講談社選書メチエ作品一覧

敦煌三大石窟 莫高窟・西千仏洞・楡林窟
講談社選書メチエ
中国美術の至宝、敦煌『三所の禅窟』。シルクロードのかなたに千年をかけて描きつがれた仏教壁画。様々な仏像たち……。敦煌研究の第一人者が、窟の生成、図像の意味・芸術性を、新しい解釈を加えあますところなく描いた渾身の書!
【目次】
序章 初めての敦煌
第一章 石窟が開かれるまで
1 敦煌の地理的位置
2 インド伝来の仏教
3 石窟造営の意義
第二章 敦煌初期の美術
1 敦煌石窟の意義
2 敦煌初期の時代背景
3 莫高窟初期の芸術
4 莫高窟初期の代表作品
第三章 敦煌中期の美術
1 西域経営の門戸
2 莫高窟中期の芸術
3 莫高窟中期の代表作品
第四章 敦煌後期の美術
1 敦煌後期の時代背景
2 莫高窟後期の芸術
3 後期の代表作品
第五章 西千仏洞と楡林窟
1 西千仏洞
2 楡林窟
終章 開かれた敦煌研究
参考文献
年表
おわりに
索引

暗号
講談社選書メチエ
文明が生まれ、暗号が生まれた。社会が変わり、暗号が変わる。「秘匿」と「認証」を担う電子空間の革命が起こった。なぜ、鍵・アルゴリズムを公開しても解読されないのか?人工現実の虚実を司る数理の魔術とは?魅力的な暗号の世界への誘い。

源平合戦の虚像を剥ぐ
講談社選書メチエ
屍を乗り越えてすすむ坂東武者。文弱の平家の公達。こうしたイメージは本当なのだろうか?騎馬戦の不得手な武士、兵粮徴発をこばむ百姓……。「平家物語史観」に修正をせまり、内乱が生んだ異形の権力=鎌倉幕府の成立を鋭く解明する。

江戸の蔵書家たち
講談社選書メチエ
膨大な書物を蓄えた文人たち……小山田与清、屋代弘賢、狩谷えき斎、塙保己一。なみはずれた収集量、頻繁な照会、数奇の会での交流。全国に広がっていく「知」のネットワーク。江戸にはどのような文献宇宙が存在していたのか?残された目録や解題、索引をてがかりに、蔵書家たちの世界をさかのぼる。

宗教からよむ「アメリカ」
講談社選書メチエ
モノモン教、アーミッシュ、ファンダメンタリズム……。アメリカはさまざまな「信仰」がせめぎ合う社会である。それらを統合するものとは、いったい何か? 悩みつつも、新たな理念を求めて進む、超大国の意外な姿をあぶり出す。(講談社選書メチエ)
「信仰」のせめぎ合う社会、アメリカの実像。モルモン教、アーミッシュ、ファンダメンタリズム…。さまざまな宗教のるつぼから生まれてくるものとは何か。悩みつつも新たな理念を求めて進む超大国の意外な姿。

エゾの歴史
講談社選書メチエ
エゾとは? エミシとは? かつて、大陸と壮大な交易を展開していた北方の民。日の本・唐子・渡党……。その謎めいた姿は記録のあいまに見え隠れしながら、ついには「日本」に組み込まれてしまう。北の地に繰り広げられたもう一つの「日本史」を追い求める。

中原中也 いのちの声
講談社選書メチエ
中原中也は、“堕落した長州人”の悲哀と倦怠を、ゆたりゆたりと旋回し更新する太古のリズムにのせて歌いあげた。愛誦される抒情詩の背後に、彫りの深い思想家的気質を見出し、詩人、批評家、翻訳者としての立体像を、ポリフォニックに構築する独創的中也論。
【目次】
はじめに
第一章 堕落した長州人
1 植民地と幼年時代
2 中也の帰郷
3 長州の反逆者
第二章 詩的放浪と実験
1 中也と短歌
2 ダダイスト中也の詩
第三章 『山羊の歌』 「いのちの聲」の構造
1 他界としての空へのまなざし
2 「いのちの聲」の場所
第四章 翻訳者としての中也
1 ランボーの韻文詩訳
2 ランボーの生の原理
3 ヴェルレーヌとラフォルグ
第五章 『在りし日の歌』 テムポ正しき散歩
1 死後の世界の構造
2 「春日狂想」にみる死生観
参考文献
あとがき
索引

脳とこころ 内なる宇宙の不思議
講談社選書メチエ
心とはなにか?「ニューロンの働き」によってどこまで説明できるのか?
「心の病い」に立ち向かう精神科医が、「分裂病のノルアドレナリン説」という新説にたどりつく過程を通して、ヒトの精神活動の誕生と謎を語る。
【目次】
プロローグ こころの生物学への道
第一章 脳の進化
1 ラットとヒト
2 本能を化学する
3 神経系のはじまり
4 脳の起原
5 哺乳類の脳・小さな宇宙
第二章 神経の生物学
1 ニューロンとシナプス
2 化学伝達の発見
3 感覚情報の暗号化
4 小脳・ある統合の試み
第三章 精神活動の神経機序
1 夢みる脳
2 本能と学習
3 認識の機構
4 記憶の話
5 行動発現の仕組み
6 注意と覚醒水準
第四章 異常と正常
1 狂猫研究事始め
2 分裂病のノルアドレナリン説
3 ストレスと心身
4 将来の精神医学
エピローグ 花の写真
注
巻末別図
推薦図書
あとがき
索引
江戸の都市計画
講談社選書メチエ
江戸はなぜ選ばれ、世界最大の街となったか一介の漁村から大発展をとげた都市「江戸」。この街をデザインし、建築したのは誰なのか。東照宮造営や将門伝説によって浮き彫りになる隠された宗教デザインとは

フランス絵画の「近代」 シャルダンからマネまで
講談社選書メチエ
西欧絵画の権威「歴史画」は近代化の過程でいかに変質したか。画布に描かれたイメージ―性・裸体・東洋人―のはたす「社会的機能」とはなにか。
誰でも知っている名画をよみ直し、新たな鑑賞の視線を提案する。
【目次】
序
第一章 家庭という名のユートピア 母―女中―台所
―ジャン=シメオン・シャルダン
第二章 「理想的家族」の呪縛 母―父―息子―娘
―ジャン=オノレ・フラゴナール
―ジャン=バティスト・グルーズ
第三章 男女イメージの対比から女のイメージの消去へ
―ジャック=ルイ・ダヴィッド
第四章 戦争画における裸体 オリエンタリズムの問題
―アントワーヌ=ジャン・グロ
第五章 ロマン主義絵画の裸婦
―ユージェーヌ・ドラクロワ
第六章 裸婦の「織物」
―ジャン=ドミニック・アングル
第七章 歴史画の死と裸婦
―ギュスターヴ・クールベ
注・参考文献
あとがき
索引

国際結婚第一号 明治人たちの雑婚事始
講談社選書メチエ
明治6年6月3日。わが国の国際結婚の歴史が始まる。本邦嚆矢の栄誉に浴するのは、長州人南貞助と英国人ライザ・ピットマン。政府の予想を超えた、明治人たちの「大奮闘」……。国籍を異にする人々の出会いをとおして描く、日本近代化の悲喜劇。
【目次】
序 慶応3年の問い合わせ
第一章 第一号の栄誉
1 明治六年六月三日
2 ロンドンの新婚時代
3 離婚騒動
第二章 本邦嚆矢の国際人・南貞助
1 英国留学
2 ボウルズ兄弟社銀行倒産時件
3 「内外用達会社」そして役人
4 旅行業の先駆者
第三章 太政官布告第一〇三号
1 太政官布告第一〇三条をめぐる各国の反応
2 国際結婚をめぐるデータ
第四章 明治一四年のスキャンダル
1 バサイア・モリソンとの結婚事情
2 「御国ノ名誉ニモ関係」
第五章 英国人が関係した事例
1 パークス承認以前のケース
2 国際私法にジレンマと六歳幼女との結婚
3 「日本ノ婚姻ト英国法廷」
4 男色者の外国人婿養子「快楽亭ブラック」
第六章 身分につまわる国際結婚
1 北白川宮能久親王の悲恋
2 世話人・木戸孝允
3 華族、軍人の特別な事情
第七章 海外渡航者たちの物語
1 明治四年前後の留学生たち
2 下宿先の女
3 海外雄飛の遊芸人や水夫たち
4 日本を棄てた二人の明治男
終章 人種改良論をこえて 明治の国際結婚が意味するもの
注
国際結婚リスト
明治の雑婚ネットワーク
あとがき
索引

後白河法皇
講談社選書メチエ
保元の乱から鎌倉幕府成立にかけて、つねに適役であった〈偉大なる暗闇〉。はたして、後白河は権謀術数のかぎりをつくした〈日本一の大天狗〉だったのだろうか。本書は、文化創造の場や、精神史の暗部にまでわけいり、現実の向こうにこの政治的巨人が透視していた可能性を鋭く指摘する。王権の転換・再生を軸に、東アジアの知的交流にまで眼くばりした力作論文集。

ソフトウェアの挑戦 仮想空間からの問いかけ
講談社選書メチエ
「ウィンドウズ95」をはじめ、ソフトウェアが社会を埋めつくしている。時間と空間を解散する〈仮想世界〉、ことばの壁と国境を取りのぞく〈ネットワーク〉……。一方で巨大に、複雑に発展していくプログラムを、人間は書き続けることができるのか?コンピュータとの未来へむけて、新たな「知」の出会いを提唱する意欲作。
【目次】
プロローグ
第一章 ポストモダンまでの道
1 遅れて参入したマシン
2 ポストモダンのパートナー
3 未来への協調
第二章 ソフトウェアの役割
1 コンピュータとはなにか
2 プログラム
3ソフトウェアをつくるには
第三章 ソフトウェアの構造主義
1 許されないミス
2 プログラミング以前
3 組織
4 階層構造の泣きどころ
第四章 現代への突破口
1 西海岸から吹いた風
2 アラン・ケイの夢
3 クライアント・サーバー・コンピューティング
4 ハイパー・メディアということば
第五章 電子情報社会の成立
1 分散情報ネットワーク
2 仮想世界への移行
3 離陸
第六章 未来への提言
1 ふたたびソフトウェア危機
2 現実世界への回帰
3 新たな「知のインターラクション」
エピローグ
参考文献
参考年表
あとがき

太平記<よみ>の可能性
講談社選書メチエ
楠正成の物語。太平記よみの語りは、人びとの意識に、中・近世を通じ浸透する。忠臣か、異形の者か?語られてゆくにつれて正成はちがった顔を見せ、いつしか既存の神話、モラル、イデオロギーを掘り崩す。物語として共有される歴史が紡ぐあらたな現実。その奇妙なダイナミズを探る。

ハイデガ-入門
講談社選書メチエ
『存在と時間』の独創的な問題設定が、哲学に新たな地平を開いた。ナチズムへの加担、「転回」……。秘教的ともいえる後期思想は、彼の限界を露呈する。今世紀最大の哲学者・ハイデガーを平明に説きあかす。

中国の四季 漢詩歳時記
講談社選書メチエ
自然に対するこまやかな感性。季節や事物のうつろいに新鮮な意味をよみとる心情。わが国のうたびとたちが学んだ漢詩の世界を、「歳時」をキーワードに解説する。庶民の歌、詞(ツウ)も視野に入れ、ユーモアあふれる中国の古典世界に遊ぶ。
【目次】
はじめに
1 春の章
1.元日(がんじつ) 己酉元旦
2.新年(あらたまの) 新年作
3.淡淡天(そらかすむ) 中年
他
2 夏の章
1.白日(ギラギラおひさま) 菩薩蛮
2.光風(かぜひかる) 初夏歌
3.蒼海(うなばら) 送秘書ちょう監
他
3 秋の章
1.乞巧奠(たなばた) 七夕
2.赤雲(あかねぐも) 羌村
3.白露(しらたまのつゆ) 泥陽館
他
4 冬の章
1.除夜(おおつごもり)
1.除夜作
2.嶺外守歳
3.除夜宿石頭駅
2.蒼茫(あおぐれる) 初入太行路
3.落葉(おちば) 初冬
他
参考文献
あとがき

<個室>と<まなざし> 菊富士ホテルから見る「大正」空間
講談社選書メチエ
遠景に仰ぎ見る垂直の高塔、水平に大陸へ伸びていく鉄道網。すぐれて視覚的な風景の出現は、「国民国家」日本の成立と軌を一にしていた。変容し拡大する「大正」の空間意識を本郷・菊富士ホテルを起点に描き、内向するまなざしの欲望を明るみにだす、気鋭の画期的論考。
【目次】
はじめに 安吾の双眼鏡
第一章 ホテルの記憶
1 下宿屋とホテルの「間」
2 「名義」をめぐる戦い 菊富士前史
3 ホテルと高塔
第二章 シンタックスとしての「鉄道」
1 鉄路の戦略
2 抽象の日本
3 「大正」の外部
第三章 一九一四年・TOKYO
1 東京駅開業式あるいは将軍の帰還
2 東京大正博覧会あるいは二つの石膏像
第四章 寝そべる男たち
1 アパートメントハウスの起源
2 図のある小説
3 小説家の身体
おわりに 再び安吾の双眼鏡
注
あとがき
索引

レンブラント工房 絵画市場を翔けた画家
講談社選書メチエ
17世紀、国際商業都市アムステルダムを中心に美術市場がひらける。大量生産される絵画、次々に生み出されるコピー。芸術が商品となったとき、誇り高き画家レンブラントが工房経営に求めたものは何か……。さまざまな証言と史料から「工房」の実態と時代的意味をあぶり出す。
【目次】
プロローグ 工房の発明
第一章 虚構のなかの事実
1 ザンドラルトの証言
2 《夜警》にたいするライバル意識
3 ハウブラーケンの証言と芸術家神話
4 歴史の闇にほのみえる工房
第二章 共生そして競争 レンブラントとリーフェンス
1 ハイヘンスと二人の芸術家
2 運命の岐路
3 創造的競争 アエムラティオ
第三章 絵画の栄光とアカデミー
1 ヌードデッサン
2 美術アカデミー
3 レンブラントのアカデミー
第四章 絵画工場
1 トーローニー
2 肖像画
3 歴史画
4 バロックという豊饒の角
第五章 絵画市場の誕生
1 絵画の消費者
2 パトロネージ
3 自由市場
4 美術商
5 新しい競争の原理
エピローグ アトリエの自画像
参考文献
資料
あとがき
索引

大仏再建 中世民衆の熱狂
講談社選書メチエ
治承4(1180)年12月、平氏の南都攻めで大仏は炎上した。飢饉、地震、大火、源平の争乱。末法の予感におののく人びと。祈りの声が巷に満ちたとき、一人の僧、重源が再建の「勧進」に立ちあがった。貴族、武士、庶民のすべては熱狂し、新しい信仰が生れまてくる……。古代の終焉と中世の到来を告げた15年にわたる大事業の実態が、いま浮かびあがる。
【目次】
序章 ある青年武士の発心
第一章 大仏と中世の民衆
1 炎上
2 開眼
3 大仏聖人
第二章 聖と俗
1 修業時代
2 外護者の系譜
3 入唐三度聖人
4 高野山と別所
第三章 大仏勧進
1 鋳造へむけて
2 南無阿弥陀仏
3 源平交代
4 伊勢へ
第四章 信仰の広がり
1 周防・京・鎌倉
2 奥州合戦のころ
3 頼朝上洛と法皇の死
4 別所の展開
終章 大仏殿落慶供養
註
基本史料
あとがき
人物相関図
関連年表
主要人名索引

「人類の起原」大論争
講談社選書メチエ
「ヒトとチンパンジーの分岐は500万年前」。分子進化学者が提唱し、1000万年以前とする筆者らの見解と対立した。はたしてどちらに軍配があがるのか……。人類の祖先を求めた最新の研究成果と、激しく闘わされる論争を、古生物学の立場から分析、解読する。
【目次】
はじめに
第一章 人類化石をめぐる論争
1 人類学者・古生物学者・地質学者のからみあい
2 年代の決定
3 アウストラロピテクスから北京原人まで
第二章 ピテカントロプス発見の謎 化石の発見は、勘か運か偶然か?
1 デュボアのめざしたもの
2 パダンにて
3 パヤクンブーに転勤
4 ついに発見、ピテカントロプス
5 解剖学者デュボア
第三章 ヒトの進化は急進化 「急進化」の概念の再評価
1 コープとマーシュ
2 ヒトの脳の進化
第四章 分子時計をめぐる大論争 その年代論は正確か
1 分子進化論と人類
2 分子変化率一定の仮説はどう立証されているか
3 古生物学者対分子進化論者
4 「根井の式」にかかわる論争
5 木村資生の中立説
6 マスコミに受けた分子時計
7 古生物学からみた携帯変異
8 これからの分子時計
註
あとがき
索引