講談社選書メチエ作品一覧

湾岸産油国 レンティア国家のゆくえ
講談社選書メチエ
莫大な石油収入と王朝君主制
豊かさと非民主政が両立する国々
クウェイト、カタル、バハレーン、UAE、オマーン。湾岸産油国は、驚くべき特徴に満ちている。莫大な石油収入によって、所得税はなし、教育費は無料。1人あたりのGDPが日本の2倍の国もある。一方で、「経済発展が民主化を促進する」という定説はあてはまらず、君主制が維持されたままだ。2009年のドバイ・ショックで、世界経済における影響の大きさを知らしめた「石油王が統治する金満国家」を詳細に分析、政治・経済・社会の実体に迫る。
【目次』
はじめに
第1章 湾岸産油国とは
五つの国々/共通する特徴/レンティア国家仮説/王朝君主制/議会制度/国民統合/イスラームと君主制/エスノクラシー
第2章 国家形成への道のり
「新しい」国/自然と地理/前史/オマーンとイギリス/「休戦海岸」の成立/ウトゥブ族の移住/石油前夜/近代的君主制の成立/与えられた独立
第3章 レンティア国家仮説
二つの論点/民主化と社会発展/資源の呪い/レント収入とは/レント依存が意味するもの/もう一つのレンティア国家仮説/忠誠はいつまで「買える」か
第4章 王朝君主制
「王朝君主制」の意味/「主権の諸省」の独占/なぜ協力するのか/なぜ王朝君主制は頑健なのか/王朝君主制の将来(1)─王位継承権/オマーンにおける権力配分/バハレーンとカタルの場合/クウェイトの問題/王朝君主制の将来(2)─君主と首相、皇太子の権力バランス
第5章 国民統合
国民意識/国民統合とナショナリズム/誰が国民なのか/歴史と国民統合/「国史」の類型/「祖国防衛」の物語/湾岸戦争の記憶/語れない歴史/「文化」を通じたとりひき
第6章 湾岸産油国型エスノクラシー
現代の奴隷制?/湾岸産油国型エスノクラシーとは/外国人への依存/自国民優遇政策/自国民プレミアム/自国民労働者と外国人労働者の分化/他者としての外国人/湾岸産油国型エスノクラシーの将来
第7章 湾岸産油国の未来
「崩壊説」への疑問/石油の生産寿命/石油枯渇危機論の奇妙さ/石油が生産され続けても、「崩壊」は到来するか/「崩壊」の後に到来するもの/湾岸産油国へのまなざし/グローバル化の中で
注
参考文献
あとがき

日本人の階層意識
講談社選書メチエ
格差意識の広がりと「一億総中流」のからくり。現実の日本人は、学歴もさまざま、職業も年収もさまざまなのに、なぜ人口の9割が「自分は中流」と思っていたのか? 社会と意識のあいだには「みえない境界」があって、それが人びとの階層意識を枠づけている。格差意識の広がりも、「みえない境界」に目を向けることで、別の一面が顕わになる。時間・空間・価値意識をキーワードに「日本人」を分析する。
【目次】
序 章 階層意識の「みえない境界」
1 「その趣味はあなたの趣味ですか」
2 枠づけられる階層意識
3 自由と不自由の間
4 本書の試み
第1章 時間と階層意識
1 学歴の価値
職業より学歴/進学率の変化/階層帰属意識の変化/階層構造と階層帰属意識
2 地位の継承
経路依存性/継承された地位とそうでない地位/社会的地位の価値変動/歴史の中の個人
第2章 地域と階層意識
1 大都市圏か地方か
地域で変わる階層帰属意識/大学進学率と地域/上層ホワイトカラー率と地域/空間化された階層意識
2 相対的不満
相対的不満とは/進学率にみる相対的不満/上層ホワイトカラー率にみる相対的不満/空間化と非空間化
第3章 競争を好む人びと
1 豊かさの配分原理
実績か努力か/無知のヴェール
2 空間化される競争社会観
価値意識の地域差/望ましくない空間化
3 ひきずられる価値意識
地域と階層構造と価値意識/空間化の自己強化
4 問題の隠蔽化
階層的利害の危険性/みえていないものからの影響
第4章 「日本人」と階層意識
1 「一億総中流」とは何だったのか
日本特有の現象?/曖昧な輪郭
2 「中流」の構
社会的地位の非一貫性/「中流」という階層イメージ
3 格差社会論の誕生
ばらばらだった判断基準/大きな「静かなる変容」
4 なぜ「努力好き」なのか
個人プレーよりチームプレー/「意に反する」長時間労働/「日本人」という境界
終 章 意識と社会
1 私たちの意識は私たちのものか
2 時間という境界
3 空間という境界
4 境界を知るということ
註
あとがき

ピラミッドへの道 古代エジプト文明の黎明
講談社選書メチエ
いったいピラミッドとは何なのか。王墓なのか、そうでないのか。古代エジプト文明と、あの巨大な建築群はいかにして生まれたのか。
メソポタミアや地中海世界、ナイル源流アフリカとのインタラクション、サハラ砂漠が緑のサヴァンナであった可能性、
王のシンボル図像が物語る動乱と変革の痕跡、ミイラのない石棺、ピラミッド・コンプレックスの構造……
大胆な構想と精緻な分析を武器に・文字以前・の歴史を描き出す!
【目次】
プロローグ
ピラミッドを理解するために/キーワードと各章の内容
第0章 ピラミッドを語る前に
ヘロドトスとピラミッド/ピラミッドの基礎知識/古代エジプト人の宗教観/古代エジプトの王権観/オシリス、ホルス、セト/古代エジプトの地理と風土/ナイルに暮らすエジプト人と異民族/ピラミッド理解への道
第一章 ピラミッドへのプレリュード
古代エジプト文明への憧れ/光は東方からか?/南方のアフリカからの影響/北の地中海世界からの文化的影響/西方世界=「緑のサハラ」の存在意義/岩絵に見られる太古の記憶/ナイル世界へのもう一つの刺激/環状列石と暦の役割/北アフリカにおける牛の埋葬/ナイル世界はカレー鍋か?
第二章 ピラミッドの萌生期
ナイル河谷における埋葬の始まり/ピラミッド以前のアビドスの王墓/ウンム・エル=カアブの葬祭周壁/ウンム・エル=カアブの船坑墓/古代エジプトの図像としての船/古代エジプトの神々と船/世界各地に見られる舟葬と舟葬墓
第三章 ピラミッドができるまで
アビドスとサッカラの王墓地論争/統一王朝出現以前の古代エジプト王たち/最初の古代エジプト王/埋葬習慣としての殉葬と墓の構造/第二王朝期の古代エジプト王たち/カセケムウイ王のプロフィール/アニミズムとトーテミズムに見る王名/混沌からさらなる混沌へ
第四章 ピラミッド時代の到来──ネチェリケト王と階段ピラミッド
階段ピラミッドとイムヘテプ/ネチェリケト王は階段ピラミッドに埋葬されたか?/階段ピラミッドをいかに理解するか/ネチェリケト王とその時代/王権確立の象徴としての階段ピラミッド/ピラミッド出現に自然環境が与えた影響
第五章 ピラミッドとは何か?
聖域としてのピラミッド・コンプレックス/ピラミッドは王墓なのか?/ピラミッド異説1 フォン・デニケンの『未来の記憶』/ピラミッド異説2 メンデルスゾーンのピラミッド公共事業説/ピラミッド異説3 ボーヴァルとギルバートの「ピラミッド・オリオン説」〔以下略〕
エピローグ
あとがき
地図
参考

近代日本の戦争と宗教
講談社選書メチエ
戊辰戦争から日露戦争まで
宗教は国家といかに向き合ったか
戊辰戦争によって新たな政権が誕生してから、日清戦争・日露戦争の勝利によって対外的な地位を向上させるまで、明治国家のあゆみには、戦争がともなっていた。そうした戦いのなか、神社界、仏教界、キリスト教界は、いかなる反応をみせたのか。従軍布教や軍資金の提供といった積極的な協力姿勢から、反戦論・非戦論をはじめとする、消極的姿勢──、本書は、その実態を描いてみようとするものである。
【目次】
プロローグ──「前奏曲」として
第一章 戊辰戦争と宗教──権力交代劇の狭間で
一 戦争と本願寺
二 神職たちの戦争と天皇の祈り
三 徳川家菩提寺のゆくえ
第二章 台湾出兵──初めての海外派兵と軍資献納
一 初の海外派兵と大教院
二 出兵と神宮・出雲大社
三 その他の神社界の動向と外交交渉の妥結
四 凱旋と教導職賀章上呈
第三章 西南戦争──日本最後の内戦の中で
一 教部省の廃止と戦争の勃発
二 戦争下における真宗
三 戦争下における神社
四 真宗解禁の意義とその後の田中直哉
第四章 日清戦争──アジアの大国との決戦と軍事支援
一 戦争の勃発と仏教界の協力
二 キリスト教界の協力と戦争観
三 神道界の動き
四 「従軍」から「開教」へ
第五章 日露戦争──列強との対決と「団結」
一 ロシア正教迫害問題の発生と正教側の対応
二 ロシア正教問題に対する政府・宗教界・軍の対応
三 日本軍の展開と従軍布教
四 キリスト教界と非戦の声
エピローグ──「交響曲」へ向かって
あとがき
註

甦るリヴァイアサン
講談社選書メチエ
近代政治という「怪物」の正体に迫る
現代世界は、「万人の万人に対する闘争状態」か?「国家権力」は「悪」なのか?悪名高きホッブズのテーゼの真意を原典に即して解明し、アレント・ネオコン・ネグリ=ハートの思想と対峙させながら、近代政治哲学を切り開いた古典を「希望の書」として読み直す。
【目次】
はじめに
第一部 ホッブズの近代性とその意義
第一章 世界観の転換──ピューリタン革命と「神の王国」論
1 ホッブズの生涯と時代の課題
2 自然状態──神と人間
3 「神の王国」論とホッブズの世界観
第二章 社会契約論──自然法と自然権
1 主権者と自然法
2 臣民の自由──自己保存権の留保=従わない自由
3 抵抗権問題──敵か臣民か
4 自然法を守る義務と内面の自由
第三章 軍事論──戦争拒否の自由と国家防衛義務
1 主権と軍事力
2 イングランドの現実──軍事革命と常備軍
3 軍隊の現実──強制徴募の問題
4 戦争拒否の自由と国家防衛義務
第四章 国際関係論──自然法と諸国民の法
1 ホッブズと国際関係論
2 ホッブズの自然法と諸国民の法
第二部 ホッブズと近代批判者
第五章 ホッブズとアレント──必然と自由、義務と愛
1 ホッブズの人間像とアレントの「労働する動物」
2 ホッブズとアレントにおける社会契約の二類型
第六章 ホッブズとレオ・シュトラウス──政治哲学と道徳的基礎
1 シュトラウスとホッブズの政治哲学
2 シュトラウスの意義と問題
3 シュトラウスのアメリカとホッブズ
第七章 ホッブズとネグリ=ハート──国民国家と〈帝国〉
1 主権──国民国家
2 主権──〈帝国〉
3 近代とポストモダン──過去と未来の間
終 章 ホッブズと希望 ホッブズ思想の可能性
注
あとがき
索引

選書日本中世史 2 自由にしてケシカラン人々の世紀
講談社選書メチエ
選書日本中世史 第2弾!
可能態としての中世社会
この社会を変えることの困難さ、いまこの社会を生きることの困難さは、「公」が曖昧な形で「私」を包摂しているという、日本社会の<公共性>の構造に由来している。しかし、南北朝と戦国という中世における2つの「変革期」、それはたしかに、社会が変わる可能性をもっていた時代であった。その「変革可能性」が隆起しては陥没していったさまを、深く鋭い歴史学の視線と、きわめて平易で軽妙な語り口とで、あざやかに、そして熱く論じる!

台湾ナショナリズム 東アジア近代のアポリア
講談社選書メチエ
日本人にとって台湾とは何なのか
親日か反日か。統一か独立か。
しばしば二項対立で語られがちな台湾ナショナリズムは、日本と大陸中国、冷戦期とポスト冷戦期、米国のプレゼンスの低下と中国の台頭など、長期的かつ複数の視座で整理すると今なお続く東アジア近代のアポリア(難題)として見えてくる。日本人にとって重要な歴史経験でもある「台湾問題」を、詳細に読み直す。
【目次】
序 章 なぜ「台湾ナショナリズム」を考えるのか
第1章 日本が見た台湾
第2章 大陸中国が見た台湾
第3章 東アジア冷戦/ポスト冷戦が見た台湾
第4章 東アジア近代が見た台湾
結語に代えて 複数のプロセスとして見ること

ハプスブルクとオスマン帝国-歴史を変えた<政治>の発明
講談社選書メチエ
「トルコの脅威」が近代ヨーロッパを生んだ
圧倒的軍事力を誇るオスマントルコから、いかにヨーロッパを防衛するか?最前線に立たされたハプスブルクが取った対抗策──それは情報を収集し、バラバラな諸侯をデータを挙げて説得して糾合する一方、民衆を反トルコプロパガンダで動員することだった。
近代政治誕生のドラマを解明する画期的論考!

選書日本中世史 1 武力による政治の誕生
講談社選書メチエ
歴史の見方が変わる!
選書日本中世史シリーズ 全5巻スタート
天皇から幕府へ。「文」から「武」へ。
中世は日本のヘゲモニーの大転換期だった。宮廷と幕府=2つの政権の並立から幕府中心の日本へ。日本史の大きな流れを分節する歴史の「構造」を解明し、移行の画期としての鎌倉幕府の意義を再検討する。

アテネ民主政 命をかけた八人の政治家
講談社選書メチエ
人物が語る古代アテネ民主政の実像。最大級の名誉と弾劾裁判による死罪、しかも無給。にもかかわらず彼らはなぜ政治家を目指したのか? 生の軌跡を追うことで見えてくる、古代ギリシャ精神の真髄!
数多くの市民が直接政治に携わり、特定の個人に権力が長期間集中するのを極力避ける、という徹底した直接民主政を約180年にわたって安定持続させた古代ギリシア屈指のポリス、アテネ。成功すれば最大限の名誉を与えられ、ひとつ間違えば弾劾裁判で死罪になるという「緊張状態」にさらされながら、政治家であろうとした8人の男たち。その生の軌跡を追うことで見えてくる、古代ギリシア精神の真髄と民主政治の原点とは?
【目次】
はじめに──民主政最後の政治家の死
序 章 アテネ民主政という世界
第1章 僭主の香りする勇士 ミルティアデス
第2章 一匹狼の策士 テミストクレス
第3章 貴族のなかの貴族 キモン
第4章 最後のカリスマ指導者 ペリクレス
第6章 民主政復興の英雄 トラシュブロス
第7章 したたかな名将 イフィクラテス
第8章 反マケドニアの闘士 デモステネス
終 章 アテネ民主政とは何だったのか
主な参考文献
図版出典一覧
あとがき
関連年表
人名索引

海から見た日本人-海人で読む日本の歴史
講談社選書メチエ
日本は海人列島である。「単一的」な外見の下に重層する多彩な貌……「海」をキーワードに人類学・神話学・考古学などさまざまな分野の知見を学際的に綜合し、日本人の複合的構造性を解明する。従来の日本人論を一新する画期的論考!
【目次】
はじめに
序章 和洋洋折衷の島 小笠原から
第一章 ホモ・サピエンスと日本列島
1 人類の起源と最初の移動
2 日本人の起源論争
3 近年の見解
4 日本語の系譜
5 「日本人」をどう考えるか
第二章 海を越える黒い石と白い貝
1 人類の海上渡航
2 海を越える黒い石
3 日本列島と黒曜石
4 海を渡った貝
5 南太平洋のイモガイ製腕輪
6 旅というハビトゥス
第三章 海を渡ってきた稲
1 海を越えた稲
2 稲の遺伝子、ヒトの遺伝子
3 弥生時代の景観
4 倭の水人
5 倭人の心象風景
第四章 海人の比較考古学
1 海を越える人々
2 海人の民族考古学
3 日本古代の海人
4 海人という生き方
第五章 海を越える魂
1 魂を運ぶ舟
2 東南アジアにおける船のシンボリズム
3 海辺の聖地
4 星の航海士
5 儀礼としての航海
第六章 海人列島残照
1 海人列島
2 琉球から
3 海人文化ルネサンス
おわりに
引用文献
索引

洋服・散髪・脱刀 服制の明治維新
講談社選書メチエ
維新の立役者たちが本気で悩んだ“装い”の近代化。直垂を着たい老華族、刀を持ちたい士族、月代を剃れないことに戸惑う庶民たち……近代化を図る日本が自らの装いを確立するにいたるまでの維新の指導者たちの苦闘と統治される人々の混乱の跡を、国家による服装の制度「服制」という視点から辿る。
【目次】
序章
第一章 王政復古の服制
第二章 文明開化の服制
第三章 無視される服制
第四章 対立する服制
第五章 大日本帝国の服制
終章 「王政復古の服制」から「大日本帝国の服制」
あとがき
参考文献

完全解読 カント『純粋理性批判』
講談社選書メチエ
世界初のこころみ
超難解哲学書を原典に忠実に、かつ平易に解読
大好評、知の高峰を読み平らげるメチエ「完全解読」シリーズ第2弾。
古代ギリシア以来の哲学をコペルニクス的に転回し、近代哲学の礎を築いたカント三批判書の第1書。「物自体」「カテゴリー」「アンチノミー」などのキー概念を中心に、難解でなる著作の理路を徹底的かつ平易に解読する。

本居宣長『古事記伝』を読む 1
講談社選書メチエ
宣長はどのように『古事記』をつくりあげたか
最初から最後まですべて読む画期的試み!
誰もがその名は知っている本居宣長の大著『古事記伝』。しかし、全巻読み通した人はほとんどいないといっていいだろう。つまみ食い的に読んで彼の思想を語る前に、まず、細部まで精緻に読み抜こうではないか。とはいえ、宣長の注解は多岐・厖大にわたり、簡単に読み切れるものではない。本書は、現代の代表的『古事記』研究者が、その責任において、徹底的に、かつわかりやすく『古事記伝』全44巻を読み解いていく画期的なシリーズである。そこに浮かび上がってくる宣長の無類のおもしろさ、そして思想の核心とは──。

「象徴天皇」の戦後史
講談社選書メチエ
天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴(日本国憲法第一条)
この曖昧で抽象的な規定の内実を、
政治家、宮内庁、知識人、そしてメディアは
いかに作りあげたか。
敗戦後の昭和天皇退位論から、
「人間宣言」とそのアピールたる全国巡幸、
明仁皇太子の外遊と成婚までを辿り、
戦後天皇制の本質を鋭く抉り出す!

宗教で読む戦国時代
講談社選書メチエ
戦国日本人の「見えない宗教性」を解明。なぜキリスト教は拒否されたのか。一向一揆は宗教一揆だったのか。宣教師も驚いた戦国日本人の高度な精神性。その「ゆるやかな宗教性」のバックボーンとしての「天道」思想をキーワードに、一向一揆、キリシタン論争から島原の乱まで、日本人の心性に新たな光を投げかける。(講談社選書メチエ)
宣教師も驚いた戦国日本人の高度な精神性。その「ゆるやかな宗教性」のバックボーンとしての「天道」思想をキーワードに、一向一揆、キリシタン論争から島原の乱まで、日本人の心性に新たな光を投げかける。

ヒンドゥー教の〈人間学〉
講談社選書メチエ
ヒンドゥー教研究の世界的名著を本邦初訳
ブラフマンとアートマン。ヴィシュヌ神とシヴァ神。
「カーマスートラ」、ヨーガ……。インド人の8割が信者というヒンドゥー教とは。
その本質を解き明かす。

マイケル・ポランニー 「暗黙知」と自由の哲学
講談社選書メチエ
20世紀の「万能人」のユニークな思想
科学の根源を問い、暗黙知理論を提唱した異色の科学哲学者。科学のみならず経済学・哲学の分野でもユニークな思考を展開した天才の思想の全貌を初めて紹介する。
【目次】
序章 現代世界とマイケル・ポランニー
1 はじめに──相対主義を超えて
2 生涯
3 ポランニーはどのように読まれてきたか
4 本書のプラン
第一章 自由の哲学
1 ポランニーのリベラリズム
2 二つの「二つの自由概念」──ポランニーとバーリン
3 自生的秩序──市場システム、法システム、科学システム
4 「多中心性問題」
5 市場システムと自由
6 「道徳的反転」
第二章 経済学
1 貨幣サークルと雇用量の決定
2 「中立性の原則」
3 ソ連、ナチス、戦時経済体制などをどう見るか
4 ポランニーの「ハーヴェイ・ロードの前提」
5 完全雇用が可能とする自由貿易
第三章 知識論
1 『個人的知識』の目的と構成
2 批判的哲学の批判
3 「分節化されたもの」と「分節化されないもの」のダイナミクス
4 知的情熱と共同性
5 信仰と懐疑
6 「生きて在るもの」を「知る」ということ
第四章 「宗教の受容」への道──科学、芸術、そして宗教
1 さまざまな意味──「指示」・「象徴」・「隠喩」
2 芸術の力
3 「観察すること」と「受容すること」
4 福田恆存「人間・この劇的なるもの」への寄り道
5 宗教的欲望の本質──ポランニー、福田、エリアーデを結ぶもの
終章 暗黙のリベラリズムの可能性
1 リベラルなケインズ主義者の社会経済学
2 個人的で人格的で暗黙の知識の役割
3 「道徳的反転」、「宗教的反転」、そして宗教の回復
補論 「自由」をめぐるカールとマイケル・ポランニー
註
参照文献
あとがき

自由と平等の昭和史 一九三〇年代の日本政治
講談社選書メチエ
自由主義と社会主義の相克で昭和史を再検討
既成政党型の自由主義か社会大衆型の平等主義か―。
軍ファシズムの台頭によって忘れられた戦前の言論界・政界の大論争。
「格差か自由か」の原点がここにある!

『西遊記』XYZ このへんな小説の迷路をあるく
講談社選書メチエ
『西遊記』はただの冒険小説ではなかった! 悟空・八戒や怪物たち、あるいはダジャレに秘められたシンボリズムを縦横無尽に読解し、中国的思考の迷宮を踏破する。
中国史上もっとも「けったいな」奇書を縦横無尽に解読。なぜやたらと詩ばっかりなのか? なぜいつもどこかにもぐりこむのか? 『西遊記』はただの冒険奇譚小説ではなかった! 孫悟空・猪八戒や怪物たち、あるいはおびただしい作中詩やダジャレに秘められたシンボリズムを縦横無尽に読解し、中国的思考の迷宮を踏破する。
【目次】
はじめに
1.登場人物とは何か?
史実から虚構への三蔵の旅
だれがお経を授けたのか?
シンボル体系としての孫悟空
2.「ならべる」世界
万暦はおもしろい
百科事典もどきの詩詞
事典からウラの迷路へ
網の目状の迷路
「地口」好きの猪八戒
「余分な孫」は役たたず
「ならべる」けれども立体構造
3.「もぐりこむ」世界
洞窟のなかの洞窟
「閉じ込められる」器物
「もぐりこむ」他者のからだ
モチーフも「もぐりこむ」
むすび
注
あとがき