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2014.11.28発売
言い難き嘆きもて
講談社文庫
「これを書いておかなければそのような経験や思考があったことすら忘れてしまう。つまりこのいまは、生きなかったと同じになる」。切実な思いからやさしく語られる数々の「小さな物語」。大岡昇平、武満徹らへの敬愛、言葉への真摯な考察と自作への思い。今を生きる心の姿勢と希求(ねがい)を綴る至高のエッセイ集。
今を生きる人々へ 知と希求(ねがい)のエッセイ集
「これを書いておかなければそのような経験や思考があったことすら忘れてしまう。つまりこのいまは、生きなかったと同じになる」。切実な思いからやさしく語られる数々の「小さな物語」。大岡昇平、武満徹らへの敬愛、言葉への真摯な考察と自作への思い。今を生きる心の姿勢と希求(ねがい)を綴る至高のエッセイ集。

2014.11.28発売
鎖国してはならない
講談社文庫
ノーベル賞作家の心を打つ魂の講演集。宗教、文学、丸山眞男、ヒロシマ、「新しい人」の思想…様々なテーマへの熟慮を通し、ノーベル賞作家の語る主題は、“日本人は鎖国してはならない”という一文へと収斂(しゅうれん)する。希望を失わず、未来へつなぐため、プリンストン、北京、ベルリン他、「この惑星(プラネット)のすべての住人」に向けて国内外で行われた、魂の講演録。
ノーベル賞作家の心を打つ魂の講演集
宗教、文学、丸山眞男、ヒロシマ、「新しい人」の思想…様々なテーマへの熟慮を通し、ノーベル賞作家の語る主題は“日本人は鎖国してはならない”という一文へと収斂(しゅうれん)する。希望を失わず、未来へつなぐため、プリンストン、北京、ベルリン他、「この惑星(プラネット)のすべての住人」に向けて国内外で行われた、魂の講演録。

2014.11.28発売
取り替え子
講談社文庫
国際的な作家古義人(こぎと)の義兄で映画監督の吾良(ごろう)が自殺した。動機に不審を抱き鬱々と暮らす古義人は悲哀から逃れるようにドイツへ発つが、そこで偶然吾良の死の手掛かりを得、徐々に真実が立ち現れる。ヤクザの襲撃、性的遍歴、半世紀前の四国での衝撃的な事件…大きな喪失を新生の希望へと繋ぐ、感動の長篇!
“まだ生まれて来ない者”たちへの希望を拓く、感動の長篇小説
かけがえのない友の死を濾過し、ひときわ澄んだ光を放つ、大江文学の到達点!
チェンジリング【Changeling:英】
美しい赤ん坊が生まれると、子鬼のような妖精がかれらの醜い子供と取り替える民間伝承が、ヨーロッパを中心に世界各地に見られる。チェンジリングとは、その残された醜い子のことを指す。
国際的な作家古義人(こぎと)の義兄で映画監督の吾良(ごろう)が自殺した。動機に不審を抱き鬱々と暮らす古義人は悲哀から逃れるようにドイツへ発つが、そこで偶然吾良の死の手掛かりを得、徐々に真実が立ち現れる。ヤクザの襲撃、性的遍歴、半世紀前の四国での衝撃的な事件…大きな喪失を新生の希望へと繋ぐ、感動の長篇!

2014.11.28発売
宙返り(下)
講談社文庫
心傷ついた女、障害を持つ男、信心篤(あつ)い無垢な者……師匠(パトロン)達は四国の森に根拠地を作る。だが棄教で一度芽生えた不信感は拭い去れず、グループ間の対立も燻(くすぶ)り続ける。やがて悲劇の予感と共に教団再建の大集会が始まり、師匠は「新しい人」に全てを託す。 再生と救いを追究し、“魂のこと”を求め続けた大江文学の集大成。
宙返りから、新しいものが見えてくる。――(大江健三郎)
教団内部の対立を抱えつつ大集会はクライマックスへ。
「新しい人」にすべてを託して――
心傷ついた女、障害を持つ男、信心篤(あつ)い無垢な者……師匠(パトロン)達は四国の森に根拠地を作る。だが棄教で一度芽生えた不信感は拭い去れず、グループ間の対立も燻(くすぶ)り続ける。やがて悲劇の予感と共に教団再建の大集会が始まり、師匠は「新しい人」に全てを託す。
再生と救いを追究し、“魂のこと”を求め続けた大江文学の集大成。

2014.11.28発売
宙返り(上)
講談社文庫
「後期大江文学の臨界点」――いとうせいこう急進派による無差別テロ計画を知り、実行を阻止するためにテレビで「すべては冗談でした」と棄教を宣言した新興教団の指導者・師匠(パトロン)と案内人(ガイド)――10年後、ふたりは若い協力者とともに活動を再開する。だがその矢先、案内人が元急進派に殺され、事態は急変する。 希求する魂のドラマを描く、感動の長篇小説。
「後期大江文学の臨界点」――いとうせいこう
活動を再開した新興宗教のリーダーと悩める信者、新たな協力者たちが動き出す
急進派による無差別テロ計画を知り、実行を阻止するためにテレビで「すべては冗談でした」と棄教を宣言した新興教団の指導者・師匠(パトロン)と案内人(ガイド)――10年後、ふたりは若い協力者とともに活動を再開する。だがその矢先、案内人が元急進派に殺され、事態は急変する。
希求する魂のドラマを描く、感動の長篇小説。

2014.11.28発売
ゆるやかな絆
講談社文庫
わが子、光へ──真摯な魂の贈り物。 ノーベル賞作家夫妻が綴り、描く家族の共生と命の軌跡 。「この10年間に、こうしたかたちで日々の感想を書き続けた文章が──家内の絵に穏やかに傍証されるようにして──本になって残ったということは、なにより僕自身にとって思いがけないほどありがたい贈り物です(文庫版あとがきより)」
わが子、光へ──真摯な魂の贈り物。
ノーベル賞作家夫妻が綴り、描く家族の共生と命の軌跡
「この10年間に、こうしたかたちで日々の感想を書き続けた文章が──家内の絵に穏やかに傍証されるようにして──本になって残ったということは、なにより僕自身にとって思いがけないほどありがたい贈り物です(文庫版のあとがきより)」ノーベル賞作家夫妻が、家族の共生と魂の軌跡を心をこめて描く、感動の記録。

2014.11.28発売
恢復する家族
講談社文庫
障害を持つ子供の苦しみを積極的に受けとめ、共に生きていくことによって家族もまた癒されていく。3歳のときすでにベートーヴェンやショパンに敏感に反応し、野鳥の声に示した興味に添うかたちで音楽に出会った光さんを父のやさしい文と母のあたたかい画で綴った感動の長篇エッセイ。
父のやさしい文と母のあたたかい画。人の心を癒し、恢復させる力は、どこにあるのか。感動の長篇エッセイ。
光さんと共に生きる。障害を持つ子供の苦しみを積極的に受けとめ、共に生きていくことによって家族もまた癒されていく。3歳のときすでにベートーヴェンやショパンに敏感に反応し、野鳥の声に示した興味に添うかたちで音楽に出会った光さんを父のやさしい文と母のあたたかい画で綴った感動の長篇エッセイ。

2014.11.28発売
ルンタ
文芸(単行本)
人間という暮らしにうんざりしたというわたしは、それでも自殺はせずに「わたし」と呼ぶ装置をもう少し観察してみたいと望み、家を出て山へ向かうことに。ユという女性との記憶と死んだはずの友人の中西を道連れに山を目指し、吹雪の中で出会った黒い馬「ルンタ」に乗り、さらに深い雪の中を進んでいく。生と死、現在と過去を行き来する人々が、人間の意識や時間の虚構を疑わせながらもまた確かな生を感じさせる。保坂和志氏絶賛!
1996年より劇団FICTIONを主宰。2011年より小説を発表しはじめ、2012年「ギッちょん」で芥川賞候補、同年初の創作集『緑のさる』で野間文芸新人賞を受賞。2013年「砂漠ダンス」で芥川賞候補。同年、「コルバトントリ」で芥川賞候補となる。今最も注目される作家、山下澄人氏最新作。
人間という暮らしにうんざりした、というわたしは、それでも自殺はせずに「わたし」と呼ぶ装置をもう少し観察してみたいと望み、家を出て山へ向かうことに。ユという女性との記憶と死んだはずの友人の中西を道連れに山を目指し、吹雪の中で出会った黒い馬「ルンタ」に乗り、さらに深い雪の中を進んでいく。
生と死、現在と過去を行き来する人々が、人間の意識や時間の虚構を疑わせながらもまた確かな生を感じさせる。
天性の言語感覚と非凡な着想で書かれた傑作。保坂和志氏絶賛!デビュー作『星になる』も収録。
「そろそろ無理か」
ユが言った。たぶんそういった。
「無理ちゃうか」
わたしがいった。
わたしの見ているこいつがそういった。
ユが手元で携帯電話をいじっているのがわかった。
少ししてわたしの携帯電話がメールを受信した。そこにはこう書かれていた。
「でんきつけて」
わたしはため息をわざとつきながら明かりをつけた。そのとたんなぜか電子レンジが大きな音をたてて、パンッと破裂し壊れた。
ルンタがからだを揺すって泣いていたわたしが雪の上へ落ちた。雪は冷たく、わたしはわたしの中にいた。──本文より。

2014.11.28発売
甦る上杉慎吉 天皇主権説という名の亡霊
国家破綻で民主主義が崩壊するとき、私たちは天皇制とどう向き合うか? 上杉慎吉と美濃部達吉が命がけで戦った、天皇を巡る思想のドラマを描き出し、「天皇とは何か」を考える必読書!
国家破綻で民主主義が崩壊するとき、私たちは天皇制とどう向き合うか?
上杉慎吉と美濃部達吉が命がけで戦った、天皇を巡る思想のドラマを描き出し、「天皇とは何か」を考える必読書!
ドン・キホーテか?
稀代の先駆者か?
歴史から抹殺された一人の思想家、憲法学者の上杉慎吉。1878年に生まれ、東大教授として憲法第一講座を担当する。それを追いかけるようにして憲法第二講座担当教授に就いたのは、五歳年上で一高出身のエリート、美濃部達吉だった。両者は美濃部の天皇機関説をめぐって1910年代前半に「天皇機関説論争」で激突する。結果は「天皇すなわち国家」(天皇主権説)と主張した上杉の敗北だった。上杉はドン・キホーテ、片や美濃部は立憲主義のヒーロー。しかし上杉が1929年に没した後、美濃部は「上杉的なるもの」によって復讐される。「天皇機関説事件」だ。終戦とともに滅んだかに見えた、その「上杉的なるもの」は、日本と世界が激変する狭間で、再び目を覚まそうとしている――!

2014.11.28発売
世界を操る支配者の正体
道徳と民族を破壊する4人の洗脳者は誰だ? ウクライナ危機で世界最終戦争を開始した勢力の裏シナリオ。元ウクライナ大使、待望の衝撃作! マスコミは真実を伝えない。政治家は「その人々」にアクセスできない。残酷な時代をサバイバルするカギは本書に!
道徳と民族を破壊する4人の洗脳者は誰だ?
ウクライナ危機で世界最終戦争を開始した勢力の裏シナリオ。
元ウクライナ大使、待望の衝撃作!
マスコミは真実を伝えない。
政治家は「その人々」にアクセスできない。
残酷な時代をサバイバルするカギは本書に!
まえがき 最後の希望の旅
第1章 ウクライナ危機は世界最終戦争の序曲
第2章 プーチン抹殺のシナリオ
第3章 ロシアを支配する者が世界を支配する
第4章 国際金融勢力対ロシアの200年戦争
第5章 道徳と民族を破壊する4人の洗脳者
第6章 ディアスポラ化する人類
終 章 歴史認識大戦争に備えよ

2014.11.28発売
赤の他人の瓜二つ
文芸(単行本)
血のつながっていない、赤の他人が瓜二つ。そんなのはどこにでもよくある話だ。しかしそう口にしてみたところで、それがじっさいに血のつながりのないことを何ら保証するものでもない。――私が初めてその男と会ったとき、そんな自問自答が思い浮かんだ。それほど男は私にそっくりだった、まるで記憶の中の自分の顔を見ているかのようだった。
血のつながっていない、その男は、私にそっくりだった。
青年の労働の日々はやがて、目眩くチョコレートの世界史へと接続する――。
芥川賞作家入魂の“希望の小説”。
血のつながっていない、赤の他人が瓜二つ。そんなのはどこにでもよくある話だ。しかしそう口にしてみたところで、それがじっさいに血のつながりのないことを何ら保証するものでもない。――私が初めてその男と会ったとき、そんな自問自答が思い浮かんだ。それほど男は私にそっくりだった、まるで記憶の中の自分の顔を見ているかのようだった。――<本文より>
“どこに連れていかれるかわからない”
朝日新聞、読売新聞、東京新聞ほか、「群像」掲載時より各紙誌驚愕の、芥川賞受賞第一作。

2014.11.28発売
新しい人よ眼ざめよ
講談社文芸文庫
神秘主義詩人ウィリアム・ブレイクの預言詩(プロフェシー)に導かれ、障害を持って生まれた長男イーヨーとの共生の中で、真の幸福、家族の絆について深く思いを巡らす。無垢という魂の原質が問われ、やがて主人公である作家は、危機の時代の人間の<再生>を希求する。新しい人よ眼ざめよとは、来たるべき時代の若者たちへの作者による、心優しい魂の呼びかけである。大江文学の一到達点を示す、感動を呼ぶ連作短篇集。
<いま現在の僕とイーヨーの共生の意味があかるみに浮かびあがる。>
神秘主義詩人ウィリアム・ブレイクの預言詩(プロフェシー)に導かれ、障害を持って生まれた長男イーヨーとの共生の中で、真の幸福、家族の絆について深く思いを巡らす。無垢という魂の原質が問われ、やがて主人公である作家は、危機の時代の人間の<再生>を希求する。新しい人よ眼ざめよとは、来たるべき時代の若者たちへの作者による、心優しい魂の呼びかけである。大江文学の一到達点を示す、感動を呼ぶ連作短篇集。
リービ英雄
『新しい人よ眼ざめよ』は、innocence(無垢)の危機から始まる、ともいえる。(中略)ブレイクのinnocenceとexperience(経験)の歌が、おり交ぜている、という以上に、語りの言葉の一すじとなる、fatherとsonの詩が、「父親」たる語り手によって読まれている、だけでなく、読まれていること自体が物語の一主題となってゆく。このような「引用」のめざましい活かし方を一言で描ける文芸用語を、ぼくは知らない。――<「解説」より>

2014.11.28発売
「朱子語類」抄
講談社学術文庫
儒教・仏教・道教を統合した「新儒教」=朱子学。創始者朱熹(1130~1200)の発言を弟子が書き留めた『朱子語類』。巻1「理気」から巻140「詩」にいたる膨大な書は、万物の原理を求め、縦横無尽に哲学を展開する。理とは? 気とは? 「性即理」とは? 宇宙の一部である人間は、いかにして善をなしうるのか? 近世以降の東アジアを支配した思想を改めて読み直す。(講談社学術文庫)
中世より日本思想の背骨になった朱子学とは。儒教・仏教・道教を統合した「新儒教」=朱子学。宇宙から人間まで万物の原理を対象とする哲学とは? 理とは? 気とは? 礼とは? 善なる人間への道を示す。

2014.11.28発売
トロイア戦争全史
講談社学術文庫
トロイア戦争の全貌を伝える144話の物語。壮大なギリシャ神話の一大要素、トロイア戦争を主題とするギリシャ、ラテンの古典作品は数多い。しかし、いずれもが戦争の一部を記すのみで、その全容を語るものはない。本書は、これら古典群の記述をジグソーパズルを組み上げるように綴り合わせ、発端から終焉に至るまで、戦争の推移と折々のエピソードを網羅して、その全貌を描いた物語である。(講談社学術文庫)
ギリシャ古典を基に綴るトロイア戦争の全貌。トロイア戦争を主題とする古典をあまた渉猟し、それらが断片的に記した要素を集合。エピソードを豊富にちりばめ、戦争の発端から終焉までを描く書き下ろし力作。

2014.11.28発売
山の神 易・五行と日本の原始蛇信仰
講談社学術文庫
蛇と猪。なぜ山の神はふたつの異なる神格を持つのか? 日本古来の社の祭神の起源は、祖霊としての蛇神であった。6~7世紀、中国から将来された易・五行による新たな神々が、原始蛇信仰の神々と混淆し、山の神は複雑な相貌をもつようになる。神島の「ゲーターサイ」、熊野・八木山の「笑い祭り」、御田神社の「烏喰神事」などの祭りや習俗を渉猟し、山の神にこめられた意味を読み解く。(講談社学術文庫)
蛇と猪。なぜ山の神は二つの神格を持つのか。蛇はたんに「水の神」ではない。山=蛇は死と再生を司り、荒神、宇賀神ともなる。易・五行において山の神は、陰の極として亥となり、あらゆる生命の初発を担う。

2014.11.28発売
江戸東京地名辞典 芸能・落語編
講談社学術文庫
古典落語を中心に講談、浄瑠璃、歌謡などに現れる江戸の地名を採録。秋葉の原、池の端、永代橋、お歯黒溝、神楽坂、角海老、兼康、思案橋、痔の神様、とげ抜き地蔵。落語・講談・浄瑠璃・狂歌など大衆芸能にはその時代々々の地名が人々の日常を伴って生き生きと登場する。江戸・明治期のこれらの地名はその後どこへ消え、どう変わったのか。町名、橋・坂名、寺社、大名家、妓楼など1500余を収録し、解説する。
古典落語、講談、浄瑠璃などに現れる地名。江戸・明治期の地名、橋名、坂名、寺社、大名・旗本家、妓楼、料亭など、今や消え去ってしまった地名集成。大衆芸能にまとめ上げられた当時の暮らしぶりが甦る。

2014.11.28発売
中世の音・近世の音 鐘の音の結ぶ世界
講談社学術文庫
音に託された意味の変化から中近世の日本社会を読む。中世において誓いの場や裁判の場で撞かれていた神聖な鐘は、次第に日常的な音になり、危険や時刻を知らせる役割を果たすようになった。神の世界と人間をつなぐ音から、人間同士をつなぐ音へ。その変遷を、史料に加え民俗学の成果も多分に用いて考察する。記録には残りにくい当時の人びとの感性や感覚を追うことで、中近世の社会・文化を描き出す。
響きわたる鐘の音は人びとに何を告げたのか。古くは神の世界と人間とを繋ぐ音であった鐘の音は、次第に危急や時を告げる人間同士の合図となった。その意識の変化に着目し当時の社会・文化に迫る独自の論考。

2014.11.28発売
狂気と王権
講談社学術文庫
元女官長の不敬事件、虎ノ門事件、田中正造直訴事件、あるいは明治憲法制定史、昭和天皇「独白録」の弁明など、近代天皇制をめぐる事件に「精神鑑定のポリティクス」という補助線を引くと、いったい何が見えてくるか。「反・皇室分子=狂人」というレッテル貼り。そして、「狂気の捏造」が君主に向けられる恐れはなかったのか? 独自の視点で読み解くスリリングな近代日本史。(講談社学術文庫)
近代天皇制と精神医学の間で働く政治学とは。皇室関係者は精神異常時の不敬として、不起訴になり、ある者は、狂気の疑いがあったが、鑑定を受けずに死刑を受けた。巨大な権力と狂気との不思議な関係を暴く。

2014.11.28発売
「世間体」の構造 社会心理史への試み
講談社学術文庫
世間の目を意識する日本人特有の行動原理とは? 世間に対して体面・体裁をつくろい、恥ずかしくない行動をとろうとする規範意識――それが世間体である。唯一絶対神をもたない日本人は、それを価値規準とし、世間なみを保つことに心を砕いてきた。世間の原義と変遷、また日本人特有の羞恥、微笑が生まれる構造を分析し、世間体を重んじる意味を再考する。世間論の嚆矢となった出色の日本文化論。(講談社学術文庫)
「世間体」を通して日本文化の基層に迫る。世間とは、体面とは何か? はじ=羞恥の文化の意義を問い直し、日本人の行動規範である「世間体」に社会心理学からアプローチする。世間論の嚆矢となった名著。

2014.11.28発売
日中戦争への道 満蒙華北問題と衝突への分岐点
講談社学術文庫
1931(昭和6)年に起こった満州事変。それはそのまま日中戦争への引き金となったのか。ひき続く満州国建国から停戦協定、蘆溝橋事件、「国民政府を対手とせず」声明まで、日本と中国の関係は必然的に軍事衝突を結果するしかなかったのか。満蒙・華北問題の解決に向けた外交的展開、軍部の動き、思想面での主張を吟味、戦争への道を具(つぶさ)に検証する。(講談社学術文庫)
満蒙問題から軍事衝突への歴史過程を読む。1931年の満州事変以降15年に及ぶ戦争の時代。日中間の課題解決は武力行使による他なかったのか。外交的方策、軍部の動き、思想の展開から戦争への道を検証。