講談社選書メチエ作品一覧

大清帝国
講談社選書メチエ
満州(マンジュ)族の一小国が、飽くなき革新力により、巨大な中華世界を飲み込む。その力は中華世界を越え、中央アジアへ進出し、イスラムをも取り込んだ空前の大版図を築く。華夷秩序を超越する世界帝国の体現者=清朝。それは、満・蒙(モンゴル)・漢・蔵(チベット)・回(ウィグル)5族からなる、現代中国の原型だった。康煕・雍正・乾隆の3代皇帝を中心に、その若々しい盛期を描く。(講談社選書メチエ)
満州(マンジュ)族の一小国が、飽くなき革新力により、巨大な中華世界を飲み込む。その力は中華世界を越え、中央アジアへ進出し、イスラムをも取り込んだ空前の大版図を築く。華夷秩序を超越する世界帝国の体現者=清朝。
それは、満・蒙(モンゴル)・漢・蔵(チベット)・回(ウィグル)5族からなる、現代中国の原型だった。康煕・雍正・乾隆の3代皇帝を中心に、その若々しい盛期を描く。

日本陸軍と中国
講談社選書メチエ
陸軍「支那通」──中国スペシャリストとして、戦前の対中外交をリードした男たち。革命に共感をよせ、日中提携を夢見た彼らがなぜ、泥沼の日中戦争を用意してしまったのか。代表的支那通、佐々木到一たちの思想と行動をたどり、我が国対中政策失敗の原因を探る。

思想としての孤独 〈視線〉のパラドクス
講談社選書メチエ
自主独立の近代人「ロビンソン・クルーソー」の末裔である私たちが彷徨う、「孤島」と「砂漠」が充溢する都市の風景。そこでは「孤独の苦悩」よりも「孤独の不能」こそが問われている。文学的想像力の生んだ〈透明人間〉〈分身〉〈怪物〉を鍵に、現代社会と孤独の本質をあぶりだす。
【目次】
プロローグ 孤独のフィギュール
第一章 社会的死と孤独
1 社会的死とはなにか
2 社会的世界のパースベクティヴ
3 透明人間のジレンマ
第二章 透明人間の肖像
1 透明人間の孤独
2 文学的想像力と透明人間
3 透明人間のジレンマ
第三章 分身の肖像
1 孤独の譲渡
2 分身の問い
3 孤独な分身たち
第四章 透明のパラドクス
1 可視性と不可視性
2 透明の達成
3 透明と不透明
第五章 怪物としての日常
1 再帰する分身
2 分身と怪物
3 怪物との遭遇
第六章 分身と社会秩序
1 分身のスキャンダル
2 社会的現実と分身
3 抑圧される分身
第七章 孤独と社会
1 透明と分身
2 孤独の社会学
3 孤独のパラドクス
エピローグ 社会の詩学
参考文献
あとがき
索引

<在日>という生き方 差異と平等のジレンマ
講談社選書メチエ
「異質」な存在が日本を変える
日本人でもない。韓国・朝鮮人でもない。「異質」な存在として日本社会を生きる60万在日コリアン。2つの祖国に揺れた力道山。「日本人」を志向した新井将敬。日本というシステムと闘う孫正義──彼らの半世紀を通し、「祖国」や「民族」の意味を問い、日本社会の「内なる国際化」をとらえなおす。
【目次】
序章 在日が変える日本社会
第一部 〈在日〉を考える
第一章 同化と異化の狭間で 在日の現在
1 同化という言説
2 データが語る若者たちの素顔
3 若者たちの新しい生き方
第二章 差異と平等のジレンマ
1 民団と朝鮮総連が誕生したとき
2 日立裁判から公民権運動へ
3 指紋押捺拒否運動のうねり
4 参政権を求めて タブーに挑戦した人びと
第三章 帰属への抵抗 在日として生きる意味
1 「第三の道」論争
2 「事実としての在日」と「方法としての在日」
3 参政権をめぐる論争
4 帰属への抵抗
第二部 〈在日〉を生きる
第四章 二つの祖国──力道山の伝説
1 海峡を越えた民
2 書きかえられた出自
3 メディアが造りあげた「日本人の英雄」
4 母国の英雄
第五章 祖国の壁 本国投資に命を懸けた三人の男たち
1 徐甲虎の悲劇
2 辛格浩の二つの顔
3 李熙健の挑戦
第六章 日本人になりたい 新井将敬の生きざま
1 新井の死
2 帰化への道のり
3 エリートコースの階段
4 出自との闘い
第七章 日本というシステムと闘う 孫正義の挑戦
1 「日本人でも韓国人でもない」
2 民族名で生きる
終章 在日コリアンはどこに向かうのか 民族教育の未来
参考文献一覧
あとがき
索引

「私」とは何か
講談社選書メチエ
心理学最大の課題に果敢に挑む
内面の世界が生まれるまでの、気の遠くなる道のりをたどり直す。
「白紙の状態」で生まれ落ちたはずの人間が、他者と絡みあいながら、いつしかほかの誰でもない、「私」となる。ことばと身体という、存在の根底に立ち戻ったとき、そこにはいったい、どんな光景が見えてくるのだろうか?発達論的還元の手法を武器に、この不思議に立ち向かう。

人体部品ビジネス 「臓器」商品化時代の現実
講談社選書メチエ
すでに事態はここまできている!
このレポートを前に、あなたはいったい何を考えるか。
心臓弁が6950ドル、アキレス腱は2500ドル。提供された人体組織を加工して急成長するアメリカ産業。刑務所や病院を舞台にしたフィリピン、インドの腎臓売買。いまや臓器が「商品」となり、脳死体は「医療資源」と化す。テクノロジーと資本主義の行き着く果てを見つめ、倫理を問う。
【目次】
はじめに
第一部 人体利用・商品化の現実
序章 クライオライフ社訪問記
第一章 医療資源・商品としての人体
1 移植用人体部品
2 遺伝子治療とバイオ医薬品
3 ヒト組織・細胞 薬物試験と医学研究
第二章 囚人の臓器を買う神父 フィリピン臓器売買事情
1 臓器売買はどこで、なぜ起きる
2 刑務所がコーディネーター
3 禁止する理由はなにもない
第三章 募金で臓器を買う少年 インド臓器売買事情
1 調査開始
2 売買ではなく謝礼だ! デリー
3 スモール・ビジネスの夢 ボンベイ
4 「腎臓」村 マドラス
5 混沌のなかで カルカッタほか
中間考察
第四章 人体利用・商品化の歴史と近未来
1 骨笛とどくろ盃
2 人体実験
3 ゆきつく果て 首から下の脳死身体の移植
第二部 人体利用・商品化の意味論
第五章 人体を資源・商品としてよいのか
1 ヒトは死んでもゴミにはなれない
2 不可逆過程
3 歯止めはないのか 人体利用・商品化の法と倫理
第六章 臓器売買はなぜ悪い
1 根本的矛盾
2 七つの背景
3 根強い賛成論
おわりに
補論
註
あとがき

破天荒<明治留学生>列伝 大英帝国に学んだ人々
講談社選書メチエ
日本近代化の尖兵・明治留学生。彼らは、大英帝国で「奮闘」していた。剣橋(ケンブリッジ)大学首席伝説まで生んだ菊池大麓──15歳にして、2度目の英国留学をした怪童。大倉財閥2代目の趣味人・喜七郎──英国初のカーレースで第2位入賞。大秀才、遊び人、苦学生……。激動の時代を駆け抜けた留学生たちの夢と希望と挫折の日々をつづる。
【目次】
プロローグ
第一章 秀才伝説の誕生
1 『タイムズ』の記事 「日本の大学と英国の大学」
2 菊池大麓の秀才ぶり
3 ユニヴァーシティ・カレッジ・スクールとロンドン大学
第二章 幕末・明治維新期の海外留学
1 海外留学の見取り図
2 慶応二年の留学
第三章 東大教授・菊池大麓のケンブリッジ時代
1 セント・ジョンズ・カレッジ
2 数学のケンブリッジ
3 同僚ラングラーとトライポス試験
4 明治一六年事件と英国科学振興協会
第四章 明治期のケンブリッジ留学生 1
1 末松謙澄のケンブリッジ留学
2 前田利武・安広伴一郎・黒田長成
第五章 明治期のケンブリッジ留学生 2
1 稲垣満次郎とマカリスター
2 ケンブリッジ日本人会
3 その後の留学生たち
4 「苦」学生と「楽」学生
第六章 ケンブリッジ留学の成果
1 剣牛会
2 教育行政家・菊池大麓
3 『日本の教育』そして天皇制国家観
4 明治留学生の奮闘
エピローグ
注および参考文献
あとがき
索引

<自己愛>の構造 「他者」を失った若者たち
講談社選書メチエ
心が生涯求めつづける究極の存在とは? 「他者」なき現代人を襲う病理とは? 他者との関係性のなかで「自己」の構造をとらえなおしたコフート。フロイトの精神分析をぬりかえ、90年代アメリカで隆盛を誇る理論でよみとく現代日本の病理。
【目次】
プロローグ 自己愛の時代
第一章 自己愛と何か
1 フロイトのナルシシズム
2 コフートの自己愛
第二章 フロイトを超えて
1 フロイトとの出会い
2 自己心理学が独立したとき
第三章 自己心理学の世界
1 共感の科学
2 「野心」と「理想」という極
3 「自己」から「自己対象転移」までー四つの基本
4 進化する精神分析
第四章 現代はなぜ自己心理学を必要としたか
1 罪責人間から悲劇人間へ
2 コフート対カーンバーグ
3 心の健康とは何か
第五章 日本人の病理を読み解く
1 シゾフレ人間と悲劇人間
2 高齢者の自己愛を支えるために
3 自己愛喪失をどう救うか
エピローグ コフートと「甘え」理論
註
参考文献
あとがき
索引

〈男らしさ〉の神話 変貌する「ハードボイルド」
講談社選書メチエ
「男はタフでなければ生きていけない」のか? 一人称単数、口語体。酒と女と雨と孤独な男の物語……。第一次大戦をへて、ハードボイルドとスパイ小説が誕生した。無邪気(ナイーブ)な「男らしさ」が崩壊した20世紀。国家、性、正義――あらゆる境界線のゆらぎのなかで「男」はどう生き延びるのか。
【目次】
プロローグ 男らしさはゆらぐ
第一章 スパイになったシャーロック・ホームズ
1 二つの見とり図
2 第一次英世界大戦の衝撃
3 「最後のあいさつ」
第二章 ヘミングウェイとハードボイルド
1 『武器よさらば』
2 雨の中の孤独な男
3 コンチネンタル・オプ
4 フィリップ・マーロウ
第二章 タフガイの光と影
1 船戸与一の指摘
2 父と子
3 ドルのゆくえ
4 裁くのは俺か?
第三章 アンチ・ヒーローの居場所
1 見えなくなった敵
2 崩壊家庭
3 酔いどれ探偵の系譜
第五章 探偵する女性の登場
1 ヴィクの時代
2 ひとつの究極形
3 子供という主題
第六章 スパイ小説と国家の解体
1 灰色の存在
2 二重スパイ
3 ベルリンの壁
第七章 スパイと女性たち
1 ボンド・ガール
2 勇敢なる英国女性
3 家庭持ちのスパイ
4 本当の嘘
エピローグ 男らしさのゆくえ
註および参考文献
あとがき
索引

ニーチェ 〈永劫回帰〉という迷宮
講談社選書メチエ
神を失った人間は、いかにして-世界-と-生-の意味を回復しうるか? 「永劫回帰」思想が明かす「世界の鏡」の謎とは? 西欧形而上学2500年の彼方を遠望し、出口なき迷宮としての世界を見つめつづけたニーチェ――その極限の思考を、最深部から抉る哲学の冒険。
【目次】
はじめに
ニーチェのプロフィール
第一章 ニーチェの「始まり」 INCIPIT…
1 「物語の始まり」
2 自伝を書く少年から哲学者へ
3 『悲劇の誕生』をどう見るか
4 少年時代の哲学的文章
5 「悲劇が始まる」 「パロディーが始まる」
6 再び自伝へ 『この人を見よ』
第二章 「耳」をめぐる攻防
1 ロバの長い耳、ニーチェの小さな耳
2 アリアドネの問題圏
3 世界――外部なき迷宮
第三章 「ツァラトゥストラはこう語った」第四部の謎
1 第四部出版事情
2 秘教的目論見
3 「語り」の問題
第四章 知られざる神と隠れたる神
1 オペレッタ『ワーグナーの場合』
2 隠れたる神の正体
3 世界がゲシュタルト・チェンジする
エピローグ
註
索引

スサノオ神話でよむ日本人 臨床神話学のこころみ
講談社選書メチエ
神話が民族のこころを支配する。荒ぶる、無邪気な神スサノオこそ日本人の「象徴」。子どもっぽさと「切れやすさ」、繊細な美意識とひそやかな宗教性。相反するものを同居させる日本人のこころの不思議な構造を、天神信仰から宮澤賢治、南方熊楠にいたる豊富な事例をもとに解き明かす。
【目次】
はじめに 日本人という「謎」
第一章 人間になりたかった神
第二章 臨床神話学の視座
第三章 元型的日本人、アマテラスとスサノヲ
第四章 怒りと宗教性の心理学
第五章 象徴の深みへ ユング派の考え方
第六章 地震と雷 天災の象徴
第七章 もうひとつの宮澤賢治伝
第八章 生きているスサノヲの肖像
第九章 はじまりのための終末 日本人の変容に向けて
註
あとがき
索引

『新約聖書』の誕生
講談社選書メチエ
イエス没後、『新約』成立までなぜ300年も要したか。まぜ相矛盾する四福音書が存在するのか。「異端」活動の果実を巧みに取り入れた「キリスト教主流派」が、聖なる「テキスト共同体」を創り出すまでを描く。

コロッセウムからよむローマ帝国
講談社選書メチエ
流血の「剣闘士の戦い」、咆哮こだまする「野獣狩り」、そして「模擬海戦」(ナウマキア)……。連日の見世物に耽るローマ。その中心が、5万人の熱狂の坩堝コロッセウムだった。皇帝、元老院議員たちは、なぜ「パンとサーカス」を提供したのか? 解放奴隷たちがもたらした新たな階層秩序とは? ローマ帝国の縮図=円形闘技場(コロッセウム)を通して、ローマ社会の変貌を描く。
【目次】
プロローグ コロッセウムとローマ
第一章 コロッセウムはなぜ建てられたか
1 共和政ローマの政治
2 広場の「民主政」
3 ローマの見世物と催事
4 変貌する広場の集会
第二章 コロッセウムに集う人々
1 アウグストゥスの社会政策
2 観客と剣闘士
3 帝政ローマの社会構造
第三章 不作法な成り上がり者たち 解放奴隷の活躍
1 解放奴隷とは
2 富裕な解放奴隷たち
3 ファミリア・カエサリス
第四章 帝政ローマと元老院議員
1 新しい元老院議員たち
2 小プリニウスの焦燥
3 哲学者皇帝の教師・フロント
エピローグ 見世物が消える時
参考文献
あとがき
索引

江戸の道楽
講談社選書メチエ
徳川300年の太平。それは武士・町人たちの極私的世界を生んだ。大名が壮大な庭に凝れば、長屋の軒下にはキクやアサガオが咲き乱れる。隠居から遊女までが太公望を気取り、学問や戯作では身分をこえたネットワークがひろがってゆく。江戸の人びとが情熱を注いだ「楽しみの道」を案内する。
【目次】
はじめに――太平なくして道楽なし
第一章 花咲ける江戸――園芸道楽 其ノ壱
1 江戸以前
2 大江戸キク事情
3 庶民の楽しみ
第二章 庭園都市――園芸道楽 其の弐
1 大名庭園
2 観梅と花見
3 太郎稲荷の話
4 曲亭馬琴の庭造り
第三章 江戸の太公望
1 釣り指南
2 釣りと女
3 隠居の道楽
4 道具自慢
第四章 道楽は学問に極まる
1 隠居さまざま
2 自然科学と町人
3 伊能忠敬の五十歳からの出発
第五章 筆一本の二本差し
1 狂歌の時代
2 武家社会の死角
3 柳亭種彦の悲劇
4 潤筆料と山東京伝
5 戦う馬琴
むすびに 神沢杜口と「翁草」
参考文献
あとがき
事項・地名(名所)索引
書名(演目)・文献索引
人名索引

ロンドン=炎が生んだ世界都市 大火・ペスト・反カソリック
講談社選書メチエ
1666年、ロンドンを大火が襲う。炎は「中世的世界」を焼きつくす。木造から煉瓦の街並みへ。終末論の終焉、そして「プロテスタント」国民の誕生。17世紀、キリスト教世界最大の都市となるロンドンに、史上初めて「近代」が誕生するまでを描く。
【目次】
プロローグ 近代のパイオニアとしてのイギリス
第一章 ロンドン炎上
1 大火前夜
2 ロンドン大火と明暦大火
第二章 シティ再建 商都か帝都か
1 イーヴリンの見たロンドン
2 エネルギー革命がもたらした煙害
3 壮大なる帝都構想
4 商都復興
5 都市計画裏切り伝説を読む
6 世界システムのなかの森林論
第三章 ペストの終焉 「隔離」対「かがり火」
1 大ペストの脅威
2 市民たちのかがり火
3 ペスト撲滅の伝説を読む
4 内なるアジアの発見
第四章 反カソリシズムの炎 宗教対立の時代
1 放火伝説を読む
2 十字架塔が破壊された日
3 かがり火の祭典
4 プロテスタントが見たイエスズ会
エピローグ 終末論と科学革命の時代
補論 ペストとネズミ
註
あとがき
索引

ナチ独裁下の子どもたち ヒトラー・ユーゲント体制
講談社選書メチエ
「青少年を手に入れるものは、未来を手に入れる」。ヒトラー・ユーゲントは、子どもの「ナチ化」を推進する。しかし「子どもの独占」が完成したとき、「反逆」も子どもたちから始まった。サボタージュ・反抗・学力低下。さまざまな証言から、「総統の子どもたち」のこころの実態に迫る。
【目次】
プロローグ 独裁下の教育?
第一章 ワイマル期のヒトラー・ユーゲント
1 ヒトラー・ユーゲントの誕生
2 「青年神話」とワイマル期の青少年
3 ヒトラー・ユーゲントの活動
第二章 「国家青少年」への道
1 他の青少年団体の排除
2 組織整備と指導者育成
3 ヒトラー・ユーゲントの活動とその「魅力」
4 女子の「解放感」
5 農村の若者と青年労働者
6 「国家青少年」組織の完成
第三章 教会との闘争
1 「青少年をめぐる闘争」
2 対立の激化
3 「学校闘争」
第四章 学校教育への負担
1 ヒトラー・ユーゲントと学校
2 疲労困憊の教師たち
3 学力が低下する生徒たち
第五章 反抗する若者たち
1 青少年の独占
2 「逸脱」行動の増加
3 ナチ側の苦慮
4 「エーデルワイス海賊」の実像
第六章 戦時下のヒトラー・ユーゲント
1 戦時下の動員
2 学童疎開
3 戦闘員の動員
4 ヒトラー・ユーゲントの戦時プロパガンダ
エピローグ
史料・参考文献
あとがき
索引

ロシアのユーモア 政治と生活を笑った三〇〇年
講談社選書メチエ
「共産主義時代にも盗みはあるでしょうか」「ないでしょう。社会主義時代にぜんぶ盗まれていますから」体制にとって「危険な世論」でありつづけたアネクドートは、口から口へと広まる。辛辣に権力を嗤いつづけたロシア人の過激な「笑い」を通して、ピョートル大帝期から現代にいたる、激動のロシア300年を読む。
【目次】
プロローグ ロシアの「危険な世論」
第一章 アネクドートの誕生
1 近代国家の祖=ピョートル大帝の笑い
2 機知に富んだエカテリーナ女帝
3 近代アネクドートの最盛期
第二章 民衆たちのテーブル・トーク
1 市民たちが見たレーニンとスターリン
2 抑圧の絆がゆるんだとき フルシチョフの時代
3 花開く「風刺」と「皮肉」 ブレジネフの時代
第三章 混迷の時代を生きる
1 ユーモアのペレストロイカ
2 金持ちロシア人を嗤う
エピローグ ユーモアとロシアン人
参考文献
あとがき
索引

英国式庭園 自然は直線を好まない
講談社選書メチエ
なだらかな草原、ゆるやかにうねる小川。18世紀英国が生み出した「西欧庭園の革命」──風景式庭園。ささやかな敷地に色とりどりの花が咲き乱れる「なつかしい庭」──コティジ・ガーデン。緑なすイングランドを舞台に、「楽園の夢」実現にかけた英国人の飽くなき情熱をたどる。
【目次】
はじめに
序章 英国式庭園の謎と魅力
第一章 ローマ時代から中世まで
1 ローマ占領時代
2 中世の庭園
第二章 ルネッサンス 宮廷から海外へ
第三章 一七世紀 内乱の時代から名誉革命へ
1 火薬、反逆、陰謀事件
2 イタリア・フランス様式の導入
3 オランダの影響
第四章 英国式庭園の誕生
1 「自然な庭」の誕生
2 過渡期 庭の囲いをはずす
3 風景式庭園の確立
4 ピクチャレスクとゴシック
第五章 楽園を求めて
1 より豊かな庭に
2 楽園の夢
3 プラント・ハンターの時代
第六章 ヴィクトリア朝の庭
1 ガードネスク 庭らしい庭を求めて
2 コティジ・ガーデン 「ありふれた庭」の魅力
3 失われる庭
終章 小さなコティジ・ガーデンと公共庭園 二〇世紀から未来へ
1 二〇世紀の庭
2 庭園の未来 公共の公園へ
註
あとがき
参考文献
索引

漱石の記号学
講談社選書メチエ
明治という時代。激変する社会にあって、「次男坊」や「主婦」は、いかなる存在だったのか?また「神経衰弱」という病はどんな意味を持ちえたのか?小説中の、一見小さな事柄を「文化記号」をしてとらえたとき、代助、三千代ら揺れ動く人びとの「生」は、鮮やかにその姿を現す。漱石の豊饒なテクストを横断して示す、犀利な「読みの方法」。

江戸の市場経済 歴史制度分析からみた株仲間
講談社選書メチエ
最先進国イギリスに匹敵する経済成長をとげた「江戸日本」。巨大市場の成立は、安定政権、貨幣制度の整備、農商工分離だけでは説明できない。〈株仲間〉こそが、全国市場の形成・発展の立役者だった。歴史制度分析という最新の方法を駆使し、株仲間のポジティブな役割に光をあてる。
【目次】
はじめに
第一章 経済史の新しい見方
1 新古典派経済学 市場の経済史
2 マルクス経済学 市場と分配の経済史
3 新制度学派経済学 制度と所有権の経済史
4 歴史制度分析 ゲーム理論からみた制度と契約の経済史
第二章 近世の市場経済
1 経済発展の展開と市場の機能
2 社会的分業の展開と市場の機能
第三章 行政・司法制度と法
1 徳川政権と制度の整備
2 法と裁判制度
3 相対済令
第四章 株仲間の歴史
1 株仲間の成立
2 天保の株仲間停止令と嘉永の問屋再興令
第五章 株仲間と市場経済
1 株仲間停止と取引秩序の混乱
2 経済成長率の低下と市場機構の機能低下
第六章 取引制度としての株仲間
1 中世地中海の取引制度 グライフの分析
2 株仲間による商取引契約の履行
3 生産活動の組織
おわりに 市場経済と制度