講談社選書メチエ作品一覧

<思想>の現在形 複雑系・電脳空間・アフォーダンス
<思想>の現在形 複雑系・電脳空間・アフォーダンス
著:吉岡 洋
講談社選書メチエ
〈思想〉の力とは何か?文化の地殻変動に〈思想〉はどう立ち向かうのか?科学と芸術を結びつける「複雑系」、文学を変質させる「電脳空間(サイバースペース)」、「主―客」の視点を無効にする「アフォーダンス理論」……。言語と認識をキーワードに、動的過程としての〈思想〉が、変貌する「知」の現在を探る。 ●〈知〉の境界への出発 ●人工自然としての言語――もうひとつの電脳空間(サイバースペース)論 ●進化としての〈脱構築〉――ポストモダン再考 ●〈複雑系〉の哲学――認識の新たな形 ●環境と判断――アフォーダンスのラディカリズム ●インターフェイスとしての思想 ●第三の文化へ 【目次】 序章 〈知〉の境界への出発 第一章 人工自然としての言語 もうひとつの電脳空間(サイバースペース)論 1 サイバースペースの本質 2 爆発する情報空間 3 言語状況への視座 第二章 進化としての〈脱構築〉 ポストモダン再考 1 ポストモダンの射程 2 言語の混沌(カオス) 3 生成としてのポストモダン 第三章 〈複雑系〉の哲学 認識の新たな形 1 近代思想の舞台 2 知覚システムとしての〈近代〉 3 認識のダイナミズム 第四章 環境と判断 アフォーダンスのラディカリズム 1 判断の反射 2 生態学的転回=アフォーダンス 3 反省的判断力の原理 終章 インターフェイスとしての思想 1 〈思想〉のダイナミクス 2 第三の文化へ 注および参考文献 あとがき 索引
大英帝国の<死の商人>
大英帝国の<死の商人>
著:横井 勝彦
講談社選書メチエ
軍艦、大砲を世界にあふれさせたアームストロング、ヴィッカーズ……。動乱の影には、つねに巨大な「死の商人」たちの姿があった。7つの海を支配した帝国の覇権のもと、彼らはどう行動したのか?近代の宿痾「武器輸出」――その構造を歴史的に抉りだす。 ●幕末維新を武器からよむ ●アフリカの悲劇 ●イギリス銃産業の興亡 ●海軍恐怖・虚偽情報・賄賂 ●巨大企業、アームストロング社 ●軍縮と武器輸出 ●兵器産業国有化論争 【目次】 序章 「死の商人」とは何か 第一章 幕末維新を武器から読む 1 薩長、イギリスに完敗す 2 佐賀藩、大砲を作る 3 洋銃、日本に流入す 第二章 アフリカの悲劇 1 銃と奴隷と 2 列強の思惑 第三章 イギリス銃産業の興亡 1 ロンドン万国博覧会 2 産業革命なき産業 3 バーミンガムの黄昏 第四章 海軍恐怖・虚偽情報・賄賂 1 「帝国」を防衛せよ 2 マリナー・パニック 3 シーメンス事件 第五章 巨大企業、アームストロング社 1 アームストロング社と日本海軍 2 兵器ひとすじに生きた男 3 軍艦製造への進出 第六章 軍縮と武器輸出 1 兵器産業の「危機の二〇年」 2 方針転換 3 アメリカからの逆風 第七章 兵器産業国有化論争 1 王立調査委員会 2 白熱するやりとり 3 「死の商人」の裏切り 註 あとがき 関連年表 索引
「隔離」という病い
「隔離」という病い
著:武田 徹
講談社選書メチエ
強制収容、恐怖の宣伝、終身隔離。 なぜ、ハンセン病患者への過酷な差別は、現代まで続いたのか? なぜ、近代の医療空間は、これほど歪められたのか? O-157、エイズを含め、日本社会の「病い」観を問いなおす。 〔本書の内容〕 ●文明国という盛装 ●見えない病棟 ●フーコーの図式 ●「死と再生」のドラマ ●「かい」と「生きがい」のあいだに ●最小国家 ●冷たい義理
戦国城下町の考古学 一乗谷からのメッセージ
戦国城下町の考古学 一乗谷からのメッセージ
著:小野 正敏
講談社選書メチエ
政治の中心「朝倉館」、庶民の生活の跡をとどめる「町並」、人の盛衰を記す石仏、「かわらけ」の山……。まるごと発掘された越前一乗谷は、中世考古学の絶好の素材となった。 発掘資料と歴史史料を駆使し、中世の空間を立体的に再現する力作。 〔本書の内容〕 ●一乗谷からのメッセージ ●一乗谷と戦国城下町の景観 ●中世人の空間意識 ●町屋と人びとの生活 ●都市を支えた商品──生産と流通 ●越前の中の一乗谷 【目次】 序章 第一章 一乗谷と戦国城下町の景観 1 一乗谷のイメージ 2 城戸の内と外 ふたつの町 3 城下町と権力のモデル 4 町割 一乗谷の都市計画 5 城戸の外はもうひとつの町 6 一乗谷はいつでき、いつ滅んだか 第二章 中世人の空間意識 1 朝倉館の空間構成 2 館の系譜と規範 3 富と権力を映す陶磁器 第三章 町屋の人びとのの生活 1 一乗谷の町屋 2 町屋の構造 第四章 都市を支えた商品 生産と流通 1 一乗谷アセンブレッジ 2 消費をどんぶり勘定する 3 生産地の対応 4 町と村の陶磁器消費 5 中国陶磁の果たした役割 6 消費財の考古学 7 日本列島、東と西・表と裏 第五章 越前の中の一乗谷 1 領国支配と経済ブロック 2 一乗谷の位置づけ 注・引用文献 年表 あとがき 索引
裂ける大地 アフリカ大地溝帯の謎
裂ける大地 アフリカ大地溝帯の謎
著:諏訪 兼位
講談社選書メチエ
サバンナは1億年後、海になる! 6000キロにおよぶ大地溝帯で、今も大陸地殻が分裂しているのだ。そしてこの地で数々のドラマが展開した。人類の発生、カーボナタイトの噴出、ダイヤモンドの誕生、滝の移動……。アフリカ地質学研究の成果によって、様々な興味あふれる現象を解読する。 【目次】 序章 第一章 東アフリカ大地溝帯 1 グレゴリーとランボオ 2 陸が海になる 3 引き裂かれる東アフリカ 紅海地溝帯とアデン湾地溝帯 4 大地溝帯の形成 5 大地溝帯を造った力 6 初期人類化石の宝庫 第二章 大地溝帯を読む 1 ホットプルーム 2 オルドイニョ・レンガイ火山の驚異 3 カーボナタイトの探究 4 地形の逆転 ヤッタ台地 5 鉱物粒界の謎 6 大地溝帯の底になにがあるか 第三章 もうひとつの大地溝帯 1 一億年前の大地溝帯 2 大陸の分裂 3 ダイヤモンドの母岩 キンバレー岩 4 セイシェル諸島の大移動 5 不思議なヴィクトリア滝 6 砂漠化とは 7 砂漠の砂 第四章 アフリカ大陸をゆく 1 地質学徒の眼 2 アフリカこぼれ話 3 アフリカを往く 立松和平氏との対談 参考文献 あとがき 索引
視線の物語・写真の哲学
視線の物語・写真の哲学
著:西村 清和
講談社選書メチエ
写真という「自然の鉛筆」。そこに、潜在する数多の未知の物語。「撮る」「撮られる」「見る」――三つの視線は決して収斂しない。宙づりの視線たちが紡ぎだす多義的な物語とは?カメラ・アイに潜む「匿名の視線」とは? 「写真行為の哲学」が、あらたな視線の倫理(エートス)を要請する。 【目次】 はじめに 新たな視覚体験 第一章 写真という物語 1 「イコン=インデックス」 2 〈おわった〉構造 3 物語化する装置 第二章 アイデンティティーのゆらぎ 肖像写真 1 自己像の物語 2 肖像写真の修辞学 3 カルト・ド・ヴィジット 第三章 イメージ・デモクラシー 1 名士の写真 2 イメージ・デモクラシーの逆説 3 自己像の分裂と修復 第四章 外貌の解釈学 顔写真 1 他者経験の変容 2 「平均的人間」の理想 3 窃視の体系 4 権力の官能化 第五章 欲望のファンタジー ポルノ写真 1 脚のフェティシズム 2 ポルノ写真のイコノグラフィー 3 フェティッシュ化のメディア 4 性的身体の肖像 第六章 写真行為のエートス 報道写真 1 「カメラをもつ人間」という存在 2 写真とことば 3 まなざしの回復 主要参考文献 あとがき 索引
現代思想で読むフランケンシュタイン
現代思想で読むフランケンシュタイン
著:J.J・ルセルクル,訳:今村 仁司,訳:澤里 岳史
講談社選書メチエ
1816年、夏の夜が生んだ「現代の神話」――「人はその被造物に復讐される」。啓蒙の限界、革命の矛盾、自然科学の将来…。そのテクストは驚くほど予見的だった。 メアリー・シェリーの原作と、それを変容させていった映画の意味を、神話学、人類学、精神分析の成果を駆使して精緻に読み解く。
住宅道楽 自分の家は自分で建てる
住宅道楽 自分の家は自分で建てる
著:石山 修武
講談社選書メチエ
陳腐で奇妙で高価格。地球上最悪の住宅の現実が、日本にある。無の境地をめざす「究極の家」、アライグマと暮らす家、棺桶を模した「ドラキュラの家」、そして「村」と名づけたみずからの住居(シェルター)。 「住宅設計戦線」に挑む建築家が、提示する自由な住宅像の数々。「自分の家を自分で建てる」ことの意味と楽しみを、熱く説く。 【目次】 はじめに 第一章 住宅建築家宣言 1 住宅を設計するというのはどういうことか 2 敗者復活戦 第二章 小住宅の可能性 1 ドラキュラの家 2 崩壊を待つ風景 3 アクシデントとしての小住宅 第三章 究極の家へむかう 1 井上さんの家を東京に建てた 2 究極の家 第四章 新しい依頼者の登場 1 変テコリンな依頼主 2 アライグマ・ギンの家 3 ギンの独白 第五章 自分の家は自分で建てる 1 住宅設計の受け皿づくり 2 「左官の家」計画 3 住宅価格の根本問題 第六章 「世田谷村」計画 1 住宅像の極北をめざす 2 夜の裸電球 あとがき
大名庭園
大名庭園
著:白幡 洋三郎
講談社選書メチエ
江戸の大名達が競って造った大庭園─―後楽園、六義園、浴恩園……。それらは京の庭園をしのぐ造形をもった「社交」と「儀礼」の装置であった。初めて「大名庭園」の真実の姿に迫り、京都一辺倒の日本庭園史をくつがえす。
ヒトラー暗殺計画と抵抗運動
ヒトラー暗殺計画と抵抗運動
著:山下 公子
講談社選書メチエ
「七月二十日事件」、白バラ、赤い楽団、告白教会……。反ヒトラー、反ナチズムの運動はどこまで有効だったのか? 抵抗の様々な形を掘りおこし、ドイツ現代史の中に位置づける力作。 【目次】 第一章 帝国議事堂炎上 1 帝国議事堂放火事件 2 強制的同一化 3 最初の抵抗者 4 抵抗者はなにに抵抗したか 第二章 国防軍 1 国家防衛軍から国防軍へ 2 忠誠の誓い 第三章 教会の苦闘 1 ドイツ・キリスト者と帝国教会 2 コンコルダートと回勅『燃える如き憂慮をもって』 第四章 抵抗者たち 1 共産党 2 社会民主党とその周辺 3 国防軍内の抵抗勢力 4 文民エリート 5 赤い楽隊 6 若者たち 7 孤立と分断の中で 第五章 ヒトラー暗殺未遂事件 1 一九四四年七月二十日 2 「七月二十日の反逆者」逮捕と裁判 第六章 抵抗をめぐって 参考文献 あとがき
フーコーの系譜学 フランス哲学〈覇権〉の変遷
フーコーの系譜学 フランス哲学〈覇権〉の変遷
著:桑田 禮彰
講談社選書メチエ
危機の20世紀はフランスの〈知〉をいかに変えたか? 「ニヒリズム」に抗し、生命の躍動を歌うベルクソンと、意識の自由を掲げるサルトルを経て、「理性」と「権力」の実像を暴くフーコーへ。時代と格闘し、哲学を深化させた三巨匠を、鮮やかに読み解く意欲作。 【目次】 まえがき プロローグ 哲学の現実化の道 第一章 ベルクソン 生命の躍動 1 『時間と自由』 自分の心をとらえる 2 『物質と記憶』 心と身体の関係 3 『創造的進化』 生命進化と知性 4 『道徳と宗教の二源泉』 人類愛への飛躍 第二章 サルトル 実存の不安 1 『存在と無』 意識の自由 2 『方法の問題』 実存と知 3 『弁証法的理性批判』 実存主義と弁証法 第三章 フーコー 悲劇と権力 1 『狂気の歴史』 理性という暴力 2 『言葉と物』 人間の有限性 3 『監獄の誕生』『性の歴史』 権力から倫理へ エピローグ 三角形の問題空間=ベルクソン・サルトル・フーコー あとがき 参考文献 索引 あとがき 参考文献 索引
電子あり
裏切り者の中国史
裏切り者の中国史
著:井波 律子
講談社選書メチエ
王朝に背き、夷狄に国を売った稀代の「悪漢」たち。権力・復讐・女を求めて疾駆した彼らの得たものは?漢の王莽、唐の安禄山、南宋の秦檜……。興亡絶えざる中華世界に暗く輝く反逆者列伝。
オペラ座 「黄金時代」の幻影劇場
オペラ座 「黄金時代」の幻影劇場
著:原 研二
講談社選書メチエ
時はルネサンス。君主翼賛の祝祭を種に、古代憧憬を養分に肥大する宮廷の文化装置。失われた牧歌風景(アルカディア)を求め、冥界=洞窟(グロッタ)をも抱え込む迷宮の舞台……。下って19世紀、巨大オペラ座=「メロドラマの殿堂」をへて、孤独な「電気城」へと到達する。ヨーロッパの過剰なる観念が跳梁する官能の劇場……。それがオペラ座。 【目次】 はじめの口上 第一章 パリ・オペラ座に棲む怪人 メロドラマの殿堂 1 コンプレクスの形 2 享楽のファンタスマゴリア 3 人工楽園 第二章 牧歌への憧憬 よみがえる古代ギリシア 1 失われた「黄金時代」をもとめて 2 鄙の夢・官能の庭 第三章 跳梁する運命の女神 ルネサンスの寓意像 1 運命の女神フォルトゥーナ 2 幻惑の魔女 第四章 古代牧歌の戦士 模擬戦としてのカルチョ 1 廷臣の鑑 2 根拠をプレイする 第五章 冥界のオルフェウス 洞窟と豊饒の音楽 1 岩塊風景 2 豊饒儀礼 3 人工洞窟のオルフェウス 第六章 脳髄の劇場 電気牧歌の世紀末 1 ガラス越しに見る 2 伝染病 3 ひとり用オペラ おしまいに 主要参考文献 あとがき 索引
<清潔>の近代 「衛生唱歌」から「抗菌グッズ」ヘ
<清潔>の近代 「衛生唱歌」から「抗菌グッズ」ヘ
著:小野 芳朗
講談社選書メチエ
欧米列強に対抗し、病原菌ゼロをめざして、国家衛生システムを張りめぐらせた明治日本。「衛生唱歌」「衛生博覧会」など精力的な啓蒙は、軍国の強健・健康美志向へと変容していく。そして現代。「抗菌グッズ」=異常潔癖ブームの彼方に、「清潔空間」のグロテスクな未来を透視する。 【目次】 プロローグ 清潔な国ニッポン 第一章 江戸時代の健康維持システム 1 近代医学以前 2 養生書の時代 3 常在薬というシステム 4 神仏の力 第二章 「清潔」の発見 1 都市という不潔 2 風呂好き日本人 3 西欧の巨大清潔装置 第三章 コレラ侵襲の衝撃 1 「衛生の母」としてのコレラ 2 細菌学革命 3 コレラ騒動 第四章 衛生国家への道 1 環境大国日本 2 明治衛生システムをつくった人々 3 長与専斎 衛生行政の先駆者 4 後藤新平 衛生システムの構築者 5 国家衛生の成立 第五章 衛生博覧会という装置 1 博覧会の世紀の中で 2 流行語としての「衛生」 3 恐怖と好奇のメディア 第六章 「衛生」の変貌 健康美へ、強健へ 1 明治・大正の養生書 2 健康美人の賞揚 3 国家のための強健な身体 第七章 「清潔空間」の完成 1 衛生ランド 2 ネオ養生の世界 3 漠とした不安 エピローグ あとがきにかえて 索引
アガサ・クリスティ-
アガサ・クリスティ-
著:モニカ・グリペンベルク,訳:岩坂 彰
講談社選書メチエ
「泣かせろ、笑わせろ、待たせろ」――ミステリーの黄金律を操った「女王」。ポアロをひっさげてのデビュー以来、70冊に7000人を登場させた。離婚。失踪。記憶喪失。復活。そして、巨匠への道を歩む。本音を漏らした唯一の場所=作品から、隠された素顔を追跡する。
ナチズム極東戦略 日独防共協定を巡る諜報戦
ナチズム極東戦略 日独防共協定を巡る諜報戦
著:田嶋 信雄
講談社選書メチエ
1930年代、ナチス・ドイツ。党・外務省・国防軍の熾烈な権力闘争で極東外交がゆれうごく。無関心なヒトラー、「親日」リッベントロップ、「親中」国防軍、「反共」カナーリス……。混乱と無秩序のなかで、なぜ「日独防共協定」は成立したのか。大戦への発火点を、外交・諜報の両面から精緻に検証する。 【目次】 プロローグ それぞれの死 第一章 ナチズムの極東政策 第二章 挫折した交渉 1935年9月~12月 第三章 第二次交渉の暗闘 1936年1月~11月 第四章 反ボルシェヴィズム 第五章 情報交換と破壊工作 エピローグ スターリン暗殺へ 参考文献 註 資料 あとがき 索引
職人たちの西洋建築
職人たちの西洋建築
著:初田 亨
講談社選書メチエ
幕末の開港地(フロンティア)横浜が、職人たちの「学校」だった。初めて見る「ガラス」、「煉瓦」、「蝶番」を駆使し、人々を瞠目させる、「和洋折衷建築」を全国にうち建てる。やがて来る機械化・効率化の嵐の中でも、高い技術を保ち続けた建築職人たちの近代。
唐草文様 世界を駆けめぐる意匠
唐草文様 世界を駆けめぐる意匠
著:立田 洋司
講談社選書メチエ
古代ナイルに咲く睡蓮(ロータス)の花が生んだ生命の象徴「唐草」。神秘の蔓はペルシア、インド、中国を経て日本へと伸び、一方でロマネスク、他方でアラベスクへと変容する。悠久の歴史、東西の文化に絡みつく不滅の文様に迫る。 【目次】 第一章 杳かなる記憶 第二章 「幻の唐草」とアルカイスム 第三章 ギリシア式唐草の生誕 第四章 変容と新生 第五章 コスモポリタニズムの潮流のなかで 第六章 唐草東漸 第七章 ロマネスク美術 第八章 アラベスク的世界の展開 第九章 ガンダーラから中国へ 第十章 法隆寺への道 註 参考文献 あとがき 索引
記憶 「創造」と「想起」の力
記憶 「創造」と「想起」の力
著:港 千尋
講談社選書メチエ
なぜ一杯の紅茶から、「記憶の大伽藍」が出現しうるのか?記憶とは、刻印の「集積」ではなく、「生成」しつづけるダイナミックスなシステムである。 回想、追憶、想起がもつおどろくべき創造力に光をあて、アートの現場、歴史認識、言語状況を横断しながら、終りなき構築としての「記憶」を透視する。 サントリー学芸賞受賞作! 【目次】 プロローグ 記憶の生成論 第一章 記憶と創造 1 神経ダーウィニズム 2 デ・クーニングの”白い部分” 3 ノスタルジア 4 場と記憶術 第二章 回想の力 1 金色の石 ジャコメッティ一九四六年の記憶について 2 鏡の国のリリパット シャルル・マットンの小さな部屋 3 発火する記憶樹 ビル・ヴィオラと記憶のエレメント 第三章 写真と不在 1 太陽の記憶 気象・印象・抽象 2 写真の誕生 3 黒い鳥 不在を探す写真家 第四章 想起する歴史 1 記憶の歴史 2 歴史の遺失物係 3 平行史 歴史のリサイクルについて 4 バベルの年代記 エピローグ 文化としての記憶系 註および参考文献 あとがき 索引
〈日本美術〉誕生
〈日本美術〉誕生
著:佐藤 道信
講談社選書メチエ
やまと絵、浮世絵、水墨画……。なぜ「絵」と「画」が使い分けられているのか。明治初期、西洋化の波のなかで「絵画」という語が成立したのはなぜか。日本美術の誕生・創出を「ことば」から探る先鋭的美術史。