旅・忘れ残り

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旅・忘れ残り

タビワスレノコリ

「そのころ私は、ただ絵はがきが書きたくて、ときどき旅に出かけていた」――時を経てふいに蘇る旅の中の小さなドラマ。鮮やかな記憶が、あの日に私を連れもどす。旅の途上出合った思わぬ人や風景の記憶が、今あらたな旅情をかき立てる。

●白砂を敷きつめたすがすがしい道で、老人が朝日に向かって柏手を打っていた。夜が明けたばかりで、上ってきた太陽がハイビスカスの花の露を光らせていた。 八重山諸島の石垣島の近くにある竹富島の早朝だった。まばゆい太陽に向かって私も目礼した。老人に見ならって柏手を打つべきだったかと思うが、老人の真剣な太陽礼拝をさわがせてはいけないという気がしたのだ。 ――「島の道」より


ⒸKieko Takada

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書誌情報

紙版

発売日

1993年12月24日

ISBN

9784062068543

判型

四六

価格

定価:1,708円(本体1,553円)

ページ数

254ページ

電子版

発売日

2023年02月24日

JDCN

06A0000000000576046S

初出

備考参照

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