘレネー誘拐・トロイア落城
著:コルートス,著:トリピオドーロス,訳:松田 治
講談社学術文庫
トロイア戦争は世に名高いが、戦争の発端の一部始終を伝える作品となると、『ヘレネー誘拐』が現存するのみである。一方、戦争最後の夜の悲劇に焦点を絞り、有名な「トロイアの木馬」の製作過程を詳述した作品も『トロイア落城』の他にない。 クイントゥス作『トロイア戦記』と相互補完し、トロイア戦争の全容把握に不可欠な小叙事詩2篇。本邦初訳。
明治維新
明治維新
著:田中 彰
講談社学術文庫
アジアの「近代革命」はいかにして成ったか。開国から琉球処分へ激動の二十余年は、日本史最大の転換点だった。列強による半植民地化への巨大な圧力、米欧を体験したリーダーたちによる新国家システムの構築、そして解放をねがう民衆の沸騰するエネルギー。これら3つの巨大な「力」が渦巻く鮮烈な歴史のドラマを活写しつつ、維新力学の根源に迫る。
電子あり
中国の古代哲学
中国の古代哲学
著:小島 祐馬,著:宇野 哲人
講談社学術文庫
孟子・老子・荘子・韓非子 東西の両碩学が迫る中国思想の真髄 読みやすい大文字版 孟子は仁義と愛敬を紐帯とする社会を理想としたと、社会思想史的方法でその思想を分析する小島。 老子は道の哲学を通し、宇宙の根源を説き、荘子は無用の用を主張し、絶対の境地は木鶏と考え、また、韓非子は天下の太平を望んで法家の学を大成したと、伝統的漢学の立場から老荘と韓非を語る宇野。 東西両碩学が中国古代思想の精髄に迫る。
日本史の中の天皇
日本史の中の天皇
著:村上 重良
講談社学術文庫
日本史における「天皇」とは何か――。 天照大神の子孫である祭司王として世を統治した古代。政治権力を失いつつも儀礼の主宰者として存在を継続した中近世。明治維新の王政復古とともに現人神(あらひとがみ)として君臨した近代。そして象徴天皇制の現代。 宗教学を中心に歴史・文化・政治等、多面的な視点から、皇室祭祀や儀礼、制度を解明し、天皇制の本質に迫る。
コルテス征略誌
コルテス征略誌
著:モ-リス・コリス,訳:金森 誠也
講談社学術文庫
「アステカ王国」の滅亡は、中米の神話的世界と覇権拡大をはかる欧州の激突の結果であった。豊かな文化に彩られた黄金の王国、その繁栄と民族の精神は、侵略者との凄絶な闘争や伝統宗教のキリスト教との習合などを通じて多くを失っていく。征服者(コンキスタドール)コルテスとアステカ王モンテスーマの人物像に公平に光をあて、新たな視点で追究した王国滅亡への道。
古代出雲
古代出雲
著:門脇 禎二
講談社学術文庫
1984年、出雲の弥生中期の遺跡神庭荒神谷(かんばこうじんだに)から大量の青銅器が発掘され、世間の耳目を聳動(しょうどう)させた。銅剣358本、銅鐸6個、銅矛16本、初の同時出土。古代の出雲には、どのような勢力が存在したのか。大和や吉備との関係は、どのようなものであったのか。考古学上の新発見と数多くの論考・新説を検討し直し、著者独自の視点から、鮮明な古代出雲像を提示する。
酒池肉林
酒池肉林
著:井波 律子
講談社学術文庫
中国の厖大な富が、大奢侈となって降りそそぐ。甍(いらか)を競う巨大建築、万余の船を浮かべる大運河。果てしない宴と後宮三千の美女、美食と奇食、大量殺人・麻薬の海。そして贅のフロンティアを心に求めた精神の蕩尽まで。紂王(ちゅうおう)・始皇帝・煬帝(ようだい)などの皇帝から貴族・大商人へと受け継がれ、四千年を華麗に彩った贅沢三昧のなかに、もうひとつの中国史を読む。(講談社学術文庫) 中国の厖大な富が、大奢侈となって降りそそぐ。甍(いらか)を競う巨大建築、万余の船を浮かべる大運河。果てしない宴と後宮三千の美女、美食と奇食、大量殺人・麻薬の海。そして贅のフロンティアを心に求めた精神の蕩尽まで。紂王(ちゅうおう)・始皇帝・煬帝(ようだい)などの皇帝から貴族・大商人へと受け継がれ、四千年を華麗に彩った贅沢三昧のなかに、もうひとつの中国史を読む。
電子あり
信長の戦争 『信長公記』に見る戦国軍事学
信長の戦争 『信長公記』に見る戦国軍事学
著:藤本 正行
講談社学術文庫
織田信長は〈軍事的天才〉だったのか? 桶狭間の奇襲戦、秀吉による墨俣一夜城築城、長篠合戦の鉄砲三千挺・三段撃ち。これまで常識とされてきたこれらの“史実”は、後世になって作られたものだった――。信長研究の基本にして最良の史料である『信長公記』の精読によって、信長神話と戦国合戦の虚像、それらを作りあげた意外な真実に迫る意欲作。
新装版 源氏物語(七)
新装版 源氏物語(七)
著:今泉 忠義
講談社学術文庫
薫の誠実と匂宮の熱情。二つの愛に苦悶し入水する浮舟。しかし、横川僧都によって一命をとりとめ、死さえかなわぬわが身の生きがいにと、出家を果たす。その消息を知った薫が送った文に、激しく動揺する浮舟。そして彼女は、ひたすらに仏を念じ、現世へのすべての執着を断ち切った――。「浮舟」から「夢浮橋」を収録する完訳『源氏』最終巻。
古典落語
古典落語
編:興津 要
講談社学術文庫
「さんまは目黒にかぎる」、「いまなんどきだい?」、「寿限無寿限無……」――。 人情の機微、人生の種々相を笑いの中にとらえ、庶民の姿を描き出す言葉の文化遺産・古典落語。本書は明治~昭和の速記本をもとに、先人の名人芸によって磨き上げられ、伝えられてきた至高の話芸を、完全に再現する。「目黒のさんま」、「時そば」、「寿限無」など、厳選された21編を収録。
電子あり
茶の博物誌 茶樹と喫茶についての考察
茶の博物誌 茶樹と喫茶についての考察
著:ジョン・C・レットサム,訳:滝口 明子
講談社学術文庫
「茶大国イギリス」を生んだ18世紀欧州最高の茶論 「東洋のちっぽけな葉」が大英帝国を制覇した。17世紀イギリスに上陸し、爆発的に広まった中国・日本発の奇妙な熱い飲み物。「毒か薬か」という大論争のさなか、著者レットサムは、茶の植物的特質、製法、紅茶・緑茶の種類、人体への影響などを、文献や実験・観察を通して丹念に調べぬく。18世紀ヨーロッパ最高の茶論と評価された西欧茶研究の古典、全訳成る。 中国人は、現在ヨーロッパでおこなわれているのと同じやり方で、茶葉に熱湯を注いでその浸出液を注ぎだす。しかし中国人はそうしてできた飲み物を、砂糖やミルクを加えずにそのまま飲む。日本人は茶葉を手でひく臼で挽いて細かい粉にする。そしてその粉に熱湯をまぜ、やや薄めのどろどろした液体にして、この状態のものを啜って飲む。特に貴族や裕福な人々はこの飲み方をする。――(本書より)
言霊と他界
言霊と他界
著:川村 湊
講談社学術文庫
本書は、言霊と他界に関わるさまざまな思惟や観念の分析を通じ、近世から現代にかけての日本人の隠された精神史を探った論考である。分析の対象となる人物は、真淵、宣長、秋成、篤胤から、露伴、八雲、透谷、鏡花、さらには柳田、折口、南方等と多彩で、その考察も変化に富む。言霊と他界を同時に視界に捉え、両者に架橋を試みようとする意欲作。
老子入門
老子入門
著:楠山 春樹
講談社学術文庫
5千数百字に凝縮された知恵の宝庫『老子』。 詩的リズムと象徴的陰影に富んだ魅力ある文章で綴られ、さまざまな思想と教訓がこめられた不朽の書である。人間の欲望や文明を激しく批判、現代に警鐘を鳴らし、また、無為自然や独特の「道」の形而上学が説かれる。 その文章の中から、親しみやすい名言名句を選び、老子の思想の全貌を平易に解説する格好の入門書。
大統領の英語
大統領の英語
著:松尾 弌之
講談社学術文庫
ケネディからクリントン、ブッシュまで名演説からよむアメリカ 「アメリカは、その時代にもっともふさわしい大統領を選ぶ」というアメリカの言い伝えがある。国民の投票によって選ばれる大統領は、たしかにその時代の要請を背負い、時代の思潮を体現して誕生する。大統領の思想も、政策も、行動も、そして言葉も、時代の気分を反映する。――(本書より) 巨大国家アメリカを動かす、大統領たちの「輝く英語」。それは、アメリカ英語の真髄である。平易でありながら格調高い響き、レトリックに富む新鮮な文体。ケネディ、ニクソンから、レーガン、クリントン、ブッシュまで。8人の大統領の歴史的名言を精緻に読み解きつつ、そのレトリック、政治感覚、人間性にまで迫った、英語を通じたアメリカ探求の書。
室町時代の一皇族の生涯 『看聞日記』の世界
室町時代の一皇族の生涯 『看聞日記』の世界
著:横井 清
講談社学術文庫
後崇光院伏見宮貞成親王(ごすこういんふしのみやさだふさしんのう)が綴った『看聞日記(かんもんにっき)』は、室町前期の息づまる政局の脈動をありありと伝える。皇位継承をめぐる皇族間の確執、将軍義教の粛清政治、巷の風聞、宮廷の四季を彩る祭礼・行事・遊びの数々や猿楽・茶の湯・連歌など新しく興隆した芸能文化の様子。波瀾と珍奇に富む多彩な日記の世界を披露しながら嫡男を皇位に即ける念願を果たした筆者の生涯を追う。