講談社学術文庫作品一覧

新装版 源氏物語(三)
講談社学術文庫
都に帰参後、栄華の中にある源氏は、明石姫君を養女とし、落成なった二条に迎える。その翌年、藤壺が世を去り、母を失った悲しみにくれる冷泉帝は、夜居の僧から自らの出生の秘密を告げられる。源氏と冷泉政権に新局面をもたらす数々の出来事――。「薄雲」から「行幸」を収録する完訳「源氏」第3巻は、豊かな物語性と構造化を見せつつ展開する。

簡素な生活
講談社学術文庫
第26代アメリカ大統領ルーズベルト絶賛!100年前の大ベストセラー
より高く「生きる」
現代文明は人類に物的な豊かさをもたらした。だが反面、私たちは果てなく欲望をふくらませ、人間として大切な多くのものを失ってきたのではないだろうか――。ヴァグネルは精神や思想、言葉、家庭、教育など日常的なテーマをとり上げて簡素の本質を論じ、人間の永遠の幸福の基礎は心の簡素、生活の簡素にあると説く。百年前の書でありながら、今なお新しい。

能・文楽・歌舞伎
講談社学術文庫
厳粛の中で神秘的幽玄の美が醸し出される能。人形に不思議な生命(いのち)を吹き込み演じる文楽。華麗な色彩と響きと演技が繰り広げられる歌舞伎。少年期に演劇の擒(とりこ)になって以来、70年。日本人以上に日本文化に通暁するキーン博士が世界に比類のない日本の伝統芸能について、その歴史と魅力と醍醐味とを存分に語り尽くす。

道中よもやま話
講談社学術文庫
本書は16世紀ドイツに流布していた滑稽話111話を著者の見聞した実話という形でまとめたものである。市井の民を主な登場人物とするそれらの話は、民衆を教導しようとする倫理的意図を隠し持つとともに、市民に対する親近感、貧民層に対する好意的姿勢、聖職者や貴族・騎士等、封建体制下の権力者に対する反感に貫かれている。待望久しい本邦初の全訳。

枕草子(中)
講談社学術文庫
幼少の頃から和漢の深い教養を身につけ、鋭い感受性と機知、そして文才を育んだ清少納言。その才能は、後宮という環境と邂逅をとげたとき、日本文学史に残る名随筆として結実した。ひたすらに中宮定子を愛慕し、賛美をささげるその筆は、卓越した豊かさと鋭さとをもってさえわたる。「枕草子」書き下ろし全訳注第2巻。

修験道
講談社学術文庫
山岳を神霊、祖霊のすまう霊地として崇め、シャーマニズム、道教、密教などの影響のもとに成立した我が国古来の修験道――。筆者自ら現場に立ち合って調査した、臨場感あふれる興味深い論考。開祖役行者(えんのぎょうじゃ)が修行したとされる吉野を中心として、修験宗各派の教義と活動の場を詳細に比較研究し、「行」の重要な役割を浮き彫りにする。

『ニーベルンゲンの歌』を読む
講談社学術文庫
古代ゲルマン英雄伝説と華麗で雅やかな中世騎士文化、この2つが見事に融合した「ニーベルンゲンの歌」はドイツ文学の最高傑作であり、一大記念碑でもある。主人公ジーフリトとクリエムヒルトが秘める二重性格、また、結婚と招待、復讐のもつ意味を精細に分析し、民族の歴史と共に語り継がれてきた伝説の系譜にゲルマン文化の変遷を辿り、作品の意義と魅力を語る。

哲学の教科書
講談社学術文庫
哲学は何の役にたつのか。哲学の問いとはどんなものか。哲学者とはどのような人々か。そもそも、哲学とは何か。物事を徹底的に疑うことが出発点だという著者は、「哲学とは何でないか」を厳密に規定することで哲学を覆うベールをはぎとり、その本質を明らかにする。平易なことばで哲学そのものを根源的に問いなおす、究極の「哲学・非――入門書」。(講談社学術文庫)
哲学センスゼロ・予備知識ゼロからの自由な心のトレーニング 徹底的な懐疑の世界へ
哲学は何の役にたつのか。哲学の問いとはどんなものか。哲学者とはどのような人々か。そもそも、哲学とは何か。物事を徹底的に疑うことが出発点だという著者は、「哲学とは何でないか」を厳密に規定することで哲学を覆うベールをはぎとり、その本質を明らかにする。平易なことばで哲学そのものを根源的に問いなおす、究極の「哲学・非――入門書」。

一遍聖
講談社学術文庫
時宗の開祖一遍聖は、鎌倉新仏教の展開の最終段階に登場した最も行動的な思想家である。その思想の特色は「南無阿弥陀仏」の6字の名号そのものに見出した救い、遊行、賦算(ふさん)、踊り念仏に象徴される。鎌倉仏教6宗のなかでひときわ異彩を放つ捨聖一遍の思想と生涯を「一遍聖絵」「遊行上人縁起絵」「法語集」等にさぐり、一遍歿後の時宗教団の行方を追う。

般若心経
講談社学術文庫
262字に秘められた不滅の真理、時を超えて読み継がれる直観と叡智の経典! “色即是空・空即是色”……。「般若心経」は、大乗仏教の基本経典「大般若経」600巻の精髄を300字に満たぬ字句の中に収めたものといわれる。本書は法隆寺本梵文と和訳、玄奘による漢訳を掲げ、その原意と内容、テキストの広範な紹介等、現代仏教学の成果をとり入れて校注した。「心経」のみならず広く仏教を知るための最上の書。
262字に秘められた不滅の真理
時を超えて読み継がれる直観と叡智の経典
“色即是空・空即是色”……。「般若心経」は、大乗仏教の基本経典「大般若経」600巻の精髄を300字に満たぬ字句の中に収めたものといわれる。本書は法隆寺本梵文と和訳、玄奘による漢訳を掲げ、その原意と内容、テキストの広範な紹介等、現代仏教学の成果をとり入れて校注した。「心経」のみならず広く仏教を知るための最上の書。

征西従軍日誌
講談社学術文庫
明治10年、九州で勃発した西郷隆盛の反乱、西南の役に東京府本郷区の巡査喜多平四郎が従軍する。24名の同僚とともに、海路熊本城に入り、西郷軍の包囲戦に耐え、2ヵ月にわたる籠城の末、参軍黒田清隆入城まで戦い抜いたのであった。一兵士の目を通して、戦う人びと、城内の様子、鹿児島に至る戦いが率直に語られる。新発見の貴重な記録。

<戦前>の思考
講談社学術文庫
「共産主義が終わった」「55年体制が終わった」――。20世紀最後の10年は「終わり」が強調された時代だった。そして、それは戦前の風景に酷似している。あの戦前を反復しないためにこそ、自身を〈戦前〉において思索することの必要性を説く著者が、明晰な論理展開で繰り広げる思考実験。ネーション=ステートを超克する「希望の原理」とは何か。

蓮如〔御文〕読本
講談社学術文庫
蓮如が認(したた)めた御文は、衰微していた本願寺を再興し、真宗繁栄の道筋を拓く切り札となった。真実の信仰とはいったいどんなものなのか。深い愛と智恵に満ち、信じる事の法悦を謳う伝道の書で、親鸞の教えと蓮如の全思想が凝集されている御文十通を、本願寺門跡、蓮如研究の第一人者が、一語一語丁寧に読み解き、真宗信心の要訣を描き示す。

イエス・キリスト(下)
講談社学術文庫
上巻ではマルコ、マタイ、ルカ三福音書の固有のイエス・キリスト像が明らかにされた。本巻はそれらのキリスト像が造型される元となったイエス伝承にみえるさまざまなキリスト像を精緻に解明。独自の「文学社会学」の方法で、イエスの実像や福音書のキリスト像を追究する新約聖書の第一人者が、その基礎資料を読み解く注目の書。

民法風土記
講談社学術文庫
全国を広く踏査し、現代親族法の基礎理論を構築した民法学の泰斗中川善之助博士の小論集。調査・研究旅行の際に目にし耳にした、さまざまな人びと、風景、風俗を、その土地土地で起った民事事件やその歴史を振り返りつつ、ユーモアをまじえた人間味あふれる文章でつづった名エッセイ。

ミットフォード日本日記
講談社学術文庫
幕末維新の激動期に外交官として活躍した著者は、明治39年、英国皇族の首席随行員として再び来日。その様子を日記体で綴り、感想を添えて故国へ送った。40年ぶりに見た日本はいかに変わったか。徳川慶喜公、東郷平八郎提督や当時の高官との会見、宮中晩餐会、歌舞伎見物、日本各地での大歓迎の様子、大きく変貌した明治の姿などを生き生きと描き出す。

東西思想の根底にあるもの
講談社学術文庫
人間たることの存在理由は何か、人間いかに生くべきか。ブッダや道元も、ソクラテスやイエスやパウロも、東西の大思想家は、この根本的課題と格闘した。そして、深い冥想・祈りの中で生命の火花を散らし、それぞれ、永遠の純粋生命の究極態に到達する。本書は、東西各思想の共通の根源は何かを探り、対象的思惟を排し、全人格的思惟の復権を提唱する。

新装版 源氏物語(二)
講談社学術文庫
桐壺院の崩御を機に、しのびよる衰運の兆し。自らの危機を悟り都を離れた光源氏は、流離を重ねるなかで明石一族との邂逅を果たす。そして、凶事が続く京の帝に召され、帰参する源氏。その彼を迎えたものは、このうえなき一門の繁栄だった。作品中、最も劇的な「須磨」「明石」をはじめ、「賢木」~「松風」を収録する、完訳『源氏』第2巻。

女大学評論・新女大学
講談社学術文庫
先駆的知識人福沢諭吉 快刀乱麻を断つ!
今、新しい、百年前の男女平等論。
明治日本、女性に対する差別の現実を、江戸時代から読まれてきた女訓の書「女大学」を材料に、縦横無尽に論じた福沢諭吉の評論集。それから百年、民主主義を謳う現在の日本に、男女平等の思想は行きわたったのか。いまいちど、その主張に耳を傾けてみる必要があるのではないだろうか。福沢の女性観・家族観が明確に語られる名著。

戦国大名と天皇
講談社学術文庫
足利義満の計略により喪失したかに見えた天皇の権威。しかし、将軍が求心力を失い幕府の解体がすすむなか、諸国の戦国大名が群雄割拠する戦乱の世が訪れる。そんな時流に乗じ、着実に果たされてゆく天皇による武家への逆襲――。日本史最大の謎の1つ、戦国期の天皇制の実態に迫り、天皇制存続の秘密を解明する刺激的な中世史研究。