講談社学術文庫作品一覧

コンスタンチノープル征服記
講談社学術文庫
聖戦から侵略へ
おぞましき十字軍の顛末
帝都の侵寇、帝位簒奪、財宝の強奪、不和と内争。聖地エルサレムをめざした十字軍は、一転、方向転換、一体、何故コンスタンチノープルを攻略したのだろうか。ビザンチン亡命皇子の怨念、ヴェネチアの富への野心。さまざまな思わくが渦巻く悪名高き第四回十字軍。戦局の一進一退、遠征軍のおぞましい所業の一部始終を生き生きと描く、フランス文学黎明期の散文学の傑作。
かくてコンスタンチノープルの市民においても城外の巡礼軍団においても、神より授かった栄誉と勝利の悦びはすこぶる大きかった。……さて軍団の面々は、大勢コンスタンチノープル見物に出かけ、幾多の豪奢な宮殿やそびえ立つ教会、途方もない宝物類を目のあたりにしたのである。――(本書より)

性の民俗誌
講談社学術文庫
「一夜妻」「一時女郎」「女のよばい」「いざいほう」等々、わが国には、古来特色ある性にまつわる民俗が存在し、さまざまな形で各地に伝承されてきた。こうした性風俗の実態は、部外者へ明らかにされることはない。『伊勢物語』等の古典文学、『日本書紀』等の史書から民謡までもあまた渉猟し、日本人の性への意識と習俗の伝統を、民俗学的見地からたどり返す。

野草の自然誌
講談社学術文庫
身近な野草に寄せる深い想いを、愛情あふれる筆致で綴った野草入門書。
野草の分類を軸に、形態、生態、類似種との見分け方、名前の由来、詩歌との関わりなど、多様な角度から解説。
平易な、時に軽妙な語り口で蘊蓄を傾ける。
江戸時代の名著『草木図説』の絵と、著者自らの手になる精緻なペン画を添え、野草の姿や各部位を明示。
総図版数120点。

スペイン内戦
講談社学術文庫
ファシズム台頭への不安、共産主義革命への期待の中、1936年、クーデターに端を発し、勃発した内戦。国家間の貪欲なエゴ。正義と人類愛に燃える若者たち。55カ国、4万人におよぶ海外からの大量の義勇兵。苛酷極まる闘いに、彼らはなぜ身を投じたのだろうか。義勇兵で結成されたスペイン国際旅団に視点を据え、世界を震撼させた人間と政治の壮大なドラマを描き出す。

イギリス紳士のユーモア
講談社学術文庫
山高帽にこうもり傘、優美なマナーとさりげないダンディズム。英国紳士たちの悠揚せまらぬ精神から大英帝国を彩るユーモアが生まれた。当意即妙、光る知性、グロテスクなまでにブラック、自分を笑う余裕。ジョンソン博士、イヴリン・ウォー、チャーチルほか、帝国最上の産物たる紳士の最高のユーモアを味わいつつ、英国流人生哲学の真髄にせまる。(講談社学術文庫)
山高帽にこうもり傘、優美なマナーとさりげないダンディズム。英国紳士たちの悠揚せまらぬ精神から大英帝国を彩るユーモアが生まれた。当意即妙、光る知性、グロテスクなまでにブラック、自分を笑う余裕。ジョンソン博士、イヴリン・ウォー、チャーチルほか、帝国最上の産物たる紳士の最高のユーモアを味わいつつ、英国流人生哲学の真髄にせまる。

現代政治学入門
講談社学術文庫
英国で高い評価を得る最良の政治学案内
政治とは何か
政治学とはどんな学問か
政治学とは、社会において利害と価値をめぐって起きる紛争と、その紛争を調停する方法を探る学問である。それは現在の生活を改善するための、非常に有効な事柄を学ぶことにほかならない。政治は何をなしうるか。我々は政治に何をなしうるか。そして政治とは何か。現代人の基本教養・政治学の最良の入門書として英国で定評を得る1冊、待望の文庫化。

枕草子(下)
講談社学術文庫
内大臣伊周から中宮定子に献上された料紙。
それを賜った才知あふれる女房、清少納言が書き記した回想・随想は、宮廷の生活を鮮やかに描き出した。『枕草子』――千年の時を経た今も失われることがない瑞々しさを、語釈・余説を参照しつつ、現代語で読む。本巻は、本文の全訳注に加え、年表・系図・人物一覧・章段索引など、利用の便となる付録を収録する。

江戸のまんが
講談社学術文庫
漫画の起源は江戸時代にあった!
寄せ絵、文字絵、鳥羽絵、大津絵、北斎漫画。次々と飛び出す笑いと驚き。
庶民の生活に根ざし、大衆文化として開花した江戸の漫画。
それは、洒落と諷刺を巧みな表現法をもって図像化した、時代の息吹を伝える貴重な資料である。
江戸期の代表的な作品百余点を厳選し、人々の日常と時代の意外な相貌を探る異色の評論集。

酒の神 ディオニュソス 放浪・秘儀・陶酔
講談社学術文庫
過酷な迫害と死の体験者、ディオニュソス。
理智・端正・青春と明るい光のイメージのアポロンに対し、反理性・激情・狂乱と人間の内奥深く闇の中に棲む神、ディオニュソスとは一体どんな神なのか。
雪の北ギリシアから青いエーゲ海の島々へ。
謎深き神との内なる対話を交わしつつ、情念の根源から女性の心を開放した神の本質を探るギリシア神話紀行。

唐物語
講談社学術文庫
優麗なる文章に和歌を配して綴る中国故事の翻訳物語集
中国の古典に広く材をとった『唐物語』は、上流夫人のための中国故事の教養書として、12世紀中末期に成立したと推測される翻訳物語集である。『白氏文集』『史記』『蒙求』『漢書』等から、玄宗皇帝と楊貴妃、反魂香、王照君、西王母等の故事を翻訳、翻案したもので、短篇物語27話から成る。優麗なる文章に、名歌や創作和歌を配して綴る異国の物語集。
〈主な内容〉
白楽天、商人の妻の琵琶を聞く語(こと)
宋玉を恋ふる東隣の女、片思ひに泣く語
夫を恋募らせる女、死して石と化する語
漢の武帝、李夫人を追慕して反魂香を薫く語
玄宗皇帝と楊貴妃の語
朱買臣を捨てたる妻、後に悔やみて死ぬる語
王照君、絵姿を醜く写され、胡の王に嫁ぐ語
深山に遁れたる都の娘、犬と契る語
ほか全27話

空の思想史
講談社学術文庫
一切は空である。神も世界も私すらも実在しない。インド仏教がその核心として生んだ「空の思想」は絶対の否定の果てに、一切の聖なる甦りを目指す。やがてこの全否定の思考は、チベット・中国・日本への仏教東漸の中で、「世界を生みだす無」「真理としての空」という肯定色を強めていく。アジアで花開いたラディカリズムの深い変容を追う二千年史。
一切は空である。神も世界も私すらも実在しない。
インド仏教がその核心として生んだ「空の思想」は絶対の否定の果てに、一切の聖なる甦りを目指す。
やがてこの全否定の思考は、チベット・中国・日本への仏教東漸の中で、「世界を生みだす無」「真理としての空」という肯定色を強めていく。
アジアで花開いたラディカリズムの深い変容を追う二千年史。

江戸・東京歴史物語
講談社学術文庫
江戸城、湯島、吉原、泉岳寺……今なお残る江戸の面影
徳川将軍家の城下町として発展した東京。明治維新、震災、戦災、近代化による大変貌を潜り抜け、今なお、あちこちに江戸庶民の生活の名残が生きている。江戸城、泉岳寺、湯島天神、上野、吉原、浅草寺……。江戸に所縁(ゆかり)深い名所・旧跡を訪ね、東京に現在も息づく、江戸三百年、市民が培い残した気風や生活の余情を生き生きと、また美しく描き出す東京案内に格好の書。

昭和の軍閥
講談社学術文庫
政治腐敗や深刻な不況に揺らぐ昭和初期、充満する憤懣は改革、革命の熱気を醸成した。軍部には「世論ニ惑ハズ政治ニ拘ラズ」(軍人勅諭)の伝説を覆えさんとする軍人が現れ、軍閥を形成する。皇道派対統制派、幕僚対青年将校等の対立を内に蔵しつつも、彼らは軍の枠を超え出て国家を掌握。日本を支配し、破滅へと猛進した昭和軍閥の生成とその実態を探る。
幕僚と青年将校、皇道派と統制派、陸軍と海軍……
帝国日本を支配した権力
――内部に渦巻く野望と抗争
政治腐敗や深刻な不況に揺らぐ昭和初期、充満する憤懣は改革、革命の熱気を醸成した。軍部には「世論ニ惑ハズ政治ニ拘ラズ」(軍人勅諭)の伝説を覆えさんとする軍人が現れ、軍閥を形成する。皇道派対統制派、幕僚対青年将校等の対立を内に蔵しつつも、彼らは軍の枠を超え出て国家を掌握。日本を支配し、破滅へと猛進した昭和軍閥の生成とその実態を探る。

茶道名言集
講談社学術文庫
わび・さび、数寄、一期一会――。〈茶の精神〉は現代に生きる我々の日常生活にも息づいている。本書は、茶道書の古典から名人の言葉や逸話を豊富に集めて解説を施した。千利休をはじめ、村田珠光、武野紹鴎、そして岡倉天心まで、茶に生きた人々は茶に何を見出し、何を求めたのか。そこに現れる、茶道の心とは何か。平易な言葉でつづる茶道入門。(講談社学術文庫)
わび・さび・数寄・一期一会
日常生活に生かす茶のこころ
わび・さび、数寄、一期一会――。<茶の精神>は現代に生きる我々の日常生活にも息づいている。本書は、茶道書の古典から名人の言葉や逸話を豊富に集めて解説を施した。千利休をはじめ、村田珠光、武野紹鴎、そして岡倉天心まで、茶に生きた人々は茶に何を見出し、何を求めたのか。そこに現れる、茶道の心とは何か。平易な言葉でつづる茶道入門。

一日一禅
講談社学術文庫
明鏡止水、照顧脚下、松に問え菊に聴け、独坐大雄峰。禅者が自らの存在をその一句に賭けた禅語。それは幾百年にわたり、師から弟子へと伝えられ続けた禅の精髄である。詩境を心ゆくまで味わう雅趣豊かな句から、命がけの修行の果てに吐き出された血のにじむ句まで。一日一句、僧堂を訪わずして参禅できるよう配された、含蓄豊かな紙上公案・解説集。

魏晋南北朝
講談社学術文庫
<華やかな暗黒時代>に中国文明は咲き誇る秦漢帝国の崩壊がもたらした混乱と分裂の四百年。専制君主なき群雄割拠の時代に、王義之、陶淵明、『文選』等を生み出した中国文明の一貫性と強靱性の秘密に迫る

韓 非
講談社学術文庫
中国戦国時代末期、韓非の祖国韓は強国秦の脅威の前に存亡の危機にあった。そうした状況下、韓非は冷徹な人間観察を通じて社会の積幣を鋭く抉り出し、徹底した法治主義こそが国家の強化・安定を可能にすると論断する。
法家思想の大成者と評される韓非の思想の発展とその本質を、古今にわたる日中両国の諸文献を検証しつつ、独自の切り口で読み解く。

パリ点描
講談社学術文庫
ピカソ、ヘミングウェイ、シャネル、マタ・ハリ
米国女性記者の綴る華の都パリ
知的で革命的な芸術運動、シュールレアリスムの最盛期。1930年前後、喧騒渦巻く華の都、パリ。そこには、ジョイス、コクトー、ラヴェル、そしてピカソがいた。馴染みの人々の消息、また、文学・演劇・舞踏会の様子から政治問題やスキャンダルまで、パリを彩る出来事を満載。パリを愛した『ニューヨーカー』の女性特派員が、明快でエレガント、やや辛辣な筆致で綴るパリ便り。

海と列島の中世
講談社学術文庫
海は柔らかい交通路である。それは自在な交通を許し、人と人を結び、文化同志を融合させる。本書では全国の中世海村・海民の姿が、綿密な現地調査と文献から浮き彫りにされてゆく。中国大陸・朝鮮半島・日本列島をまたにかけた「倭寇世界人」を生み出した海のダイナミズムを探り、東アジアに開かれた列島社会の新鮮な姿を描き出す、網野史学の論集。(講談社学術文庫)
海が人を結ぶ。列島中世を探照する網野史観海は柔かい交通路である。海村のあり方から「倭寇世界人」まで。文化を結ぶ海のダイナミズムを探り、東アジアに開かれた日本列島の新鮮な姿を示す網野史学の論集

チベットのモーツァルト
講談社学術文庫
密教の実践的研究を通して、チベット高原の仏教思想と現代思想が幸福な邂逅をとげる――。 物質に対する執着に眼を曇らされた闇を抜け、いまだ顕れ出ることのない純粋な未発の光に満ちたもう一つの夜を渡る旅へ。 <精神の考古学>を駆使して新たな知の時代を切り拓き、思想の大海を軽やかに横断し続ける著者の代表作、待望の文庫化。
日本に新たな知の時代を切り拓いた一冊
<精神の考古学>の冒険
密教の実践的研究を通して、チベット高原の仏教思想と現代思想が幸福な邂逅をとげる――。
物質に対する執着に眼を曇らされた闇を抜け、いまだ顕れ出ることのない純粋な未発の光に満ちたもう一つの夜を渡る旅へ。
<精神の考古学>を駆使して新たな知の時代を切り拓き、思想の大海を軽やかに横断し続ける著者の代表作、待望の文庫化。〔解説/吉本隆明〕