講談社現代新書作品一覧

アメリカの軍事戦略
アメリカの軍事戦略
著:江畑 謙介
講談社現代新書
冷戦後、軍縮が進むなかで空母だけは削減しないのはなぜか? 欧州重視から太平洋重視に転換した理由は? 日米安保再定義から核軍縮までアメリカの「ポスト冷戦」戦略を見通す決定版。 在外米軍基地削減と空母――冷戦が終結し、米国は大幅な軍備の縮小と同時に、海外米軍基地の閉鎖、返還にも着手した。その必要がなくなったのと、配備しておくに十分な数の米軍部隊がなくなったからである。冷戦が終り、地域紛争の増大が予想される時代にあたり、この在外米軍基地の削減と米国の軍事力展開能力の維持という矛盾をどう解決するか。その答えとして米国が目を付けたのが空母の価値であった。その数は、かつてソ連の海軍力増強に対抗して、全世界での制海権を確保するための15隻という規模はもはや必要ではない。だが、削減幅は大方の予想であった半減ではなく、わずか3隻という小幅なものに留まったのである。そして1996年度予算でも、米国議会は10隻目の原子力空母CVN-76の建造費を承認した。――本書より
再入門の英語
再入門の英語
著:長谷川 潔
講談社現代新書
「社内公用語は英語」の時代。使える英語への早道は、中学・高校で学んだ潜在力の活用から。基本16動詞の応用、パターン練習、推理的リスニングで実力アップ! ラジオ「英会話」で自分をチェック―― Listeningに上達するためには、日本語になるべく訳さないことです。いちいち訳していたら、その間にどんどん先に進んでしまいます。最初はわかる単語だけ聞き取るつもりでけっこうです。そのうちわかる単語が少しずつふえてきます。もしどうしても訳が気になる人は、聞いた単語を覚えておいて、あとで辞書で意味を確かめます。とにかくListeningは日本人の好きな英文和訳とは違いますから、訳すことは忘れて耳を英語に集中しましょう。日本語で話を聞いても全部正確に聞き取っているわけではありません。要点だけがわかればいいのです。さらに日本語でも聞きまちがえて聞き返すことがあります。まして英語なのですから、最初から全部理解しようと意気込まないほうがいいのです。気楽な気持ちで聞いて少しずつ英語がわかるようになれば、英語の音の感覚が身につきます。――本書より
意識と存在の謎
意識と存在の謎
著:高橋 たか子
講談社現代新書
1人1人が生きている、生かされているとはどういうことなのか。救いへの道を希求する思索の書。 意識の目覚め――意識とは何でしょうか。一般に言われているそれではなくて、一般に言われている無意識をもふくめた、意識のことですが。存在イコール意識という存在論と表裏をなす意識論における、それ。まず、誰にとってもわかる実例から入ってゆきます。生活の業務をしている時、どこか自分の奥から、ぽっと、その業務とはかならずしも関係なく、何かが湧きでてきて、それに留意していると、だんだんはっきりしてきます。普通は、はっきりしてくる前に、その時している業務の必要事のほうへ注意が戻るので、湧きでてきた何かは消えてしまう。そして、それが何であったかも、そんな発生のことも、すっかり忘れてしまう。――本書より
中国医学の健康術
中国医学の健康術
著:小 修司
講談社現代新書
体・心・病・治癒についての3000年に及ぶ知恵の結晶。五臓六腑を巡る気・血・津液のバランスの観点から、多様な現代病への対応策と心身の健康を保つ養生法とを説く。 「未病」という状態――中国医学には「未病」という考えがあります。気・血・津液という身体を構成している物質の量的な不足や流れの異常が、中国医学の診断法では認められるものの、未だ明らかな病気と認識される以前の状態ということです。別のいい方をすれば、食事や呼吸などさまざまな日常生活の中の摂生、つまり養生をすることで、これらの半病気的状態を脱却できる段階を未病というのです。一般のドックなどの検査では異常と認められないが、既に気・血・津液に何らかの異常が認められ、放置すれば重篤な疾病を引き起こす恐れがあると思われる人は、現代のようにストレスが多く、食生活で不摂生をする人が多い時代には、実際想像以上に多いものです。――本書より
じぶん・この不思議な存在
じぶん・この不思議な存在
著:鷲田 清一
講談社現代新書
●探せばどこかにじぶんはある? ●女の子は「女装」によって女になる ●過敏になったじぶんの先端 ●小さな不幸がひきたて幸福 ●アイデンティティの衣替え ●わたしはだれにとっての他者か ●他者のなかに位置を占めていない不安 ●泳ぐ視線、のぞく視線、折れ曲がる視線 ●他人の視線を飾る行為 ●じぶんがぼやけることの心地よさ わたしってだれ? じぶんってなに? じぶん固有のものをじぶんの内に求めることを疑い、他者との関係のなかにじぶんの姿を探る。 探せばどこかにじぶんはある?――「じぶんらしく」なりたい、じぶんとはいったいどういう存在なのかを確認したいと思って、じぶんのなかを探す。顔がいい? 走りが速い? 計算が速くて正確? 明るい? ……どれをとってもわたしだけに固有のものってありはしない。このような性質や能力はだれもが多かれ少かれもっているものだ。性別や年齢や国籍などというのは、それこそみんながもっている。だから、その1つ1つはだれもがもっているものであるにしても、それらの組み合わせにひとりひとり独自のものがあるのだ、というのは、そのときだれもが思いつく論理である。が、これがじぶんというものの、かけがえのない不二の存在を証しているなどというには、あまりにも貧弱な論理であるのは、だれもが直観的に気づいている。――本書より JEUNESSE―ジュネス―とは、年若いこと。若さとは、いまだ問いを呑み込まず、宇宙の風にさらされること。いわゆる「教養」や「知的好奇心」は、大人のスマートな会話に似合いそうな言葉です。立ち止まってみましょう。自分はどんな問いの渦の上に立っているのか。かすかな謎のささやきに耳を傾ける感性を、また、どんな権威や常識にも頼らぬ思考を、私たちはJEUNESSEと呼びます。古い問題をもう1度新たに問い直し、あたりまえに見える目の前の世界に想像力の自由な視線をめぐらすとき、見たこともない像が立ち上がるのです。現代新書JEUNESSEは、そんな知的感性を大切にしたいと考えます。
電子あり
名君の賢臣
名君の賢臣
著:百瀬 明治
講談社現代新書
貨幣経済が発達するとともに、江戸幕藩体制は綻び、軋みはじめる。財政難を救った吉宗・鷹山・田沼らの政策・人材登用法・生き方に学ぶ。 なぜ幕政改革が必要になったか?――江戸の武家社会は、周知のように米経済に立脚していた。彼らは、領内の農村で生産される農作物を年貢として吸いあげ、それを金銭に換えて消費生活を営んでいた……。そこへ、新たな経済体制として、貨幣経済、商品経済が急速に成長しはじめた。貨幣経済、商品経済は、国全体の経済規模を拡大する自律性をもち、商品の供給量の増大と物価の上昇をうながす。それに対し、武家の依存する米経済は、毎年の生産量がほぼ一定しているから、基本的に停滞性が強い。そのような因果関係により、米経済と貨幣経済の格差はたちまち逆転し、幕府・諸藩は足並みそろえて赤字財政に苦慮しなければならなくなったのである。さて、そうすると、経済を度外視する仁政では、こうした事態は解決できないことになる。政治・経済の両面にわたって、斬新な手法が必要になってくる。そのような要請にこたえて、諸藩で試みられたのが、いわゆる「藩政改革」であった。といっても、諸藩には独自の事情があり、リーダーの考え方も一様ではなかったから、藩政改革はさまざまな形をとった。そのような藩政改革の代表的な事例を、……概観することにしたい。――本書より
異端審問
異端審問
著:渡邊 昌美
講談社現代新書
ヨーロッパ中世を血の色に染めた狂熱の炎。徹底的に排除され裁かれた「異端」の脅威とは何か。史料を渉猟し、キリスト教社会の闇に迫る。 異端の認定――それよりも驚くのは、異端の認定の峻厳さである。異端者数名とともに人目を避けて葡萄畑に行き、そこで異端の書物を読み、一緒に食事をしたという聖職者が、職務を停止されてサンチャゴ巡礼を科せられたのは理解できないこともないが、少年時代に異端らしい者を見た男、それと知らずに異端者を対岸に渡した渡し船の船頭、渡し船に異端者と乗り合わせたことのある男、異端とは知らずに怪我人の腕に包帯を巻いてやったことのある医師、ある病人の家に異端者が入るのを見かけたことのある男、病児のために医術の評判の高かった異端者に相談した男などが、長途の巡礼を命じられているのだ。異端者が社会の底辺にまで浸透していた時代、彼らと何らかの接触の経験のない者はいなかった。それをしも「幇助者」「迎接者」「秘匿者」と見るならば、全住民が有罪である。事実、この頃の異端審問官は全住民を信仰の敵と考えていたのかもしれない。――本書より
銘酒誕生
銘酒誕生
著:小泉 武夫
講談社現代新書
民族の伝統的知恵と気候風土がはぐくんだ中国の白酒と日本の焼酎。「活力の水」ともいうべきアジアの二大蒸留酒の芳醇かつ多彩な世界を案内する。 固体発酵と理想的リサイクル――白酒製造の際の副産物である蒸留糟は、それらの豚を飼育するのにきわめて重要な飼料となっているのである。固体発酵という特殊な微生物作用を受けてきたために、栄養成分は豊富で消化吸収は他の固体飼料に比べて抜群によい。……豚はこの糟を食べてどんどん大きくなり、そのうちに白酒の肴として食卓に出てくる。その間、豚の糞は畑に撒かれて、白酒の原料を育てる肥料となる。……穀類原料を固体発酵させることにより、そこから白酒を得ると同時に豚肉を得、そして白酒の原料穀物まで得るといった、何ひとつ無駄のないすばらしいリサイクルが成立しているのである。――本書より
ブルゴ-ニュ家
ブルゴ-ニュ家
著:堀越 孝一
講談社現代新書
ヴァロワ家フランスとハプスブルク家ドイツの間に台頭する新勢力ブルゴーニュ家。中世の金色の風景の中に1つの国家を構想した侯家4代の盛衰を描く。 はじめに――ところが14世紀のなかば、ブルゴーニュ侯家に男子の相続者が続かなくなった。なにしろここはフランス王家の親族の領地だからというので、一時王家が直轄領としたが、すぐにまたあたらしい侯家をおこした。時のフランス王ジャンの末っ子フィリップにはじまる家系のブルゴーニュ侯家である。フランス王家をヴァロワ家といったので、ヴァロワ家系ブルゴーニュ侯家という。もしこの侯家が以前のブルゴーニュ家のように、この土地の領主として自足していてくれたなら、「ブルゴーニュ問題」は発生しなかった。わたしがこの本を書く理由もなかったことだろう。ところが「ブルゴーニュ問題」は発生した。この問題、生半可なものではなかった。つきつめればブルゴーニュ家がドイツとフランスのあいだにひとつの国家をつくれるかどうかが問われたのである。――本書より
ト-マス・クックの旅
ト-マス・クックの旅
著:本城 靖久
講談社現代新書
だれでもが、団体割引で、安全・快適な旅をどうぞ! 大英帝国での“レジャーとしての旅行”誕生の様を、創始者の生涯とともに活写する。 歴史的な日帰り団体旅行――トーマス・クックはミッドランド・カウンティーズ鉄道会社を訪れ、必要な人数は自分の方で集めるから、割引料金でグループをレスターからラフバラーまで臨時列車で運び、また連れ帰るように要請した。この鉄道会社はそれまでにもこの種の臨時列車を組織したことがあるので、問題なくこの申し入れを承諾した。大人1人の往復料金は1シリングと決められたが、これは通常料金の半額である。それからの数週間、トーマス・クックは非常に忙しかった。大会のプログラム……昼食やアフタヌーン・ティーの手配……ゲームやダンスの用意……広告……往復乗車券の印刷・販売……このようにして、あの歴史的な日帰り団体旅行は実施されたのである。――本書より
アポト-シスとはなにか
アポト-シスとはなにか
著:田沼 靖一
講談社現代新書
“細胞の自殺”アポトーシスの発見が、がん、AIDS治療の道を拓き、老化・寿命の謎を解く。新たな生命観への招待の書。 「死」から「生」へ――アポトーシスが、これほど研究者たちに注目されているのはなぜだろうか。それは、単に、アポトーシスが生命の維持に欠かすことのできない細胞の基本的機能であり、多彩な生命現象に密接に関与しているから、というだけではない。アポトーシスが、これまでのものの見方を180度変えてしまったからである。つまり、生きているものを「生」からの視点でしか見ていなかったところに、まったく逆の「死」から見る、という発想の転換をもたらし、それによってかえって「生きている」ことの現象が、よりはっきりとらえられるようになったからである。――本書より
モンゴル帝国の興亡〈下〉
モンゴル帝国の興亡〈下〉
著:杉山 正明
講談社現代新書
陸と海を結んだ巨大帝国の軍事・行政・経済システムと、その終焉…。巨龍、墜つ。 ナヤンの挙兵・クビライ最後の出陣――三大王国は、孫の世代に移っていた。頼むべき分身の息子たちは、すでにいなかった。クビライの生涯で、最大の危機であった。……73歳の老帝クビライは、みずから迎撃を決意した。悲痛な出撃となった。しかし、クビライは果断であった。迎撃態勢の大綱を指令すると、みずから手まわりの兵団をかき集め、みずから先頭に立って突出した。ときに、陰暦5月13日。象の背に結わえ付けた輿に乗っての出撃であった。……ここで両軍、一気に決戦となった。錐の先のように激しく揉み込むクビライ突撃隊の気迫に、実戦の意欲を欠くナヤン軍は崩れ立った。しかしそれでも、少数突撃したクビライ自身のまわりに危機は迫った。クビライ突撃隊の気迫に、実戦の意欲を欠くナヤン軍は崩れ立った。しかしそれでも、少数突撃したクビライ自身のまわりに危機は迫った。クビライを乗せた戦象は、激しく集中する矢のために、後方へ逃走した。混乱する戦況を決定したのは、かねてクビライが、自分自身の「常備軍」として賛成に努めていた。キプチャク、アス、カンクリなどの諸族から成る特殊親衛軍団の威力であった。……御曹子として、実戦の経験のほとんどない青年ナヤンと、数々の修羅場を踏んできた老人クラビライの違いが、すべてを分けた。敵本営の奇襲を狙った緊急出撃といい、戦場での突出攻撃といい、クビライの采配ぶりは、まことに見事であった。彼は最大の危機を、みずからの力で切り抜けたのである。――本書より
モンゴル帝国の興亡<上>
モンゴル帝国の興亡<上>
著:杉山 正明
講談社現代新書
世界史はモンゴルを待っていた――草原の遊牧国家が、ユーラシアの東西を結ぶ。チンギスから、クビライの奪権まで。 モンゴル軍少年部隊――モンゴル遠征軍の主力は、少年部隊であった。モンゴル高原を出発する時は、10代の、それも前半の少年であることが多かった。彼らは長い遠征の過程で、さまざまな体験をし、実地の訓練を通して、次第にすぐれた大人の戦士になっていった。……こうした少年兵にとって、遠征の出発は人生への旅立ちでもあった。……彼らは遠征先で、そのまま落ち着いてしまうことも、しばしばあった。その場合、今やすっかり大人となったかつての少年兵や、さらにその子孫たちも、やはり「モンゴル」であることには変わりがなかった。はるかなるモンゴル本土の高原には、兄弟姉妹、一族親類がいた。帰るべき心のふるさとは、みなモンゴル高原であった。……今や、名実ともに世界帝国への道をたどりつつあった「イェケ・モンゴル・ウルス」にとって、モンゴル高原の千戸群こそが、すべての要であった。高原は、「祖宗興隆の地」であるとともに、まさしく「国家根本の地」であった。そして、その地とそこの牧民たちの保有こそがモンゴル大カアンたる証であり、権力のすべての根源であった。――本書より
年金の常識
年金の常識
著:久野 万太郎
講談社現代新書
迫り来る超高齢化社会。退職後、何歳からどれ程の公的年金を受けとれるのか? 複雑なシステムをわかりやすく解説。 各年金の平均月額――年金は、老後の生活の上でどの程度頼りになるのだろうか。……まず、高齢者世帯の1世帯当たりの平均所得は320万円(月額26万6667円)である。……年金は人によってずいぶん違うから、平均値というのは必ずしも実態を表すとはいい難いが……厚生年金は月額15万6000円、国民年金は月額3万7000円、国家公務員共済は20万1000円、地方公務員共済は21万7000円など……である。……現在の年金制度は若い人ほど順次「年金水準が下がっていく」設計になっている……これから定年を迎える人は老後生活の半分は年金で、あと半分は自力で考えるのが現実的であろう。――本書より
「死語」コレクション
「死語」コレクション
著:水原 明人
講談社現代新書
時代の姿を映し出し、時代と共に生き、やがて忘れられ、消えていった言葉の群れ。日本近代の激動史をたどる異色の死語辞典。 「死語」とは何か――過去、ある時代には誰もが知っている当たり前の言葉だったのに、今ではまったく使われなくなった、あるいはその存在さえ忘れられてしまった言葉がある。そういう言葉を我々は「死語」と呼んでいる。しかし、その言葉がある時期になぜ使われ、現在はなぜ忘れられてしまったのか? そこには必ず理由がある。そして、その理由を探っていくと、その裏に大きな時代の流れのあることに気づかされる。ある時代をもっとも特徴づけ、その時代とともに消えていった言葉というのは、言い方を変えれば、その時代の世相、風俗、政治、社会の姿を我々に対して雄弁に物語ってくれる貴重な証人なのである。――本書より
輪廻転生を考える
輪廻転生を考える
著:渡辺 恒夫
講談社現代新書
私はどこから来てどこへ行く。前世は何? 死後は? 自己が自己である理由を考える。 輪廻転生観の歴史――情報化文明の中で、現在の少年少女は、まだ年端もいかぬうち、宇宙的な視野の広がりに直面する。それが、「なぜ20世紀末の今というときに、ここ地球星の日本という島に生きているのか」という問いを生む。また、みんな同じような家に住み同じような服を着て同じような教育を受ける、という現代の超過密化した管理社会が、「自分は本当はいったい誰なのだろう」という、出自を求める問い、アイデンティティの問いとなる。輪廻転生観は、まさに、これら、《今》と《ここ》の問い、「私は誰か」の問いに答えるべく、忘却の淵から呼び戻されたのだ。前近代の迷妄と思われていたものが、ポストモダンの死生観の有力候補としてよみがえりつつあるのだ。――本書より
ケインズを学ぶ
ケインズを学ぶ
著:根井 雅弘
講談社現代新書
経済学者は、人間の性質や制度に関心が高く、資質において数学者、歴史家、哲学者であらねばならない。 経済学はモラル・サイエンスである――ところで、この手紙のなかには、さらに、経済学は「モラル・サイエンス」(moral science)であって、自然科学とは異なるという趣旨の文章が続くのですが、このモラル・サイエンスという言葉を直訳して「道徳科学」としたのでは、その意味を理解することはできないでしょう。モラル・サイエンスとは、かいつまんで言えば、アダム・スミスやディヴィット・ヒュームの時代から続く「モラル・フィロソフィー」(moral philosophy)の系譜に連なるもので、社会の一員としての人間を取り扱う学問を指しています。したがって、経済学が1つのモラル・サイエンスであるという場合、その意味するところは、人間社会の現象を経済的側面から研究する学問ということになるわけです。――本書より
〈子ども〉のための哲学
〈子ども〉のための哲学
著:永井 均
講談社現代新書
自分ひとり裸一貫で哲学することのすすめ。なぜ悪いことをしてはいけないのか。なぜぼくは存在するのか。この二つの大問題に答えはあるだろうか。脳に汗して考え、自分の答えを見つけるプロセスを語る。(講談社現代新書) 自分ひとり裸一貫で哲学することのすすめ。なぜ悪いことをしてはいけないのか。なぜぼくは存在するのか。この二つの大問題に答えはあるだろうか。脳に汗して考え、自分の答えを見つけるプロセスを語る。
電子あり
家族をめぐる法の常識
家族をめぐる法の常識
著:二宮 周平
講談社現代新書
不倫、離婚、介護、相続、そして自らの老いと死。いざというときに直面する法の「常識」を通し、家族の現在問う。 家族の法律についてどれだけ知っていますか――家族に関する法律や裁判は、私たちの日常生活に密接に関係するにもかかわらず、女性はともかく男性からはあまり関心をもたれていないように思われる。自分自身が離婚や親の介護、相続などに直面して、初めてこれらの法律に出会い、その仕組みや発想に驚いたり、納得したり、一喜一憂する。あるいは職場の同僚たちの話や悩みに耳を傾けるうちに、現在の家族のかかえる問題を知る。自分の大切なものは何かと聞かれて、「家族」と答える男性がけっこう多いにもかかわらず、その家族を支える法律については、案外、知られていないのではないだろうか。――本書より
パソコン入門・基礎の基礎
パソコン入門・基礎の基礎
著:山田 祥平
講談社現代新書
21世紀に不可欠な教養、パソコン。ウィンドウズを中心にマウス、キーボードからインターネットまでを徹底解説。 次代の「紙とペン」としてのパソコン――音声や映像が含まれた文書など、パソコンがなければ入手できない情報が増加する健康にある。……さらに、ゼロからモノを創り出したり、すでにある情報を整理分類加工する場合にも、紙とペンより、高い生産性を持つ道具が求められるようになり、パソコンが、それを満たす最も手軽な機械であると認識されるようになってきている。今の世の中で、紙とペンを自由にあやつれなければ、社会人としての知的生産性を確保するのは難しい。それと同時に、今後の世の中は、パソコンを自由にあやつれなければ、何も産み出せないような方向に進んでいくのだ。今、かたくなにパソコンと向き合うことを拒んだとすれば、最終的には、そのことで他人に迷惑をかけてしまうような時代が、すぐそこにやってきている。――本書より