講談社選書メチエ作品一覧

天国と地獄 キリスト教からよむ世界の終焉
講談社選書メチエ
世界の終わりが迫る。キリストの裁きの時が訪れる。大聖堂の彫刻に、礼拝堂の天井画や祭壇画に、人々は終末の風景をあくことなく描く。至福千年説、洪水幻想、楽園願望──キリスト教はなぜ世界の終焉に魅せられるのか。ジョット、ボス、ミケランジェロなどの代表的「最後の審判図」を読みながら、現代に通底する西洋の心性を読み解く。
【目次】
プロローグ ミレニアムの恐怖
第1章 終末のスペクタクル
1 至福千年
2 世界の終焉
3 洪水幻想
4 繰り返される終末
5 数字の魔力
第2章 「最後の審判」の図像学
1 「審判者」キリスト
2 善と悪を分ける
3 魂の重さを量る
4 死者の復活
5 取りなす者たち
6 天国か地獄か
第3章 アンチクリスト
1 アンチクリストの正体
2 アンチクリストの図像学
3 アンチクリストの到来
第4章 「最後の審判」図を読む 1イタリア
1 トルチェロ 西洋様式の原点
2 パドヴァ 恐怖と暗黒の勝利を描くジョット
3 オルヴィエート ルカ・シニョレッリの独創
4 システィナ礼拝堂 ミケランジェロのダイナミズム
第5章 「最後の審判」図を読む 2ロマネスクから北方へ
1 オータン キリスト教美術の精華
2 ロヒール・ファン・デル・ウェイデン ボーヌ祭壇画
3 ハンス・メムリンク 海賊に奪われた祭壇画
4 ヒロニムス・ボス 最後の円熟
5 ルカス・ファン・レイデン 市民のための「審判図」
第6章 楽園幻想 ボス「快楽の園」を読む
エピローグ ミレニアムを超えて
註
参考文献
あとがき
索引

エジプト王国三千年 興亡とその精神
講談社選書メチエ
ナイルという偉大な母が生んだ空前の文明。最初のファラオから三千年、最後の女王クレオパトラがローマの手から守ろうとしたエジプトとは何だったのか。強大な王権のもと、大神殿を造り、文字・暦を生み出し、30にも及ぶ王朝の繁栄を実現した古代エジプトの歴史とその精神世界を描き尽くす。
【目次】
はじめに
第1部 興亡三千年
第1章 ナイルの賜
1 ヘロドトスは記す
2 最初のファラオ
3 時代区分
第2章 王権の形成
1 王の名
2 神の息子
3 古王国の黄昏 文学にみる歴史
第3章 異民族の侵入と新王国の成立
1 ヒクソス
2 ハトシェプスト女王
3 トトメス三世のアジア遠征
第4章 アマルナ宗教改革そしてラメセスの登場
1 アクエナテンの夢
2 カデシュの戦い
3 ストライキと墓泥棒
第5章 グレコ・ローマン時代へ
1 アメン神権国家
2 クシュ王国
3 衰亡への道
第2部 古代エジプト人の精神世界
第6章 エジプト人の時空間
1 エジプト人の「国土」
2 暦の秘密 年代決定
3 民衆暦の導入
第7章 文字と文学
1 三種の文字とパピルス
2 文学は教訓だ
3 読んでみると
第8章 古代エジプトの宗教と芸術
1 宗教研究の三段階
2 信仰の諸相
3 エジプト美術の本質と変遷
おわりに
エジプト学入門書

下着の誕生 ヴィクトリア朝の社会史
講談社選書メチエ
ピアノの「脚」をも陰蔽したモラル厳しき時代、衣装の下は3キロを超える重装備だった。産業革命、消費社会の到来。未曾有の社会変動を被ったヴィクトリア朝。美女・健康・旅行・自転車・女性誌……。数々のブームが沸くなかで、下着もまた激変した。巨大クリノリン、緊縛するコルセットから健康下着が生まれ、フリルとレースの世界へ……。下着の機能と装飾の変遷に、現代女性の美意識の原点=「肌の解放」を探る。
【目次】
プロローグ
第1章 動きだした社会
1 ヴィクトリア朝のモラルと美
2 ブルーマー夫人登場
3 燃えるスカート
第2章 美女の時代
1 タイト・レイシング論争
2 官能性と視線
3 ファッションリーダーたち
第3章 健康と旅行とアヴァンチュールと
1 スポーツと旅行
2 国外旅行と「隠された動機」
第4章 服装改革運動
1 芸術家たちの活動
2 合理服協会
3 北国のヴィーナスとウール下着
第5章 ワイルド・ウーマンの登場
1 少女たちの教育
2 大自転車ブーム
第6章 フリルとレース 下着の楽しみへ
1 変化する下着とナイトウエア
2 室内の南国化
エピローグ
補論 ヴィクトリア朝と女性雑誌
註
引用・参考文献
あとがき
索引

廃藩置県 「明治国家」が生まれた日
講談社選書メチエ
「藩を廃す」。それは明治4年、瓦解寸前の政権を救う大久保らの「賭け」だった。電光石火の奇手に茫然とする藩主、公家、士族、頻発する藩主引留め一揆。現代日本にいたる「県」統一システムをもたらし、西洋化の出発点となった、中央集権国家誕生までの激動の舞台裏を描く。

民族から読みとく「アメリカ」
講談社選書メチエ
「同化」(メルティング・ポット)から「共存」(サラダボウル)へ! イギリス系、ドイツ系、イタリア系、ユダヤ系……。母国の風土と歴史をいやおうなく背負った移民たちの哀しみと歓び。やがて、それぞれの差異は差異のまま、新しい「アメリカ」が生まれ出る。超大国の活力を支える多元主義の実態を読みとく。
【目次】
プロローグ
第1部 エリートとなった移民 規範を作った者たち
第1章 アメリカの「本流」 イギリス系アメリカ人
1 マニフェストデスティニー
2 アメリカ的なるものの基層
3 反感の対象
第2章 アイロニーを生き抜く ドイツ系アメリカ人
1 ミューレンバークの伝説
2 固い団結
3 文化的貢献
4 引き裂かれるアイデンティティ
補論 その他エリート移民たち
第2部 遅れてきた移民 規範に従おうとした人たち
第3章 わが祖国は緑なりき アイルランド系アメリカ人
1 もっとも移民的な移民
2 飢餓のアイルランド人
3 アングロ・アメリカに対する抵抗
4 アメリカ化のパラドックス
第4章 都市の村人たち イタリア系アメリカ人
1 貧困からのだ出
2 南イタリアの特異性
3 標準化とのはざまで
補論 その他遅れてきた移民たち
第3部 エキストラ移民 同化せずに物言いをつける人々
第5章 選び取るアイデンティティー ユダヤ系アメリカ人
1 ディアスポラの果て
2 ニューヨークという「故郷』
3 新産業での活躍
4 自己批判と改革の精神
5 ユダヤ意識の変容
第6章 特異なるがゆえに アフリカ系アメリカ人
1 貧しき聖者
2 奴隷制度の影
3 ブラック・イズ・ビューティフル
補論 不本意移民
エピローグ
参考文献
さらに研究を進めたい方のために(文献案内)
あとがき
文献・作品名索引
事項索引
人名索引

魔都上海―日本知識人の「近代」体験
講談社選書メチエ
日本人はなぜこの都に耽溺したのか?天を衝く摩天楼、繁盛をきわめる茶館、そしておびただしい娼婦、アヘン窟。〈西洋の入り口〉にして、国民国家の〈破壊装置〉。高杉晋作、谷崎潤一郎、村松梢風らの「上海体験」を通し、幕末から昭和に至る近代日本を捉え直す。

海の文明 ギリシア 「知」の交差点としてのエーゲ海
講談社選書メチエ
ギリシアは常に海とともにあった。エーゲ海。この、世界のどこにもない海との出会いが、自由で若々しい文明を生み出して行く。クレタの躍動・イオニアの思弁・アテナイの繁華・マケドニアの栄光ーー。比類なき海が育んだ、比類なき文明のドラマを独自の史観で描く。
【目次】
はじめに──ギリシアはエーゲ海の賜物
序章 河の民エジプト
第一章 クレタの春
1 エーゲ海世界の誕生
2 豊穣なる島の文明
第二章 イオニアの夏
1 ギリシア民族の誕生
2 花開くポリス
3 エーゲ海から地中海へ 航海と移動の時代
4 ホメロスとギリシア精神
第三章 アッティカの晩夏
1 「帝国」の時代
2 陸の帝国ペルシアとの戦い
3 エーゲ海帝国アテナイの光と影
4 アテナイの落日
第四章 マケドニアの秋
1 異端のギリシア=マケドニア
2 エーゲ海を去りし行くアレクサンドロス
終章 陸の民ペルシア
おわりに
参考文献

戦国大名の日常生活
講談社選書メチエ
勝つことを宿命づけられた存在。それが戦国大名だった。利益しだいですぐ離反する家臣。地域エゴむき出しの領民……。国を治め天下を望む以前に、彼らの欲望をみたすのが先決の、薄氷を踏むような日々。合戦からは見えない赤裸々な姿を、甲斐武田家3代を通して活写する。

哲学問題としてのテクノロジー ダイダロスの迷宮と翼
講談社選書メチエ
バイオ、ナノ、コンピュータ──3つの究極のテクノロジー。生命・物質・情報を「編集」する驚異の技術を手に、人類はどこへ行くのか?解体する「主体」。〈知〉の根源的変容。怪物と化した「システム」……。「生命」「時間」の視点から、〈知〉とテクノロジーと自由の新たなあり方を探る。
【目次】
はじめに ダイダロスの翼
序章 知の行方
1 知とテクノジー
2 テクノロジーの現在
3 知のステイタスの変化 ポストモダニズムの射程
4 文化のリエンジニアリングに向けて
第一章 技術の哲学史
1 古代ギリシアの技術論
2 錬金術の中世
3 ハイデガーとサイバネティクス
4 技術と自由
第二章 文明のソフトウェア
1 情報社会と「第三の波」
2 技術と文明
3 言説と対話
第三章 〈主体〉の終焉
1 主体の誕生
2 未来派と相互浸透
3 サイボーグ的主体
第四章 三つの技術と二つの文化
1 「二つの文化」
2 三つのテクノロジー
3 自己編集的な技術へ
4 身体と意識の可塑性
第五章 情報テクノロジーのパラドクス
1 データベースの知
2 情報の経済文化
3 時間と情報
第六章 生命とアナザーワールド
1 遺伝子の夢
2 文化という外部情報装置
3 ワールド・プロセッシング/ライフ・プロセッシング
第七章 文化の気象学のために 結びにかえて
1 身体と媒介性
2 社会システムとその残余
3 文化の気象学
註および引用文献
あとがき
索引

モーツァルト=二つの顔
講談社選書メチエ
天真爛漫、無邪気な天才──。それはモーツァルト一流の「演技」だった。冷徹な計算、シニカルな人間描写、社会変革への情熱。最新の研究にもとづいて名曲の数々を聴き直し、その「魅力」と「毒」の根源に迫る。
推薦CDガイド付き。

ロ-マ帝国愚帝列伝
講談社選書メチエ
ネロ・カリグラ・カラカラ……。世界の頂点に上りつめ、残虐・淫蕩・放埒の果てに破滅した「愚帝」たち。魂の底知れぬ深淵を露呈する愚行にもかかわらず、巨大帝国ローマが揺るがなかったのはなぜか。その秘密に迫る。

関東軍
講談社選書メチエ
戦前の日本にとって「満州」とはいったい何だったのか。
戦後55年、あらためて学ぶ歴史の教訓
大陸政策の尖兵、関東軍。彼らの「独走」の意味とは?満州事変、張鼓峰事件、ノモンハン事件、そしてソ連の進攻。40年にわたって満州の野に繰り広げられた大日本帝国の思想と行動をたどり、「精強無比」「無敵七十万」を謳われた組織の興亡を、戦史に基づき克明に追う。

とんかつの誕生
講談社選書メチエ
あんパン、ライスカレー、コロッケ、とんかつ
明治維新。それは1200年の禁を破る「食べ物革命」だった。天皇の肉食、政府・知識人の西洋料理キャンペーン、そして反西洋食騒動。とまどう庶民はやがて、自分の口に合う牛鍋・あんパン・ライスカレー・コロッケを生み出していく。「洋食の王者」とんかつが誕生するまで、食卓60年の疾風怒濤を生き生きと描く。

交易する人間(ホモ・コムニカンス)
講談社選書メチエ
人間存在の根源を追究する今村理論の新展開! ヒトは、なにを、なぜ、交易するのか? 自然と「交感」し、人と「交際」し、物を「交換」する人間=ホモ・コムニカンス。ポトラッチ、歓待(ホスピタリティー)、クラ交易、供犠(サクリファイス)──人間存在の根源に宿る「負債」が駆動する行為。「敵対」を「友好」に変える贈与体制の驚くべき叡知とは? 資本主義が破壊した文化制度を検証し、人間学に新地平を切り拓く。
人間存在の根源を追究する今村理論の新展開!
ヒトは、なにを、なぜ、交易するのか?
自然と「交感」し、人と「交際」し、物を「交換」する人間=ホモ・コムニカンス。ポトラッチ、歓待(ホスピタリティー)、クラ交易、供犠(サクリファイス)──人間存在の根源に宿る「負債」が駆動する行為。
「敵対」を「友好」に変える贈与体制の驚くべき叡知とは?資本主義が破壊した文化制度を検証し、人間学に新地平を切り拓く。

自己コントロールの檻 感情マネジメント社会の現実
講談社選書メチエ
〈感情は危険なものです〉
〈「感情の知性」を習得して、よりよいあなたに!〉……。
高度な合理化とセルフコントロールが支配する「心理主義化社会」の時代。携帯技能(ポータブルスキル)=「心の知識」が可能にしたソフトな「鉄の檻」。その新たな監理の現実とは?「人格崇拝」「マクドナルド化」をキーワードに、現代社会の息苦しさを解読する。
【目次】
はじめに 心の知識を求める人々
第一章 心理主義化社会
1 心理主義化する社会
2 社会学の視線
3 人格崇拝とマクドナルド化
4 感情のマネジメント
第二章 高度化する「自己コントロール」
1 問題としての感情
2 自己コントロールの低下?
3 人格崇拝と合理化の規範
第三章 人格崇拝の厳格化
1 相互行為儀礼としての人格崇拝
2 「行き過ぎたやさしさ」
3 ’自己崇拝’のすすめ
第四章 「マクドナルド化」する個人
1 「感情の知性」とは何か
2 ポータブルスキルとしての「感情の知性」
3 社会のマクドナルド化
第五章 フレキシブルな社会の編成
1 新たな合理化
2 雇用流動性と心理主義
3 心理学のヘゲモニー
第六章 「合理性の非合理性」
1 人格崇拝への侵犯
2 非合理な帰結
おわりに 社会は存在しないのか
注
引用・参考文献
あとがき
索引

ヒムラーとヒトラー 氷のユートピア
講談社選書メチエ
遠くウラルの麓まで拡がる沃野に、東方ゲルマン大帝国を──。総統ヒトラーと、その忠実な従者ヒムラーに妄想が宿るとき、鉄の規律の親衛隊が、整然とホロコーストへ動きだした。狂気と合理性に彩られたナチズムの悪魔を読み解く。
【目次】
序章 ユートピアとしてのナチズム
第一章 近代の地下水脈
1 進歩の時代
2 帝国主義と社会ダーウィン主義
3 ドイツにおける反ユダヤ主義
第二章 ナチズム運動とヒムラー
1 世界戦争・世界革命の衝撃
2 ヒムラーという男
3 ナチズムの権力掌握
第三章 親衛隊国家のイデオロギー
1 指導者国家
2 民族共同体の番人 親衛隊と警察
3 人種的エリート集団のモラル
4 甦るドイツ騎士団
第四章 東方ゲルマン大帝国構想
1 生存圏
2 地上の楽園 人種帝国のユートピア
3 東部総合計画 理性とユートピア
第五章 最終的解決 二度と書かれざる栄光
1 ヒトラーの反ユダヤ主義
2 人種の衛生・民族の健康
3 最終的解決 親衛隊の黙示録的栄光
終章 ユートピアの後で
註
あとがき
書名・文献索引
人名索引

嘘をつく記憶 目撃・自白・証言のメカニズム
講談社選書メチエ
なぜ、目前で見た「少年」の顔が「大人」として記憶されるのか。他人の犯行を自分のものと思いこむ理由は?凶器というストレス、過酷な取り調べが生みだす知覚の歪み、記憶の変容の構造を解明し、日本の捜査の問題点、あるべき未来を問い直す。
【目次】
プロローグ 冤罪はつくられる
第一章 記憶のメカニズム
1 目撃証言の功と罪
2 情報処理理論の登場
3 記憶がゆらぐとき──子どもと老人の目撃記憶
第二章 変容する「目撃」
1 消える記憶
2 何が知覚を妨げるのか
3 目撃者が見た事件
4 ボトムアップ処理とトップダウン処理
5 変装は見破れるか
第三章 「目撃記憶」論争
1 忘却はなぜ起きるか
2 「統合仮説」対「共存仮説」
3 無意識転移が生じるとき
4 凶器というストレス
第四章 無実の人が自白に追い込まれるとき
1 つくられた犯人
2 偽証自白のメカニズム
第五章 何が証拠となりうるか
1 誘導尋問が変えた記憶
2 認知的尋問法の可能性
3 面通しが生んだ悲劇
4 似顔絵とモンタージュ写真
エピローグ 日本の捜査・欧米の捜査
参考文献
あとがき
索引

大清帝国
講談社選書メチエ
満州(マンジュ)族の一小国が、飽くなき革新力により、巨大な中華世界を飲み込む。その力は中華世界を越え、中央アジアへ進出し、イスラムをも取り込んだ空前の大版図を築く。華夷秩序を超越する世界帝国の体現者=清朝。それは、満・蒙(モンゴル)・漢・蔵(チベット)・回(ウィグル)5族からなる、現代中国の原型だった。康煕・雍正・乾隆の3代皇帝を中心に、その若々しい盛期を描く。(講談社選書メチエ)
満州(マンジュ)族の一小国が、飽くなき革新力により、巨大な中華世界を飲み込む。その力は中華世界を越え、中央アジアへ進出し、イスラムをも取り込んだ空前の大版図を築く。華夷秩序を超越する世界帝国の体現者=清朝。
それは、満・蒙(モンゴル)・漢・蔵(チベット)・回(ウィグル)5族からなる、現代中国の原型だった。康煕・雍正・乾隆の3代皇帝を中心に、その若々しい盛期を描く。

日本陸軍と中国
講談社選書メチエ
陸軍「支那通」──中国スペシャリストとして、戦前の対中外交をリードした男たち。革命に共感をよせ、日中提携を夢見た彼らがなぜ、泥沼の日中戦争を用意してしまったのか。代表的支那通、佐々木到一たちの思想と行動をたどり、我が国対中政策失敗の原因を探る。

思想としての孤独 〈視線〉のパラドクス
講談社選書メチエ
自主独立の近代人「ロビンソン・クルーソー」の末裔である私たちが彷徨う、「孤島」と「砂漠」が充溢する都市の風景。そこでは「孤独の苦悩」よりも「孤独の不能」こそが問われている。文学的想像力の生んだ〈透明人間〉〈分身〉〈怪物〉を鍵に、現代社会と孤独の本質をあぶりだす。
【目次】
プロローグ 孤独のフィギュール
第一章 社会的死と孤独
1 社会的死とはなにか
2 社会的世界のパースベクティヴ
3 透明人間のジレンマ
第二章 透明人間の肖像
1 透明人間の孤独
2 文学的想像力と透明人間
3 透明人間のジレンマ
第三章 分身の肖像
1 孤独の譲渡
2 分身の問い
3 孤独な分身たち
第四章 透明のパラドクス
1 可視性と不可視性
2 透明の達成
3 透明と不透明
第五章 怪物としての日常
1 再帰する分身
2 分身と怪物
3 怪物との遭遇
第六章 分身と社会秩序
1 分身のスキャンダル
2 社会的現実と分身
3 抑圧される分身
第七章 孤独と社会
1 透明と分身
2 孤独の社会学
3 孤独のパラドクス
エピローグ 社会の詩学
参考文献
あとがき
索引