講談社学術文庫作品一覧

酒の神 ディオニュソス 放浪・秘儀・陶酔
講談社学術文庫
過酷な迫害と死の体験者、ディオニュソス。
理智・端正・青春と明るい光のイメージのアポロンに対し、反理性・激情・狂乱と人間の内奥深く闇の中に棲む神、ディオニュソスとは一体どんな神なのか。
雪の北ギリシアから青いエーゲ海の島々へ。
謎深き神との内なる対話を交わしつつ、情念の根源から女性の心を開放した神の本質を探るギリシア神話紀行。

唐物語
講談社学術文庫
優麗なる文章に和歌を配して綴る中国故事の翻訳物語集
中国の古典に広く材をとった『唐物語』は、上流夫人のための中国故事の教養書として、12世紀中末期に成立したと推測される翻訳物語集である。『白氏文集』『史記』『蒙求』『漢書』等から、玄宗皇帝と楊貴妃、反魂香、王照君、西王母等の故事を翻訳、翻案したもので、短篇物語27話から成る。優麗なる文章に、名歌や創作和歌を配して綴る異国の物語集。
〈主な内容〉
白楽天、商人の妻の琵琶を聞く語(こと)
宋玉を恋ふる東隣の女、片思ひに泣く語
夫を恋募らせる女、死して石と化する語
漢の武帝、李夫人を追慕して反魂香を薫く語
玄宗皇帝と楊貴妃の語
朱買臣を捨てたる妻、後に悔やみて死ぬる語
王照君、絵姿を醜く写され、胡の王に嫁ぐ語
深山に遁れたる都の娘、犬と契る語
ほか全27話

空の思想史
講談社学術文庫
一切は空である。神も世界も私すらも実在しない。インド仏教がその核心として生んだ「空の思想」は絶対の否定の果てに、一切の聖なる甦りを目指す。やがてこの全否定の思考は、チベット・中国・日本への仏教東漸の中で、「世界を生みだす無」「真理としての空」という肯定色を強めていく。アジアで花開いたラディカリズムの深い変容を追う二千年史。
一切は空である。神も世界も私すらも実在しない。
インド仏教がその核心として生んだ「空の思想」は絶対の否定の果てに、一切の聖なる甦りを目指す。
やがてこの全否定の思考は、チベット・中国・日本への仏教東漸の中で、「世界を生みだす無」「真理としての空」という肯定色を強めていく。
アジアで花開いたラディカリズムの深い変容を追う二千年史。

江戸・東京歴史物語
講談社学術文庫
江戸城、湯島、吉原、泉岳寺……今なお残る江戸の面影
徳川将軍家の城下町として発展した東京。明治維新、震災、戦災、近代化による大変貌を潜り抜け、今なお、あちこちに江戸庶民の生活の名残が生きている。江戸城、泉岳寺、湯島天神、上野、吉原、浅草寺……。江戸に所縁(ゆかり)深い名所・旧跡を訪ね、東京に現在も息づく、江戸三百年、市民が培い残した気風や生活の余情を生き生きと、また美しく描き出す東京案内に格好の書。

昭和の軍閥
講談社学術文庫
政治腐敗や深刻な不況に揺らぐ昭和初期、充満する憤懣は改革、革命の熱気を醸成した。軍部には「世論ニ惑ハズ政治ニ拘ラズ」(軍人勅諭)の伝説を覆えさんとする軍人が現れ、軍閥を形成する。皇道派対統制派、幕僚対青年将校等の対立を内に蔵しつつも、彼らは軍の枠を超え出て国家を掌握。日本を支配し、破滅へと猛進した昭和軍閥の生成とその実態を探る。
幕僚と青年将校、皇道派と統制派、陸軍と海軍……
帝国日本を支配した権力
――内部に渦巻く野望と抗争
政治腐敗や深刻な不況に揺らぐ昭和初期、充満する憤懣は改革、革命の熱気を醸成した。軍部には「世論ニ惑ハズ政治ニ拘ラズ」(軍人勅諭)の伝説を覆えさんとする軍人が現れ、軍閥を形成する。皇道派対統制派、幕僚対青年将校等の対立を内に蔵しつつも、彼らは軍の枠を超え出て国家を掌握。日本を支配し、破滅へと猛進した昭和軍閥の生成とその実態を探る。

茶道名言集
講談社学術文庫
わび・さび、数寄、一期一会――。〈茶の精神〉は現代に生きる我々の日常生活にも息づいている。本書は、茶道書の古典から名人の言葉や逸話を豊富に集めて解説を施した。千利休をはじめ、村田珠光、武野紹鴎、そして岡倉天心まで、茶に生きた人々は茶に何を見出し、何を求めたのか。そこに現れる、茶道の心とは何か。平易な言葉でつづる茶道入門。(講談社学術文庫)
わび・さび・数寄・一期一会
日常生活に生かす茶のこころ
わび・さび、数寄、一期一会――。<茶の精神>は現代に生きる我々の日常生活にも息づいている。本書は、茶道書の古典から名人の言葉や逸話を豊富に集めて解説を施した。千利休をはじめ、村田珠光、武野紹鴎、そして岡倉天心まで、茶に生きた人々は茶に何を見出し、何を求めたのか。そこに現れる、茶道の心とは何か。平易な言葉でつづる茶道入門。

一日一禅
講談社学術文庫
明鏡止水、照顧脚下、松に問え菊に聴け、独坐大雄峰。禅者が自らの存在をその一句に賭けた禅語。それは幾百年にわたり、師から弟子へと伝えられ続けた禅の精髄である。詩境を心ゆくまで味わう雅趣豊かな句から、命がけの修行の果てに吐き出された血のにじむ句まで。一日一句、僧堂を訪わずして参禅できるよう配された、含蓄豊かな紙上公案・解説集。

魏晋南北朝
講談社学術文庫
<華やかな暗黒時代>に中国文明は咲き誇る秦漢帝国の崩壊がもたらした混乱と分裂の四百年。専制君主なき群雄割拠の時代に、王義之、陶淵明、『文選』等を生み出した中国文明の一貫性と強靱性の秘密に迫る

韓 非
講談社学術文庫
中国戦国時代末期、韓非の祖国韓は強国秦の脅威の前に存亡の危機にあった。そうした状況下、韓非は冷徹な人間観察を通じて社会の積幣を鋭く抉り出し、徹底した法治主義こそが国家の強化・安定を可能にすると論断する。
法家思想の大成者と評される韓非の思想の発展とその本質を、古今にわたる日中両国の諸文献を検証しつつ、独自の切り口で読み解く。

パリ点描
講談社学術文庫
ピカソ、ヘミングウェイ、シャネル、マタ・ハリ
米国女性記者の綴る華の都パリ
知的で革命的な芸術運動、シュールレアリスムの最盛期。1930年前後、喧騒渦巻く華の都、パリ。そこには、ジョイス、コクトー、ラヴェル、そしてピカソがいた。馴染みの人々の消息、また、文学・演劇・舞踏会の様子から政治問題やスキャンダルまで、パリを彩る出来事を満載。パリを愛した『ニューヨーカー』の女性特派員が、明快でエレガント、やや辛辣な筆致で綴るパリ便り。

海と列島の中世
講談社学術文庫
海は柔らかい交通路である。それは自在な交通を許し、人と人を結び、文化同志を融合させる。本書では全国の中世海村・海民の姿が、綿密な現地調査と文献から浮き彫りにされてゆく。中国大陸・朝鮮半島・日本列島をまたにかけた「倭寇世界人」を生み出した海のダイナミズムを探り、東アジアに開かれた列島社会の新鮮な姿を描き出す、網野史学の論集。(講談社学術文庫)
海が人を結ぶ。列島中世を探照する網野史観海は柔かい交通路である。海村のあり方から「倭寇世界人」まで。文化を結ぶ海のダイナミズムを探り、東アジアに開かれた日本列島の新鮮な姿を示す網野史学の論集

チベットのモーツァルト
講談社学術文庫
密教の実践的研究を通して、チベット高原の仏教思想と現代思想が幸福な邂逅をとげる――。 物質に対する執着に眼を曇らされた闇を抜け、いまだ顕れ出ることのない純粋な未発の光に満ちたもう一つの夜を渡る旅へ。 <精神の考古学>を駆使して新たな知の時代を切り拓き、思想の大海を軽やかに横断し続ける著者の代表作、待望の文庫化。
日本に新たな知の時代を切り拓いた一冊
<精神の考古学>の冒険
密教の実践的研究を通して、チベット高原の仏教思想と現代思想が幸福な邂逅をとげる――。
物質に対する執着に眼を曇らされた闇を抜け、いまだ顕れ出ることのない純粋な未発の光に満ちたもう一つの夜を渡る旅へ。
<精神の考古学>を駆使して新たな知の時代を切り拓き、思想の大海を軽やかに横断し続ける著者の代表作、待望の文庫化。〔解説/吉本隆明〕

仏教の来た道
講談社学術文庫
インドから西域に伝わった仏教は、中国、朝鮮、日本へと東漸し、それぞれの地にしっかりと根をおろした。仏教伝播の道筋には、敦煌や雲岡の石窟をはじめ仏教文化の遺産が数多く見られる。また仏教伝播の立役者は、仏図澄(ぶっとちょう)、法顕(ほっけん)、玄奘三蔵ら布教・求法(ぐほう)に燃える僧たちであった。今なお残る史跡や文物、伝道僧の事績に光を当て、仏の来た道をたどり返す。

インテレクチュアルズ
講談社学術文庫
ルソー、マルクス、ヘミングウェイ、サルトルら 精神世界の巨人7人の意外な実生活
人類愛、富の平等、女性解放、社会の変革。高邁な理想を掲げ、時代をリードした知識人たち。
子を捨てる、妻に横暴、大衆を蔑視、金儲けに走る。驕慢な態度でわがまま放題に振る舞った現実の姿。
ルソー、マルクス、イプセン、サルトルら精神の世界に強い影響力を及ぼした知の巨人7人を俎上に載せ、その思想・言説と実生活のギャップを白日の下に曝す。

鉄から読む日本の歴史
講談社学術文庫
文明を支えた権力・文化・富の象徴
鉄を制する者が天下を制す!
鉄を制する者が天下を制する。日本の歴史を切り開いてきたものは、大陸伝来の製鉄技術だった。
大和朝廷権力の背景にある鉄器。生産力を飛躍的に発展させた鉄製農具。鋳造鍛錬技術の精華、美術工芸品と日本刀。天下の覇者を決した鉄砲。近代国家建設の象徴、官営製鉄所の創業――。
考古学・民俗学・技術学を駆使し、〈鉄〉と日本の二千年を活写する。

マックス・ウェーバー
講談社学術文庫
官僚制、カリスマ的支配、理念型、合理化。卓越した分析力により、現代のキーターム群を生みだし、全社会科学に圧倒的な影響を与えたウェーバー。
人間精神から社会システムまで、古代から近代、ヨーロッパからアジアにまたがる広大な知の領域を精査し政治・経済・法・社会学から歴史・宗教学におよぶ壮大な業績を残した巨人の思想と生涯を展望する。

画家と自画像
講談社学術文庫
すぐれた画家の描いた自画像は何を語るのか。15世紀中頃、画家は職人から思想家へと変貌した。強烈な個性、卓出した技倆、自分を見つめる精神。自己を突き刺す神に対し、自己とは何かを問う画家。不安、憂い、謙虚、威厳ある顔、顔、顔。
アルベルティ、デューラー、レンブラント等の絵を通し、自画像に秘められた西洋の精神と内面のドラマを描く。

ヘレネー誘拐・トロイア落城
講談社学術文庫
トロイア戦争は世に名高いが、戦争の発端の一部始終を伝える作品となると、『ヘレネー誘拐』が現存するのみである。一方、戦争最後の夜の悲劇に焦点を絞り、有名な「トロイアの木馬」の製作過程を詳述した作品も『トロイア落城』の他にない。
クイントゥス作『トロイア戦記』と相互補完し、トロイア戦争の全容把握に不可欠な小叙事詩2篇。本邦初訳。

明治維新
講談社学術文庫
アジアの「近代革命」はいかにして成ったか。開国から琉球処分へ激動の二十余年は、日本史最大の転換点だった。列強による半植民地化への巨大な圧力、米欧を体験したリーダーたちによる新国家システムの構築、そして解放をねがう民衆の沸騰するエネルギー。これら3つの巨大な「力」が渦巻く鮮烈な歴史のドラマを活写しつつ、維新力学の根源に迫る。

中国の古代哲学
講談社学術文庫
孟子・老子・荘子・韓非子
東西の両碩学が迫る中国思想の真髄
読みやすい大文字版
孟子は仁義と愛敬を紐帯とする社会を理想としたと、社会思想史的方法でその思想を分析する小島。
老子は道の哲学を通し、宇宙の根源を説き、荘子は無用の用を主張し、絶対の境地は木鶏と考え、また、韓非子は天下の太平を望んで法家の学を大成したと、伝統的漢学の立場から老荘と韓非を語る宇野。
東西両碩学が中国古代思想の精髄に迫る。