講談社学術文庫作品一覧

正法眼蔵(二)全訳注
正法眼蔵(二)全訳注
著:増谷 文雄
講談社学術文庫
真の仏法を追い続けた日本曹洞宗の開祖、道元は、現代にも通ずる哲学的思索を展開した思想家であり、豊かな古典的教養をもった稀代の<詩人>でもあった。きらめく言葉、彫琢された美しい文章、漢語混じりの独特の和文で綴られた『正法眼蔵』。本書では、心の問題を追究した「心不可得」、仏教の真義に迫る「仏性」等の巻々を収録する。
鈴木大拙
鈴木大拙
著:秋月 龍ミン
講談社学術文庫
敬慕と愛情をこめて弟子が綴る<人類の教師>と呼ばれた大禅者の生涯と思想 読みやすい大文字版 生涯をかけて禅思想・大乗仏教思想の探究と、その世界的普及に尽力した鈴木大拙。<人類の教師>と称された稀代の禅者は何を語り、どのように思索したのか。大拙に二十年にわたって師事した、鈴木禅学の数少ない継承者の一人である著者が、敬慕と愛情をこめて綴る、師の生涯と思想。
中国古代の科学
中国古代の科学
著:薮内 清
講談社学術文庫
羅針盤・紙・印刷術・火薬――人類の発展をもたらした東洋科学の独創性 羅針盤・紙・印刷術・火薬。近世ヨーロッパの開幕を招来し、人類の歴史を飛躍的に発展させた発明は古代中国に生まれた。文明は東から西へ――。本書は、東アジアにおいて構築された高度な科学技術の独自性を体系的に解明し、西洋に偏向して語られてきた近代以降の科学史に楔を打つ。世界史的な視座から見た科学文明の位置づけとその交流とは何か。
渤海国
渤海国
著:上田 雄
講談社学術文庫
7世紀末、中国東北部・高句麗の故地に建国された渤海は、奈良・平安時代を通じて34回も日本に使節を派遣した。当初、唐や新羅に対する軍事上の連携から始まった交流は、北方産の毛皮と日本の絹などとの交易が主体となり、華麗な宮廷外交を展開。菅原道真と漢詩の応酬をした大使父子も登場した。200年の交流の実像に、最新の研究をふまえ迫る。
正法眼蔵(一)全訳注
正法眼蔵(一)全訳注
著:増谷 文雄
講談社学術文庫
味のある名訳、懇切な注解 禅の奥義を説く待望の名著の文庫化 磨き上げられた迫力ある名文で、禅の奥義を追究した、日本仏教思想史上、屈指の名著『正法眼蔵』。浄土宗の人でありながら、弱年より道元に傾倒、繰り返し繰り返し読み込み、爾来、五十年。味ある名現代語訳、懇切丁寧でわかりやすい注解。人間の真のあり方を求め続けた著者渾身の訳業。道元の主著の真髄とは何か、その本質に肉迫する。 (学生時代、)一夏かかって一処懸命に『正法眼蔵』を読み通した。……「学道の人は先づ須(すべから)く貧なるべし」とか、……「学道の人、衣糧(えりょう)を煩ふこと莫(なか)れ」とか、「貧なるが道(どう)に親(したし)きなり」とか、そのような一連のことばの真意を、そのころなお年若かったわたしは、どうしても理解することができなかった。そのくせ、それらのことばは、ぐっとわたしの心をつかんで、どうしても放してくれないのである。――(本書「道元をみつめて」より)
牧野富太郎自叙伝
牧野富太郎自叙伝
著:牧野 富太郎
講談社学術文庫
わが国の植物分類学を独力で切り拓いた巨人・牧野富太郎。幼少より植物に親しみ、小学校中退後の人生を独学による植物研究に捧げた彼は、権威による研究妨害や貧困に屈することなく、95年の生涯の晩年まで現役であり続けた。彼が採集した標本は実に60万点、命名した植物は2500余。「植物学の父」が独特の牧野節で綴る波瀾万丈の「わが生涯」。(講談社学術文庫) わが国の植物分類学を独力で切り拓いた巨人・牧野富太郎。幼少より植物に親しみ、小学校中退後の人生を独学による植物研究に捧げた彼は、権威による研究妨害や貧困に屈することなく、95年の生涯の晩年まで現役であり続けた。彼が採集した標本は実に60万点、命名した植物は2500余。「植物学の父」が独特の牧野節で綴る波瀾万丈の「わが生涯」。
電子あり
アジアの海の大英帝国 19世紀海洋支配の構図
アジアの海の大英帝国 19世紀海洋支配の構図
著:横井 勝彦
講談社学術文庫
極西の島国イギリスがなぜ極東の海を制し得たか 19世紀中葉、幾多の植民地をもち、世界市場の制覇を狙うイギリスにとって、海外権益の維持・拡充を保証する海洋支配体制の確立は急務であった。その柱となったのは、近代化され、整備された海軍力と造船業、事あるときに「陰の海軍」の役割をも担う海運業である。東アジアの海をも制し得た、大英帝国によるたくみな海洋支配の構造を明らかにする。
論語 <全訳注>
論語 <全訳注>
著:加地 伸行
講談社学術文庫
儒教学の第一人者の新訳で永遠の古典が鮮やかに甦る 豊富な語句索引付 孔子とその門人の言行録から成る『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典でもある。読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。儒教学の第一人者の意欲的で懇切丁寧な注釈と、孔子が現前し、今にも語り出すかのような臨場感ある現代語訳。『論語』がもつ溢れる魅力と豊かな精神が一段と輝く。
古典落語(続)
古典落語(続)
編:興津 要
講談社学術文庫
冴える話芸、こぼれる笑い 「まんじゅうこわい」「妾馬」「酢豆腐」「品川心中」… 「濃いお茶が一ぱいこわい」、「酢豆腐はひと口にかぎりやす」――。大衆に支えられ、名人たちによって磨きぬかれた伝統話芸・古典落語。本書は「まんじゅうこわい」「代脈」「妾馬」「酢豆腐」など、代表的な19編を厳選。明治・大正・昭和の速記本をもとに完全再現し、日本人の笑いの源泉を描き出す。笑いとともにあった庶民の暮らしが、ここに甦る。 「ああこわい、こわい……ああ、唐まんじゅう……こういう高いものは、こわいからまっさきに消えてもらわなくては……中は……わあ、いいあんこだな……こわい、こわい(中略)」と、熊さんはまんじゅうを食べはじめました。(中略)「やい、熊公、てめえがほんとうにこわいのは、いったいなんなんだ?」「えへへ、このへんで、濃いお茶が一ぱいこわい」――(本書「まんじゅうこわい」より)
世親
世親
著:三枝 充悳
講談社学術文庫
「我は存在せず、煩悩と業などによって構成される法(ダルマ)のみがある」とした『倶舎論(くしゃろん)』。また、すべての事物はこころが作りだした表象にすぎない、と主張する唯識論(ゆいしきろん)など、仏教理論を完成させた知の巨人の思想と生涯を詳述。アーラヤ識と呼ばれる深層心理を重視し、現代の精神分析をはるか1600年前に先取りした精緻な唯識学の全体像を、平易に説き明かす。
思想からみた明治維新
思想からみた明治維新
著:市井 三郎
講談社学術文庫
山県大弐、吉田松陰、久坂玄瑞…… 維新を生んだ炎の思想家たち 日本人の自力による史上唯一の「革命」は、いかにして成しとげられたか。維新の百年前、幕藩体制を否定し自らの信念に殉じた先駆者山県大弐、はるかな時を経て山県の思想を吉田松陰に伝えた僧黙霖、佐久間象山・松陰師弟、久坂玄瑞らの松陰門下、真木和泉、勝海舟、坂本龍馬……。維新として結実したさまざまな人々の熱い思想の系譜をたどり返す。 この本は、明治維新前後の時期の、哲学者たちの思想をのべたものではありません。……われわれの祖先が、自力で全国にわたる根本的な変革をなしとげたのは、日本の歴史で明治維新がほとんどただ一つの例です。その変革がどのような問題を、どのように解こうとした努力から生まれたのか、また何を解決できずに残しているか、……思想史的な見方に重点をおいて考えてみたのがこの本です。――(本書「まえがき」より)
哲学の課題
哲学の課題
著:樫山 欽四郎
講談社学術文庫
「自己は自己の否定において自己自身である」 現代に生きる人間の真のあり方とはどのようなものか。教壇から学生たちに熱っぽく真剣に語りかけ、そして魅了する――噛んで含めるような名講義。何よりも哲学を愛したヘーゲル研究の第一人者がカント、ヘーゲル、キルケゴールらの思索の跡を辿り、自らの生きる道を懸命に模索した論考10編を収録する。
千利休
千利休
著:村井 康彦
講談社学術文庫
信長・秀吉との交流、草庵茶湯の大成、そして悲劇的な賜死――。本書は、劇的にして謎に満ちたその生涯に対峙し、史料の精緻な読解にもとづく論証によって、茶聖の人物と思想、さらに日本文化史における位相を究明する。人間・千利休を鮮明に描き出し、研究者のみならず茶道界にも衝撃を与え、その後の利休像を決定づけた不朽の名著。(講談社学術文庫) 信長・秀吉との交流、草庵茶湯の大成、そして悲劇的な賜死――。本書は、劇的にして謎に満ちたその生涯に対峙し、史料の精緻な読解にもとづく論証によって、茶聖の人物と思想、さらに日本文化史における位相を究明する。人間・千利休を鮮明に描き出し、研究者のみならず茶道界にも衝撃を与え、その後の利休像を決定づけた不朽の名著、待望の文庫化。
電子あり
インド仏教の歴史
インド仏教の歴史
著:竹村 牧男
講談社学術文庫
2400年の昔、ガンジスの支流域、菩提樹の木陰で、ブッダは何を覚ったか。入滅後、教団分裂の中で精緻に編まれるアビダルマ哲学。やがて大乗仏教が勃興し、中観・唯識により空の理論が体系化される。インド亜大陸を満たし、巨大なアジアの宗教ともなった仏教の流れを、真実のいのちへの「覚り」と一切の「空」というキー・タームのもとに展望する。
仏教の説話と美術
仏教の説話と美術
著:高田 修
講談社学術文庫
仏伝・本生話・譬喩譚・仏像・仏画 仏教を弘め高めた豊潤な説話、荘厳な美術 読みやすい大文字版 巧妙な譬喩、教訓的で倫理的な古譚や寓話物語。インド人が愛好した説話は、仏教の中にも伝承され、豊富な仏伝・本生話・譬喩譚として結実した。伽藍・精舎の荘厳、仏像・仏画による美化潤色も、宏遠深奥な教義をもつ仏教の普及と隆盛に寄与した。仏教美術研究の第一人者が、格調の高い名文で綴る仏教の説話と美術についての系統的な好解説書。
東京文壇事始
東京文壇事始
著:巌谷 大四
講談社学術文庫
神田の3畳の下宿から生まれた、明治文学の母体「硯友社」。赤貧の一葉を巡る、作家たちの恋の鞘当て。銀座木村屋の前で、アンパンの匂いにいつも足を止めた花袋。胃癌の体を引きずり丸善に『ブリタニカ』を買いに行く紅葉。文学への情熱があった。灼熱の恋、貧乏との戦いがあった。時代も作家も若かった、若い東京を舞台に、日本の近代文学、ここに始まる。
古代イスラエルの思想
古代イスラエルの思想
著:関根 正雄
講談社学術文庫
4000年におよぶユダヤの歴史。その栄光は古代イスラエル王国にあった。族長の時代、モーセの登場、部族連合、そして王国の建国――。その時代に現れた知恵文学や救済史家、預言者たちは何を伝えようとしたのか。ユダヤ教やキリスト教、そして人類に多大な影響を与えた王国の歴史と生み出された思想を旧約聖書学の泰斗が平易な言葉で詳細に解読する。
王朝政治
王朝政治
著:森田 悌
講談社学術文庫
本格的な平安時代政治史 藤原氏・天皇・公卿の熾烈な攻防 華麗な王朝文化を連想させる平安時代、その政治とは一体いかなるものだったのだろうか。藤原氏は、律令支配体制崩壊の中、試行錯誤の末、摂政・関白制度の妙策を案出し、王朝政治を確立した。冬嗣・基経・道長……。藤原氏覇権獲得の経緯は?天皇・公卿との熾烈な攻防や財政・軍事・警察制度など9~11世紀の政治の実態を解明する平安時代政治史。 私は本書で、8世紀律令支配の基盤であったところの比較的安定した社会構造が動揺していく事態に直面し、王朝貴族がいかに対処していったかを、その政策路線に注意し、とりあげていきたいと思っている。王朝政治を退廃ないしたかだか権力争奪史に矮小化することなく、国政運営に抱負をもつ政治家に指導されていたことを明らかにし、そのイメージを豊かにするのが私の願いである。――(本書「はじめに」より)
昭和天皇語録
昭和天皇語録
編:黒田 勝弘,編:畑 好秀
講談社学術文庫
国民と同様に喜びと悲しみの幾歳月であった 践祚の勅語から歴代最長寿の言葉まで 二・二六事件、戦争、新憲法発布、東京オリンピック等、昭和天皇は歴史の重要な局面の数々に立ち会ってきた。天皇の語録は昭和史の貴重な証言であり、そのまま昭和史の克明な記録ともなっている。践祚の勅語から日航機墜落事故への感想まで、史上最長となった在位期間中の天皇発言に、周辺事情を伝える新聞記事等を添えて綴った臨場感あふれる語録集。 天皇の存在は歴史そのものである。二・二六事件や太平洋戦争の開戦、終戦をはじめ……戦後の平時においても新憲法発布、講和条約から東京オリンピック、万国博など、天皇は必ず歴史の現場に立ち会ってきた。それに園遊会などを通じての“時の人”との出会いを加えれば、天皇語録はそのまま昭和史60年の刻明な記録になっている。――(「あとがき」より)
江戸・東京の中のドイツ
江戸・東京の中のドイツ
著:ヨ-ゼフ・クライナ-,訳:安藤 勉
講談社学術文庫
江戸期から近代にかけて、江戸・東京を舞台に活躍したドイツ人は数多い。「八重洲」にその名を残すヤン・ヨーステン、帝都改造計画に参画したエンデとベックマン、帝国ホテル繁栄の礎を築いた支配人フライク兄弟……。日・独交流に貢献し、わが国の発展にきわめて大きな役割をはたした彼らが、江戸・東京に残した軌跡を探索し、その事績を検証する。