講談社選書メチエ作品一覧

唐草文様 世界を駆けめぐる意匠
講談社選書メチエ
古代ナイルに咲く睡蓮(ロータス)の花が生んだ生命の象徴「唐草」。神秘の蔓はペルシア、インド、中国を経て日本へと伸び、一方でロマネスク、他方でアラベスクへと変容する。悠久の歴史、東西の文化に絡みつく不滅の文様に迫る。
【目次】
第一章 杳かなる記憶
第二章 「幻の唐草」とアルカイスム
第三章 ギリシア式唐草の生誕
第四章 変容と新生
第五章 コスモポリタニズムの潮流のなかで
第六章 唐草東漸
第七章 ロマネスク美術
第八章 アラベスク的世界の展開
第九章 ガンダーラから中国へ
第十章 法隆寺への道
註
参考文献
あとがき
索引

記憶 「創造」と「想起」の力
講談社選書メチエ
なぜ一杯の紅茶から、「記憶の大伽藍」が出現しうるのか?記憶とは、刻印の「集積」ではなく、「生成」しつづけるダイナミックスなシステムである。
回想、追憶、想起がもつおどろくべき創造力に光をあて、アートの現場、歴史認識、言語状況を横断しながら、終りなき構築としての「記憶」を透視する。
サントリー学芸賞受賞作!
【目次】
プロローグ 記憶の生成論
第一章 記憶と創造
1 神経ダーウィニズム
2 デ・クーニングの”白い部分”
3 ノスタルジア
4 場と記憶術
第二章 回想の力
1 金色の石 ジャコメッティ一九四六年の記憶について
2 鏡の国のリリパット シャルル・マットンの小さな部屋
3 発火する記憶樹 ビル・ヴィオラと記憶のエレメント
第三章 写真と不在
1 太陽の記憶 気象・印象・抽象
2 写真の誕生
3 黒い鳥 不在を探す写真家
第四章 想起する歴史
1 記憶の歴史
2 歴史の遺失物係
3 平行史 歴史のリサイクルについて
4 バベルの年代記
エピローグ 文化としての記憶系
註および参考文献
あとがき
索引

〈日本美術〉誕生
講談社選書メチエ
やまと絵、浮世絵、水墨画……。なぜ「絵」と「画」が使い分けられているのか。明治初期、西洋化の波のなかで「絵画」という語が成立したのはなぜか。日本美術の誕生・創出を「ことば」から探る先鋭的美術史。

性フェロモン オスを誘惑する物質の秘密
講談社選書メチエ
50万をこえるカイコガ、1万近いゴキブリ。その飼育が化学者たちのスタートラインだった。昆虫の「処女」から抽出された不思議な物質……。構造の解明から害虫駆除への応用まで、40年の研究史を平易に解説する。
【目次】
はじめに フェロモンとは何だろうか
第一章 性フェロモンの発見
1 ブテナントの実験
2 クワゴで遊ぶ
第二章 科学者たちの失敗
1 思い込みはおそろしい マイマイガ
2 方法選びが肝心 ワモンゴキブリ
3 詰めをあやまるな ワタキバガ
4 そのときベストを尽くしても カツオブシムシ
第三章 日本のフェロモン学事始
1 国際競争ははげしい マダラメイガ
2 やっぱり研究は面白い ジンサンシバンムシ
3 フェロモンにもいろいろある オオクロコガネ
第四章 フェロモン研究の現在
1 虫はどうやってフェロモンをつくり出すのか
2 地球にやさしい可能性
あとがき
註
化学実験のテクニック
索引

ガンダーラ 仏の不思議
講談社選書メチエ
インド西北の辺境、ガンダーラ。釈迦がついに訪れることのなかったこの地に、壮麗な仏教美術が花ひらいた。はじめての仏像、つくられた「聖地」、ギリシア・ローマの香り……。繊細な工芸の背後にからむ複雑な謎をあきらかにする。
【目次】
はじめに
第一章 中央アジアとインドとヨーロッパの狭間で
1 仏教美術のふるさと
2 ストゥーパから仏教へ
3 遺跡の発掘調査
第二章 ガンダーラ美術のはじまり
1 化粧皿という手がかり
2 楽園と豊饒多産
3 仏像の起源
4 象徴表現と説話表現
第三章 仏伝の図像学
1 聖地と聖蹟
2 釈迦の生涯
3 時空の不思議
第四章 仏の姿を刻む
1 王者的イメージと聖者的イメージ
2 仏教美術のパンテオン
第五章 光と火と天上と
1 光と常道
2 「帝釈窟禅定」と「双神変」
3 火を発する仏陀と弥勒菩薩
終章 ガンダーラ美術の終焉
参考文献
あとがき
関連地図
索引

幕末の三舟 海舟・鉄舟・泥舟の生きかた
講談社選書メチエ
幕末から明治近代へ――新時代の「機」を読み切り、独創的な才覚を発揮した海舟。公への「誠」を通し、変わらず忠勤に励んだ鉄舟。主家への「忠」を貫き、隠棲の淵に身を投じた泥舟。時流の荒波にそれぞれの航跡を描いた、三舟の「生きかた」を考える。
【目次】
第一章 三舟とはだれか
1 政治家たちの参禅するところ
2 生きかたの三典型
第二章 幕末という時間
1 十五年刊の自己変革
2 西郷が勝に惚れた理由
第三章 江戸無血開城
1 泥と鉄の鍛えかた
2 駿府への使者
3 「公」に尽くす
第四章 明治における三舟
1 それぞれの公私
2 名誉の重み
3 鶴であろう
第五章 三舟と日本人
1 合理主義的な精神に
2 忠君愛国?のシンボル
おわりに 三舟の死にかた
参考文献
あとがき
索引

不義密通
講談社選書メチエ
徳川時代。儒教道徳の下、女は操正しかったのか?なかなかどうして、さにあらず。密通、出奔、近親相姦……。史料の森に分け入れば、見えてくるのはしたたかな顔。性愛から照射する、われわれの知らない江戸の姿。

セクシュアリティの近代
講談社選書メチエ
「近代」は日本人の性をいかに変えたか?性の王国=江戸の豊かさを、開化・西洋性科学が引き裂いていく。『青鞜』の激しい処女論争、奇怪な似非(えせ)性科学の氾濫「強い男・弱い女」神話の呪縛など、外部からの力に揺れつづけた近代日本の性を鋭く解析する。

ノイマンの夢・近代の欲望
講談社選書メチエ
電脳社会論、ポスト近代社会論、ハイパー産業社会論……。メディア社会の予言者たちが紡ぎだす、未来社会の夢また夢。「技術が社会を変革する」=技術決定論を脱構築し、「技術」と「社会」のダイナミックな対話をとおして、21世紀社会を展望する。

万葉びとの「家族」誌
講談社選書メチエ
8世紀、「家族」が揺らぐ。律令システムが親子の上にのしかかる。乳も与えぬ母、親に高利貸する子、独居老人……。記紀、万葉、説話から読む「解体する家族の肖像」。

英国紅茶論争
講談社選書メチエ
17世紀、イギリスに上陸した東洋の奇妙な熱い飲みもの。なぜか当地の人々の口に合い、たちまち国民的習慣となったティータイム。新しい文化の定着をめぐっての医師・宗教家・文化人等のかまびすしい論争を描く。
【目次】
はじめに
第一章 初期の茶論
1 茶のふるさと
2 まずオランダへ
3 ヨーロッパの茶論
第二章 イギリス上陸――宮廷から家庭へ
1 宮廷での流行
2 家庭に広がる飲茶
第三章 紅茶論争のはじまり
1 流行から定着へ
2 ショート博士の新・茶論
第四章 紅茶反対論
1 社会現象としての茶の習慣
2 ハンウェイの反茶論
第五章 それでもお茶会は楽しい
1 社会現象としての茶の習慣
2 茶の流通
3 それでもお茶会は楽しい
第六章 ジョサイア・ウェッジウッドの世界
1 茶道具の楽しみ
2 ウェッジウッドの登場
第七章 茶論争の終結
1 科学的な研究書
2 茶の実験
おわりに
参考文献
引用図版一覧
あとがき
索引

闘牛 スペイン生の芸術
講談社選書メチエ
白昼、美しき恐怖の儀式が執り行われる。悠久の時空を超えて今生きる高貴な牡牛(トロ・ブラーボ)に、対峙する光の衣装の闘牛士(マタドール)……。牛の恐れを勇猛さに、闘牛士の恐れを勇気に変えることが、感動(エモシオン)を湧きおこす。民衆が磨き上げ、あらゆる芸術の源泉となった太陽と死の祝祭の魅力を語りつくす。
【目次】
はじめに
第一章 闘牛への誘い
1 コリーダ・デ・トロス
2 レホネーオとフェスティバル
第二章 美しきものの誕生
1 トロ・ブラボーの起源
2 神話の入江
第三章 聖壇と王座と民衆と
1 騎馬と徒歩の闘牛
2 牛の背にのった啓蒙主義
第四章 ゴヤの世界から世紀末へ
1 〈闘牛の人〉列伝
2 タンクレード主義
第五章 栄光と憂愁のマタドール
1 ホセリートとベルモンテ
2 内戦の下で
3 新時代の幕開け
第六章 巨匠の眼
1 危険な夏
2 サンチェス・メヒーアスを悼む詩
3 ゲルニカ
第七章 金と絹と太陽
1 『血と砂』の周辺
2 女と牡牛
3 砂場に立つ
第八章 闘牛・不可思議なるもの
1 パシオンとエモシオン
2 牛祭りは今、そしてスペイン人
注
参考文献
あとがき
索引

中国人民解放軍
講談社選書メチエ
林彪事件、天安門事件、台湾海峡軍事演習……。不可解な事件が続く。はたして中国軍はアジアの脅威か? 一枚岩の軍隊なのか?中国側情報を駆使し、謎の組織・人民解放軍のベールを剥ぐ衝撃の書。
【目次】
はじめに
第一章 解放軍の歩み 党から軍が生まれ、銃口から政権が生まれる
1 「銃口から政権が生まれる」
2 文化大革命と林彪事件
3 林彪事件の真相 一九八八年
4 林彪事件の真相 一九九四年
5 林彪事件後の鄧小平による軍の整頓
第二章 組織・機能・戦力
1 四本の政治工作系統
2 解放軍の組織と機能
3 中国軍事情報の空白
第三章 人民と対峙した解放軍 天安門事件1
1 政治過程への軍隊の動員
2 軍隊と学生の対峙段階
3 重点目標への進撃
第四章 人民を鎮圧する解放軍 天安門事件2
1 武装警察部隊の群衆排除作戦
2 解放軍の暴乱鎮圧作戦
3 各線の具体的行動
4 天安門広場
第五章 解放軍の行方
1 党矛盾のなかの現代化
2 国防と軍隊
終りに
註
年表
付表
あとがき
索引

達人たちの大英博物館
講談社選書メチエ
創設者・スローン卿のコレクションから300年……。大骨董屋から世界の知の殿堂へと発展したザ・ミュージアム。マルクス、熊楠、パニッツィ、そして文豪、名探偵、探検家などなど……。才能豊かな利用者と個性溢れる館員の夢の集う場所、それが大英博物館だった。
【目次】
1 ヴィクトリア朝の発展
2 コレクションの形成
3 収蔵された「日本」
4 大英博物館学派とその時代1
5 大英博物館学派とその時代2

「大東亜民俗学」の虚実
講談社選書メチエ
昭和18年、柳田国男は日本という中心から放射状に広がる研究の輪、「大東亜民俗学」の建設を構想した。植民地主義の翳を色濃く帯びる東アジア諸国の民俗学を、柳田批判の視点から跡付け問いなおす意欲作。
【目次】
はじめに 「大東亜民俗学」の起源
第一章 朝鮮民俗学の成立
1 『朝鮮史』と檀君論争
2 朝鮮民俗学の黎明
3 朝鮮民俗学会と「朝鮮民俗」
4 「植民地民俗学」への批判
第二章 柳田国男と「朝鮮」
1 柳田国男と「朝鮮民俗」
2 クグツおよびムーダン
3 柳田学の転換とその影響
4 秋葉隆の朝鮮民俗学
第三章 「民俗台湾」の人々
1 台湾民俗学前史
2 柳田国男と台湾
3 山と雲と蕃人と
4 「民俗台湾」と台湾民俗学
第四章 南溟の民族・民俗学
1 南の果ての日の丸
2 柳田・松岡兄弟の「南洋諸島」
3 科学者・芸術家。小説家
4 光と風と青蜥蜴の夢
第五章 幻の“満洲民俗学”
1 大間知篤三の”民俗学”
2 「西北研究所」の人々
3 ”満州”へ行った人たち
おわりに
註
参考文献
あとがき
索引

<ガン>遺伝子治療
講談社選書メチエ
人類最大の難敵“ガン”。発生の秘密をにぎる「ガン遺伝子」、そして新たに登場した「遺伝子治療」。最先端の医療現場を精力的に取材し、その光と影を描く渾身のルポルタージュ。

ユダヤ人の<ドイツ>
講談社選書メチエ
ゲットーから解放されたユダヤ人。彼らは、ドイツ文化とどうかかわっていったのか?〈教養〉と啓蒙の可能性を信じた数々の知的営為。それが国民主義の激流にのみこまれていく悲劇を論じた、碩学の一冊。

ルネサンス理想都市
講談社選書メチエ
秩序と美、人間的なスケールでつくられる世界、新たなユートピア。アルベルティ、ダ・ヴィンチ、ラッファエッロ……。天才たちもまた数学や幾何学、透視図法を武器に、アイディアを産み続けた。絵画から現存する街並まで、ルネサンスの夢を都市に訪ねる。
【目次】
序
第一章 ペーパー・シティー 夢の設計図
1 初期ルネサンス建築論
2 後期ルネサンス建築論
3 夢想のユートピア
第二章 ペインティッド・シティー 幻想の都市風景
1 透視画法によって描かれた都市
2 舞台装置としてのモデル・シティ
第三章 天才たちの理想都市
1 レオナルド・ダ・ヴィンチ
2 ラッファエッロ
3 ミケランジェロ
第四章 ビルト・シティー1 実現された理想都市
1 初期ルネサンス理想都市
2 後期ルネサンス理想都市
3 軍事的理想都市
第五章 ビルト・シティー2 理想都市の部分的実現
1 新しいパラッツォ ウルビーノ
2 十字路を中心とした新しい地区 フェッラーラ
3 まっすぐの大通り ジェノヴァ
4 三叉路 ローマ
終章
参考文献
あとがき
索引

「書」と漢字
講談社選書メチエ
聖徳太子、光明皇后、弘法大師……。時代を代表する名筆は、王義之、欧陽詢等中国の書法とどうとり組んだのか。造形性という視点から、書道史上に残る謎を解き明かし、和様書法の創始者小野道風に到る道を探る。

イスラ-ムの「英雄」サラディン
講談社選書メチエ
聖地エルサレムの奪還。全イスラームの悲願を背に、エジプトの君主、サラディンは起った!国際都市カイロの開発、十字軍との死闘……。中東の人びとの心に、今なお生きつづける「英雄」の本格的伝記。