講談社学術文庫作品一覧

とりかへばや物語(4) 冬の巻
とりかへばや物語(4) 冬の巻
訳:桑原 博史
講談社学術文庫
平安末期成立の『とりかへばや』は、女性的な気質の兄君と男めいた気性の妹君とが、それぞれ女装男装して、華やかな宮廷生活に悲劇喜劇の渦をまきおこす物語。第4冊冬の巻は、妹の演じていた右大将に落ち着き得た兄は、吉野山の宮の姫君を正妻として多くの女性にかしずかれる理想的生活を獲得し、兄の演じていた尚侍に落ち着くことのできた妹は、帝に愛されて東宮を生み、中宮として幸福な身の上となる結末を記した最終巻。(全4巻)
古今和歌集(一)
古今和歌集(一)
その他:久曽神 昇
講談社学術文庫
『古今集』は、国文学史上、殊に和歌史上における最重要作品の一である。『万葉集』および『新古今集』と共に三大歌集と称さる。万葉の素朴直感的表現より、古今の優美情趣的表現となり、更に新古今の妖艶幽玄的表現に進展するのである。以来数百年の間、専ら『古今集』が歌の最高規準と尊ばれ、すべての歌が諳誦せられ、片言隻句も金科玉条と仰がれて来た所以を探り、素朴直感的表現にとどまらず、その真髄を闡明(せんめい)したいものである。
徒然草(一)
徒然草(一)
その他:三木 紀人
講談社学術文庫
『徒然草』は鎌倉末期の草庵歌人兼好の随筆。全244の章段から成る。その中には、人生論あり、都鄙の珍しい逸話あり、古きよき時代をしのばせる故実への考証あり、多彩をきわめる。作品世界は兼好の心の動きのままに展開されるが、随所に鋭い批評眼が光り、みずみずしい情感が流れる。成立後しばらくは埋もれていたが近世以後、無数の読者に迎えられ、日本の代表的古典として評価される。本巻は第46段までを扱う。(全4冊)
近世日本国民史 明治維新と江戸幕府(2)
近世日本国民史 明治維新と江戸幕府(2)
著:徳富 蘇峰
講談社学術文庫
慶応三年五、六月は、維新回天史上、最も重要な時期であった。上には四賢候が、将軍慶喜・摂政二条齊敬らと会同、評定を重ね、下には薩藩を中心として、一方には長藩の主戦論者がしきりに挙兵を迫り、他方には土藩の平和解決論者が藩を引き入れようと工作。中にあって、坂本龍馬・中岡慎太郎の徒は藩・長・土の間に従横の手腕を揮い、天下の大勢は、あたかも水盤に水を盛るが如く、いずれへ傾いても覆水の虞を蔵していたのだった。
電子あり
伊勢物語(下)
伊勢物語(下)
訳:阿部 俊子
講談社学術文庫
この天福本「伊勢物語」は家集でも日記でもない歌物語である。が、百に余る歌物語を書き並べる時、それらを綴り合わせる一筋の糸を、ある男の生涯の流れに求めた。したがって上巻には青年期の純情な一途の思慕と流浪のロマンがあった。下巻としておさめた所に見られるのは、人生経験からにじむ思いやりの中で屈折する熱い情と、年月の中で衰えて行く生命の滅びの歌の哀感である。生きる日をかさねるにつれて長く読者の共感を誘うと思う。
純粋理性批判(4)
純粋理性批判(4)
著:I・カント,訳:天野 貞祐,装丁:山崎 登,その他:蟹江 征治
講談社学術文庫
「神」の存在を証明せんとする「実体論的証明」「宇宙論的証明」「自然神学的証明」のいずれにおいても、神の存在は証明しえないとするカントの先験的神学は、ひとつの論理的体系をみごとに結実させている。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。 第三巻に引き続き、最高存在体すなわち「神」の現存在について純粋理性はどのように推論すべきかが論じられる。「神」の存在を証明せんとする「実体論的証明」「宇宙論的証明」「自然神学的証明」のいずれにおいても、神の存在は証明しえないとするカントの先験的神学は、ひとつの論理的体系をみごとに結実させている。体系的統一と論理的形式性を徹底的に追求したカントの純粋哲学の世界は、先験的方法論をもって完結する。(全四巻)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、iPadでの閲読を推奨します。
電子あり
近世日本国民史 明治維新と江戸幕府(1)
近世日本国民史 明治維新と江戸幕府(1)
著:徳富 蘇峰
講談社学術文庫
慶応二年七月将軍家茂薨去。十二月孝明天皇崩御、翌三年明治天皇十六歳で即位。時に慶喜十五代将軍職を継ぐや、狂瀾を既倒に廻らさんと、仏国公使ロッシュの進言を容れ、倒幕派の巨頭薩摩藩と対峙、日本の政権は儼乎として幕府に存在する事実を示威せんとす。既に洛北に幽蟄せる岩倉具視は入洛の公許を得、幕薩対立激化を促し、幕を滅ぼす者は幕、の策に暗躍。かくて朝幕両党の天王山、兵庫開港を廻る討幕前夜の暗闘は続く。 慶応二年七月将軍家茂薨去。十二月孝明天皇崩御、翌三年明治天皇の数え年十六歳で即位。時に慶喜十五代将軍職を継ぐや、狂瀾を既倒に廻らさんと、仏国公使ロッシュの進言を容れ、倒幕派の巨頭薩摩藩と対峙、日本の政権は儼乎として幕府に存在する事実を示威せんとす。既に洛北に幽蟄せる岩倉具視は入洛の公許を得、幕薩対立激化を促し、幕を滅ぼす者は幕、の策に暗躍。かくて朝幕両党の天王山、兵庫開港を廻る討幕前夜の暗闘は続く。
電子あり
伊勢物語(上)
伊勢物語(上)
訳:阿部 俊子
講談社学術文庫
「伊勢」は、時世が藤原北家の権力確立に流動している中で没落して行く貴族の一人の男が、誇高く男の純情を歌った愛の歌物語である。地域的にも対人的にも彼は多面的行動的である。情(こころ)は繊細で悲哀にみちていても、待ち耐え忍ぶ女の想(おもい)とは異質である。又彼は造形された人物でなく実在のきらめく歌人である。が、顔や肉体や生活を持たない。虚実の間に形像から開放され抽象されている。「伊勢」が愛好されるのはこの辺に秘密があるようである。
純粋理性批判(3)
純粋理性批判(3)
著:I・カント,訳:天野 貞祐,装丁:山崎 登,その他:蟹江 征治
講談社学術文庫
前巻で論じた「分量」「性質」「関係」「様相」という四種の範疇を手引きとして、カントは四種の二律背反を設定する。 いかにしてこれらの矛盾する認識を調停していくかが本巻の読みどころである。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。 前巻で論じた「分量」「性質」「関係」「様相」という四種の範疇を手引きとして、カントは四種の二律背反を設定する。こうした矛盾に対して懐疑的絶望に惑溺したり、あるいは無謀なる独断論を振るって自説を頑強に固守するのは、いずれも健全な哲学の死であるとする著者が、いかにしてこれらの矛盾する認識を調停していくかが本巻の読みどころである。「純粋理性の理想」では、、最高存在体たる「神」の存在は果たして証明できるかという問いに挑戦する。。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、iPadでの閲読を推奨します。
電子あり
長安の春
長安の春
著:石田 幹之助,その他:蟹江 征治,装丁:相葉 和子
講談社学術文庫
名著、復刊。 石田博士は、長安の都、ならびにその時代に生きた人々の生活を、みごとに再現してみせてくださった最初の学者である。私は『天平の甍(いらか)』、『楊貴妃伝』その他何篇か、唐時代の長安を取り扱った小説を書いているが、いつも「長安の春」の恩恵を蒙ること大なるものがある。私にとって、この本は辞書であり、参考書であり、そしてそれ以上に、長安を書く場合に座右からはなすことのできない護符のようなものである。――(井上靖氏解説より)
禅とはなにか
禅とはなにか
著:鎌田 茂雄
講談社学術文庫
今日、禅に対する人々の関心はますます高く、禅は、もはや我が国のみならず全世界的なものとなりつつある。だが、禅を知り、禅を理解し、禅を行なうことは極めてむずかしい。本書は、著者自らの真摯な禅修行の体験と仏教学者としての深い学識に裏付けられた研究成果をもとに、禅の思想とその歴史、禅の生活、さらに禅を現代にどう生かすか、その具体的な修行方法にいたるまで、禅とはなにかを平易に説き明かした待望の入門書である。
純粋理性批判(2)
純粋理性批判(2)
著:I・カント,訳:天野 貞祐,装丁:山崎 登,その他:蟹江 征治
講談社学術文庫
カントの思考方法をもっとも忠実に日本語に置き換えた天野訳の妙味がいかんなく発揮された珠玉の名篇。本巻では「純粋悟性とはいったい何か」「純粋理性とはいったい何か」が明らかにされ、範疇としての純粋悟性概念、理念としての純粋理性概念の論理体系が、徹底的に追及される。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。 カントの批判哲学の真髄を余すところなく伝える天野貞祐訳『純粋理性批判』は、わが国の哲学界にとって、まさに時代の金字塔であった。前巻に引き続き、カントの思考方法をもっとも忠実に日本語に置き換えた天野訳の妙味がいかんなく発揮された珠玉の名篇。本巻では「純粋悟性とはいったい何か」「純粋理性とはいったい何か」が明らかにされ、範疇としての純粋悟性概念、理念としての純粋理性概念の論理体系が、徹底的に追及される。※。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、iPadでの閲読を推奨します。
電子あり
純粋理性批判(1)
純粋理性批判(1)
著:I・カント,訳:天野 貞祐,装丁:山崎 登,その他:蟹江 征治
講談社学術文庫
カント哲学の厳密な方法と徹底性の精神を忠実に日本語に置き換え、論理的形式性においてとくに優れている点が天野訳の特徴である。第一巻には、訳者の解説と、先験的原理論のうち、先験的感性論、先験的論理学第一篇がふくまれる。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。 三十年の歳月をかけて、天野貞祐が取り組んだカントの『純粋理性批判』の全訳は、長く絶版となっていたが、電子書籍となってふたたび世にでることになった。カント哲学の厳密な方法と徹底性の精神を忠実に日本語に置き換え、論理的形式性においてとくに優れている点が天野訳の特徴である。第一巻には、訳者の解説と、先験的原理論のうち、先験的感性論、先験的論理学第一篇がふくまれる。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、iPadでの閲読を推奨します。
電子あり
今昔物語集(二)
今昔物語集(二)
その他:国東 文麿
講談社学術文庫
今昔物語集巻二は主として釈尊の説法霊験説話を収める。巻一が釈尊伝に続き、釈尊の姿・行動すなわち身相によって衆生を救い導く話を中心に釈尊の偉大性を示そうとするものであったが、本巻は説法すなわち口相によって衆生済度(しゅじょうさいど)を行なう話を主に釈尊を賛嘆する。その説法は過去・現在・未来にわたる人々の因果を教えるものであり、そこに天竺の国王・長者から乞食・奴隷に及ぶさまざまな人間の苦楽の人生が興味深く捉えられている。
経済学の学び方
経済学の学び方
著:正村 公宏,その他:蟹江 征治,装丁:安藤 矗一
講談社学術文庫
「私は、普通の教科書ではひじょうに簡単にしか書かれていないようないくつかの基礎的な問題を、ていねいに解説してみることにしました。……この本のもう一つの特徴は、いわゆる近代経済学か、マルクス経済学か、というような原理体系の対立に一つの解決をつけていることです。……しかし、もっと重要なことは、この本が、応用可能な原理をみずから体得してもらおうという姿勢で書かれていることです」(著者「まえがき」より)
近世日本国民史 開国日本(4)
近世日本国民史 開国日本(4)
著:徳富 蘇峰
講談社学術文庫
嘉永・安政の時代、露・米・英・仏諸国は東洋における覇権の中心を日本に向けているのか観を呈し、しかもその間、露国対英・仏のクリミヤ戦争が出来、日本を交戦国の舞台たらしめんとする危険を生ず。時に露国、米国との条約締結をたてにして開国を迫りその交渉最も繁多、葛藤最も難渋、衝突最も激甚を極む。かくて日本は米に次いで露・英・蘭との条約を締結。ここに徳川鎖国制度は打ち破られ、開国日本の曙は招来されたのだった。
電子あり
存亡の条件
存亡の条件
著:山本 七平,その他:蟹江 征治,装丁:国東 照幸
講談社学術文庫
西欧・アメリカ・中ソ――我々には常に先達があり、その模倣こそが我々の生きる唯一の方法論であった。しかし模倣ですむ幸福な時代は去った。苛烈な国際社会を自らの思考と方法で生きねばならぬ今日、一等必要なのは明確な自己把握とその他国への伝達である。そのような視点か試みられた日本再認識の企てが本書である。ここでは著者の犀利な筆によって思いがけない日本文化の基本型が明らかにされ、鮮烈な自己規定が実現されている。
ニコライの見た幕末日本
ニコライの見た幕末日本
著:ニコライ,訳:中村 健之介
講談社学術文庫
ニコライ堂で知られるロシア正教の宣教師ニコライは、幕末・維新時代の激動の渦中に日本に渡り、函館を本拠地に布教活動を行った。本書は、そのニコライがつぶさに見た日本の事情を、祖国の雑誌に発表したものである。日本の歴史・宗教・風習を、鋭い分析と深い洞察を駆使して探求し、日本人の精神のありよう、特質を見事に浮き彫りにしている。「日本人とは何か」を考える上に、多くの示唆を与える刮目すべき書である。本邦初訳。
近世日本国民史 開国日本(3)
近世日本国民史 開国日本(3)
著:徳富 蘇峰
講談社学術文庫
安政元年正月八日露艦長崎を去る。十四日ペルリ急遽艦船七隻を率いて再び江戸湾に来航、日米条約草案を幕府に手交。水戸齊昭ここに至って攘蝦論を譲るも、交易・通信の二条反対を立て、自ら天下の志士の望みを繋ぐ。三月、幕閣は鎖国の祖法を棄て、神奈川条約を締結。時に吉田松陰・金子重輔、米艦に乗じて密航を企つも志成らず、不運を悲しみつつ、蕭然として舷を降りる。提監、両名に対する日本政府の寛典を希いつつ日本を去る。 安政元年正月八日露艦長崎を去る。十四日ペルリ急遽艦船七隻を率いて再び江戸湾に来航、日米条約草案を幕府に手交。水戸齊昭ここに至って攘蝦論を譲るも、交易・通信の二条反対を立て、自ら天下の志士の望みを繋ぐ。三月三日、幕閣は鎖国の祖法を棄て、神奈川条約を締結。時に吉田松陰・金子重輔、米艦に乗じて密航を企つも志成らず、不運を悲しみつつ、蕭然として舷を降りる。提監、両名に対する日本政府の寛典を希いつつ日本を去る。
電子あり
とりかへばや物語(3) 秋の巻
とりかへばや物語(3) 秋の巻
訳:桑原 博史
講談社学術文庫
平安末期成立の『とりかへばや』は、女性的な気質の兄君と男めいた気性の妹君とが、それぞれ女装男装して、華やかな宮廷生活に悲劇喜劇の渦をまきおこす物語。第3冊秋の巻は、妊娠した男装の姫君が、相手の男の宇治の別荘に身を隠し女装にもどって出産。妹の身を案じ男装にもどって京を脱出した兄君と再会し、吉野山で日をすごすが、兄は妹の演じていた右大将に、妹は兄の演じていた尚侍になりすまして京にもどるまでの話(全4巻)