講談社現代新書作品一覧

密教 悟りほとけへの道
講談社現代新書
深い精神集中によって宇宙の真理を体得する「阿字観」瞑想法や、神秘の炎に祈願をこめる「護摩」の行法。ほとけを供養する数々の秘儀・秘法。聖なるほとけと俗なる身の合一をめざす、密教思想と実践の世界へ、読者を誘う入門書。 “聖俗合一”の境地をぬざす――日本密教の基本は、われわれは本来さとりの可能性をもっているという《本覚思想》を特徴とする《現世成仏思想》にあるといえる。すなわち、ほとけに代表される聖なるものと、われわれのような俗なるものが、何らかの状況下において合一しうるとする神秘主義の一種である。これは、筆者の言葉でいえば、聖と俗という元来次元の異なるものの関係であり、ベクトル的にいうと、垂直方向をもった構造である。そして、その垂直の関係が、可能性としては必ず結びついて成り立っていると確信するのが密教の信仰である。――本書より
交渉力の英語
講談社現代新書
交渉下手な日本人に示す英語交渉のノウハウ外国人にさまざまな誤解を与えてきた交渉英語を、豊富な実例をあげて正し、ディベート術、プリンシプル・ネゴシエーションを駆使する英語交渉の真髄を提示する。

日本の名句・名言
講談社現代新書
朝には紅顔ありて夕には白骨となれる身なり 善人なをもて往生をとぐいはんや悪人をや 生はうたかた。一期は夢。金が敵の虚仮の世間、凡夫は仏を念じ、春雨に酔う。人の世のことわりをどう見るか。名言・名句に心の拠り所をさぐる。
武士道と云は、死ぬ事と見付たり――武士階級が最上層に君臨していたのだから、彼らは「高貴なる者」であったはずだ。ところが、その武士階級に支配者としての自覚がなかった。支配者としての自覚を持つということは、農・工・商の支配される階級の人々の幸福に責任を持つことだが、彼ら江戸の武士にはそんな責任感がほとんどない。極端に言えば、彼らは被支配階級が生活に苦しもうが、不幸になろうが、そんなことはどうでもよかったのだ。彼らの関心は、ただただ自分たらの頭目(親分)である主君に気に入られることであった。(中略)江戸の武士たちは、主君のために命を投げ出すことだけ考えていた。つまり、彼らは主君の飼い犬であって、被支配階級に対する支配者としての責任は、これっぽっちも持っていなかったのだ。――本書より

ヨーガの哲学
講談社現代新書
世俗を捨て、「精神の至福」を求める哲学――ヨーガ。行者仏陀の悟りは、密教(タントリズム)、禅となり、世界中にひろがった。身体のエネルギーセンター――チャクラ、調気法、6つの坐法(アーサナ)、マンダラを前に瞑想する観想法など、体験をとおして、その精神をときあかす。

シャ-ロック・ホ-ムズの推理学
講談社現代新書
初対面の相手と握手をした瞬間、どこから来たか、何者かを、ホームズは常に見抜いていた。快刀乱麻の洞察は、想像力を駆使した「成功の確率を高める」方法に支えられる。ホームズのめまぐるしく動く頭脳の内部へ誘い、真実解明への論理過程をあざやかに解きほぐす。
ホームズの推理はどんな推理か――多少とも論理学をかじった人なら、「ホームズの推理は帰納推理なのだ」といって満足してしまうかもしれない。しかし、演繹的推論でない推理をすべて十把ひとからげで「帰納推理」と名付けても、(1)の推理の本性が明らかになったわけではない。確かに、不確実な推理すべてを総称的に「帰納推理」と呼ぶことはあるが、19世紀においてさえ、「帰納」という語にはもっと正確な意味付けがおこなわれていたのである。後に詳しく述べるように、「帰納」という言葉は、実は、19世紀の科学方法論をみるときのひとつのキーワードなのである。それはともかく、ホームズの名人芸は、まさにこのような不確実で例外がありうるはずの推理を使いこなして、正しい結論にたどりつくところにある。――本書より

現代思想を読む事典
講談社現代新書
思想は常に「現代思想」である。古典も時代の現実と切り結ぶ前衛であった。枠組みが消失し、実体が宙吊りされたいま、思索するための有効な言葉は何か。現代思想は何を明らかにしようとするのか。問題の所在を提示。
思想の言葉――自分の言葉がまだどれほど貧弱であろうとも、その言葉が当人の責任ある言葉であるかぎりでは、これは大変貴重である。最初に発せられる言葉はつねに貧しく荒削りであるものだ。最初から秩序立って完成している言葉などはどこにもありはしない。荒削りの言葉、それも現代との緊迫した対決のなかで産み出された言葉こそが、思想の生命というべきである。およそ現代的現実に触れもせず。それに無関心な言葉などはうたかたのごときものである。古い伝統ある言葉だけが「古典的」であるのではない。時代の最先端にあって、孤独に厳しく時代と取り組む言葉もまた同じ程度に「古典的」である。思想はつねにアヴァンギャルディスムを内に含むものでなくてはならない。――編者のことば
AI―人工知能のコンセプト―
講談社現代新書
AI(人工知能)はいかにすれば可能か? 現代の錬金術・AIの実際を解説しつつ,その持っている思想的意味を究明し,コンピュ-タ社会の可能性と矛盾を,現代思想にも造詣深い気鋭の著者が明晰に解剖.

日本語をみがく小辞典(動詞篇)
講談社現代新書
「さすらう」「いさよう」「たゆとう」……“移動”を表すにも言い分けが必要だ。45の基本動詞から、さかのぼり、派生する、多彩な類語の使い分け。〈動詞〉という鉱脈に、魅力ある日本語を掘り起こす!
知る――対象の全き統括――もともと「知る」は「領る(しる)」で、それをすみずみまで思いのままに支配するという意味だった……そこから、世話をし面倒を見ることにも「領る」が使われ、細かく面倒を見ることは、対象や相手を認識し、じゅうぶんに理解することになるから、今日の「知る」意味も生まれてくる。とにかく存分にほしいままにできる状態が「しる」ことなのだから、逆に、何物かに自分の心が占領され支配されて心の働きが奪われてしまえば、魂が抜けたようになり、馬鹿同然の精神状態に陥ってしまうだろう。「痴れ者」などという「痴れる」がこれで、「しる」の受身形だ。――本書より
金融指標を読みこなす
講談社現代新書
金融経済欄を読みこなすための実用ガイド。コール、CP、CDなど短期金融市場から債券、株式、外為の指標まで、多用化するマーケットのしくみと世界経済の動きを知るための指標で読むガイド・ブック。

はじめてのヒアリング―耳からの英語入門
講談社現代新書
耳からの英語入門。簡単な英語が聞きとれないのはなぜか?綴り(スペリング)と発音の関係、「速すぎてわからない」と音のくずれ・脱落など、発音の法則を基礎から明らかにしながら、「聞きとれる」耳づくりのノウハウを公開する。

哲学入門一歩前-モノからコトヘ
講談社現代新書
〈実体〉的三項図式にかわり、現相世界を網のように織りなす〈関係〉的存立構制、その結節としてたち顕れる「私」とは、どのようなものか? 量子論からイタリアの戯曲まで、多彩なモデルで素描する、現代哲学の真髄! (講談社現代新書)
「関係」を紡ぐ廣松哲学の真髄への第一歩! 実体(モノ)主義に代わり世界を織りなす事(コト)的構造とは? そしてその結節として立ち顕れる<私>とは誰なのか? 多様なモデルでイメージ豊かに素描する。

人生を励ます言葉
講談社現代新書
挫折や惑いのなかで出会った一行の文章が、君を励まし、勇気づける。深い思索と体験が生んだ珠玉の言葉を選りすぐり、君に贈るアンソロジー。
心に染みる言葉――一度知ったら二度と自分を離れなくなる、いくつかの言葉の組合せというものがあるものだ。それはなにも、いわゆる名句・名言といったものとは限らない。友人があるときに言ったなんでもない言葉が君の中に突き刺さって、以後なにかの折に思いだされ、君の行動を律することもあろう。ある小説のなかで(従ってあるシテュエーションのなかで)言われている言葉の一つが、似たような状況に君が立たされた場合に、指導原理のように働くこともあるだろう。一冊の厚い本、しかもそれは名著といわれ、君も熱中した本であっても、その全部が全部に感心するということはめったにない。そのなかで本当に君のいわば急所に触れた言葉、そっくりそのまま覚えてしまって、以後なにかの折に口にする言葉は、大抵は一行か二行の短いものであるだろうとおもう。――本書より

ユングの性格分析
講談社現代新書
男の思考型、女の感情型。新入類には直観型、感覚型が目立つ。外向・内向の心の構えに思考・感情・直観・感覚を組み合わせたユングの理念型を紹介し、自己分析の指針を示す。
心の二つの態度――ユングによれば、内気で閉鎖的な人は、内向型で、客体を無視する態度をとる。彼がいつも考えているのは、結局のところ客体からリビドーを奪いとることであって、まるで客体が優位に立つことを防がなければならないかのようである。それとは逆に、愛想がよく陽気な人は、外向型で、客体に対して積極的な態度をとる。彼は客体の意義を高く評価しているので、自分の注意をいつも客体に向け、それと関係づける。もしこれが意識的な意図で選ばれた方向であり、行為だとすれば、内向、外向というような対立がこれほど普遍的にみられることはないだろう。(略)しかし、実際には、これらの二つの性格は、ばらばらに分布していて、同じ環境にあり、同じ親に育てられた兄弟姉妹の中でも、ある子どもは内向的であり、別の子どもは外向的である。――本書より
メッカとリヤド
講談社現代新書
聖地と石油の王国サウジが抱える矛盾と将来王族が政治・宗教とも完全支配する一方で、近代的ビル群が建ち並ぶ奇妙な国。厳格なイスラム法と西欧文化の矛盾に悩む「大国」サウジアラビアの実像を紹介する。
大魔術の歴史
講談社現代新書
古代エジプトまでさかのぼる大魔術の変遷史「人体浮揚術」「消えた貴婦人」「美女の胴体切断」はいつみてもハラハラドキドキするもの。インド・中国・欧米そして日本で花開き変容をとげた大魔術を徹底解剖
仏教のキイ・ワ-ド
講談社現代新書
日本語のなかに息づく仏教の基本用語を紹介唐の名僧のことば「百千粒もこの一粒から生ずる」は聖書の「一粒の麦もし死なずんば…」を思わせる名言。以心伝心、色即是空など珠玉の名言に仏陀の真相を探る。

不思議の国アメリカ―別世界としての五〇州―
講談社現代新書
州境をこえれはそこは別世界。エリートの生産地マサチューセッツ、大男と大女と大ボラ話のテキサス、全米の憧れの地カリフォルニア――など、風土も文化も法も異なる「州」から、アメリカ人の多様な生活と魂を浮き彫りにする。
オレンジの皮をむくことに関する法律――アメリカをめぐるさまざまなイメージはすべて正しい。それぞれに真実をついているからである。その意味ではアメリカは、それを見た者の数だけこの世に存在することになる。しかしこのことを逆から言えば、アメリカは定義をこばんでいる。あまりにも広い国土と内にかかえる多様性は、一枚岩的なイメージの形成を困難にしている。事実、不思議なところのある国である。ハイテク産業が軒をつらねるシリコンバレーがある一方、21世紀が近づいた今日でも聖書の天地創造の物語がそのまま信じられている地域や、禁酒法が生きているところもある。「ホテルの滞在客は自室でオレンジの皮をむいてはならない」(カリフォルニア州)とか、「公衆の面前で衣類を脱いではならない」(二ユージャージー州)などという法律も現実に各州に存在する。――本書より
はじめての現代数学
講談社現代新書
現代数学が開示する新世界をやさしく解説。無限の取扱いと集合論、トポロジー、ゲーデルの不完全性定理、フラクタル理論など、モノからコトへの構造主義的転換をとげた現代数学のダイナミックな姿を描く。

新版 卑弥呼の謎
講談社現代新書
古代史研究のパラダイム変革を求め、数理文献学に基づいたユニークな方法論で邪馬台国の謎に挑戦。《卑弥呼=天照大御神》《邪馬台国=高天の原=北九州》という大担な仮説で一石を投ずる。
仮説の設定と検証――「邪馬台国問題をとく」とは、結局、邪馬台国問題について、もっとも矛盾がすくない、あるいは、「ほとんど矛盾のない」説明体系を構築することにほかならない。そのような説明体系は、仮説の設定とその検証という過程をとおしてのみ構築されるものである。どのように確実にみえる理論体系も、結局は、ひとつの仮説体系にすぎない。そのことは、対象が、自然科学、社会科学、人文科学のいずれの分野に属するものであるかを問わない。19世紀的文献批判学がみちびきだした結果も、また、ひとつの仮説である。したがって、それにたいする疑問や、その仮説とはあいいれないような事実が指摘されたばあいには、それらが、その仮説の基礎をゆるがすものであるのか、それとも、その仮説の範囲内で、説明がつくものであるのかが、検討されなければならない。――本書より

ジンギス・カンの謎
講談社現代新書
十二世紀、モンゴル高原に英雄が現れた。河西回廊を席巻し、ヨーロッパを震す大遊牧帝国が築かれてゆく。征服の野望はいつ生まれたか。伝説に埋もれたジンギス・カンの出自と死を解き、人間テムジンに迫る。
蒼い狼と白い牝鹿――蒼い狼と白い牝鹿とが天の命令でやってきたとして、その神聖化が行われていることに注目しよう。また『モンゴル秘史』の訳者村上正二氏によれば、「蒼い」(ボルテ)とは灰青色のことであり、「白い」(コアイ)とは「黄味がかった白色」のことをいい、たがいに対応する色であって、ともに聖なる色を表わすということであるから、修辞上からいっても神聖化の意図のあったことは明らかである。神聖な狼と牝鹿の間に生まれた最初の「人間」の名がバタチカンである。この聖なる初子バタチカンがモンゴル部の始祖となった。以上が第一の始祖伝説である。――本書より