デカルト=哲学のすすめ

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デカルト=哲学のすすめ

デカルト=テツガクノススメ

講談社現代新書

カントやヘーゲルが哲学を完成したのではない。近代哲学とはデカルトの到達した高みかすべり落ちる歴史だった。戦争、宗教、あるいは病いなど今日的課題に答えうる「哲学の王道」を読み直す。

思想を捨てる――私はさしたる困難もなく生き残ってきた。私は今もさしたる苦痛なしに生きている。ところが、悲惨な状態で生き残ってきた人がいる。こちらは恵まれた生活を送っているのに、ぎりぎりの生存をつづけている人がいる。この事態について真摯に考えようとすると、悲惨な生者に対してどのような態度をとればよいのかという疑問がわきあがってくる。とはいえ私は老いてゆくし、いずれ死んでゆく。人間の死が必ず非業の死であるなら、私もいずれ悲惨な状態で死にゆくことになる。この事態について思うとき、死にゆく者として生きている私を、晴朗に肯定する手だてはないのかという疑問がわいてくる。こんな疑問をたずさえて、デカルトを読んでいこうと思う。――本書より


目次

●思想を捨てる
●離脱道徳
●奴隷の思想、貴族の思想
●懐疑
●死にゆく者の独我論
●「私」と「コギト」
●哲学者の神
●最高善と共通善
●賢者の現存
●魂の不死、私の死

書誌情報

紙版

発売日

1996年10月18日

ISBN

9784061493254

判型

新書

価格

定価:792円(本体720円)

通巻番号

1325

ページ数

214ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介

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