講談社学術文庫作品一覧

都林泉名勝図会(下)
都林泉名勝図会(下)
著:秋里 籬島,監:白幡 洋三郎
講談社学術文庫
江戸末期に出版された京都の名園案内。巻三、巻四、巻五をおさめた下巻。清水寺、東福寺、竜安寺、妙心寺、金閣寺、天竜寺など現在も見どころ充分の名勝を詳細に紹介している。3人の優れた画工による図と、現在の風景を比べながら京の林泉を歩くのも一興だろう。監修者白幡氏の庭園史に沿った解説も楽しい。
出来事としての文学
出来事としての文学
著:小林 康夫
講談社学術文庫
突然の「場の出現」=出来事。 その「場」を創造する文学では、複数の時間が矛盾・対立・交錯する、時間錯誤(アナクロニズム)を通じて、価値転倒がひき起こされる──。斬新な論理と技法を駆使した作品読解が人間存在の本質に迫り、その先の可能性を探る。同名の単行本に、大幅な追加を施した刺激的な文学論。
科挙の話
科挙の話
著:村上 哲見
講談社学術文庫
隋唐時代に始まった官吏登用試験、科挙。高級官僚になり、名誉と財産と特権を得るために、どうしても通らなければならない狭き門であった。この制度の歴史と実態を唐宋を中心にして解明し、韓愈・柳宋元・白居易・蘇軾ら受験競争の中に生きた知識人たちの姿を興味深いエピソードを交えながら描き出す好著。
スモール イズ ビューティフル再論
スモール イズ ビューティフル再論
著:F・エルンスト・シュ-マッハ-,訳:酒井 懋
講談社学術文庫
物質至上主義、科学技術万能主義を痛烈に批判した前著『スモール イズ ビューティフル』。その思想を更に敷衍した小論文を「リサージェンス」誌に発表したもののアンソロジーが本書である。地球環境に配慮し、人間の身の丈に合った、「精神性」のある経済政策を提唱して反響をよんだ、シューマッハー独特の経済論。新訳、文庫オリジナル。
反哲学史
反哲学史
著:木田 元
講談社学術文庫
ニーチェによって粗描され、ハイデガーによって継承された「反哲学」は、西洋2500年の文化形成を導いてきた「哲学」と呼ばれる知の様式を批判的に乗り越えようとする企てである。この新しい視角を得れば、哲学の歴史も自ずからこれまでとは違って見えてくる。古代ギリシアから19世紀末にいたる哲学の道筋をたどり直す「反哲学史」。講談社学術文庫『現代の哲学』の姉妹編。
電子あり
カルタゴ人の世界
カルタゴ人の世界
著:長谷川 博隆
講談社学術文庫
新興ローマと三たび死力を尽くして戦い、紀元前146年、歴史の闇に消え去ったカルタゴ。地中海全域に一大商業圏を築いた海洋都市国家は、一体、なぜこれほど栄えたのだろうか。その建国から滅亡までの歴史は?ローマとの関係は?カルタゴの国制や社会、ハンニバルの改革など、650年間、繁栄を謳歌した国の実像を徹底解明する。
仏陀のいいたかったこと
仏陀のいいたかったこと
著:田上 太秀
講談社学術文庫
釈尊の入滅後、仏教は各地へ伝播しやがて6世紀には日本へも伝来した。しかし、インドと遠く隔たる日本へ遥かな歳月をかけて到達したのが、釈尊の説いたままの仏教であったかと問えば、答えは否である。 釈尊はもともと何を教え、どこへ導こうとしたのか?偶像ではない人間釈尊の言と行とに、その本音を探る。
ハングル入門
ハングル入門
著:金 裕鴻
講談社学術文庫
日常会話や旅行にも使えるやさしい表現満載。ハングル講座の副読本にも最適な、おもしろくて役に立つ入門書。 外国語を学ぶことは、その国の人びとの生活や文化を理解することです。あなたもハングルに挑戦してみませんか。ラジオ講座で講師を務める金先生がすぐに役立つ日常会話、わかり易くて応用のきく基本文型、文字の解読と発音のルールをコンパクトに解説しています。文庫オリジナル版。
源平闘諍録(下)
源平闘諍録(下)
著・その他:福田 豊彦,著・その他:服部 幸造
講談社学術文庫
巻五以降、頼朝の挙兵、義仲の動向、義経の活躍を経て、一の谷の合戦にいたるまでを描く。歴史学と文学の共著者が、本書を平家物語諸本と読み比べ、読み本系「延慶本」に最も近い形態をもって東国に成立したことを明らかにした労作。坂東武士団の活躍を多く書き留めており、歴史史料としても興味深い。文庫オリジナル。
イタリア使節の幕末見聞記
イタリア使節の幕末見聞記
著:ヴィットリア・F・アルミニヨン,訳:大久保 昭男
講談社学術文庫
ヨーロッパは、連年、蚕の病に見舞われていた。良質の蚕卵紙購入が動機で、通商を求め来日した、マジェンタ号艦長が綴る日本滞在記。開明的海軍中佐で地理学者の、西欧を代表する知識人が、日伊修好通商条約の交渉の準備から成立までの様子と「開国」に大きく揺れる幕末日本、江戸の庶民の生活や風俗を印象深く描き出す。
古代中国
古代中国
著:貝塚 茂樹,著:伊藤 道治
講談社学術文庫
北京原人に代表される原始時代から、秦の始皇帝による統一国家の成立前夜までの悠遠な時間。そこでは、以後の中国、そしで東アジア社会を基礎づける独自の文化が形成された──。近年の発掘・研究の成果により次々と塗りかえられる古代中国像。概説書として定評のあった原本に、大幅な書き換えをおこなった最新の中国古代史入門。
天皇と古代国家
天皇と古代国家
著:早川 庄八
講談社学術文庫
中国の律令に学び多大な影響をうけた法治体制下にあって日本独自の性格を示す、古代天皇の実相とは何か。畿内を本拠とするヤマト朝廷が、畿外豪族への支配を拡大するなかに見せる、天皇の氏族制的基盤とは。1980年代以降の古代政治学・政治制度史研究に大いなる指針を提示した著者が、律令国家における天皇の権威と支配力の実体に迫る。文庫オリジナル。
帝都ウィーンと列国会議
帝都ウィーンと列国会議
著:幅 健志
講談社学術文庫
密偵たちが目撃した権謀と狂騒の都 1814年秋、オーストリアの帝都において世紀の談合、世にいう「ウィーン会議」が始まった。自国の存亡を賭した熾烈な駆け引きが展開される一方で王侯達の恋愛遊戯が横行し、特命謀報員が暗躍する。オーストリア内務省に残る秘密警察の文書を駆使し、「会議は踊る……」と評された饗宴外交の顛末とウィーンの狂騒ぶりを軽妙なタッチで活写した意欲作。
志士と官僚
志士と官僚
著:佐々木 克
講談社学術文庫
幕末の志士は明治政府「創業」にいかに係わったのか。官僚として新政府の基礎を築きあげた大久保利通。志士的資質から遂に脱しきれなかった西郷隆盛、木戸孝允。そして脱藩の郷士、草莽(そうもう)の志士たちのさまざまな生き方、反乱、暗殺事件……。維新期の混乱の中で形成された「官僚」の本質を斬新な手法で解明し、歴史に新たな視点を加える好著。
文化としての近代科学
文化としての近代科学
著:渡辺 正雄
講談社学術文庫
現代文明と豊かな生活をもたらした自然科学は神の造った秩序を求める西洋の学問の所産であった。太陽や月との距離を測定したギリシア人、驚くべき見事な宇宙体系を構築したプトレマイオス、近代科学革命の担い手、コペルニクスやニュートン……。各時代の思想・文化・社会との関係を重視し、人間の営みとしての西洋科学の歴史を興味深く綴る。
肖像のなかの権力
肖像のなかの権力
著:柏木 博
講談社学術文庫
雑誌や絵葉書など、日常目にするグラフィック。それらは時代や社会の支配的論理とシステムを内包している。そしてグラフィックにひそむ〈力〉は、その形式という抽象性によってイデオロギー的対立をも越えて、世界を覆ってゆく──。生産と所有をめぐる闘争の世紀を現出した「近代」というシステムと、我々を支配する図像の〈力〉を探る好著。
蘭学事始
蘭学事始
著:杉田 玄白,その他:片桐 一男
講談社学術文庫
1815年、83歳の杉田玄白は蘭学の草創から隆盛に至るまでを思いを込めて書き綴った。『解体新書』公刊の苦心や刊行後の蘭学界の様々な動向など、まさにその現場に身を置いた者ならではの臨場感あふれる筆致は迫力に満ちている。初めて「長崎本」を用いて、現代語訳・原文、さらに詳細な解説を付した、文庫オリジナル版全訳注。
都林泉名勝図会(上)
都林泉名勝図会(上)
著:秋里 籬島,監:白幡 洋三郎
講談社学術文庫
200年前に作られた〈今も使える〉京都の名園ポケットガイド 今から200年前、京都の名園を見事な図絵で紹介する案内書が刊行された。林泉=庭園の魅力を、さまざまな古典の引用や故事来歴の取材によって伝える、売れっ子作家秋里籬島の最高傑作である。現在でも往時のままに残っている庭も多く、ガイドブックとしても使える楽しさ満載の一級資料。
環境の哲学
環境の哲学
著:桑子 敏雄
講談社学術文庫
戦後半世紀、国土の相貌は激変した。在りし日の豊かな空間が急速に失われつつある今、わたしたちは環境の問題をいかに考えればよいのか。西行・慈円・熊沢蕃山の思想に改めて評価を与え、「空間の豊かさ」の本質を問い直すとともにそこから導き出されるアイデアを現代に活かす道を探る。混迷深い環境問題への示唆に富んだ提言の書。
文字の文化史
文字の文化史
著:藤枝 晃
講談社学術文庫
漢字は、神を祀(まつ)り、神託をきく儀式から誕生した。爾来、甲骨文・金石文・印章・帛書・木簡・冊子本と多様な漢字の世界が展開していく。神の文字はどのような歴史を経て万人の物になったのか。写本の材料や形、本の作られ方、蔵(しま)われ方などに着目し、3500年の文字の歩みを、文化との絡みの中で、百数十点の貴重な図版を使って興味深く語る。