講談社選書メチエ作品一覧

アガサ・クリスティ-
アガサ・クリスティ-
著:モニカ・グリペンベルク,訳:岩坂 彰
講談社選書メチエ
「泣かせろ、笑わせろ、待たせろ」――ミステリーの黄金律を操った「女王」。ポアロをひっさげてのデビュー以来、70冊に7000人を登場させた。離婚。失踪。記憶喪失。復活。そして、巨匠への道を歩む。本音を漏らした唯一の場所=作品から、隠された素顔を追跡する。
ナチズム極東戦略 日独防共協定を巡る諜報戦
ナチズム極東戦略 日独防共協定を巡る諜報戦
著:田嶋 信雄
講談社選書メチエ
1930年代、ナチス・ドイツ。党・外務省・国防軍の熾烈な権力闘争で極東外交がゆれうごく。無関心なヒトラー、「親日」リッベントロップ、「親中」国防軍、「反共」カナーリス……。混乱と無秩序のなかで、なぜ「日独防共協定」は成立したのか。大戦への発火点を、外交・諜報の両面から精緻に検証する。 【目次】 プロローグ それぞれの死 第一章 ナチズムの極東政策 第二章 挫折した交渉 1935年9月~12月 第三章 第二次交渉の暗闘 1936年1月~11月 第四章 反ボルシェヴィズム 第五章 情報交換と破壊工作 エピローグ スターリン暗殺へ 参考文献 註 資料 あとがき 索引
職人たちの西洋建築
職人たちの西洋建築
著:初田 亨
講談社選書メチエ
幕末の開港地(フロンティア)横浜が、職人たちの「学校」だった。初めて見る「ガラス」、「煉瓦」、「蝶番」を駆使し、人々を瞠目させる、「和洋折衷建築」を全国にうち建てる。やがて来る機械化・効率化の嵐の中でも、高い技術を保ち続けた建築職人たちの近代。
唐草文様 世界を駆けめぐる意匠
唐草文様 世界を駆けめぐる意匠
著:立田 洋司
講談社選書メチエ
古代ナイルに咲く睡蓮(ロータス)の花が生んだ生命の象徴「唐草」。神秘の蔓はペルシア、インド、中国を経て日本へと伸び、一方でロマネスク、他方でアラベスクへと変容する。悠久の歴史、東西の文化に絡みつく不滅の文様に迫る。 【目次】 第一章 杳かなる記憶 第二章 「幻の唐草」とアルカイスム 第三章 ギリシア式唐草の生誕 第四章 変容と新生 第五章 コスモポリタニズムの潮流のなかで 第六章 唐草東漸 第七章 ロマネスク美術 第八章 アラベスク的世界の展開 第九章 ガンダーラから中国へ 第十章 法隆寺への道 註 参考文献 あとがき 索引
記憶 「創造」と「想起」の力
記憶 「創造」と「想起」の力
著:港 千尋
講談社選書メチエ
なぜ一杯の紅茶から、「記憶の大伽藍」が出現しうるのか?記憶とは、刻印の「集積」ではなく、「生成」しつづけるダイナミックスなシステムである。 回想、追憶、想起がもつおどろくべき創造力に光をあて、アートの現場、歴史認識、言語状況を横断しながら、終りなき構築としての「記憶」を透視する。 サントリー学芸賞受賞作! 【目次】 プロローグ 記憶の生成論 第一章 記憶と創造 1 神経ダーウィニズム 2 デ・クーニングの”白い部分” 3 ノスタルジア 4 場と記憶術 第二章 回想の力 1 金色の石 ジャコメッティ一九四六年の記憶について 2 鏡の国のリリパット シャルル・マットンの小さな部屋 3 発火する記憶樹 ビル・ヴィオラと記憶のエレメント 第三章 写真と不在 1 太陽の記憶 気象・印象・抽象 2 写真の誕生 3 黒い鳥 不在を探す写真家 第四章 想起する歴史 1 記憶の歴史 2 歴史の遺失物係 3 平行史 歴史のリサイクルについて 4 バベルの年代記 エピローグ 文化としての記憶系 註および参考文献 あとがき 索引
〈日本美術〉誕生
〈日本美術〉誕生
著:佐藤 道信
講談社選書メチエ
やまと絵、浮世絵、水墨画……。なぜ「絵」と「画」が使い分けられているのか。明治初期、西洋化の波のなかで「絵画」という語が成立したのはなぜか。日本美術の誕生・創出を「ことば」から探る先鋭的美術史。
性フェロモン オスを誘惑する物質の秘密
性フェロモン オスを誘惑する物質の秘密
著:桑原 保正
講談社選書メチエ
50万をこえるカイコガ、1万近いゴキブリ。その飼育が化学者たちのスタートラインだった。昆虫の「処女」から抽出された不思議な物質……。構造の解明から害虫駆除への応用まで、40年の研究史を平易に解説する。 【目次】 はじめに フェロモンとは何だろうか 第一章 性フェロモンの発見 1 ブテナントの実験 2 クワゴで遊ぶ 第二章 科学者たちの失敗 1 思い込みはおそろしい マイマイガ 2 方法選びが肝心 ワモンゴキブリ 3 詰めをあやまるな ワタキバガ 4 そのときベストを尽くしても カツオブシムシ 第三章 日本のフェロモン学事始 1 国際競争ははげしい マダラメイガ 2 やっぱり研究は面白い ジンサンシバンムシ 3 フェロモンにもいろいろある オオクロコガネ 第四章 フェロモン研究の現在 1 虫はどうやってフェロモンをつくり出すのか 2 地球にやさしい可能性 あとがき 註 化学実験のテクニック 索引
ガンダーラ 仏の不思議
ガンダーラ 仏の不思議
著:宮治 昭
講談社選書メチエ
インド西北の辺境、ガンダーラ。釈迦がついに訪れることのなかったこの地に、壮麗な仏教美術が花ひらいた。はじめての仏像、つくられた「聖地」、ギリシア・ローマの香り……。繊細な工芸の背後にからむ複雑な謎をあきらかにする。 【目次】 はじめに 第一章 中央アジアとインドとヨーロッパの狭間で 1 仏教美術のふるさと 2 ストゥーパから仏教へ 3 遺跡の発掘調査 第二章 ガンダーラ美術のはじまり 1 化粧皿という手がかり 2 楽園と豊饒多産 3 仏像の起源 4 象徴表現と説話表現 第三章 仏伝の図像学 1 聖地と聖蹟 2 釈迦の生涯 3 時空の不思議 第四章 仏の姿を刻む 1 王者的イメージと聖者的イメージ 2 仏教美術のパンテオン 第五章 光と火と天上と 1 光と常道 2 「帝釈窟禅定」と「双神変」 3 火を発する仏陀と弥勒菩薩 終章 ガンダーラ美術の終焉 参考文献 あとがき 関連地図 索引
幕末の三舟 海舟・鉄舟・泥舟の生きかた
幕末の三舟 海舟・鉄舟・泥舟の生きかた
著:松本 健一
講談社選書メチエ
幕末から明治近代へ――新時代の「機」を読み切り、独創的な才覚を発揮した海舟。公への「誠」を通し、変わらず忠勤に励んだ鉄舟。主家への「忠」を貫き、隠棲の淵に身を投じた泥舟。時流の荒波にそれぞれの航跡を描いた、三舟の「生きかた」を考える。 【目次】 第一章 三舟とはだれか 1 政治家たちの参禅するところ 2 生きかたの三典型 第二章 幕末という時間 1 十五年刊の自己変革 2 西郷が勝に惚れた理由 第三章 江戸無血開城 1 泥と鉄の鍛えかた 2 駿府への使者 3 「公」に尽くす 第四章 明治における三舟 1 それぞれの公私 2 名誉の重み 3 鶴であろう 第五章 三舟と日本人 1 合理主義的な精神に 2 忠君愛国?のシンボル おわりに 三舟の死にかた 参考文献 あとがき 索引
不義密通
不義密通
著:氏家 幹人
講談社選書メチエ
徳川時代。儒教道徳の下、女は操正しかったのか?なかなかどうして、さにあらず。密通、出奔、近親相姦……。史料の森に分け入れば、見えてくるのはしたたかな顔。性愛から照射する、われわれの知らない江戸の姿。
セクシュアリティの近代
セクシュアリティの近代
著:川村 邦光
講談社選書メチエ
「近代」は日本人の性をいかに変えたか?性の王国=江戸の豊かさを、開化・西洋性科学が引き裂いていく。『青鞜』の激しい処女論争、奇怪な似非(えせ)性科学の氾濫「強い男・弱い女」神話の呪縛など、外部からの力に揺れつづけた近代日本の性を鋭く解析する。
ノイマンの夢・近代の欲望
ノイマンの夢・近代の欲望
著:佐藤 俊樹
講談社選書メチエ
電脳社会論、ポスト近代社会論、ハイパー産業社会論……。メディア社会の予言者たちが紡ぎだす、未来社会の夢また夢。「技術が社会を変革する」=技術決定論を脱構築し、「技術」と「社会」のダイナミックな対話をとおして、21世紀社会を展望する。
万葉びとの「家族」誌
万葉びとの「家族」誌
著:三浦 佑之
講談社選書メチエ
8世紀、「家族」が揺らぐ。律令システムが親子の上にのしかかる。乳も与えぬ母、親に高利貸する子、独居老人……。記紀、万葉、説話から読む「解体する家族の肖像」。
英国紅茶論争
英国紅茶論争
著:滝口 明子
講談社選書メチエ
17世紀、イギリスに上陸した東洋の奇妙な熱い飲みもの。なぜか当地の人々の口に合い、たちまち国民的習慣となったティータイム。新しい文化の定着をめぐっての医師・宗教家・文化人等のかまびすしい論争を描く。 【目次】 はじめに 第一章 初期の茶論 1 茶のふるさと 2 まずオランダへ 3 ヨーロッパの茶論 第二章 イギリス上陸――宮廷から家庭へ 1 宮廷での流行 2 家庭に広がる飲茶 第三章 紅茶論争のはじまり 1 流行から定着へ 2 ショート博士の新・茶論 第四章 紅茶反対論 1 社会現象としての茶の習慣 2 ハンウェイの反茶論 第五章 それでもお茶会は楽しい 1 社会現象としての茶の習慣 2 茶の流通 3 それでもお茶会は楽しい 第六章 ジョサイア・ウェッジウッドの世界 1 茶道具の楽しみ 2 ウェッジウッドの登場 第七章 茶論争の終結 1 科学的な研究書 2 茶の実験 おわりに 参考文献 引用図版一覧 あとがき 索引
闘牛 スペイン生の芸術
闘牛 スペイン生の芸術
著:有本 紀明
講談社選書メチエ
白昼、美しき恐怖の儀式が執り行われる。悠久の時空を超えて今生きる高貴な牡牛(トロ・ブラーボ)に、対峙する光の衣装の闘牛士(マタドール)……。牛の恐れを勇猛さに、闘牛士の恐れを勇気に変えることが、感動(エモシオン)を湧きおこす。民衆が磨き上げ、あらゆる芸術の源泉となった太陽と死の祝祭の魅力を語りつくす。 【目次】 はじめに 第一章 闘牛への誘い 1 コリーダ・デ・トロス 2 レホネーオとフェスティバル 第二章 美しきものの誕生 1 トロ・ブラボーの起源 2 神話の入江 第三章 聖壇と王座と民衆と 1 騎馬と徒歩の闘牛 2 牛の背にのった啓蒙主義 第四章 ゴヤの世界から世紀末へ 1 〈闘牛の人〉列伝 2 タンクレード主義 第五章 栄光と憂愁のマタドール 1 ホセリートとベルモンテ 2 内戦の下で 3 新時代の幕開け 第六章 巨匠の眼 1 危険な夏 2 サンチェス・メヒーアスを悼む詩 3 ゲルニカ 第七章 金と絹と太陽 1 『血と砂』の周辺 2 女と牡牛 3 砂場に立つ 第八章 闘牛・不可思議なるもの 1 パシオンとエモシオン 2 牛祭りは今、そしてスペイン人 注 参考文献 あとがき 索引
中国人民解放軍
中国人民解放軍
著:矢吹 晋
講談社選書メチエ
林彪事件、天安門事件、台湾海峡軍事演習……。不可解な事件が続く。はたして中国軍はアジアの脅威か? 一枚岩の軍隊なのか?中国側情報を駆使し、謎の組織・人民解放軍のベールを剥ぐ衝撃の書。 【目次】 はじめに 第一章 解放軍の歩み 党から軍が生まれ、銃口から政権が生まれる 1 「銃口から政権が生まれる」 2 文化大革命と林彪事件 3 林彪事件の真相 一九八八年 4 林彪事件の真相 一九九四年 5 林彪事件後の鄧小平による軍の整頓 第二章 組織・機能・戦力 1 四本の政治工作系統 2 解放軍の組織と機能 3 中国軍事情報の空白 第三章 人民と対峙した解放軍 天安門事件1 1 政治過程への軍隊の動員 2 軍隊と学生の対峙段階 3 重点目標への進撃 第四章 人民を鎮圧する解放軍 天安門事件2 1 武装警察部隊の群衆排除作戦 2 解放軍の暴乱鎮圧作戦 3 各線の具体的行動 4 天安門広場 第五章 解放軍の行方 1 党矛盾のなかの現代化 2 国防と軍隊 終りに 註 年表 付表 あとがき 索引
達人たちの大英博物館
達人たちの大英博物館
著:松居 竜吾,著:小山 騰,著:牧田 健史
講談社選書メチエ
創設者・スローン卿のコレクションから300年……。大骨董屋から世界の知の殿堂へと発展したザ・ミュージアム。マルクス、熊楠、パニッツィ、そして文豪、名探偵、探検家などなど……。才能豊かな利用者と個性溢れる館員の夢の集う場所、それが大英博物館だった。 【目次】 1 ヴィクトリア朝の発展 2 コレクションの形成 3 収蔵された「日本」 4 大英博物館学派とその時代1 5 大英博物館学派とその時代2
「大東亜民俗学」の虚実
「大東亜民俗学」の虚実
著:川村 湊
講談社選書メチエ
昭和18年、柳田国男は日本という中心から放射状に広がる研究の輪、「大東亜民俗学」の建設を構想した。植民地主義の翳を色濃く帯びる東アジア諸国の民俗学を、柳田批判の視点から跡付け問いなおす意欲作。 【目次】 はじめに 「大東亜民俗学」の起源 第一章 朝鮮民俗学の成立 1 『朝鮮史』と檀君論争 2 朝鮮民俗学の黎明 3 朝鮮民俗学会と「朝鮮民俗」 4 「植民地民俗学」への批判 第二章 柳田国男と「朝鮮」 1 柳田国男と「朝鮮民俗」 2 クグツおよびムーダン 3 柳田学の転換とその影響 4 秋葉隆の朝鮮民俗学 第三章 「民俗台湾」の人々 1 台湾民俗学前史 2 柳田国男と台湾 3 山と雲と蕃人と 4 「民俗台湾」と台湾民俗学 第四章 南溟の民族・民俗学 1 南の果ての日の丸 2 柳田・松岡兄弟の「南洋諸島」 3 科学者・芸術家。小説家 4 光と風と青蜥蜴の夢 第五章 幻の“満洲民俗学” 1 大間知篤三の”民俗学” 2 「西北研究所」の人々 3 ”満州”へ行った人たち おわりに 註 参考文献 あとがき 索引
<ガン>遺伝子治療
<ガン>遺伝子治療
著:深見 輝明
講談社選書メチエ
人類最大の難敵“ガン”。発生の秘密をにぎる「ガン遺伝子」、そして新たに登場した「遺伝子治療」。最先端の医療現場を精力的に取材し、その光と影を描く渾身のルポルタージュ。
ユダヤ人の<ドイツ>
ユダヤ人の<ドイツ>
著:L.ジョ-ジ・モッセ,訳:三宅 昭良
講談社選書メチエ
ゲットーから解放されたユダヤ人。彼らは、ドイツ文化とどうかかわっていったのか?〈教養〉と啓蒙の可能性を信じた数々の知的営為。それが国民主義の激流にのみこまれていく悲劇を論じた、碩学の一冊。