講談社学術文庫作品一覧

茶の精神
講談社学術文庫
裏千家四百年の歴史と伝統
十五世家元が説く茶の湯の理想とは
中国を源とし、わが国へ伝播した喫茶の風習は、歴史的な曲折を経たのち、世界に比類ない茶の湯という独自の文化体系へと昇華した。村田珠光に始まり、武野紹鴎を経て、千利休により大成された茶の湯が志向するところとは何か。裏千家四百年の伝統を継承する十五世家元が、数々の古典のうちに先匠の思索の跡を追いつつ、茶の湯の究極の理想を追究する。

戦艦ポチョムキンの反乱
講談社学術文庫
1905年6月末、ロシア海軍の誇る最大・最強の戦艦ポチョムキン号上で、水兵による反乱が勃発した。ロシアを席巻する革命の気運が、ついに皇帝の軍隊にまで及んだのだ。反乱に成功し、意気上がる水兵たちは、討伐に乗り出した黒海艦隊と対峙しつつ、僚艦との共闘をはかるが……。
気鋭の海軍史家が「洋上の革命」の実相に迫ったノンフィクション。

ギリシア・ローマ哲学者物語
講談社学術文庫
人の心から宇宙の果てまで、「知」を限りもなく追究した古代の巨匠たち。哲学の祖タレス、史上最も壮麗な師弟、ソクラテス・プラトン・アリストテレス、ローマ政争の日常に耐えたキケロ、憂鬱なる哲学者皇帝マルクス・アウレリウス。その鋭く深い思考、豊かな人生の知恵、不思議な奇行などを描き、全哲学の源泉、ギリシア・ローマ哲学を一望する。

天皇制の基層
講談社学術文庫
天皇制とは? その支える原理とは一体何なのか?戦後思想の巨大な導き手と、日本人の心の本性の探究に果敢に挑んできた研究者との気迫に満ちた対談。自己の切実な体験から天皇制の根底を問う吉本。歴史学と民俗学の研究成果を踏まえ、宮廷儀礼の大幅な変更と作為、二重王権としての天皇制等を指摘する赤坂。新旧2人の論客が天皇制の問題に鋭く切り込む。

江戸お留守居役の日記
講談社学術文庫
根まわしに裏工作――現代社会の原像
藩の命運を賭けてたたかう外交官
時代は江戸初期。江戸藩邸に詰めて幕府・諸藩との折衝にあたった萩藩江戸留守居役、福間彦右衛門の日記『公儀所日乗』。そこには二千人の藩士が暮らす藩邸の生活の様子や留守居役の実像が細かく記されている。由井正雪の乱や支藩との対立など、迫りくる危機を彼らはどのように乗り越えたのか。第一級史料が描き出す、藩の命運を賭け奮闘する外交官の姿。
江戸時代初期の環境の中で、幕藩間をむすぶ留守居役の活動は、藩にとって死活をとわれる緊張した重要任務であった。のちの留守居役のように、糸目をつけない交際費を使って、吉原でどんちゃん騒ぎをしていられる時代ではなかったのである。……当時の社会の雰囲気と江戸藩邸の実態を、留守居役とかれをとりまく人々をとおして感じとっていただきたい。――(本書「はしがき」より)

豪商列伝
講談社学術文庫
住友・三井・鴻池――巨富の哲学
近代巨大財閥の礎を築いた三井・住友・鴻池各家の創業者。豪富・蕩尽でその名を残す紀伊国屋文左衛門、奈良屋茂左衛門――。農工生産の向上、流通改革、土木、治水、土地投資と開発、金融業。時代が彼らを生み、彼らが時代を作った。豊富なエピソードを交え、時代の繁栄を演出した豪商たちの姿を追い、その巨富の哲学と経営手法を探る異色の商業史。

ライシャワー大使日録
講談社学術文庫
ケネディ暗殺、原潜寄港、日韓条約、ベトナム戦争……
内外に緊張高まる60年代
「学者大使」の苦悩と決断
1960年代初頭、ケネディ政権下に異色の駐日大使が誕生した。その名はライシャワー。東京生まれの日本育ちで、米国きっての知日家として知られ、ハーヴァード大学教授であった彼に、このときから外交官という新たな顔が加わった。沖縄返還、ケネディ暗殺、ベトナム戦争等、内外に緊張が高まりゆくなか、「学者大使」が5年余の苦闘を綴った滞日記録。

易の話
講談社学術文庫
神秘の書にして思想の書
『易経』入門・読みやすい大文字版
儒教の重要な経典として五経の筆頭におかれた『易経』は、神秘的「占い書」であるとともに、深遠な哲学をもつ「思想書」でもある。陰陽わずか2つの要素を複雑に重ね合わせることにより、人間存在の本質と全宇宙の摂理を読みとろうとする。二千余年来の具体的な占い方を解説しながら、易とともに歩んだ中国人の自然・人生・運命観を探る。

医学の歴史
講談社学術文庫
人類の歩みは絶えざる病との格闘であった。患者への温かい眼差しをもって治療に当たり、医療・医学の根源からの探究を志した病理学者が、人間の叡智を傾けた病気克服の道筋とそのドラマを追う。興味深い挿話、盛り沢山の引例、縦横に飛ぶ話柄。該博な知識と豊かな教養をもつ座談の名手が、洗練された名文で綴る人間味溢れる新鮮な医学史。(講談社学術文庫)
人類の歩みは絶えざる病との格闘であった。患者への温かい眼差しをもって治療に当たり、医療・医学の根源からの探究を志した病理学者が、人間の叡智を傾けた病気克服の道筋とそのドラマを追う。興味深い挿話、盛り沢山の引例、縦横に飛ぶ話柄。該博な知識と豊かな教養をもつ座談の名手が、洗練された名文で綴る人間味溢れる新鮮な医学史。

老荘と仏教
講談社学術文庫
西域より移入以来、二千年の歴史をもつ中国仏教。中国人はこの外来思想をどのように受容したのか?老荘の「無」の思想を通じた、仏教の根本義「空」の理解に始まり、自力の道「禅」・他力の道「浄土」という二大中国的仏教の誕生へ。老荘思想を中心に中国の知の歴史をたどりつつ、インド・中国思想のダイナミックな交流を深く、また明晰に追究する。

日中戦争見聞記
講談社学術文庫
廬溝橋での軍事衝突に始まる日中戦争。それは、軍国日本が東アジアに影を落とす時代の象徴的な事件である。1939年、この緊張高まる日本・朝鮮・中国・モンゴルをドイツのジャーナリストが訪れた。彼は、各地で会見した要人の人物像を犀利に語り、過酷な時局を生きる庶民の姿にそれぞれの民族性を洞察する。太平洋戦争前夜の極東を描く貴重な記録。

トウ小平
講談社学術文庫
「綿中に針を蔵す」(当たりは柔らかく芯は硬い)と毛沢東に評された稀代のリアリスト、トウ小平。「白猫黒猫」論の徹底した柔軟思考と、「発展」を目指す鉄の意志とが、百年変わらなかった中国を巨大経済国家に変えた。若き日のパリ留学。蜂起。3度の失脚を乗り越えて世界を牽引する経済建設へ。毛路線を覆し、現代中国の父となった「小さな巨人」の全貌。(講談社学術文庫)
「綿中に針を蔵す」(当たりは柔らかく芯は硬い)と毛沢東に評された稀代のリアリスト、トウ小平。「白猫黒猫」論の徹底した柔軟思考と、「発展」を目指す鉄の意志とが、百年変わらなかった中国を巨大経済国家に変えた。若き日のパリ留学。蜂起。3度の失脚を乗り越えて世界を牽引する経済建設へ。毛路線を覆し、現代中国の父となった「小さな巨人」の全貌。

コンスタンチノープル征服記
講談社学術文庫
聖戦から侵略へ
おぞましき十字軍の顛末
帝都の侵寇、帝位簒奪、財宝の強奪、不和と内争。聖地エルサレムをめざした十字軍は、一転、方向転換、一体、何故コンスタンチノープルを攻略したのだろうか。ビザンチン亡命皇子の怨念、ヴェネチアの富への野心。さまざまな思わくが渦巻く悪名高き第四回十字軍。戦局の一進一退、遠征軍のおぞましい所業の一部始終を生き生きと描く、フランス文学黎明期の散文学の傑作。
かくてコンスタンチノープルの市民においても城外の巡礼軍団においても、神より授かった栄誉と勝利の悦びはすこぶる大きかった。……さて軍団の面々は、大勢コンスタンチノープル見物に出かけ、幾多の豪奢な宮殿やそびえ立つ教会、途方もない宝物類を目のあたりにしたのである。――(本書より)

性の民俗誌
講談社学術文庫
「一夜妻」「一時女郎」「女のよばい」「いざいほう」等々、わが国には、古来特色ある性にまつわる民俗が存在し、さまざまな形で各地に伝承されてきた。こうした性風俗の実態は、部外者へ明らかにされることはない。『伊勢物語』等の古典文学、『日本書紀』等の史書から民謡までもあまた渉猟し、日本人の性への意識と習俗の伝統を、民俗学的見地からたどり返す。

野草の自然誌
講談社学術文庫
身近な野草に寄せる深い想いを、愛情あふれる筆致で綴った野草入門書。
野草の分類を軸に、形態、生態、類似種との見分け方、名前の由来、詩歌との関わりなど、多様な角度から解説。
平易な、時に軽妙な語り口で蘊蓄を傾ける。
江戸時代の名著『草木図説』の絵と、著者自らの手になる精緻なペン画を添え、野草の姿や各部位を明示。
総図版数120点。

スペイン内戦
講談社学術文庫
ファシズム台頭への不安、共産主義革命への期待の中、1936年、クーデターに端を発し、勃発した内戦。国家間の貪欲なエゴ。正義と人類愛に燃える若者たち。55カ国、4万人におよぶ海外からの大量の義勇兵。苛酷極まる闘いに、彼らはなぜ身を投じたのだろうか。義勇兵で結成されたスペイン国際旅団に視点を据え、世界を震撼させた人間と政治の壮大なドラマを描き出す。

イギリス紳士のユーモア
講談社学術文庫
山高帽にこうもり傘、優美なマナーとさりげないダンディズム。英国紳士たちの悠揚せまらぬ精神から大英帝国を彩るユーモアが生まれた。当意即妙、光る知性、グロテスクなまでにブラック、自分を笑う余裕。ジョンソン博士、イヴリン・ウォー、チャーチルほか、帝国最上の産物たる紳士の最高のユーモアを味わいつつ、英国流人生哲学の真髄にせまる。(講談社学術文庫)
山高帽にこうもり傘、優美なマナーとさりげないダンディズム。英国紳士たちの悠揚せまらぬ精神から大英帝国を彩るユーモアが生まれた。当意即妙、光る知性、グロテスクなまでにブラック、自分を笑う余裕。ジョンソン博士、イヴリン・ウォー、チャーチルほか、帝国最上の産物たる紳士の最高のユーモアを味わいつつ、英国流人生哲学の真髄にせまる。

現代政治学入門
講談社学術文庫
英国で高い評価を得る最良の政治学案内
政治とは何か
政治学とはどんな学問か
政治学とは、社会において利害と価値をめぐって起きる紛争と、その紛争を調停する方法を探る学問である。それは現在の生活を改善するための、非常に有効な事柄を学ぶことにほかならない。政治は何をなしうるか。我々は政治に何をなしうるか。そして政治とは何か。現代人の基本教養・政治学の最良の入門書として英国で定評を得る1冊、待望の文庫化。

枕草子(下)
講談社学術文庫
内大臣伊周から中宮定子に献上された料紙。
それを賜った才知あふれる女房、清少納言が書き記した回想・随想は、宮廷の生活を鮮やかに描き出した。『枕草子』――千年の時を経た今も失われることがない瑞々しさを、語釈・余説を参照しつつ、現代語で読む。本巻は、本文の全訳注に加え、年表・系図・人物一覧・章段索引など、利用の便となる付録を収録する。

江戸のまんが
講談社学術文庫
漫画の起源は江戸時代にあった!
寄せ絵、文字絵、鳥羽絵、大津絵、北斎漫画。次々と飛び出す笑いと驚き。
庶民の生活に根ざし、大衆文化として開花した江戸の漫画。
それは、洒落と諷刺を巧みな表現法をもって図像化した、時代の息吹を伝える貴重な資料である。
江戸期の代表的な作品百余点を厳選し、人々の日常と時代の意外な相貌を探る異色の評論集。