講談社学術文庫作品一覧

精神としての身体
精神としての身体
著:市川 浩
講談社学術文庫
近代の哲学は、身体の問題を奇妙に無視してきた。しかし、人間の現実存在は、身体をはなれてはありえない。身体であるということが、人間が単に考えうる可能的存在ではなく、現実的存在であるゆえんをなしているからである。本書では、こうした観点から、身体をポジティヴなものとしてとらえ、人間的現実を、心身合一においてはたらく具体的身体の基底から、一貫して理解することをめざしている。
セルボ-ンの博物誌
セルボ-ンの博物誌
著:G・ホワイト,訳:山内 義雄,解説:木村 陽二郎,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
18世紀後半、英京ロンドンの南西セルボーンに住んだギルバート・ホワイトは、敬神の念篤く、世に隠れ自然を友とする清廉な生涯を送った。深く草木動物を愛したホワイトは、美しい山野を歩き自らの眼で確かめた観察を達意の文に綴り、2人の著名な博物学者ペナントとバリントンに届けた。その書簡集こそ本書。ファーブル、ダーウィンを先導し、たとえ英国は滅びても本書は不朽と讃えられた名著。
忌み名の研究
忌み名の研究
著:穂積 陳重,その他:穂積 重行,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
わが国の忌み名習俗を実証した先駆的名著。実名に対する禁忌習俗は古代におけるタブ-の一種であり、人類学上の普遍的現象である。わが国固有のものではないとする定説を多数の事例をあげて覆した瞠目の書
日本精神
日本精神
著:V・モラエス,訳:花野 富蔵,解説:加納 孝代,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
ヴェンセスラオ・デ・モラエスは、ポルトガルの海軍軍人として明治末期に来日、日本婦人と結婚し、日本に関する数多くの著書を発表した。本書は、日本人の言語や宗教や歴史、また風俗や習慣など、日本人の伝統的なものの考え方や感じ方の特殊性を、細部に至るまで的確・鮮明に取り出して見せてくれる。日本に30余年も生活し、徹底して日本を愛した外国人の、先駆的かつすぐれた日本人論である。
探究(1)
探究(1)
著:柄谷 行人
講談社学術文庫
あえて一言でいえば、本書は《他者》あるいは《外部》に関する探究である。それらの簡単な語は、自分自身を含むこれまでの思考に対する「態度の変更」を意味している。しかし、書いているうちに私のなかでもっと根本的な「態度の変更」がおこった。つまり、私はこの仕事を無期限に持続するだろうという気がしてきたのである。書くことが生きることであるということを私は始めて実感している。(あとがきより)
淮南子の思想 老荘的世界
淮南子の思想 老荘的世界
著:金谷 治
講談社学術文庫
漢の武帝の頃、淮南の地を治めた淮南王のもとには大勢の学士食客が集まり、数多くの著作を残した。2000年後の今日に伝わる『淮南子』がそれである。その内容は複雑多様、諸子百家から戦国的自由思想の伝統、また、処世や政治、天文や神話伝説まで集合されている。全体の基調は老荘的なものに貫かれその百科全書的な性格が人々をひきつけてきた。混迷の世を生きる現代人に贈る必読の人世哲学の書。
レオナルド・ダ・ヴィンチ 芸術と生涯
レオナルド・ダ・ヴィンチ 芸術と生涯
著:田中 英道
講談社学術文庫
万能の天才、ルネサンスの巨匠。思いつく最高の讃辞とともにその生涯と芸術について余す所なく研究し尽くされたかに見えたレオナルド。人類史に聳える至高の作品群を全く新しい眼で見つめ直し、絵の中に秘められていた驚くべき暗号(メッセージ)を解読、レオナルド芸術の最大の謎を明らかにする。《二重人物像》とは何か。《モナリザ》とは誰か。イタリア語に訳され欧米でも大きな反響を呼んだ東洋の俊秀の画期的論考。
原典による生命科学入門
原典による生命科学入門
著:木村 陽二郎,その他:蟹江 征治,装丁:志賀 紀子
講談社学術文庫
生命とは何か。その科学思想の発展を追う。アリストテレス、ダーウィン、クリック、ワトソン等、古代ギリシアから現代のノーベル賞科学者まで、彼らの主要著書を紹介しながら、生命科学探究の足跡を辿る。
藤原定家 拾遺愚草抄出義解
藤原定家 拾遺愚草抄出義解
著:安東 次男,その他:蟹江 征治,装丁:菊地 薫
講談社学術文庫
鋭い鑑賞力で定家の全体像を捉えた名歌評釈古来難解とされてきた天才的歌人定家の厖大な和歌から八十首を選び,注釈がおのずと伝記を包摂する独自の方法で義解をほどこす.余人の追随を許さぬ白眉の定家論
現代の社会主義
現代の社会主義
著:伊藤 誠,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
東欧やソ連をはじめとする社会主義諸国に生じた政治的・経済的危機と混乱によって、社会主義は、もはや思想的にも理論的にも過去のものとなってしまったのだろうか。社会主義とは一体なんだったのだろうか。重層的な歴史の危機、主体の危機のなかで社会主義が根底から問われているいま、あらためて社会主義の思想と理論の意義と可能性の論拠を、各国の体制改革の状況と意義を考察しつつ再考する。
茶の湯事始 初期茶道史論考
茶の湯事始 初期茶道史論考
著:筒井 紘一,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
戦国時代末期の乱世に発展した茶道文化は、書院茶と草庵茶という2つの流れをもって人々の間に浸透した。両者を統一し、大成したのが千利休である。相阿弥作とされる『長歌茶湯物語』をはじめ様々な資料を駆使して、茶道点前の成立、炭・灰の仕様、懐石料理の誕生などを具体的に論じ、珠光から昭鴎をへて利休に到る初期茶道の様相を鮮やかに再現する。次代のあるべき茶道界の姿をも示唆する好著。
中国哲学
中国哲学
著:宇野 哲人,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
中国思想の流れを易しく通観した画期的名著人物・思想内容とも多彩錯綜をきわめる中国哲学の推移を,主題の変遷に重点をおいて簡明に素描.中国―東洋思想の読み直しが喫緊の現在,絶好の指針となる名著.
英語研究者のために
英語研究者のために
著:田中 菊雄,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
本書は多年の経験に基づいて築かれた英語修得の秘訣を、懇切丁寧に述べたものである。英語を学ぶとはどういうことか、どう学んだらいいのか、どんな書物を読んだらいいのか等について、極めて具体的に説いている。英語研究者として真摯に生きた著者の言葉に触れるとき、読者は本書が単なる語学案内という枠を超えた、学問への情熱や生きる勇気を与えてくれる人生探究の書であることに気づくだろう。
柿本人麻呂
柿本人麻呂
著:中西 進,装丁:三輪 忠夫,その他:蟹江 征治
講談社学術文庫
不滅の歌聖・柿本人麻呂の詩心の秘密を解明広く長く日本人から愛されてきた柿本人麻呂の詩の輝きは,現前に失われしものへの凝視のはげしさであった.万葉学の第一人者が蘊蓄を傾けた,人麻呂研究の金字塔
ニッポン ヨーロッパ人の眼で見た
ニッポン ヨーロッパ人の眼で見た
著:ブルーノ・タウト,訳:森 儁郎
講談社学術文庫
ドイツの世界的建築家ブルーノ・タウトは、1933年に憧れの日本を訪れた。伊勢神宮や桂離宮など日本古来の建築にふれたタウトは、そこに日本美の極致を見た。簡素・単純・静閑・純粋――それらの絶妙な均斉を具現した桂離宮を絶賛、その対極として華美な日光東照宮を捉え、さらに仏像、能、歌舞伎などにも深い関心をよせた。日本文化の再評価に大きな影響を与えた、タウトの最初の日本印象記。
草木虫魚の人類学 アニミズムの世界
草木虫魚の人類学 アニミズムの世界
著:岩田 慶治,装丁・装画:蟹江 征治
講談社学術文庫
自然と人間を包括する<アニミズム>再評価東南アジアの水・石・稲・竹・鳥・花などとの自由な対話を通して,現代文明の宇宙喪失からの恢復を図る.前著『カミの誕生』につづくアニミズム研究の深化と展開
マキアヴェリズム
マキアヴェリズム
著:西村 貞二,装丁:菊地 薫,その他:蟹江 征治
講談社学術文庫
権力のデ-モンと対峙した偉大な思想の軌跡マキアヴェリは,利益あるいは成功が善の上に位すると強弁する権力主義の走狗か,あるいは政治と道徳の難問を解いたり冷徹な学究か.乱世の思想が現代に甦える.
近世日本国民史 遣米使節と露英対決篇
近世日本国民史 遣米使節と露英対決篇
著:徳富 蘇峰
講談社学術文庫
万延元(1860)年一月、咸臨丸浦賀を出港、我が遣米使節一行も米艦に乗り品川を出帆。ワシントンに着し閏三月二十八日米大統領に謁見、条約書の交換を了す。翌文久元年、東洋における列強勢力角逐のとき、露人対馬の一角を占拠、対馬は露・英の争地となる。秋に英艦隊司令官、対馬に至り露艦隊の不法を詰問、露艦撤去。されど「前門虎を拒み、後門狼を進む」の危惧は拭えず、開国初期の緊泊は続く。
電子あり
反文学論
反文学論
著:柄谷 行人
講談社学術文庫
柄谷行人の唯一の文芸時評集『反文学論』は、氏の70年代後半の独創的かつ先駆的仕事である。この『反文学論』の真の固有性、掛け替えのない特異な性格とは、いったい何なのだろうか。ほどなく〈探究〉の批評家として、文字どおり余人の追随を許さぬ領野を切り拓くことになる希有な人物が、言わばその前夜の姿態を垣間見せてくれる〈感想〉の数々こそそれだ、と思われてならない。(「解説」より)
観音経講話
観音経講話
著:鎌田 茂雄
講談社学術文庫
東アジアの仏教圏には数多くの観音霊場があるように、観音信仰は昔から庶民の心の中に力強く根づいており、『観音経』は『般若心経』とならんで最も広く読誦(どくじゅ)されてきたお経である。このお経を一心に唱えれば、観音菩薩は聖観音、千手観音、馬頭観音など、三十三身に姿を変えて現われ、人々の苦しみや悩みに応じて教えを説いてくれるという。宇宙の根本原理を見事に血肉化した観音教典のこころを読む。