講談社現代新書作品一覧

パクス・アメリカーナの光と陰
講談社現代新書
大恐慌の絶望から立ち上がり、世界の盟主となったアメリカが築き上げた力による「世界の平和(パクスアメリカーナ)」。やがて超大国の繁栄にかげりを落とす、ヴェトナムの傷跡。苦悩し、自省し、模索する、同時代史をみずみずしく描く。

カレーライスと日本人
講談社現代新書
インドで生まれたカレーが、いまや日本の食卓の王座についている。日本人はなぜカレーが好きなのだろう。アジア全土を食べあるき、香料のルーツをイギリスにさぐり、明治文明開化以来の洋食史を渉猟した著者が、熱っぽく語ったカレー文化論。
カレーライスは増殖しつづける――大家族用に、大量に作るという戦前の状況にもぴったりであったが、個食といわれる最近の家族の一人一人が好きなものを食べるような状況、もしくは別々に食べざるをえないような状況でも、レトルトパックや、まとめて作ったものを冷凍しておいて、すぐに電子レンジやお湯に入れて簡単に食べられるという適応力のすごさがある。日本人の生活様式がどう変わろうと、それに合致するだけの顔の広さ、多様性を日本のカレーは持ちえたということである。いろいろある西洋料理の一つ、では終わらない個性の強さがあった。何でもカレー粉を入れればカレーになってしまうが、カレーに何を入れてもカレーのままである。カレーは増殖することができたのだ。――本書より

大英帝国
講談社現代新書
7つの海の支配者、世界の工場――大英帝国は「高度文明社会」の幕開けを告げた。観光旅行、ヴァラエティー・ショー、センセーショナルなマスコミ。消費ブームに沸く大衆社会化現象の一方で、宏大な植民地と「2つの国民3つの階級」を内包した帝国の矛盾が、露呈し始める。
アメリカ経済は甦るか
講談社現代新書
長期低落の経済に果たして歯止めはかかるか貿易・財政の膨大な“双子の赤字”を抱え、世界最大の債務国に転落したアメリカ。強力なリーダーシップは甦るのか? アメリカ経済の底力を詳細なデータで分析。

フロンティアと摩天楼 新書アメリカ合衆国史
講談社現代新書
大平原を大陸横断鉄道がつらぬき、ゆたかな資源と市場をバックに、史上最強の産業帝国へ躍りあがるアメリカ。やがてくる「暗黒の木曜日(ブラック・サーズデイ)」の影をはらむ、繁栄と保守と享楽の時代を描く。 都市住民の娯楽と文化――この時代にはまたマス・メディアがかつてないほど発達した。新しいジャーナリズムの父がジョーゼフ・ピューリッツァーだった。……彼は、災害、スキャンダル、スポーツの記事で紙面を満たし、センセーシーナルな見出しをつけた。漫画を連載し、黄色で印刷したので、このような新聞を「イェロウ・ジヤーナリズム」というようになった。そしてウィリアム・ランドルフ・ハーストが、……ピューリッツァーに対抗することになる。オーソン・ウェルズの映画『市民ケーン』のモデルである。都市を基盤とした大衆消費・大衆文化の時代は、すぐそこまで来ていたのである。――本書より

大蔵省
講談社現代新書
60兆円にのぼる国家予算をにぎり官界の頂点に君臨する大蔵省。主計局のパワー、主税局の頭脳、そして巧妙な他省庁コントロール。自民党とのすさまじい確執をくりかえすエリートたちの権力の城を内部から克明にえがく。
われら富士山、ほかは並びの山――大蔵省は政府行政機関の一つにすぎないにもかかわらず、「官庁の中の官庁」とよばれる。そして、大蔵官僚たらは長らく「同輩中の首席(プリムス・インテル・パレス)」として、霞が関の他の省庁の同僚たちの上に君臨してきた。彼らは後輩たちにこういってきかせる。「君たちは並の官僚とはちがうんだ」と。やがて後輩たちもまた「天下の大蔵省」「われら富士山、ほかは並びの山」という意識をもつようになる。もちろん、「各省庁にはそれぞれの役割があって、大蔵省もその一つにすぎない。いまどき、われら富士山、なんていっているのは田舎からでてきた人だ」(大蔵省某課長)と否定する声もあるが、大蔵省のもつ権限の絶大さ、それに由来する大蔵官僚たちの強烈な特権意識はまぎれもない事実である。――本書より

フリーメイソン
講談社現代新書
ゲーテ、ワシントン、マッカーサー……歴史を彩ったフリーメイソンは数知れない。『魔笛』に描かれた、密儀参入と人間完成への希求。古代と近代、神秘と科学、人間と神をつなぐネットワーク。フリーメイソンを、西欧思想の系譜に、鮮やかに位置づける。
『ウィルヘルム・マイスター』に描かれたフリーメイソン精神――そこには「塔の結社」というフリーメイソンをモデルとする組織が登場し、主人公ウィルヘルムの自己実現を助ける。……ウィルヘルムはやがて、こうした理想の実現を求めて、同志とともに新大陸アメリカへの移住を決意する。ウィルヘルムは小説の中の人物であるが、彼の目指すアメリカでは、新しい理想国家の実現のための活動は着々と進められていた。そして、アメリカという現実の国家建設において重要な役割を果たしたのも、フリーメイソンであった。われわれも、ウィルヘルムとともに、アメリカに眼を転じてみることにしよう。――本書より
はじめてのシンセサイザ-
講談社現代新書
あらゆる音を創り出すシンセサイザ-の魅力キ-ボ-ド操作で楽器の音色から自然の音まで自在に奏でる電子楽器は,この世にない音にも挑む.音楽の可能性を広げ,音の世界を深めるシンセサイザ-への手引き
変革の企業文化
講談社現代新書
社風から製品戦略まで活性的企業文化を解剖日立野武士,東芝紳士など企業のイメ-ジは,同業種においても多様である.社風,経営理念,組織構造,人事戦略など含めた企業文化を詳細に調査,分析した力作.

大陸国家の夢 新書アメリカ合衆国史(1)
講談社現代新書
超大国の礎はどのように築かれたのか?モザイックな植民地時代から、独立革命をへて民主国家の建設、そして資本主義体制への途をひらく、凄絶な南北戦争――。アメリカ創世の物語を骨太に描き出す。 南北戦争の戦利品――リンカン亡きあとの共和党の課題は、南部脱退という、いわばどさくさの非常時に獲得したこれらの戦利品と、戦時権力によって築き上げた党組織を、いかに守り通すかにあった。解放された黒人の処遇は、南部に政治改革を強要する共和党急進派と、戦後連邦に復帰してくる南部白人と、裸一貫で解放された黒人たちとの、三つどもえの戦いの中で決定されることになる。黒人にとってはこれからが正念場であった。――本書より

密教 悟りほとけへの道
講談社現代新書
深い精神集中によって宇宙の真理を体得する「阿字観」瞑想法や、神秘の炎に祈願をこめる「護摩」の行法。ほとけを供養する数々の秘儀・秘法。聖なるほとけと俗なる身の合一をめざす、密教思想と実践の世界へ、読者を誘う入門書。 “聖俗合一”の境地をぬざす――日本密教の基本は、われわれは本来さとりの可能性をもっているという《本覚思想》を特徴とする《現世成仏思想》にあるといえる。すなわち、ほとけに代表される聖なるものと、われわれのような俗なるものが、何らかの状況下において合一しうるとする神秘主義の一種である。これは、筆者の言葉でいえば、聖と俗という元来次元の異なるものの関係であり、ベクトル的にいうと、垂直方向をもった構造である。そして、その垂直の関係が、可能性としては必ず結びついて成り立っていると確信するのが密教の信仰である。――本書より
交渉力の英語
講談社現代新書
交渉下手な日本人に示す英語交渉のノウハウ外国人にさまざまな誤解を与えてきた交渉英語を、豊富な実例をあげて正し、ディベート術、プリンシプル・ネゴシエーションを駆使する英語交渉の真髄を提示する。

日本の名句・名言
講談社現代新書
朝には紅顔ありて夕には白骨となれる身なり 善人なをもて往生をとぐいはんや悪人をや 生はうたかた。一期は夢。金が敵の虚仮の世間、凡夫は仏を念じ、春雨に酔う。人の世のことわりをどう見るか。名言・名句に心の拠り所をさぐる。
武士道と云は、死ぬ事と見付たり――武士階級が最上層に君臨していたのだから、彼らは「高貴なる者」であったはずだ。ところが、その武士階級に支配者としての自覚がなかった。支配者としての自覚を持つということは、農・工・商の支配される階級の人々の幸福に責任を持つことだが、彼ら江戸の武士にはそんな責任感がほとんどない。極端に言えば、彼らは被支配階級が生活に苦しもうが、不幸になろうが、そんなことはどうでもよかったのだ。彼らの関心は、ただただ自分たらの頭目(親分)である主君に気に入られることであった。(中略)江戸の武士たちは、主君のために命を投げ出すことだけ考えていた。つまり、彼らは主君の飼い犬であって、被支配階級に対する支配者としての責任は、これっぽっちも持っていなかったのだ。――本書より

ヨーガの哲学
講談社現代新書
世俗を捨て、「精神の至福」を求める哲学――ヨーガ。行者仏陀の悟りは、密教(タントリズム)、禅となり、世界中にひろがった。身体のエネルギーセンター――チャクラ、調気法、6つの坐法(アーサナ)、マンダラを前に瞑想する観想法など、体験をとおして、その精神をときあかす。

シャ-ロック・ホ-ムズの推理学
講談社現代新書
初対面の相手と握手をした瞬間、どこから来たか、何者かを、ホームズは常に見抜いていた。快刀乱麻の洞察は、想像力を駆使した「成功の確率を高める」方法に支えられる。ホームズのめまぐるしく動く頭脳の内部へ誘い、真実解明への論理過程をあざやかに解きほぐす。
ホームズの推理はどんな推理か――多少とも論理学をかじった人なら、「ホームズの推理は帰納推理なのだ」といって満足してしまうかもしれない。しかし、演繹的推論でない推理をすべて十把ひとからげで「帰納推理」と名付けても、(1)の推理の本性が明らかになったわけではない。確かに、不確実な推理すべてを総称的に「帰納推理」と呼ぶことはあるが、19世紀においてさえ、「帰納」という語にはもっと正確な意味付けがおこなわれていたのである。後に詳しく述べるように、「帰納」という言葉は、実は、19世紀の科学方法論をみるときのひとつのキーワードなのである。それはともかく、ホームズの名人芸は、まさにこのような不確実で例外がありうるはずの推理を使いこなして、正しい結論にたどりつくところにある。――本書より

現代思想を読む事典
講談社現代新書
思想は常に「現代思想」である。古典も時代の現実と切り結ぶ前衛であった。枠組みが消失し、実体が宙吊りされたいま、思索するための有効な言葉は何か。現代思想は何を明らかにしようとするのか。問題の所在を提示。
思想の言葉――自分の言葉がまだどれほど貧弱であろうとも、その言葉が当人の責任ある言葉であるかぎりでは、これは大変貴重である。最初に発せられる言葉はつねに貧しく荒削りであるものだ。最初から秩序立って完成している言葉などはどこにもありはしない。荒削りの言葉、それも現代との緊迫した対決のなかで産み出された言葉こそが、思想の生命というべきである。およそ現代的現実に触れもせず。それに無関心な言葉などはうたかたのごときものである。古い伝統ある言葉だけが「古典的」であるのではない。時代の最先端にあって、孤独に厳しく時代と取り組む言葉もまた同じ程度に「古典的」である。思想はつねにアヴァンギャルディスムを内に含むものでなくてはならない。――編者のことば
AI―人工知能のコンセプト―
講談社現代新書
AI(人工知能)はいかにすれば可能か? 現代の錬金術・AIの実際を解説しつつ,その持っている思想的意味を究明し,コンピュ-タ社会の可能性と矛盾を,現代思想にも造詣深い気鋭の著者が明晰に解剖.

日本語をみがく小辞典(動詞篇)
講談社現代新書
「さすらう」「いさよう」「たゆとう」……“移動”を表すにも言い分けが必要だ。45の基本動詞から、さかのぼり、派生する、多彩な類語の使い分け。〈動詞〉という鉱脈に、魅力ある日本語を掘り起こす!
知る――対象の全き統括――もともと「知る」は「領る(しる)」で、それをすみずみまで思いのままに支配するという意味だった……そこから、世話をし面倒を見ることにも「領る」が使われ、細かく面倒を見ることは、対象や相手を認識し、じゅうぶんに理解することになるから、今日の「知る」意味も生まれてくる。とにかく存分にほしいままにできる状態が「しる」ことなのだから、逆に、何物かに自分の心が占領され支配されて心の働きが奪われてしまえば、魂が抜けたようになり、馬鹿同然の精神状態に陥ってしまうだろう。「痴れ者」などという「痴れる」がこれで、「しる」の受身形だ。――本書より
金融指標を読みこなす
講談社現代新書
金融経済欄を読みこなすための実用ガイド。コール、CP、CDなど短期金融市場から債券、株式、外為の指標まで、多用化するマーケットのしくみと世界経済の動きを知るための指標で読むガイド・ブック。

はじめてのヒアリング―耳からの英語入門
講談社現代新書
耳からの英語入門。簡単な英語が聞きとれないのはなぜか?綴り(スペリング)と発音の関係、「速すぎてわからない」と音のくずれ・脱落など、発音の法則を基礎から明らかにしながら、「聞きとれる」耳づくりのノウハウを公開する。