講談社現代新書作品一覧

〈不安な時代〉の精神病理
講談社現代新書
東北関東大震災と原発事故。重なる大惨事は、私たち日本人の心と社会にも深い傷を残した。だからこそ、この国をあきらめない、希望を失わずに生きるよう、と著者は強く感じる。希望は一人では実現できない。支え合う心、守るべき命の尊さを共有しながら、日本がどのように立ち直ればいいのか、私たちができることは何なのか、精神科医が緊急提言する。
【目次】
まえがき どのようにして立ち直るのか
第一章 長いデフレがもたらす大きな不安
第二章 若者の心理の変化
第三章 苦境に立つ親世代
第四章 高齢者が安心して生きるには
第五章 絆を求めて暮らす私たち
第六章 日米の精神医学
あとがき 希望を失わないために

超解読! はじめてのカント『純粋理性批判』
講談社現代新書
近代哲学の最高峰をいまこそ読み直す!
「形而上学の不可能性」の原理とは?
「アンチノミー」「カテゴリー」「物自体」とは何か――。
近代社会における知の全地平を見渡すうえで必読の一書をわかりやすく平らげる。「超解読」シリーズ第二弾!
【目次】
まえがき
1 先験的原理論
第一部門 先験的感性論
第二部門 先験的論理学
第一部 先験的分析論
第二部 先験的弁証論
2 先験的方法論
あとがき

戦前昭和の社会 1926-1945
講談社現代新書
「大学は出たけれど」、新興宗教ブーム、10銭均一売り場……「暗い時代」の明るい日常生活。「十銭均一売り場」に足を運ぶ消費者、女性の地位向上を推進するモダンガール、新興宗教ブーム、就職難にあえぐ学生──。現代社会の原点=戦前を生きた人びとの実像を描き出す一冊。(講談社現代新書)
「暗い時代」の明るい日常生活
「十銭均一売場」に足を運ぶ消費者、女性の地位向上を推進するモダンガール、新興宗教ブーム、就職難にあえぐ学生――。
現代社会の原点=戦前を生きた人びとの実像を描き出す一冊。

〈麻薬〉のすべて
講談社現代新書
人間がいるからこそ麻薬は生まれ、毒へも薬へも姿を変える。麻薬と人類との有史以前より続く深く悩ましく関係を、古今東西の秘話・逸話をまじえて紹介。禁断の博物学へご招待!
人間がいるからこそ麻薬は生まれ、毒へも薬へも姿を変える。
麻薬と人類との有史以前より続く深く悩ましく関係を、古今東西の秘話・逸話をまじえて紹介。禁断の博物学へご招待!

モーツァルトを「造った」男─ケッヘルと同時代のウィーン
講談社現代新書
クラシックファンならずとも、モーツァルトの全作品にはK.**とかKV**などという番号が振られており、それをケッヘル番号と称することはご存じでしょう(たとえば交響曲第41番『ジュピター』はK.551)。誰から頼まれたわけでもないのに一作曲家の作品を調べ上げて分類し、番号を振る──。考えてみれば酔狂なことです。ケッヘルとはいったいどのような人物であり、どうしてこんな作業にとりかかったのでしょうか?
クラシックファンならずとも、モーツァルトの全作品にはK.**とかKV**などという番号が振られており、それをケッヘル番号と称することはご存じでしょう(たとえば交響曲第41番『ジュピター』はK.551)。
誰から頼まれたわけでもないのに一作曲家の作品を調べ上げて分類し、番号を振る──。考えてみれば酔狂なことです。ケッヘルとはいったいどのような人物であり、どうしてこんな作業にとりかかったのでしょうか?
ルートヴィヒ・フォン・ケッヘルは1800年にオーストリア、ニーダーエスターライヒ州のシュタインという町で生まれました。彼はウィーンで法律を学び、やがてカール大公(オーストリア皇帝フランツ1世の弟)の4人の子どもたちの家庭教師となり、じゅうぶんな財政的な基盤を確立することができました。
ハプスブルク帝国はナポレオンに完膚なきまでに痛めつけられ、その後も人びとはメッテルニヒ体制の強権政治の下で生きることになります。軍事的に敗北した老大国の矜持はおのずと文化に向かいます。こうして「発見」されたのが、陋巷に窮死したといってもよいはずのモーツァルトだったのです。ザルツブルクに生まれ、ウィーンやプラハで活躍した彼を顕彰することは、オーストリアの文化的優越性を示すことにもなります。
しかし、モーツァルトの未亡人コンスタンツェや少数の友人たちが残された作品を分類はしてはいたものの、楽譜も散逸しており、どれが正真正銘のモーツァルトの作品であるかはハッキリしなくなっていました。
ケッヘルはこつこつとモーツァルトの真作を考証、626作品とし、それを時系列的に配列した作品リストを出版しました(K.626が彼の死によって未完に終わったレクイエム)。これこそがケッヘル目録と言われるものです。1862年のことでした。
なお、のちの研究によって作品の成立時期が見直されたり、作品が新しく発見されたりしています。どんなに批判にさらされようと、後世の私たちはこの人物の実に地味な作業が造り出した枠組みから逃れられることはできないのであり、その意味でケッヘルこそはモーツァルトを「造った」男と言っていいのです。
1877年に死んだケッヘルの人生を通じて大作曲家が「再発見」されていく風変わりなドラマと、ウィーン、ハプスブルク帝国の諸相を描きだします。

鉄道ひとつばなし3
講談社現代新書
消えた駅弁、東大合格上位校と鉄道の意外な関係、うなぎ弁当食べ歩き、時刻表旅行のススメ……線路の彼方に孤高の“鉄”学者は何を見たか? どこから読んでも愉しめる、待望のシリーズ第3弾! 爆笑必至の「日本の廃線シンポジウム」も収録。(講談社現代新書)
「原さんの思索のスケッチブックは車窓なのだ。
そこには近代ニッポンが息づき、
鉄道と歴史が大好きな少年がいる。」――重松清氏推薦!
消えた駅弁、東大合格上位校と鉄道の意外な関係、
うなぎ弁当食べ歩き、時刻表旅行のススメ……
線路の彼方に孤高の“鉄”学者は何を見たか?
どこから読んでも愉しめる、待望のシリーズ第3弾!
爆笑必至の「日本の廃線シンポジウム」も収録。

「認められたい」の正体 承認不安の時代
講談社現代新書
「『空虚な承認ゲーム』をどう抜け出すか。その『答え』ならぬ『考え方』を教える本書は、規範喪失の時代における希望の書である」(斎藤環氏)。現代社会に蔓延する承認の問題を真正面から捉えた注目書! 私たちを覆う「生きにくさ」の本質に迫る。
「『空虚な承認ゲーム』をどう抜け出すか。その『答え』ならぬ『考え方』を教える本書は、規範喪失の時代における希望の書である」(斎藤環氏)。
現代社会に蔓延する承認の問題を真正面から捉えた注目書!

ウェブ×ソーシャル×アメリカ <全球時代>の構想力
講談社現代新書
「ウェブ」と「アメリカ」を考えるための新たな基本書の誕生。批評の新次元を開く待望の書。
著者の池田純一氏は、デジタル・メディアの黎明期からの専門家であり、コロンビア大大学院で公共政策・経営学を学びました。ニュースや事象をいちはやく分析、ウェブと社会の関わりを洞察するブログ「FERMAT」(http://www.defermat.com/)は、高い評価を集めています。
●Apple、Google、Twitter、Facebookは、なぜアメリカで生まれたのか?
●Googleを支える思想とは何か? それはこれからどこに向かうのか?
●FacebookとTwitterの本質的な違いはどこにあるのか?
●ウェブの展開は「ソーシャル」という概念を、どう再定義していくのか?
●ウェブによる国際化(全球化)に、ビジネスマンをはじめとして人々はどう対処していったらよいのか?
これらの問いに答えながら、本書は同時に、「ウェブはアメリカの文化的伝統を、いかに継承・具現しているのか。社会の変容にどう寄り添い、国境を越え、結果として世界を動かしていくのか?」という壮大な問いに、歴史、社会、経済、思想、工学、建築、デザインなどの分野の境を超え、端正でやわらかな文章で語っていきます。
ウェブが抱いてきた夢=「構想力」の源流をたどり、ゆくえを探る、斬新かつ根源的論考です。

親と子の愛情と戦略
講談社現代新書
「親になること」と「親をすること」の違いの考察、父親の育児休暇の取得状況や育児が父親・母親の生き方に与える影響を検証、心理学の第一人者が日本の「家族と親子」の発達心理学を新しい視点で分析する。
子育てから介護までを問い直す予防心理学の登場!

新書 沖縄読本
講談社現代新書
「癒し」イメージが先行するなか、長寿伝説の崩壊、格差の拡大、迷走する基地問題、サンゴを巡る島と本土のねじれなど、島は多くの問題で揺れている。
その一方でなぜ近年沖縄野球は強くなったのか、次々とメジャーの歌手を輩出する沖縄音楽の魅力の源泉とは。
沖縄ブームにも深く関わった著者たちが紡ぐ、沖縄の歴史といまを照らす21の物語。
【目次】
第1部 沖縄人のいま
第2部 沖縄という場
第3部 沖縄と日本
第4部 離島にて
第5部 沖縄から遠く離れて

デフレと超円高
講談社現代新書
緊急出版! 日本経済の危機と希望を問う!
若者の就職難、雇用の不安定、賃金の低下、社会保障制度は崩壊寸前、今の生活のままでいいのか。
ガバナンスと金融を考えることは日本の緊急の課題である。経済学の第一人者が提案する日本経済を救う秘策とは!
【目次】
第一章 円高はなぜ起きるのか
第二章 デフレは円高を生む
第三章 デフレと円高はなぜ悪いのか
第四章 構造デフレ説の誤謬
第五章 デフレは貨幣的現象である
第六章 日銀の金融政策の目的は「デフレの安定化」
第七章 インフレ目標でデフレも円高も止められる

占いと中世人―政治・学問・合戦
講談社現代新書
中世の日本人の日常生活では、占いへの需要が非常に多かったのです。中世の政府である朝廷や幕府には官人の陰陽師たちがおり、祈祷や占いをおこないました。彼らは天文学者でもあり、陰陽師の天文占いは西洋占星術とは異なった中国の占星術を用いたもので、政治的な意味がありました。また、戦国時代には、足利学校を中心に易占いが盛んになり、戦国大名たちは占い師を重用して合戦のタイミングを占わせました。
われわれ一般庶民にとって、占いは信じる信じないはともかく、身近で欠かせないものです。新聞や雑誌には西洋占星術や東洋六星術などの運勢占いが載っており、携帯電話やインターネットにはさまざまな種類の占いのサイトがあります。また、正月に神社や寺に初詣に行ったときには、おみくじを引きます。庶民ですら占いは気になる、いわんや一国の指導者においてをや、です。かつてレーガン米大統領(とその夫人)が重要事項の決定にあたって占星術師の助言に頼っていたという話がありました。
中世の日本人の日常生活では、占いへの需要が非常に多かったのです。中世の政府である朝廷や幕府には官人の陰陽師たちがおり、祈祷や占いをおこないました。彼らは天文学者でもあり、陰陽師の天文占いは西洋占星術とは異なった中国の占星術を用いたもので、政治的な意味がありました。また、戦国時代には、足利学校を中心に易占いが盛んになり、戦国大名たちは占い師を重用して合戦のタイミングを占わせました。
本書では、中世の陰陽師や易占いの世界に潜入し、実際の日常生活、政治の世界、合戦の場で占いがどのように活用されたのかを具体的にみていきます。そして、中世人と現代人に共通する心理を探りながら、なぜ中世社会で占いが重視されたのか、また占いを支えたものは何かを考え、さらに占いの底にある思想・文化もみていきます。

温泉をよむ
講談社現代新書
日本人にとって温泉とはなにか。それは癒しと憩いの場であり、明日への活力を養う場であると同時に、非日常的な時空間に身を置き、文字通りの「再生」を願う場所でもありました。
古代人は熱い湯が大地から噴き出すことに恐れおののき、これに神格を認めました。また、医療の発達していない時代にあっては、薬石効なく医者から匙を投げられたものたちが最後の望みを託して杖をひく場でもありました。近世に至れば歓楽の場ともなり、また科学的に温泉を理解しようとする動きも出てきます。
近代になって温泉を「観光地」「保養地」として理解しようとする人びとは、それまでの信仰や民俗が雑多に、重層的に存在する温泉地のありかたを「旧来の陋習」として排斥していきます。その一方で、インテリとよばれる若者たちによって温泉は「青春の煩悶」と結びついた特権的な場所として表象され、やがてそれは文学名所として観光的に「消費」されていくことになります。
本書は温泉が日本文化においていかに重要な存在であるかを多角的に明らかにしていきます。

財界の正体
講談社現代新書
経済エリートたちはどうやって日本を動かしてきたのか? 献金システムの変遷、政策への関与の方法、日本経団連はじめ財界団体内部の仕組み、今後のゆくえなど、揺れる実態をつぶさに解剖! 財界の素顔を知る最適の一冊。第一章 財界とは何か/第二章 政治献金の裏表/第三章 国の政策も動かす/第四章 「財界・奥の院」をのぞいてみる/第五章 グローバル化を進める財界/第六章 財界に明日はあるか
経済エリートたちはどうやって日本を動かしてきたのか? 献金システムの変遷、政策への関与の方法、日本経団連はじめ財界団体内部の仕組み、今後のゆくえなど、揺れる実態をつぶさに解剖! 財界の素顔を知る最適の一冊。
【目次】
第一章 財界とは何か
第二章 政治献金の裏表
第三章 国の政策も動かす
第四章 「財界・奥の院」をのぞいてみる
第五章 グローバル化を進める財界
第六章 財界に明日はあるか

英語と日本語のあいだ
講談社現代新書
文法・訳読はほんとうに時代遅れか。「英語の授業は英語で」で、何が起きるか。英語を読む力よりも、話す力が求められる、昨今のコミュニケーション偏重の風潮に疑義を呈し、日本人は英語とどう向き合うべきかを根本から問い直す。「英語の授業は英語で行う」。文法訳読の授業はいらない――。そんな新指導要領の方針に疑義あり!
コミュニケーション英語を疑う
文法・訳読はほんとうに時代遅れか。「英語の授業は英語で」で、何が起きるか。
英語を読む力よりも、話す力が求められる、昨今のコミュニケーション偏重の風潮に
疑義を呈し、日本人は英語とどう向き合うべきか根本から問い直す。
【目次】
第一章 日本語の環境で英語を学ぶこと
第二章 英語で英語を教えることの是非
第三章 読む力を鍛える
第四章 英語を日本語に訳すこと
第五章 翻訳と訳読――対応するもの・見合うもの
第六章 英語学習とコミュニケーション能力

言葉と脳と心 失語症とは何か
講談社現代新書
40年以上、さまざまな患者さんに接し、研究に携わるなかで、著者は、「人の<思い>が、どのように心の中で<像>をつくり、<音>と結びつき、<ことば>になり、発せられるのか」ということの追究も重要ではないか、と考えるようになりました。そのような考えを、経験を通してわかりやすくまとめたのが、本書です。「ことば」に関心を持つあらゆる方に読んでいただければ幸いです。
著者は、日本の失語症研究を1970年代から率いてきた第一人者です。
失語症による言語障害といっても、人によって実にさまざまな症状の表れ方があります。また、「この症状の場合は脳のここの部位が損傷をきたしている」ということまではおおよそわかっても、「では、なぜ、その損傷が言語機能に影響するのか?」ということについては、いまだ曖昧なままです。
40年以上、さまざまな患者さんに接し、研究に携わるなかで、著者は、「人の<思い>が、どのように心の中で<像>をつくり、<音>と結びつき、<ことば>になり、発せられるのか」ということの追究も重要ではないか、と考えるようになりました。そのような考えを、経験を通してわかりやすくまとめたのが、本書です。
「ことば」に関心を持つあらゆる方に読んでいただければ幸いです。
【目次】
プロローグ――失語症を通して言葉を考える
第1章 名前がわからなくなるふしぎ――健忘失語
第2章 発話できなくなるふしぎ――ブローカ失語
第3章 聞いた言葉が理解できなくなるふしぎ――ウェルニッケ失語
第4章 言い間違いのふしぎ――伝導失語
第5章 脳の右半球と左半球のふしぎ――空回りする言葉
エピローグ――言葉と心の問題を考えてきて

はじめての政治哲学――「正しさ」をめぐる23の問い
講談社現代新書
人命救助は私たちの義務なのか? 政治家は市民より正しいのか? なぜ定住外国人に参政権が与えられないのか? もし日本人がマイノリティになったらどうする? 貧しい家庭の子のほうが大学入学に有利になるとしたら? なぜ話し合いが必要なのか? 孤独死と幼児虐待の問題の解決策とは? さまざまな問いから私たちの社会を考えるヒントがいっぱいの入門書。(講談社現代新書)
人命救助は私たちの義務なのか?
政治家は市民より正しいのか?
なぜ定住外国人に参政権が与えられないのか?
もし日本人がマイノリティになったらどうする?
貧しい家庭の子のほうが大学入学に有利になるとしたら?
なぜ話し合いが必要なのか?
孤独死と幼児虐待の問題の解決策とは?
さまざまな問いから私たちの社会を考えるヒントがいっぱいの入門書

誰も教えてくれない人を動かす文章術
講談社現代新書
企画書・稟議書・謝罪文・始末書から小論文・就活の自己アピール文・伝わるメールの書き方まで、具体的に紹介。簡単で確実、「書く技術」を身につける方法ネタは自分で考えない。ゴールは一つに絞る。発問力を忘れない。当たり前のことは言わない覚悟を持つ。要点は3つにまとめる……。誰でも簡単に書ける文章のコツを伝授!
「カンタン確実書く技術」決定版
企画書・稟議書・謝罪文・始末書から
小論文・就活の自己アピール文・
伝わるメールの書き方まで具体的に紹介。
【著者からのメッセージ】
単なる記録や報告ではない、人を動かす力を持つ言葉。
そうした力のある言葉は、書き言葉の修練を通じて獲得されます。もちろん深い人生経験があれば、
そこから滲み出てくる言葉には重みがあります。しかし、私たちは深い人生経験を持っているとは限りません。
人の心を動かし、現実を動かす書く力を身につけようと意志を持つことで、「言葉の力」に目覚めるのです。
この本では、様々な局面で求められている文章力を、できるだけ実例を示しつつ、明らかにしたいと思っています。
求められているのは「実用的」文章力ですが、その「実用的」というのは、本質的には「人を動かす」という意味なのです。
ポイントは、文が「上手いか、下手か」にあるのではなく、「人を動かすか、否か」にあるのです。

変わる家族と介護
講談社現代新書
著者の春日氏は、30年以上にわたってケアワーカーや保健師の方たちと一緒に仕事をしてきた研究者ですが、この10年近く、家族と介護をめぐる状況が大きく変わったと感じるようになりました。
たとえば、「高齢の親と同居する、経済力のない中年シングル息子/娘」の世帯が急増しています。介護と仕事の両立に悩む中年シングルの娘も増えています。高齢者夫婦の世帯で、夫が妻の介護や家事を担うストレスから、極端な場合は高齢者虐待に陥るケースも増えています。夫方の両親より妻方の両親を優先する夫婦も増えました。子が親を世話するという価値観が崩れ、二世帯同居でも実質ひとり暮らしという老母のケースもあります。
著者は、このような状況を、「家族のかたちが大きく変わったことによって、家族に<セーフティネット>の役目を担わせるかたちでつくられている日本の福祉制度のあり方が限界に達し、人々が重大な困難に陥ったとき、どこからも救い手がなく、孤立し、ときには命までも脅かされようとしている」ということではないか、と考えています。
本書はそのような「極端に聞こえるかもしれないが、けっして他人事ではない」ぬきさしならない家族と介護の問題の数々を、エッセイのかたちで語り、要所でデータなど解説を加えた本です。深刻なケースに対しても、著者の共感のこもった眼差しはあたたかく、個々の家族や、社会の制度について、どうしたらよいかを模索しながら語ります。誰にとっても大切で切実なテーマである家族について、考えるヒントになれば幸いです。

はじめてのポルトガル語
講談社現代新書
初歩の初歩から会話まで。ポルトガル語への第1歩! ポルトガル語はどんなことば/ポルトガルとブラジルの単語の違い/ロナウド? ホナウド? ロナルド?/旅先で便利なフレーズ/いいたいことをいうための基本/肯定文、疑問文、否定文/これは、誰の車?/風邪を引いて会社にいけない/未来を表すir/命令形の表現/7つの不規則変化/便利なつなぎ言葉/「小さな昼食」と「朝のコーヒー」……
実際にコミュニケーションをとるために必要な単語・文法を体系だてて解説。
実践的な日常会話、丁寧な発音指導に、国や地域による発音・文法の違いを歴史・文化などもまじえて面白く紹介。
ポルトガル語入門書の決定版!