講談社学術文庫作品一覧

パリ風俗史
パリ風俗史
著:アンドレ・ヴァルノ,訳:北澤 真木
講談社学術文庫
喧噪と活気と華やぎと色鮮やかにパリを描く異色の歴史書 時代とともにさまざまな相貌を宿す華の都、パリ。ルイ14世の騎馬パレード、大革命時の生々しい処刑、場末の盛り場ポルシュロン、オペラ座の華麗な舞踏会。同時代の証言・手紙・日記と豊富な図版を駆使し、パリの盛衰と庶民の生活を色鮮やかに描き出す。タイム・マシンに乗って、揺籃期から爛熟期まで、自在に駆け巡る、壮麗な都、パリの絵巻物。
枕草子(上)
枕草子(上)
著:上坂 信男,著:神作 光一,著:湯本 なぎさ,著:鈴木 美弥
講談社学術文庫
『源氏物語』と双璧をなす平安女流文学の珠玉、『枕草子』。「春は曙」に始まる自然と人生に対する鋭い観察眼、限りない愛着と犀利な批判。独自の感性と文才とが結実した不朽の随筆は、宮廷生活の光と陰を鮮やかに描き出す。本書は、3巻本系統で冒頭に大きな欠脱のない第2類本の弥富本を底本に、詳細な語釈と余説、現代語訳を施す。
バッハ
バッハ
著:ヴェルナ-・フェ-リクス,訳:杉山 好
講談社学術文庫
バロック音楽を代表する作曲家、バッハ。神に対する深い信仰心とひたむきな音楽美への探求はマタイ受難曲など千曲を越える名曲を生み出した。ヨーロッパとドイツの音楽文化に分け入り、百余点の楽譜と写真資料を駆使しながらバッハの音楽の豊かな作品世界とその神髄に迫る。 最新の「声楽およびオルガン・コラール作品総覧」付き。
馬・船・常民
馬・船・常民
著:網野 善彦,著:森 浩一
講談社学術文庫
考古学と中世史の論客が、日本の歴史学から抜け落ちていた事柄を掬いとり、それぞれの観点から縦横に論じ合う。東国騎馬軍団の活動、雄大なスケールで行われた海の交通、さまざまな物資のダイナミックな交流、知られざる女性たちの活躍……。そして「日本」とはなにか。常識を打ち破ったところに真の日本が立ち現われる。
言論と日本人
言論と日本人
著:芳賀 綏
講談社学術文庫
福沢諭吉が「演説」の重要性を説いて百有余年。日本人の話し言葉による言論活動の態様は、政治状況や社会心理の変化、電波メディア発達に伴い変転を重ねてきた。歴史を創った有名・無名の話し手たちの肉声を追い、そのロジックやレトリックを味わいつつたどる日本人と言論の近現代史。
源平闘諍録(上)
源平闘諍録(上)
著:福田 豊彦,著:服部 幸造
講談社学術文庫
千葉平氏に焦点を当てた異本平家物語 鎌倉末から南北朝初期にかけて、坂東で成立した平家物語──源平闘諍録。坂東の武士団、梶原氏・熊谷氏・千葉氏等に焦点を当て、その活躍を描く注目すべき異本である。歴史学と文学という異なる分野の共著者が、平家諸本との厳密な比較・考証を通して、原本の独特な位置を浮き彫りにした好著。文庫オリジナル。 「祗園精舎の鐘の声……」と『平家物語』周知の巻頭文で始まり、以後坂東の土着した平氏を中心に、諸本と異なるバリエーションで語られていく。現存する巻一上下、巻五、巻八上下の新しい読み下しと詳細な語釈・解説。
時間と自由
時間と自由
著:中島 義道
講談社学術文庫
〈私〉が哲学する意味とは、自分の実感に沿って忠実に考え、語りだすことにほかならない。現在のカント研究・哲学研究のあり方を批判し、哲学の本質を問いつづける著者は、時間、とりわけ〈今〉という自身の哲学的命題を、テキストの読みかえを通して探究する。カントの引力圏からの飛翔を試みる知の冒険。
ギリシア悲劇
ギリシア悲劇
著:川島 重成
講談社学術文庫
紀元前5世紀のアテーナイで盛んに演じられ、今もなお現代人を魅了するギリシア悲劇。その魅力の源泉は何か。普遍的意味はどこにあるのか。アイスキュロス、ソポクレース、エウリーピデース──3大悲劇詩人の代表作、その女主人公の人間像を通し、神々と人間、愛と死など人間存在の本質と根本問題を内在的作品解釈によって鮮やかに解き明かす。
荀子
荀子
著:内山 俊彦
講談社学術文庫
古代戦国期、秦帝国出現前夜の激動の時代を生き、儒家ながら、伝統的な儒家の枠組みに収まりきらない異色の思想を展開した荀子。「性悪説」で名高い人間観や「天人の分」で知られる自然観、「礼の王国」論に見られる国家観等々、現実的かつ合理性に貫かれたその思想像を多角的に探り、中国古代思想史上の位置を明らかにする。
電子あり
アウシュヴィッツ収容所
アウシュヴィッツ収容所
著:ルドルフ・ヘス,訳:片岡 啓治
講談社学術文庫
祖国ドイツを愛する忠実な軍人であり、「心をもつ1人の人間」であったアウシュヴィッツ強制収容所所長ルドルフ・ヘスが、抑留者大量虐殺に至ったその全貌を淡々とした筆致で記述した驚くべき告白遺録。人間への尊厳を見失ったとき、人は人に対してどのようなこともできるのだろうか?
名僧列伝(一)
名僧列伝(一)
著:紀野 一義
講談社学術文庫
時の為政者を導き、その仏教哲学を政治に顕現した明恵。苔寺の石庭に託された夢窓の思想。自由で人間味あふれる風狂の人、一休。末法思想を拒み、真我探求の坐禅の教えを説いた道元。自らの禅哲学と権力の狭間で、苦悩する反骨の人、沢庵。平安末期から江戸初期にいたる乱世を生きた5人の僧の求道の生きざまと思想の神髄に迫る。
世界ことわざ名言辞典
世界ことわざ名言辞典
編:モ-リス・マル-,監:田辺 貞之助,訳:島津 智
講談社学術文庫
“エスプリとユーモア” 古今のことわざ・珠玉の名言1万2000 諺(ことわざ)は1人の才知、万人の知恵──ジョン・ラッセル人類の叡智の結晶、含蓄に富むことわざの数々は心の潤いともなり、人生の指針ともなる。世界各地の俚諺(りげん)、古今の文学作品、宗教の聖典などから10年の歳月をかけて1万を越す名言と格言を集大成。滋味掬(きく)すべきことわざ、鋭い機知溢れる警句、人の心を打つ名句などを満載する。 ・恋愛は花盛りの庭、結婚は刺草の畑──フィンランドのことわざ ・美酒と美女は気持ちのよい毒薬である──トルコのことわざ ・人間はまちがいの息子だ──アラビアのことわざ ・神の天上を支配し、金は地上を支配する──ドイツのことわざ ・贈り物は岩をも砕く──セルバンテス「ドン・キホーテ」 ・必要は発明の母──スウィフト「ガリバー旅行記」 ・忍耐は平安を、性急は後悔を刈り入れる──アヴィセブロンの書より
パスカル伝
パスカル伝
著:田辺 保
講談社学術文庫
『パンセ』を座右の書として、くり返し読み、格調の高い、懐疑と苦悩のことばに感動する人は多い。30代という若さで亡くなるまで、数学、物理学、哲学、神学にと幅広い活躍をしたパスカル。本書は、彼の全生涯をたどることによって、神なき人間の悲惨、キリスト教と人の問題についての核心を、余すところなく浮き彫りにする好著である。
葉隠
葉隠
著:小池 喜明
講談社学術文庫
泰平の世に武士はいかに生きるべきか――「奉公名利」の思想―― 武士道の聖典ともいわれてきた「葉隠」には、なぜか「殉死」の語はなく、すべて「追腹」であり、「武士」の語の多くが「奉公人」に変えられている。また「葉隠」の存在は、実は江戸時代を通じて秘せられてきた……。山本常朝の生い立ちと思想を深く読み込むことによってこれらの謎を解き、さらに、通説を大胆に問い直した著者会心の力作。
中国=文化と思想
中国=文化と思想
著:林 語堂,著:鋤柄 治郎
講談社学術文庫
本書は、西洋人に対して祖国の民族・歴史・文化を紹介するために英文で書かれた中国論である。東西両文化に造詣の深い文人で自由思想家林語堂がユーモアと風刺の利いた文章で「老獪」「忍耐」「中庸」などの言葉を通し、その民族性を浮き彫りにする。2千年以上も変わることのない中国人の本質が生新で鋭い筆致で描き出された古典的名著の新訳。
日本人の宗教意識
日本人の宗教意識
著:湯浅 泰雄
講談社学術文庫
歴史学や民俗学の素材に深層心理学的分析を加える「歴史心理学」を武器に、宗教思想の伝統とその影響下に形成されてきた民族文化の伝統を探る。「仏教の民間土着と行基・法然の意義」「キリシタン信仰と真宗信仰の類似性」「カリスマ法然と知性人親鸞」等々、その分析は精緻をきわめ、独創的な視角から日本思想史の底層に流れる集合心理的伝統を剔出。
存在の彼方ヘ
存在の彼方ヘ
著:エマニュエル・レヴィナス,訳:合田 正人
講談社学術文庫
フッサールとハイデガーに現象学を学び、フランスに帰化したユダヤ人哲学者レヴィナス。戦争の世紀の証人として生き、「平和とは何か」の問いを極限まで考察したレヴィナスは、本書において他者への責任とは他者の身代りになることだと説く。「存在と時間」(ハイデガー)以降最も重大な著作とされ、独自の-他者の思想-の到達点を示す大著の文庫化成る。
出雲国風土記
出雲国風土記
著:荻原 千鶴
講談社学術文庫
本書は現存する五国風土記のうち、唯一の完本で、古代出雲の人々の暮らしのさま、土地の状況などを、数値も入れた整然たる構成で記載している。その一方で、出雲の神の国引きや、支佐加比売命の暗黒の岩窟での出産などの神話も詳細に語られ、数理的合理性と奇妙に共存している。興趣あふれる貴重な古典の全訳注。原文も収録。
愚管抄を読む
愚管抄を読む
著:大隅 和雄
講談社学術文庫
大僧正天台座主、歌人、摂関家の生まれという多元的な眼をもつ慈円が、保元の乱以後の「歴史の道理」を見きわめようとした書、『愚管抄』。彼は、世の中の何に関心を持ち、何を歴史と思っていたのか。どのように記述しようとしたのか。鎌倉時代初頭の思想家を通して、歴史を書くことの意味を自らの問題として捉えた著者渾身の書。
メールヒェンの起源
メールヒェンの起源
著:アンドレ・ヨレス,訳:高橋 由美子,解説:小澤 俊夫
講談社学術文庫
ドイツのグリム兄弟によって集大成されたメールヒェンの豊潤な世界。昔話研究の必読書とされてきた本書は民衆が口伝えしてきた民話を言語の形態として分類し、それぞれが独自な精神活動によって形成されたと説く。比類なき体系性が絶讃された先駆者的名著の新訳を文庫オリジナルとして刊行。