講談社学術文庫作品一覧

図説 日本の植生
講談社学術文庫
日本の豊かな植生を250点に及ぶ写真・図表を駆使して解説した入門書。北海道から南西諸島まで細長く伸びる列島には、亜寒帯から亜熱帯にわたる気候のもとに多様な植物が存在する。その植物を個体としてではなく群落として捉え、分布と遷移を軸に生育環境との密接な関係を解明、自然植生から人為が影響する植生までを網羅した。自然保護や環境問題を考えるうえでも必読の書。

成長のアジア 停滞のアジア
講談社学術文庫
現代世界経済を牽引する巨大なアジア経済。かつて「脆弱(ぜいじゃく)で従属的」とさげすまれたアジアはなぜ活性化しえたのか?韓国・台湾などの東アジア、インドネシア・タイなどの東南アジア、バングラデシュなどの南アジア。それらの劇的発展と退行のメカニズムを明快・犀利(さいり)な分析により読み解き、アジアの時代としての21世紀を予示した吉野作造賞受賞作。

秦の始皇帝
講談社学術文庫
初めて中国統一をなしとげ「始皇帝」を名乗った男は、以後二千年、連綿と続く中華帝国システムを築いた。群県制施行による中央集権体制の確立。度量衡の統一と文学・貨幣の制定。さらには焚書坑儒として伝えられる思想・言論の統制と、万里の長城の修築……。兵馬俑に守られた広大な陵墓に葬られた稀代の英雄の生涯と真実を、中国古代史の泰斗が活写する。

正法眼蔵・行持(下)
講談社学術文庫
『正法眼蔵』は人間の在りようを探求した宗教書であり、また、「道理」を追求した中世文学の最高傑作でもある。人間の真の生き方を求め、ただひたすら修行に没頭した菩提達磨・普賢大師・天童和尚ら古の仏者たち。道元は、その行状を力強い輝く文章で生き生きと再現し、行持の行持たるゆえんを深く高く思索してゆく。中世文学の泰斗が読み解く、道元の語る修行の本質。

学問の世界
講談社学術文庫
巨匠たちが語る知のルーツ
読みやすい大文字版
日本の知を切り拓いた巨匠たちは、どのように自己を鍛え、学を形成したのか?ユニークな知の方法を確立した京大人文研育ての親・桑原武夫、東洋史学の開拓者・貝塚茂樹、世界霊長類学の父・今西錦司、古代史研究に新画期を与えた騎馬民族説の江上波夫、近代理論経済学の中山伊知郎。東西の碩学(せきがく)五氏が縦横に語る、わが学のルーツ、わが師、わが友。

生物学の旗手たち
講談社学術文庫
「羊のなる木」から「二重らせんの秘密」へ
大誤解と大発見にみちた「生命の探究者たち」の物語
生命と生物の謎をめぐり、生物学は厖大な発見・論争・誤解を積み重ねてきた。2000年をこえて生きたアリストテレスの観察眼、「子ヒツジのなる木」を信じた中世、「素人」ゆえに法則を発見したメンデル、パスツール・コッホ微生物大論争、そして衝撃的なDNA二重らせんの発見まで。個性的な開拓者たちの人間味あふれるエピソードで綴る生物学の歴史。

正法眼蔵・行持(上)
講談社学術文庫
魂を揺さぶる迫力ある名文で仏法の真髄を綴り、日本宗教史に冠絶する道元の代表的著述『正法眼蔵』。道元は、人間いかに生きるかを根源的に問い続けた。いまのいまこそすべて、「いまの行持」がなにより肝要と、修行の意味を深く、鋭く論究した「行持」の巻。この名著を心の糧として読み続けてきた著者が、道元の思想の核心、行持の眼目は何かを丁寧に読み解く。

江戸の歳事風俗誌
講談社学術文庫
七草粥、豆まき、雛祭、初鰹、歳の市等のさまざまな行事や風習は、江戸に生きる人々の暮らしに潤いとリズムを与えるものであった。それらの中には、今ではすでに見られなくなったものも少なくない。近世の諸資料から、季節を彩る祭や市、娯楽、食物等を抽出し、人びとの生活感覚を色濃く映し出す俳句や川柳を配して、江戸の習俗の1年を振り返る。

大清帝国
講談社学術文庫
政治・経済・文化――あらゆる面で中国四千年の伝統が集大成された清王朝とは、どんな時代だったのか。女真の一部族による北京占領と建国にはじまる前期、新疆・チベットまで併合し、全盛を極めた中期、欧州の勢力に屈し、崩壊への道をたどった後期。最後の中華王朝の栄華と落日の270年を詳細に描き、近代中国の原点を読みとく、絶好の清代史入門。

宗教改革の精神
講談社学術文庫
神の恩寵か、人間の自由か――。ルネサンスの二大思想家が展開した自由意志論争は、西欧精神史上の壮観であった。恩寵の絶対性に帰依するルターと理想主義的ヒューマニズムに賭けるエラスムス。ともに教会改革で一致しながら、激しく論を闘わせた両者の対立点を浮き彫りにし、現代にまで射程をのばす、神と人間をめぐるこの論争の本質に迫る。

明治日本印象記
講談社学術文庫
優美な自然、興趣をそそる諸芸能、無類に清潔で礼儀正しい日本人……。明治中期に訪日し、異文化にとまどいつつも、北海道から長崎まで精力的に旅を続けた著者の印象の一端である。大都市は勿論、地方の文化にも触れ、市井の民とも親しく接して、日本に魅了された彼は生涯に7度日本を訪れることになる。美術史家である著者の鋭い感性が捉えた19世紀末の日本。挿画約100点収録。
美術史家の鋭い感性が捉えた19世紀末の日本
優美な自然、興趣をそそる諸芸能、無類に清潔で礼儀正しい日本人……。明治中期に訪日し、異文化にとまどいつつも、北海道から長崎まで精力的に旅を続けた著者の印象の一端である。大都市は勿論、地方の文化にも触れ、市井の民とも親しく接して、日本に魅了された彼は生涯に7度日本を訪れることになる。美術史家である著者の鋭い感性が捉えた19世紀末の日本。挿画約100点収録。

中国的思考
講談社学術文庫
千数百年にわたり、日本人の思考にインパクトを与え続けた「中国的なるもの」とは何であったか?
物的自然であるとともに神秘的創造神であった「天」、天地に先立って生じた超感覚的宇宙原理「道」、万物を生み出す根源としての「無」……。
中国の思惟を形成してきたキー・タームを、儒教・仏教・老荘の内部に探り、中国的思考の核心に迫る意欲作。

神秘主義
講談社学術文庫
キリスト教・イスラム教・仏教等に探る神、秘儀、神秘体験
人は真に生きようとして、自己からの超脱を目指す。そして、瞑想・祈り・秘儀を通し、神との一体化を図る。古代ギリシアのエレウシスの密儀、ユダヤ教のカバラ、イスラム教のスーフィー、シャーマンの憑依現象……。神秘主義とは、一体いかなるものなのか。比較宗教学の泰斗が「合一」「同一」の基本構造を軸に、世界の主要宗教の神秘主義の諸相と特徴を解明する。

隠者の文学
講談社学術文庫
1本の蘆の葉に宇宙の悲しみを感ずる
隠者の精神とは何か
隠の精神とは何か。飛び立つ鴫(しぎ)、蘆(あし)の枯葉、その中に万有の寂寥と人生の無常を感じ、それを深い美へと昇華させた中世草庵の人々。閑寂な生活、人間の性の直視、漂泊の旅と絶対の孤独。長明・兼好・西行の陰の3つの様式を分析し、俳諧・石庭・利休の茶など、日本文化の底流を貫く「わび」「さび」の精神のルーツと本質を明らかにする。

民衆ジャーナリズムの歴史
講談社学術文庫
日本近代百年の歴史は、言論の一大パノラマでもあった。自由民権、日清日露、大正デモクラシー、太平洋戦争。権力との妥協を重ねた中央マスコミと袂(たもと)を分かち、全国に割拠した言論の群雄たちは、いかに自らを鍛え、どのように戦い、何を叫んできたのか?体制の巨大な力に踏まれながらなお、鮮烈な光を放ち続けた地方の星たちの「もうひとつのジャーナリズム」を展望する。

デカルト=エリザベト往復書簡
講談社学術文庫
哲学者と王女の対話
デカルト46歳、王女24歳の出会いから7年余、60通の交信録
近代哲学の祖デカルトと、王家没落の悲運を背負ったボヘミア王女エリザベトとの間に交わされた書簡60通。心身問題、健康管理、道徳や世界観、国家社会観、情念等、悩める若き王女の真摯な問いに、デカルトが自らの信条を率直に吐露する。そこには、公刊された著作にはない数々の主題をめぐる具体的・現実的な諸問題の展開が見られる。人間デカルトの生の声を伝える貴重な資料。

日本の中の朝鮮文化―山城・摂津・和泉・河内―
講談社学術文庫
日本古代史学に疑問を呈した歴史紀行シリーズ
渡来文化の宝庫・関西を行く
高麗氏族による祖先の祭りを起源とする祗園祭。新羅から渡来した、太泰・広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟像。関西は、著者の想像をはるかにうわまわる濃厚・濃密な古代朝鮮文化の宝庫だった。山城(京都)、摂津(大阪)など、各地の神社や祭りに伝わる縁起、習俗の来歴をひもとくなかで浮かび上がってくる、隠された古代日本の相貌。

新装版 源氏物語(四)
講談社学術文庫
雲居の雁との恋を成就した夕霧は中納言となる。准太上天皇となった源氏の四十賀宴も盛大におこなわれ、「光源氏の物語」は大団円へ進むかに見えたが……。
栄華の頂点から世俗の汚濁へと巻きこまれていく源氏たち登場人物の心理描写の鋭さによって、作品世界はその深みを増す。完訳「源氏」第4巻は、「藤袴」から「若菜 下」までを収録する。

食生活の歴史
講談社学術文庫
日本人は何を、どのように食べてきたか?
食の素材と調理法、調味料、食具等、日本の食を構成する多様な要素を全国に探り、その歴史を検証する。現代を代表する女性民俗学者が、多年にわたる広範かつ入念なフィールドワークにより蓄積した資料を駆使し、食にかかわる古今の文献を渉猟して照らしだす日本人の食と暮らしの伝統。貴重な写真を多数収録。

<出雲>という思想
講談社学術文庫
明治国家における「国体」「近代天皇制」の確立は、〈伊勢〉=国家神道の勝利であった。その陰で闇に葬られたもう1つの神道・〈出雲〉。スサノヲやオホクニヌシを主宰神とするこの神学は、復古神道の流れに属しながら、なぜ抹殺されたのか。気鋭の学者が〈出雲〉という場所(トポス)をとおし、近代日本のもう1つの思想史を大胆に描く意欲作。(講談社学術文庫)
〈出雲〉はなぜ抹殺されたのか
気鋭の思想史研究者が描く近代日本確立の陰の苛烈な戦い
明治国家における「国体」「近代天皇制」の確立は、〈伊勢〉=国家神道の勝利であった。その陰で闇に葬られたもう1つの神道・〈出雲〉。スサノヲやオホクニヌシを主宰神とするこの神学は、復古神道の流れに属しながら、なぜ抹殺されたのか。気鋭の学者が〈出雲〉という場所(トポス)をとおし、近代日本のもう1つの思想史を大胆に描く意欲作。