権利論

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権利論

ケンリロン

創文社オンデマンド叢書

法哲学者による「権利本質論」の重要著作を読む。人権、倫理において、人間存在に不可侵の権利があるということを法学的に問い直す著作。
「最大多数の最大幸福」の実現を是と考える功利主義によれば、人権の不可侵性は認められない。つまり、多数の幸福のために、少数の人間が犠牲になることを容認する。ロールズの「正義論」は、功利主義批判の書としてもある。
さて、著者が依拠するのは、「トミスム」である。トミスムとは、中世の大神学者トマス・アクィナスに立ち戻り、カトリック哲学による新しい価値観の立て直しをする考え方である。
本書で言うところの法は、哲学者やモラリストの「法」ではなく、法律家のいうところの法である。つまり、「実定法」である。
現代においては、「動物の権利」が、取り沙汰されることが増えてきた。
不可侵の権利とはなにか? 不可侵の権利と法の関係とは? 不可侵の権利の根源にはなにがあるのか?
あらためて、法の根源に迫る法哲学の高著である。

【目次】
序論
問題の位置
用語論=客観法と主観法
本書のプラン
第一章 権利の存在の問題
第一 否認論の叙述
第二 否認論への批判と権利の弁護
第二章 権利の定義
第一 通説的定義の叙述と批判
第二 新しい定義の提示、権利=依属-支配
第三章 権利の主体と「法人的人格性」
問題の位置
第一 自然人
第二 「法人的人格性」
第一節 社団(広義)の場合
第四章 権利の分類
分類の方法
第一 客体による分類
第二 個人間の権利と団体的権利
第三 自己中心的目的の権利と職分権
第五章 権利の利用
問題の位置
第一 職分権のコントロール
第二 自己中心的権利のコントロール(権利濫用論)
訳者あとがき


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目次

序論
問題の位置
用語論=客観法と主観法
本書のプラン
第一章 権利の存在の問題
第一 否認論の叙述
第一節 デュギーのテーゼ
第二節 ケルゼンのテーゼ
第二 否認論への批判と権利の弁護
第一節 客観法の枠内での諸権利
議論のどちらかといえば技術的な意義
規範から抽離された諸権利の場合
権利を生むものとしての規範
デュギーの立場の存在理由
第二節 客観法の枠外での権利
論議の哲学的意義
同時に個人的でもあれば社会的でもある人間
権利と社会
道徳的権利と法律的権利
結論と最終的注意書
第二章 権利の定義
第一 通説的定義の叙述と批判
第一節 意思力としての権利(ヴィントシャイト)
第二節 権利=保護された利益(イェーリング)
第三節 折衷説(イエリネック、ミシュー、フェラーラ、サレィユ)
第二 新しい定義の提示、権利=依属-支配
第一節 依属の側面
第二節 支配の側面
第三節 「対他人性」という条件(不可侵性および要求可能性)
第四節 司法的保護の要素と訴権
結論
第三章 権利の主体と「法人的人格性」
問題の位置
第一 自然人
第一節 物の排除
第二節 人間
第二 「法人的人格性」
第一節 社団(広義)の場合
社会学的分析
社団=独自別個の存在
社団=何かを「自己のものとして持つ」に適した権利主体
結論 法人の現実在
第二節 財団ないし営造物の場合
社会学的分析
財団における法主体
デュギーと法人の問題
第四章 権利の分類
分類の方法
第一 客体による分類
第一節 人格性の諸権利
第二節 物権(物質的事物への)
第三節 債権(人を把える)
第四節 知能権(無体的事物についての)
批判的注記
第二 個人間の権利と団体的権利
第一節 「団体的権利」の観念
第二節 公的団体的諸権利
第三節 成員の団体権と個人権
第三 自己中心的目的の権利と職分権
第一節 権利の個人的目的? それとも「社会的職分」?
第二節 「職分権」の観念、ことに家族および国家において
第三節 どの点で職分権は依然権利であるのか?
第五章 権利の利用
問題の位置
第一 職分権のコントロール
第一節 司法的コントロール、解決の論理的原理
第二節 私法上(家族、社団)および公法上のコントロールの実際的困難
職権の歪曲の場合の想定
行使の義務を怠る場合の想定
不備な利用の場合の想定
第二 自己中心的権利のコントロール(権利濫用論)
第一節 濫用の問題の限定
濫用と法規違反
濫用できない諸権利
第二節 権利濫用の観念=却くべき基準
濫用は損害(過度のものでも)のうちにはない
濫用と過失
ジョスランの理論=権利の目的と違法な動機
ジョスランの理論への批判
第三節 濫用の真の基準=不道徳な利用
権利の不道徳な利用
自由の権利および不作為の権利の濫用
権利濫用への制裁
第四節 裁量的諸権利
訳者あとがき

書誌情報

電子版

発売日

2025年03月10日

JDCN

06A0000000000657442W

著者紹介

著: ジャン・ダバン(ジャン・ダバン)

1889~1971年。ベルギーの法学者。リエージュ大学、ルーヴァン大学で教鞭を執る。専門は、自然法論。 著書に、『実定法形成の秘術』『法の一般理論』『権利論』『国家とは何か』、邦訳『法の一般理論』『国家とは何か』『権利論』(すべて水波朗訳)などがある。

訳: 水波 朗(ミズナミ アキラ)

1922~2003年。法学者。九州大学名誉教授。九州帝国大学法文学部法科卒業。専門は法哲学。 著書に、『法の観念 ジャン・ダバンとその周辺』『トマス主義の法哲学 法哲学論文選』(『トマス主義の憲法学 国法学論文選』『ホッブズにおける法と国家』『基本的人権と公共の福祉 日本国憲法講義要録』『自然知と洞見知』、『要説法律学』(共編著)、『自然法』(共著)、 訳書に、ジャン・ダバン『法の一般理論』『国家とは何か』『権利論』などがある。

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